(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記テーブルに登録された前記検出情報と、前記テーブルに登録された前記時刻情報、前記日付情報、及び前記曜日情報の少なくとも1つとに関し、前記第1の通信処理部の電源をオン、またはオフする条件を、使用者の操作に応じて設定することを特徴とする請求項1に記載の無線アクセス装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信システムにおいて、端末装置は、使用者が直接的に操作するものであるから、使用状態の判定が容易である。このため、端末装置は、未使用時に自装置の電源をオフ制御することにより消費電力が低減される。一方、無線アクセス装置は、使用者が直接的に操作するものではなく、端末装置からのアクセス要求に備えて、常に待機状態にあるから、使用状態の判断が難しく、消費電力の低減が困難である。
【0008】
そこで、本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減し得る無線
アクセス装置、無線通信システム、及び無線
アクセス装置の電源制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明に係る無線
アクセス装置は、端末装置との無線通信を処理する第1の通信処理部と、
前記端末装置の消費電力を検出する電力センサを含む1以上のセンサ装置との無線通信を処理する第2の通信処理部と、
時間帯、日付、及び曜日をそれぞれ示す時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つと、前記1以上のセンサ装置
が検出する検出情報と、自装置の使用状態とが対応付けられて登録されたテーブルを記憶する記憶部と、現在の
時間、日付、及び曜日をそれぞれ示す時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つと、前記第2の通信処理部が前記1以上のセンサ装置から受信した検出情報
のうち、少なくとも、前記消費電力を示す電力情報との組み合わせに基づいて前記テーブルを参照することにより自装置の使用状態を判定し、該判定結果に応じ前記第1の通信処理部の電源を制御する制御部とを有する。
【0010】
本発明に係る無線
アクセス装置は、第1及び第2の通信処理部によって端末装置、及び1以上のセンサ装置とそれぞれ通信可能である。そして、第2の通信処理部は、1以上のセンサ装置から検出情報を受信する。したがって、各種のセンサ装置を用いることにより、無線
アクセス装
置は、使用状態の判定に有用な検出情報を得ることができる。
【0011】
本発明に係る無線
アクセス装置は、センサ装置から受信した検出情報と、自装置に保持された通信統計情報、時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つとに基づいて、第1の通信処理部の電源を制御する。したがって、無線
アクセス装置は、複数の情報から総合的に使用状態を判定し、該判定結果に応じて第1の通信処理部の電源をオン、またはオフすることができる。よって、第2の通信処理部として、第1の通信処理部より消費電力が低い通信手段を選択することにより、無線
アクセス装置の消費電力が低減される。
【0012】
上記の無線
アクセス装置において、前記制御部は、前記検出情報と、前記通信統計情報、前記時刻情報、前記日付情報、及び前記曜日情報の少なくとも1つとに関し、前記第1の通信処理部の電源をオン、またはオフする条件を、使用者の操作に応じて設定してもよい。
【0013】
また、本発明に係る無線通信システムは、上記の無線
アクセス装置と、1以上のセンサ装置とを含む。前記1以上のセンサ装置は、前記第2の通信処理部との無線通信を処理する通信処理部を有し、センシング動作により得た前記検出情報を、前記通信処理部により前記無線
アクセス装置の前記第2の通信処理部に送信する。
【0014】
本発明に係る無線通信システムは、上記の無線
アクセス装置と、1以上のセンサ装置とを含むから、上述した作用効果を奏する。
【0015】
上記の無線通信システムにおいて、前記1以上のセンサ装置は、照度を検出する照度センサを含み、前記照度センサは、前記検出情報として、該照度を示す照度情報を前記第2の通信処理部に送信してもよい。
【0016】
上記の無線通信システムにおいて、前記1以上のセンサ装置は、人を感知する人感センサを含み、前記人感センサは、前記検出情報として、該感知結果を示す感知情報を前記第2の通信処理部に送信してもよい。
【0017】
上記の無線通信システムにおいて、前記1以上のセンサ装置は、機器の消費電力を検出する電力センサを含み、前記電力センサは、前記検出情報として、該消費電力を示す消費電力情報を前記第2の通信処理部に送信してもよい。
【0018】
また、本発明に係る無線
アクセス装置の電源制御方法は、端末装置との無線通信を処理する第1の通信処理部の電源を制御する方法において、
前記端末装置の消費電力を検出する電力センサを含む1以上のセンサ装置との無線通信を第2の通信処理部により処理し、時間帯、日付、及び曜日をそれぞれ示す時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つと、1以上のセンサ装置の検出情報と、自装置の使用状態とが対応付けられて登録されたテーブルを用い、現在の
時間、日付、及び曜日をそれぞれ示す時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つと
、前記第2の通信処理部が前記1以上のセンサ装置から受信した前記検出情報
のうち、少なくとも、前記消費電力を示す電力情報との組み合わせに基づいて前記テーブルを参照することにより自装置の使用状態を判定し、該判定結果に応じ前記第1の通信処理部の電源を制御する方法である。
【0019】
本発明に係る無線
アクセス装置の電源制御方法は、上記の無線
アクセス装置と同様の構成を含むため、上述した作用効果を奏する。
【0020】
上記の電源制御方法において、前記1以上のセンサ装置は、照度を検出する照度センサを含み、前記検出情報は、該照度を示す照度情報を含んでもよい。
【0021】
上記の電源制御方法において、前記1以上のセンサ装置は、人を感知する人感センサを含み、前記検出情報は、該感知結果を示す感知情報を含んでもよい。
【0022】
上記の電源制御方法において、前記1以上のセンサ装置は、機器の消費電力を検出する電力センサを含み、前記検出情報は、該消費電力を示す消費電力情報を含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によれば、消費電力を低減し得る無線
アクセス装置、無線通信システム、及び無線
アクセス装置の電源制御方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、無線通信システムの構成を示す構成図である。無線通信システムは、無線アクセス装置1、1以上の端末装置3と、1以上のセンサ装置2とを含む。無線アクセス装置1は、例えばIEEE802.11a/b/g/nなどの規格、またはWi−Fiの規格に従って、無線LAN30を介して端末装置3と通信を行う。無線アクセス装置1は、ルータ機能を備え、端末装置3から、インターネットなどのWAN(World Area Network)へのアクセスを可能とする。なお、本実施例において、無線通信装置の例として、無線アクセス装置1を挙げるが、これに限定されず、他の無線通信装置であってもよい。
【0026】
端末装置3は、無線LAN30を介して無線アクセス装置1と通信する機能を備える装置である。このような装置の例としては、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどの携帯型情報端末装置、薄型テレビや録画再生装置などの家庭用電気製品、ビデオゲーム装置、及び携帯型ゲーム機器などが挙げられる。端末装置3は、所定のプロトコルに従って無線アクセス装置1との通信を確立することにより、WANにアクセスすることができる。
【0027】
センサ装置2は、センシング動作を実行することによって、特定の状態を検出する装置である。このような装置の例としては、照度を検出する照度センサ、人を感知する人感センサ、及び、機器の消費電力を検出する電力センサなどが挙げられる。
図1に示されたセンサ装置2は、このうち、少なくとも1種類の装置を含んでいる。なお、電力センサとしては、コンセントに接続された機器の消費電力を、該コンセントを介して検出するスマートコンセント(登録商標)が挙げられる。
【0028】
センサ装置2は、端末装置3とは異なる通信手段を用いて、無線アクセス装置1と無線通信する機能を備える。この通信手段の例として、Bluetooth(登録商標、以下同様)が挙げられるが、限定されない。各センサ装置2は、センシング動作により得た検出情報を、該通信手段により無線アクセス装置に送信する。
【0029】
図2は、センサ装置2の機能構成を示す構成図である。センサ装置2は、センサ側制御部20、センサ側通信処理部21と、センシング処理部22と、スイッチ23とを有する。
【0030】
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理回路であり、装置2の全体的な動作を制御する。もっとも、制御部20は、このようにソフトウェアで機能するものに限定されることはなく、特定用途向け集積回路などのハードウェアによって構成してもよい。
【0031】
通信処理部21は、例えばBluetoothの規格に従って、無線アクセス装置1との無線通信を処理する。センシング処理部22は、センシング動作を行う。具体的には、センシング処理部22は、照度センサの場合、照度を検出し、人感センサの場合、人を感知する。また、センシング処理部22は、電力センサの場合、機器の消費電力を検出する。センシング処理部22は、センシング動作により得た検出情報を制御部20に出力する。
【0032】
そして、制御部20は、検出情報を、通信処理部21を介して、無線アクセス装置1に送信する。送信される検出情報は、照度センサの場合、照度を示す照度情報であり、人感センサの場合、感知結果を示す感知情報である。また、電力センサの場合、機器の消費電力を示す消費電力情報である。
【0033】
スイッチ23は、検出情報に関する設定を行うものであり、複数設けられていてもよい。設定内容としては、例えば、検出情報を周期的に送信する場合の周期、及び、無線アクセス装置1において情報が有効なものとして扱われる時間などが挙げられる。制御部20は、スイッチ23による設定内容を検出し、設定に従って検出情報を無線アクセス装置1に送信する。このとき、制御部20は、設定に応じて、検出情報に付随する情報も送信する。
【0034】
再び
図1を参照すると、無線アクセス装置1は、通信ポート10と、第1の通信処理部である無線LAN用通信処理部11と、制御部12と、カレンダ/時計機能部13と、メモリ14と、第2の通信処理部である電源制御用通信処理部15とを備える。
【0035】
無線LAN用通信処理部11は、1以上の端末装置3との無線通信を処理する。通信処理部11は、所定のプロトコルに従って端末装置3との通信を確立し、通信ポート10を介して、該端末装置3とWANとの通信を処理する。通信ポート10は、有線のLANポートであり、RJ−45コネクタ、及びPHYレイヤとMACレイヤの機能を備える。
【0036】
電源制御用通信処理部15は、1以上のセンサ装置2との無線通信を処理する。電源制御用通信処理部15は、無線LAN用通信処理部11とは異なる通信手段を備える。この通信手段としては、既に述べたように、例えばBluetoothが挙げられるが、これに限定されず、平均消費電力(特に待機時の消費電力)が無線LAN用通信処理部11より低いものであれば他の通信手段であってもよい。
【0037】
電源制御用通信処理部15は、所定のプロトコルに従ってセンサ装置2と通信を確立する。そして、通信処理部15は、1以上のセンサ装置2からそれぞれ検出情報を受信して、該検出情報を制御部12に出力する。すなわち、1以上のセンサ装置2は、センシング動作により得た検出情報を、センサ側通信処理部21により無線アクセス装置1の電源制御用通信処理部15に送信する。
【0038】
制御部12は、例えば、CPUなどの演算処理回路であり、装置1の全体的な動作を制御する。もっとも、制御部12は、このようにソフトウェアで機能するものに限定されることはなく、特定用途向け集積回路などのハードウェアによって構成してもよい。
【0039】
制御部12は、検出情報と、自装置1に保持された通信統計情報、時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つとに基づいて、無線LAN用通信処理部11の電源を制御する。制御部12は、例えば、電源(給電用の配線)に接続された通信処理部11内のスイッチをオン、またはオフすることにより制御を実行する。
【0040】
制御部12は、時刻情報、日付情報、及び曜日
情報を、カレンダ/時計機能部13から取得する。カレンダ/時計機能部13は、リアルタイムクロックモジュールを備え、現在の日付、曜日、及び時刻をそれぞれ示す日付情報、曜日情報、及び時刻情報を保持する。
【0041】
また、制御部12は、通信統計情報、及び検出情報をメモリ14から取得する。メモリ14は、例えばFRAM(Flash Random Access Memory、登録商標)などの不揮発性の記憶手段である。メモリ14は、通信統計情報142、検出情報141、及び判定テーブル140を記憶する。
【0042】
通信統計情報142は、端末装置3からWANへのアクセスに関する通信量の統計である。制御部12は、無線LAN用通信処理部11と通信ポートとの間のデータ量を取得することにより、通信統計情報142を生成してメモリ14に書き込む。通信統計情報142については、後述する実施例において詳述する。
【0043】
制御部12は、検出情報141を、通信処理部15により各センサ装置2から受信するごとに、メモリ14書き込む。これにより、検出情報141は、センサ装置2ごとに最新の状態に更新される。更新の周期は、例えば、上述したセンサ装置2のスイッチ23により設定された送信周期に従って決定される。
【0044】
判定テーブル140には、日付情報、曜日情報、及び時刻情報の少なくとも1つと、検出情報と、判定結果である使用状態とが対応付けて登録されている。本実施例において、制御部12は、判定テーブル140を参照し、取得した各情報に基づいて総合的に使用状態を判定する。そして、該判定結果に従って、制御部12は、無線LAN用通信処理部11の電源をオン、またはオフする。
【0045】
また、制御部12は、判定テーブル140の内容を編集する機能を備える。すなわち、制御部12は、検出情報と、通信統計情報、時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つとに関し、無線LAN用通信処理部11の電源をオン、またはオフする条件を、使用者の操作に応じて設定する。
【0046】
使用者による判定テーブル140の編集操作は、通信ポート10に接続された設定用端末装置19から行われる。設定用端末装置19は、パーソナルコンピュータなどのLANの通信機能を備える装置である。制御部12は、webブラウザなどの画面を介して、使用者の編集操作を受け付ける機能を備えると、操作が簡便になるため、好ましい。なお、
図1には、通信ポート10は、WAN、及び設定用端末装置19の一方と接続される形態が示されているが、各々に専用のポートが設けられていてもよい。
【0047】
次に、無線アクセス装置1の電源制御方法を説明する。
図3は、制御部12の処理を示すフロー図である。
【0048】
制御部12は、センサ装置2から検出情報を受信すると(ステップSt1のYES)、該検出情報に基づいて、メモリ14に保持されている検出情報141を更新する(ステップSt2)。受信した検出情報に、センサ装置2のスイッチ23の設定に基づく有効時間の情報が付随する場合、メモリ14内の検出情報141は、該有効時間を経過すると無効になる。無効な検出情報141は、電源の制御に用いられない。
【0049】
次に、制御部12は、判定テーブル140を参照して使用状態を判定する(ステップSt3)。
図4には、判定テーブル140内の判定条件として用いられる情報の例が示されている。
図4において、「項目」は、判定に用いられる情報の名称であり、「内容」は、情報が示す内容である。また、「取得元」は、制御部12が当該情報を取得する対象、つまり情報源を示す。
【0050】
時刻情報、及び曜日情報は、カレンダ/時計機能部13から取得される。制御部12において、時刻情報は、具体的な時刻に基づいて、例えば、「朝」、「昼」、「夜」、及び「深夜」に区別して扱われる。例えば、AM5:00〜9:00を「朝」、AM9:00〜PM6:00を「昼」、PM6:00〜AM12:00を「夜」、AM12:00〜5:00を「深夜」としてもよい。
【0051】
制御部12において、曜日情報は、具体的な曜日に基づいて、例えば、「平日」、及び「休日」に区別して扱われる。例えば、土曜日、日曜日、及び祭日を「休日」とし、祭日を除いた月曜日から金曜日を「平日」としてもよい。
【0052】
照度情報は、センサ装置
2のうち、照度センサから取得される。制御部12において、照度情報は、具体的な照度に基づいて、「明」、及び「暗」に区別して取り扱われる。例えば、照度が閾値より高い場合に「明」とし、該閾値より低い場合に「暗」としてもよい。なお、「明」、及び「暗」の区別は、照度センサにおいてなされてもよい。
【0053】
感知情報は、センサ装置
2のうち、人感センサから取得される。感知情報は、人を感知した場合に「有」を示し、他方、人を感知しない場合に「無」を示す。
【0054】
電力情報は、センサ装置
2のうち、電力センサから取得される。制御部12において、電力情報は、具体的な電力に基づいて、「有」、及び「無」に区別して扱われる。電力情報は、電力が閾値以上である場合に「有」を示し、該閾値より低い場合に「無」を示す。なお、「有」、及び「無」の区別は、電力センサにおいてなされてもよい。
【0055】
また、
図5には、判定テーブルの例が示されている。
図5において、「No.」は、判定条件ごとに付された管理番号である。「使用状態」は、判定処理St3の結果を示す。「使用状態」が「使用」である場合、無線アクセス装置1が使用中、または使用される可能性が高い状態であることを示し、他方、「使用状態」が「不使用」である場合、無線アクセス装置1が使用されない可能性が高い状態であることを示す。また、「時刻」、「曜日」、「照度」、「感知(1)」、「感知(2)」、及び「電力消費」は、「使用状態」が示す判定結果の論理的な条件であり、上述した各情報が示す内容にそれぞれ対応している。
【0056】
本例において、1以上のセンサ装置2には、1台の照度センサ、1台の電力センサ、及び2台の人感センサ(1),(2)が含まれることを前提とする。「感知(1)」、「感知(2)」は、人感センサ(1),(2)の条件をそれぞれ示す。一方の人感センサ(1)、電力センサ、及び照度センサは、端末装置3が設置されている部屋A(例えば書斎やリビング)に配置され、他方の人感センサ(2)は、端末装置3がない部屋B(例えば浴室や寝室)に配置されているとする。ここで、電力センサは、端末装置3の消費電力を検出する。なお、本例において、使用者は1人であり、端末装置3は1台であることを前提とするが、使用者数、及び台数に限定はない。
【0057】
No.1の例は、平日の昼に使用者が各部屋A,Bに不在(「感知(1),(2)」が「無」)であることから、使用者が外出中であるものとみなし、端末装置3が使用されない(「不使用」)と判定する設定である。なお、照度情報は、時刻が昼であるため、日光が部屋A内に当たるものとし、判定条件に含まれない。
【0058】
No.2の例は、夜に使用者が各部屋A,Bに不在であり、かつ、部屋Aの明かりが消されている(「照度」が「暗」)ことから、使用者が外出中であるものとみなし、端末装置3が使用されない(「不使用」)と判定する設定である。No.3の例は、平日の深夜に使用者が部屋Bに在室し、
部屋Aの明かりが消されていることから、使用者が就寝中、または入浴中であるものとみなし、端末装置3が使用されない(「不使用」)と判定する設定である。No.4の例は、休日の朝に使用者が部屋Bに在室し、部屋Aの照度が低いことから、使用者が、朝日を遮るようにカーテンや雨戸を閉めて就寝中であるものとみなし、端末装置3が使用されない(「不使用」)と判定する設定である。
【0059】
No.5の例は、休日の昼に使用者が部屋Aに在室していることから、使用者が端末装置3を使用する可能性が高いとみなし、端末装置3が使用される(「使用」)と判定する設定である。No.6の例は、夜に使用者が部屋Bに不在であり、かつ、部屋Aに明かりが灯っていることから、端末装置3が使用される(「使用」)と判定する設定である。
【0060】
No.7の例は、端末装置3が動作している(「消費電力」が「有」)ことから、他の情報に関わらず、使用者が端末装置3を使用している、または、端末装置3が自律的に動作しているものとみなし、端末装置3が使用される(「使用」)と判定する設定である。端末装置3が自律的に動作する場合としては、例えば、薄型テレビが、WAN内のサーバからの通知に基づいて、自装置のファームウェアの更新を検出し、該サーバから最新のファームウェアをダウンロードする動作が挙げられる。なお、No.7の設定のため、No.5,6の判定条件に消費電力情報は含まれない。
【0061】
このように、制御部12は、判定テーブル140に基づいて、各検出情報の内容を総合し、端末装置3の使用状態を判定する。判定テーブル140の内容は、上述したように、使用者が設定用端末装置19を操作することによって編集される。したがって、使用者は、家族構成や生活スタイルに合わせた条件設定が可能である。このため、当該設定によって、使用者が外出時に、他人が無断で装置1を介してWANにアクセスすることを防止するというセキュリティ面の利点も得られる。なお、判定テーブル140には、制御部12が各センサ装置2を識別するための固有の識別情報が設定されている。
【0062】
判定テーブル140内の条件設定は、センサ装置3からも簡便に行われると好ましい。例えば、使用者は、センサ装置2に設けられたスイッチ23によって、照度情報の論理条件を設定してもよい。例えば、「照度」情報は、照度センサが設置された部屋に応じて、「明」状態が、「使用」、及び「不使用」の何れの可能性が高いことを示唆するのかが決定される。つまり、照度センサが、上記の部屋Aに設置された場合、「明」状態は、本例のように「使用」の可能性が高いことを示すが、他方、部屋Bに設置された場合、「不使用」の可能性が高いことを示す。この論理条件を、スイッチ23により選択可能とする場合、選択した論理条件を示す論理情報(例えば、「使用」を「1」、「不使用」を「0」)が、検出情報に付随して装置1に送信される。そして、制御部12は、受信した論理情報に従って、判定テーブル140内の該検出情報に対応する条件を設定する。
【0063】
また、本例では、端末装置3が1台であることを前提としたが、複数台であってもよい。この場合、端末装置3が設けられた部屋ごとにセンサ装置2を設けておき、判定テーブル140には、各センサ装置2の検出情報を条件として含めるとよい。例えば、人感センサが、端末装置3が設けられた各部屋にある場合、判定テーブル140には、各人感センサの少なくとも1つの「感知」情報が「有」であると、「使用状態」は「使用」と判定されるように設定されるとよい。
【0064】
再び
図3を参照すると、制御部12は、判定処理St3の結果、「不使用」と判定した場合(ステップSt4のNO)、無線LAN用通信処理部11の電源をオフする(ステップSt5)。このとき、既に電源がオフであれば、制御部12は、オフとなる期間を延長する制御を行ってもよい。この場合、制御部12は、電源のオフ制御に所定の有効時間(例えば、電源を1時間だけオフする)を有するとよい。
【0065】
一方、制御部12は、判定処理St3の結果、「使用」と判定した場合(ステップSt4のYES)、無線LAN用通信処理部11の電源をオンする(ステップSt6)。このとき、既に電源がオンであれば、制御部12は、オン状態が維持されるように、電源の制御を行わない。
【0066】
そして、制御部12は、例えば装置1の電源がオフされることによって処理を終了する場合(ステップSt7のYES)、処理が終了し、他方、そうでない場合(ステップSt7のNO)、ステップSt1から処理を再開する。このようにして、制御部12は、無線LAN用通信処理部11の電源を制御する。なお、
図3の例は、検出情報の受信処理St1を契機として処理を実行するものであるが、これに限定されず、制御部12は、周期的に各処理St3〜St7を行ってもよい。
【0067】
本実施例に係る制御部12は、使用状態の判定処理St3において、判定テーブル140に基づいて判定を行うが、これに限定されず、メモリ14に保持された通信統計情報142を用いて判定を行ってもよい。
図6は、通信統計情報142の例を示すグラフである。
【0068】
上述したように、制御部12は、通信ポート10と無線LAN用通信処理部11の間において入出力されるデータを監視することによって通信統計情報142を生成し、メモリ14に書き込む。
図6に示された通信統計情報142は、一定期間内において一日ごとの通信量の累積値を、平日(符号G1参照)、及び休日(符号G2参照)に分けて記録したものである。グラフの横軸は、一日分の時刻を表しており、上記の時刻情報の区分と同様に、「朝」、「昼」、「夜」、及び「深夜」に区分けされている。一方、グラフの縦軸は、通信量(Byte)を表している。なお、通信統計情報142の更新処理は、周期的に行われてもよいし、使用者の操作に応じて行われてもよい。
【0069】
本例において、平日の夜、及び休日の昼と深夜の時間帯の通信量が増加している。したがって、端末装置3が使用される可能性は、当該時間帯が他の時間帯より高いということになる。本実施例において、制御部12は、この使用可能性(または使用確率)を、情報ごとに数値として扱い、各情報の数値の合計に基づいて使用状態を判定する。なお、この数値を、以降の説明において「判定ポイント」と称することとする。
【0070】
図7は、本実施例における使用状態の判定処理St3を示すフローである。制御部12は、まず、情報ごとに判定ポイントを決定する(ステップSt11)。
【0071】
曜日情報、及び時刻情報の判定ポイントは、
図6の通信統計情報142に基づいて決定される。判定ポイントの割り当ては、例えば、所定の規則に従って、通信量が高い順に、休日の深夜が50ポイント、平日の夜が40ポイント、休日の昼が10ポイントとなる。なお、休日の昼について、昼全体の時間帯の一部のみにおいて通信量が増加しているので、判定ポイントは比較的に低くなる。
【0072】
一方、他の情報についても同様に判定ポイントが決定される。
図5の例において、照度情報が「明」を示す場合、端末装置3の使用可能性は高く、他方、「暗」を示す場合、使用可能性は低い。したがって、照度情報の判定ポイントの割り当ては、例えば、「明」の場合に10ポイント、「暗」の場合に0ポイントとする。感知情報についても同様に可能性が高い場合に高い判定ポイントを割り当てるとよい。なお、消費電力情報については、「有」の場合、端末装置3が既に使用されている状態を示すので、判定ポイントの上限値を割り当ててもよい。
【0073】
次に、制御部12は、各情報の判定ポイントの合計を算出する(ステップSt12)。
図5の例の場合、制御部12は、時刻情報、曜日情報、照度情報、感知情報(1),(2)、及び消費電力情報の各判定ポイントの合計を算出する。なお、時刻情報、及び曜日情報の判定ポイントは、上述したように、通信統計情報142に基づく。
【0074】
次に、制御部12は、ステップSt12により得た判定ポイントの合計と、所定の閾値とを比較する(ステップSt13)。制御部12は、判定ポイントの合計が該閾値より小さい場合(ステップSt13のNO)、「不使用」、つまり使用可能性が低いと判定する(ステップSt14)。一方、制御部12は、判定ポイントの合計が該閾値以上である場合(ステップSt13のYES)、「使用」、つまり使用可能性が高いと判定する(ステップSt15)。なお、
図3に示されるように、前者の場合、無線LAN用通信処理部11の電源はオフ、またはオフ期間が延長され、後者の場合、該電源はオン、またはオン状態が維持される。
【0075】
このようにして、制御部12は、使用状態の判定処理を行う。本実施例において、各情報の判定ポイント、及び閾値は、使用者の操作に応じて、設定用端末装置19から設定可能とした場合、使用者の生活スタイルなどに従って細かい調整ができるため、好ましい。
【0076】
これまで述べたように、無線アクセス装置1は、2つの通信処理部11,15によって端末装置3、及び1以上のセンサ装置2とそれぞれ通信可能である。そして、電源制御用通信処理部15は、1以上のセンサ装置2から検出情報を受信する。したがって、各種のセンサ装置2を用いることにより、無線アクセス装置1は、使用状態の判定に有用な検出情報を得ることができる。
【0077】
無線アクセス装置1は、検出情報と、自装置1に保持された通信統計情報142、時刻情報、日付情報、及び曜日情報の少なくとも1つとに基づいて、無線LAN用通信処理部11の電源を制御する。したがって、無線アクセス装置1は、複数の情報から総合的に使用状態を判定し、該判定結果に応じて無線LAN用通信処理部11の電源をオン、またはオフすることができる。よって、電源制御用通信処理部15として、無線LAN用通信処理部11より消費電力が低い通信手段を選択することにより、無線アクセス装置1の消費電力が低減される。この作用効果は、
図1に示された無線通信システム、及び、
図3に示された電源の制御方法についても同様に得られる。
【0078】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。