【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0042】
実施例1
バッチ蒸着機(EVB-6CH、株式会社アルバック製)の真空容器中に基板としてのポリイミドフィルム(カプトン150EN、東レ・デュポン株式会社製、厚さ:38μm、全光線透過率:60.3%)を設置し、蒸着する材料であるニッケルをタングステンボードにのせ、真空容器を10
-3〜10
-4torrの真空にして電圧を加えることで材料を気化し、金属(ニッケル)の単位面積当たりの質量が9μg/cm
2となるようポリイミドフィルムに付着させ、ポリイミドフィルム上に金属を含む非導電層であるニッケル層を形成した実施例1の導電パターン形成用基板を得た。なお、金属を含む非導電層を構成する金属の単位面積当たりの質量は次のような方法で行った。まず、1cm角の導電パターン形成用基板を硝酸(関東化学株式会社製 EL硝酸)20mlに浸漬し、120℃のホットプレート上で加熱して金属を含む非導電層を溶解させた。溶解後の溶液を回収し50mlの試料溶液を調製した。その後ICP質量分析装置(Agilent ICP-MS 7500)を用いて試料溶液中の金属量を測定した。得られた導電パターン形成用基板の全光線透過率は、57.5%であった。
【0043】
実施例1で得られた導電パターン形成用基板のニッケル層上に、インク組成物であるNovaCentrix社製酸化銅インクICI-020(酸化銅粒子の粒径D50=200nm)を使用し、スクリーン印刷にて2cm×2cm角のパターンを厚さ8μmで印刷して印刷パターンを形成した。このようにして得られたサンプルについて、Xenon社製Sinteron2000を用いてパルス照射を行って酸化銅粒子を焼結、還元することにより上記印刷パターンを銅を含む導電パターンに転化して、ポリイミドフィルム上にニッケル層、及び銅を含む導電パターンが順次形成された実施例1の導電パターン形成基板を得た。照射条件は、パルス幅2000μ秒、電圧3000V、照射距離4.5cmから単発照射した。その際のパルスエネルギーは2070Jであった。
【0044】
実施例2
実施例1で得られた本発明の導電パターン形成用基板のニッケル層上に、インク組成物であるNovaCentrix社製銀フレークインクHPS−021(銀粒子の粒径D50=2μm)を使用し、スクリーン印刷にて2cm×2cm角のパターンを厚さ14μmで印刷して印刷パターンを形成した。このようにして得られたサンプルについて、Xenon社製Sinteron2000を用いてパルス照射を行って銀粒子を焼結することにより上記印刷パターンを導電パターンに転化して、ポリイミドフィルム上にニッケル層、及び銀を含む導電パターンが順次形成された実施例2の導電パターン形成基板を得た。照射条件は、パルス幅2000μ秒、電圧3000V、照射距離4.5cmから単発照射した。その際のパルスエネルギーは2070Jであった。
【0045】
実施例3
バッチ蒸着機(EVB-6CH、株式会社アルバック製)の真空容器中に基板としてのポリイミドフィルム(カプトン150EN、東レ・デュポン株式会社製、厚さ:38μm、全光線透過率:60.3%)を設置し、蒸着する材料であるクロムをタングステンボードにのせ、真空容器を10
-3〜10
-4torrの真空にして電圧を加えることで材料を気化し、金属(クロム)の単位面積当たりの質量が7μg/cm
2となるようポリイミドフィルムに付着させ、ポリイミドフィルム上に金属を含む非導電層であるクロム層を形成した実施例3の導電パターン形成用基板を得た。なお、単位面積当たりの質量は実施例1と同じ方法で測定した。得られた導電パターン形成用基板の全光線透過率は、58.2%であった。
実施例3で得られた導電パターン形成用基板のクロム層上に、実施例1で用いた酸化銅インクを使用し、実施例1と同様にして導電パターンを形成し、ポリイミドフィルム上にクロム層、及び銅を含む導電パターンが順次形成された実施例3の導電パターン形成基板を得た。
【0046】
実施例4
実施例3で得られた導電パターン形成用基板のクロム層上に、実施例2で用いた銀フレークインクを使用し、実施例2と同様にして導電パターンを形成し、ポリイミドフィルム上にクロム層、及び銀を含む導電パターンが順次形成された実施例4の導電パターン形成基板を得た。
【0047】
比較例1
実施例1で使用したポリイミドフィルム上に、実施例1で用いた酸化銅インクを使用し、実施例1と同様にして導電パターンを形成し(実施例1の導電パターン形成基板の金属を含む非導電層を形成しなかった)、ポリイミドフィルム上に、直接、銅を含む導電パターンが形成された比較例1の導電パターン形成基板を得た。
【0048】
比較例2
実施例1で使用したポリイミドフィルム上に、実施例2で用いた銀フレークインクを使用し、実施例2と同様にして導電パターンを形成し(実施例2の導電パターン形成基板の金属を含む非導電層を形成しなかった)、ポリイミドフィルム上に、直接、銀を含む導電パターンが形成された比較例2の導電パターン形成基板を得た。
【0049】
酸化銅インク及び銀フレークインクの印刷厚さ、並びに体積抵抗率及び密着性の結果も含め、表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例5〜8
バッチ蒸着機(EVB-6CH、株式会社アルバック製)の真空容器の中に基板としてのPETフィルム(エンブレットS、ユニチカ株式会社製、厚さ:50μm、全光線透過率:89.2%)を設置し、蒸着する材料であるニッケルをタングステンボードにのせ、真空容器を10
-3〜10
-4torrの真空にして電圧を加えることで、材料を気化し、表2に示される目的の単位面積当たりの質量となるようPETフィルムに付着させ、PETフィルム上に金属を含む非導電層であるニッケル層を形成した実施例5〜8の導電パターン形成用基板を得た。なお、単位面積当たりの金属(ニッケル)質量は実施例1と同じ方法で測定した。得られた導電パターン形成用基板の全光線透過率は表2に示す通りであった。
【0052】
実施例5〜8で得られた導電パターン形成用基板のニッケル層上にそれぞれ、実施例1で用いた酸化銅インクを使用し、実施例1と同様にして導電パターンを形成し、PETフィルム上にニッケル層、及び銅を含む導電パターンが順次形成された実施例5〜8の導電パターン形成基板を得た。
実施例9〜12
【0053】
実施例5〜8で得られた本発明の導電パターン形成用基板のニッケル層上にそれぞれ、実施例2で用いた銀フレークインクを使用し、実施例2と同様にして導電パターンを形成し、PETフィルム上にニッケル層、及び銀を含む導電パターンが順次形成された実施例9〜12の導電パターン形成基板を得た。
【0054】
実施例13〜16、比較例3
バッチ蒸着機(EVB-6CH、株式会社アルバック製)の真空容器の中に基板としてのPETフィルム(エンブレットS、ユニチカ株式会社製、厚さ:50μm、全光線透過率:89.2%)を設置し、蒸着する材料であるクロムをタングステンボードにのせ、真空容器を10
-3〜10
-4torrの真空にして電圧を加えることで、材料を気化し、表2に示される目的の単位面積当たりの質量となるようPETフィルムに付着させ、PETフィルム上に金属を含む非導電層であるクロム層を形成した実施例13〜16の導電パターン形成用基板、及び比較例3の導電パターン形成用基板を得た。なお、単位面積当たりの金属(クロム)質量は実施例1と同じ方法で測定した。得られた導電パターン形成用基板の全光線透過率は表2に示す通りであった。
【0055】
実施例13〜16で得られた導電パターン形成用基板のクロム層上、及び比較例3で得られた導電パターン形成用基板のクロム層上に、それぞれ実施例1で用いた酸化銅インクを使用し、実施例1と同様にして導電パターンを形成し、PETフィルム上にクロム層、及び銅を含む導電パターンが順次形成された実施例13〜16の導電パターン形成基板、及び比較例3の導電パターン形成基板を得た。
【0056】
実施例17〜20、比較例4
実施例13〜16で得られた導電パターン形成用基板のクロム層上、及び比較例3の導電パターン形成用基板のクロム層上にそれぞれ、実施例2で用いた銀フレークインクを使用し、実施例2と同様にして導電パターンを形成し、PETフィルム上にクロム層、及び銀を含む導電パターンが順次形成された実施例17〜20の導電パターン形成基板、及び比較例4の導電パターン形成基板を得た。
比較例5
【0057】
実施例5〜8で使用したPETフィルム上に、実施例1で用いた酸化銅インクを使用し、実施例1と同様にして導電パターンを形成し(実施例5〜8の導電パターン形成基板の金属を含む非導電層を形成しなかった)、PETフィルム上に、直接、銅を含む導電パターンが形成された比較例5の導電パターン形成基板を得た。
【0058】
比較例6
実施例5〜8で使用したPETフィルム上に、実施例2で用いた銀フレークインクを使用し、実施例2と同様にして導電パターンを形成し(実施例9〜12の導電パターン形成基板の金属を含む非導電層を形成しなかった)、PETフィルム上に、直接、銀を含む導電パターンが形成された比較例6の導電パターン形成基板を得た。
【0059】
酸化銅インク及び銀フレークインクの印刷厚さ、並びに体積抵抗率及び密着性の結果も含め、表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
以上の表1、表2に示された導電パターンの体積抵抗率は、株式会社三菱アナリテック製、ロレスタGPを使用して測定した。
【0062】
また、基板及び導電パターン形成用基板の全光線透過率は、基板又は導電パターン形成用基板を50mm角でカットし、濁度計(NDH2000、日本電色工業製)を使用して測定した。
【0063】
また、表1、表2に示す密着性とは、光照射により、導電パターンとなった塗膜が基板から引きはがされなかったとした場合に対する質量変化率である。この密着性は、光照射前後の塗膜質量を測り、塗膜の質量減少を計算することにより求める。金属酸化物粒子を使用した場合は、光照射により金属酸化物粒子が金属粒子に完全転化された場合の質量に換算して計算を行った。密着性を示す記号の表記については次のように定義した。
◎:質量変化率0〜5%。○:質量変化率5〜10%。△:質量変化率10〜15%。×:質量変化率15%〜。ただし、上記範囲は、いずれも下限値以上、上限値未満を示す。
【0064】
表1に示されるように、いずれの実施例の導電パターン形成基板も、金属を含む非導電層が形成されていない比較例1、2の導電パターン形成基板よりも良好な密着性を有している。
【0065】
また、表2に示されるように、いずれの実施例の導電パターン形成基板も、金属を含む非導電層が形成されていない比較例5、6の導電パターン形成基板よりも良好な密着性を有している。
【0066】
また、金属を含む非導電層の導通有無を確認するために、株式会社三菱アナリテック製、ロレスタGPを用いて2cm角の導電パターン形成用基板のシート抵抗測定試験を行った。その際、20MΩ/□以下のシート抵抗が観測された場合に、導通有と定義した。表2に示された比較例3、4のように導通有の場合は、金属を含む非導電層を厚く形成することにより密着性が良好であっても、透明性に関して外観を損なうと共に、金属を含む非導電層が導電性を帯びることにより短絡が生じ、電子回路パターンを形成できなくなるという問題がある。