特許第6321849号(P6321849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社博報堂DYホールディングスの特許一覧

特許6321849データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム
<>
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000002
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000003
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000004
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000005
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000006
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000007
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000008
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000009
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000010
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000011
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000012
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000013
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000014
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000015
  • 特許6321849-データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム 図000016
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6321849
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】データ提供システム、データ提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   G06F17/30 120A
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-55592(P2017-55592)
(22)【出願日】2017年3月22日
【審査請求日】2017年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】507009009
【氏名又は名称】株式会社博報堂DYホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】新納 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤原 晴雄
(72)【発明者】
【氏名】道本 龍
【審査官】 松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−500439(JP,A)
【文献】 特開2003−016098(JP,A)
【文献】 特開2013−200833(JP,A)
【文献】 特開2016−157360(JP,A)
【文献】 特開2011−113374(JP,A)
【文献】 特開2012−181797(JP,A)
【文献】 特開2003−288505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/14
17/30
19/00
21/10
21/60−21/88
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外部装置の夫々に関して、ユーザの意思に基づく、データの粒度を指定する指定情報を取得するように構成される取得部と、
記憶装置が記憶する前記ユーザの身体に関する登録データ、前記指定情報に従う粒度の身体データとして用いて、外部装置からの要求に応じた身体データを、要求元の外部装置に送信するように構成される制御部と、
を備え
前記制御部は、前記登録データを前記外部装置からの要求に応じた身体データに変換するための変換規則を取得する一方、前記要求元の外部装置に関して前記指定情報により指定された粒度が前記変換規則を用いて前記要求に応じた身体データを生成可能な粒度であるか否かを判別し、前記生成可能な粒度であると判別したことを条件に、前記変換規則に従って、前記要求に応じた身体データを前記登録データから生成するデータ提供システム。
【請求項2】
前記記憶装置は、前記ユーザの身体に関する複数の登録データを時間情報と関連付けて記憶し、前記複数の登録データの夫々は、関連付けられた前記時間情報に対応する時点の前記ユーザの身体に関するデータであり、
前記指定情報は、時間条件を指定する情報を含み、
前記制御部は、前記記憶装置が記憶する前記複数の登録データに基づき、前記指定情報により指定された前記時間条件に適合する期間及び前記指定された粒度の身体データを用いて、前記要求元の外部装置に前記要求に応じた身体データを送信する請求項記載のデータ提供システム。
【請求項3】
前記登録データの鮮度を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に従って、前記鮮度が基準未満であることを通知する通知部と、
を更に備える請求項1又は請求項記載のデータ提供システム。
【請求項4】
記制御部は、前記登録データから前記指定情報に従う粒度の身体データを抽出、前記抽出した身体データから、前記変換規則に従って前記要求に応じた身体データを生成する請求項1〜請求項のいずれか一項記載のデータ提供システム。
【請求項5】
前記身体データは、前記ユーザの体形及び味覚の少なくとも一方に関するデータである請求項1〜請求項のいずれか一項記載のデータ提供システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記ユーザの体形に関する粒度の異なる複数の身体データの内、前記指定情報に従う粒度の身体データを用いて前記要求に応じた身体データを生成する請求項1〜請求項のいずれか一項記載のデータ提供システム。
【請求項7】
前記複数の身体データは、第一の身体データと、前記第一の身体データよりも粒度の大きい第二の身体データと、を含み、前記第一の身体データは、前記ユーザの身体の連続的な三次元形状を表す形状データであり、前記第二の身体データは、前記ユーザの身体における一つ以上の部位の寸法を表す寸法データである請求項記載のデータ提供システム。
【請求項8】
前記身体データは、前記ユーザの体形に関するデータを含み、
前記外部装置は、前記制御部からの前記身体データに基づき、前記身体データに対応するユーザ向けの服飾品に関する情報を提供する装置である請求項1〜請求項のいずれか一項記載のデータ提供システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記生成可能な粒度であると判別した場合には、前記変換規則に従って、前記要求に応じた身体データを生成し、前記生成した身体データを前記要求元の外部装置に送信し、前記生成可能な粒度ではないと判別した場合には、前記変換規則によらずに、前記指定情報に従う粒度の身体データを、前記要求元の外部装置に送信するように構成される請求項1記載のデータ提供システム。
【請求項10】
請求項1〜請求項のいずれか一項記載のデータ提供システムが備える前記制御部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項11】
コンピュータが実行するデータ提供方法であって、
複数の外部装置の夫々に関して、ユーザの意思に基づく、データの粒度を指定する指定情報を取得することと、
記憶装置が記憶する前記ユーザの身体に関する登録データ、前記指定情報に従う粒度の身体データとして用いて、外部装置からの要求に応じた身体データを、要求元の外部装置に送信することと
を含み、前記送信することは、
前記登録データを前記外部装置からの要求に応じた身体データに変換するための変換規則を取得することと、
前記要求元の外部装置に関して前記指定情報により指定された粒度が前記変換規則を用いて前記要求に応じた身体データを生成可能な粒度であるか否かを判別することと、
前記生成可能な粒度であると判別されたことを条件に、前記変換規則に従って、前記要求に応じた身体データを前記登録データから生成することと
を含むデータ提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ提供システム及びデータ提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント装置がサーバ装置にユーザの個人情報を送信するシステムが既に知られている(例えば特許文献1参照)。個人情報保護のために、クライアント装置が個人情報を加工してサーバ装置に送信する技術も既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−16098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
個人情報保護のために、クライアント装置が個人情報を加工してサーバ装置に送信することは、有意義である。しかしながら、各個人に特化したサービスをサーバ装置が各個人に提供するためには、詳細な個人情報が必要である。即ち、個人の希望によらない過度な個人情報保護は、個人に不満を生じさせる可能性がある。
【0005】
そこで、本開示の一側面によれば、身体データの提供に関して柔軟性を有するシステムを提供できることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るデータ提供システムは、取得部と、制御部とを備える。取得部は、ユーザの意思に基づく、データの粒度を指定する指定情報を取得するように構成される。制御部は、記憶装置が記憶するユーザの身体に関する登録データに基づき、指定情報に従う粒度の身体データを、外部装置に送信するように構成される。従って、本開示の一側面によれば、身体データの提供に関して柔軟性を有するシステムを提供することができる。
【0007】
本開示の一側面によれば、制御部は、上記指定情報に従う粒度の身体データとして、ユーザの身体的特徴を当該粒度に対応した区分又は精度で表す身体データを、外部装置に送信するように構成されてもよい。
【0008】
本開示の一側面によれば、取得部は、複数の外部装置の夫々に関して、データの粒度を指定する指定情報を取得するように構成されてもよい。この場合、制御部は、複数の外部装置の夫々に、指定情報に従う粒度の身体データを送信するように構成され得る。この側面では、複数の外部装置の夫々に対し、ユーザの意思に基づいた個別の粒度で、身体データを提供することができ、身体データの提供に関する柔軟性を高めることができる。
【0009】
本開示の一側面によれば、制御部は、上記複数の外部装置の一部に選択的に身体データを送信するように構成され得る。本開示の一側面によれば、制御部は、上記複数の外部装置の内の、ユーザから指定された外部装置に、指定情報に従う粒度の身体データを送信するように構成されてもよい。制御部は、複数の外部装置の内の、身体データを要求する外部装置に、指定情報に従う粒度の身体データを送信するように構成されてもよい。
【0010】
制御部は、身体データを、指定情報により指定された粒度及びそれより大きい粒度で、外部装置に送信するように構成されてもよい。制御部は、例えば、上記指定情報に従う粒度の身体データとして、指定情報により指定された粒度及びそれより大きい粒度の範囲で、外部装置からの要求に応じた粒度の身体データを、外部装置に送信するように構成されてもよい。このような送信形態は、ユーザ及び外部装置の双方によって有益である。
【0011】
制御部は、登録データを、外部装置からの要求に応じた粒度の身体データに変換するための変換規則を取得し、取得した変換規則に従って、外部装置に送信する身体データを生成するように構成されてもよい。このような構成によれば、粒度の大きい身体データでありながら、外部装置にとって有意義な身体データを、外部装置に提供することができる。
【0012】
本開示の一側面によれば、服飾品に関する情報を提供する外部装置に対してユーザの身体データを提供するデータ提供システムが提供されてもよい。この場合、外部装置は、制御部からの身体データに基づき、身体データに対応するユーザ向けの服飾品に関する情報を提供することができる。
【0013】
本開示の一側面によれば、記憶装置は、ユーザの身体に関する複数の登録データを時間情報と関連付けて記憶してもよい。複数の登録データの夫々は、関連付けられた時間情報に対応する時点のユーザの身体に関するデータであってもよい。
【0014】
この場合、上記指定情報は、時間条件を指定する情報を含んでいてもよい。制御部は、記憶装置が記憶する複数の登録データに基づき、指定情報により指定された時間条件に適合する期間及び指定された粒度の身体データを、外部装置に送信するように構成されてもよい。制御部は、送信する身体データに、ユーザの身体に関する最新データ以外の過去のデータを含ませるか否かを、指定された時間条件に従って切り替えるようにして、当該身体データを外部装置に送信するように構成されてもよい。
【0015】
記憶装置が記憶する登録データは、粒度の異なる複数の身体データのセットであってもよい。登録データは、指定情報により指定可能な最小粒度又はそれより小さい粒度でユーザの身体的特徴を表すデータであってもよい。この場合、制御部は、登録データに基づき、指定情報に従う粒度の身体データを生成して外部装置に送信するように構成されてもよい。
【0016】
本開示の一側面によれば、データ提供システムは、判定部と通知部とを備えてもよい。判定部は、登録データの鮮度を判定するように構成されてもよい。通知部は、判定部による判定結果に従って、鮮度が基準未満であることを通知するように構成されてもよい。
【0017】
本開示の一側面によれば、身体データは、ユーザの体形及び味覚の少なくとも一方に関するデータであってもよい。制御部は、ユーザの体形に関する粒度の異なる複数の身体データの内、指定情報に従う粒度の身体データを、外部装置に送信するように構成されてもよい。これら複数の身体データは、第一の身体データと、第一の身体データよりも粒度の大きい第二の身体データと、を含んでいてもよい。第一の身体データは、ユーザの身体の連続的な三次元形状を表す形状データであってもよく、第二の身体データは、ユーザの身体における一つ以上の部位の寸法を表す寸法データであってもよい。
【0018】
本開示の一側面によれば、上述したデータ提供システムが備える機能の少なくとも一つをコンピュータに実現させるためのプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、コンピュータを上述したデータ提供システムが備える制御部として機能させるためのプログラムが提供されてもよい。本開示の一側面によれば、上述したデータ提供システムが実行する処理に対応するデータ提供方法が提供されてもよい。
【0019】
本開示の一側面によれば、ユーザの意思に基づく、データの粒度を指定する指定情報を取得することと、記憶装置が記憶するユーザの身体に関する登録データに基づき、指定情報に従う粒度の身体データを、外部装置に送信することとを含むデータ提供方法が提供されてもよい。データ提供方法は、コンピュータ又はプロセッサにより実行される方法であってもよい。コンピュータ又はプロセッサに上述したデータ提供方法を実行させるための命令を含むコンピュータプログラムが提供されてもよい。このコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ読取可能な一時的でない記録媒体が提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】通信システムの構成を表すブロック図である。
図2】ユーザデバイスが記憶するデータに関する説明図である。
図3】身体データの提供方法に関する説明図である。
図4】ユーザデバイスが実行するデータ更新用の処理を表すフローチャートである。
図5】ユーザデバイスが実行するベンダサーバとの通信処理を表すフローチャートである。
図6】第二実施形態における身体データの提供方法に関する説明図である。
図7】第三実施形態の通信システムの構成を表すブロック図である。
図8】管理システムが記憶するデータに関する説明図である。
図9】管理システムが実行する処理を表すフローチャートである。
図10】ベンダサーバが実行する処理を表すフローチャートである。
図11】第三実施形態における要素間の通信態様を示すブロック図である。
図12】第四実施形態の管理システムが実行する鮮度判定用の処理を表すフローチャートである。
図13】第五実施形態の管理システムが記憶するデータに関する説明図である。
図14】第五実施形態の管理システムが実行する処理を表すフローチャートである。
図15】第六実施形態の管理システムが実行する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本開示の例示的実施形態を、図面を参照しながら説明する。
[第一実施形態]
本実施形態の通信システム1は、複数のユーザデバイス10と、複数のベンダサーバ30とを備える。ユーザデバイス10及びベンダサーバ30は、広域ネットワークを通じて互いに通信可能に接続される。広域ネットワークの例には、インターネットが含まれる。ベンダサーバ30の例には、オンラインストアを提供するサーバが含まれる。ユーバデバイスの例には、スマートフォン及びタブレット等のモバイル通信デバイスが含まれる。
【0022】
この通信システム1において、ユーザは、ユーザデバイス10からベンダサーバ30にアクセスして、オンラインストアで買い物をすることができる。ベンダサーバ30は、例えば服飾品を販売するオンラインストアを提供することができる。服飾品の例には、人が身体に装着する被服及び装身具が含まれる。被服の例には、帽子、衣服、履物、及び、下着が含まれる。
【0023】
オンラインストアにおけるユーザの利便性を高めるために、ユーザデバイス10からベンダサーバ30には、ユーザの身体データを提供することができる。身体データの提供に基づいて、ベンダサーバ30からユーザデバイス10へは、ユーザの身体に適合した商品情報を提供し、購買行為を促進及び/又は支援することができる。
【0024】
しかしながら、個人情報保護に対する考え方の違いにより、身体データの提供には、消極的な消費者が存在する。消極的な消費者は、身体データの粒度が小さいほど増加する。ここでいう粒度は、所謂「情報粒度」及び/又は「データ粒度」に対応する。従って、「粒度」が小さいことは、対応する身体データに含まれるユーザの身体に関する情報が詳細/高精度であることを意味する。消極的な消費者は、データ提供先の企業の信頼度が低いほど更に増加する。
【0025】
一方で、身体データの粒度が小さいほど、ベンダサーバ30からユーザデバイス10には、ユーザの身体により適合した商品情報を提供することが可能である。このため、本実施形態では、ユーザデバイス10が、インストールされたアプリケーションプログラムに従う処理の実行により、ユーザから指定された粒度に従う粒度で、ベンダサーバ30に身体データを提供するように構成される。
【0026】
図1に示すように、ユーザデバイス10は、処理部11と、記憶部13と、通信部15と、ユーザインタフェース17と、を備える。
処理部11は、CPU111とRAM115とを備える。CPU111は、記憶部13が記憶するプログラムに従う処理を実行することにより、ユーザデバイス10を統括制御し、各種機能を実現する。RAM115は、CPU111による処理実行時に作業用メモリとして使用される。以下では、CPU111が実行する処理を、処理部11又はユーザデバイス10が実行する処理として説明する。
【0027】
記憶部13は、処理部11により実行されるプログラム、及び、プログラムと共に使用されるデータを記憶する。記憶部13の例には、フラッシュメモリ及びハードディスクが含まれる。
【0028】
通信部15は、広域ネットワークを通じて、ベンダサーバ30を含む外部装置と通信可能に構成される。通信部15は、更にローカル通信及び/又は近距離通信可能に構成される。ユーザインタフェース17は、図示しない操作部及び表示部を備え、ユーザからの操作を受付可能、及び、ユーザに対して各種情報を表示可能に構成される。表示部の例には、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイが含まれる。操作部の例には、表示部の画面上に広がるタッチパネルが含まれる。
【0029】
図2に示すように記憶部13には、身体データD1とランク指定データD2とが格納される。身体データD1及びランク指定データD2は、記憶部13に記憶される図示しない上述のアプリケーションプログラムによって読み出されて使用される。このアプリケーションプログラムは、身体データD1からの抽出データをオンラインストアに提供する機能を処理部11に実現させるためのプログラムであり、ユーザデバイス10にインストールされて処理部11により実行される。以下では、身体データD1から抽出されてベンダサーバ30に提供される身体データのことを、抽出身体データDSとも表現する。
【0030】
身体データD1は、ユーザの体形を計測するための計測機器50を用いて作成される。計測機器50は、例えば、ユーザが利用可能なように、街中に複数設置される。計測機器50は、例えば、ユーザの体形を光学的に読み取るように構成される。計測機器50には、公知のスキャナ装置を採用することができる。
【0031】
計測機器50により生成された身体データD1は、計測機器50とユーザデバイス10との間の通信により、ユーザデバイス10に提供される。処理部11は、この身体データD1を記憶部13に保存する。
【0032】
本実施形態によれば、身体データD1は、図3に示すように、テクスチャデータD11、モデリングデータD12、及び、寸法データD13を含む。テクスチャデータD11、モデリングデータD12、及び、寸法データD13は、互いに粒度の異なる複数の身体データである。
【0033】
モデリングデータD12は、ユーザの身体の三次元形状を表す形状データである。テクスチャデータD11は、モデリングデータD12よりも高精細な/高解像度の/高精度のユーザの身体の三次元形状を表す。具体的には、テクスチャデータD11は、ユーザの身体表面の詳細情報を有する。テクスチャデータD11が、モデリングデータD12よりも高精細な/高解像度の/高精度のユーザの三次元形状を表す点で、テクスチャデータD11は、モデリングデータD12よりも粒度の小さいデータである。
【0034】
一方、寸法データD13は、ユーザの身体の、離散的な複数部位の寸法を表す。寸法データD13は、服飾分野において一般的な採寸パラメータである、身長、頭囲、胸囲、胴囲、腰囲、及び、裄丈などの情報を有することができる。
【0035】
テクスチャデータD11及びモデリングデータD12が連続した身体の三次元形状を表すのに対し、寸法データD13が限られた身体部位の寸法を表す点で、寸法データD13は、テクスチャデータD11及びモデリングデータD12よりも粒度の大きいデータである。
【0036】
処理部11は、このように構成された身体データD1から、ランク指定データD2に従う粒度の身体データを抽出し、これを抽出身体データDSとして、複数のベンダサーバ30のそれぞれに提供するように動作する。
【0037】
ランク指定データD2は、複数のベンダサーバ30のそれぞれに対しての指定情報D21を備える。指定情報D21は、ベンダサーバ30に提供可能な身体データの最小粒度を示す。従って、指定情報D21は、ベンダサーバ30に提供可能な身体データの粒度を、ベンダサーバ30のランクとして指定する情報であると理解されてよい。
【0038】
ベンダサーバ30のランクがランク値「1」からランク値「3」の三段階で指定される場合、ランク値「1」のベンダサーバ30は、テクスチャデータD11、及び、それより大きい粒度の身体データを受け取ることが、ユーザから許可されたベンダサーバである。ユーザデバイス10からランク値「1」のベンダサーバ30には、テクスチャデータD11、モデリングデータD12、及び、寸法データD13に基づく抽出身体データDSが送信される。
【0039】
一方、ランク値「2」のベンダサーバ30は、モデリングデータD12、及び、それより大きい粒度の身体データを受け取ることが、ユーザから許可されたベンダサーバである。換言すれば、ランク値「2」のベンダサーバ30は、テクスチャデータD11に基づく抽出身体データDSを受け取ることが禁止されたベンダサーバである。従って、ユーザデバイス10からランク値「2」のベンダサーバ30には、モデリングデータD12、及び、寸法データD13に基づく抽出身体データDSが送信される。
【0040】
ランク値「3」のベンダサーバ30は、寸法データD13に基づく抽出身体データDSを受け取ることがユーザから許可されたベンダサーバである。換言すれば、ランク値「2」のベンダサーバ30は、テクスチャデータD11及びモデリングデータD12に基づく抽出身体データDSを受け取ることが禁止されたベンダサーバである。従って、ユーザデバイス10からランク値「3」のベンダサーバ30には、寸法データD13に基づく抽出身体データDSが送信される。
【0041】
ユーザは、利用するオンラインストアに対応するベンダサーバ30毎に、対応する企業の信頼度、及び、データ提供によって得られる利便性を考慮して、そのベンダサーバ30のランクを指定することができる。
【0042】
処理部11は、ユーザインタフェース17を通じて、ランク指定画面の表示指示がユーザから入力されると、図4に示す処理を実行する。この処理において、処理部11は、ランク指定画面をユーザインタフェース17に表示させ(S110)、ランク指定画面を通じたランク指定に関するユーザ操作を受け付ける(S120)。ランク指定に関するユーザ操作が完了すると、処理部11は、その操作内容に従って、記憶部13が記憶するランク指定データD2を更新する(S130)。
【0043】
更に、処理部11は、ユーザインタフェース17を通じて、複数のベンダサーバ30のいずれかへのアクセス指示がユーザから入力されると、図5に示す処理を実行するように構成される。この処理において、処理部11は、アクセス先のベンダサーバ30のランクを、ランク指定データD2を参照して特定する(S210)。
【0044】
その後、処理部11は、記憶部13が記憶する身体データD1からのデータ抽出により、上記特定したランクに対応する粒度でユーザの身体的特徴を表した抽出身体データDSを生成する(S220)。処理部11は、アクセス先のランク値が「1」である場合には、テクスチャデータD11を格納した抽出身体データDSを生成することができる。アクセス先のランク値が「2」である場合には、モデリングデータD12を格納した抽出身体データDSを生成することができる。アクセス先のランク値が「3」である場合には、寸法データD13を格納した抽出身体データDSを生成することができる。
【0045】
別例として、S220では、アクセス先に提供可能な全てのデータを格納した抽出身体データDSが生成されてもよい。即ち、処理部11は、アクセス先のランク値が「1」である場合には、テクスチャデータD11、モデリングデータD12、及び、寸法データD13を格納した抽出身体データDSを生成し、アクセス先のランク値が「2」である場合には、モデリングデータD12、及び、寸法データD13を格納した抽出身体データDSを生成してもよい。
【0046】
更なる別例として、S220では、アクセス先のベンダサーバ30にとって不要なデータを除くように、抽出身体データDSが生成されてもよい。上述したように、身体データD1は、ユーザの身体の全体に関するデータである。しかしながら、服飾系商品の一部を取扱うベンダサーバでは、身体の一部(例えば頭や足)に関するデータが不要な場合がある。複数のベンダサーバ30の中には、詳細な身体データを取扱うことができない、又は、活用することができないベンダサーバも存在し得る。
【0047】
従って、処理部11は、S220において、アクセス先のベンダサーバ30に必要とするデータ又は不要なデータを問い合わせ、その応答から特定される不要なデータを削除した形態で、抽出身体データDSを生成してもよい。この場合、処理部11は、ベンダサーバ30の要求に応じて、ランク値が「1」のベンダサーバ30に対して、テクスチャデータD11及びモデリングデータD12を含まない、寸法データD13のみを格納した抽出身体データDSを生成し得る。
【0048】
処理部11は、抽出身体データDSの生成後、この抽出身体データDSを、アクセス先のベンダサーバ30に送信する(S230)。当該送信により、アクセス先のベンダサーバ30からユーザデバイス10には、抽出身体データDSから特定されるユーザの身体に適合した商品情報を含むウェブデータが送信されてくる。ユーザデバイス10は、このウェブデータを、アクセス先のベンダサーバ30から受信する(S240)。ユーザデバイス10は、受信したウェブデータに基づき、オンラインストアのウェブページを、ユーザインタフェース17の表示部に表示させることができる。
【0049】
以上に説明した第一実施形態の通信システム1によれば、ユーザは、信頼できるオンラインストア又は良く利用するオンラインストアに対し、詳細な身体データを提供することができる。これにより、ユーザは、ユーザデバイス10を通じてベンダサーバ30から自己によく適合したウェブページを取得し、快適にオンラインショッピングを楽しむことができる。
【0050】
一方、ユーザは、信頼できないオンラインストア又はあまり利用しないオンラインストアに対しては、詳細な身体データを提供しないように、対応するベンダサーバ30のランクを指定することができ、自己の個人情報を適切に保護することができる。このように、本実施形態によれば、柔軟なデータ提供を行うことができ、各消費者に利便性の高いオンラインショッピング環境を提供することができる。
【0051】
上記実施形態において、処理部11は、テクスチャデータD11、モデリングデータD12、及び、寸法データD13からのデータ選択により、指定されたランクに対応する粒度の抽出身体データDSを生成した。しかしながら、テクスチャデータD11は、モデリングデータD12及び寸法データD13よりも身体形状に関する情報量の多いデータであり、テクスチャデータD11は、モデリングデータD12及び寸法データD13に変換可能である。
【0052】
従って、身体データD1は、テクスチャデータD11のみを備えるように構成されてもよい。この場合、処理部11は、記憶部13が記憶する身体データD1としてのテクスチャデータD11を、S220において、モデリングデータD12及び/又は寸法データD13に変換して、抽出身体データDSを生成することができる。
【0053】
[第二実施形態]
第一実施形態では、服飾系商品を取り扱うベンダサーバ30に身体データを提供する例について説明した。しかしながら、ベンダサーバ30は、食品を取り扱うオンラインストアを提供するベンダサーバであってもよい。即ち、通信システム1は、食品を取り扱うベンダサーバ30に、身体データD1を提供するように構成されてもよい。この場合、身体データD1は、ユーザの味覚に関するデータを備えることができる。
【0054】
以下では、図6を用いて第二実施形態における身体データD1の構成を説明し、図5を用いて、第二実施形態において処理部11が実行する処理の内容を説明する。第二実施形態における通信システムの構成及び動作は、以下に説明する構成及び動作を除いて、第一実施形態と同様であると理解されてよい。
【0055】
図6に示す例によれば、ユーザデバイス10が記憶する身体データD1は、味覚数値データD17と、第一嗜好データD18と、第二嗜好データD19とを備える。味覚数値データD17は、ユーザの味覚を数値により表すデータである。味覚数値データD17は、味覚の要素毎に、その要素に対するユーザの感度を数値で表す。味覚の要素は、例えば、甘味、苦味、酸味、塩味、及び、うま味である。
【0056】
本実施形態における計測機器50は、ユーザの味覚を数値化して、身体データD1を生成する。味覚の数値化は、例えば脳波の測定により実現可能である。味覚の数値化は、試食を通じて実現されてもよい。味覚は、ユーザとのやり取りにより曖昧さを含む手法で、数値化されてもよい。
【0057】
第一嗜好データD18は、食品タイプ毎の嗜好度を表すデータとして構成される。食品タイプ毎の嗜好度は、味覚数値データD17を、分類器に入力して得ることができる。分類器は、例えば、味覚に関する統計データに基づいて設計される。
【0058】
嗜好度は、例えば、好き/ふつう/嫌いの三段階で表現することができる。この場合、第一嗜好データD18は、味覚数値データD17が示す味覚に関する数値の組合せが、食品タイプ毎に、好き/ふつう/嫌いの三つの区分のいずれかに分類されて構成される点で、味覚数値データD17よりも粒度の大きいデータである。
【0059】
第二嗜好データD19は、第一嗜好データD18よりも大きな分類に対応する食品カテゴリ毎の嗜好度を表すデータとして構成される。即ち、一つの食品カテゴリは、複数の食品タイプの集合から構成される。第二嗜好データD19も、第一嗜好データD18と同様に、味覚数値データD17を、分類器に入力して得ることができる。第二嗜好データD19は、食品タイプより大きな分類である食品カテゴリ毎の嗜好度を表す点で、第一嗜好データD18よりも粒度の大きいデータである。
【0060】
本実施形態の処理部11は、テクスチャデータD11、モデリングデータD12、及び、寸法データD13に代えて、味覚数値データD17、第一嗜好データD18、及び、第二嗜好データD19を用いて、ランク指定データD2が示すアクセス先のランクに応じた粒度の抽出身体データDSを、アクセス先のベンダサーバ30に送信するように、図5に示す処理を実行する。
【0061】
即ち、処理部11は、複数のベンダサーバ30のいずれかへのアクセス指示がユーザから入力されると、図5に示す処理を開始し、アクセス先のベンダサーバ30のランクを、ランク指定データD2を参照して特定する(S210)。
【0062】
更に、処理部11は、記憶部13が記憶する身体データD1からの抽出により、上記特定したランクに対応する粒度でユーザの身体的特徴を表した抽出身体データDSを生成する(S220)。処理部11は、アクセス先のランク値が「1」である場合、味覚数値データD17を格納した抽出身体データDSを生成する。アクセス先のランク値が「2」である場合には、第一嗜好データD18を格納した抽出身体データDSを生成する。アクセス先のランク値が「3」である場合には、第二嗜好データD19を格納した抽出身体データDSを生成する。
【0063】
処理部11は、このように抽出身体データDSを生成した後、当該生成した抽出身体データDSを、アクセス先のベンダサーバ30に送信する(S230)。処理部11は、これに応答して、アクセス先のベンダサーバ30から送信されてくるウェブデータを受信する(S240)。処理部11は、受信したウェブデータに基づき、ユーザの味覚に適合したおすすめ商品情報を有するオンラインストアのウェブページを、ユーザインタフェース17の表示部に表示させる。
【0064】
別例として、身体データD1は、味覚数値データD17のみを有していてもよい。代わりに、アプリケーションプログラムには、上述した分類器としての機能を処理部11に実現させるための命令を組み込むことができる。
【0065】
この場合、処理部11は、アクセス先のランク値が「2」である場合、S220において、味覚数値データD17を第一嗜好データD18に変換し、この第一嗜好データD18を格納した抽出身体データDSを生成することができる。アクセス先のランク値が「3」である場合、処理部11は、味覚数値データD17を第二嗜好データD19に変換し、この第二嗜好データD19を格納した抽出身体データDSを生成することができる。
【0066】
更なる別例として、処理部11は、分類器に対応する関数情報を、アクセス先のベンダサーバ30から取得してもよい。ベンダサーバ30は、ユーザの味覚に適合したおすすめ商品情報を含むウェブデータを、ユーザデバイス10に提供するために、味覚数値データD17を、取り扱う商品群に対応する嗜好データに変換するための関数情報をユーザデバイス10に提供することができる。
【0067】
ユーザデバイス10の処理部11は、S220において、アクセス先のランク値が「1」又は「2」である場合、アクセス先のベンダサーバ30から関数情報を取得し、この関数情報に従って、味覚数値データD17を、アクセス先のベンダサーバ30が取扱う食品タイプ毎の嗜好度を表すデータに変換し、この嗜好度を表すデータを格納した抽出身体データDSを、アクセス先のベンダサーバ30に提供することができる。
【0068】
[第三実施形態]
第三実施形態の通信システム3は、複数のユーザデバイス10に共通する管理システム70が広域ネットワークに接続された構成にされる。第三実施形態は、通信システム3が管理システム70を備える点、及び、身体データ及びランク指定データがユーザデバイス10ではなく管理システム70にて保持及び管理される点で、第一実施形態とは異なる。第三実施形態における通信システム3の構成及び動作は、以下に説明する構成及び動作を除いて、第一実施形態と同様であると理解されてよい。
【0069】
図7に示すように、管理システム70は、処理部71と、記憶部73と、通信部75とを備える。管理システム70は、一つ以上のサーバマシンで構成される。処理部71は、CPU711とRAM715とを備える。CPU711は、記憶部73が記憶するプログラムに従う処理を実行することにより、各種機能を実現する。RAM715は、CPU711による処理実行時に作業用メモリとして使用される。以下では、CPU711が実行する処理を、処理部71又は管理システム70が実行する処理として説明する。
【0070】
記憶部73は、処理部71により実行されるプログラム、及び、プログラムと共に使用されるデータを記憶する。通信部75は、広域ネットワークを通じて、ユーザデバイス10、ベンダサーバ30、計測機器50と通信可能に構成される。
【0071】
図8に示すように記憶部73は、ユーザ毎の登録データD5を備える。登録データD5は、ユーザIDに関連付けて、属性データD51と、身体データD52と、ランク指定データD53と、を有する。ユーザIDは、ユーザ、又は、ユーザに対応するユーザデバイス10の識別コードである。属性データD51は、ユーザの性別及び年齢等の属性を記憶する。
【0072】
身体データD52及びランク指定データD53は、それぞれ、第一実施形態の身体データD1及びランク指定データD2と同様に構成される。本実施形態において、身体データD52は、ユーザIDと関連付けられた状態で、計測機器50から管理システム70に広域ネットワークを通じて提供される。
【0073】
管理システム70の処理部71は、図9に示す処理を繰返し実行するように構成される。処理部71は、計測機器50から身体データD52を受信すると(S310でYes)、その身体データD52を、対応するユーザの登録データD5内に時間情報D521と共に格納する(S315)。時間情報D521は、例えば、身体の計測日時を表す情報として、計測機器50から身体データD52と共に提供される。処理部71は、時間情報D521として、身体データD52の受信日時又は保存日時を示す情報を、登録データD5内に格納してもよい。
【0074】
処理部71は、ユーザデバイス10からランク指定データD53を受信すると(S320でYes)、受信したランク指定データD53を、対応するユーザの登録データD5内に格納して、登録データD5内のランク指定データD53を更新する(S325)。本実施形態によれば、ユーザデバイス10の処理部11は、図4に示す処理を開始すると、管理システム70から、登録データD5に保存されているランク指定データD53を取得し(S110)、一時保存したランク指定データD53を、操作内容に従って更新し、更新後のランク指定データD53を管理システム70に送信するように動作する(S130)。
【0075】
この他、処理部71は、ベンダサーバ30から身体データの要求信号を受信すると(S330でYes)、要求信号が示すユーザIDに基づき、対応するユーザの登録データD5を参照しながら、第一実施形態において処理部11が実行するS210〜S230と同様の処理を、S340〜S360において実行する。
【0076】
即ち、処理部71は、要求元のベンダサーバ30のランクを特定し(S340)、特定したランクに従う粒度の抽出身体データDSを、登録データD5内の身体データD52に基づいて生成し(S350)、生成した抽出身体データDSを、要求元のベンダサーバ30に送信する(S360)。
【0077】
一方、ベンダサーバ30は、ユーザデバイス10からのアクセスがあると、図10に示す処理を実行する。即ち、ベンダサーバ30は、アクセス元のユーザデバイス10からユーザIDを取得し(S410)、取得したユーザIDの情報を含む身体データの要求信号を管理システム70に送信する(S420)。これにより、管理システム70から送信されてくる抽出身体データDSを受信し(S430)、受信した抽出身体データDSに基づき、ユーザの身体に適合した商品情報を含むウェブデータを、アクセス元のユーザデバイス10に送信する(S440)。
【0078】
このように本実施形態では、各ユーザの身体データD52及びランク指定データD53が、管理システム70で管理される。ベンダサーバ30への抽出身体データDSの提供は、図11に示すように、ユーザデバイス10がベンダサーバ30にアクセスする際、ユーザIDを通知し、ベンダサーバ30が、そのユーザIDに基づき、管理システム70に身体データを要求することにより実現される。従って、本実施形態によれば、ユーザデバイス10にて身体データD52を管理することなく、第一実施形態と同様に、ユーザに対して良好なオンラインショッピング環境を提供することができる。
【0079】
本実施形態では、ベンダサーバ30が管理システム70に身体データを要求した。しかしながら、ユーザデバイス10が、ベンダサーバ30へのアクセスに先駆けて、管理システム70から、抽出身体データDSを取得し、取得した抽出身体データDSをベンダサーバ30に送信してもよい。本実施形態に対応する技術的思想は、第二実施形態に適用されてもよい。
【0080】
[第四実施形態]
第四実施形態の通信システムは、以下に説明する追加機能を有する点を除いて第三実施形態の通信システム3と同様に構成される。
【0081】
本実施形態の管理システム70は、上記追加機能として、各ユーザの身体データD52の鮮度を判定し、鮮度が基準未満である場合にはユーザに再計測を促す機能を有する。具体的に、管理システム70の処理部71は、図12に示す処理を繰返し実行することにより、上記追加機能を実現する。
【0082】
処理部71は、図12に示す処理を開始すると、判定対象のユーザを選択する。具体的には、判定対象の登録データD5を選択する(S510)。その後、処理部71は、判定対象の登録データD5に含まれる属性データD51を参照して、判定対象のユーザの年齢を特定する(S520)。その後、ユーザの年齢と、登録データD5に格納される身体データD52の時間情報D521と、に基づいて、登録されている身体データD52の鮮度を判定する(S530)。
【0083】
周知のように、身体の成長速度は、年齢によって変化する。基本的には、若い人ほど成長が速い。従って、年齢を考慮せずに、身体の計測日時から所定期間が経過したことを条件に、ユーザに向けてデータが古いことを通知するメッセージ及び/又は身体の再計測を促すメッセージを送信する方法では、適切なタイミングでメッセージを送信できない可能性がある。
【0084】
そこで、S530では、年齢を考慮した身体データD52の鮮度判定を行なう。この判定は、記憶部73が年齢毎の閾値を記憶することで実現可能である。例えば、処理部71は、身体データD52に付属する時間情報D521が示す日時を、その身体データD52が表す身体の計測日時とみなして、計測日時から現在までの経過時間を算出する。そして、算出した経過時間を、ユーザの年齢に対応する閾値と比較する。経過時間が閾値を超えている場合には、鮮度が基準未満であると判定し、経過時間が閾値以下である場合には、鮮度が基準以上であると判定する。
【0085】
処理部71は、S530における鮮度の判定結果に従って、鮮度が基準未満である場合には(S540でYes)、データが古いことを通知するメッセージ及び/又は身体の再計測を促すメッセージを、判定対象のユーザに対応するユーザデバイス10に送信する(S550)。その後、S560に移行する。メッセージは、ユーザデバイス10で受信されたとき、処理部11の動作により、ユーザインタフェース17の表示部に表示される。
【0086】
一方、鮮度が基準以上である場合(S540でNo)、処理部71はS550の処理を実行することなく、S560に移行する。S560において、処理部71は、全ユーザに関して身体データD52の鮮度判定を行なったかを判断し、全て行なった場合(S560でYes)、図12に示す処理を終了する。一方、全て行なっていない場合には(S560でNo)、S510に移行する。そして、別のユーザを判定対象に選択して、S520以降の処理を実行する。
【0087】
本実施形態によれば、身体データD52が古いかどうかを、ユーザの年齢を加味して判定し、身体データD52が古い場合には、即ち、鮮度が基準未満である場合には、ユーザにメッセージを送信する。従って、身体データD52が示す身体形状と、実際の身体形状との間に考慮すべき誤差があることをユーザが知らずに、身体データD52に基づく商品情報がベンダサーバ30から届くことによる不都合を抑制することができる。
【0088】
別例として、身体データD52の鮮度は、ユーザ個々の条件で判定されてもよい。例えば、処理部71は、ユーザの過去の身体データD52を解析することで、そのユーザの身体の変動カーブを推定することができる。処理部71は、当該変動カーブ及び身体データD52の計測日時、から推定される現在の身体形状と、身体データD52が表す現在の身体形状と、の間の誤差が基準より大きい場合に、鮮度が基準未満であると判定し、誤差が基準以下である場合に、鮮度が基準以上であると判定することができる。この他、処理部71は、鮮度が基準未満である場合、身体データD52の利用を停止してもよい。
【0089】
[第五実施形態]
第五実施形態の通信システムは、以下に説明する点を除いて第三実施形態の通信システム3と同様に構成される。
【0090】
図13に示すように、第五実施形態の通信システムは、管理システム70の記憶部73が、第三実施形態の登録データD5とは異なる登録データD6を、ユーザ毎に記憶する。登録データD6は、ユーザIDに関連付けて、属性データD61と、身体データD62の一群と、ランク指定データD63と、を備える。属性データD61は、第三実施形態の属性データD51と同様に構成される。
【0091】
身体データD62の夫々は、第三実施形態の身体データD52と同じである。身体データD62の一群は、具体的には、計測日時の異なる身体データD62の一群である。ランク指定データD63は、ベンダサーバ30毎に、ランクを指定する指定情報D631と、時間条件を指定する時間条件情報D632を備える。時間条件は、ベンダサーバ30に提供可能な身体データの計測時期に関する条件である。指定情報D631は、第一実施形態の指定情報D21と同じである。
【0092】
本実施形態において、管理システム70の処理部71は、計測機器50から受信した新しい身体データD62を古い身体データD62に上書きするようには保存せず、古い身体データD62を残したまま新しい身体データD62を保存するように動作する(図9のS315)。各身体データD62は、時間情報D621と関連付けられて、登録データD6内に保存される。
【0093】
更に、処理部71は、ベンダサーバ30から身体データの要求信号を受信した場合、S340〜S360の処理に代えて、図14に示すS640〜S660の処理を実行するように動作する。S640において、処理部71は、ランク指定データD63、具体的には、身体データの要求元に関する指定情報D631及び時間条件情報D632を参照して、要求元のランク及び時間条件を特定する。その後、ランク及び時間条件に従う情報を身体データD62の一群から抽出して、ベンダサーバ30に送信する抽出身体データDSを生成する(S650)。
【0094】
時間条件情報D632は、例えば、時間条件として、第一条件及び第二条件のいずれかを示す。第一条件は、身体データとして最新データのみ提供可能であることを示す。第二条件は、最新及び過去の身体データを提供可能であることを示す。
【0095】
従って、特定された時間条件が第一条件である場合、処理部71は、身体データD62の一群の内、最新の身体データD62にのみ基づいて、ランクに対応する粒度の抽出身体データDSを生成する。このケースにおいて生成される抽出身体データDSは、S350と同じである。
【0096】
一方、特定された時間条件が第二条件である場合、処理部71は、身体データD62の一群を用いて抽出身体データDSを生成する。具体的に、処理部71は、身体データD62のそれぞれに対応する、ランクに対応する粒度の抽出身体データをS350と同様に生成する。その後、各身体データD62に対応する抽出身体データを統合して、送信用の抽出身体データDSを生成する。処理部71は、S660において、上記手法で生成した抽出身体データDSを、要求元のベンダサーバ30に送信する。
【0097】
以上に説明した通信システムによれば、計測日時の異なる複数の身体データD62に基づく抽出身体データDSを、ベンダサーバ30に送信することができる。従って、ベンダサーバ30からユーザへは、身体的特徴の変化を加味してユーザに適切なおすすめ商品情報を提供可能である。一方、ユーザは、過去の身体データの提供を拒否することで、個人情報を保護しながらも、許容可能な範囲で身体データを提供して、快適なオンラインショッピングを楽しむことができる。
【0098】
本実施形態の通信システムは、更に詳細に時間条件を指定可能な構成にされてもよい。この場合、処理部71は、時間条件に適合する期間に計測された身体情報を含む1つ以上の身体データD62からのデータ抽出によって、抽出身体データDSを生成することができる。
【0099】
[第六実施形態]
第六実施形態の通信システムは、以下に説明する点を除いて第三実施形態の通信システム3と同様に構成される。
【0100】
本実施形態によれば、管理システム70の処理部71は、ベンダサーバ30から身体データの要求信号を受信すると、S340〜S360の処理に代えて、図15に示すS710〜S770の処理を実行する。
【0101】
処理部71は、S710において、要求元のベンダサーバ30のランクを特定する。更に、処理部71は、要求信号と共に、ベンダサーバ30から変換テーブルを受信したか否かを判断し(S720)、変換テーブルを受信していない場合には(S720でNo)、S730に移行し、変換テーブルを受信している場合には(S720でYes)、S740に移行する。
【0102】
S730において、処理部71は、S350と同様に、特定したランクに従う粒度の抽出身体データDSを、登録データD5内の身体データD52に基づいて生成し、生成した抽出身体データDSを、要求元のベンダサーバ30に送信する(S770)。
【0103】
S740において、処理部71は、ベンダサーバ30のランクが受信した変換テーブルを使用可能なランクであるか否かを判定する。処理部71は、ベンダサーバ30のランクが、規定粒度より小さい粒度の身体データを提供可能なランクである場合に肯定判断し、それ以外の場合には否定判断する。
【0104】
処理部71は、S740で否定判断すると、S730に移行して、変換テーブルを用いずに、変換テーブルがない場合と同じ手法で抽出身体データDSを生成し、これを要求元のベンダサーバ30に送信する(S770)。
【0105】
処理部71は、S740で肯定判断すると、S750に移行し、身体データD52からベンダサーバ30のランクに対応する最小粒度の身体データを抽出する。更に、当該抽出した身体データ内の情報を、変換テーブルに従う情報に変換して、抽出身体データDSを生成する(S760)。
【0106】
変換テーブルは、例えば、ベンダサーバ30が取扱う各服飾系商品のサイズ表を含むデータであり得る。この場合、処理部71は、ランクに対応する最小粒度の身体データであるテクスチャデータD11又はモデリングデータD12から特定される身体寸法を、各服飾系商品のサイズ表と照合して、ユーザの身体に適合する各服飾系商品のサイズを特定することができる。そして、ユーザの身体に適合する各服飾系商品のサイズの情報を含む抽出身体データDSを生成することができる。処理部71は、このように変換テーブルを用いて生成した抽出身体データDSを、要求元のベンダサーバ30に送信する(S770)。
【0107】
本実施形態の通信システムによれば、ユーザの身体に関する個人情報を保護しながら、ベンダサーバ30には、ユーザのオンラインショッピング環境の向上に役立つ情報を提供することができる。ベンダサーバ30は、上記抽出身体データDSに基づき、適切に、ユーザの身体に適合する商品情報をユーザに提供することができる。
【0108】
[その他の実施形態]
以上に、本開示の例示的実施形態を説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。例えば、身体データは、体形及び味覚に関するデータに限られない。身体データは、身体に関する種々のデータを含むことができる。また、身体データは、健康に関する情報を提供するために使用されてもよいし、他の目的で使用されてもよい。また、記憶部13,73に登録される身体データD1,D52,D62は、ベンダサーバ30に提供される抽出身体データDSの最小粒度よりも粒度の小さい身体データあってもよい。
【0109】
この他、上記実施形態における1つの構成要素が有する機能は、複数の構成要素に分散して設けられてもよい。複数の構成要素が有する機能は、1つの構成要素に統合されてもよい。上記実施形態の構成の一部は、省略されてもよい。上記実施形態の構成の少なくとも一部は、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換されてもよい。特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0110】
[対応関係]
最後に、用語間の対応関係を説明する。処理部11,71がランク指定データD2,D53,D63を更新すること及びランク指定データD2,D53,D63から指定情報D21,D631を読み出すことは、取得部が指定情報を取得することの一例に対応する。処理部11,71が記憶部13,73に登録される身体データD1,D52,D62に基づき、抽出身体データDSを生成して送信することは、制御部が指定情報に従う粒度の身体データを外部装置に送信することに対応する。
【符号の説明】
【0111】
1,3…通信システム、10…ユーザデバイス、11…処理部、111…CPU、115…RAM、13…記憶部、15…通信部、17…ユーザインタフェース、30…ベンダサーバ、50…計測機器、70…管理システム、71…処理部、711…CPU、715…RAM、73…記憶部、75…通信部、D1,D52,D62…身体データ、D2,D53,D63…ランク指定データ、D5,D6…登録データ、D21,D631…指定情報、D521,D621…時間情報、D632…時間条件情報。
【要約】
【課題】身体データの提供に関して柔軟性を有するシステムを提供する。
【解決手段】データ提供システム(1;3)は、取得部(11,S130;71,S325)と、制御部(11,S230;71,S360)とを備える。取得部は、ユーザの意思に基づく、データの粒度を指定する指定情報(D2;D53)を取得するように構成される。制御部は、記憶装置(13;73)が記憶するユーザの身体に関する登録データ(D1;D52)に基づき、指定情報に従う粒度の身体データ(DS)を、外部装置(30)に送信するように構成される。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15