特許第6321881号(P6321881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321881ブロワが一体化された流体分配用インサート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321881
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ブロワが一体化された流体分配用インサート
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/74 20060101AFI20180423BHJP
   B60N 2/56 20060101ALI20180423BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   A47C7/74 C
   B60N2/56
   A47C27/00 F
【請求項の数】20
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-502820(P2017-502820)
(86)(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公表番号】特表2017-526411(P2017-526411A)
(43)【公表日】2017年9月14日
(86)【国際出願番号】IB2015001748
(87)【国際公開番号】WO2016027159
(87)【国際公開日】20160225
【審査請求日】2017年3月15日
(31)【優先権主張番号】62/025,521
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514185921
【氏名又は名称】ジェンサーム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】デニス マイケル ミロン
【審査官】 中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−504296(JP,A)
【文献】 特開2004−196286(JP,A)
【文献】 米国特許第7862113(US,B2)
【文献】 特開2002−262962(JP,A)
【文献】 特開2013−133100(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0164123(US,A1)
【文献】 特開2012−228333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/74,27/00
B60N 2/56
B60H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境調整装置であって、
i. 分配用インサートと、
ii.前記分配用インサートに取り付けられたエアムーバと、
を備え、
前記エアムーバは、前記分配用インサートを通して流体を移動させる分流器開口部を2つ以上含み、
前記エアムーバは、支持装置を通して前記流体を移動させる、環境調整装置。
【請求項2】
前記エアムーバは、前記分配用インサートに直接、高周波溶着されたフランジを含む、請求項1に記載の環境調整装置。
【請求項3】
前記分配用インサートは、上側シートと、これに対向する、2つ以上の下側シート開口を含む、下側シートとを含み、
前記2つ以上の分流器開口部が対応する前記2つ以上の下側シート開口に流体連通するように、前記エアムーバは、前記下側シートに直接、高周波溶着されてこれらの間に封着部を形成するフランジを含む、請求項1または2に記載の環境調整装置。
【請求項4】
前記2つ以上の分流器開口部および対応する前記2つ以上の下側シート開口の各々の周囲で前記フランジと前記下側シートとを高周波溶着することによって別の封着部が形成される、請求項3に記載の環境調整装置。
【請求項5】
前記分配用インサートは、少なくとも1つの上側シート開口を有する上側シートと、2つ以上の下側シート開口を有する下側シートとを含み、
前記上側シートと前記下側シートとは、それぞれの周縁部で封着されて袋構造を形成し、
前記少なくとも1つの上側シート開口は前記支持装置の支持領域に流体連通し、前記2つ以上の下側シート開口の各々は対応する前記2つ以上の分流器開口部の各々に流体連通し、
前記エアムーバは、前記下側シートに直接、高周波溶着されたフランジを含み、
前記エアムーバは、前記支持装置上の使用者に向けて、および/または前記支持装置上の前記使用者から離れる方向に、空気を移動させる、請求項1〜4の何れか一項に記載の環境調整装置。
【請求項6】
前記下側シートは2つの下側シート開口を含み、前記エアムーバは2つの分流器開口部を含む、請求項3〜5の何れか一項に記載の環境調整装置。
【請求項7】
前記フランジと前記下側シートとを高周波溶着することによって、前記2つの分流器開口部の各々と対応する前記2つの下側シート開口との間に第2封着部が形成される、請求項3〜6の何れか一項に記載の環境調整装置。
【請求項8】
対応する前記2つの分流器開口部と前記2つの下側シート開口との間に位置する前記第2封着部は互いに接触しない、請求項7に記載の環境調整装置。
【請求項9】
支持装置であって、
i. 支持面を有する座席と、
ii.前記座席の一部に接続された環境調整装置であって、分配用インサートとエアムーバとを含む環境調整装置と、
を備え、
前記エアムーバは、前記分配用インサートを通して流体を移動させる分流器開口部を2つ以上含み、
前記2つ以上の分流器開口部の各々の周囲に封着部が形成されるように、前記エアムーバは前記分配用インサートに高周波溶着される、支持装置。
【請求項10】
前記エアムーバは、前記分配用インサートに直接、高周波溶着されて前記エアムーバと前記分配用インサートとの間に別の封着部を形成するフランジを含む、請求項9に記載の支持装置。
【請求項11】
前記座席は、
i. 着座部、および/または、
ii.背凭れ部、
を備え、
前記着座部および/または前記背凭れ部に空洞が形成され、前記空洞は前記環境調整装置を収容するべく構成される、請求項9または10に記載の支持装置。
【請求項12】
前記分配用インサートは、それぞれの周縁部で互いに連結されて袋構造を形成する上側シートと下側シートとを備え、
前記上側シートは、前記支持面に流体連通する1つ以上の上側シート開口を含み、前記下側シートは、対応する前記2つ以上の分流器開口部に流体連通する2つ以上の下側シート開口を含む、請求項9〜11の何れか一項に記載の支持装置。
【請求項13】
前記エアムーバは、前記エアムーバの両側に配置された2つの分配用開口部を含む、請求項9〜12の何れか一項に記載の支持装置。
【請求項14】
前記座席は、
i. 支持構造開口を有する支持構造と、
ii.前記支持構造上に支持されたクッションであって、前記支持構造開口に流体連通して前記支持装置のA側とB側の間に通路を画成するクッション流路とクッション空洞とを有するクッションと、
を備える、請求項9〜13の何れか一項に記載の支持装置。
【請求項15】
前記エアムーバはラジアルファンである、請求項9〜14の何れか一項に記載の支持装置。
【請求項16】
環境調整装置であって、
i. 支持装置に取り付けられた分配用インサートと、
ii.前記分配用インサートと前記支持装置とを通して流体を移動させる2つ以上の開口部を有するエアムーバと、
を備え、
前記エアムーバは、前記分配用インサートに直接、高周波溶着されてこれらの間に第1封着部を形成するフランジを含む、環境調整装置
【請求項17】
前記分配用インサートは、前記エアムーバの対応する前記2つ以上の開口部に流体連通する2つ以上の下側シート開口を含み、
前記2つ以上の開口部は前記エアムーバの両側に位置する、請求項16に記載の環境調整装置。
【請求項18】
前記エアムーバの前記2つ以上の開口部を対応する前記2つ以上の下側シート開口に高周波溶着することによって第2封着部が形成される、請求項16または17に記載の環境調整装置。
【請求項19】
2つの第2封着部が形成され、前記2つの封着部は互いに接触しない、請求項18に記載の環境調整装置。
【請求項20】
前記エアムーバは、別の下側シート開口に流体連通する中心開口部を含む、請求項17〜19の何れか一項に記載の環境調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、一般に支持装置に関し、より具体的には加熱、冷却、および換気を支持装置に提供する環境調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支持装置は、使用者を支持する任意の装置でよい。例えば、支持装置は、リクライナ、椅子、寝椅子、ベッド、座席、または類似物でもよい。支持装置は、ほとんどどこにでも見られる。例えば、支持装置は、自動車、列車、飛行機、あるいは家庭または職場に見られる。最近では、支持装置を使用する使用者の快適さを向上させるために、種々の環境調整装置が支持装置に取り付けられている。すなわち、空気を使用者に向けて送るために、または使用者の近傍から空気を取り除くために、またはこの両方のために、環境調整装置が支持装置の着座部、背凭れ部、肘掛け、ヘッドレスト、等々に取り付けられている。使用者に向けて送られる空気は、周囲の空気、暖かい空気、冷たい空気、またはこれらの組み合わせにすることができる。
【0003】
想像されるように、環境調整装置を支持装置に取り付けることが望ましいことがある。ただし、これにはいくつかの課題が存在する。例えば、一部の環境調整装置は、支持装置の着座部または背凭れ部に取り付けられているか、あるいは支持装置の着座部または背凭れ部から吊り下げられている。この取り付けまたは吊り下げには、追加の空間(例えば、実装空間)を必要とする場合があり、この空間は、例えば自動車の車室内など一部の用途では、簡単には得られないことがある。更に、着座部または背凭れ部への環境調整装置の取り付けは、配管、締結具、等々など、追加の構成要素を必要とし得る。これら追加の構成要素は、コストおよび重量を支持装置に追加し得るという問題がある。環境調整装置を着座部または背凭れ部に取り付けると、雑音および/または振動を生じさせ得るという問題もある。これら雑音および/または振動は、支持装置の使用者に、または支持装置の近傍の他人に、聞こえ得る、および/または感知され得る。更に、一部の環境調整装置は、使用者、支持装置、またはこの両方に向けられた単一の開口部を有するエアムーバ(すなわち、ファンまたはブロワ)を含んでいる。この単一の開口部は、使用者に向けて送られる空気の量を制限し得る、または使用者の近傍から取り除かれる空気の量を制限し得る、またはこの両方を制限し得る。
【0004】
したがって、上記問題の少なくともいくつかに対処する環境調整装置、支持装置、またはこの両方を提供することが望まれよう。例えば、比較的低価格で製造可能であり、支持装置に迅速かつ確実に取り付け可能であり、支持装置への取り付け後に実装空間を減らすことができる環境調整装置を提供することが望まれよう。作動中に発生させる雑音および/または振動がより小さい、および/または種々の加熱、冷却、および/または換気機能の性能を向上させる、環境調整装置、支持装置、またはこの両方を有することが望まれよう。
【0005】
支持装置および環境調整装置のいくつかの例が特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6に開示されている。これら特許文献は、その全体があらゆる目的のために引用によって本願明細書に組み込まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,676,207号
【特許文献2】米国特許第6,786,541号
【特許文献3】米国特許第6,869,140号
【特許文献4】米国特許第6,976,734号
【特許文献5】米国特許第7,478,869号
【特許文献6】米国特許第7,862,113号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本教示は、改良された支持装置を提供することを基本としている。より具体的には、本願明細書の教示は、支持装置用の改良された環境調整装置を提供する。本環境調整装置は、支持装置の上または近くの使用者の快適さを高めるべく、および/または向上させるべく機能し得る。より具体的には、環境調整装置は、空気などの流体を支持装置の上または近くの使用者に向けて、および/またはこの使用者から離れる方向に、移動させ得る。この空気は、周囲の空気、暖かい空気、冷たい空気、またはこれらの組み合わせとしてよい。
【0008】
本教示による環境調整装置は、支持装置に迅速且つ確実に取り付け可能である。例えば、本環境調整装置は、フランジを含み得る。このフランジは、環境調整装置と支持装置との間からの空気漏洩を防止するべく支持装置に確実に取り付け可能であり、更には環境調整装置を支持装置に取り付けるために必要な構成要素および/または締結具の数を減らし得る。環境調整装置は、支持装置に直接、高周波溶着されてもよい。
【0009】
本願明細書の教示による環境調整装置は、使用者に向けて空気を送る、または使用者の近傍から空気を取り除く、またはこの両方を行うための開口部を1つ以上含み得る。環境調整装置は2つ以上の開口部を有することが好ましい。これら開口部は、使用者に向けて送られる空気の量を増加および/または均衡化させ得る、または使用者の近傍から取り除かれる空気の量を増加および/または均衡化させ得る、またはこの両方を行い得る。
【0010】
本願明細書の教示による環境調整装置は、支持装置のクッションに形成された空洞に収容され得る。そうすることによって、環境調整装置を支持装置に取り付けるために必要な空間(すなわち、実装空間)の量を減らし得る。そうすることによって、環境調整装置が作動中に発生させる望ましくない雑音および/または振動を低減または減衰させ得る。更に、クッションに形成された空洞に環境調整装置を挿入することによって、製造の簡素化、環境調整装置を支持装置に取り付けるために必要な構成要素の数の低減、使用者用装置の総重量の低減、またはこれらの組み合わせを実現し得る。
【0011】
本教示は、分配用インサートとこの分配用インサートに取り付けられたエアムーバとを備えた環境調整装置を提供する。エアムーバは、分配用インサートを通して、および支持装置を通して、流体を移動させる分流器開口部を2つ以上含む。
【0012】
本教示は、座席と環境調整装置とを備えた支持装置を更に提供する。座席は、支持面を有する。環境調整装置は、座席の一部に接続される。環境調整装置は、分配用インサートとエアムーバとを含む。エアムーバは、分配用インサートを通して流体を移動させる分流器開口部を2つ以上含む。エアムーバは、2つ以上の分流器開口部の各々の周囲に封着部が形成されるように、分配用インサートに高周波溶着される。
【0013】
本教示は、支持装置に取り付けられた分配用インサートと、分配用インサートおよび支持装置を通して流体を移動させる開口部を2つ以上有するエアムーバとを備えた環境調整装置を更に提供する。エアムーバは、分配用インサートに直接、高周波溶着されてこれらの間に第1の封着部を形成するフランジを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】支持装置の斜視図である。
図1B】支持装置の斜視図である。
図2図1Aおよび/または図1Bの支持装置の線2−2および/または線3−3にそれぞれ沿った略断面図である。
図3】支持装置に取り付けられた環境調整装置の部分斜視図である。
図4】分配用インサートの略断面図である。
図5】分配用インサートの略断面図である。
図6】支持装置に取り付けられた環境調整装置の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本願明細書に提示されている説明および図は、本教示、その原理、およびその実際の応用例を他の当業者に知らせることを意図している。当業者は、特定用途の要件に最適であるように、本教示を多数の形態で適合させて適用させ得る。したがって、記載されている本教示の具体的な実施形態は、網羅的でも、本教示を制限しようとするものでもない。したがって、本教示の範囲は、上記説明を参照して決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を参照して、ならびにこのような特許請求の範囲の権利を有する均等物の全範囲によって、決定されるべきである。特許出願および公開を含む、あらゆる記事および引例の開示は、あらゆる目的のために引用により本願明細書に組み込まれるものとする。添付の特許請求の範囲から確かめられるように他の組み合わせも可能であり、これら組み合わせも引用により本願明細書に組み込まれるものとする。
【0016】
本教示は、支持装置を提供することを基本としている。より具体的には、本願明細書に記載の教示は、支持装置、環境調整装置、支持装置用の環境調整装置、またはこれらの組み合わせを提供する。
【0017】
支持装置は、使用者を支持する任意の装置でよい。例えば、支持装置は、リクライナ、椅子、寝椅子、ベッド、座席、等々でもよい。支持装置は、ほとんどどこにでも見られる。例えば、支持装置は、自動車、列車、飛行機、等々など、あらゆる乗り物にも、家庭にも、職場にも、またはこれらの組み合わせにも配置され得る。支持装置は、使用者の臀部および脚部を支持する着座部、使用者の背中を支持する背凭れ部、使用者の腕を支持する1つ以上の肘掛け、使用者の頭部および頸部を支持するヘッドレスト、またはこれらの組み合わせを含み得る。着座部、背凭れ部、肘掛け(単数または複数)、ヘッドレスト、等々など、支持装置の1つ以上の部分に1つ以上の環境調整装置が取り付けられることが好ましい。
【0018】
支持装置は、支持面を含み得る。支持面は、使用者が支持装置上にいるとき、この使用者に接触して支持する表面でもよい。支持面は、A側でもよい。A側は、支持装置の最上部、側部、またはこの両方でもよい。支持装置は、B側を更に含み得る。B側は、使用者が支持装置の上または近くにいるとき、この使用者とは反対の側に面し得る。B側は、A側の略反対の側でもよい。B側は、支持装置の底部、側部、またはこの両方でもよい。
【0019】
支持装置は、支持構造を含み得る。支持構造は、支持装置の1つ以上の構成要素または部分を支持し得る。例えば、支持構造は、着座部、背凭れ部、等々を支持し得る。支持構造は、支持装置上の使用者を支持し得る。支持構造は、支持装置を支持し得る、および/または支持装置を地面、床、無限軌道、等々などの支持体に接続し得る、および/またはこれら支持体に取り付け得る。自動車用座席の複数の実施形態において、支持構造は、支持装置を車体に、より具体的には車両のフロアパネルに、固着する座席フレームとすることができる。支持構造は、略剛性、略可撓性、またはこの両方でもよい。
【0020】
支持構造は、支持構造開口を1つ以上含み得る。1つ以上の支持構造開口は、支持構造に設けられた何れか適した開口部、切込み、切抜き、開口、空隙、流路、等々でもよい。1つ以上の支持構造開口は、支持装置を貫通する1つ以上の通路を設けるために、1つ以上のクッション流路、1つ以上のクッション空洞、またはこの両方と協働し得る。
【0021】
1つ以上の通路は、何れか適した流体を支持装置のA側から支持装置のB側に、またはこの逆に、移動させるために機能し得る。この流体は、空気でもよい。空気が支持構造、支持装置、またはこの両方を通って、これらの間からの著しい漏洩または圧力損失なしに、移動できるように、1つ以上の通路の端縁または側面は、略非通気性でもよい。1つ以上の通路は、細長く(すなわち、A側とB側の間)、何れか適した横断面を有することができる。例えば、この横断面は、略円形、略正方形、略卵形、略長方形、略異形、略三角形、等々にすることができる。1つ以上の通路の横断面は、A側とB側の間で一定であっても、または横断面のサイズおよび/または形状がA側とB側との間で変化してもよい。
【0022】
支持装置は、1つ以上のクッションを含み得る。1つ以上のクッションは、支持構造上に配設された1つ以上の快適化層でもよい。1つ以上のクッションは、少なくとも部分的に圧縮可能でもよく、および/または少なくとも部分的に形状適合してもよい。1つ以上のクッションは、使用者または荷重がそれに接触しているときに圧縮し得る。1つ以上のクッションは、使用者がそれに接触しなくなるとクッションが復元してその元の状態に戻るように、弾性でもよく、および/または記憶材料を含んでもよい。1つ以上のクッションは、何れか適した材料製にし得る。例えば、1つ以上のクッションは発泡体製でもよい。1つ以上のクッションは、略通気性、略非通気性、またはこの両方でもよい。1つ以上のクッションは、スプリングコアを含み得る。1つ以上のクッションは、一体型構造にし得る、または支持構造上に支持された複数の構造を備え得る。
【0023】
1つ以上のクッションは、1つ以上のクッション流路と1つ以上のクッション空洞とを含み得る。1つ以上のクッション流路、1つ以上のクッション空洞、またはこの両方は、クッションに設けられた何れか適した開口部、切込み、切抜き、開口、空隙、流路、等々でもよい。1つ以上のクッション流路および1つ以上のクッション空洞は、クッションにモールド成形された特徴でもよい。支持装置を貫通して(すなわち、A側とB側の間に)延在する1つ以上の通路を形成するために、1つ以上のクッション流路および1つ以上のクッション空洞は、1つ以上の支持構造開口に流体連通し得る。
【0024】
1つ以上のクッション空洞は、1つ以上の環境調整装置を少なくとも部分的に収容するべく構成され得る。各クッションは、1つの環境調整装置を収容する1つのクッション空洞を有することが好ましい。ただし、各クッションは、1つ以上の環境調整装置をそれぞれ収容し得る複数のクッション空洞を有し得る。1つ以上のクッション空洞は、環境調整装置がクッション空洞にほぼ嵌まり込むように、1つ以上の環境調整装置を収容し得る。換言すると、環境調整装置が支持装置のA側とB側との間に収容されるように、環境調整装置はクッション空洞に嵌まり込み得る。環境調整装置をクッション内にローカルに位置付けることによって、システムの組み立てが簡素化され得る、および/または環境調整装置を支持装置に取り付けるために必要な構成要素が減り得る、および/または環境調整装置を取り囲むクッションは環境調整装置が発生させる雑音および/または振動を減衰させ得る。環境調整装置は、1つ以上の適した締結具(すなわち、接着剤、ネジ、面ファスナ、等々)を介してクッション空洞内に固着可能である。環境調整装置はクッション空洞に圧入可能であるので、吊下具、締結具、またはこの両方が不要である。環境調整装置は、エアムーバの羽根車部がクッション流路、支持構造開口、および/または支持装置のB側を取り囲む環境、に連通するように、クッション空洞内で向けられることが好ましい。環境調整装置は、エアムーバの羽根車部が支持装置内で支持装置のB側を取り囲む環境による如何なる妨害も受けないように、クッション空洞内で向けられることが好ましい。
【0025】
支持装置は、1つ以上のパッドを含み得る。1つ以上のパッドは、クッション、環境調整装置、またはこの両方、の表面に配設された1つ以上の快適化層でもよい。1つ以上のパッドは、通気性、非通気性、またはこれらの組み合わせでもよい。1つ以上のパッドは、流体がこのパッドを通って(すなわち、A側からB側に、またはその逆に)移動可能であるように、1つ以上の孔または穿孔を含み得る。1つ以上の孔または穿孔は、分配用インサートの1つ以上の上側シート開口に略位置合わせされ得る。1つ以上のパッドは、トリムカバー、支持装置上の使用者、またはこれらの組み合わせと分配用インサートとの間に配置され得る。1つ以上のパッドは、何れか適した材料製にし得る。例えば、1つ以上のパッドは、網状発泡体製でもよい。1つ以上のパッドは、環境調整装置、分配用インサート、分配用インサートの上側シート、クッション、トリムカバー、またはこれらの組み合わせに直接固着可能である。1つ以上のパッドは、上記構成要素のうちの1つ以上に何れか適した方法で固着可能である。例えば、1つ以上のパッドは、上記構成要素のうちの1つ以上にステープル、ピン、ネジ、縫着、面ファスナ、等々のような種々の機械的締結具および/または種々の接着剤を用いて固着可能であり、および/または高周波または赤外線溶着を用いて上記構成要素のうちの1つ以上に溶着可能である。
【0026】
支持装置は、トリムカバーを含み得る。トリムカバーは、快適な感触、装飾的な外観、またはこの両方を支持装置、クッション、またはこの両方にもたらし得る。トリムカバーは、何れか適した材料製にし得る。例えば、トリムカバーは、皮革、布、ビニール、フリース、綿、織地、または編地、等々から製作され得る。トリムカバーは、何れの色でもよく、および/または何れのパターンまたは質感を含んでもよい。トリムカバーは、通気性でも非通気性でもよい。トリムカバーは、非通気性でもよいが、1つ以上のトリムカバー孔または穿孔を含んでもよい。1つ以上のトリムカバー孔または穿孔は、1つ以上のパッドに設けられた1つ以上の孔または穿孔に、分配用インサートに設けられた1つ以上の上側シート開口に、またはこれらの組み合わせに、略位置合わせされ得る。1つ以上のトリムカバー孔または穿孔は、支持装置上の使用者に向かって、および/またはこの使用者から離れる方向に(すなわち、A側からB側に、またはこの逆に)、流体または空気の移動をもたらし得る。
【0027】
支持装置は、1つ以上の環境調整装置を含み得る。1つ以上の環境調整装置は、支持装置の上または近くの使用者の快適さを向上させるために機能し得る。1つ以上の環境調整装置は、何れか適した流体、好ましくは空気、を支持装置の上または近くの使用者に向けて、および/またはこの使用者から離れる方向に、移動させ得る。1つ以上の環境調整装置は、空気をA側からB側に、B側からA側に、またはこの両方向に、移動させ得る。使用者に向けて、および/または使用者から離れる方向に、移動される空気は、暖かい空気、冷たい空気、周囲の空気、またはこれらの組み合わせにし得る。すなわち、空気が使用者に向かって流れているときにこの空気を加熱するために、この空気を適した加熱器具の傍を移動させ得る。または、空気が使用者に向かって流れているときにこの空気を冷却するために、この空気を適した冷却器具の傍を移動させ得る。1つ以上の環境調整装置は、1つ以上のエアムーバと1つ以上の分配用インサートとを含み得る。
【0028】
1つ以上のエアムーバは、流体を移動させ得る、流体の流れを生じさせ得る、またはこの両方を行い得る、何れの装置または装置の組み合わせでもよい。より具体的には、1つ以上のエアムーバは、空気の方向付け、通過、供給、移動、吹付け、吸込み、押出し、排出、および/または引込みを行い得る何れの装置(単数または複数)でもよい。1つ以上のエアムーバは、支持装置の上または近くの使用者に向けて、またはこの使用者から離れる方向に、空気を移動させ得る。この使用者に向けて、またはこの使用者から離れる方向に、送られる空気は、周囲の空気、冷たい空気、暖かい空気、またはこれらの組み合わせにし得る。1つ以上のエアムーバは、1つ以上のファンまたはブロワでもよい。1つ以上のエアムーバは、1つ以上の軸流ファン、遠心ファン、横流ファン、またはこれらの組み合わせでもよい。1つ以上のエアムーバは、1つ以上のラジアルファンを含むことが好ましい。1つ以上のエアムーバは、加圧または吸込みモードで作動する可逆式ファンを1つ以上含み得る。1つ以上のエアムーバは、多段速度機能を有し得る。すなわち、1つ以上のエアムーバは、少なくとも低速、中速、および高速設定を有し得る。
【0029】
1つ以上のエアムーバは、1つ以上の分流器を含み得る。環境調整装置がプッシュモードで作動しているとき、1つ以上の分流器は、エアムーバから吹き出された空気を分配するべく機能し得る。環境調整装置がプルモードで作動しているとき、1つ以上の分流器は、空気を引き込み得る。すなわち、プッシュモードでは、1つ以上の分流器は、支持装置上の2つ以上の区域または場所に空気を分配するべく機能し得る。プルモードでの作動中、1つ以上の分流器は、支持装置上の複数の場所から空気を引き込むべく機能し得る。1つ以上の分流器は、エアムーバから吹き出された空気をより均等に分配し、空気をより均等にエアムーバに引き込むべく機能し得ることが好ましい。1つ以上の分流器は、分配用インサートの1つ以上の下側シート開口に略位置合わせされた分流器開口部を1つ以上含み得る。1つ以上のエアムーバは、何れか適した数の分流器開口部を有し得る。例えば、1つ以上のエアムーバは、1つ以上の分流器開口部を有し得る。1つ以上のエアムーバは、6つ以下の分流器開口部、4つ以下の分流器開口部、3つ以下の分流器開口部、または好ましくは2つ以下の分流器開口部、を有し得る。1つ以上のエアムーバは2つの分流器開口部を有することが好ましい。1つ以上の分流器開口部またはこの両方は、何れか適した角度方向または間隔で略離隔され得る。1つ以上の分流器、分流器開口部、またはこの両方は、互いに等間隔で離隔されることが好ましい。すなわち、1つ以上の分流器、分流器開口部、またはこの両方は、互いに略対向し得る。1つ以上のエアムーバは、羽根車の回転軸に略位置合わせされた、および/または下側シート開口のうちの1つに流体連通する、中心開口部を更に有し得る。分流器、分流器開口部、またはこの両方は、何れか適した方法で分配用インサートに取り付けられ得る。例えば、分流器、分流器開口部、またはこの両方は、ステープル、ピン、ネジ、縫着、面ファスナ、および類似物のような種々の機械的締結具、および/または種々の接着剤、を用いて分配用インサートに固着可能である。分流器、分流器開口部、またはこの両方は、高周波または赤外線溶着を用いて分配用インサートの下側シートに固着されて封着部を形成することが好ましい。これらの間からの流体漏洩が低減または防止されるように、封着部は非通気性であることが好ましい。封着部は、分流器、分流器開口部、またはこの両方と下側シートとの間、または分流器、分流器開口部、またはこの両方の周囲、分流器、分流器開口部、またはこの両方、および下側シート、またはこの両方、の周囲に設けることができる。分流器、分流器開口部、またはこの両方と下側シートとの間、および/または分流器、分流器開口部、またはこの両方の周囲、の封着部は、単一の接続された封着部にしても、あるいは、各分流器開口部に対応する封着部が互いに接触しないように、これら封着部をそれぞれ独立させてもよい。
【0030】
1つ以上のエアムーバは、フランジを含み得る。フランジは、1つ以上のエアムーバの何れの部分でもよく、あるいはエアムーバを1つ以上の分配用インサート、下側シート、またはこの両方に取り付けるハウジングの何れの部分でもよい。フランジは、何れか適した形状を有し得る。フランジは、略平坦なリング状部分を有することが好ましい。フランジは、何れか適した方法で分配用インサートに取り付けられ得る。この取り付け機構は、振動または雑音をエアムーバから支持装置に伝達または増幅しない機構を含むことが好ましい。フランジ、エアムーバ、またはこの両方は、高周波または赤外線溶着を用いて分配用インサートの下側シートに固着されて封着部を形成することが好ましい。これらの間からの流体漏洩が低減または防止されるように、封着部は非通気性であることが好ましい。この封着部は、フランジと下側シートとの間に、またはフランジおよび下側シートの周囲に、またはこの両方に、設けることができる。
【0031】
1つ以上の分配用インサートは、エアムーバによって移動された空気を分配するべく機能し得る。1つ以上の分配用インサートは、支持面、A側、B側、またはこれらの組み合わせ、を取り囲む区域、領域、または環境からエアムーバによって引き込まれた空気を受け入れるべく機能し得る。1つ以上の分配用インサートは、エアムーバからの空気を支持面、A側、B側、またはこれらの組み合わせ、を取り囲む区域、領域、または環境に向けて分配するべく機能し得る。1つ以上の分配用インサートは、1つ以上の上側シートと、1つ以上の下側シートと、これらの間の1つ以上のスペーサ層とを含み得る。1つ以上の上側シートは、A側に、またはその近くに、配置され得る。1つ以上の下側シートは、B側に、またはその近くに、配置され得る。あるいは、これらシートは、この逆に配置され得る。1つ以上の上側および下側シートは、1つ以上のスペーサ層をほぼ包囲し得る、またはほぼ取り囲み得る。1つ以上の上側および下側シートは、ほぼ非通気性でもよい。1つ以上の上側および下側シートは、それぞれの端縁において封着され得る。これらシートは、非通気性の袋構造を形成するべく、それぞれの端縁で封着され得る。これらシートは、何れか適した方法または締結具によって封着され得る。これらシートは、それぞれの周縁において赤外線、高周波、または超音波溶着法によって封着されることが好ましい。
【0032】
1つ以上の上側シートは、1つ以上の上側シート開口を含み得る。1つ以上の下側シートは、1つ以上の下側シート開口を含み得る。環境調整装置がプッシュモードで作動しているとき、1つ以上の上側シート開口は、エアムーバからの空気を支持面、A側、支持装置上の使用者、またはこれらの組み合わせ、に向かわせ得る。環境調整装置がプルモードで作動しているとき、1つ以上の上側シート開口は、支持面、A側、支持装置上の使用者、またはこれらの組み合わせ、から空気を引き込み得る。1つ以上の下側シート開口は、1つ以上のエアムーバに流体連通し得る。1つ以上の下側シート開口は、エアムーバの1つ以上の分流器開口部、中心開口部、またはこれらの組み合わせ、にほぼ位置合わせされることが好ましい。1つ以上の上側シート開口、下側シート開口、またはこの両方は、何れか適したサイズにし得る。1つ以上の上側シート開口、下側シート開口、またはこの両方は、サイズが変化し得ることが好ましい。すなわち、エアムーバからの空気流がより一様になるように、1つ以上の上側シート開口のサイズは、エアムーバからの距離が長くなるほど大きくなり得る。この1つ以上の開口のサイズは一様でもよい。この1つ以上の開口は、何れかのパターンで配置され得る。例えば、上側シートの1つ以上の開口は、直線状配置で、U字状配置で(すなわち、着座部上の使用者の両脚の下に)配置され得る。
【0033】
1つ以上のスペーサ層は、支持装置上の使用者の重量下で、または荷重が支持装置に加わったときに、分配用インサートの圧潰を防止するべく機能し得る。1つ以上のスペーサ層は、使用者、荷重、またはこの両方に緩衝および支持をもたらし得る。使用者が支持装置上にいるとき、1つ以上のスペーサ層は、形状適合し得る、および/または少なくとも部分的に撓み得る、または圧縮し得る。使用者または荷重が支持装置の上または近くにあるとき、1つ以上のスペーサ層は、1つ以上のエアムーバの圧潰を防止し得る。支持装置とエアムーバとの間の空気の流れが制限も阻止もされないように、1つ以上のスペーサ層は、支持装置、支持装置の一部またはクッション、あるいはこれらの組み合わせ、の撓みを防止し得る。1つ以上のスペーサ層は、その内部に作成された複数の流路によって空気を分配用インサート経由でより均等に分配するべく機能し得る。システムがプッシュモード、プルモード、またはこの両モードで作動しているとき、1つ以上のスペーサ層は、そこに沿って空気を横方向に移動させ得る。1つ以上のスペーサ層は、何れか適した材料または材料の組み合わせにし得る。1つ以上のスペーサ層は、繊維質層でもよい。1つ以上のスペーサ層は、1つ以上のスペーサを有する担持体または基部を含み得る。1つ以上のスペーサ層は、商品名3MESH(登録商標)で販売されている材料製でもよい。この材料は、独国のミューラー・テキスタイル社(Mueller Textil GmbH)、または米国ロード・アイランドのミューラー・テキスタイル社(Mueller Textiles, Inc.)から市販されている。1つ以上のスペーサは、同一権利者の米国特許第8,777,320(B2)号に開示されているスペーサと同様にし得る。この特許文献は、その全体があらゆる目的のために引用によって本願明細書に組み込まれるものとする。
【0034】
1つ以上の環境調整装置は、プッシュモードで作動可能である。プッシュモードにおいて、1つ以上のエアムーバは、支持装置のB側を取り囲む環境、区域、または領域からの空気を、通路から羽根車部を通して引き込み、次にこの空気を1つ以上の分流器および対応する分流器開口部に押し込み得る。この空気は、次に1つ以上の下側シート開口を通して分配用インサートに押し込まれ、分配用インサートから1つ以上の上側シート開口を通して支持装置のA側に、またはその近くに、いる使用者に向けて押し出され得る。この経路に沿って、この空気を1つ以上の加熱器具または冷却器具の傍および/または中を通すことによって、この空気を加熱または冷却し得る。
【0035】
1つ以上の環境調整装置は、プルモードで作動可能である。プルモードにおいて、1つ以上のエアムーバは、支持装置のA側を取り囲む環境、区域、または領域から空気を引き込み得る。この空気は、1つ以上のエアムーバによってトリムカバーおよびパッドを通して上側シートの1つ以上の開口から分配用インサートに引き込まれ得る。この空気は、次に分配用インサート内から下側シートの1つ以上の孔を通して、および通路を通して引き出され得る。この空気は、次に支持装置のB側を取り囲む環境に排出または吐出され得る。
【0036】
図1Aおよび図1Bは、それぞれ支持装置100を示す。図1Aにおいて、支持装置100は車両用座席の背凭れ部であり、図1Bにおいて、支持装置100は車両用座席の着座部である。支持装置100は、トリムカバー110と支持面120とを含む。支持面120は、支持装置100上の使用者に接触する、および/またはこの使用者を支持する。
【0037】
図2は、図1Aおよび/または図1Bの支持装置の線2−2および/または線3−3にそれぞれ沿った略断面図である。支持装置100は、A側「A」とB側「B」とを含む。支持装置100は、使用者に接触する、および/または使用者を支持する、支持面120を含む。支持装置100は、支持構造102を含む。支持構造102は、クッション104と、環境調整装置106と、パッド108と、トリムカバー110とを支持する。支持構造102は、支持構造開口130を含む。支持構造開口130は、クッション流路140およびクッション空洞150に連通している。クッション流路140およびクッション空洞150は、どちらもクッション104内に配置されている。支持構造開口130と、クッション流路140と、クッション空洞150とは、A側AとB側Bとの間に略延在する通路180をもたらす。
【0038】
環境調整装置106は、クッション空洞150内に支持される。環境調整装置106は、エアムーバ160と分配用インサート170とを含む。環境調整装置106は、プッシュモードおよびプルモードで作動する。プッシュモードにおいて、エアムーバ160は、支持装置100のB側Bから支持装置100のA側Aに矢印192の方向に空気を移動させる。より具体的には、プッシュモードにおいて、エアムーバ160は、B側Bを取り囲む環境から通路180に空気を引き込み、その後、空気を分配用インサート170に通し、支持面120の上にまたは近くの使用者に向けて押し出す。プッシュモードでは、暖かい空気または冷たい空気を使用者に向けて供給するために、加熱器具または冷却器具に空気を通過させて送ってもよい。プルモードにおいて、エアムーバ160は、支持装置100のA側Aから支持装置100のB側Bに矢印190の方向に空気を移動させる。より具体的には、プルモードにおいて、エアムーバ160は、A側Aを取り囲む環境から分配用インサート170および通路180に空気を引き込み、その後、この空気を支持装置100のB側Bを取り囲む環境に押し出す。
【0039】
図3は、環境調整装置106を更に示す。エアムーバ160は、回転する羽根車(図示せず)を収容する羽根車部210を有するハウジング200と、一対の分流器212、214と、フランジ216とを含む。羽根車部210は、開口部220を含む。環境調整装置106がプッシュモードで作動しているとき、エアムーバ160は開口部220から矢印192に沿って空気を引き込む。環境調整装置106がプルモードで作動しているとき、エアムーバ160は開口部220から矢印190に沿って空気を排出する、または押し出す。エアムーバ160は、下側シート開口330(図5)に流体連通し得る中心開口部226を含む。分流器212、214は、それぞれ分流器開口部222、224を含む。分流器開口部222、224は、対応する1つ以上の下側シート開口342、344(図4図6)に流体連通している。エアムーバ160を分配用インサート170に確実に連結するために、フランジ216と分配用インサート170との間に、および/またはそれらの周囲に、封着部230が形成される。それぞれの分流器開口部222、224と下側シート開口342、344とを封着するために、分流器212、214と分配用インサート170との間に、および/またはそれらの周囲に、他の1つ以上の封着部231(図6)を形成できる。
【0040】
図4は、分配用インサート170の略断面図である。分配用インサート170は、上側シート300と、下側シート302と、両シート間のスペーサ層304とを含む。上側および下側シート300、302は、封着部310を含み、袋構造を形成する。上側シート300はA側Aに面し、複数の上側シート開口320を含む。下側シート302は、B側Bに面し、複数の下側シート開口342、344を含む。下側シート開口342、344は、エアムーバ160の分流器開口部222、224に流体連通し得る。
【0041】
図5は、分配用インサート170の略断面図である。分配用インサート170は、上側シート300と、下側シート302と、両シート間のスペーサ層304とを含む。上側および下側シート300、302は、封着部310を含み、袋構造を形成する。上側シート300はA側Aに面し、複数の上側シート開口320を含む。下側シート302は、B側Bに面し、1つの下側シート開口330を含む。下側シート開口330は、エアムーバ160の中心開口部226に流体連通し得る。
【0042】
図6は、支持装置100に取り付けられた環境調整装置106の底面図である。分配用インサート170は、それぞれの周縁に沿って封着部310によって連結された上側および下側シート300、302を含む。エアムーバ160を分配用インサート170に連結するために、エアムーバ160のフランジ216と下側シート302との間に、および/またはフランジ216の周囲に、封着部230が形成され得る。下側シート302は、分流器開口部222に対応する下側シート開口342、344を含む。封着部230の代わりに、または封着部230に加えて、対応する下側シート開口342、344と分流器開口部222、224との間に、および/またはこれらの周囲に、1つ以上の封着部231が形成され得る。下側シート302は、1つ以上の下側シート開口342、344の代わりに、または1つ以上の下側シート開口342、344に加えて、1つ以上の開口232を含み得る。1つ以上の開口232は、さまざまな場所に配置され得る。1つ以上の開口232のサイズは、エアムーバ160、エアムーバ160のフランジ216、またはこの両方と同じサイズでも、これらより僅かに大きくても、または僅かに小さくてもよい。開口232は、フランジ216の外縁より小さく、封着部230の占有面積内に収まることが好ましい。開口232は、中心開口部226および/または1つ以上の下側シート開口342、344より少なくとも大きいことが好ましい。構成によっては、開口232は、下側シート開口330および1つ以上の下側シート開口342、344を包むことができる。下側シート開口330および1つ以上の下側シート開口342、344は、相互に連結していても、分離していてもよい。開口232の形状は、エアムーバ160、フランジ216、封着部230、またはこれらの組み合わせに対応させることも、これらと略同様の形状にすることもできる。
【0043】
本願明細書に記載されている数値は、下限値と上限値との間が少なくとも2単位離れている場合、下限値から上限値まで1単位刻みで全ての値を含む。一例として、或る成分量または或るプロセス変数、例えば、温度、圧力、時間、等々、の値が例えば、1〜90、好ましくは20〜80、より好ましくは30〜70、であると記載されている場合は、15〜85、22〜68、43〜51、30〜32などの値が本願明細書に明示的に列挙されていることを意図するものとする。1未満の値の場合、一単位は0.0001、0.001、0.01、または0.1であると適宜見なされるものとする。これらは、特に意図されていることの単なる例であり、列挙されている下限値と上限値との間の数値のあらゆる可能な組み合わせが同様に本願に明示的に記載されていると見なされるものとする。お分かりのように、本願明細書に「重量部」として表されている量の教示は、重量パーセントとして表されている同じ範囲も考えている。したがって、本教示の詳細な説明における「得られたポリマーブレンド組成物の「x」重量部」という表現は、「得られたポリマーブレンド組成物の「x」重量パーセント」と同じ記載量の範囲の教示も意図している。
【0044】
特に明記されていない限り、あらゆる範囲は、両端点とこれら端点間のあらゆる数とを含む。或る範囲に関して使用されている「約」または「ほぼ」は、その範囲の両端に適用される。したがって、「約20〜30」は、指定されている両端点を少なくとも含む、「約20〜約30」をカバーするものとする。
【0045】
特許出願および公開を含む、あらゆる記事および引例の開示は、あらゆる目的のために引用により本願明細書に組み込まれるものとする。或る組み合わせを記述するための用語「基本的に〜から成る(consisting essentially of)」は、識別されている要素、成分、構成要素、またはステップと、この組み合わせの基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼさない他の要素、成分、構成要素、またはステップとを含むものとする。本願明細書において要素、成分、構成要素、またはステップの組み合わせを記述するための用語「を備えた(comprising)」または「を含む(including)」の使用は、基本的にこれら要素、成分、構成要素、またはステップから成る実施形態も意図している。
【0046】
組み込まれた単一の要素、成分、構成要素、またはステップによって複数の要素、成分、構成要素、またはステップを提供できる。あるいは、組み込まれた単一の要素、成分、構成要素、またはステップは、独立した複数の要素、成分、構成要素、またはステップに分割され得る。要素、成分、構成要素、またはステップを記述するための「一(a)」または「1つの(one)」の開示は、追加の要素、成分、構成要素、またはステップを排除しようとするものではない。
【0047】
上記説明は例示を意図したものであり、限定を意図したものではないことを理解されたい。上記説明を読まれると、提供されている実施例に加え、多くの実施形態ならびに多くの適用例が当業者に明らかになるであろう。したがって、本教示の範囲は上記説明を参照して決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を参照して、ならびにこのような特許請求の範囲の権利を有する均等物の全範囲によって、決定されるべきである。特許出願および公開を含む、あらゆる記事および引例の開示は、あらゆる目的のために引用により本願明細書に組み込まれるものとする。本願明細書に開示されている主題の何れかの態様が添付の特許請求の範囲において省略されていることは、このような主題の放棄ではなく、発明者らがこのような主題を開示されている本発明の主題の一部と考えていなかったと見なされるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6