特許第6321936号(P6321936)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321936
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20180423BHJP
   A47K 1/14 20060101ALI20180423BHJP
   F16K 31/46 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   E03C1/22 B
   A47K1/14 B
   F16K31/46 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-207951(P2013-207951)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-71898(P2015-71898A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年9月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−100644(JP,A)
【文献】 実開昭59−092281(JP,U)
【文献】 特開2005−133473(JP,A)
【文献】 特開2013−091938(JP,A)
【文献】 特開2004−116213(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0024108(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/22
A47K 1/14
F16K 31/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体の排水口に挿設される筒状の保持部材、及び、当該保持部材の内周に配置されるとともに、少なくとも上方側の開放時位置と当該開放時位置よりも下方側の閉鎖時位置との間で上下動可能な支持軸を具備する支持軸機構と、
少なくとも前記支持軸が前記開放時位置に配置された状態において、前記支持軸の上端面に載置される栓蓋とを備え、
前記栓蓋は、前記保持部材が内周に配置され、前記支持軸の上下動に伴い前記保持部材の外周を移動するガイド部を有し、
前記支持軸が前記閉鎖時位置に配置されたときに、前記栓蓋が前記槽体又は前記槽体に設けられた部材である接触対象部に接触することで、前記排水口を閉鎖可能な排水栓装置であって、
前記ガイド部の内周には、内周に向けて突出する内向突部が設けられ、前記ガイド部は、径方向に沿って弾性変形可能であり、
前記保持部材の外周には、外周に向けて突出する外向突部が設けられ、
前記外向突部は、前記内向突部の配置位置よりも常に上方に位置し、前記支持軸の上端面から前記栓蓋が離間したときに、前記内向突部に接触可能であることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
少なくとも前記支持軸が前記閉鎖時位置に配置された状態において、前記支持軸機構の上端面が平坦状であることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記支持軸の上端部には、第1の磁石が設けられるとともに、
前記栓蓋のうち前記支持軸の上端部の上方に配置される部位には、前記第1の磁石に引き寄せられる第2の磁石が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記第1の磁石は、前記支持軸の内部に設けられることを特徴とする請求項3に記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記支持軸機構は、前記支持軸に対して下方側に向けた力を加える戻し部材を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記支持軸の上下動に伴い前記栓蓋が移動する際に、前記内向突部が前記保持部材の外周面に沿って移動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記支持軸の上下動に伴い前記栓蓋が移動する際に、前記ガイド部は、その内周面が前記外向突部の最外部に沿って移動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に設けられる排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面器など)の排水口を開閉するためのものであり、排水口に設けられた栓蓋と、当該栓蓋を支持する支持軸機構とを備えている。支持軸機構は、栓蓋を上下動可能に支持する支持軸と、当該支持軸の外周に設けられた筒状の保持部材とを備えている。
【0003】
また、従来において、所定の戻りバネなどにより支持軸に下方側に向けた力を加え、槽体や槽体に設けられた接触対象部(例えば、排水口と排水用の配管とを接続するための排水口部材など)に栓蓋の外縁部を比較的大きな圧力で接触させることにより、排水口のより確実な閉鎖を図る手法が提案されている。尚、当該手法では、栓蓋の外縁部を槽体等に比較的大きな圧力で接触させた際に、支持軸から栓蓋が外れてしまうことを防止すべく、支持軸が栓蓋に嵌合される構成(いわゆる嵌合方式)となっている(例えば、特許文献1等参照)。嵌合方式においては、例えば、図7に示すように、支持軸111を栓蓋112の背面に形成された取付穴112Aに挿通するとともに、前記取付穴112Aを形成する部位の内周に設けられた爪部112Bを支持軸111の外周に設けられた凹部111Aに対して入り込ませることで、支持軸111が栓蓋112に嵌合される。
【0004】
ところで、上記手法では、爪部や凹部を設ける必要があるため、構造の複雑化を招いてしまうおそれがある。また、上記手法では、支持軸から栓蓋が外れてしまうことを防止すべるために、凹部を深くし、凹部に対する爪部の入り込み量を比較的大きくする必要がある。そのため、深い凹部などの存在により、清掃性の低下を招いてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、支持軸の上端面に栓蓋が載置される構成(いわゆる載置方式)とし、栓蓋がその自重により槽体等に接触することで、排水口を閉鎖する手法が知られている。当該手法によれば、凹部等を設ける必要がないため、構造の簡素化、及び、良好な清掃性を実現することができる。尚、当該手法では、支持軸の上動により栓蓋が持ち上げられることで、排水口が開放される。また、支持軸の移動による栓蓋の上下動をガイドすべく、栓蓋の背面には下方に向けて突出するガイド部が設けられている。ガイド部は、前記保持部材の外周に配置されており、栓蓋が上下動する際には、保持部材の外周に沿って移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−241665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した載置方式では、支持軸を勢いよく上動させた場合などに、ガイド部が支持軸機構(保持部材)から外れてしまい、ひいては支持軸機構から栓蓋が外れてしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、いわゆる載置方式の排水栓装置において、支持軸機構からの栓蓋の外れを効果的に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0010】
手段1.槽体の排水口に挿設される筒状の保持部材、及び、当該保持部材の内周に配置されるとともに、少なくとも上方側の開放時位置と当該開放時位置よりも下方側の閉鎖時位置との間で上下動可能な支持軸を具備する支持軸機構と、
少なくとも前記支持軸が前記開放時位置に配置された状態において、前記支持軸の上端面に載置される栓蓋とを備え、
前記栓蓋は、前記保持部材が内周に配置され、前記支持軸の上下動に伴い前記保持部材の外周を移動するガイド部を有し、
前記支持軸が前記閉鎖時位置に配置されたときに、前記栓蓋が前記槽体又は前記槽体に設けられた部材である接触対象部に接触することで、前記排水口を閉鎖可能な排水栓装置であって、
前記ガイド部の内周には、内周に向けて突出する内向突部が設けられ、前記ガイド部は、径方向に沿って弾性変形可能であり、
前記保持部材の外周には、外周に向けて突出する外向突部が設けられ、
前記外向突部は、前記内向突部の配置位置よりも常に上方に位置し、前記支持軸の上端面から前記栓蓋が離間したときに、前記内向突部に接触可能であることを特徴とする排水栓装置。
【0011】
上記手段1によれば、支持軸の上端面に栓蓋が載置される構成であり、栓蓋が槽体や接触対象部に接触することで、排水口が閉鎖されるように構成されている。従って、凹部等を支持軸等に設ける必要がなく、構造の簡素化、及び、良好な清掃性を実現することができる。
【0012】
一方で、支持軸に栓蓋が載置される構成であるため、排水口を開放すべく支持軸を勢いよく上動させた場合などに、支持軸機構から栓蓋が外れてしまうことが考えられるが、上記手段1によれば、支持軸の上端面から栓蓋が離間したときに、ガイド部の内向突部が保持部材の外向突部へと接触可能となっている。従って、支持軸機構から栓蓋が外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0013】
また、外向突部は、常に内向突部の配置位置よりも上方に位置するように構成されている。従って、通常の使用時において支持軸ひいては栓蓋を上下動させた際に、外向突部に対して内向突部が接触することがない。これにより、支持軸ひいては栓蓋をスムーズに移動させることができ、良好な操作性を確保することができる。
【0014】
さらに、外向突部を常に内向突部の配置位置よりも上方に位置させるために、外向突部は、正常時における内向突部の下限位置(より詳しくは、栓蓋が正常に取付けられた支持軸を閉鎖時位置に配置したときにおける内向突部の位置)から上方側に大きく離れた位置に設けられることとなる。従って、支持軸機構に対する栓蓋の取付が不完全であり、外向突部上に内向突部が乗る状態となった場合には、支持軸を閉鎖時位置に配置したときに、正常時における栓蓋の位置と比較して、栓蓋の位置が上方側に大きくずれることとなる。すなわち、支持軸機構に対する栓蓋の取付が不完全であるときには、栓蓋が上方側へと大きく突出した状態となる。そのため、栓蓋を視認することや、槽体から水が流出してしまう(槽体に水を溜めることができない)といったことにより、使用者に対して、支持軸機構に対する栓蓋の取付が不完全であることを容易に認識させることができる。
【0015】
手段2.少なくとも前記支持軸が前記閉鎖時位置に配置された状態において、前記支持軸機構の上端面が平坦状であることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0016】
上記手段2によれば、清掃等のために、支持軸機構から栓蓋を取外した状態において、支持軸機構の上端部の見栄えがよくなり、外観品質の向上を図ることができる。また、支持軸の存在に起因する大きな凹凸が支持軸機構の上端面に存在しないため、支持軸機構を一層容易に清掃することができ、清掃性をさらに高めることができる。
【0017】
手段3.前記支持軸の上端部には、第1の磁石が設けられるとともに、
前記栓蓋のうち前記支持軸の上端部の上方に配置される部位には、前記第1の磁石に引き寄せられる第2の磁石が設けられることを特徴とする手段1又は2に記載の排水栓装置。
【0018】
上記手段3によれば、両磁石により、支持軸に対して栓蓋が引き寄せられることとなる。そのため、支持軸から栓蓋が外れにくくなり、上記手段1の作用効果と相俟って、支持軸機構からの栓蓋の外れをより効果的に防止することができる。また、支持軸の上端面に栓蓋を載置するだけで、支持軸に対して栓蓋を安定した状態で取付けることができる。
【0019】
手段4.前記第1の磁石は、前記支持軸の内部に設けられることを特徴とする手段3に記載の排水栓装置。
【0020】
上記手段4によれば、支持軸の外部に第1の磁石が顕出せず、また、支持軸の外部に第1の磁石に起因する段差や溝等が形成されなくなる。従って、外観品質及び清掃性の更なる向上を図ることができる。
【0021】
手段5.前記支持軸機構は、前記支持軸に対して下方側に向けた力を加える戻し部材を備えることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0022】
上記手段5によれば、排水口を閉鎖すべく支持軸を下動させた際に、戻し部材からの力によって、支持軸を閉鎖時位置へとより確実に移動させることができる。従って、排水口を閉鎖する際に、例えば、異物等の存在によって、支持軸が閉鎖時位置へと戻らず、栓蓋が槽体等から浮いてしまうことを効果的に防止できる。その結果、槽体等に対して栓蓋をより確実に密着させることができ、排水口のより確実な閉鎖を図ることができる。
【0023】
さらに、上記手段3を合わせて採用した場合には、両磁石により栓蓋が支持軸に対して引き寄せられるため、戻し部材からの力が栓蓋にも伝わることとなる。従って、排水口の閉鎖時には、戻し部材から加わる力により、栓蓋を槽体等に対して強く押し付けることができる。その結果、排水口の一層確実な閉鎖を図ることができる。
【0024】
手段6.前記支持軸の上下動に伴い前記栓蓋が移動する際に、前記内向突部が前記保持部材の外周面に沿って移動することを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水栓装置。
【0025】
上記手段6によれば、支持軸を上下動させて栓蓋を移動させる際に、内向突部によって栓蓋の移動がガイドされることとなる。従って、栓蓋の移動時に、栓蓋にガタツキが生じにくくなり、排水口を閉鎖する際に、栓蓋を槽体等における狙いの部位へとより確実に接触させることができる。その結果、槽体等に対して栓蓋を一層確実に密着させることが可能となり、排水口をより一層確実に閉鎖することができる。
【0026】
手段7.前記支持軸の上下動に伴い前記栓蓋が移動する際に、前記ガイド部は、その内周面が前記外向突部の最外部に沿って移動することを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の排水栓装置。
【0027】
上記手段7によれば、支持軸を上下動させて栓蓋を移動させる際に、外向突部によって栓蓋の移動をガイドされることとなる。従って、上記手段6と同様の作用効果が奏されることなり、排水口のより一層確実な閉鎖が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】排水口を閉鎖した状態における排水栓装置を示す一部破断正面図である。
図2】排水口を開放した状態における排水栓装置を示す一部破断正面図である。
図3】(a)は、閉鎖時位置に配置された支持軸の上端面と外筒部の上端面との位置関係を示す一部破断拡大正面図であり、(b)は、支持軸が閉鎖時位置に配置された状態における支持軸機構の上端面を示す拡大斜視図である。
図4】第2実施形態における第1、第2の磁石等を示す一部破断正面図である。
図5】第3実施形態における戻し部材等を示す一部破断正面図である。
図6】別の実施形態における支持軸等を示す一部破断正面図である。
図7】従来技術における排水栓装置の一例を示す一部破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられており、排水口部材2と、栓蓋3と、支持軸機構4とを備えている。尚、浴槽100は、成形品であり、その底壁部101に、浴槽100内の水を排出するための排水口102を備えている。
【0030】
排水口部材2は、樹脂等により筒状に形成されており、外周面に設けられた雄ねじ部21と、自身の上端部から外周側に突出する環状の鍔部22とを備えている。また、排水口部材2は、前記雄ねじ部21を外周に有する筒状部位が排水口102に挿通されるとともに、前記鍔部22が底壁部101の表面上に載置された状態で、排水口102に挿設されている。
【0031】
加えて、排水口部材2に対して、浴槽100から排出される水の流路となる筒状の配管103が取付けられることで、排水口102と配管103とが直列的に接続されている。より詳しくは、配管103は、自身の端部内周面に前記雄ねじ部21を螺合可能な雌ねじ部103Aを備えており、当該雌ねじ部103Aに前記雄ねじ部21を螺合し、前記鍔部22と配管103の上端面との間で底壁部101を挟み込むことにより、排水口部材2に配管103が取付けられるとともに、排水口部材2と配管103とが直列的に接続されている。
【0032】
さらに、底壁部101の背面と、配管103の上端面との間には、ゴムや樹脂等の弾性材料からなる環状のシール部材5が設けられている。シール部材5は、配管103に対する排水口部材2の螺合に伴い、底壁部101の背面及び配管103の上端面で挟圧された状態となっており、その結果、排水口102からの排水時における漏水防止が図られている。尚、漏水防止をより確実に図るべく、前記鍔部22と底壁部101の表面との間に、弾性材料からなる環状のシール部材を配置してもよい。
【0033】
栓蓋3は、金属や樹脂等により形成されており、排水口102に設けられている。また、栓蓋3は、自身の表面が浴槽100の表面に表れる傘状部31と、当該傘状部31の背面中央に設けられたガイド部32とを備えている。傘状部31は、自身の表面がステンレス等からなる薄肉の被覆部31Aで覆われており、その結果、外観品質の向上が図られている。
【0034】
また、ガイド部32は、樹脂により筒状に形成されており、自身の軸方向に沿って延びる切り欠き部(図示せず)を周方向に沿って間欠的に複数備えている。そして、前記切り欠き部の幅を変化させることで、前記ガイド部32は、径方向に沿って弾性変形可能とされている。
【0035】
さらに、栓蓋3のうち傘状部31の背面側外周部には、ゴム等の弾性材料からなる環状シール部33が設けられている。そして、環状シール部33の外周縁全周が、接触対象部としての排水口部材2に対して接触することで、排水口102が閉鎖されるように構成されている。尚、本実施形態において、栓蓋3は、その比重が1よりも大きくなるように(つまり、水に沈むように)構成されており、自重のみで排水口102を閉鎖可能となっている。
【0036】
支持軸機構4は、保持部材41と、当該保持部材41の内周に配置される支持部材42とを備えている。
【0037】
保持部材41は、所定の樹脂により形成されており、前記支持部材42を自身の内周にて保持する円筒状の外筒部41Aと、当該外筒部41Aの外周に設けられ、排水口部材2の内周形状に沿う環状をなす取付部41Bとを備えている。外筒部41A及び取付部41Bは、周方向に沿って間欠的に設けられた複数の連結部41Cにより連結されており、外筒部41Aの中心軸と取付部41Bの中心軸とが一致するように構成されている。また、連結部41Cは、少なくとも排水口102を閉鎖した状態において、ガイド部32の前記切り欠き部に配置される構成されている。
【0038】
加えて、外筒部41Aの上端部には、径方向内側に突出する円環状の外筒蓋部41Dが設けられており、外筒蓋部41Dの内周には、外筒部41Aの中心軸方向に沿って延びる平面視円形状の孔部41Eが形成されている。さらに、外筒部41Aの下端部は開口しているが、その下端部には、径方向内側に突出する下方支持部41Fが形成されている。
【0039】
また、外筒部41Aの少なくとも下端側には、外筒部41Aの中心軸方向に沿って延びる複数のスリット(図示せず)が設けられている。そして、支持部材42は、前記スリットを拡幅することで拡径された外筒部41Aの下端側開口から外筒部41Aの内周へと挿入され、次いで、前記下端側開口の拡径を解除することにより、外筒蓋部41D及び下方支持部41Fによって挟み込まれた状態で、外筒部41Aの内周に配置されている。
【0040】
さらに、取付部41Bが、排水口部材2の内周に設けられた段差状の凹部23に係止されることで、保持部材41は、排水口部材2に取付けられ、ひいては排水口102に挿設された状態となっている。尚、保持部材41を排水口部材2に取付けた状態では、外筒部41Aの下端側開口は拡径不能となり、ひいては外筒部41Aからの支持部材42の抜け防止が図られる。
【0041】
支持部材42は、樹脂等からなり、棒状の支持軸42Aと、当該支持軸42Aの外周に位置する円筒状の内筒部42Bとを備えている。支持軸42Aは、その上端部が前記孔部41Eを通過可能に構成されている。
【0042】
加えて、支持軸42Aには、押しボタン等により構成された操作部(図示せず)の変位を伝達するための伝達部材81(例えば、金属製のワイヤー)の端部が接触可能に構成されている。そして、前記操作部の変位に伴い、伝達部材81がその外周に設けられた外皮82の内周にて往復移動することで、支持軸42Aが浴槽100に対して上下動するようになっている。具体的には、支持軸42Aは、前記操作部の変位により、上方側の開放時位置(より詳しくは、図2に示すように、排水口102を開放する際の配置位置であり、支持軸42Aの最上昇端よりも若干下側の位置)と、前記開放時位置よりも下方側の閉鎖時位置(より詳しくは、図1に示すように、排水口102を閉鎖する際の配置位置)との間で上下動可能に構成されている。また、支持軸42Aは、前記操作部を操作する度に、前記開放時位置におけるロックと、ロック解除に伴う下動とが交互に行われるようになっている。
【0043】
さらに、本実施形態において、栓蓋3は、自身のガイド部32に外筒部41Aが挿入されることで、支持軸機構4に取付けられており、図2に示すように、少なくとも前記支持軸42Aが開放時位置に配置された状態において、支持軸42Aの上端面に載置されるように構成されている。すなわち、支持軸42Aに対する栓蓋3の取付方式は、支持軸42Aに対して栓蓋3が固定される方式ではなく、支持軸42A上に単に栓蓋3が載置される方式であり、支持軸42Aに対して栓蓋3が非固定の状態となっている。そして、支持軸42Aを前記開放時位置に配置することで、栓蓋3は支持軸42Aにより押し上げられ、その結果、排水口102が開放されるようになっている。一方で、図1に示すように、支持軸42Aを前記閉鎖時位置に配置することで、栓蓋3の環状シール部33が排水口部材2に対して接触し、排水口102が閉鎖されるようになっている。尚、本実施形態では、排水口102を閉鎖した状態(つまり、支持軸42Aが前記閉鎖時位置に配置された状態)において、栓蓋3は支持軸42A及び外筒部41Aの上端面から離間するように構成されているが、排水口102を閉鎖した状態において、栓蓋3が支持軸42Aの上端面に接触するように構成してもよい。
【0044】
さらに、本実施形態において、ガイド部32の内周には、内周に向けて突出する環状の内向突部32Aが設けられており、ガイド部32の外周に配置される保持部材41(外筒部41A)の外周には、外周に向けて突出する環状の外向突部41Gが設けられている。
【0045】
外向突部41Gは、ガイド部32の内周に保持部材41(外筒部41A)が正常に配置されている状態(つまり、ガイド部32から保持部材41が外れていない状態)において、内向突部32Aの配置位置よりも常に上方に位置するように構成されている。また、外向突部41Gの最外周部を通過する仮想円の直径は、内向突部32Aの最内周部を通過する仮想円の直径よりも大きくなるように構成されている。これにより、外向突部41Gは、ガイド部32の内周に保持部材41(外筒部41A)が配置されている状態において、例えば、支持軸42Aが勢いよく上動したとき等、支持軸42Aの上端面から栓蓋3が離間したとき(栓蓋3が支持軸42Aから外れそうになったとき)に、内向突部32Aに接触可能となっている。
【0046】
さらに、本実施形態では、図3(a),(b)に示すように、支持軸42Aが前記閉鎖時位置に配置された状態において、支持軸42Aの軸方向に沿った外筒部41Aの上端面の配置位置と、支持軸42Aの軸方向に沿った支持軸42Aの上端面の配置位置とがほぼ同一となるように構成されている。これにより、支持軸42Aが前記閉鎖時位置に配置された状態において、外筒部41Aの上端面と支持軸42Aの上端面との間にほとんど凹凸のない状態となり、支持軸機構4の上端面が平坦状となっている。尚、「支持軸42Aの軸方向に沿った外筒部41Aの上端面の配置位置と、支持軸42Aの軸方向に沿った支持軸42Aの上端面の配置位置とがほぼ同一」とあるのは、外筒部41Aの上端面の配置位置と支持軸42Aの上端面の配置位置とが支持軸42Aの軸方向に沿って同一位置にある場合だけでなく、外筒部41Aの上端面の配置位置に対して支持軸42Aの上端面の配置位置が、支持軸42Aの軸方向に沿って若干(例えば、1mm以下)だけずれている場合も含む。
【0047】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、保持部材41(外筒部41A)のうち、内向突部32Aが外周に配置される部位の外径は、内向突部32Aの最内周部を通過する仮想円の直径よりも小さくなるように構成されているが、両者の径差は非常に小さなもの(例えば、1mm以下、より好ましくは、0.5mm以下)とされている。また、ガイド部32のうち、外向突部41Gが内周に配置される部位の内径は、外向突部41Gの最外周部を通過する仮想円の直径よりも大きくなるように構成されているが、両者の径差は非常に小さなもの(例えば、1mm以下、より好ましくは、0.5mm以下)となるように構成されている。これらの構成により、支持軸42Aの上下動に伴い栓蓋3が移動する際には、内向突部32Aが保持部材41(外筒部41A)の外周面に沿って移動するとともに、ガイド部32の内周面が外向突部41Gの最外周部に沿って移動するようになっている。すなわち、内向突部32A及び外向突部41Gによって、栓蓋3の移動がガイドされるようになっている。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態によれば、支持軸42Aの上端面に栓蓋3が載置される構成であり、栓蓋3がその自重により排水口部材2に接触することで、排水口102が閉鎖されるように構成されている。従って、構造の簡素化、及び、良好な清掃性を実現することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、支持軸42Aを勢いよく上動させた場合など、支持軸42Aの上端面から栓蓋3が離間したときに、内向突部32Aが外向突部41Gへと接触可能となっている。従って、支持軸機構4から栓蓋3が外れてしまうことをより確実に防止することができる。
【0050】
また、外向突部41Gは、常に内向突部32Aの配置位置よりも上方に位置するように構成されている。従って、通常の使用時において支持軸42Aひいては栓蓋3を上下動させた際に、外向突部41Gに対して内向突部32Aが接触することがない。これにより、支持軸42Aひいては栓蓋3をスムーズに移動させることができ、良好な操作性を確保することができる。
【0051】
さらに、外向突部41Gは、正常時における内向突部32Aの下限位置(より詳しくは、栓蓋3が正常に取付けられた支持軸42Aを閉鎖時位置に配置したときにおける内向突部32Aの位置)から上方側に大きく離れた位置に設けられている。従って、支持軸機構4に対する栓蓋3の取付が不完全であり、外向突部41G上に内向突部32Aが乗る状態となった場合には、支持軸42Aを前記閉鎖時位置に配置したときに、正常時における栓蓋3の位置と比較して、栓蓋3の位置が上方側に大きくずれることとなる。すなわち、支持軸機構4に対する栓蓋3の取付が不完全であるときには、栓蓋3が上方側へと大きく突出した状態となる。そのため、栓蓋3を視認することや、浴槽100から水が流出してしまう(浴槽100に水を溜めることができない)といったことにより、使用者に対して、支持軸機構4に対する栓蓋3の取付が不完全であることを容易に認識させることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、少なくとも支持軸42Aが前記閉鎖時位置に配置された状態において、支持軸機構4の上端面が平坦状となるように構成されている。従って、清掃等のために、支持軸機構4から栓蓋3を取外した状態において、支持軸機構4の上端部の見栄えがよくなり、外観品質の向上を図ることができる。また、支持軸42Aの存在に起因する大きな凹凸が支持軸機構4の上端面に存在しないため、支持軸機構4を一層容易に清掃することができ、清掃性をさらに高めることができる。
【0053】
加えて、本実施形態では、支持軸42Aの上下動に伴い栓蓋3が移動する際に、内向突部32Aが保持部材41(外筒部41A)の外周面に沿って移動するとともに、ガイド部32の内周面が外向突部41Gの最外周部に沿って移動する。そのため、栓蓋3の移動時における、栓蓋3のガタツキを極めて効果的に抑制することができ、排水口102を閉鎖する際に、栓蓋3(環状シール部33)を排水口部材2における狙いの部位へとより確実に接触させることができる。その結果、排水口部材2に対して栓蓋3(環状シール部33)を一層確実に密着させることが可能となり、排水口102をより一層確実に閉鎖することができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0054】
本第2実施形態では、図4に示すように、支持軸42Aの上端部に、円柱状(円板状)の第1の磁石51が設けられている。第1の磁石51は、支持軸42Aの内部に設けられており、支持軸42Aの外部へと表れないように構成されている。
【0055】
さらに、栓蓋3のうち支持軸42Aの上端部の上方に配置される部位には、第1の磁石51に引き寄せられる第2の磁石52が設けられている。本第2実施形態において、第2の磁石52は、円柱状をなしており、その外径が第1の磁石51の外径と同一又は第1の磁石51の外径以上とされている。
【0056】
以上、本第2実施形態によれば、両磁石51,52により、支持軸42Aに対して栓蓋3が引き寄せられるため、支持軸42Aから栓蓋3が外れにくくなり、内向突部32A及び外向突部41Gを設けたことと相俟って、支持軸機構4からの栓蓋3の外れをより効果的に防止することができる。さらに、支持軸42Aの上端面に栓蓋3を載置するだけで、支持軸42Aに対して栓蓋3を安定した状態で取付けることができる。
【0057】
加えて、本第2実施形態によれば、支持軸42Aの外部に第1の磁石51が顕出せず、また、支持軸42Aの外部に第1の磁石51に起因する段差や溝等が形成されなくなる。従って、外観品質及び清掃性の更なる向上を図ることができる。
〔第3実施形態〕
次に、第3実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0058】
本第3実施形態では、図5に示すように、支持軸42Aの外周と内筒部42Bの内周との間に、バネからなる戻し部材61が設けられている。戻し部材61は、内筒部42Bの上端部に設けられ、径方向内側に突出する環状の突出部42Cと、支持軸24Aの下方側に設けられた段差部42Dとの間に挟み込まれた状態となっている。このため、戻し部材61により、支持軸42Aには下方側に向けた力が加えられた状態となっている。
【0059】
以上、本第3実施形態によれば、排水口102を閉鎖すべく支持軸42Aを下動させた際に、戻し部材61からの力によって、支持軸42Aを前記閉鎖時位置へとより確実に移動させることができる。従って、排水口102を閉鎖する際に、支持軸42Aが前記閉鎖時位置へと戻らず、栓蓋3が排水口部材2から浮いてしまうことを効果的に防止できる。その結果、排水口部材2に対して栓蓋3をより確実に密着させることができ、排水口102のより確実な閉鎖を図ることができる。
【0060】
尚、戻し部材61に加えて、上記第2実施形態のように、第1、第2の磁石51,52を設けた場合には、両磁石51,52により栓蓋3が支持軸42Aに対して引き寄せられるため、戻し部材61からの力が栓蓋3にも伝わることとなる。従って、排水口102の閉鎖時には、戻し部材61から加わる力により、栓蓋3を排水口部材2に対して強く押し付けることができ、排水口102のより一層確実な閉鎖を図ることができる。
【0061】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0062】
(a)上記第2実施形態において、第1の磁石51は、支持軸42Aの内部に設けられているが、第1の磁石51を必ずしも支持軸42Aの内部に設ける必要はなく、支持軸42Aの外表部分に設けることとしてもよい。
【0063】
(b)上記実施形態では、支持軸42Aが前記閉鎖時位置に配置された状態において、支持軸42Aの軸方向に沿った外筒部41Aの上端面の配置位置と、支持軸42Aの軸方向に沿った支持軸42Aの上端面の配置位置とがほぼ同一となるように構成することで、支持軸機構4の上端面が平坦状となるように構成されている。しかしながら、支持軸機構4の上端面を平坦状とする手法は、これに限定されるものではない。従って、例えば、図6(a),(b)に示すように、支持軸42Aの上端部を比較的大径に形成し、支持軸42Aの上端部の外径を外筒部41Aの外径と同程度のものとするとともに、支持軸42Aの上端部が常に外筒部41Aよりも上方に配置される構成とする(つまり、支持軸42Aの上端面により支持軸機構4の上端面が構成されるものとする)。その上で、支持軸42Aの上端面を平坦状に形成することで、支持軸機構4の上端面が平坦状となるように構成してもよい。尚、支持軸42Aの上端部を比較的大径とすることで、支持軸42Aの上端部に第1の磁石51を設けるにあたり、第1の磁石51のサイズ(外径)をより大きくすることができる。この場合には、第1の磁石51の磁力をより効果的に、かつ、より容易に増大させることができる。第1の磁石51の磁力を増大させることで、第1の磁石51側に対する第2の磁石52の引き寄せ力をより増大させることができ、支持軸機構4からの栓蓋3の外れ防止等を一層効果的に図ることができる。
【0064】
尚、別体で設けられた円板状部材を支持軸42Aの上端部に設けることで、支持軸42Aの前記大径部分を形成することとしてもよい。
【0065】
(c)上記実施形態では、支持軸42Aの上下動に伴い栓蓋3が移動する際に、内向突部32Aは保持部材41(外筒部41A)の外周面に沿って移動するとともに、ガイド部32は、その内周面が外向突部41Gの最外周部に沿って移動するように構成されている。これに対して、支持軸42Aの上下動に伴い栓蓋3が移動する際に、内向突部32Aのみが保持部材41(外筒部41A)の外周面に沿って移動するように構成してもよいし、ガイド部32の内周面のみが外向突部41Gの最外周部に沿って移動するように構成してもよい。
【0066】
(d)上記実施形態では、排水口102を閉鎖する際に、栓蓋3の環状シール部33が排水口部材2に接触するように構成されているが、排水口102を閉鎖するにあたって、栓蓋3(環状シール部33)は必ずしも排水口部材2に接触しなくてもよい。従って、例えば、栓蓋3(環状シール部33)が浴槽100に接触することで、排水口102が閉鎖されるように構成してもよい。
【0067】
(e)上記実施形態における配管103の構成は例示であって、配管103の構成は特に限定されるものではない。従って、例えば、配管103として、内周面に雌ねじ部を有するリング状のものを用いてもよい。
【0068】
(f)上記実施形態において、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられているが、排水栓装置1の取付対象は浴槽100に限られるものではない。従って、排水栓装置1を、浴槽以外の槽体(例えば、洗面化粧台や流し台等)に取付けることとしてもよい。
【0069】
(g)上記実施形態において、栓蓋3は、その比重が1よりも大きくなるように(つまり、水に沈むように)構成されているが、前記両磁石51,52を設ける場合には、栓蓋3の比重が1以下であってもよい。栓蓋3の比重を1以下とすることで、排水口102を開閉する際に必要な力が軽減され、良好な操作性を得ることができる。尚、栓蓋3の比重を1以下とすると、支持軸42Aを勢いよく上動させた場合などに、支持軸機構4から栓蓋3が外れやすくなるが、内向突部32Aや外向突部41Gの存在により、栓蓋3の外れをより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
1…排水栓装置、2…排水口部材(接触対象部)、3…栓蓋、4…支持軸機構、32…ガイド部、32A…内向突部、41…保持部材、41G…外向突部、42A…支持軸、51…第1の磁石、52…第2の磁石、61…戻し部材、100…浴槽(槽体)、102…排水口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7