特許第6321811号(P6321811)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321811アミン処理無水マレイン酸ポリマー、組成物およびそれらの利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321811
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】アミン処理無水マレイン酸ポリマー、組成物およびそれらの利用
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/32 20060101AFI20180423BHJP
   C08F 222/06 20060101ALI20180423BHJP
   C08F 232/00 20060101ALI20180423BHJP
   G03F 7/023 20060101ALI20180423BHJP
   G03F 7/022 20060101ALI20180423BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20180423BHJP
   G03F 7/32 20060101ALI20180423BHJP
   G03F 7/40 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   C08F8/32
   C08F222/06
   C08F232/00
   G03F7/023
   G03F7/022 601
   G03F7/004 501
   G03F7/32
   G03F7/40 501
【請求項の数】18
【全頁数】91
(21)【出願番号】特願2016-542019(P2016-542019)
(86)(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公表番号】特表2016-531191(P2016-531191A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】US2014054181
(87)【国際公開番号】WO2015038411
(87)【国際公開日】20150319
【審査請求日】2017年6月12日
(31)【優先権主張番号】61/878,263
(32)【優先日】2013年9月16日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】303043461
【氏名又は名称】プロメラス, エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】カンダナラチチ, プラモド
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,ラリー・エフ.
(72)【発明者】
【氏名】大西 治
【審査官】 中村 英司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−146045(JP,A)
【文献】 特表2002−505351(JP,A)
【文献】 米国特許第06407197(US,B1)
【文献】 特開昭57−133101(JP,A)
【文献】 米国特許第04397995(US,A)
【文献】 特開昭52−132091(JP,A)
【文献】 特開2001−242616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 32/00
C08F 22/06
C08F 8/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IA)により表され、式(I)で示されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位
【化1】
(式中、
mは、整数0、1または2であり、
Xは、CH、CH−CH、O、またはNR(Rは直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルである)であり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C16)アルキル、ヒドロキシ(C〜C16)アルキル、パーフルオロ(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C12)ビシクロアルキル、(C〜C14)トリシクロアルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、パーフルオロ(C〜C10)アリール、パーフルオロ(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、(C〜C12)ビシクロアルコキシ、(C〜C14)トリシクロアルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリールオキシ、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ、(C〜C)アシルオキシ、オキシラニル、オキシラニル(〜C)アルキル、オキシラニル(CHO(CH−、ハロゲン、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
で示される基を表し、ここで、
aは、整数0、1、2、3または4であり、
bは、整数0、1、2、3または4であり、かつ
Rは、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)、
ならび
(IIA)により表され、式(II)で示されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位
【化2】
(式中、
、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキル、または式(B):
−SiR (B)
( R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される)
で示される基から選択されるか、あるいはRまたはRのうち1つは、R10またはR11のうち1つおよびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)、
ならびに
式(IIIA)または(IIIB)により表され、式(III)で示されるモノマーに由来する第3のタイプの繰返し単位(IIIA)または(IIIB)
【化3】
を含み、さらに前記式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIE)により表される第3のタイプの繰返し単位
【化4】
(式中、
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素または直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルまたはフッ素化もしくは過フッ素化(C〜C)アルキルを表し、
14は、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)、
を含むポリマーであって、
ここで、上述した基のそれぞれは、原子価により許容される場合、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)パーフルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、ポリマー。
【請求項2】
前記ポリマーが、前記式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIC)により表される第3のタイプの繰返し単位
【化5】
(式中、R12およびR13は請求項1に定義されるとおりである)
をさらに含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
前記ポリマーが、前記式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIID)により表される第3のタイプの繰返し単位
【化6】
(式中、R12およびR13は請求項1に定義されるとおりである)
をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチルおよびトリフルオロメチルからなる群から選択され、
14は、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキルである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
X=CHであり、
m=0であり、
、R、R、およびRが、独立して、水素、ヘキシル、デシル、オキシラニル−CHOCH−、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
(式中、
aは1または2であり、
bは2または3であり、かつ
Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはn−ブチルである);で示される基を表し、
、R、R10、およびR11は、同一であるかもしくは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、フェニル、トリメチルシリル、およびトリエチルシリルから選択されるか、または、RおよびR10は、同一であるかもしくは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、またはエチルから選択され、かつRが、R11およびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、またはシクロオクチル環を形成し、
12およびR13は、同一であるかもしくは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、またはエチルから選択され、かつ
14が(C〜C18)アルキルである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記ポリマーが、75モル%以下の第1のタイプの繰返し単位と、90モル%以下の第2のタイプの繰返し単位と、10〜60モル%の第3のタイプの繰返し単位とを含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
第1のタイプの繰返し単位が、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、
2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン、および
5−フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項8】
第2のタイプの繰返し単位が、
2−メチルプロプ−1−エン、
2−メチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−2−エン、
トリメチル(ビニル)シラン、および
スチレン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項9】
式(IA)により表され、式(I)で示されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位
【化7】
(式中、
mは、整数0、1または2であり、
Xは、CH、CH−CH、O、またはNR(Rは直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルである)であり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C16)アルキル、ヒドロキシ(C〜C16)アルキル、パーフルオロ(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C12)ビシクロアルキル、(C〜C14)トリシクロアルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、パーフルオロ(C〜C10)アリール、パーフルオロ(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、(C〜C12)ビシクロアルコキシ、(C〜C14)トリシクロアルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリールオキシ、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ、(C〜C)アシルオキシ、オキシラニル、オキシラニル(〜C)アルキル、オキシラニル(CHO(CH−、ハロゲン、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
で示される基を表し、ここで、
aは、整数0、1、2、3または4であり、
bは、整数0、1、2、3または4であり、かつ
Rは、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)、
ならび
(IIA)により表され、式(II)で示されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位
【化8】
(式中、
、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキル、または式(B):
−SiR (B)
( R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される)
で示される基から選択されるか、あるいはRまたはRのうち1つは、R10またはR11のうち1つおよびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)、
ならびに
式(IIIA)または(IIIB)により表され、式(III)で示されるモノマーに由来する第3のタイプの繰返し単位(IIIA)または(IIIB)
【化9】
を含み、さらに前記式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIE)により表される第3のタイプの繰返し単位
【化10】
(式中、
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素または直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルまたはフッ素化もしくは過フッ素化(C〜C)アルキルを表し、
14は、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
を含むポリマーであって、
ここで、上述した基のそれぞれは、原子価により許容される場合、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)パーフルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、ポリマーと、
ジアゾ官能基部分を含有する光活性化合物と、
担体溶媒と、
を含む、光現像性組成物。
【請求項10】
前記ジアゾ官能基部分が、式(IV)、(V)、または(VI):
【化11】
で示される、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
前記光活性化合物が、
【化12】
(式中、少なくとも1つのDは式(IV)、(V)または(VI)で示されるジアゾ官能基部分であり、残りのDは水素である)
からなる群から選択される、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
第1のタイプの繰返し単位が、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、
2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン、および
5−フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
第2のタイプの繰返し単位が、
2−メチルプロプ−1−エン、
2−メチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−2−エン、
トリメチル(ビニル)シラン、および
スチレン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、請求項9〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記担体溶媒が、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、アセトン、メチル3−メトキシプロピオネート、テトラヒドロフラン、およびそれらの組合せ混合物からなる群から選択される、請求項9〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
2,2’−(((2−エチル−2−((オキシラン−2−イルメトキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))−ビス(メチレン))ビス(オキシラン)、
ビス(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)メタン、
脂肪族トリオールのポリグリシジルエーテル、
パラ−第3級ブチルフェノールのグリシジルエーテル、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、および
それらの組合せ混合物
からなる群から選択される1種以上の架橋剤をさらに含む、請求項9〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリマーが、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する繰返し単位と、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンで開環した無水マレイン酸に由来する繰返し単位とを含有するコポリマー、および
スチレンに由来する繰返し単位と、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンで開環した無水マレイン酸に由来する繰返し単位とを含有するコポリマー
からなる群から選択される、請求項9〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
マイクロエレクトロニクスデバイスまたは光電子デバイスを作製するためのフィルムを形成する方法であって、
請求項9〜16のいずれか一項に記載の組成物を適切な基材に塗布してフィルムを形成することと、
マスクを用いて適切な放射線で露光することにより前記フィルムをパターニングすることと、
露光後に前記フィルムを現像して光パターンを形成することと、
適切な温度に加熱することにより前記フィルムを硬化させることと
を含む、フィルム形成方法。
【請求項18】
請求項9〜16のいずれか一項に記載された組成物の硬化物を含むデバイスであって、
前記デバイスは光電子デバイスまたはマイクロエレクトロニクスデバイスである、デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2013年9月16日出願の米国仮特許出願第61/878,263号明細書に基づく利益を主張し、その出願の全内容は参照により本明細書に援用されている。
【0002】
本発明は、一連の無水マレイン酸含有オレフィンポリマーおよびそれに由来するアミン処理ポリマーに関する。より具体的には、本発明は、ノルボルネン型シクロオレフィンモノマーを含む他のオレフィンを有する一連の無水マレイン酸含有コポリマーおよびアミンとの反応による無水マレイン酸繰返し単位の開環に由来するポリマーに関する。本発明はまた、かかるポリマーの製造方法およびその利用に関する。具体的には、本発明に係るポリマーは、液晶ディスプレイのオーバーコート層などの種々の電子材料用途や様々な再配線層用途に有用である。
【背景技術】
【0003】
環境にやさしくかつ水性条件下で処理でき、優れた化学的、光学的、および機械的性質を備えた新しい電子材料の開発に関心が高まってきている。特に、ミクロンレベルの構造を形成し得る材料の開発の需要が高まっている。具体的には、様々な液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ならびに他の高周波(RF)デバイスおよびマイクロ波デバイスの作製において、ミクロンレベルのデバイスジオメトリーがごく普通にみられるようになってきている。たとえば、高周波集積回路(RFIC)、マイクロマシン集積回路(MMIC)、スイッチ、カプラー、フェーズシフター、表面弾性波(SAW)フィルター、SAWデュプレクサーなどのデバイスは、最近、ミクロンレベルで作製されるようになっている。
【0004】
そのように小さなジオメトリーでは、容量結合に起因する隣接信号ライン間または信号ラインとデバイス特徴部(たとえば画素電極)との間のクロストークを極力低減または排除するために、低誘電率の誘電体材料が求められる。マイクロエレクトロニクスデバイスにおいては多くの低誘電体(低K)材料を利用可能であるが、光電子デバイスにおいては、低誘電体材料はまた、可視光スペクトル内で広く透明であり、そのような光電子デバイスの他の素子と相容れないような高温処理(300℃超)を必要とせず、また低コストでかつ大規模な光電子デバイスの作製に適していなければならない。また、低ウエハ応力を呈する電子材料を開発する必要性が存在する。
【0005】
そこで、別個に現像層を形成する必要性を回避するために、自己現像層を形成可能な材料が望まれる。かかる材料には、基材への塗布が容易であり、低誘電率(3.9以下)であり、かつ250℃超の温度に対する熱安定性を有することが求められる。当然ながら、かかる材料はまた、より低コストで利用でき、ポジ型またはネガ型の光現像能、水性塩基現像能、熱サイクル試験(TCT)後の低欠陥、熱応力後の高透明度、所望の熱機械的性質、たとえば引張り強度、破断伸び(ETB)、熱膨張係数(CTE)、所望のガラス転移温度(T)、低ウエハ応力、硬化温度での低重量損失およびパターン完全性維持能などの性質を有することが望ましい。
【0006】
安価なアクリルポリマーが良好な光現像性を示し、かつ水性塩基現像可能であることが報告されている。たとえば特開平5−165214号公報を参照されたい。また、特開2003−162054号公報には、脂環式オレフィン樹脂を含む感放射線性樹脂組成物が開示されている。同様に、ポリイミドは良好な熱安定性を示すことが報告されている。しかしながら、これらの材料は、ある種の欠点を有するため、本明細書で想定される用途にあまり好適ではない。たとえば、アクリルは高い熱安定性(すなわち、200℃超の温度)を必要とする用途には適さない。また、ポリイミドの多くは、概して、水性塩基現像性を必要とするポジ型配合物やネガ型配合物に適さず、かつ通常は望ましい透明度を示さないため、ある種のオプトエレクトロニクス用途には不適である。いくつかのポリイミドは、低誘電率を示すものの、配線密度が高く信号速度の速い高集積デバイスおよび/または小型デバイスにおいても有効となり得るほど十分に低いとはいい難い。そのような公知のポリイミド材料の1つは、日本特許第3,262,108号公報に開示されるポリイミド前駆体とジアゾキノン型化合物とを含むポジ型感光性樹脂である。
【0007】
最近、ノルボルネン型繰返し単位と無水マレイン酸型繰返し単位との両方を含むある種のコポリマーは、化学線による画像露光によって自己現像する層を形成可能であり、あるマイクロエレクトロニクス用途に有用であることが報告された。米国特許第8,715,900B2号明細書を参照されたい。しかし、この組成物は、該高分子組成物に添加される添加剤を伴ってポジ型光現像および熱硬化に適切であるにすぎない。したがって、自己架橋でき、かつポジ型およびネガ型のいずれの組成物としても利用できる高分子組成物の必要性は依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
したがって、本発明により提供される解決策の少なくとも1つは、特に、400nm〜700nmの種々の波長での高透明度などの所望の光電子特性を備え、熱応力後でさえもかかる高透明度特性を維持するフィルムを形成し得るある種の高分子材料を提供することである。本発明により提供される他の非限定的な解決策は、フィルムに形成されてエレクトロニクスおよびオプトエレクトロニクス材料プロセスで一般に使用される化学品および溶媒に対して優れた化学的耐性を呈する、本明細書に開示される様々な高分子材料を提供することである。
【0009】
以下、本発明に係る実施形態を、添付の図面および/または画像を参照して説明する。提供される図面は、デバイスを簡略化した一部を示すものであって、例示のみを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】n−ブチルアミンとSMA2000とから得られた反応生成物(実施例38)の、Siウエハ上でのFT−IRスペクトルを示している。
図2】Siウエハ上でn−オクチルアミンとd−IBU/NBTON/MAターポリマーとから得られた反応生成物のFT−IRスペクトルを示している。
図3】本発明の実施形態の1つに係る硬化前および硬化後の現像トレンチおよびコンタクトホールの断面SEM写真を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施形態は、以下に説明するように、無水マレイン酸モノマーに由来し少なくとも部分的に開環および/またはマレイミド、アミド酸または他の関連する繰返し単位に変換された少なくとも1種の繰返し単位を含む種々のポリマー(コポリマー、ターポリマー、およびテトラポリマーを包含するが、これらに限定されない)と、かかるポリマーを含む組成物とに関する。本発明の他の実施形態のいくつかでは、本発明に係るポリマーはまた、本明細書に記載のあるタイプのノルボルネン型モノマーを含有する。このようなポリマー組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイスや光電子デバイスの製造における層として有用な自己現像フィルムを形成可能である。すなわち、化学線により画像露光した後、かかる層(またはフィルム)は、上記層(またはフィルム)を露光する際に用いたイメージを反映したパターン化層(またはフィルム)を形成するように現像可能である。このようにして、マイクロエレクトロニクスデバイスや光電子デバイスの一部である、または一部となる構造を提供することができる。
【0012】
本明細書で用いられる用語は、以下の意味を有する。
【0013】
本明細書において、冠詞「a」、「an」、および「the」は、特記しない限り、当該冠詞の指示対象が複数である場合を包含する。
【0014】
本明細書および本明細書に添付された特許請求の範囲で用いられる成分の量や反応条件などに関連する数、値その他の表現はすべて、かかる値の取得に関わる測定の種々の不確かさを含むものであり、特記しない限り、すべての場合において「約」の語により修正されたものと理解されるべきである。
【0015】
本明細書に数値範囲が開示される場合、その範囲は連続しており、範囲の最小値と最大値との間のすべての値のみならず、該最小値および該最大値の両方を含む。さらに、範囲が整数を参照する場合、その範囲の最小値と最大値との間の整数はすべて包含される。また、特徴または特性を記述するために複数の範囲が提供される場合は、それらの範囲を組み合わせることができる。つまり、特記しない限り、本明細書に開示される範囲はすべて、そこに包含されるすべての副次的な範囲を含むものと理解される。たとえば、記載された範囲が「1から10」である場合、最小値1と最大値10との間のいかなる副次的な範囲もすべて含まれるものとする。1から10という範囲の副次的な範囲の非限定的な例示として、1から6.1、3.5から7.8および5.5から10などが挙げられる。
【0016】
本明細書において、「ヒドロカルビル」とは、炭素原子と水素原子とを含有する基のラジカルを意味する。その非限定的な例としては、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アルカリール、およびアルケニルが挙げられる。「ハロヒドロカルビル」という用語は、少なくとも1つの水素がハロゲンで置き換えられたヒドロカルビル基を意味する。パーハロカルビルという用語は、すべての水素がハロゲンで置き換えられたヒドロカルビル基を意味する。
【0017】
本明細書において、「(C〜C15)アルキル」という表現は、メチル基およびエチル基、ならびに直鎖状または分岐状のプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、さらには種々の他の同族体基を包含する。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルなどである。「(C〜C15)アルコキシ」、「(C〜C15)チオアルキル」、「(C〜C15)アルコキシ(C〜C15)アルキル」、「ヒドロキシ(C〜C15)アルキル」、「(C〜C15)アルキルカルボニル」、「(C〜C15)アルコキシカルボニル(C〜C15)アルキル」、「(C〜C15)アルコキシカルボニル」、「アミノ(C〜C15)アルキル」、「(C〜C15)アルキルアミノ」、「(C〜C15)アルキルカルバモイル(C〜C15)アルキル」、「(C〜C15)ジアルキルカルバモイル(C〜C15)アルキル」、「モノ−またはジ−(C〜C15)アルキルアミノ(C〜C15)アルキル」、「アミノ(C〜C15)アルキルカルボニル」、「ジフェニル(C〜C15)アルキル」、「フェニル(C〜C15)アルキル」、「フェニルカルボニル(C〜C15)アルキル」、および「フェノキシ(C〜C15)アルキル」などの派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0018】
本明細書において、「シクロアルキル」という表現は、すべての公知の環式ラジカルを包含する。「シクロアルキル」の代表例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられるが、これらになんら限定されない。「シクロアルコキシ」、「シクロアルキルアルキル」、「シクロアルキルアリール」、「シクロアルキルカルボニル」などの派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0019】
本明細書において、「(C〜C)アルケニル」という表現は、エテニル基ならびに直鎖状または分岐状のプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、およびヘキセニル基を包含する。同様に、「(C〜C)アルキニル」という表現は、エチニル基およびプロピニル基、ならびに直鎖状または分岐状のブチニル基、ペンチニル基、およびヘキシニル基を包含する。
【0020】
本明細書において、「(C〜C)アシル」という表現は、「(C〜C)アルカノイル」と同じ意味を有するものとする。これはまた、構造により「R−CO−」(式中、Rは、本明細書に定義される(C〜C)アルキルである)と表すことも可能である。さらに、「(C〜C)アルキルカルボニル」は、(C〜C)アシルと同じ意味を有するものとする。具体的には、「(C〜C)アシル」は、ホルミル、アセチルまたはエタノイル、プロパノイル、n−ブタノイルなどを意味するものとする。「(C〜C)アシルオキシ」や「(C〜C)アシルオキシアルキル」などの派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0021】
本明細書において、「(C〜C15)パーフルオロアルキル」という表現は、前記アルキル基の水素原子のすべてがフッ素原子で置き換えられていることを意味する。具体例としては、トリフルオロメチル基およびペンタフルオロエチル基、ならびに直鎖状または分岐状のヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ウンデカフルオロペンチル基、およびトリデカフルオロヘキシル基が挙げられる。「(C〜C15)パーフルオロアルコキシ」という派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0022】
本明細書において、「(C〜C10)アリール」という表現は、置換または非置換のフェニルまたはナフチルを意味する。置換フェニルまたは置換ナフチルの具体例としては、o−、p−、m−トリル、1,2−、1,3−、1,4−キシリル、1−メチルナフチル、2−メチルナフチルなどが挙げられる。また、「置換フェニル」または「置換ナフチル」には、本明細書にさらに定義されているか当技術分野で公知であるすべての可能な置換基が包含される。「(C〜C10)アリールスルホニル」という派生表現も同様に解釈されるべきである。
【0023】
本明細書において、「(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル」という表現は、本明細書に定義される(C〜C10)アリールが本明細書に定義される(C〜C)アルキルにさらに結合されることを意味する。代表例としては、ベンジル、フェニルエチル、2−フェニルプロピル、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチルなどが挙げられる。
【0024】
本明細書において、「ヘテロアリール」という表現は、酸素、硫黄、窒素、リン、ケイ素などのヘテロ原子を含有する公知のヘテロ原子含有芳香族ラジカルのすべてを包含する。代表的な五員ヘテロアリールラジカルとしては、フラニル、チエニルまたはチオフェニル、ピロリル、ピロリルジオン、イソピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルなどが挙げられる。代表的な六員ヘテロアリールラジカルとしては、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニルなどのラジカルが挙げられる。二環式ヘテロアリールラジカルの代表的な例としては、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ピリドフラニル、ピリドチエニルなどのラジカルが挙げられる。
【0025】
本明細書において、「ヘテロ環」という表現は、公知の還元ヘテロ原子含有環式基のすべてを包含する。代表的な五員ヘテロ環基としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピロリジニル、2−チアゾリニル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリルなどが挙げられる。代表的な六員ヘテロ環ラジカルとしては、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。種々の他のヘテロ環基としては、アジリジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、トリアゾカニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「ハロゲン」または「ハロ」とは、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0027】
「置換」という用語は、広義には、有機化合物におけるすべての許容可能な置換基を包含することを想定している。本明細書に開示される具体的な実施形態のいくつかでは、「置換」という用語は、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)パーフルオロアルキル、フェニル、ヒドロキシ、−COH、エステル、アミド、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)チオアルキル、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、−NH、Cl、Br、I、F、−NH低級アルキル、および−N(低級アルキル)からなる群から独立して選択される1つ以上の置換基で置換されることを意味する。しかしまた、当業者に公知の他の適切な置換基のいずれをも、これらの実施形態において使用することができる。
【0028】
以下において、たとえば、RおよびRが独立して置換基の群から選択されると記載されている場合、RおよびRが独立して選択されるだけでなく、一分子中に2以上の変数Rがある場合、それらのRが独立して選択されることをも意味する。たとえば、RおよびRがそれぞれ式(A)で示される基を含有する場合、RではRが水素であり得、かつRではRがメチルであり得る。当業者であれば、置換基のサイズや性質が他の存在可能な置換基の数や性質に影響し得ることがわかる。
【0029】
本明細書の本文、スキーム、実施例、および表において、原子価が満たされない原子はいずれも、その原子価を満たす適切な数の水素原子を有するとみなされるべきである。
【0030】
本明細書において、「ポリマー組成物」、「コポリマー組成物」、「ターポリマー組成物」、または「テトラポリマー組成物」という用語は同義的に用いられ、少なくとも1種の合成ポリマー、コポリマー、ターポリマー、またはテトラポリマーのほか、それらのポリマーの合成に関わった開始剤、溶媒その他の要素に由来する残留物を含むものとみなされる。このような残留物は、必ずしも上記ポリマーに共有結合により組み込まれているとはかぎらないと理解される。しかし、いくつかの触媒または開始剤は、高分子鎖の先端および/または終端のいずれかで高分子鎖の一部に共有結合されることもあり得る。かかる残留物および他の要素は、「ポリマー」または「ポリマー組成物」の一部とみなされ、通常はポリマーと混合または混在しているので、容器間での移動や溶媒間または分散媒間での移動に際しても上記ポリマーのもとに留まる傾向にある。ポリマー組成物はまた、かかる組成物の具体的な性質を提供または改変するためにポリマーの合成後に添加される材料を含んでいてもよい。かかる材料の例としては、以下でより十分に説明されるように、溶媒、酸化防止剤、光開始剤、増感剤、および他の材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「由来」という用語は、ポリマーの繰返し単位が、たとえば、式(I)で示される多環式ノルボルネン型モノマーまたは式(III)で示される無水マレイン酸モノマーから重合(形成)されることをいう。得られるポリマーは、以下に示されるように、ノルボルネン型モノマーと無水マレイン酸モノマーとの2,3位連鎖により形成される。
【化1】
【0032】
所与のポリマーのモノマー組成に応じて、繰返し単位は必ずしも交互であるわけではないことを理解すべきである。つまり、たとえば、ノルボルネン型モノマーと無水マレイン酸モノマーとを特に50:50以外のモル比で含有するコポリマーにおいて、繰返し単位は、必ずしも交互ではなく、よりモノマーのモル含有率の高いランダムブロックを有することもある。さらに、当業者であれば容易に分かるように、用いられるモノマーのタイプ、つまり、式(I)で示されるノルボルネン型モノマーであるか式(II)で示される他のオレフィンモノマーであるかに応じて、これらのモノマーはそれぞれ異なる形で無水マレイン酸と重合し得るので、得られるポリマーは、式(I)または(II)で示されるモノマーの1種のみが無水マレイン酸とのコポリマーに用いられる場合でも、また50:50のモル比であっても、交互である必要はないことを理解されたい。したがって、順序がランダムまたは交互であるモノマーを種々の比で含有するポリマーが形成され得る。本発明においてポリマー鎖中のモノマーの順序は特に重要ではなく、利用されるモノマーのタイプに応じてランダムであってもよく交互であってもよい。
【0033】
「誘電体」および「絶縁体」という用語は、本明細書では同義的に用いられると解される。したがって、絶縁体材料または絶縁体層への言及は、誘電体材料または誘電体層を包含し、その逆もまた同様である。
【0034】
「低K」という用語は、一般的には、熱形成された二酸化ケイ素の誘電率(3.9)よりも低い誘電率を意味し、「低K材料」に関連して用いられる場合、3.9未満の誘電率を有する材料を意味するものと理解される。
【0035】
「再配線層」(RDL)という用語は、望しくかつ信頼できる性質を有する電気信号引き回し(routing)用絶縁体材料を意味すると解される。RDLという用語はまた、緩衝コーティング層、たとえば、はんだボールと脆弱構造体との間の応力除去層や応力緩衝層などを記述するために同義的に用いられ得る。また、これらは一般に低誘電率を有する。
【0036】
「感光性」という用語は、本発明の実施形態に係るポリマー組成物などの材料または組成物の材料の特性であって、それ自体でパターン化された層または構造体に形成される特性を指す。言い換えると、「感光性層」は、その上にフォトレジスト層などの他の材料層を形成する必要なく、上記パターン化された層または構造体を形成する。さらに、そのような特性を有するポリマー組成物は、パターン形成スキームにおいてパターン化フィルム/層または構造体を形成するために利用されることが理解される。なお、そのようなスキームは、感光性材料または層の「画像露光」を包含する。このような画像露光は、上記層の選択された部分が化学線により露光され、選択されない部分は該化学線への露光から保護されることを意味するものと解される。さらに、本明細書における「感光性(photodefinable)」、「光現像性」、または「感光性(photosensitive)」は、同一の意味で同義的に本明細書にて用いられるものとする。
【0037】
「硬化」という用語は、組成物たとえば「硬化組成物」との関連で用いられて、該組成物に含まれる架橋可能な成分の少なくとも一部が少なくとも部分的に架橋されることを意味するものとする。本発明のいくつかの実施形態では、架橋は、ポリマーフィルムを現像液に不溶にするのに十分である。他のいくつかの実施形態では、ポリマーフィルムは、汎用の溶媒に対して不溶である。当業者であれば、架橋の存在および程度(架橋密度)を動的機械的熱分析(DMTA)などのさまざまな方法により決定可能であることがわかる。この方法により、コーティングまたはポリマーのフリーフィルムのガラス転移温度および架橋密度が決定される。硬化材料のこれらの物理的性質は、架橋ネットワークの構造に関連付けられる。より高い架橋密度値は、コーティングまたはフィルムの架橋の程度がより高いことを示唆する。
【0038】
<モノマー>
本発明に係るポリマー組成物の実施形態の一部となる種々のモノマーは、概して、当技術分野で公知である。一般に、本発明の実施形態に係るいくつかのポリマーは、広範にわたる「多環式」繰返し単位を含む。本明細書において定義されるところ、「多環式オレフィン」または「ポリシクロオレフィン」という用語は、同一の意味を有し、本発明に係るポリマーのいくつかの調製に使用されるモノマー化合物を表すために同義的に用いられる。そのような化合物またはモノマーの代表例は「ノルボルネン型」モノマーであり、本明細書では、通常、以下に示されるようなノルボルネン部分を少なくとも1つ含む付加重合可能なモノマー(またはこれにより得られる繰返し単位)として参照される。
【化2】
【0039】
本発明に係る実施形態に含まれる最も単純なノルボルネン型または多環式のオレフィンモノマーは、通常ノルボルネンと称される二環式モノマー、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンである。ただし、本明細書において、ノルボルネン型モノマーまたは繰返し単位という用語は、ノルボルネン自体のほか、任意の置換ノルボルネン、またはその置換または非置換の高級環式誘導体を意味するためにも用いられる。そのようなモノマーの代表例としては、ビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン、1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフタレン、1,4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−1,4−エポキシ−5,8−メタノナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、以下でさらに詳細に説明されるように、本発明に係るポリマーの形成に適切なノルボルネン型モノマーは、式(I)で表される。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、本明細書に開示されるポリマーはまた、式(II)により表されるオレフィンモノマーのいずれかに由来する繰返し単位を含む。その他に、本発明に係るポリマーはまた、式(III)により表される無水マレイン酸モノマーに由来する繰返し単位を含む。
【0041】
上述したように、本発明で利用されるモノマー化合物は、当業者に公知の任意の手法により合成可能である。具体的には、本明細書で用いられるモノマーの調製に使用される出発材料のいくつかは、公知であるか、またはそれら自体が市販されている。また、本明細書で利用されるモノマーや前駆体化合物のいくつかは、文献に報告され、さらに本明細書において説明されるとおり、同様の化合物の調製に用いられる方法により調製され得る。
【0042】
<ポリマー>
本発明を実施することにより、
式(IA)により表され、式(I)で示されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位
【化3】
(式中、
mは、整数0、1または2であり、
Xは、CH、CH−CH、O、またはNR(Rは直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルである)であり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C16)アルキル、ヒドロキシ(C〜C16)アルキル、パーフルオロ(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C12)ビシクロアルキル、(C〜C14)トリシクロアルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、パーフルオロ(C〜C10)アリール、パーフルオロ(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、(C〜C12)ビシクロアルコキシ、(C〜C14)トリシクロアルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリールオキシ、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ、(C〜C)アシルオキシ、オキシラニル(C〜C)アルキル、オキシラニル(CHO(CH−、ハロゲン、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
で示される基を表し、ここで、
aは、整数0、1、2、3または4であり、
bは、整数0、1、2、3または4であり、かつ
Rは、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
ならびに/あるいは
式(IIA)により表され、式(II)で示されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位
【化4】
(式中、
、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキル、または式(B):
−SiR (B)
( R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される)
で示される基から選択されるか、あるいはRまたはRのうち1つは、R10またはR11のうち1つおよびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)
ならびに
式(IIIA)または(IIIB)により表され、式(III)で示されるモノマーに由来する第3のタイプの繰返し単位(IIIA)または(IIIB)
【化5】
(式中、
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素または直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルまたはフッ素化もしくは過フッ素化(C〜C)アルキルを表し、
14は、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
を含むポリマーであって、
上述した基のそれぞれは、原子価により許容される場合、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)パーフルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、ポリマーが提供される。
【0043】
本発明のポリマーの実施形態は、上述した米国特許第8,715,900B2号明細書に開示されるポリマーよりも優れたいくつかの利点を提供することに留意されたい。かかる利点の1つとしては、特に、本発明に係るポリマーを含む感光性配合物の製造工程の削減が挙げられる。たとえば、これまでに開示されているアルコール開環無水マレイン酸コポリマーの感光性配合物を形成するためには、種々の工程を利用しなければならないこともある。これに対して、本発明に係るポリマーは、性質が改良されるほか、費用効率の高い、より少ない工程により形成される。本発明に係るポリマーの製造プロセスはまた、アルカリ金属などの任意の望ましくない不純物が混入するような工程も、酸性化や多数回の水洗を行う工程も回避することにより、有意なコスト削減を提供する。これらの工程は、ポリマー中の微量金属、酸および水のレベルを増加させるほか、各工程の煩雑さおよび潜在的な収率損失を増加させ得ることに留意されたい。また、本発明に係るポリマーの製造に用いられるモノマーは、一般に、式(I)または(II)で示されるかなり安価なモノマーに由来する。
【0044】
一般に、本発明に係るポリマーは、当技術分野で公知の任意の方法により調製することができる。たとえば、本発明に係るポリマーの非限定的な調製方法は、まず、式(I)で示される1種以上のモノマーと式(III)で示される所望の量の無水マレイン酸モノマーとを、一般的にはフリーラジカル重合条件下で、重合することを含む。この工程において、式(II)で示される1種以上のモノマーをも利用することができる。他の選択肢として、式(II)で示される1種以上のモノマーのみと、式(III)で示される所望の量の無水マレイン酸モノマーとに由来するポリマーをも調製することができる。式(IIIC)で示される無水マレイン酸繰返し単位は、適切な反応条件に付して部分開環または完全開環させることにより、本明細書に記載の式(IIIA)、(IIIB)、(IIID)、または(IIIE)で示される繰返し単位を形成することができる。以下、このようなポリマーを「ROMI」ポリマー(すなわち、アミン開環マレイミド繰返し単位含有ポリマー)という。この場合も、任意の重合方法を利用して本発明に係るポリマーを形成することができる。一般に、重合は、所望の溶媒を用いて溶液中でまたは塊状で行うことができ、いずれの場合にも好ましくは触媒または開始剤の存在下で行われる。式(III)で示されるモノマーと、式(I)で示されるモノマー、式(II)で示されるモノマー、または式(I)および(II)で示されるモノマーの組合せとの重合を引き起こす公知の任意の触媒系を利用できる。
【0045】
有利なことに、本発明に係るポリマーは、公知の任意のフリーラジカル重合プロセスにより調製可能であることが見いだされた。フリーラジカル重合プロセスでは、典型的には、モノマーは溶媒中で、昇温条件(約50℃〜約150℃)において、フリーラジカル開始剤の存在下で重合される。好適な開始剤としてアゾ化合物および過酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。アゾ化合物の非限定的な例としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、(E)−ジメチル2,2’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(2−メチルプロパノエート)(AMMP)、(E)−2,2’−(ジアゼン−1,2−ジイル)ビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)(ADMPN)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)(ABCN)、アゾビスイソカプロニトリル、およびアゾビスイソバレロニトリルが挙げられる。過酸化物の非限定的な例としては、過酸化水素、tert−ブチルヒドロパーオキシド、ジ−(ターシャリー)−ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、およびメチルエチルケトンパーオキシドが挙げられる。また、他のアゾ化合物および過酸化物を含めて、他の公知の開始剤のいずれをも、この重合プロセスにおいて使用可能である。
【0046】
上述したフリーラジカル重合反応に適切な重合溶媒としては、炭化水素、ハロアルカン、エステル、ケトン、および芳香族溶媒が挙げられる。炭化水素溶媒の非限定的な例としては、アルカンおよびシクロアルカン、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびシクロヘキサンが挙げられる。ハロアルカン溶媒の非限定的な例としては、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、エチルクロリド、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロペンタン、Freon(商標)112ハロカーボン溶媒が挙げられる。エステル溶媒の非限定的な例としては、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルエステル(PGMEA)など、および/またはそれらの混合物が挙げられる。ケトン溶媒の非限定的な例としては、アセトン、2−ブタノン(すなわち、メチルエチルケトン、MEK)、2−ヘプタノンなど、および/またはそれらの混合物が挙げられる。芳香族溶媒の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、およびo−ジクロロベンゼンが挙げられる。ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ラクトン、アミドなどの他の有機溶媒もまた有用である。上記で挙げた溶媒の1種以上の混合物を重合溶媒として利用することができる。いくつかの実施形態において利用される溶媒としては、シクロヘキサン、トルエン、メシチレン、ジクロロメタン、および1,2−ジクロロエタンが挙げられる。
【0047】
記載されるように、以上で得られるポリマーは、次いで、式(IIIC)で示される無水マレイン酸繰返し単位を式R14NH(式中、R14は本明細書に定義されるとおりである)で示されるアミンにより開環するのに適切な反応条件に付される。かかる開環を引き起こし得る公知の任意の方法を、本発明に係るこの方法に利用することができる。かかる開環反応の非限定的な例としては、ポリマーと所望の量のアミン(R14が水素である場合はアンモニア自体)とを所望の時間にわたり適切な反応温度で反応させることが挙げられる。アンモニアが意図された反応剤である場合、その等価物、たとえば酢酸アンモニウムなどの任意のアンモニウム塩も、また利用することができる。アミンの非限定的な例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどが挙げられる。典型的には、かかるアミノ化反応は、所望の量の無水マレイン酸単位をアミノ化して、式(IIIA)で示されるアミド酸、式(IIIB)で示されるイミド、または式(IIIE)で示されるアミド酸塩を形成するように、環境温度、環境より低い温度、または環境より高い温度で、数分間〜数時間にわたり行うことができる。
【0048】
上述した開環反応は、当技術分野で公知の任意の方法を用いて行うことができる。かかる反応は、典型的には、適切な溶媒または混合溶媒中で行われる。溶媒の非限定的な例としては、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、エチルアセテート、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、ヘキサン、水、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、γ−ブチロラクトン(GBL)、およびそれらの任意の組合せによる混合物が挙げられる。反応は、適切な温度で行うことができ、そのような温度には環境温度、環境より低い温度、および環境より高い温度が含まれる。典型的には、利用される反応温度は約20〜120℃の範囲内であり、ある実施形態では、温度は25〜90℃の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では40〜70℃の範囲内であり得る。反応時間は、ポリマーおよび反応させるアミンのタイプに応じて異なり得るが、一般に約1〜24時間の範囲内であり得る。
【0049】
本明細書でさらに説明されるように、式(IIIC)で示される無水マレイン酸単位の開環による、式(IIIA)、(IIIB)、(IIID)または(IIIE)で示される様々な種の形成はまた、本発明に係る組成物/配合物中のポリマーの形成時または該ポリマーの使用時に制御することができることにさらに留意されたい。すなわち、本発明に係る組成物は、所望の溶解速度(DR)調整工程を達成してフィルムの露光領域と未露光領域とのあいだで所望の溶解速度のコントラストが得られるように調製することができる。この態様は、以下の詳細な説明および特に本明細書に提供される特定の実施例から明らかになる。
【0050】
本発明に従って形成されるROMIポリマーは、上述のような試薬との接触により、無水マレイン酸繰返し単位の完全開環または部分開環を起こして式(IIIA)、(IIIB)、(IIIE)で示される繰返し単位を形成する。したがって、かかるROMIポリマーは、式(IA)、(IIA)、および(IIIA)、(IIIB)、(IIIE)で示される繰返し単位をランダムな配列で有し得る。スキームIは、本発明に係る種々のROMIポリマーの形成に利用される反応条件およびポリマーのタイプに応じて、式(IIIC)で示される無水物繰返し単位から種々の他の形態への開環経路を例示している。
【0051】
【化6】
【0052】
スキームIにおいて、式(IIIA)〜(IIIE)中のR12、R13、およびR14は、本明細書に定義されるとおりである。スキームIにおいて、式(I)および/または(II)で示される種々のモノマーと式(III)で示される無水マレイン酸との重合により形成されるポリマー、すなわち、式(IIIC)で示される繰返し単位を含有するポリマーは、式R14NH(式中、R14は本明細書に定義されるとおりである)で示される適切なアミンで処理される。以上に述べたように、かかる反応は、一般に、環境温度で行うことにより、または適切な反応剤をある所望の反応温度に付すことにより、式(IIIC)で示される繰返し単位の少なくとも一部が式(IIIA)で示される繰返し単位に変換されたポリマーを形成する。式(IIIA)で示される繰返し単位を含むポリマーは、式(IIIB)または(IIIE)で示される繰返し単位を含むポリマーにさらに変換される。また、かかる条件下においては、このような繰返し単位の一部はまた、式(IIID)で示される繰返し単位に変換されることも考えられる。かかる変換はすべて、当技術分野で公知の任意の技術、たとえば、赤外分光法などにより、容易にモニターすることができる。しかし、他の適切な任意の技術を、式(IIIA)、(IIIB)、(IIID)、または(IIIE)で示される種々の異なるタイプの繰返し単位の生成速度をモニターするために用いることができる。さらに、利用される反応条件、すなわち、反応温度や反応時間に応じて、最終ポリマー中の所望の繰返し単位を種々の比に制御することができることに留意されたい。
【0053】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIC)
【化7】
(式中、R12およびR13は、本明細書に定義されるとおりである)
により表される第3のタイプの繰返し単位を含む。
【0054】
いくつかの他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIID)
【化8】
(式中、R12およびR13は、本明細書に定義されるとおりである)
により表される第3のタイプの繰返し単位を含む。
【0055】
さらにいくつかの他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIE)
【化9】
(式中、R12、R13、およびR14は、本明細書に定義されるとおりである)
により表される第3のタイプの繰返し単位を含む。
【0056】
本発明の他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(I)で示される各モノマーに由来する式(IA)で示される1つ以上の別個のタイプの繰返し単位を含む。式中、X=CHであり、m=0であり、R、R、RおよびRは、独立して、水素、ヘキシル、デシル、オキシラニル−CHOCH−、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
(aは1または2であり、bは2または3であり、かつRはメチル、エチル、n−プロピルまたはn−ブチルである)
で示される基を表す。
【0057】
この場合も、以上に述べたように、式(II)で示される種々のオレフィンモノマーを、本発明に係るポリマーの調製に利用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(II)で示される各モノマーに由来する1つ以上の別個のタイプの繰返し単位を含む。式中、R、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、フェニル、トリメチルシリル、およびトリエチルシリルから選択されるか、またはRおよびR10は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、またはエチルから選択され、かつRは、R11およびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、またはシクロオクチル環を形成する。かかる環状オレフィンの代表的な例としては、なんら限定されないが、シクロペンテン、シクロヘキセン、1−メチルシクロヘキス−1−エン、3−メチルシクロヘキス−1−エン、シクロヘプテン、シクロオクテン、1−エチルシクロヘプト−1−エン、1−ブチルシクロオクト−4−エンなどが挙げられる。
【0058】
式(III)で示される種々の無水マレイン酸型モノマー(無水マレイン酸自体を含む)を、本発明に係るポリマーの製造に利用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、(IIID)および(IIIE)で示される1つ以上の別個のタイプの繰返し単位を含む。式中、R12およびR13は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチルまたはエチルから選択され、かつR14は(C〜C18)アルキルである。本発明に係るROMIポリマーの製造に使用することができる例示的なアミンとしては、なんら限定されないが、n−ブチルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどが挙げられる。
【0059】
記載されるように、式(I)で示されるモノマーの1種のみを式(IA)で示される繰返し単位を含有するポリマーの製造に利用する必要はない。実際、式(I)で示される1種以上のモノマーを利用することができる。このため、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(I)で示される各モノマーに由来し式(IA)で示される1種以上の第1のタイプの繰返し単位を含む。したがって、いくつかの実施形態では式(IA)で示される1種のみの繰返し単位が存在し、いくつかの他の実施形態では式(IA)で示される少なくとも2種の別個の繰返し単位が存在し、いくつかの他の実施形態では式(IA)で示される3種以上の別個のタイプの繰返し単位が存在する。いずれの場合も、かかる繰返し単位は、式(I)で示される対応するモノマーに由来する。
【0060】
さらに、式(II)で示されるモノマーの2種以上を利用して式(IIA)で示される対応する繰返し単位を含有するポリマーを製造することができることに同様に留意されたい。この際、式(II)で示される1種以上のモノマーを利用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(II)で示される各モノマーに由来し式(IIA)で示される1種以上の第2のタイプの繰返し単位を含む。したがって、いくつかの実施形態では式(IIA)で示される1種のみの繰返し単位が存在し、いくつかの他の実施形態では式(IIA)で示される少なくとも2種の別個の繰返し単位が存在し、いくつかの他の実施形態では式(IIA)で示される3種以上の別個の繰返し単位が存在する。いずれの場合も、かかる繰返し単位は、式(II)で示される対応するモノマーに由来する。
【0061】
さらに、以上に述べたように、異なるモノマーを種々の比で利用して本発明に係るポリマーを製造することができる。すでに以上で述べたように、利用されるモノマーの性質およびそれらのそれぞれの量に応じて、得られるポリマーは、交互のモノマー繰返し単位を有し得るかまたはランダムな配列であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、0〜75モル%の第1のタイプの繰返し単位、0〜90モル%の第2のタイプの繰返し単位、および10〜60モル%の第3のタイプの繰返し単位を含む。
【0062】
すなわち、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、(IIID)または(IIIE)で示される1種以上の繰返し単位と組み合わせて、式(IA)で示される1種以上の繰返し単位のみを含有し得る。かかる実施形態では、式(IA)で示される繰返し単位のモル量は10モル%〜80モル%であり得、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の合計モル%は20〜90モル%であり得るが、本発明に係るポリマーをもたらす任意の他の適切なモル%の各繰返し単位もまた、本発明の一部となる。いくつかの実施形態では、式(IA)で示される繰返し単位のモル%と、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の合計モル%は、それぞれ50モル%である。これらの実施形態のいくつかでは、式(IIIE)で示される繰返し単位の個別のモル%は、(IIIA)〜(IIIE)の全モル%を基準にして、25〜30モル%であり得る。式(IIID)で示される繰返し単位のモル%は、5モル%〜10モル%の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では5モル%未満である。同様に、式(IIIE)で示される繰返し単位のモル%は、5モル%〜10モル%の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では5モル%未満である。記載されるように、この場合も、(IIIA)〜(IIIE)で示される各繰返し単位のモル%は、当技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、いくつかある技術の中でも特に赤外(IR)分光技術または核磁気共鳴(NMR)分光技術により決定することができる。
【0063】
いくつかの他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、(IIID)または(IIIE)で示される1種以上の繰返し単位と組み合わせて、式(IIA)で示される1種以上の繰返し単位のみを含有し得る。かかる実施形態では、式(IIA)で示される繰返し単位のモル量は20モル%〜80モル%であり得、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の合計モル%は20〜80モル%であり得るが、本発明に係るポリマーをもたらす任意の他の適切なモル%の各繰返し単位もまた、本発明の一部となる。これらの実施形態のいくつかでは、式(IIA)で示される繰返し単位のモル%と、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の合計モル%は、それぞれ50モル%である。いくつかの実施形態では、式(IIIE)で示される繰返し単位の個別のモル%は、(IIIA)〜(IIIE)のモル%を基準にして、25〜30のモル%であり得る。式(IIID)で示される繰返し単位のモル%は、5モル%〜10モル%の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では5モル%未満である。同様に、式(IIIE)で示される繰返し単位のモル%は、5モル%〜10モル%の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では、5モル%未満である。記載されるように、この場合も、(IIIA)〜(IIIE)で示される各繰返し単位のモル%は、当技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、赤外分光技術により決定することができる。
【0064】
最後に、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、(IIID)または(IIIE)で示される1種以上の繰返し単位と組み合わせて、式(IA)で示される繰返し単位および式(IIA)で示される繰返し単位の両方を含有する。かかる実施形態では、式(IA)で示される繰返し単位のモル量は5モル%〜40モル%であり得、式(IIA)で示される繰返し単位のモル量は5モル%〜40モル%であり得、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の合計モル%は20〜90モル%であり得るが、本発明に係るポリマーをもたらす任意の他の適切なモル%の各繰返し単位もまた、本発明の一部となる。いくつかの実施形態では、式(IA)および(IIA)で示される繰返し単位の合計モル%と、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の合計モル%は、それぞれ50モル%である。いくつかの実施形態では、式(IIIE)で示される繰返し単位の個別のモル%は、(IIIA)〜(IIIE)の全モル%を基準にして、25〜30のモル%であり得る。式(IIID)で示される繰返し単位のモル%は、5モル%〜10モル%の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では5モル%未満である。同様に、式(IIIE)で示される繰返し単位のモル%は、5モル%〜10モル%の範囲内であり得、いくつかの他の実施形態では5モル%未満である。記載されるように、この場合も、(IIIA)〜(IIIE)で示される各繰返し単位のモル%は、当技術分野で公知の任意の方法により、たとえば、赤外分光技術により決定することができる。
【0065】
式(I)で示される任意のモノマーを利用して本発明に係るポリマーを形成することができる。本発明に係るポリマー中の第1のタイプの繰返し単位の形成に使用できるモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられ得る。
【化10】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)、
【化11】
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(MeNB)、
【化12】
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EtNB)、
【化13】
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(HexNB)、
【化14】
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(OctNB)、
【化15】
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(DecNB)、
【化16】
5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NBTON)、
【化17】
1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2,5,8,11−テトラオキサドデカン(NBTODD)、
【化18】
5−(2−(2−エトキシエトキシ)エチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【化19】
5−(2−(2−(2−プロポキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
【化20】
1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン(MeDMMINB)、
【化21】
1−(3−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)プロピル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン(PrDMMINB)、
【化22】
1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン(BuDMMINB)、
【化23】
1−(6−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ヘキシル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン(HexDMMINB)、
【化24】
2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン(MGENB)、
【化25】
2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)オキシラン、
【化26】
2−(7−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ヘプチル)オキシラン、および
【化27】
5−フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(PENB)。
【0066】
式(II)で示される任意のモノマーを利用して本発明に係るポリマーを形成することができる。本発明に係るポリマー中の第2のタイプの繰返し単位の形成に使用できるモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられ得る。
2−メチルプロプ−1−エン、
2−メチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−2−エン、
トリメチル(ビニル)シラン、およびスチレン。
【0067】
次に、本発明に係るポリマーを形成するための第3のタイプの繰返し単位に関して、式(III)で示される任意の無水マレイン酸誘導体(無水マレイン酸自体を含む)をモノマーとして使用することができると考えられる。かかるタイプのモノマーの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【化28】
無水マレイン酸、
【化29】
2−メチル−無水マレイン酸(3−メチルフラン−2,5−ジオン)、
【化30】
2,3−ジメチル−無水マレイン酸(3,4−ジメチルフラン−2,5−ジオン)、
【化31】
2−エチル−無水マレイン酸(3−エチルフラン−2,5−ジオン)、
【化32】
2,3−ジエチル−無水マレイン酸(3,4−ジエチルフラン−2,5−ジオン)、
【化33】
2−トリフルオロメチル−無水マレイン酸(3−トリフルオロメチルフラン−2,5−ジオン)、
【化34】
2,3−ビス(トリフルオロメチル)−無水マレイン酸(3,4−ビス(トリフルオロメチル)フラン−2,5−ジオン)、および
【化35】
2−メチル−3−トリフルオロメチル−無水マレイン酸(3−メチル−4−(トリフルオロメチル)フラン−2,5−ジオン)。
【0068】
本発明の実施形態の他の態様によれば、いずれも式(III)で示される無水マレイン酸型モノマーに由来する式(IIIA)〜(IIIE)で示される第3のタイプの繰返し単位の合計量は、約1モル%〜約100モル%程度である。いくつかの他の実施形態では約20モル%〜約80モル%であり、いくつかの他の実施形態では約40モル%〜約60モル%であり、いくつかの他の実施形態では約45モル%〜約55モル%である。さらに、以上に述べたように、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位の具体的な量は、種々の因子に依存し、スキーム1にまとめられているようにポリマーが付される反応条件に依存する。
【0069】
有利なことに、以下でさらに詳述されるように、式(IIIA)〜(IIIE)で示される繰返し単位のあるモル比が、本発明に係る光パターン化フィルム層を形成するために作製される組成物の性質に影響を及ぼし得ることが見いだされた。したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(III)で示されるモノマーに由来する繰返し単位の全モル%(すなわち、(IIIA)〜(IIIE)の全モル%)を基準にして、式(IIIA)で示される繰返し単位を少なくとも約1モル%含有する。式(IIIA)で示される繰返し単位のモル%は、いくつかの他の実施形態では少なくとも約3%であり、いくつかの他の実施形態では少なくとも約5%である。いくつかの他の実施形態では、式(IIIA)で示される繰返し単位のモル%は、約1〜60%またはそれ以上、5〜50%、10〜40%の範囲内であり得る。
【0070】
同様に、いくつかの他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(III)で示されるモノマーに由来する繰返し単位の全モル%(すなわち、(IIIA)〜(IIIE)の全モル%)を基準にして、式(IIIB)で示される繰返し単位を少なくとも約1モル%含有する。式(IIIB)で示される繰返し単位のモル%は、いくつかの他の実施形態では少なくとも約2%であり、いくつかの他の実施形態では少なくとも約5%である。いくつかの他の実施形態では、式(IIIB)で示される繰返し単位のモル%は、約1〜30%またはそれ以上、2〜25%、5〜20%の範囲内であり得る。
【0071】
いくつかの他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、式(III)で示されるモノマーに由来する繰返し単位の全モル%(すなわち、(IIIA)〜(IIIE)の全モル%)を基準にして、式(IIIC)で示される繰返し単位を少なくとも約1モル%含有する。式(IIIC)で示される繰返し単位のモル%は、いくつかの他の実施形態では少なくとも約2%であり、いくつかの他の実施形態では少なくとも約5%である。いくつかの他の実施形態では、式(IIIB)で示される繰返し単位のモル%は、約1〜30%またはそれ以上、2〜25%、5〜20%の範囲内であり得る。
【0072】
最後に、いくつかの他の実施形態において、式(IIID)および(IIIE)で示される繰返し単位は、任意の所望の量で存在することができる。式(IIID)および(IIIE)で示される繰返し単位の存在量は、この場合も(IIIA)〜(IIIE)の全モル%を基準にして、それぞれ、一般に約0%〜20%の範囲内であり得る。
【0073】
本発明に従って形成されるROMIポリマーは、一般に、少なくとも約2,000の重量平均分子量(M)を呈する。他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、少なくとも約6,000のMを有する。さらに他の実施形態では、本発明に係るポリマーは、少なくとも約10,000のMを有する。いくつかの他の実施態様において、本発明に係るポリマーは、少なくとも約25,000のMを有する。本ポリマーの重量平均分子量(M)は、公知の任意の技術により、たとえば、ポリスチレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)などにより、決定することができる。
【0074】
<ポリマー組成物/用途>
本発明の他の態様では、
式(IA)により表され、式(I)で示されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位
【化36】
(式中、
mは、整数0、1または2であり、
Xは、CH、CH−CH、O、またはNR(Rは直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルである)であり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C16)アルキル、ヒドロキシ(C〜C16)アルキル、パーフルオロ(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C12)ビシクロアルキル、(C〜C14)トリシクロアルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、パーフルオロ(C〜C10)アリール、パーフルオロ(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、(C〜C12)ビシクロアルコキシ、(C〜C14)トリシクロアルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリールオキシ、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ、(C〜C)アシルオキシ、オキシラニル(C〜C)アルキル、オキシラニル(CHO(CH−、ハロゲン、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
で示される基を表し、ここで、
aは、整数0、1、2、3または4であり、
bは、整数0、1、2、3または4であり、かつ
Rは、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
ならびに/あるいは
式(IIA)により表され、式(II)で示されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位
【化37】
(式中、
、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキル、または式(B):
−SiR (B)
( R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される)
で示される基から選択されるか、あるいはRまたはRのうち1つは、R10またはR11のうち1つおよびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)
ならびに
式(IIIA)または(IIIB)により表され、式(III)で示されるモノマーに由来する第3のタイプの繰返し単位(IIIA)または(IIIB)
【化38】
(式中、
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素または直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルまたはフッ素化もしくは過フッ素化(C〜C)アルキルを表し、
14は、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
を含有するポリマーであって、
上述した基のそれぞれは、原子価により許容される場合、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)パーフルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、ポリマーと、
ジアゾ官能基部分(functional moiety)を含有する光活性化合物と、
担体溶媒と、
を含む光現像性組成物もまた提供される。
【0075】
本明細書に記載のポリマーはすべて、本発明に係る光現像性または感光性の組成物に使用することができる。本発明によるいくつかの実施形態では、感光性ポリマー組成物は、以上および以下に記載されるように、式(IA)で示される1種以上のノルボルネン型繰返し単位と、本明細書に記載の種々のオレフィンモノマーに由来する式(IIA)で示される1種以上の他の繰返し単位と、無水マレイン酸型モノマーに由来する式(IIIA)、(IIIB)、(IIIC)、(IIID)または(IIIE)で示される1種以上の繰返し単位とを含むコポリマー、ターポリマー、またはテトラポリマーを含有する。かかるポリマー組成物は、光活性化合物(PAC)を含み、任意成分としてエポキシ樹脂および溶媒をさらに含有し得る。さらに、そのような組成物は、マイクロエレクトロニクスデバイスおよび光電子デバイスの製造において自己現像層として有用なフィルムを形成することができる。すなわち、化学線で画像露光された場合、かかる層(またはフィルム)は、露光に用いた画像を反映したパターン化フィルムを形成するように現像することができる。
【0076】
このようにして、マイクロエレクトロニクスデバイスおよび/または光電子デバイスの一部である、または一部となる構造を提供することができる。たとえば、かかるフィルムは、液晶ディスプレイまたはマイクロエレクトロニクスデバイスにおいて、レベル間誘電体を含めて、低K誘電体層として有用であり得る。さらに、本明細書で詳述された実施形態は、厚さ3ミクロン(μm)以上のフィルムであっておよびかかるフィルムにおいて1:2を超えるアスペクト比のライン/トレンチ分離解像度を示す画像をルーチン的に提供することができる。したがって、本発明のポリマーの実施形態から形成されるフィルム、層、および構造体はさらに、上述した用途のなかでも特に、再配線層、応力緩衝層、レベリング層または平坦化層、マイクロエレクトロニクスデバイスおよび光電子デバイスの両方におけるα粒子障壁、ならびにそれらから形成されるアセンブリのほか、チップスタックの形成および画像センシングアレイ上への透明カバーの固着のための接着結合に有用である。なお、これらの例は、かかる自己現像フィルムの多くの用途のごく一部にすぎず、上記フィルムまたはその形成に用いられるポリマーおよびポリマー組成物の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0077】
有利なことに、このように式(IA)で示される1種以上のノルボルネン型繰返し単位および/または式(IIA)で示される1種以上のオレフィン性繰返し単位ならびに式(IIIA)〜(IIIE)で示される1種以上の無水マレイン酸由来繰返し単位を含有するポリマー組成物が、いくつかの望ましい性質を提供することが見いだされた。たとえば、式(IA)で示されるマレイミド型ペンダント基含有繰返し単位は、存在する場合、本発明に係るフィルムのポジ型およびネガ型の両方の画像露光パターニングにおける特有の利点を提供し得る。ネガ型光パターニングにおいては、ポリマー組成物は、多官能エポキシ架橋剤などの他の架橋剤および/または光活性化合物をなんら必要としなくてもよい。すなわち、「マレイミド」官能基の光硬化能によって「ネガ型」光現像を行うことができる。
【0078】
本発明に係る組成物が「ネガ型」配合物であることが意図される場合、ポリマーは、配合物中の他の成分との架橋に利用し得るエポキシ基、ヒドロキシ基および/または類似の官能基を、ペンダント基として追加的に含有し得ることに留意されたい。たとえば、DMMI、オキシラン、ヒドロキシなどの官能基を有する式(I)で示されるモノマーは、いずれも、本発明に係るネガ型配合物の形成に役立つ。典型的には、かかるネガ型配合物はまた、適切な放射線で露光した際にポリマー組成物の架橋を起こしてポリマーフィルムの露光領域を現像溶媒に不溶にする光酸発生剤(PAG)をも含有する。
【0079】
本発明においては、上述した結果をもたらす当業者に公知の任意のPAGを利用することができる。概して、本発明に利用し得るPAGは、求核ハロゲニド(たとえば、ジフェニルヨードニウム塩、ジフェニルフルオロニウム塩)および金属ハライド錯体アニオン(たとえば、トリフェニルスルホニウム塩)である。PAGの非限定的な例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート−4−メチルフェニル[4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウム(DPI−TPFPB)、トリス(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムテトラキス−(ペンタフルオロフェニル)ボレート(TTBPS−TPFPB)、トリス(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(TTBPS−HFP)、トリフェニルスルホニウムトリフレート(TPS−Tf);トリアジン(TAZ−101);トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(TPS−103);RHODOSIL(商標)光開始剤2074(FABA);トリフェニルスルホニウムビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミド(TPS−N1);ジ−(p−t−ブチル)フェニルヨードニウムビス(パーフルオロメタンスルホニル)イミド(DTBPI−N1);トリス(パーフルオロメタンスルホニル)メチド(TPS−C1);ジ−(p−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリス(パーフルオロメタンスルホニル)メチド(DTBPI−C1);ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロスチベート、ビス(4−(tert−ブチル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(tert−ブチル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロスチベート(DTBPI−Tf)、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホネート;ビス(4−(tert−ブチル)フェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−(tert−ブチル)フェニル)ヨードニウム1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブタン−1−スルホネート;ならびにそれらの組合せが挙げられる。
【0080】
有利なことに、以上に述べたように、本発明に係る組成物はまた、適切な「光活性化合物」(PAC)を用いて異なる配合とすることにより、「ポジ型」光現像にも有用である。これにより、マレイミド官能基の光硬化性は、存在する場合、弱められる。すなわち、DMMIペンダント基などのマレイミド型官能基がポリマー中に存在する場合、DMMI官能基が有効でない放射線波長において活性なPACを採用することができる。このことはまた、その露光波長および/または異なる露光量においてはPACのみが活性であるような、異なる化学線源を利用することによっても達成することができる。
【0081】
また、本発明に係るポリマー組成物は、費用効率がよいことに加えて、いくつかの利点を提供することも見いだされた。かかる追加の利点の非限定的な例としては、たとえば、本発明に係る組成物が、適切な放射線で露光して現像した時に望ましい溶解速度(DR)を提供することが挙げられる。本明細書において、「DR」とは、適切な現像液に浸漬または曝露されたときのフィルム厚さの損失速度を意味する。したがって、たとえば、100nm/秒の溶解速度は、1秒間にフィルム厚さの100nmが現像液中に溶解されることを意味する。現像液は、溶媒系または水系であり得る。有利なことに、本発明に係る組成物は、様々な水性現像液、たとえば、特に水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)などを用いて現像できることが見いだされた。一般に、本発明に係る組成物はまた、望ましい暗領域損失(DFL)特性を示す。本明細書において、DFLとは、適切な放射線への曝露による「画像」露光および現像後の、フィルムの未露光領域におけるフィルム厚さの損失を意味する。本発明に係る組成物は非常に低いDFLを示すことが見いだされた。いくつかの実施形態では、本発明に係る組成物は、約2%〜約20%のDFLを呈する。いくつかの他の実施形態では、DFLは約5%未満である。このことは、未露光フィルム領域におけるフィルム厚さの損失が5%未満であることを意味する。そのほかに、本発明に係る組成物によると、より高い解像度の画像が得られることも見いだされた。いくつかの実施形態では、画像の解像度は5μm程度の低さであり、いくつかの他の実施形態では、画像の解像度は約10μmである。特に、本発明に係る組成物は、適切な放射線および現像液への曝露後に容易に硬化可能であることも観測された。その結果、得られる熱硬化フィルムは、ある所望の性質、なかでもたとえば、より低い誘電率を示す。
【0082】
有利なことに、本発明に係るポリマーは、PACと適切に組み合わせて使用されて、優れた溶解速度コントラスト(DRコントラスト)を呈することも見いだされた。すなわち、露光領域の溶解速度は、利用されるポリマーのタイプに応じて、未露光領域とは顕著に異なるので、高いDRコントラストを提供する。高いDRコントラストは、種々の利点のなかでも、高分解能の画像が得られる点で特に望ましい。したがって、本発明のいくつかの実施形態では、高い溶解速度コントラストを得るための組成物が提供される。いくつかの他の実施形態では、低いDFLを有する画像の形成に有用な組成物の製造方法も提供される。
【0083】
無水マレイン酸繰返し単位の開環に使用されるアミンのタイプは、様々なDRの性質を呈する傾向があることも見いだされた。一般に、利用されるアルキル鎖が長いほど、得られるポリマーは、低いDR、つまり良好なDRコントラストを呈することが見いだされた。したがって、いくつかの実施形態では、R14は、8より多い炭素原子を有するアルキル基であり得、たとえば、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキルであり得る。いくつかの他の実施形態では、R14は、12より多い炭素原子を有するアルキル基であり得、たとえば、直鎖状または分岐状の(C12〜C20)アルキルであり得る。さらにいくつかの他の実施形態では、R14は、16より多い炭素原子を有するアルキル基であり得、たとえば、直鎖状または分岐状の(C16〜C20)アルキルであり得る。
【0084】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーは、本明細書に記載の本発明に係る組成物に使用されて、少なくとも25nm/秒のDRを示す。いくつかの他の実施形態では、本発明に係る組成物に含まれるポリマーは、約25nm/秒〜300nm/秒の範囲内のDRを示す。本明細書に記載されるように、組成物に含まれるポリマーの望ましいDRは、利用されるポリマーのタイプおよびその溶解性に依存する。すなわち、疎水性モノマーを含有するポリマーが利用される場合、それから形成される組成物のDRは、より低いDR、たとえば、約50nm/秒のDRであり得る。一方、親水性官能基を有するポリマーから形成される組成物は、約200nm/秒の高いDRを示し得る。したがって、それらから形成されるポリマーおよび組成物はすべて、本発明の範囲内にある。
【0085】
そのほかに、本発明に係る組成物から形成されるフィルムは、溶媒に曝露した際に様々な性質を示すことも観測された。たとえば、一般に、フィルムの膨潤は、フィルムのアルキル鎖上の炭素原子数を増加させることにより抑制できることが観測された。すなわち、高級アルキル鎖ほど、フィルムの膨潤は少ない。
【0086】
さらにまた、式(I)で示される1種以上のモノマー、式(II)で示される1種以上のモノマー、および式(III)で示される1種以上のモノマーを適切に利用して、無水マレイン酸繰返し単位の適切な開環および/または変換を行うと、所望の性質を有するフィルムが形成されるように配合し得るポリマーを形成できることも見いだされた。たとえば、利用されるモノマーの比および式(I)、(II)、または(III)で示されるそれぞれの化学構造を適切に調整することにより、非常に低い誘電率を有するポリマーを調製できることが見いだされた。また、PACや架橋剤などの種々の他の添加剤を排除および/または低減することができるので、配合物を単純化し得るだけでなく、顕著な性質上の利点およびコストの節約も提供される。最も注目すべき利点は、架橋剤もしくは光増感剤を用いてまたは用いずに、本発明に係る組成物を光硬化可能なポジ型組成物の形態に配合できることである。同様に、本発明に係る組成物は、エポキシ架橋剤を用いてまたは用いずに熱硬化させることができるので、より低誘電率の光硬化および/または熱硬化フィルムが提供される。
【0087】
これらの感光性組成物において適切に利用できる光活性化合物(PAC)の非限定的な例としては、光活性基、たとえば、式(IV)で示される1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル部分、式(V)で示される1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル部分、式(VI)で示される1,2−キノンジアジド−4−スルホニル部分などのジアゾ官能基部分を含むものが挙げられる。
【化39】
【0088】
さらに、上述したジアゾ官能基部分を含む任意のPACを本発明に使用できることに留意されたい。PACの非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0089】
【化40-1】
【化40-2】
【化40-3】
【化40-4】
ここで、少なくとも1つのDは、式(IV)、(V)、または(VI)で示されるジアゾ官能基部分であり、残りのDは水素である。すなわち、Dの少なくとも1つは、式(IV)、(V)、または(VI)で示されるジアゾ官能基部分である。ただし、いくつかのPACでは、市販のPACを含めて、Dの一部分のみが水素で置き換えられていることに留意されたい。つまり、あるPACの有するDが1つのみであっても、そのようなPACにおけるDの一部分のみがジアゾ官能基部分で置き換えられている(たとえば、Dの50%のみがジアゾ官能基部分であるなどのように)。同様に、PACが2つ以上のDを有する場合、Dの1つまたはそれ以上の全部がジアゾ官能基で置き換えられている必要はない。たとえば、以下でさらに説明されるように、市販のPACのいくつかは、かかるジアゾ官能基部分の1つ以上で部分置換されている。その他、種々の有用な光活性化合物が米国特許第7,524,594B2号明細書の第14〜20欄に例示されており、その関連部分は参照により本明細書に援用されている。
【0090】
一般に、式(IV)、(V)、および/または(VI)で示されるジアゾ官能基は、対応するスルホニルクロリド(または他の反応性部分)とフェノール化合物とのエステル化物として、たとえば構造式(VIIa)〜(VIIag)として本明細書にまとめて表される例示的な化合物の1つ以上として感光性組成物中に含有される。本明細書によると、さらに、対応するスルホニルクロリドとアミン(たとえばフェニルアミンおよび/または様々な他のアミン)との反応により形成されるスルホンアミド類似体が例示される。たとえば、構造式(VIIh)および(VIIi)を参照されたい。本発明に係る感光性樹脂組成物の形成にあたっては、かかるエステル化物(またはアミド化物)の任意の1つまたは任意の2つ以上の混合物が樹脂と配合される。式(VII)中のDは、構造(IV)、(V)、(VI)のいずれかを表し得る。かかる光活性化合物(PAC)は、適切な波長、たとえば、254、365、405、436nmなどの波長の化学線(または電磁線)に曝露されることで光転位を起こすことが知られている。使用するPACの性質に応じて、適切な光源を採用することによって照射する線の波長を変更することができる。したがって、上記感光性組成物のフィルムまたは層の一部分を適切な電磁線または化学線で露光すると、かかるジアゾ化物は転位を起こして最終的にカルボン酸を発生し、これにより任意の未露光部分と比較して上記露光部分の水性アルカリ溶液への溶解性を向上させる。一般に、このような感光性材料は、本明細書に記載のポリマーまたは樹脂100質量部に対して1〜50部の量(pphr)で組成物中に組み込まれる。いくつかの他の実施形態では、上記量は、5〜30pphrの範囲内であり得る。さらに他の実施形態では、上記量は、10〜20pphrの範囲内であり得る。さらに、感光性材料と樹脂との具体的な比は、未露光部分に対する露光部分の溶解速度や、所望の溶解速度差を達成するために要求される照射量に応じることに留意されたい。すなわち、利用されるポリマーのタイプおよびPACのタイプに応じて、利用される照射線量および照射周波数において最適な溶解速度をもたらすように感光性組成物を調製することができ、それにより、優れた化学的、機械的、電気的および光電子的な性質を示す驚くほど高解像度の光パターンがフィルム上に実現される。
【0091】
本明細書に挙げられたPACのいくつかは市販されている。たとえば、式(VIIc)で示されるPAC−5570(St. Jean Photochemicals Inc., Quebec, Canada)、式(VIId)で示されるSCL6(Secant Chemicals Inc., Winchendon, MA, USA)、式(VIIo)で示されるTris−P 3M6C−2−201(本明細書ではTrisPとしても参照される)、式(VIIa)でまとめて示されるTS−200、TS−250、およびTS−300、ならびに式(VIIe)で示される4NT−300(以上、日本国千葉県の東洋合成工業株式会社製)。なお、タイプTS−200、TS−250、およびTS−300のPACでは、Dの置換度もまた、製品によって異なる。たとえば、TS−200ではDの67%が置換され、TS−250ではDの83%が置換され、かつTS−300ではDの100%が置換され、非置換部分は水素である。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態では、以下のPACが使用される。
【化41】
以上に述べたように、式中、少なくとも1つのDまたはその一部は式(IV)、(V)または(VI)で示されるジアゾ官能基部分であり、残りのDは水素である。かかる実施形態のいくつかでは、Dの少なくとも一部は式(IV)または(V)で示されるジアゾ官能基部分であり、残りのDは水素である。
【0093】
他の実施形態では、使用されるPACは、式(VIIp)で示される化合物である。
【化42】
式中、nは、0、1、2または3であり得る。いくつかの実施形態では、使用されるPACは、PA−28と称される、式(VIIp)で示される化合物である。ここで、nは2.8である。
【0094】
本明細書に記載のポリマーはまた、「ネガ型」組成物の形成にも適切であり得ることに留意されたい。したがって、本明細書に記載されるPACのような光活性化合物のポリマー組成物への配合量は、使用されるポリマーのタイプおよび想定される露光のタイプ、すなわち、「ネガ型」の組成物であるか「ポジ型」の組成物であるかに依存する。すでに以上で述べたように、PAGの量は様々であり得る。一般に、「ネガ型」組成物ではポリマーの約0.1〜20重量部の範囲内、典型的には約0.5〜約10重量部、いくつかの実施形態では約1〜5重量部であり得る。ただし、他の有利な量のかかる材料もまた適切であり、本発明の範囲内にある。一般に、「ネガ型」組成物では、PAGはより少量で使用され、また任意成分であり得る。すなわち、組成物に使用されるポリマーのタイプに応じて、該組成物において追加のPAGをなんら使用する必要がないこともあり得る。しかし、「ポジ型」組成物では、PACは、以上に述べたように常に使用され、その量は、ポリマーの約1〜50pphrの範囲内、典型的には約5〜約30pphrであり得る。本明細書において、「ポジ型」組成物とは、「画像」露光後、現像プロセスによりフィルムの露光部分のみが除去されてマスキング層のポジ画像が残存することを意味する。「ネガ型」組成物では、かかる現像プロセスによりフィルムの未露光部分のみが除去されてマスキング層のネガ画像が残存する。
【0095】
他の実施形態では、本発明に係る感光性組成物は、以下のものからなる群から選択されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位を有するポリマーを含むが、これらになんら限定されない。
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(MeNB)、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(EtNB)、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(HexNB)、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(OctNB)、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(DecNB)、
5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NBTON)、
1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)−2,5,8,11−テトラオキサドデカン(NBTODD)、
1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン(BuDMMINB)、
2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン(MGENB)、および
5−フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(PENB)。
【0096】
ただし、本発明に係る組成物の製造に使用可能な本発明に係るポリマーの調製においては、他の公知の任意のノルボルネン型モノマーもまた使用可能である。
【0097】
他の実施形態では、本発明に係る組成物は、次のもの、すなわち、2−メチルプロプ−1−エン、2−メチルペント−1−エン、2,4,4−トリメチルペント−1−エン、2,4,4−トリメチルペント−2−エン、トリメチル(ビニル)シラン、およびスチレンからなる群から選択されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位を有するポリマーを含むが、これらになんら限定されない。
【0098】
いくつかの実施形態では、本発明に係る組成物の調製に使用されるポリマーは、スチレンと無水マレイン酸とのコポリマーであり、これは次いで、本明細書に記載されるように、n−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンなどのような適切なアミンによる開環/変換に付される。この実施形態において、上記ポリマーにおけるスチレンと無水マレイン酸とのモル比は任意である。典型的には、種々のモル比のかかるスチレン/無水マレイン酸が市販されている。たとえば、スチレン:無水マレイン酸のモル比が50:50のもの、67:33のもの、75:25のものなどが市販されている。
【0099】
本発明に係る組成物は、公知の任意の担体溶媒を用いて調製することができ、かかる溶媒はすべて本発明の範囲内にある。かかる担体溶媒の非限定的な例は、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、アセトン、メチル3−メトキシプロピオネート、およびテトラヒドロフラン(THF)からなる群から選択される1種以上であり得る。さらにまた、以上に述べたように、これらの溶媒の2つ以上を任意に組み合わせた混合物もまた利用できることは、当業者であれば容易に分かる。
【0100】
実施形態の1つでは、本発明に係る組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、およびそれらの任意の組合せの混合物、からなる群から選択される担体溶媒を含む。
【0101】
本発明に係る組成物は、1種以上の任意成分をさらに含み、その非限定的な例には架橋剤などが含まれる。そのような他の任意成分の例としては、1種以上の化合物/種々の添加剤、たとえば、界面活性剤、シランカップリング剤、レベリング剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、硬化促進剤、増感剤成分、溶媒、触媒捕捉剤、接着促進剤、安定剤、反応性希釈剤、および溶解促進剤などが挙げられるが、これらになんら限定されない。
【0102】
フィルムの露光および現像後に本発明に係る組成物の架橋を起こす架橋剤はいずれも、本発明で使用することができ、かつ本発明の範囲内にある。たとえば、種々のエポキシ化合物は、架橋剤として有用である。エポキシおよび他の架橋添加剤の非限定的な例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂(日本国大阪府のダイソーケミカル株式会社製のLX−01)、2,2’−((((1−(4−(2−(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)プロパン−2−イル)フェニル)エタン−1,1−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(オキシ))ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(三井化学株式会社製のテクモアVG3101L)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(CVC Specialty Chemicals, Inc.社製のTMPTGE)、および1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス(3−(オキシラン−2−イルメトキシ)プロピル)トリシロキサン(Gelest, Inc.社製のDMS−E09)が挙げられる。
【0103】
いくつかの実施形態では、本発明に係る組成物は、以下のものからなる群から選択し得る1種以上の架橋剤を含むが、これらになんら限定されない。
【化43】
2,2’−(((2−エチル−2−((オキシラン−2−イルメトキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))−ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(TMPTGE)、
【化44】
ビス(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)メタン(EPON(商標)862)、
【化45】
脂肪族トリオールのポリグリシジルエーテル(HELOXY(商標)84またはGE−36)(式中、nは約8であると考えられる)、
【化46】
パラ−t−ブチルフェノールのグリシジルエーテル(HELOXY(商標)65)、
【化47】
LX−01(式中、nは10〜100またはそれ以上であると考えられる)、
【化48】
DMS−E09
【化49】
TECHMORE(商標)VG3101L
【化50】
BY16−115
【化51】
EHPE−3150(式中、nは約10であると考えられる)
【化52】
KBM−303。
【0104】
組成物で利用し得る他の架橋剤としては、次のもの、すなわち、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)およびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(PPGDGE)も挙げられるが、これらになんら限定されない。さらに他の例示的なエポキシ樹脂または架橋添加剤としては、特に、Araldite MTO163およびAraldite CY179(チバガイギー社製)、ならびにEHPE−3150、Epolite GT300(ダイセル化学社製)が挙げられる。さらに、本明細書に記載の架橋剤はいずれも、単独でまたは1種以上の架橋剤の任意の組合せ混合物として使用することができることに留意されたい。
【0105】
エポキシ化合物の量もまた、PACに対して述べたように、様々であり得る。いくつか例では、特に「ネガ型」組成物の場合、上記のように、エポキシの使用は任意であり得る。その量は様々とすることができ、通常はポリマーの約0重量部から50重量部まで、典型的には約2重量部から約30重量部までである。ただし、上記材料の他の有利な量もまた適切であり、本発明の範囲内にある。
【0106】
適切な場合には、任意の適切な増感剤成分を本発明に係るポリマー組成物に含ませることが可能である。上記適切な増感剤成分としては、アントラセン、フェナントレン、クリセン、ベンズピレン、フルオランテン、ルブレン、ピレン、キサントン、インダントレン、チオキサンテン−9−オン、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、適切な増感剤成分として、2−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、4−イソプロピル−9H−チオキサンテン−9−オン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン(Lambson社からCPTXという名称で市販されている)、フェノチアジン、OMNIPOL(商標)TX(IGM Resins社製)、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、本発明に係る組成物は、2,2’−(((2−エチル−2−((オキシラン−2−イルメトキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))−ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(TMPTGE)、ビス(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)メタン(EPON862)、脂肪族トリオールのポリグリシジルエーテル(HELOXY84またはGE−36)からなる群から選択される1種以上の架橋剤を含む。この場合も、以上に述べたように、かかる架橋剤の任意の組合せによる混合物も使用することができる。
【0108】
本発明に係るポリマー組成物は、組成物および得られる層の両方の性質(たとえば、所望の波長での露光に対する組成物の感度)の向上に寄与し得る任意成分をさらに含有し得る。かかる添加剤の非限定的な例としては、溶解促進剤としてのビスフェノールAおよび5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、TSF4452(東芝シリコーン株式会社)などのシリコーン界面活性剤、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシランなどのレベリング剤、IRGANOX(商標)1035および1076(Ciba Specialty Chemicals)などの酸化防止剤、トリアルキルホスフェートや他の有機リン化合物などの難燃剤、ポリ(プロピレングリコール)などの可塑剤、および多官能エポキシ化合物やSi75(登録商標)として広く市販されている二官能性の硫黄含有オルガノシランであるビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドなどの架橋剤が挙げられる。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態では、感光性組成物は、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(NB)と、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンで開環された無水マレイン酸とに由来する繰返し単位を含有するコポリマー、および
スチレンと、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンで開環された無水マレイン酸とに由来する繰返し単位を含有するコポリマー
からなる群から選択される1種以上のポリマーを含むが、これらになんら限定されない。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態では、再配線層(RDL)構造を含む半導体デバイスが、本発明に係る感光性組成物をさらに含む。
【0111】
そのほかに、以上に記載の本発明のいくつかの実施形態では、本発明に係る感光性組成物によりフィルムが形成される。以上でさらに説明されているように、かかるフィルムは、一般に、優れた化学的、機械的、弾性的な性質を示し、電子的、光電子的、マイクロ電気機械的な用途において優れた誘電性を活かして多種多様な有用性を有する。
【0112】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、1つ以上の再配線層(RDL)構造、チップスタック構造、CMOSイメージセンサーダム構造を含むマイクロエレクトロニクスデバイスまたは光電子デバイスが提供される。ただし、前記構造は、本発明に係る感光性組成物をさらに含む。
【0113】
さらに、本発明のいくつかの実施形態では、
本発明に係る組成物を適切な基材に塗布してフィルムを形成することと、
マスクを用いて適切な放射線で露光することにより上記フィルムをパターニングすることと、
露光後に上記フィルムを現像して光パターンを形成することと、
適切な温度に加熱することにより上記フィルムを硬化させることと、
を含む、マイクロエレクトロニクスデバイスまたは光電子デバイスを作製するためのフィルムの形成方法が提供される。
【0114】
本発明に係る感光性組成物を所望の基材に塗布してフィルムを形成することは、本明細書に記載の、および/または、当業者に公知の任意の塗布手順、たとえばスピン塗布により行うことができる。他の適切な塗布方法としては、スプレー塗布、ドクターブレード塗布、メニスカス塗布、インクジェット塗布およびスロット塗布が挙げられるが、これらになんら限定されない。適切な基材としては、電気デバイス、エレクトロニクスデバイス、または光電子デバイスに使用されるまたは使用され得る任意の適切な基材、たとえば、半導体基材、セラミック基材、ガラス基材が挙げられる。
【0115】
次いで、塗布された基材は、硬化前にまずソフトベークされる。すなわち、残留キャスト溶媒の除去を促進するために、たとえば、60℃〜150℃の温度に約1〜30分間に加熱される。ただし、他の適切な温度および時間も使用可能である。いくつかの実施形態では、基材は、硬化前に最初に約70℃〜約130℃の温度で2分間〜10分間ソフトベークされる。加熱後、フィルムは、一般に、適切な波長の化学線で画像露光される。その波長は、一般に、本明細書に記載のポリマー組成物に配合される光活性化合物および/または光増感剤の選択に基づいて選択される。ただし、一般に、かかる適切な波長は水銀蒸気ランプにより生成され、その波長は、利用される水銀蒸気ランプのタイプに応じて200〜600nmである。「画像露光」という語句は、フィルムの露光部分および未露光部分の得られるパターンを提供すべくマスキング要素を介して露光することを意味すると解される。
【0116】
本発明に係る感光性組成物または感光性配合物の実施形態から形成されたフィルムを画像露光した後、現像プロセスが行われる。本発明に係るポジ型ポリマー配合物では、かかる現像プロセスによりフィルムの露光部分のみが除去されて、フィルム中にマスキング層のポジ画像が残存する。本発明に係るネガ型ポリマー配合物では、かかる現像プロセスによりフィルムの未露光部分のみが除去されて、フィルム中にマスキング層のネガ画像が残存する。いくつかの実施形態では、露光後ベークは、上述したハードベーク工程と同様に、現像プロセスの前に行うことができる。
【0117】
適切な現像液、特にポジ型配合物用の例には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリの水性溶液、および0.26N水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、エチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリの水性溶液が含まれ得る。有機アルカリが使用される場合、一般に、有機アルカリに対する適正な溶解性を提供するために、水と完全に混和する有機溶媒が使用される。TMAHの水性溶液は、半導体産業において周知の現像剤溶液である。適切な現像液の例にはまた、特に、PGMEA、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、ブチルアセテートなどの有機溶媒、またはこれらの溶媒の任意の組合せによる混合物を含み得る。
【0118】
本発明のいくつかの配合物の実施形態により提供される自己現像フィルムでは、画像露光後に得られた画像が水性塩基溶液を用いて現像される。一方、他のそのような実施形態では、得られた画像が有機溶媒を用いて現像される。どのタイプの現像液が利用されるかにかかわらず、画像が現像された後、基材をリンスして過剰の現像剤溶液を除去する。典型的なリンス剤は、水または適切なアルコールおよびそれらの混合物である。
【0119】
上述したリンスの後、基材を乾燥させ、最後に現像フィルムを硬化させる。すなわち、画像を固定する。残留層が画像露光時に露光されない場合、画像固定は、一般に、フィルムの残留部分内で反応を引き起こすことにより達成される。かかる反応は、一般に、残留材料の加熱および/または非画像露光もしくはブランケット露光により開始され得る架橋反応である。そのような露光および加熱は、別個の工程であってもよく、現像フィルムの具体的な用途に応じて適切に組み合わせてもよい。ブランケット露光には任意の適切なエネルギー源を利用できるが、一般に、画像露光で利用されるのと同一のエネルギー源を用いて行われる。加熱は、一般に、所望の温度、たとえば、110℃より高い温度で、数分間〜1時間以上の時間にわたり行われる。残留層が画像露光時に露光される場合、画像固定は、一般に、露光により開始された任意の反応を終了させるように調整された加熱工程により達成される。ただし、上述のような追加のブランケット露光および加熱を利用することもできる。なお、最終硬化プロセスの選択は形成されるデバイスのタイプにもより、したがって残留層が接着層または接着構造として使用される場合、画像の最終固定は最終硬化でなくてもよいことを理解されたい。
【0120】
したがって、いくつかの実施形態では、得られた画像フィルムまたは画像層は、パターン化および現像された基材を約120℃〜約250℃の温度で約20分間〜約240分間加熱することにより硬化される。いくつかの他の実施形態では、かかる硬化は、約130℃〜約200℃の温度で約30分間〜約180分間行われる。さらにいくつかの他の実施形態では、かかる硬化は、約150℃〜約180℃の温度で約60分間〜約120分間行われる。最後に、本発明のいくつかの他の実施形態では、硬化は、約5℃/分の昇温速度で約130℃〜約200℃の温度で約1〜3時間行われる。
【0121】
本発明に係るアルカリ可溶性感光性樹脂組成物の実施形態を用いて、高い耐熱性、適切な吸水速度、高い透明度、および低い誘電率を有するものとして特徴付けられる層を形成することにより、デバイスが製造される。そのほかに、かかる層は、一般に、硬化後において有利な弾性係数を有する。
【0122】
すでに述べたように、本発明に係る感光性組成物の実施形態の例示的な用途としては、様々な半導体デバイスやプリント配線板のための、再配線層、ダイアタッチ接着剤、ウエハボンディング接着剤、絶縁フィルム(層間誘電体層)、保護フィルム(パッシベーション層)、機械的緩衝フィルム(応力緩衝層)、または平坦化フィルムが挙げられる。そのような実施形態の具体的な用途には、単層または多層の半導体デバイスを形成するためのダイアタッチ接着剤、半導体デバイス上に形成される誘電体フィルム、パッシベーションフィルム上に形成される緩衝コートフィルム、半導体デバイス上に形成される回路を覆うように形成される層間絶縁フィルムが含まれる。
【0123】
したがって、本発明に係るいくつかの実施形態によると、代替材料に比べて、1つ以上の機械的性質に関して向上した特性(たとえば、エージング後の低い応力および維持された破断伸び)を示し、かつ少なくとも等価な耐薬品性を示すポジ型感光性ポリマー組成物が提供される。そのほかに、かかる実施形態によると、一般に、優れた電気絶縁、基材への接着性などが提供される。こうして、本発明に係る実施形態が組み込まれた半導体デバイス、デバイスパッケージおよび表示デバイスが提供される。
【0124】
有利なことに、本発明に係る感光性組成物は、チップスタック用途などで半導体チップを互いに結合するための接着層の形成に有用であることが見いだされた。たとえば、そのような目的に使用される再配線層は、本発明に係る感光性接着剤組成物の硬化物で構成される。驚くべきことに、上記接着層は、単層構造であっても、基材への十分な接着性を示すだけでなく、硬化工程により生じる顕著な応力を含まないことが見いだされた。したがって、ラミネートとしてチップを囲むフィルムが望ましくないほど厚い層になるのを回避することができる。さらに、本発明に従って形成されるラミネートは、熱膨張差などにより引き起こされる層間の応力集中を緩和し得る点で、信頼性があることが観測された。その結果、高さが小さく信頼性の高い半導体デバイスを得ることができる。すなわち、アスペクト比が小さく厚さの小さいデバイスを得ることができる。そのような半導体デバイスは、たとえば、内部体積が非常に小さくかつモバイルデバイスとして持ち運びながら使用される電子機器に特に有利である。さらに有利なことに、本発明を実施することにより、これまで達成できなかったレベルの小型化、薄型化、および軽量化を特徴とするさまざまな電子デバイスを形成することができ、しかも、かかるデバイスが揺動や落下などの荒っぽい操作に付されても、上記半導体デバイスの機能は容易には損なわれない。
【0125】
したがって、本発明の実施形態のいくつかでは、本明細書に記載の感光性組成物の硬化により得られる硬化物もまた提供される。他の実施形態では、本明細書に記載の本発明に係る硬化物を含む光電子デバイスまたはマイクロエレクトロニクスデバイスもまた提供される。
【0126】
有利なことに、本発明に係る組成物は、本明細書に記載されるように、低い誘電率(一般に、3.9未満の誘電率)を示すことも見いだされた。したがって、実施形態のいくつかでは、本発明に係る組成物から得られる硬化物は、1MHzで3.6以下の誘電率を示す。いくつかの他の実施形態では、本発明に係る組成物から得られる硬化物は、1MHzで3.2以下の誘電率を示す。さらにいくつかの他の実施形態では、本発明に係る組成物から得られる硬化物は、1MHzで3.0以下の誘電率を示す。
【0127】
さらに、本発明に係る組成物を含む硬化物は、種々の波長の光に対して優れた透明性を示すことも観測された。すなわち、本発明に係る硬化物は、種々の波長の光に対して透明であり、そのため光エネルギーをほとんどまたはまったく吸収しない。なお、硬化工程は、一般に、塗膜全体のブランケット(フラッド)露光後に行われることに留意されたい。すなわち、組成物中に存在するいかなるPACをも完全にブリーチするために、マスクをなんら用いることなく、適切な照射線、たとえば、365nmの照射線でフィルム全体を露光する。このPACブリーチング工程により、一般に、フィルムの透明度を向上させる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明に係る組成物を含む硬化物は、250℃で30分間硬化させた後、400nmで85%超の透明度を有する。いくつかの他の実施形態では、本発明に係る組成物を含む硬化物は、250℃で30分間硬化させた後、400nmで90%超の透明度を有する。さらにいくつかの他の実施形態では、本発明に係る組成物を含む硬化物は、250℃で30分間硬化させた後、400nmで95%超の透明度を有する。
【0128】
以下の実施例により本発明についてさらに説明するが、かかる実施例は、例示の目的のために提供されており、本発明の範囲をなんら限定しない。
【実施例】
【0129】
実施例(一般的事項)
特に指定がないかぎり、以下の実施例では次の定義が使用される。
NB:ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、BuDMMINB:1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、NBTON:5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、DecNB:5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、MGENB:2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン、IBU:2−メチルプロプ−1−エン、2M1P:2−メチルペント−1−エン、d−IBU:ジイソブチレン、V−TMS:トリメチル(ビニル)シラン、MA:無水マレイン酸、AIBN:アゾビスイソブチロニトリル、THF:テトラヒドロフラン、MEK:メチルエチルケトン、MAK:メチルn−アミルケトンまたは2−ヘプタノン、NMP:N−メチル−2−ピロリドン、DMSO:ジメチルスルホキシド、MEA:モノエタノールアミン、DMSO−d6:過ジュウテリウム化ジメチルスルホキシド、TMPTGE:トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、MA:無水マレイン酸繰返し単位、MI:マレイミド繰返し単位、COMA:無水マレイン酸と本明細書に記載の他のオレフィンとのコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、ROMA:無水マレイン酸と本明細書に記載の他のオレフィンとの開環型のコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、ROMI:無水マレイン酸と本明細書に記載の他のオレフィンとのアミン開環マレイミド含有型のコポリマー、ターポリマー、テトラポリマー、TS:全固体、HPLC:高速液体クロマトグラフィー、GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー、M:重量平均分子量、M:数平均分子量、PDI:多分散性指数(M/M)、FT−IR:フーリエ変換赤外、NMR:核磁気共鳴、TGA:熱重量分析。
【0130】
本明細書に記載のオレフィンと無水マレイン酸との前駆体コポリマーのいくつかは市販されており、市販品を入手したままの状態で本発明に係るROMIポリマーの製造に使用される。たとえば、SMA1000(スチレン/MA、50/50、M=4,900、M=2,800)、SMA2000(スチレン/MA、66/33、M=7,100、M=3,550)、SMA3000(スチレン/MA、75/25、M=9,500、M=4,700)、SMA3024(スチレン/MA、75/25、M=23,300、M=11,400)、CVX50208(スチレン/MA、66/33、1−CNHを用いて開環、M=8,500、M=3,800)は、Cray valley USA社から購入した。Isobam−600(IBU/MA、50/50、M=5,500〜6,500)は、株式会社クラレから購入した。V−TMS、d−IBUおよび2M1Pは、Sigma Aldrich社から購入した。
【0131】
以下の実施例1〜実施例19は、本発明に係る種々の前駆体MA含有ポリマーの調製例である。本明細書に記載されるように、示されているモノマー比は、特に指定がないかぎり、それぞれのポリマーを製造するための供給原料におけるモル比である。
【0132】
実施例1〔NB/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、98.1g、1000mmol)、ノルボルネン(NB、94.2g、1000mmol)およびAIBN(3.3g、20mmol)を、トルエン(78.5g)およびTHF(31.2g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で10分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら60℃に加熱した。この混合物を60℃で3時間撹拌した後、その溶液は乳状懸濁液になった。この反応混合物にTHF(64.4g)を添加して60℃に5時間加熱した。この時点で、追加量のAIBN(3.28g、20mmol)およびTHF(39.5g)を加え、さらに8時間加熱を継続した。次いで、この反応混合物をTHF(358g)で希釈し、過剰のヘプタンに添加した。濾過後に得られた固体を50〜55℃の真空オーブン中で約12時間乾燥させて、174.4gの標記ポリマー(GPC(THF)M=12,750、M=4,900、収率=91%)を得た。
【0133】
また、実施例1A〜実施例1Cに記載の以下の手順に従って、3つの異なるバッチのNB/MAコポリマーを調製した。
【0134】
実施例1A〔NB/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、98.1g、1mol)、ノルボルネン(NB、94.2g、1mol)およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(9.2g、40mmol)を、トルエン(62g)およびMEK(120g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で10分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら60℃に加熱した。この混合物を60℃で16時間撹拌した。この反応混合物をMEK(250g)で希釈し、過剰のメタノールに添加した。濾過後に得られた固体を50〜55℃の真空オーブン中で約12時間乾燥させて、170gの固体(GPC(THF)M=12,900、M=6,700、収率=90%)を得た。
【0135】
実施例1B〔NB/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、98.1g、1mol)、ノルボルネン(NB、94.2g、1mol)およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(23g、100mmol)を、トルエン(40g)およびMEK(360g)に溶解させ、適切なサイズの反応槽に仕込んだ。この溶液を窒素で10分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で16時間撹拌した。この反応混合物をMEK(250g)で希釈し、過剰のメタノールに添加した。濾過後に得られた固体を50〜55℃の真空オーブン中で約12時間乾燥させて、150gの固体(GPC(THF)M=5,400、M=2,870、収率=78%)を得た。
【0136】
実施例1C〔NB/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、98.1g、1mol)、ノルボルネン(NB、94.2g、1mol)およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(9.2g、40mmol)を、トルエン(37g)およびMEK(340g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で10分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で16時間撹拌した。この反応混合物をMEK(250g)で希釈し、過剰のメタノールに添加した。濾過後に得られた固体を50〜55℃の真空オーブン中で約12時間乾燥させて、163gの固体(GPC(THF)M=6,800、M=3,760、収率=85%)を得た。
【0137】
実施例2〔2M1P/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.5g、250mmol)、2−メチル−1−ペンテン(2M1P、21g、250mmol)、およびAIBN(4.1g、25mmol)を、エチルアセテート(26.2g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で約5分間撹拌した後、固体が形成された。この反応混合物を室温まで冷却し、固体生成物をTHF(150mL)に溶解させて過剰のヘキサンに添加した。濾過後に得られた固体を70℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、22gの標記生成物(GPC(THF)M=44,400、M=9,750、単離収率=48%)を得た。
【0138】
実施例3〔2M1P/DecNB/MA(35/15/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.5g、250mmol)、2−メチル−1−ペンテン(2M1P、14.7g、175mmol)、DecNB(17.6g、75mmol)およびAIBN(4.1g、25mmol)を、エチルアセテート(33.7g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を80℃で2時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体をTHF(150g)に溶解させ、過剰のヘキサンに添加し、濾過後に80℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、26gの固体(GPC(THF)M=52,750、M=17,950、単離収率=46%)を得た。
【0139】
実施例4〔2M1P/NBTON/MA(35/15/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.5g、250mmol)、2−メチル−1−ペンテン(2M1P、14.7g、175mmol)、NBTON(17g、75mmol)およびAIBN(4.1g、25mmol)を、エチルアセテート(33.3g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら80℃に加熱した。この混合物を80℃で40分間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(50mL)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体をTHF(150g)に溶解させ、過剰のヘキサンに添加し、濾過後に70℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、36gの固体(GPC(THF)M=24,400、M=7,650、単離収率=64%)を得た。
【0140】
実施例5〔V−TMS/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、9.81g、100mmol)、トリメチル(ビニル)シラン(V−TMS、10g、100mmol)およびAIBN(1.64g、10mmol)を、トルエン(9g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら65℃に加熱した。この混合物を65℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(15g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を60℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、14gの固体(GPC(THF)M=4,100、M=2,500、単離収率=71%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1781cm−1および1851cm−1に環状無水物に対応するピークを示した。DMSO−d6中で測定されたポリマーのH−NMRスペクトルは、0.06ppmにトリメチルシリルのピークの存在を示し、V−TMSモノマーがポリマー中に組み込まれたことが示された。
【0141】
実施例6〔V−TMS/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.5g、250mmol)、トリメチル(ビニル)シラン(V−TMS、25g、250mmol)およびAIBN(4.1g、25.0mmol)を、エチルアセテート(22.6g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で30時間撹拌した(GPC(THF)M=3,550、M=2,100)。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(25mL)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70〜80℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、44gの固体(単離収率=89%)を得た。
【0142】
実施例7〔V−TMS/DecNB/MA(25/25/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、9.8g、100mmol)、トリメチル(ビニル)シラン(V−TMS、5g、100mmol)、DecNB(11.7g、50mmol)およびAIBN(1.64g、10mmol)を、トルエン(12g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら65℃に加熱した。この混合物を65℃で15時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、THF(10g)で希釈し、過剰のメタノールに添加した。得られた固体を60℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、9gの固体(GPC(THF)M=8,800、M=4,850、単離収率=34%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1781cm−1および1855cm−1に環状無水物に対応するピークを示した。DMSO−d6中で測定されたポリマーのH−NMRスペクトルは、0.06ppmにトリメチルシリルのピークの存在を示し、V−TMSモノマーがポリマー中に組み込まれたことが示された。
【0143】
実施例8〔V−TMS/NBTON/MA(25/25/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、9.8g、100mmol)、トリメチル(ビニル)シラン(V−TMS、5g、100mmol)、NBTON(11.3g、50mmol)およびAIBN(1.64g、10mmol)を、トルエン(12.4g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら65℃に加熱した。この混合物を65℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(10g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を60℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、21gの固体(GPC(THF)M=8,800、M=4,850、単離収率=79%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1777cm−1および1850cm−1に環状無水物に対応するピークを示した。DMSO−d6中で測定されたポリマーのH−NMRスペクトルは、0.06ppmにトリメチルシリルのピークの存在を示し、V−TMSモノマーがポリマー中に組み込まれたことが示された。
【0144】
実施例9〔V−TMS/NBTON/MA(40/10/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.5g、250mmol)、トリメチル(ビニル)シラン(V−TMS、20g、200mmol)、NBTON(11.3g、50mmol)およびAIBN(4.1g、25mmol)を、エチルアセテート(26g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で30時間撹拌した(GPC(THF)M=5,350、M=2,500)。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(25mL)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70〜80℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、52gの固体(単離収率=93%)を得た。
【0145】
実施例10〔DecNB/NBTON/BuDMMINB/MA(20/20/10/50)テトラポリマー〕
無水マレイン酸(MA、14.7g、150mmol)、DecNB(14g、60mmol)、NBTON(13.6g、60mmol)、BuDMMINB(8.19g、30mmol)およびAIBN(1.64g、10mmol)を、エチルアセテート(25.6g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら65℃に加熱した。この混合物を65℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(10g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を室温の真空オーブン中で15時間乾燥させて、25gの標記テトラポリマー(GPC(THF)M=11,050、M=6,000、単離収率=50%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1775cm−1および1850cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示し、1705cm−1にマレイミド(MI)のピークを示した。これは、H−NMRスペクトル中のそれぞれの特性ピークによりさらに確認されるように、MAおよびBuDMMINBのモノマーがDecNBおよびNBTONと共に組み込まれたことを示している。
【0146】
実施例11〔DecNB/NBTON/MGENB/MA(20/20/10/50)テトラポリマー〕
無水マレイン酸(MA、14.7g、150mmol)、DecNB(14g、60mmol)、NBTON(13.6g、60mmol)、MGENB(5.4g、30mmol)およびAIBN(1.64g、10mmol)を、エチルアセテート(24.1g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら65℃に加熱した。この混合物を65℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(10g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を室温の真空オーブン中で15時間乾燥させて、29gの固体(GPC(THF)M=10,650、M=5,650、単離収率=61%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1775cm−1および1851cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。
【0147】
実施例12〔d−IBU/NBTON/MA(35/15/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.7g、925mmol)、ジイソブチレン(d−IBU、19.6g、175mmol)、NBTON(17g、75mmol)およびAIBN(4.1g、25mmol)を、エチルアセテート(50g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら80℃に加熱した。この混合物を80℃で5.5時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(50g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて、50gの固体(GPC(THF)M=9,850、M=3,600、単離収率=82%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1775cm−1および1850cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。最終ポリマーのDMSO中での13C−NMR分析から、d−IBU/NBTON/MAの組成は22/19/59であった。
【0148】
実施例13〔d−IBU/NBTON/MA(30/20/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、29.4g、300mmol)、ジイソブチレン(d−IBU、20.2g、180mmol)、NBTON(27.1g、120mmol)およびAIBN(4.92g、30mmol)を、エチルアセテート(36.4g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(30g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、56gの固体(GPC(THF)M=9,900、M=3,300、単離収率=73%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1776cm−1および1850cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。最終ポリマーのDMSO−d6中での13C−NMR分析から、d−IBU/NBTON/MAの組成は18/26/56であった。
【0149】
実施例14〔d−IBU/NBTON/MA(40/10/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、29.4g、300mmol)、ジイソブチレン(d−IBU、26.9g、240mmol)、NBTON(13.6g、60mmol)およびAIBN(3.28g、20mmol)を、エチルアセテート(32.7g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら85℃に加熱した。この混合物を85℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(60g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、43gの固体(GPC(THF)M=14,700、M=5,700、単離収率=62%)を得た。THF溶液中のポリマーに対して得られたFT−IRスペクトルは、1776cm−1および1850cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。最終ポリマーのDMSO−d6中での13C−NMR分析から、d−IBU/NBTON/MAの組成は27/14/58であった。
【0150】
実施例15〔2,3,3−トリメチル−1−ペンテン/NBTON/MA(30/20/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、39.2g、400mmol)、2,3,3−トリメチル−1−ペンテン(26.7g、240mmol)、NBTON(36.2g、160mmol)およびAIBN(4.37g、26.7mmol)を、エチルアセテート(63.8g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら80〜85℃に加熱した。この混合物を80〜85℃で4時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(50g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて、83gの固体(GPC(THF)M=12,550、M=4,750、単離収率=81%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1776cm−1および1850cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。最終ポリマーのDMSO−d6中での13C−NMR分析から、d−IBU/NBTON/MAの組成は26/19/55であった。
【0151】
実施例16〔2,3,3−トリメチル−1−ペンテン/NBTON/MA(35/15/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、73.5g、750mmol)、2,3,3−トリメチル−1−ペンテン(58.8g、525mmol)、NBTON(50.9g、225mmol)およびAIBN(8.2g、50mmol)を、エチルアセテート(114g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら90℃に加熱した。この混合物を90℃で4時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(100g)で希釈し、過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を80℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて、170gの固体(GPC(THF)M=12,500、M=4,850、単離収率=93%)を得た。THF溶液中のポリマーに対して得られたFT−IRスペクトルは、1778cm−1および1849cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。最終ポリマーのDMSO−d6中での13C−NMR分析から、d−IBU/NBTON/MAの組成は29/16/55であった。
【0152】
実施例17〔DecNB/MGENB/MA(40/10/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、4.9g、50mmol)、DecNB(9.36g、40mmol)、MGENB(1.8g、10mmol)、AIBN(0.55g、3.33mmol)およびトルエン(8.1g)を、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で15〜20時間撹拌した(GPC(THF)M=13,600、M=7,000)。
【0153】
実施例18〔NBTON/MGENB/MA(40/10/50)ターポリマー〕
無水マレイン酸(MA、4.9g、50mmol)、DecNB(9.05g、40mmol)、NBTON(1.8g、10mmol)、AIBN(0.55g、3.33mmol)およびトルエン(7.9g)を、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で15〜20時間撹拌した。(GPC(THF)M=12140、M=4800)。
【0154】
実施例19〔PENB/MA(50/50)コポリマー〕
無水マレイン酸(MA、24.5g、250mmol)、PENB(49.5g、250mmol)およびAIBN(2.73g、16.7mmol)を、トルエン(46.6g)に溶解させ、適切なサイズの反応容器に仕込んだ。この溶液を窒素で30分間スパージして酸素を除去し、次いで、撹拌しながら80℃に加熱した。この混合物を80℃で15時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、THF(75g)で希釈し、そして反応混合物の半分(約100g)を過剰のヘキサンに添加した。得られた固体を70℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて、33gの固体(GPC(THF)M=6,800、M=3,500、単離収率=89%)を得た。THF溶液中のポリマーについて得られたFT−IRスペクトルは、1776cm−1および1855cm−1に環状無水物(MA)に対応するピークを示した。
【0155】
<アルキルアミンによるMA開環の例>
以下の実施例20〜30は、n−オクチルアミンと、市販のスチレン無水マレイン酸コポリマーであるSMA2000(スチレン/MA、66/33、M=7,100、M=3,550)との反応により形成される、本発明に係る種々のROMIポリマーの調製例である。
【0156】
実施例20〜30
スチレン/MAコポリマー(SMA2000)をPGMEAに溶解させて20%(w/w)溶液を得た。次いで、この溶液の適切なアリコート(5〜10g)をガラスバイアルに添加し、表1にまとめられている対応する量のn−オクチルアミン(1−C17NH)を添加し、密閉し、表1に挙げられている所望の温度および時間で加熱した。溶液中に存在するスチレン/MAコポリマーの重量およびCray Valley社により報告された組成(スチレン/MA=66/33)に基づいて、溶液中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。HPLCを用いて生成混合物の相対極性を決定した。これらの溶液について、Siウエハ上にスピン塗布された薄いフィルムが2.38%(w/w)TMAHに溶解する速度を測定した。これらのアミン処理溶液の一部を過剰のヘキサンに添加し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。上記アミン処理固体ポリマーを、真空オーブン中で、室温で2日間または40℃で15時間乾燥させた。次いで、このポリマー溶液サンプルを、DMSO−d6を溶媒としてH−NMRおよび13C−NMRにより分析した。FT−IRによってもサンプルの特性を分析した。
【0157】
上記ポリマー溶液のサンプルを過剰のn−ヘプタンに添加して沈殿させてから固体を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることにより得られた単離ポリマーサンプルを用いて、FT−IRおよび13C−NMR分析を行った。FT−IRスペクトルは、式(IIIA)(3100〜3400cm−1、1730cm−1、および1600cm−1)、式(IIIB)(1700cm−1)、および式(IIIC)(1774cm−1および1853cm−1)で示される繰返し単位の存在を示した。ポリマーの13C−NMRスペクトルを用い、1−C17NHに由来する生成物の−CH基を表す13〜15ppmのピークに基づいて、式(IIIA)および(IIIB)で示される繰返し単位のモル比を決定し、これに基づいて式(IIIC)で示される繰返し単位のパーセンテージを推定した。13C−NMRにより計算された、ポリマー中の式(IIIA)、(IIIB)および(IIIC)で示される繰返し単位のモル比は、表1にまとめられている。
【0158】
【表1】
【0159】
以下の実施例31〜34および実施例35〜37は、それぞれ、n−ブチルアミンおよび他のアミンと、市販のスチレン無水マレイン酸コポリマーであるSMA2000(スチレン/MA、66/33、M=7,100、M=3,550)との反応により形成される、本発明に係る種々のROMIポリマーの調製例である。
【0160】
実施例31〜33
適切なガラス容器中でスチレン/MAコポリマー(SMA2000)をPGMEAに溶解させて30%(w/w)溶液を得、表2にまとめられている所望の量の1−CNHを添加した。次いで、ガラス容器を密閉し、表2にまとめられている適切な温度および時間で加熱してアミノ化反応を行った。溶液中に存在するスチレン/MAコポリマーの重量およびCray Valley社により報告された組成(スチレン/MA=66/33)に基づいて、ポリマー中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。得られたポリマー生成物の分子量をGPCにより決定した。これらの溶液について、Siウエハ上にスピン塗布された薄いフィルムが2.38%(w/w)TMAHに溶解する速度を測定した。これらのアミン処理溶液の小量を過剰のヘキサンに添加し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。上記アミン処理固体ポリマーを、真空オーブン中で、室温で2日間または40〜60℃で15時間乾燥させた。DMSO−d6に溶解させたこれらのポリマーのH−NMRおよび13C−NMRを測定した。また、KBrペレットでもポリマーのFT−IRを測定した。また、実施例20〜30に記載したように、13C−NMRにより、式(IIIA)、(IIIB)、および(IIIC)で示される繰返し単位のモル比を計算し、実施例31および33で得られたポリマーについて表2にまとめる。実施例32では、かかる測定を行うことができなかった。
【0161】
【表2】
【0162】
実施例34
スチレン/MAコポリマー(SMA2000)をPGMEAに溶解させて25%(w/w)溶液を得、この溶液の240gを機械的撹拌および加熱の機能を備えた適切なサイズの反応器に移した。ポリマー溶液を窒素で3回フラッシュし、窒素雰囲気(10psig)中で50℃に加熱した。n−ブチルアミン(14.8g、0.2mol)をPGMEA(14.8g)と混合してガラスシリンジに移し、シリンジポンプを用いて0.7mL/分の速度で上記ポリマー溶液に、撹拌しながらかつ温度を50℃に維持しながら添加した。ポリマー溶液へのアミン溶液の添加が終了したら、反応混合物の温度を100℃に上昇させ、撹拌しながらその温度を8時間維持し、次いで環境温度まで冷却した。このアミン処理ポリマーは、GPC(M=7,700、M=3,850、PDI=1.99)、粘度(248cps)、酸価(102mgKOH/g)、および残留含水率(3430ppm)により特徴付けられた。
【0163】
上記ポリマー溶液のサンプルを過剰のn−ヘプタンに添加して沈殿させてから固体を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させた後、実施例34のポリマーサンプルについてFT−IRおよび13C−NMRの分析を行った。FT−IRスペクトルは、式(IIIA)(3100〜3400cm−1、1730cm−1および1600cm−1)、式(IIIB)(1700cm−1)、および式(IIIC)(1774cm−1および1853cm−1)で示される繰返し単位の存在を示した。ポリマーの13C−NMRスペクトルを用い、1−CNHに由来する生成物の−CH基を表す13〜15ppmのピークに基づいて式(IIIA)および(IIIB)で示される繰返し単位のモル比を決定し、これに基づいて、式(IIIC)で示される繰返し単位のパーセンテージを推定した。13C−NMRにより計算されたポリマーの組成は、スチレン/IIIA/IIIB/IIIC=68/26/6/0であった。同一の反応を2回行って、65/26/8/1および74/17/9/0の組成を得た。
【0164】
実施例35〜37
適切なガラス容器中でスチレン/MAコポリマー(SMA2000)をPGMEAに溶解させて、25%(w/w)溶液を得た。表3にまとめられている所望の量の1−CNH、1−C13NHまたは1−C17NHを添加し、次いでガラス容器を密閉して70℃で3時間加熱した。溶液中に存在するスチレン/MAコポリマーの重量およびCray Valley社により報告された組成(スチレン/MA=66/33)に基づいて、溶液中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。これらの溶液について、Siウエハ上にスピン塗布された薄いフィルムが2.38%(w/w)TMAHに溶解する速度を測定した。
【0165】
【表3】
【0166】
実施例20〜37および表1〜3にまとめられている結果から、アミン処理SMA2000の溶解速度が、アミン投入量、反応温度、反応時間のほか、アミンのアルキル鎖長によっても異なることは明らかである。RNH/MA比を0.5から1に増加させると(実施例20〜22と実施例23〜26との対比)、DRが増加する。反応温度を上昇させると、特に90℃超においてDRが減少し(実施例28〜30)、反応時間を長くしてもDRが減少する(実施例28と実施例30との対比)。また、実施例35〜37は、高級アルキルアミンがDRを減少させることを示している。
【0167】
以上の実施例でアミンと反応させたポリマーサンプルのいくつかをHPLCによっても分析し、SMA2000のHPLCと比較した。サンプルはすべて、PGMEAに溶解させた。実施例26、28、および29のポリマーサンプルについて得られたHPLCから、反応温度を実施例26(60℃)から実施例28(130℃)および29(160℃)に変化させると保持時間が増加することが判明した。このことは、反応温度を上昇させると反応生成物の疎水性が増加することと一致する。SMA2000の保持時間が最も短く、実施例29のポリマーサンプルの保持時間が最も長かった。
【0168】
実施例20〜37のポリマーサンプルのいくつかをFT−IRスペクトルによっても分析した。具体的には、23〜160℃の範囲内の種々の温度で得られた実施例20〜37のポリマー生成物のFT−IRスペクトルは、種の混合物が存在することを示唆する。一般に、無水マレイン酸のカルボニルの吸収に起因するピーク(1774cm−1および1853cm−1)の減少は、式(IIIC)で示される繰返し単位の減少を示す。これらのデータは、アミンの添加により、アミド酸(式(IIIA)で示される繰返し単位)およびそのアミン塩(式(IIIE)で示される繰返し単位)が形成されることを示している(1730cm−1および1600cm−1のブロードバンド)。温度を上昇させると(>約130〜160℃)、これらの種は、主に、式(IIIB)で示される繰返し単位、すなわちMI単位に変換される。このことは、1700cm−1の鋭いバンドにより実証される。この変化は、160℃の反応温度において、3100〜3400cm−1の領域の−COOHの−OHバンドおよび−CONH−の−NH−バンドの強度の低下を伴う。このことは、反応温度を上昇させるとFT−IR分析において約1700cm−1のマレイミド(MI)のピークが増加するという事実によりさらに明らかにされる。このことから、より親水性の高いカルボン酸官能基を含有するアミド酸構造が閉環して、より親水性の低いマレイミド構造が形成されることが示唆される。実施例20〜37のいくつかでは、FT−IRスペクトルを用いて、式(IIIB)で示される繰返し単位の相対濃度の推定も行った。1700cm−1のマレイミド(MI)のピーク高さおよび約3028cm−1(芳香族C−H)のピーク高さを測定した。マレイミド(1700cm−1)のピーク高さと3028cm−1のピーク高さとの比は、これらのポリマーの実施例において式(IIIB)で示される繰返し単位の相対的形成の指標となる。反応温度および反応時間を増加させるとポリマー中の式(IIIB)で示される繰返し単位の量も増加することは、表4に示されたデータから明らかである。
【0169】
【表4】
【0170】
実施例38〔SMAとn−ブチルアミンとの生成物のFT−IRの検討〕
実施例32から得られたポリマー溶液を用いて、Siウエハ上にフィルムをスピン塗布し、100℃で3分間ソフトベークした。ウエハを4つのピースに切断し、3つのピースをオーブン中、窒素雰囲気下で、それぞれ(b)130℃/30分、(c)150℃/30分、(d)180℃/30分の条件でベークした。1つのピース(サンプル(a)という。)はベークなしで対照として使用した。4つすべての塗膜のFT−IRスペクトルを測定し、図1に示す。図1に示されるFT−IRスペクトルから明らかなように、生成混合物の組成はベーク温度と共に変化し、水を失うことで主にマレイミド(MI、1700cm−1)が形成される。しかし、150℃/30分および180℃/30分のベーク条件では、おそらく1−CNHを失うことにより、無水マレイン酸(MA、約1775cm−1および1850cm−1)も形成された(図1参照)。
【0171】
実施例39〔SMA2000/n−オクチルアミン生成物の13C−NMRによる特性分析〕
実施例20〜30でアミンと反応させたポリマーサンプルを、13C−NMR分光法によりさらに分析した。この分析から、無水マレイン酸繰返し単位のカルボニル炭素(C=O)の構造が顕著に変化することが明らかになった。出発材料(スチレン/MA、SMA2000)は、ポリマー中の無水マレイン酸部分に対応して、170〜174ppmの領域にブロードピークを有する。23℃および60℃でそれぞれアミノ化を行った実施例22および23では、このシグナルに目立った変化はみられなかった(171〜176ppm)。アミノ化反応を90℃で行った実施例24では、176〜180ppmに追加のカルボニルピークが現れる。このピークの強度は、アミノ化反応を130℃で行った実施例27およびアミノ化反応を160℃で行った実施例29では増加し、これに伴い171〜176ppmで観測されたピークの強度は減少した。このことは、式(IIIA)および(IIIE)で示される繰返し単位(アミド酸およびアミド酸アルキルアミン塩)がマレイミド繰返し単位(IIIB)に変換されて、式(IIIB)で示されるマレイミド繰返し単位が形成されることを示している。
【0172】
HPLC、FT−IR、および13C−NMRのデータは、反応温度が90℃を超えて上昇すると水性塩基現像液への溶解速度が減少することにより裏付けられる。そのような化学変換に関する一般的な理解と合わせて、HPLC、FT−IR、13C−NMRおよびDRの証拠を全体的に見ると、アミン処理無水マレイン酸含有ポリマーは、上述したスキーム1に示される繰返し単位の混合物を含むと考えられる。
【0173】
実施例40〜43〔SMA3000のアミン処理〕
スチレン/MAコポリマー(SMA3000)を適切なガラス容器中でPGMEAまたはNMPに溶解させて25〜35%(w/w)の溶液を得、表5にまとめられている適切な量の1−C17NHまたは1−CNHを添加し、次いで容器を密閉し、表5にまとめられている温度および時間で加熱した。溶液中に存在するスチレン/MAコポリマーの重量およびCray Valley社により報告された組成(スチレン/MA=75/25)に基づいて、ポリマーサンプル中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。GPCにより分子量を決定した。これらの溶液について、Siウエハ上にスピン塗布された薄いフィルムが2.38%(w/w)TMAHに溶解する速度を測定した。これらのアミン処理溶液の小量を過剰のヘキサンに添加し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。上記アミン処理固体ポリマーを、真空オーブン中で、室温で2日間または40℃で15時間乾燥させた。DMSO−d6に溶解させたこれらのポリマーのH−NMRおよび13C−NMRを測定した。また、THF溶液中でポリマーのFT−IRを測定した。
【0174】
【表5】
【0175】
実施例44〜47〔SMA3024のアミン処理〕
スチレン/MAコポリマー(SMA3024)を適切なガラス容器中でPGMEAまたはGBLに溶解させて20〜35%(w/w)溶液を得、表6にまとめられている適切な量の1−C17NHまたは1−CNHを添加し、次いで容器を密閉し、表6にまとめられている温度および時間で加熱した。
【0176】
【表6】
【0177】
溶液中に存在するスチレン/MAコポリマーの重量およびCray Valley社により報告された組成(スチレン/MA=75/25)に基づいて、ポリマーサンプル中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。GPCを用いて分子量を決定した。これらの溶液について、Siウエハ上にスピン塗布された薄いフィルムが2.38%(w/w)TMAHに溶解する速度を測定した。これらのアミン処理溶液の小量を過剰のヘキサンに添加し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。上記アミン処理固体ポリマーを、室温または50℃で15時間真空オーブン中で乾燥させた。DMSO−d6に溶解させたこれらのポリマーのH−NMRおよび13C−NMRを測定した。また、THF溶液中でポリマーのFT−IRを測定した。
【0178】
実施例48
スチレン/MAコポリマー(SMA3024)をTHFに溶解させて31%(w/w)溶液を得、この溶液の200gを機械的撹拌および加熱の機能を備えた適切なサイズの反応器に移した。ポリマー溶液を窒素ストリームで3回フラッシュし、窒素雰囲気(10psig)中で50℃に加熱した。n−ブチルアミン(12.4g、0.17mol)THF(12.4g)と混合してガラスシリンジに移し、反応器を50℃に維持しかつ撹拌しながら、シリンジポンプを用いて上記混合物を0.5mL/分の速度で上記ポリマー溶液に添加した。アミン溶液の添加が終了したら、反応混合物の温度を65℃に上昇させ、撹拌しながらその温度を5時間維持し、次いで環境温度まで冷却した。撹拌しながら反応混合物を2Lのヘキサンに添加して、固体ポリマーを沈殿させた。液体層をデカントし、追加の1Lのヘキサン中で上記固体ポリマーを撹拌した。このポリマーを濾過し、60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させて、63gの乾燥粉末を得た(単離収率91%)。上記アミン処理ポリマー溶液は、GPC(M=23,500、M=12,000、PDI=1.96)、粘度(781cps)、酸価(140mgKOH/g)、および残留含水率(2124ppm)により特徴付けられた。
【0179】
また、実施例20〜30において記載したように、ポリマーサンプルをFT−IRおよび13C−NMRによっても分析した。FT−IRにより、式(IIIA)、(IIIB)および(IIIC)で示される繰返し単位の存在が示された。また、実施例20〜30において記載したように、ポリマー中のモノマー繰返し単位のモル比を13C−NMRにより計算したところ、スチレン/(IIIA)/(IIIB)/(IIIC)=72/28/0/0であった。さらに2つのポリマーサンプルを、実質的に実施例48に記載の手順に従って調製した。13C−NMRにより計算されたこれらの2つのポリマー中のモノマー繰返し単位のモル比(スチレン/(IIIA)/(IIIB)/(IIIC))は、それぞれ、73/26/0/1および81/18/0/1であった。
【0180】
実施例49〜77〔種々のポリマーのアミン処理〕
実施例1のNB/MAポリマーをNMPに溶解させて25%(w/w)溶液を得た。実施例2の2M1P/MAポリマーをPGMEAに溶解させて25%(w/w)溶液を得た。実施例3の2M1P/DecNB/MAポリマーをPGMEAに溶解させて25%溶液を得た。実施例4の2M1P/NBTON/MAポリマーをPGMEAに溶解させて25%溶液を得た。実施例6のV−TMS/MAポリマー、実施例7のV−TMS/DecNB/MAポリマー、および実施例9のV−TMS/NBTON/MAポリマーをPGMEAに溶解させて25%(w/w)溶液を得た。実施例10のDecNB/NBTON/BuDMMINB/MAポリマーをPGMEAおよびNMP(9:1)に溶解させて24%(w/w)溶液を得た。実施例11のDecNB/NBTON/MGENB/MAポリマーをPGMEAおよびNMP(9:1)に溶解させて24%(w/w)溶液を得た。これらのポリマー溶液を、表7にまとめられている量および条件に従って、1−C17NHで処理した。
【0181】
【表7】
【0182】
溶液中に存在するポリマーの重量およびこれらのポリマーの合成に使用された供給比に基づいて、ポリマーサンプル中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。いくつかの実施例では、溶解性を向上させるためにアミン処理時に少量のNMPを添加した。
【0183】
実施例78〜101〔d−IBUまたは2,3,3−トリメチル−1−ペンテン(TP)/NBTON/MAポリマーのアミン処理〕
実施例12〜14のd−IBU/NBTON/MAポリマーをPGMEAに溶解させて30%(w/w)溶液を得た(実施例78〜90)。実施例15〜16のTP/NBTON/MAポリマーをGBLに溶解させて30%(w/w)溶液を得た(実施例91〜101)。
【0184】
【表8】
【0185】
これらのポリマー溶液を、表8にまとめられている量および条件に従って、1−C17NHで処理した。溶液中に存在するポリマーの重量およびこれらのポリマーの合成に使用された供給比に基づいて、ポリマーサンプル中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。選択されたポリマーの小量のサンプルを過剰のヘキサン中で沈殿させ、40〜60℃の真空オーブン中で15〜24時間乾燥させて、FT−IRおよび13C−NMRによる特性分析に供した。FT−IRおよび13C−NMRの分析から、式(IIIA)、(IIIB)および(IIIC)で示される繰返し単位は、本明細書に記載されているように、採用する条件によって様々な比で形成されることが明確に示された。すなわち、表8にまとめられているように、反応温度および反応時間は、特に、ポリマーのDRに明確な影響を及ぼす式(IIIB)で示される繰返し単位の形成に顕著な影響を及ぼすことが示された。
【0186】
実施例102〔d−IBU/NBTON/MAとn−オクチルアミンとの生成物のFT−IRの検討〕
実施例97から得られたポリマー溶液を用いてSiウエハ上にフィルムをスピン塗布し、露光後ベークした。ウエハを2つのピースに切断し、(a)一方のピースはベークなしでFT−IRの検討などにおける対照として使用し、(b)他方のピースをオーブン中、窒素雰囲気下、200℃/30分でベークした。塗膜のFT−IRスペクトルを測定し、図2に示す。生成混合物の組成が熱処理時に変化したことは、マレイミド繰返し単位(MI、1700cm−1)および無水マレイン酸繰返し単位(MA、約1775cm−1および1850cm−1)の形成を実証するものである。
【0187】
実施例103〜107〔Isobam−600のアミン処理〕
Isobam−600の6つの異なるバッチをNMPに溶解させて20〜30%(w/w)溶液を作製した。これらの溶液に、表9にまとめられている所定量の1−C15NHを添加して、23℃で15時間撹拌した。溶液中に存在するポリマーの重量および株式会社クラレにより報告されたIsobam−600の組成(IBU/MA=50/50)に基づいて、ポリマーサンプル中の無水マレイン酸繰返し単位の量を計算した。これらの溶液について、Siウエハ上にフィルムをスピン塗布し、2.38%TMAHへの溶解速度を決定した。比較のため、比較例と表記された例もまた表9に示されている。この比較例は、アミンをポリマーに添加しないと、得られる溶液のDRはゼロであり、画像形成に適切でないことを明確に示している。
【0188】
【表9】
【0189】
実施例108〜116〔アルキルアミンによるNB/MAコポリマーのアミン処理〕
実施例1および実施例1A〜1Cに記載のNB/MAの種々のコポリマーをこの実施例108で用いて、本発明に係る種々のアミン処理ポリマーを形成することができる。
【0190】
NB/MAコポリマー(5g)をMEKに溶解させて20重量%溶液を得、表10に対応する量のアミンを反応容器に添加し、室温で2〜3時間撹拌した。所定の反応時間の後、過剰のギ酸を添加し、水で3回洗浄した。これらのアミン処理溶液の一部を過剰のヘキサンに添加し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。上記アミン処理固体ポリマーを室温の真空オーブン中で一晩乾燥させた。これらの溶液について、Siウエハ上にスピン塗布された薄いフィルムが2.38%(w/w)TMAHに溶解する速度を測定した。このようにして調製された種々のアミン処理ポリマーおよびそれらについて得られた分子量を表10にまとめる。
【0191】
【表10】
【0192】
実施例117〔ROMIポリマーのポリマー組成物/配合物(以下「FP」という。)〕
以下のプロトコルの1つを用いて、実施例20〜116から選択したROMIポリマーを本発明に係る種々のポリマー組成物/配合物に配合した。
(A)ポリマーをPGMEAに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、そのまま使用した。この組成物は他の添加剤を含有しない。
(B)ポリマーをNMPに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、そのまま使用した。この組成物は他の添加剤を含有しない。
(C)ポリマーをGBLに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、そのまま使用した。この組成物は他の添加剤を含有しない。
(D)ポリマーをPGMEAまたはNMPに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの20重量%、すなわち、20部/100部ポリマー、20pphr)を添加した。
(E)ポリマーをPGMEAに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの25重量%、すなわちポリマー100部に対して25部、25pphr)を添加した。
(F)ポリマーをNMPに溶解させて25〜35重量%の溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの25重量%、すなわちポリマー100部に対して25部、25pphr)を添加した。
(G)ポリマーをPGMEAに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの27.5重量%、すなわちポリマー100部に対して27.5部、27.5pphr)を添加した。
(H)ポリマーをPGMEAに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの30重量%、すなわちポリマー100部に対して30部、30pphr)を添加した。
(I)ポリマーをNMPに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの30重量%、すなわちポリマー100部に対して30部、30pphr)を添加した。
(J)ポリマーをPGMEAに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの25重量%、すなわちポリマー100部に対して25部、25pphr)およびSi−75(ポリマーの3重量%、すなわちポリマー100部に対して3部、3pphr)を添加した。
(K)ポリマーをGBLに溶解させて25〜35重量%溶液を形成し、TrisP 3M6C−2−201(ポリマーの25重量%、すなわちポリマー100部に対して25部、25pphr)およびSi−75(ポリマーの3重量%、すなわちポリマー100部に対して3部、3pphr)を添加した。
さらに、種々の量の架橋剤(TMPTGE、PEGDGE、PPGDGE、EPON−862、Heloxy−65、Heloxy−84、またはGE−36、およびBY16−115)を配合物に添加した。
【0193】
実施例118〔スピン塗布手順〕
実施例108に示されるプロトコルの1つに従って作製されたポリマー組成物を、以下のスピン塗布プロトコル(以下「SP」という。)の1つを用いて適切な基材上にスピン塗布した。
(A)実施例117の配合物を、シリコンウエハなどの適切な基材上に、200〜700rpmで30〜40秒間スピン塗布した。
(B)実施例117の配合物を、シリコンウエハなどの適切な基材上に、最初に500rpmで10秒間、次いで600〜2200rpmで30秒間スピン塗布した。
【0194】
実施例119〔塗布後ベーク(PAB)プロトコル〕
実施例118のスピン塗布サンプルを、以下の手順のいずれか1つを用いて、塗布後ベークした(以下「PAB」という。)。
(A)90℃で5分、(B)100℃で3分、(C)100℃で5分、(D)110℃で3分、(E)110℃で5分、(F)115℃で3分、(G)115℃で5分、(H)120℃で3分、(I)120℃で5分、(I)130℃で3分、(J)105℃で3分。
【0195】
実施例120〔硬化プロトコル〕
実施例109の1つに示される手順で形成されたスピン塗布フィルムサンプルを、所要により、空気中ホットプレート上または窒素雰囲気のオーブン中でベークして、残留溶媒をフィルムから除去し、または熱硬化フィルムを得、またはフィルムに熱応力を付与した。以下の硬化プロトコルのいずれか1つを使用した。
(A)130℃で30分、(B)150℃で30分、(C)150℃で60分、(D)180℃で30分、(E)180℃で60分、(F)180℃で120分、(G)200℃で30分、(H)200℃で60分、(I)200℃で120分、(J)220℃で60分。
【0196】
実施例121〔水性塩基現像〕
実施例109で得られたスピン塗布基材を、適切な化学線で、パターン化マスクを用いてまたはマスクを用いずに画像露光した後、次のように現像した。露光したスピン塗布基材を種々の時間にわたり現像液(2.38重量%TMAH)に浸漬した(浸漬現像)。ポジ型(PT)現像用に配合されたフィルムについて、このフィルムの未露光領域の現像前および現像後のフィルム厚さを測定することにより、未露光領域フィルム厚さ損失または暗領域損失(DFL)を決定し、未露光領領域におけるフィルム厚さの損失パーセントとして記載した。
【0197】
実施例122〔光現像の検討〕
実施例117に示す手順の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。そのようにして調製された配合物を、実施例118に示す手順の1つにより4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つにより塗布後ベーク(PAB)して約10ミクロンのポリマーフィルムを得た。マスクを介して露光した後、実施例121に示す手順により2.38重量%TMAH現像液を用いてウエハを現像した。露光線量(EXD)は、サンプルの露光(365nm、バンドパスフィルター使用)に用いた広帯域Hg蒸気光源のエネルギーおよび露光時間の両方を反映したものであり、mJ/cm単位で記載される。一般に、サンプルはすべて良好なフィルム特性を呈した。
【0198】
実施例123〔光現像の検討〕
この実施例123では、実施例48のポリマーを用いる他は、実質的に実施例122を繰り返した。実施例48のポリマー(50.3g)をGBL(97.3g)に溶解させ、さらに27.5重量%のTrisP、3重量%のSi−75、5重量%のAO−80酸化防止剤および5重量%のNauguard−445と混合した。次いで、この混合物に、表11に示す種々の量の架橋剤を添加した。そこに列挙されている数は、pphr、すなわち樹脂(すなわち実施例48のポリマー)100部に対する添加部数である。実施例118(B)に示す手順により、すべてのサンプルを4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布した。次いで、実施例121に示す手順により、サンプルを適切な露光線量(EXD)で露光し、2.38重量%TMAHで現像した。次いで、上記サンプルのフィルム厚さ(FT)、%暗領域損失(DFL)および画像解像度を分析した。光現像の結果を表11にまとめる。
【0199】
【表11】
【0200】
実施例124〔熱硬化後のパターン保持〕
実施例122で得たシリコンウエハ上の所定の画像化フィルムを選択し、実施例120に記載の1つ以上の硬化プロトコルに付した。顕微鏡を用いて撮影されたトップダウン強調写真またはフィーチャーの断面のSEM画像に基づいて、硬化前および硬化後における画像品質またはパターン完全性の良し悪しを評価した。図3は、そのような実験の断面SEMプロファイルを示している。実施例31により形成されたポリマーを、実施例117の配合プロトコル(FP、J)に従い、架橋剤として35重量%TMPTGEを用いて配合した。実施例109に従って熱酸化シリコンウエハ上にフィルム(FT=10.11μm)をスピン塗布し(SP、B)、実施例119に従って115℃で3分間塗布後ベークした(PABプロトコル、F)。500mJ/cmでマスクを介して露光した後、実施例121に示す手順により2.38重量%TMAH現像液(90秒)を用いてウエハを現像してパターンを得た。現像後の暗領域損失(DFL)は8%であった。現像されたトレンチおよびコンタクトホールの断面SEM写真を撮影し、現像されたウエハを実施例120に示される硬化プロトコル「H」に付し、そして断面SEM写真を撮影した。図3からわかるように、14.81μmのトレンチ幅を達成することができる。このフィーチャーは、硬化後において上記寸法のわずか約0.2%を失ったにすぎず、一方、トレンチ幅10.14μmのフィーチャーはこの寸法のわずか4%を失ったにすぎないことから、パターン完全性の良好な保持性が示唆される。
【0201】
実施例125〔透明度測定(%T)〕
実施例117に示す手順の1つ(FP、A)を用いて、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。そのようにして製造された配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、AまたはB)により4インチガラス基材上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PAB、I)により塗布後ベーク(PAB)して約3ミクロンのポリマーフィルムを得、次いで、広帯域Hg蒸気光源を用いて1J/cm(365nm)で露光した(g、h、およびiバンド、365nmバンドパスフィルター使用、フラッド露光)。露光後、フィルムが塗布されたガラス基材を空気中ホットプレート上で実施例120に示される硬化プロトコル「J」に付し、Cary 100 UV−可視分光光度計を用いて、400nmの波長でフィルムの透明度(%T)を測定した。測定されたフィルム厚さおよび観測された硬化前または硬化後のフィルムの透明度を表12にまとめる。表12に報告されている透明度(%T)は、3μmのフィルム厚さに規格化されている。
【0202】
【表12】
【0203】
実施例126〜129〔誘電率測定〕
SMA3000(スチレン/MA、75/25)のポリマーサンプルおよび実施例15(d−IBU/NBTON/MA、30/20/50)のポリマーを、それぞれPGMEAに溶解させて、20重量%の各ポリマー溶液を得た。これらの溶液を、実施例20に記載のように1−CNHまた1−C17NHで処理し、得られた溶液にTrisP 3M6C−2−201(ポリマー重量基準で25重量%)およびTMPTGE(ポリマー重量基準で20重量%)を添加した。同様に、CVX50208(スチレン/ROMI、66/33)の溶液をPGMEAに溶解させて20重量%溶液を形成し、この溶液にTrisP 3M6C−2−201(ポリマー重量基準で25重量%)およびTMPTGE(ポリマー重量基準で20重量%)を添加した。次いで、配合物をアルミニウムプレート(厚さ200μm、100mm×100mm)上に300rpmで23秒間スピン塗布し、110℃で100秒間ソフトベークして約3ミクロンのポリマーフィルムを得、次いで広帯域Hg蒸気光源(g、h、およびiバンド)を有するマスクアライナーを用いて500mJ/cmの露光を行った。露光後、窒素雰囲気下220℃で60分間にわたりウエハを露光後ベークして硬化フィルムを得た。日本工業規格JIS−K6911に従って、フィルムの誘電率を測定した。大日本スクリーン製造株式会社製のラムダエースVM−1020を用いてフィルム厚さを測定した。誘電率の測定結果を表13にまとめる。
【0204】
【表13】
【0205】
実施例130〔TGA重量損失による熱分解測定〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、120℃で3分、H)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。実施例120の硬化プロトコル(200℃で60分、Hの硬化プロトコル)に従って、ウエハをオーブン中窒素雰囲気下でベークした。フィルムをウエハから除去し、10℃/分の昇温速度で室温から約500℃まで動的TGAを行った。5重量%損失(Td5)および50重量%損失(Td50)に対応する熱分解温度を決定し、表14にまとめた。
【0206】
【表14】
【0207】
実施例131〔ガラス転移温度測定〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、120℃で3分、H)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。実施例120の硬化プロトコル(200℃で60分、Hの硬化プロトコル)に従って、ウエハをオーブン中窒素雰囲気下でベークした。フィルムをウエハから除去し、TMA、DSCおよびDMAによりガラス転移温度を測定した。Tの測定結果を表15にまとめる。
【0208】
実施例132〔熱膨張係数(CTE)測定〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、120℃で3分、H)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。実施例120の硬化プロトコル(200℃で60分、Hの硬化プロトコル)に従って、ウエハをオーブン中窒素雰囲気下でベークした。フィルムをウエハから除去し、TMAを用いて熱膨張係数(CTE)を測定した。CTEの測定結果を表15にまとめる。
【0209】
【表15】
【0210】
実施例133〔引張特性測定結果〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、120℃で3分、H)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。実施例120の硬化プロトコル(200℃で60分、Hの硬化プロトコル)に従って、ウエハをオーブン中窒素雰囲気下でベークした。フィルムをウエハから除去し、Instronを用いて引張特性を測定した。引張特性の測定結果を表16にまとめる。
【0211】
【表16】
【0212】
実施例134〔破断伸び測定〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、120℃で3分、H)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。実施例120の硬化プロトコル(200℃で60分、Gの硬化プロトコル)に従って、ウエハをオーブン中窒素雰囲気下でベークした。フィルムをウエハから除去し、Instronを用いて破断伸び(ETB)を測定した。ETB測定結果を表17にまとめる。
【0213】
実施例135〔ウエハ応力測定〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、120℃で3分、H)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。実施例120の硬化プロトコル(硬化プロトコルA〜G)に従って、ウエハをオーブン中窒素雰囲気下でベークした。プロファイルメーターを用いてウエハ応力を測定した。ウエハ応力測定結果を表17にまとめる。
【0214】
【表17】
【0215】
実施例136〔表面粗さ測定〕
実施例117に示す手順(FP、A〜J)の1つにより、実施例20〜実施例116から選択したポリマーをポリマー組成物に配合した。その配合物を、実施例118に示す手順の1つ(SP、B)により4インチ熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、実施例119に示す手順の1つ(PABプロトコル、TMPTGEおよびheloxy−4を含有する実施例47のポリマーではG、他のものではH)により塗布後ベーク(PAB)して、ポリマーフィルムを得た。プロファイルメーターを用いてフィルムの表面粗さをR、RおよびRのパラメーターとして測定した。表面粗さ測定結果を表18にまとめる。
【0216】
【表18】
【0217】
実施例137〔熱サイクル評価〕
表19には、本発明の実施例に係るポリマー、配合物、光現像、硬化後におけるパターン完全性、熱サイクル(TCT)、表面粗さおよびウエハ応力の性質が挙げられている。
【0218】
【表19】
【0219】
実施例138〔フィルム膨潤試験〕
実施例117に記載の手順により、および以下の成分を用いて、実施例108〜116に記載の種々のポリマーを配合した。
MAK(240pphr)およびPGME(160pphr)中、PA−28(32.5pphr)、VG3101L(60pphr)、EHPE−3150(80pphr)、KBM−303(10pphr)、F557(0.7pphr)。
【0220】
上記で作製した配合物を用いて、ベアSi基材上にフィルム(厚さ3.0〜3.5μm)を塗布した。次いで、これらの塗膜を空気中230℃で60分間ベークした。光学フィルム厚さ計(大日本スクリーン製造株式会社製のラムダエースVM−1020)を用いて、上記ベークフィルムのフィルム厚さを測定した。上記ベークフィルムを、DMSO30重量%、モノエタノールアミン70重量%の混合溶媒に70℃で15分間浸漬した。このDMSO/MEA(30/70、wt/wt)混合溶媒への浸漬後、これらのフィルムのフィルム厚さ(FT)を測定した。これらの塗膜を230℃で15分間の「リカバーベーク」に付し、再びフィルム厚さ(FT)を測定した。これらの膨潤試験の結果を表20にまとめる。ベーク後、DMSO/MEAへの浸漬後、およびリカバーベーク後におけるフィルム厚さの増加%として計算されたフィルムの膨潤は、アミン処理ポリマーが、比較例3の1−BuOHで開環されたNB/MAのCOMAポリマーと比較して、最小限の膨潤(実施例4Aおよび5A2)、膨潤なし(実施例5A1)、または最小限のフィルム厚さ損失(実施例7A)を呈することを示している。このことから、本発明に係るポリマー、すなわちROMIポリマーは、一般に、ROMAポリマー(比較例3)との比較において、より優れた性質を呈することは明らかである。実施例108Aや実施例113Aなどのように文字付きで表記されたポリマーの実施例は、これらのポリマーが、本質的に各実施例の手順を用いて作製されたものであるが、異なるバッチに由来することを意味する。したがって、たとえば分子量などの特性はいくらか異なり得る。
【0221】
【表20】
【0222】
実施例139〔溶解の検討〕
膨潤性を測定するために実施例138で使用したのと類似の配合物を、この溶解挙動の検討にも使用した。ここでは異なる分子量を有する種々のROMIポリマーを使用した。配合物をSi基材上にスピン塗布した。それらが2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)に溶解する速度を目視で測定した。表21には、本検討に使用した種々のROMIポリマーが、それらの重量平均分子量(M)、溶解速度(DR)、さらにはDR測定時の観測結果(残渣発生が観測されたか否か)とともにまとめられている。これらのフィルムを2.38%TMAHで現像したときに残渣が発生しないことが望ましい。表21にまとめられているように、実施例111の配合物をスピン塗布して得られたフィルムは、現像時に残渣を発生しなかった。配合物に使用されたポリマーの実施例111および111Aによると、2.38%TMAHに対する所望の溶解性とともに、DMSO/MEAに対して望ましい膨潤特性が達成された。さらに、本発明に係るポリマーは、一般に、比較例3のROMAポリマーを用いて作製された配合物と比較して優れた性質を呈することが、表21に提示されるデータから明らかである。
【0223】
【表21】
【0224】
実施例140〔透明度測定(%T)〕
実施例108のポリマーをMAK(240pphr)およびPGME(160pphr)中でPA−28(32.5pphr)、TMPTGE(30pphr)、KBM−303(10pphr)、F−557(1pphr)と配合し、実施例111のポリマーをMAK(240pphr)およびPGME(160pphr)中でTrisP 3M6C−2−201(32.5pphr)、TMPTGE(30pphr)、KBM−303(10pphr)およびF−557(1pphr)と配合した。これらの配合物をガラスプレート上に300rpmで23秒間スピン塗布し、110℃で100秒間ソフトベークして約3ミクロンのポリマーフィルムを得、次いで、帯域Hg蒸気光源(g、h、およびiバンド)を有するマスクアライナーを用いて500mJ/cmで露光した。露光後、窒素雰囲気下230℃で60分間にわたりウエハを露光後ベークして硬化フィルムを得た。紫外可視分光器(日立製作所製U−2000)を用いて400nmの波長でフィルムの透明度を測定した。結果を表22にまとめる。
【0225】
実施例141〔誘電率(k)測定〕
実施例140の透明度測定において説明したポリマーの実施例108および111の配合物を、低抵抗の4インチSiベアウエハ上に300rpmで23秒間スピン塗布し、110℃で100秒間ソフトベークして約3ミクロンのポリマーフィルムを得、次いで広帯域Hg蒸気光源(g、h、およびiバンド)を有するマスクアライナーを用いて500mJ/cmで露光した。露光後、窒素雰囲気下230℃で60分間にわたりウエハを露光後ベークして硬化フィルムを得た。日本工業規格JIS−K6911に従って、フィルムの誘電率を測定した。大日本スクリーン製造株式会社製のラムダエースVM−1020を用いてフィルム厚さを測定した。結果を表22にまとめる。
【0226】
実施例142〔5%重量損失温度(Td5)測定〕
実施例140の透明度測定において説明したポリマーの実施例108および111の配合物を、4インチ熱酸化シリコンウエハ上に300rpmで23秒間スピン塗布し、110℃で100秒間ソフトベークして約3ミクロンのポリマーフィルムを得、次いで広帯域Hg蒸気光源(g、h、およびiバンド)を有するマスクアライナーを用いて500mJ/cmで露光した。露光後、窒素雰囲気下220℃で60分間にわたりウエハを露光後ベークして硬化フィルムを得た。フィルムをウエハから除去し、フィルムの5%重量損失温度(Td5)をTGDTAにより測定した。測定条件は窒素気流下10℃/分とした。
【0227】
配合フィルムに関し、実施例140の透明度データ、実施例141の誘電率、および実施例142の5%重量損失温度(Td5)を表22にまとめる。
【0228】
【表22】
【0229】
実施例143
実施例26および27のポリマーを、TrisP−2(25重量%)、TMPTGE(35重量%)およびSi−75(3重量%)と配合した。これらの配合ポリマーを熱酸化シリコンウエハ上にスピン塗布し、それぞれ110℃で3分間ソフトベークした。これらのポリマー配合物の光現像能を、実質的に実施例122(光現像の検討)に記載の手順に従って試験した。これらの検討の結果を表23にまとめる。これらの配合フィルムの暗領域損失(DFL)から、式(IIIB)で示される繰返し単位のモル含有率が低いポリマー(すなわち実施例26のポリマー)(22%損失)を使用した場合、DFLは、式(IIIB)で示される繰返し単位のモル含有率が大きいポリマー(すなわち、DFL損失の低い(5%損失)実施例27のポリマー)よりも高いことが示される。
【0230】
【表23】
【0231】
以下の比較例1〜3は、上述した実施例1〜19のいずれかに記載された無水マレイン酸と他のオレフィンモノマーとのコポリマー(COMA)とアルコールとの反応による対応する開環無水マレイン酸コポリマー(ROMA)の比較特性を示すために提供される。
【0232】
比較例1〔1−COHによるPENB/MAのROMA変換〕
適切なサイズの反応容器にNaOH(5.5g、138mmol)、1−COH(52g、700mmol)およびTHF(40g)を仕込んだ。この混合物を60℃で約2時間撹拌した。次いで、実施例19で得られたポリマー溶液のアリコート(100g)を反応混合物に添加し、60〜70℃に維持した。60〜70℃で約20時間反応させた後、この混合物を室温まで冷却した。次いで、この反応混合物を水性濃塩酸(30g)でプロトン化し、30分間撹拌した。DI水(100mL)を添加し、10分間撹拌し、水性層を除去した。次いで、ポリマー溶液を7回洗浄し(各100mLで洗浄)、残留する塩および酸を除去した。各洗浄時には、適正量のTHF(約20g)を添加して相分離を促進した。有機相を分離し、ポリマーをヘキサン(約6倍過剰)中で沈殿させた。得られたスライムをTHF(100g)に再溶解させ、過剰のヘキサン中での沈殿を繰り返した。最後に、固体ポリマーを濾過により分離し、70℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて29gの固体を得た。(GPC(THF)M=5,150、M=2,800、収率=63%)。KBrペレットで測定したFT−IRスペクトルにおいて、1776cm−1および1855cm−1の無水物カルボニル吸収ピークが消失し、かつ1732cm−1のブロードピーク(エステルおよびカルボン酸の−C=O)および約3100cm−1を中心とするブロードピーク(カルボン酸の−OH)が出現することから実証されるように、無水マレイン酸繰返し単位の開環が確認された。
【0233】
比較例2〔1−COHによるSMA1000のROMA変換〕
適切なサイズの反応容器にNaOH(11g、275mmol)、1−COH(102g、1200mmol)、トルエン(50g)およびTHF(50g)を仕込んだ。この混合物を60℃で約2時間撹拌した。この混合物に、THF(80g)に溶解させたSMA1000(50g)を添加し、反応混合物を60〜70℃に維持した。60〜70℃で約20時間反応させた後、この混合物を室温まで冷却した。次いで、この反応混合物を水性濃塩酸(57g)でプロトン化し、15分間撹拌した。DI水(200mL)を添加し、15分間撹拌し、水性層を除去した。次いで、ポリマー溶液を6回洗浄し(各200mLで洗浄)、残留する塩および酸を除去した。各洗浄時には、適正量のTHF(約25g)を添加して相分離を促進した。有機相(約400g)を分離し、ポリマーをヘキサン(約6倍過剰)中で沈殿させた。得られたスライムを60℃の真空オーブン中で15時間乾燥させて54gの固体を得た。(GPC(THF)M=4,800、M=3,050、収率=79%)。KBrペレットで測定したFT−IRスペクトルにおいて、1780cm−1および1856cm−1の無水物カルボニル吸収ピークが消失し、かつ1709cm−1(エステルの−C=O)および1709cm−1(カルボン酸の−C=O)のブロードピークならびに約3100cm−1を中心とするブロードピーク(カルボン酸の−OH)が出現することから実証されるように、無水マレイン酸繰返し単位の開環が確認された。
【0234】
比較例3〔1−COHによるNB/MAコポリマーのROMA変換〕
無水マレイン酸(MA、98.1g、1mol)、ノルボルネン(NB、94.2g、1mol)、およびジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(9.2g、40mmol)をトルエン(37g)およびMEK(340g)に溶解させ、適切なサイズの反応槽に仕込んだ。この溶液を窒素で10分間スパージして酸素を除去し、次いで撹拌しながら70℃に加熱した。この混合物を70℃で16時間撹拌した。この反応混合物をMEK(250g)で希釈した。この反応混合物をNaOH(44.05g、1.1mol)とn−BuOH(370.91g、5mol)との懸濁液に添加し、65℃で3時間混合した。次いで、この混合物を40℃まで冷却し、プロトン化のために濃HClで処理し、次いで水で3回洗浄した。有機相を分離し、残留モノマーをヘキサンで抽出した。抽出後、反応混合物にn−BuOH(74.18g、1mol)を添加し、追加のエステル化のために120℃に加熱した。サンプルを取り出してポリマーの溶解速度をモニターし、所望の溶解速度が達成されたら反応混合物を冷却し、溶媒をPGMEAと交換した。651.4gの開環型追加エステル化ポリマーを、20重量%溶液として得た(GPC M=13,600)。
【0235】
比較例4
この比較例4では、無水マレイン酸のコポリマーがアミンで不適切に処理されると、本発明に係るポリマーおよびポリマー組成物が形成されないことを示すものである。
【0236】
CVX50208は、スチレン/MA(SMA2000)とn−ブチルアミンとの反応により形成されたコポリマーであり、Cray Valley社から購入したものである。このポリマーをPGMEA中に30%(w/w)を超える濃度で含む溶液を作製しようと試みたが、うまくいかなかった。本明細書に記載される実験の目的から、スピン塗布により10マイクロメートル以上の厚いフィルムを形成し得る配合物のためには、30%(w/w)を超える濃度のポリマー溶液が望ましい。このポリマーをPGMEA中に25%(w/w)の濃度で含む溶液を調製してSi基材上にスピン塗布し、その2.38%(w/w)TMAHへの溶解速度を測定した。このフィルムの溶解速度は531nm/sであった。このポリマーのPGMEAへの溶解度および2.38%(w/w)TMAHへの溶解速度は、配合および10マイクロメートルの厚さの光現像には適していなかった。このポリマーのFT−IR分析では、約1730cm−1のピークの存在により実証されるカルボン酸官能基の存在ならびに1600cm−1のアミドおよびカルボン酸アミン塩のピークの存在が示された。式(IIIB)で示される繰返し単位すなわちMI単位の存在は、典型的には1700cm−1の鋭いバンドにより実証されるが、かかる証拠は見いだされなかった。このポリマーの13C−NMRスペクトルは、実施例39に記載したような、構造(IIIB)の特有の176〜180ppmのピークを有していなかった。実施例20〜37のアミン処理プロトコルとしては、式(IIIA)で示されるアミド酸型構造が部分閉環して式(IIIB)で示されるMI単位になることにより、PGMEAおよび2.38%(w/w)TMAHへの所望の溶解性を有するポリマーが生成されるものを採用した。
【0237】
以上の実施例のいくつかにより本発明を例示してきたが、本発明はこれらの実施例により限定されるものと解釈すべきではなく、以上に開示されるように一般的領域(generic area)を包含する。本発明には、その趣旨および範囲から逸脱することなく、種々の変更や実施形態を適用することができる。
なお、この出願により開示される事項には、以下のものが含まれる。
〔1〕
式(IA)により表され、式(I)で示されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位
【化53】
(式中、
mは、整数0、1または2であり、
Xは、CH、CH−CH、O、またはNR(Rは直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルである)であり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C16)アルキル、ヒドロキシ(C〜C16)アルキル、パーフルオロ(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C12)ビシクロアルキル、(C〜C14)トリシクロアルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、パーフルオロ(C〜C10)アリール、パーフルオロ(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、(C〜C12)ビシクロアルコキシ、(C〜C14)トリシクロアルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリールオキシ、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ、(C〜C)アシルオキシ、オキシラニル(C〜C)アルキル、オキシラニル(CHO(CH−、ハロゲン、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
( aは、整数0、1、2、3または4であり、
bは、整数0、1、2、3または4であり、かつ
Rは、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
で示される基を表す)ならびに/あるいは
式(IIA)により表され、式(II)で示されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位
【化54】
(式中、
、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキル、または式(B):
−SiR (B)
( R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される)
で示される基から選択されるか、あるいはRまたはRのうち1つは、R10またはR11のうち1つおよびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)ならびに
式(IIIA)または(IIIB)により表され、式(III)で示されるモノマーに由来する第3のタイプの繰返し単位(IIIA)または(IIIB)
【化55】
(式中、
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素または直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルまたはフッ素化もしくは過フッ素化(C〜C)アルキルを表し、
14は、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
を含むポリマーであって、
上述した基のそれぞれは、原子価により許容される場合、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)パーフルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、ポリマー。
〔2〕
前記ポリマーが、式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIC)により表される第3のタイプの繰返し単位をさらに含む、
【化56】
(式中、R12およびR13は請求項1に定義されるとおりである)
上記〔1〕に記載のポリマー。
〔3〕
前記ポリマーが、式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIID)により表される第3のタイプの繰返し単位をさらに含む、
【化57】
(式中、R12およびR13は請求項1に定義されるとおりである)
上記〔1〕または〔2〕に記載のポリマー。
〔4〕
前記ポリマーが、式(III)で示されるモノマーに由来する式(IIIE)により表される第3のタイプの繰返し単位をさらに含む、
【化58】
(式中、R12、R13、およびR14は請求項1に定義されるとおりである)
上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔5〕
X=CH
m=0、
、R、R、およびRが、独立して、水素、ヘキシル、デシル、オキシラニル−CHOCH−、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
(式中、
aは1または2であり、
bは2または3であり、かつ
Rは、メチル、エチル、n−プロピル、またはn−ブチルである)
である、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔6〕
、R、R10、およびR11が、同一であるかもしくは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、neo−ペンチル、フェニル、トリメチルシリル、およびトリエチルシリルから選択されるか、または
およびR10が、同一であるかもしくは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、またはエチルから選択され、かつRが、R11およびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、またはシクロオクチル環を形成する、
上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔7〕
12およびR13が、同一であるかもしくは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、メチル、またはエチルから選択され、かつ
14が、(C〜C18)アルキルである、
上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔8〕
前記ポリマーが1つ以上の第1のタイプの繰返し単位を含む、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔9〕
前記ポリマーが1つ以上の第2のタイプの繰返し単位を含む、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔10〕
前記ポリマーが、0〜75モル%の第1のタイプの繰返し単位と、0〜90モル%の第2のタイプの繰返し単位と、10〜60モル%の第3のタイプの繰返し単位とを含む、上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔11〕
第1のタイプの繰返し単位が、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、
2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン、および
5−フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔12〕
第2のタイプの繰返し単位が、
2−メチルプロプ−1−エン、
2−メチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−2−エン、
トリメチル(ビニル)シラン、および
スチレン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載のポリマー。
〔13〕
式(IA)により表され、式(I)で示されるモノマーに由来する第1のタイプの繰返し単位
【化59】
(式中、
mは、整数0、1または2であり、
Xは、CH、CH−CH、O、またはNR(Rは直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルである)であり、
、R、R、およびRは、独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C16)アルキル、ヒドロキシ(C〜C16)アルキル、パーフルオロ(C〜C12)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C12)ビシクロアルキル、(C〜C14)トリシクロアルキル、(C〜C10)アリール、(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、パーフルオロ(C〜C10)アリール、パーフルオロ(C〜C10)アリール(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルキル、ジ(C〜C)アルキルマレイミド(C〜C)アルコキシ(C〜C)アルキル、ヒドロキシ、(C〜C12)アルコキシ、(C〜C12)シクロアルコキシ、(C〜C12)ビシクロアルコキシ、(C〜C14)トリシクロアルコキシ、(C〜C10)アリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリールオキシ、(C〜C10)ヘテロアリールオキシ、(C〜C)アシルオキシ、オキシラニル(C〜C)アルキル、オキシラニル(CHO(CH−、ハロゲン、または式(A):
−(CH−(OCH−CH−OR (A)
( aは、整数0、1、2、3または4であり、
bは、整数0、1、2、3または4であり、かつ
Rは、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
で示される基を表す)ならびに/あるいは
式(IIA)により表され、式(II)で示されるモノマーに由来する第2のタイプの繰返し単位
【化60】
(式中、
、R、R10、およびR11は、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキル、または式(B):
−SiR (B)
( R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、かつそれぞれ互いに独立して、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される)
で示される基から選択されるか、あるいはRまたはRのうち1つは、R10またはR11のうち1つおよびそれらが結合されている炭素原子と一緒になって、(C〜C)シクロアルキル環を形成する)ならびに
式(IIIA)または(IIIB)により表され、式(III)で示されるモノマーに由来する第3のタイプの繰返し単位(IIIA)または(IIIB)
【化61】
(式中、
12およびR13は、それぞれ互いに独立して、水素または直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキルまたはフッ素化もしくは過フッ素化(C〜C)アルキルを表し、
14は、水素、直鎖状または分岐状の(C〜C20)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルである)
を含有するポリマーであって、
上述した基のそれぞれは、原子価により許容される場合、直鎖状または分岐状の(C〜C)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、(C〜C)パーフルオロアルキル、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)シクロアルコキシ、(C〜C)パーフルオロアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、直鎖状または分岐状のヒドロキシ(C〜C)アルキル、(C〜C10)アリール、または(C〜C12)アラルキルから選択される1つ以上の基で置換されていてもよい、ポリマーと、
ジアゾ官能基部分を含有する光活性化合物と、
担体溶媒と、
を含む光現像性組成物。
〔14〕
前記ジアゾ官能基部分が、式(IV)、(V)、または(VI):
【化62】
で示される、上記〔13〕に記載の組成物。
〔15〕
前記光活性化合物が、
【化63】
(式中、少なくとも1つのDは式(IV)、(V)または(VI)で示されるジアゾ官能基部分であり、残りのDは水素である)
からなる群から選択される、上記〔13〕または〔14〕に記載の組成物。
〔16〕
第1のタイプの繰返し単位が、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ヘキシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−オクチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−デシルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−((2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)メチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
1−(4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)ブチル)−3,4−ジメチル−1H−ピロール−2,5−ジオン、
2−((ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イルメトキシ)メチル)オキシラン、および
5−フェネチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、上記〔13〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔17〕
第2のタイプの繰返し単位が、
2−メチルプロプ−1−エン、
2−メチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−1−エン、
2,4,4−トリメチルペント−2−エン、
トリメチル(ビニル)シラン、および
スチレン
からなる群から選択されるモノマーに由来する、上記〔13〕〜〔16〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔18〕
前記担体溶媒が、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アニソール、アセトン、メチル3−メトキシプロピオネート、テトラヒドロフラン(THF)およびそれらの組合せ混合物からなる群から選択される、上記〔13〕〜〔17〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔19〕
前記担体溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)およびそれらの組合せ混合物からなる群から選択される、上記〔13〕〜〔18〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔20〕
2,2’−(((2−エチル−2−((オキシラン−2−イルメトキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))−ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(TMPTGE)、
ビス(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)メタン(EPON862)、
脂肪族トリオールのポリグリシジルエーテル(Heloxy84)、
パラ−第3級ブチルフェノールのグリシジルエーテル(Heloxy65)、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(PEGDGE)、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(PPGDGE)、および
それらの組合せ混合物
からなる群から選択される1種以上の架橋剤をさらに含む、上記〔13〕〜〔19〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔21〕
前記架橋剤が、
2,2’−(((2−エチル−2−((オキシラン−2−イルメトキシ)メチル)プロパン−1,3−ジイル)ビス(オキシ))−ビス(メチレン))ビス(オキシラン)(TMPTGE)、
ビス(4−(オキシラン−2−イルメトキシ)フェニル)メタン(EPON862)、
脂肪族トリオールのポリグリシジルエーテル(Heloxy84)、および
それらの組合せ混合物
からなる群から選択される、上記〔13〕〜〔20〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔22〕
前記ポリマーが、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンに由来する繰返し単位と、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンで開環した無水マレイン酸に由来する繰返し単位とを含有するコポリマー、および
スチレンに由来する繰返し単位と、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−ヘキサデシルアミンまたはn−オクタデシルアミンで開環した無水マレイン酸に由来する繰返し単位とを含有するコポリマー
からなる群から選択される、上記〔13〕〜〔21〕のいずれか一項に記載の組成物。
〔23〕
上記〔13〕〜〔22〕のいずれか一項に記載の組成物を適切な基材に塗布してフィルムを形成することと、
マスクを用いて適切な放射線で露光することにより前記フィルムをパターニングすることと、
露光後に前記フィルムを現像して光パターンを形成することと、
適切な温度に加熱することにより前記フィルムを硬化させることと
を含む、マイクロエレクトロニクスデバイスまたは光電子デバイスを作製するためのフィルムを形成する方法。
〔24〕
前記塗布がスピン塗布により行われる、上記〔23〕に記載の方法。
〔25〕
前記現像が水性現像液により行われる、上記〔23〕または〔24〕に記載の方法。
〔26〕
前記現像液が水性水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)である、上記〔25〕に記載の方法。
〔27〕
前記基材が、前記硬化の前に最初に約70℃〜約130℃の温度で2分間〜10分間ソフトベークされる、上記〔23〕〜〔26〕のいずれか一項に記載の方法。
〔28〕
前記硬化が、約120℃〜約250℃の温度で約20分間〜約180分間行われる、上記〔23〕〜〔27〕のいずれか一項に記載の方法。
〔29〕
上記〔13〕〜〔22〕のいずれか一項に記載の組成物を硬化させて得られた硬化物。
〔30〕
上記〔29〕に記載の硬化物を含む光電子デバイスまたはマイクロエレクトロニクスデバイス。
〔31〕
1MHzで3.2以下の誘電率を有する、上記〔29〕に記載の硬化物。
〔32〕
250℃で30分間の硬化後、400nmで85%を超える透明度を有する、上記〔29〕に記載の硬化物。
図1
図2
図3