特許第6321892号(P6321892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6321892
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】電子装置の製造方法及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/28 20060101AFI20180423BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   H01L23/28 J
   H01L21/56 R
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-549825(P2017-549825)
(86)(22)【出願日】2016年12月26日
(86)【国際出願番号】JP2016088619
【審査請求日】2017年9月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 英紀
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−185835(JP,A)
【文献】 特開2011−238803(JP,A)
【文献】 特開2010−129868(JP,A)
【文献】 特開2010−27814(JP,A)
【文献】 特開2011−77280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/28−23/31
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型凹部を有する裏面側金型に、裏面側に金属板を有する基板を載置する工程と、
締結部材を挿入するための挿入部を前記基板のおもて面であって前記金型凹部の周縁内方に位置する位置に載置する工程と、
前記基板を覆うようにして、前記裏面側金型におもて面側金型を載置する工程と、
前記基板を前記裏面側金型に押圧しながら、前記おもて面側金型と前記裏面側金型との間にポッティングによって樹脂を流し込む工程と、を備え、
前記樹脂を流し込む工程において、前記挿入部の頂部が押し付けられることで、前記金属板が前記裏面側金型に対して押し付けられ、前記金属板の前記挿入部よりも周縁側が前記金型凹部の縁に当接した状態で、前記基板が前記裏面側金型に押圧されることを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記金属板は、金属本体部と、前記金属本体部の周縁に設けられ、前記金属本体部と比較して肉厚が薄くなった金属減厚部とを有し、
前記樹脂を流し込む工程において、前記金属減厚部は前記金型凹部の外方に位置し、前記本体部が前記金型凹部の縁に当接した状態で、前記金属板が前記裏面側金型に押圧されることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記挿入部の頂部に弾性体が位置づけられ、
前記弾性体を前記挿入部の頂部に押し付けることで、前記金属板が前記裏面側金型に対して押し付けられることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記裏面側金型に載置される前記基板には電子素子が設けられ、前記電子素子には端子が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
裏面側に金属板を有する基板と、
前記基板に設けられた電子素子と、
前記電子素子を封入する樹脂材料からなる封止部と、
前記封止部のおもて面から外部に突出している端子と、
を備え、
前記封止部は締結部材を挿入するための挿入部を有し、
前記金属板の裏面は前記封止部から外部に露出し、
記金属板の裏面において、前記挿入部よりも周縁側であって、前記金属板の最外周縁から1mm以下の領域に押圧痕が入っていることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
前記封止部の側面全体、おもて面全体及び裏面側における前記金属板の周縁全体が外部に露出していることを特徴とする請求項5に記載の電子装置。
【請求項7】
前記挿入部は前記金型凹部の周縁内方に位置づけられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の製造方法及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置等の電子装置を製造する際には、樹脂を単純に流し込むポッティング封止と、圧力をかけて樹脂を流し込むトランスファーモールドが利用されている。この点、ポッティング封止は半導体チップ等の電子素子や当該電子素子に接続されたワイヤへの負荷が少なく、複雑な形状や実装部品が多い成型品に利用されることが多い。
【0003】
また、半導体装置の封止部の裏面に放熱板を設けることも行われている(例えば、特開2015−115382号公報参照)。この放熱板を封止部の裏面に埋め込むことが考えられているが、このように放熱板を封止部の裏面に埋め込む場合に、ポッティング封止を利用すると、封止部に利用される樹脂が放熱板の裏面に回り込んでしまう可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような点に鑑み、本発明は、基板の裏面側に設けられた金属板の裏面側に樹脂が回り込んでしまう可能性を低減できる電子装置の製造方法及び電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による電子装置の製造方法は、
金型凹部を有する裏面側金型に、裏面側に金属板を有する基板を載置する工程と、
前記基板を覆うようにして、前記裏面側金型におもて面側金型を載置する工程と、
前記基板を前記裏面側金型に押圧しながら、前記おもて面金型と前記裏面側金型との間に樹脂を流し込む工程と、を備え、
前記樹脂を流し込む工程において、前記金属板の周縁部が前記金型凹部の縁に当接した状態で、前記基板が前記裏面側金型に押圧されてもよい。
【0006】
本発明の一態様による電子装置の製造方法において、
前記金属板は、金属本体部と、前記金属本体部の周縁に設けられ、前記金属本体部と比較して肉厚が薄くなった金属減厚部とを有し、
前記樹脂を流し込む工程において、前記金属減厚部は前記金型凹部の外方に位置し、前記本体部が前記金型凹部の縁に当接した状態で、前記金属板が前記裏面側金型に押圧されてもよい。
【0007】
本発明の一態様による電子装置の製造方法において、
締結部材を挿入するための挿入部が前記基板のおもて面に載置され、
前記挿入部の頂部に弾性体が位置づけられ、
前記弾性体を前記挿入部の頂部に押し付けることで、前記金属板が前記裏面側金型に対して押し付けられてもよい。
【0008】
本発明の一態様による電子装置の製造方法において、
前記裏面側金型に載置される前記基板には電子素子が設けられ、前記電子素子には端子が接続されてもよい。
【0009】
本発明の一態様による電子装置は、
裏面側に金属板を有する基板と、
前記基板に設けられた電子素子と、
前記電子素子を封入する樹脂材料からなる封止部と、
を備え、
前記金属板の裏面は前記封止部から外部に露出し、
前記金属板の裏面の周縁部には押圧痕が入っていてもよい。
【0010】
前記封止部の側面全体、おもて面全体及び裏面側における前記金属板の周縁全体が外部に露出していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、樹脂を流し込む工程において、金属板の周縁部が金型凹部の縁に当接した状態で金属板が裏面側金型に押圧される。このため、樹脂が金属板の裏面に回り込んでしまう可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態による電子装置の平面図である。
図2図2は、図1のII−II直線で切断した、本発明の実施の形態による電子装置の側方断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態による電子装置が製造される際の態様を示した側方断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態による電子装置と締結部材を拡大して示した側方断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態で用いられる金属板の周縁部及び金型凹部を拡大した側方図断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態
《構成》
図2に示すように、本実施の形態の電子装置は、基板10と、基板10に後述する導体層13を介して配置された半導体素子等の電子素子80と、電子素子80を封入する樹脂材料からなる封止部20と、を有してもよい。図1に示すように、封止部20はネジ等の締結部材90を挿入するための挿入部22を有してもよい。挿入部22は周縁領域よりも凹んだ封止凹部25に設けられてもよい。挿入部22は、金属製の材料からなり、その中心に締結部材90が挿入される挿入穴22aが設けられていてもよい。この挿入部22には、締結部材90と嵌合するネジが切られていてもよい。
【0014】
本実施の形態では、電子装置の一例としては半導体装置を挙げることができ、電子素子80の一例として半導体素子を挙げることができる。しかしながら、これに限られるものではなく、必ずしも「半導体」を用いる必要はない。
【0015】
図2に示すように、基板10は、金属板11と、金属板11に設けられた絶縁層12と、絶縁層12に設けられた導体層13とを有してもよい。また、導体層13が絶縁層12上でパターニングされることで回路が形成されてもよい。金属板11は放熱板として機能してもよい。金属板11及び導体層13は例えば銅からなっていてもよい。
【0016】
図4に示すように、挿入部22の深さDは締結部材90の長さHに対応した長さになっていてもよい。締結部材90の長さHに対応するとは、挿入部22の深さDは締結部材90の長さHよりも所定の長さだけ短くなっており(例えば、0.7×H≦D≦0.9Hとなっており)、締結部材90を挿入部22に挿入して電子装置を所定位置に固定する際に、何ら支障のない長さになっていることを意味している。
【0017】
封止部20の少なくとも側面及び封止凹部25が外部に露出していてもよい。また、封止部20の側面全体及びおもて面全体が外部に露出していてもよい。外部に露出するというのは、電子装置を取り囲む枠体がないことを意味しており、いわゆるケースレスであることを意味している。本実施の形態の図面に示す態様では、ケースレスの態様となっている。
【0018】
図2に示すように、電子素子80に接続され、封止部20のおもて面から外部に突出している端子70が設けられてもよい。また、この端子70は曲げられることなく直線状になってもよい。このような端子70が設けられる場合には、圧力がかかり難いポッティングによって封止をすることが一般的である。
【0019】
図3に示すように、金型100は、裏面側金型110と、この裏面側金型110のおもて面に載置されるおもて面側金型120とを有してもよい。裏面側金型110とおもて面側金型120とは、締結部材160によって連結されてもよい。おもて面側金型120は電子装置の封止凹部25に対応する凸部125を有してもよい。
【0020】
おもて面側金型120は、挿入部22の頂部と当接する位置に設けられたパッキン等の弾性体140を有してもよい。おもて面側金型120を裏面側金型110に対して締結部材160で締め付ける際に、弾性体140が挿入部22の頂部に対して押し付けられ、その結果、金属板11が裏面側金型110に対して押し付けられることになる。
【0021】
おもて面側金型120には、樹脂をポッティングするための開口部150が設けられてもよい。金型100内に基板10、電子素子80、挿入部22、端子70等が載置された後で、おもて面側金型120の開口部150から樹脂がポッティングされることで、樹脂封止が行われることになる。
【0022】
裏面側金型110は金属板11の裏面に対向する金型凹部111を有してもよい。このような裏面側金型110を採用する場合、基板10の金属板11の周縁部が金型凹部111の縁に当接するようになってもよい。金属板11の周縁部とは、金属板11の最外周縁から、金属板11の短手方向の長さ又は長手方向の長さの1/8以内の距離にある部分を意味している。つまり、短手方向における周縁部は短手方向の長さの1/8以内の距離にある部分を意味し、長手方向における周縁部は長手方向の長さの1/8以内の距離にある部分を意味している。また、金属板11の短手方向の長さが所定の長さ(例えば24cm)以上の大きさを有している場合には、金属板11の最外周縁から所定の距離(例えば3cm以内の距離)にある部分が周縁部であってもよい。一例としては、金属板11の最外周縁から0.5mm以上金属板11の厚み以下の領域(より具体的には金属板11の最外周縁から1mmの位置)が、金型凹部111の縁に当接するようになってもよい。
【0023】
図5に示すように、基板10の金属板11は、金属本体部11aと、金属本体部11aの周縁に設けられ、金属本体部11aと比較して肉厚が薄くなった金属減厚部11bとを有してもよい。このような形状の金属板11を採用する場合には、金型100内に樹脂を流入させる際には、金属減厚部11bは金型凹部111の周縁外方に位置づけられてもよい。金属本体部11aは断面が略矩形状となってもよい。金属減厚部11bは周縁外方に向かうにつれて肉厚が徐々に薄くなるようになっていてもよい。金属減厚部11bはおもて面側が徐々に薄くなってもよいし、裏面側が徐々に薄くなってもよいし(図5参照)、おもて面側と裏面側の両方が徐々に薄くなってもよい。
【0024】
裏面側金型110の金型凹部111の縁に基板10の金属板11の周縁部が強い力で押し付けられる場合には、金属板11の裏面の周縁部に押圧痕が入ることになる。つまり、本実施の形態で示されているような金型凹部111を採用し、金型凹部111の縁に金属板11の周縁部を強い力で押し付けた場合には、金属板11の裏面の周縁部に押圧痕が入ることになる。他方、本実施の形態のような金型凹部111を有さない金型100を用いた場合、金属板11の裏面の周縁部に押圧痕等が入ることは考え難い。したがって、このような押圧痕の入った金属板11を有する電子装置は、金型凹部111を採用している可能性が極めて高い。
【0025】
また、封止凹部25を適宜設ける態様を採用した場合には、設計の自由度を高めることができる。一例として、封止凹部25に挿入部22を設ける態様を採用し、挿入部22の深さDを締結部材90の長さHに対応した長さにした場合には(図4参照)、封止凹部25の厚みを、締結部材90の長さ及び挿入部22の長さに対応した厚みに容易に調整できる。このため、種類や形態の異なる電子装置であっても、封止凹部25の厚みを略同じ値、例えば平均値D0の±5%以内の値:D0×(1±0.05)とすることで、同じ締結部材90を利用することができるようになる。この結果、部品の統一化を図ることができ、また製造コストを下げたり部品混入のリスクを未然に防止したりすることもできるようになる。
【0026】
《製造方法》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による電子装置を製造する工程(電子装置の製造方法)について説明する。重複する記載となるので明記はしないが、「構成」で記載したあらゆる態様を適用することができる。
【0027】
おもて面側の導体層13に電子素子80及び端子70が配置され、裏面側に金属板11を有する基板10を、金型凹部111を有する裏面側金型110に載置する(基板載置工程)。この際、金型凹部111の中心と金属板11の中心とが合わされて、金属板11の周縁部が金型凹部111の縁に当接するようになっていてもよい。
【0028】
次に、締結部材90を挿入するための挿入部22を載置する(挿入部載置工程)。なお、挿入部22を載置する工程を、電子素子80及び/又は端子70を導体層13に載置する工程と同時又はそれよりも前に行ってもよい。
【0029】
次に、基板10の全体を覆うようにして裏面側金型110におもて面側金型120を載置し、締結部材160によって裏面側金型110におもて面側金型120を固定する。このように締結部材160によって裏面側金型110におもて面側金型120を固定することで、基板10が裏面側金型110に押圧されることになる。この際、締結部材160による締め付けの力を調整することで、基板10の裏面側金型110への押付圧力の大きさを調整するようにしてもよい。
【0030】
次に、おもて面金型100と裏面側金型110との間に、例えばポッティングによって樹脂を流し込む(樹脂流入工程)。この際、基板10の金属板11の周縁部が金型凹部111の縁に当接した状態で金属板11が裏面側金型110に押圧されている。このため、金型凹部111の縁で金属板11に強い圧力を与えることができ、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性を低減できる。なお、ポッティングによって樹脂を流し込むのに先立ち、予熱部(予熱プレート)によって85℃程度に金型100が暖められ、樹脂を流し込む間は75℃程度に設定された予熱部(予熱プレート)によって金型100が暖められた状態になってもよい。このような予熱を行うことで、樹脂が封止凹部25の外周縁に回り込むことを促進することができる点で有益である。
【0031】
おもて面金型100が弾性体140を有している場合には、樹脂流入工程において、締結部材90を挿入するための挿入部22が基板10のおもて面に載置され、挿入部22の頂部におもて面側金型120の弾性体140が位置づけられる。そして、おもて面側金型120の凸部125の底面で挿入部22の頂部を押圧することで、金属板11の周縁部が金型凹部111の縁に当接した状態で基板10が裏面側金型110に押圧され、その状態で封止部20の材料となる樹脂を金型100内に流し込まれることになる。このような弾性体140を利用することで、弾性体140による弾性力(反発力)も利用して基板10を金型凹部111の縁に押し付けることができる。この結果、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性をさらに低減できる。
【0032】
挿入部22等の押圧部材によって金属板11を押し付ける位置は、金型凹部111の周縁内方であってもよい。このような位置で押し付けることで、金属板11が金型凹部111内に曲がり込むようにして押し込むことができ、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性をさらに低減できる点で有益である。
【0033】
挿入部22等の押圧部材によって金属板11を押し付ける位置は、断続的に配置された複数箇所であってもよいし、連続的な箇所であってもよい。このような態様を採用することで、金属板11をより確実に裏面側金型110に押し付けることができ、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性をさらに低減できる。
【0034】
また、挿入部22等の押圧部材によって金属板11を押し付ける箇所が複数ある場合には、当該箇所が均等な間隔で配置されてもよいし、線対称又は点対称に配置されてもよい。このような態様を採用することで、金属板11をよりバランスよく裏面側金型110に押し付けることができ、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性をさらに低減できる。
【0035】
なお、封止部20が平面で見たときに略矩形となる場合には、各辺に対応して挿入部22が設けられてもよいし、対向する一対の辺に挿入部22が設けられてもよい。封止部20が平面で見たときに略長方形となる場合には、一対の短辺に挿入部22が設けられてもよいし、一対の長辺に挿入部22が設けられてもよい。なお、「平面で見たときに略矩形」とは、平面で見たときに対向する辺が平行になっている態様を意味し、平面図において角部が丸まっている態様も含まれている。「平面で見たときに略長方形」とは、平面で見たときに対向する辺が平行になり、かつ短辺と長辺が存在している態様を意味し、平面図において角部が丸まっている態様も含まれている。製品の大きさや形状に応じて挿入部22の位置を適宜変更することで、金属板11のうち挿入部22によって押圧される箇所を適宜変更することができ、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性をより低減することができる。例えば、封止部20が平面で見たときに略長方形となる場合において、一対の短辺に挿入部22が設けられる態様を採用したときには(図1の右側面周縁部及び左側面周縁部を押圧する態様を採用したときには)、長さが長く金属板11の反りの影響等が出やすい箇所で金属板11を金型凹部111の周縁に押し付けることができる点で有益である。
【0036】
金属板11が、金属本体部11aと、金属本体部11aと比較して肉厚が薄くなった金属減厚部11bとを有する態様を採用している場合には、樹脂流入工程において、金属減厚部11bは金型凹部111の外方に位置し、金属本体部11aが金型凹部111の縁に当接した状態で、金属板11が裏面側金型110に押圧されてもよい。このように厚みの厚い金属本体部11aを金型凹部111の縁に押し付けることで、樹脂が金属板11の裏面に回り込んでしまう可能性をさらに低減できる。
【0037】
この点について説明する。金属板11は、断面が略矩形状の金属本体部11aと、周縁に向かうにつれて厚みが薄くなっていく金属減厚部11bとを有していることがある。このような金属板11を利用した場合において、金属減厚部11bを金型凹部111の縁に押し付けた場合には、金属減厚部11bの形状が均一なものとなっていないことから、金属減厚部11bと金型凹部111との間に不可避的に形成される間隙から樹脂が金属板11の裏面側に回り込んでしまうことがある。この点、本態様のように、断面が略矩形状となっており均一な形状に近い金属本体部11aを金型凹部111の縁に押し付けることで、樹脂が金属板11の裏面側に回り込んでしまう可能性をさらに低減できる。
【0038】
前述したように、金型100内に樹脂が例えばポッティングによって流し込まれると、所定の温度で樹脂を硬化させて封止部20を形成する(硬化工程)。
【0039】
次に、金型100を取り外すことで、封止部20の側面全体及びおもて面全体が外部に露出したケースレスの電子装置が製造されることになる。
【0040】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【0041】
10 基板
11 金属板
11a 金属本体部
11b 金属減厚部
20 封止部
22 挿入部
70 端子
80 電子素子
90 締結部材
110 裏面側金型
111 金型凹部
120 おもて面側金型
140 弾性体
【要約】
電子装置の製造方法は、金型凹部111を有する裏面側金型110に、裏面側に金属板11を有する基板10を載置する工程と、前記基板10を覆うようにしておもて面側金型120を位置づける工程と、前記基板10を前記裏面側金型110に押圧しながら、前記おもて面金型100と前記裏面側金型110との間に樹脂を流し込む工程と、を有している。前記樹脂を流し込む工程において、前記金属板11の周縁部が前記金型凹部111の縁に当接した状態で、前記基板10が前記裏面側金型110に押圧される。
図1
図2
図3
図4
図5