(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
住宅や店舗などの建物の多機能化を図り、利便性、快適性を向上させることができるという大きな利点を有することから、サンルームやテラス、バルコニーなどのガーデンルームタイプの建物外部構築物や、カーポート、自転車置き場、オープンテラス、物置、通路等のサイドスルータイプの建物外部構築物を住宅などの建物本体の外部に構築(設置、増築)するケースが増大している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、ガーデンルームタイプの建物外部構築物Aは、例えば
図17に示すように、住宅などの建物本体Tの外壁Tに沿って、且つ外壁T1と所定の間隔をあけて設けられる前面壁部1と、一端2aを前面壁部1の上端側に、他端2bを建物本体Tの外壁T1側にそれぞれ接続して設けられる屋根部2と、前面壁部1と屋根部2と建物本体Tの外壁T側にそれぞれ接続して設けられる一対の側面壁部3とを備えて構成されている。なお、サイドスルータイプの建物外部構築物は、ガーデンルームタイプの建物外部構築物Aに対し、一対の側面壁部3を具備せず、前面壁部1と屋根部2を備えて構成されている。
【0004】
また、この種の建物外部構築物Aには、建物本体Tの外壁T(や窓など)と所定の間隔をあけて配設される腰壁(前面腰壁、腰壁部)4と、腰壁4に下端部5aを接続して立設されるとともに、建物本体Tの外壁Tに沿う横方向S1に所定の間隔をあけて並設される複数の支柱5と、隣り合う支柱5の間に設置されるガラス板等の前面パネル6とを備えて前面壁部1を構成したものがある。
【0005】
また、前面腰壁4に直交する側面腰壁を設けて(L字状の腰壁を形成して)側面壁部3を構成したり、側面腰壁を設けず、折れ戸7やガラス板等の側面パネルを設置して側面壁部3を構成したものがある。
【0006】
一方、
図18に示すように、この種の建物外部構築物Aの腰壁4は、一般に、ブロック8を一体に積み上げ、その上端面に笠木構造(腰壁用基台)9を設置するとともに、ブロック8の前面4aや背面4bに化粧パネルやタイルなどを貼設したり、モルタル塗布(サイディング)を施すなどして表面仕上げ10を行い、さらに、笠木構造9の笠木11(及び支柱5)を取り付けて形成されている。
【0007】
また、この笠木構造9は、支柱5の下端部5aを接続するスリーブを備え、支柱5を支持する基台本体12と、基台本体12に取り付けて前面パネル6(や側面パネル)の下端部側を支持するとともに、雨水等の浸入を防止するための外側ビード13を取り付けて前面パネル6の外面6aに密着させる第1下枠14と、基台本体12に取り付けて前面パネル6の下端部側を支持するとともに、内側ビード15を取り付けて前面パネル6の内面6bに密着させる第2下枠16とを備えて構成されている。
【0008】
なお、門柱、壁などのエクステリア構築物(建物外部構築物/建物外部構築物の壁構造)には、上枠と一対の縦枠と下枠を枠組みしてなる方形枠状の構造フレームに下地パネルを取り付け、これら下地パネルにタイルを張設するとともに、構造フレームの上端部に笠木を取り付けて構成したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の建物外部構築物Aにおいては、腰壁4がブロック8を一体に積み上げ、このブロック8に対して表面仕上げ10を行う、いわゆる湿式(湿式施工)で構築され、このように湿式で構築した腰壁4の上端面に設置した笠木構造(腰壁用基台)9に下端部を接続して腰壁4上に支柱5を立設するようにしている。
【0011】
このため、この建物外部構築物Aを構築する際には、腰壁4を形成するためのブロック職人と、前面壁部1や側面壁部3、屋根部2のアルミ押出し形材などの支柱5、笠木構造9、桁17、垂木18、樹脂板やガラス板などの前面パネル6、側面パネル、屋根材19などを組み付ける建て方職人の異なる専門職人が必要になる。これにより、建物外部構築物Aを構築する作業が煩雑になり、施工性の低下を招くケースがあった。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑み、腰壁を含めた全ての施工作業を建て方職人が行えるようにし、施工性を向上させることを可能にした乾式腰壁構造及びこれを備えた建物外部構築物並びに乾式腰壁構造の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0014】
本発明の乾式腰壁構造は、第1方向に延設される基台と、前記第1方向に所定の間隔をあけて配設される複数の支柱と、前記複数の支柱の前記第1方向と交差する第2方向の前面側と背面側にそれぞれ配設されるとともに前記支柱の上端部よりも下方に配設される前面壁板及び背面壁板と、前記前面壁板と前記背面壁板の上端部に配設され、前記支柱を貫通させつつ前記前面壁板と前記背面壁板の間の腰壁内部空間の上端側を被覆して配設される笠木構造と、
前記支柱に取り付けられ、少なくとも前記前面壁板及び前記背面壁板の前記第2方向の位置を位置決め支持するための位置決め支持用スペーサ部材と、前記第1方向の少なくとも一方の側端部側の妻支柱に、腰壁の端部を処理するために配設される端部処理用スペーサ部材と、を備え、
前記妻支柱には、前記位置決め支持用スペーサ部材及び前記端部処理用スペーサ部材が設けられ、前記前面壁板及び前記背面壁板は、前記位置決め支持用スペーサ部材に支持固定され、前記端部処理用スペーサ部材は、前記第2方向に対応した厚さ寸法が前記前面壁板
における仕上材が貼設される下地面から前記背面壁板
における仕上材が貼設される下地面までの厚さ寸法と同等の寸法で形成され、前記前面壁板の下地面と前記端部処理用スペーサ部材の一方の側面とが面一になり、かつ、前記背面壁板の下地面と前記端部処理用スペーサ部材の他方の側面とが面一になるように形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明においては、基台に下端部を接続して立設された複数の支柱を内包するように前面壁板及び背面壁板を設け、支柱を貫通させつつ前面壁板と背面壁板の間の腰壁内部空間の上端側を被覆して笠木構造を設けることによって、支柱が笠木構造(笠木)を貫通した腰壁を形成することが可能になる。そして、従来のようにブロックを一体に積み上げ、このブロックに対する表面仕上げを行う湿式(湿式施工)ではなく、乾式(乾式施工)で腰壁を構築することができる。
また、端部処理用スペーサ部材が、前面壁板から背面壁板までの腰壁の第2方向の寸法に応じて、例えば幅寸法及び/又は厚さ寸法を前面壁板から背面壁板までの腰壁の第2方向の寸法と同等にして形成されていることにより、この端部処理用スペーサ部材に笠木構造(笠木)を上載して取り付けたり、端部処理用スペーサ部材の外面(側面)にタイルを貼るなどし、腰壁構造の端部側の意匠性を好適に確保することができる。
この発明においては、支柱に取り付けられた位置決め支持用スペーサ部材の側面に当接させることにより、前面壁板と背面壁板を位置決めし、所望の厚さの腰壁を形成することができる。これにより、腰壁構造を構築する際の施工性をさらに向上させることが可能になる。
【0016】
また、本発明の乾式腰壁構造においては、
前記端部処理用スペーサ部材が
、前記妻支柱に取り付けた状態で前記妻支柱に対し前記第1方向外側に突出するように設けられていることが望ましい。
【0017】
この発明においては、端部処理用スペーサ部材が
、妻支柱に対して第1方向外側に突出するように設けられていることで、この端部処理用スペーサ部材に笠木構造(笠木)を上載して取り付けたり、端部処理用スペーサ部材の外面(側面)にタイルを貼るなどし、腰壁構造の端部側の意匠性を好適に確保することができる。
【0018】
また、この端部処理用スペーサ部材が、前面壁板から背面壁板までの腰壁の第2方向の寸法に応じて形成されていることにより、前面側の腰壁(前面腰壁部)とこれに直交する側面側の腰壁(側面腰壁部)からなるL字状の腰壁構造を構築する場合に、前面腰壁部の端部に設けられた端部処理用スペーサ部材に合わせることで、すなわち、端部処理用スペーサ部材の側面に壁面位置を合わせて側面腰壁部の前面壁板や背面壁板を設置することで、容易に且つ確実に、側面腰壁部の前面壁板や背面壁板を位置決めすることができ、前面腰壁部と同じ厚さ寸法の側面腰壁部を形成することが可能になる。これにより、L字状の腰壁構造を構築する際の施工性を向上させることが可能になるとともに、L字状の腰壁構造の角部の意匠性を好適に確保することが可能になる。
【0019】
さらに、本発明の乾式腰壁構造においては、
前記位置決め支持用スペーサ部材が、前記笠木構造を位置決め支持可能に構成されていることがより望ましい。
【0020】
この発明においては
、位置決め支持用スペーサ部材の上端に載置したり、係合させることで笠木構造を所定の位置に位置決めして設置することが可能になる。これにより、腰壁構造を構築する際の施工性をさらに向上させることが可能になる。
【0021】
また、本発明の乾式腰壁構造においては、前記支柱と前記端部処理用スペーサ部材と前記位置決め支持用スペーサ部材の少なくとも一つの部材が中空構造で形成されており、前記中空構造で形成された部材の中空部と前記腰壁内部空間とに連通し、前記支柱と前記笠木構造の取り合い部に隙間が生じた場合に該隙間を通じて外部空間と連通し、且つ前記基台を通じて外部空間と連通する連通路が形成されていることがさらに望ましい。
【0022】
この発明においては、支柱と端部処理用スペーサ部材と位置決め支持用スペーサ部材の少なくとも一つの中空構造の部材の中空部と、前面壁板と背面壁板の間の腰壁内部空間と、外部空間とが、連通路によって連通していることにより、連通路を通じて腰壁構造の内部に外気を通気させることができる。これにより、乾式施工によって構築した場合であっても、腰壁構造の内部に湿気が溜まることを防止できる。
【0023】
また、支柱と笠木構造の取り合い部に隙間が生じ、この隙間から雨水が浸入した場合に、連通路を雨水の排水路として利用し、この雨水を外部に排出させることが可能になる。これにより、笠木構造を支柱が貫通するように構成しても、支柱と笠木構造の取り合い部などから浸入した雨水が笠木構造の継ぎ目などを通じて例えば室内側に漏出することを防止できる。
【0024】
よって、上記のように乾式施工によって腰壁構造を構築することで通気対策や漏水対策を講じることも可能になり、この乾式腰壁構造を例えばサンルームやテラス、バルコニーなどのガーデンルームタイプの建物外部構築物の前面壁部や側面壁部に適用することで利便性や快適性に優れた信頼性の高い建物外部構築物を構築することが可能になる。
【0025】
本発明の建物外部構築物は、少なくとも、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の乾式腰壁構造を有する前面壁部を備えるとともに、前記乾式腰壁構造の前記複数の支柱に連続して前記第1方向に架設された桁に一端を、垂木掛けに他端をそれぞれ接続して架設された垂木と、前記垂木に支持させて屋根面を形成する屋根板とからなる屋根部を備えて構成され、前記垂木掛けを建物本体の外壁に設置あるいは隣設し、前記建物本体の外側に構築されることを特徴とする。
【0026】
この発明においては、上記の乾式腰壁構造による作用効果を得ることができ、利便性や快適性に優れたサンルームやテラス、バルコニーなどのガーデンルームタイプの建物外部構築物や、カーポート、オープンテラス、自転車置き場、物置、通路等のサイドスルータイプの建物外部構築物を実現することが可能になる。
【0027】
本発明の乾式腰壁構造の構築方法は、妻支柱となる支柱を立設する妻支柱設置工程と、一対の妻支柱の間に基台を設置する基台設置工程と、前記基台に下端部を接続するとともに、前記基台の延設方向の第1方向に所定の間隔をあけて中間支柱となる支柱を立設する中間支柱設置工程と、前記複数の支柱の前記第1方向と交差する第2方向の前面側と背面側にそれぞれ前面壁板と背面壁板を設置する壁板設置工程とを備え、前記壁板設置工程において、
前記支柱に、少なくとも前記前面壁板及び前記背面壁板の前記第2方向の位置を位置決め支持するための位置決め支持用スペーサ部材を配設する工程と、前記第1方向の少なくとも一方の側端部側の妻支柱に、腰壁の端部を処理するための端部処理用スペーサ部材を配設する工程
と、を備え、
前記妻支柱には、前記位置決め支持用スペーサ部材及び前記端部処理用スペーサ部材を配設し、前記位置決め支持用スペーサ部材を配設する工程の後に、前記前面壁板及び前記背面壁板を前記位置決め支持用スペーサ部材に支持固定し、前記端部処理用スペーサ部材は、前記第2方向に対応した厚さ寸法が前記前面壁板
における仕上材が貼設される下地面から前記背面壁板
における仕上材が貼設される下地面までの厚さ寸法と同等の寸法で形成され、前記前面壁板の下地面と前記端部処理用スペーサ部材の一方の側面とが面一になり、かつ、前記背面壁板の下地面と前記端部処理用スペーサ部材の他方の側面とが面一になるように前記端部処理用スペーサ部材が配設されることを特徴とする。
【0028】
この発明においては、妻支柱となる支柱を立設し、一対の妻支柱の間に基台を設置し、基台に下端部を接続するとともに、基台の延設方向の第1方向に所定の間隔をあけて中間支柱となる支柱を立設し、複数の支柱の前面側と背面側にそれぞれ前面壁板と背面壁板を設置することにより、支柱が笠木構造を貫通した乾式の腰壁を形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の乾式腰壁構造及びこれを備えた建物外部構築物並びに乾式腰壁構造の構築方法においては、基台に下端部を接続して立設された複数の支柱を内包するように前面壁板及び背面壁板を設け、支柱を貫通させつつ前面壁板と背面壁板の間の腰壁内部空間の上端側を被覆して笠木構造を設けることによって、支柱が笠木構造を貫通した腰壁を形成することが可能になる。そして、従来のようにブロックを一体に積み上げ、このブロックに対する表面仕上げを行う湿式(湿式施工)ではなく、乾式(乾式施工)で構築することができる。
【0030】
よって、本発明の乾式腰壁構造及びこれを備えた建物外部構築物並びに乾式腰壁構造の構築方法によれば、建て方職人だけで支柱が笠木構造を貫通した腰壁を構築することが可能になり、従来と比較して、腰壁を備えた壁構造(腰壁構造)や、この腰壁構造を備えた建物外部構築物を構築する際の施工性を大幅に向上させることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、
図1から
図16を参照し、本発明の一実施形態に係る乾式腰壁構造及びこれを備えた建物外部構築物並びに乾式腰壁構造の構築方法について説明する。ここで、本実施形態では、本発明に係る建物外部構築物が、住宅や店舗などの建物本体に繋げて構築されるガーデンルームタイプの建物外部構築物であるものとして説明を行う。
【0033】
本実施形態の建物外部構築物Bは、サンルーム(ガーデンルーム)であり、例えば
図1に示すように、前面壁部(乾式腰壁構造)20と、一対の側面壁部21と、屋根部2とを備えて構成されている。
【0034】
前面壁部20は、例えば建物本体Tのサッシ窓等が形成された外壁(外壁面)Tから所定の間隔で離間し、且つ外壁T1に沿って略平行に、すなわち外壁Tに対向して配設されている。また、本実施形態では、この前面壁部20が、腰壁部22と、腰壁部22よりも上方の採光壁部23とを備えて構成されている。
【0035】
具体的に、
図1から
図4に示すように、本実施形態の前面壁部20は、土間コンクリートやデッキ、独立基礎等の基礎25上に載置したり、束材等を用い基礎25の上面や地面との間に間隔をあけて固設されるとともに、建物本体Tの外壁T1に沿う横方向の幅方向(腰壁の幅方向/第1方向)S1に延設された基台26と、基台26に下端部5aを接続して立設されるとともに、幅方向S1に所定の間隔をあけて並設された複数の支柱5とを備えている。
【0036】
また、基台26は、
図2及び
図3に示すように、アルミ押出し形材であり、アンカーボルトなどで基礎25などに固設される下部ベース(ベース受け)26a及び下部ベース26a上に着脱可能に取り付けられる上部ベース(ベース)26bからなる基台本体26cと、基台本体26cの両側側にそれぞれ着脱可能に取り付けられる一対の水切り26dとを備えて構成されている。
【0037】
さらに、基台26の基台本体26c(上部ベース26b)には、基台26の延設方向の横方向S1の所定位置に上方に突出するようにスリーブ(嵌合凸部)27がビス止めするなどして取り付けられている。
【0038】
支柱5は、押出成形で略角管状に形成されたアルミ押出し形材であり、その中空構造で形成されている。また、
図5に示すように、本実施形態の支柱5には、下端部5a側から上端部側に延びる仕切板部5bが設けられており、その内部が一方の中空部30と他方の中空部31に区画されている。
【0039】
そして、この支柱5は、
図1から
図5に示すように、下端部5a側の一方の中空部(嵌合受部)30に基台26のスリーブ27を嵌合させることにより、下端部5aを基台26に接続して立設されている。なお、支柱5の下端部5aを基台26のスリーブ27に嵌合させるとともに、外側から支柱5の下端部5aと基台26のスリーブ27をビス止めし、強固に支柱5が基台26に接続される。
【0040】
ここで、腰壁部22の幅方向(第1方向)S1の両側端部側に配される妻支柱となる支柱5は、その下端部を基台26ではなく、基礎25(や地面)に接続して立設されている。そして、基台26が一対の妻支柱5の間に配設され、一対の妻支柱5の間の中間支柱となる支柱5がその下端部5aを基台26に接続し所定の間隔をあけて立設されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、
図1、
図3及び
図4に示すように、支柱5よりも短い腰壁部22の高さに応じた長さで形成され、略角管状に形成されたアルミ押出し形材の間柱32が隣り合う支柱5の間に配設されている。また、この間柱32は、支柱5と同様に、その下端部側の中空部(嵌合受部)を基台26のスリーブ(嵌合凸部)33に嵌合させて立設されている。
【0042】
また、本実施形態の前面壁部20の腰壁部22には、
図4及び
図5に示すように、ビス止めするなどして略角管状の支柱に位置決め支持用スペーサ部材35が取り付けられている。この位置決め支持用スペーサ部材35は、例えば押出成形で略角管状に形成されたアルミ押出し形材であり、支柱5に対し前面20a側(前方側)及び背面20b側(後方側)に所定量突出して設置されている。
【0043】
そして、本実施形態では、
図2、
図4及び
図5に示すように、この位置決め支持用スペーサ部材35と間柱32の前面20a側と背面20b側にそれぞれビス止めするなどして下地ボードの前面壁板36と背面壁板37が張設されている。これにより、前面壁板36と背面壁板37がそれぞれ所定位置に位置決めして設置され、且つ前面壁板36と背面壁板37によって腰壁内部空間Hが形成され、この腰壁内部空間Hに複数の支柱5、間柱32、位置決め支持用スペーサ部材35が内包するように配設される。
また、前面壁板36と背面壁板37はそれぞれ、その下端部を基礎の上面や地面に接しないように上方に配し、例えば水と接触しないようにして設置されている。
【0044】
また、下地ボードの前面壁板36と背面壁板37は、隣り合う支柱5の間隔と略同等の幅寸法と、基台26から上方の腰壁部22の高さ寸法を備えた平板状に形成されており、位置決め支持用スペーサ部材35及び間柱32で位置決めして腰壁部22の幅方向S1に隙間なく複数並設されている。これにより、腰壁部22の前面20a及び背面20bの面一な下地面が容易に形成される。
【0045】
さらに、前面壁板36で形成された外側の下地面に、防水シートを貼設するとともに、タイル38や化粧パネルを貼設したり、モルタル塗布(サイディング)を施すなどし、所望の防水性と意匠性が付与されている。また、背面壁板37で形成された内側の下地面にも、必要に応じて防水シートを配設し、また、タイル38や内装クロス(壁紙)、化粧パネルの貼設、モルタル塗布を施すなどし、所望の意匠性、防水性が付与されている。
【0046】
さらに、間柱32や位置決め支持用スペーサ部材35に支持させ、前面壁板36と背面壁板37の上端側に笠木構造9が配設されている。
【0047】
本実施形態の笠木構造9は、
図6及び
図7に示すように、間柱32や位置決め支持用スペーサ部材35の上端部に係合したり、ビス止めするなどして固設される基台本体12と、基台本体12の上面側に配置され、前面パネル6(側面パネル)の下端部側を保持するための第1保持部28及び第2保持部29と、基台本体12や第1保持部28、第2保持29にそれぞれ係合支持したり、ビス止めするなどして、腰壁部22の前面20a側に配設される前面側笠木11a(11)と、腰壁部22の背面20b側に配設される背面側笠木11b(11)と、隣り合う支柱5の間など、前面側笠木11aと背面側笠木11bの間に配設される中央笠木11c(11)とを備えて構成されている。
【0048】
基台本体12は、アルミ押出し形材であり、複数の基台本体12で前面壁板36と背面壁板37の間の腰壁内部空間Hの上端側を被覆しつつ、各支柱5をほぼ隙間なく取り囲むように設置されている。
【0049】
また、本実施形態において、第1保持部28は、基台本体12に一体形成されており、底板部28aと、底板部28aの前方側に下端を接続し、上方に突設された外側壁部28bと、底板部28aの後方側に下端を接続し、上方に突設された遮水壁部28cとを備えて構成されている。
【0050】
また、基台本体12を所定位置に設置するとともに、第1保持部28の底板部28a上にセッティングブロック40が設置され、セッティングブロック40上に下端部を当接支持させて前面パネル6が設置される。そして、この状態で、基台本体12と一体形成された第1保持部28は、前面パネル6の外面6a側(前方側)に外側壁部28bが、前面パネル6の内面6b側(後方側)に遮水壁部28cがそれぞれ配設される。
【0051】
さらに、外側壁部28bは、その突出方向先端側に外側ビード13が着脱可能に取り付けられ、この外側ビード13が前面パネル6の外面6aに密着される。また、基台本体12には、この第1保持部28によって、底板部28aと外側壁部28bと遮水壁部28cで囲まれ、腰壁部22の幅方向S1に延びる排水路(排水溝)42が形成されている。
【0052】
本実施形態において、第2保持部29は、笠木11(中央笠木11c)に一体形成されており、前面パネル6の内面6b側に配設される内側壁部29aを備えて構成されている。そして、第2保持部29は、基台本体12に中央笠木11cを係合させ、ビス止めするなどして設置するとともに、内側壁部29aが前面パネル6の内面6b側に配設される。また、この内側壁部29bに内側ビード15を取り付けることにより、内側ビード15が前面パネル6の内面6bに密着される。
なお、内側ビード15は、例えば中央笠木11cを設置した段階で、前面パネル6の内面6bと中央笠木11cの間に押し込むようにし取り付ける。
【0053】
中央笠木11cは、矩形平板状に形成され、基台本体12に上載し、隣り合う支柱5の間に設置されている。
【0054】
前面側笠木11aは、基台本体12の前方側に係合支持されて設置され、設置した状態で中央笠木11cの側端部及び支柱5の前面に接し、前方に延びた先端側が前面壁板36やタイル38などの上端部を内包するように垂下して形成されている。また、中央笠木11cと互いの上面が滑らかに繋がるように配設され、面一な笠木面を形成している。
【0055】
背面側笠木11bは、基台本体12の後方側に係合支持されて設置され、設置した状態で中央笠木11cの側端部及び支柱5の背面に接し、後方に延びた先端側が背面壁板37などの上端部を内包するように垂下して形成されている。また、中央笠木11cと互いの上面が滑らかに繋がるように配設され、面一な笠木面を形成する。
【0056】
また、
図4から
図6に示すように、本実施形態の前面壁部20の腰壁部22は、少なくとも一方の側端部側の妻支柱5に、腰壁部22の端部を処理するための端部処理用スペーサ部材41が固着されている。この端部処理用スペーサ部材41は、略角管状に形成されたアルミ押出し形材であり、間柱32と略同等の長さで形成されている。また、この端部処理用スペーサ部材41は、その厚さ寸法t1を前面壁板36から背面壁板37までの厚さ寸法(第1方向S1に交差する腰壁の第2方向S2の寸法)t2と同等の寸法にして形成されている。さらに、本実施形態の端部処理用スペーサ部材41は2つの部材41a、
41bを着脱可能/分割可能に組み付けて構成されている。
【0057】
このように形成した端部処理用スペーサ部材41は、上端部が間柱32の上端部と上下方向の同位置になるように、一対の側面がそれぞれ前面壁板36の下地面と背面壁板37の下地面と面一になるように、さらに妻支柱5に対し腰壁部22の幅方向S1外側に突出するようにして、妻支柱5に固設されている。また、このとき、端部処理用スペーサ部材41は、妻支柱5から外側に突出する突出寸法(ひいては幅寸法、奥行き寸法t3)が、前面壁板36から背面壁板37までの厚さ寸法t2に応じた寸法になるようにして形成されている。
【0058】
また、前面壁板36の下地面と背面壁板37の下地面とともに、この端部処理用スペーサ部材41の側面にタイル38や化粧パネルを貼設したり、モルタル塗布を施すなどする。さらに、端部処理用スペーサ部材41の上端部に笠木構造9を設置する。これにより、前面壁部20の腰壁部22の端部が見栄えよく好適に形成される。
【0059】
そして、本実施形態の建物外部構築物Bにおいては、笠木構造9を貫通して下方から上方に延びる複数の支柱5と、位置決め支持用スペーサ部材35と、下地パネルの前面壁板36及び背面壁板37と、タイル38や化粧パネルなどの化粧材と、笠木構造9とを主な構成要素として、腰壁部22が構成されている。また、本実施形態の腰壁部(腰壁)22は、上記の通り、従来のブロックを用いた湿式ではなく、ブロックを用いない乾式腰壁として構築されている。
【0060】
一方、本実施形態の前面壁部20の採光壁部23は、
図1及び
図8に示すように、笠木構造9を貫通して上方に延設された複数の支柱5と、基台本体12に下端部側を支持させ、隣り合う支柱5にそれぞれ側端部を支持させ、複数の支柱5の上端部に接続して架設された桁17に上端部を支持させて、各隣り合う支柱5間に設置されたガラス板などの前面パネル6とを備えて構成されている。
【0061】
ここで、本実施形態の腰壁部22は、支柱5と端部処理用スペーサ部材41と位置決め支持用スペーサ部材35が中空構造で形成されている。そして、これら支柱5と端部処理用スペーサ部材41と位置決め支持用スペーサ部材35の少なくとも一つの部材には、その中空部と腰壁内部空間Hを連通させる連通孔、その中空部と笠木構造9の排水路42を連通させる連通孔、その中空部と基台26を通じて外部空間とを連通させる連通孔が形成されている。また、支柱5と笠木構造9(笠木11)の取り合い部Pに隙間が生じた場合に、この隙間と排水路42が連通するように構成されている。
【0062】
これにより、本実施形態の腰壁部22においては、支柱5と端部処理用スペーサ部材41と位置決め支持用スペーサ部材35の少なくとも一つの部材の中空部と、腰壁内部空間Hを、支柱5と笠木構造9の取り合い部Pに生じた隙間や基台26を通じて外部空間と連通させる連通路が形成される。そして、このような連通路を備えていることにより、笠木構造9を貫通する支柱5を備え、乾式施工で腰壁部22を構成した場合においても、腰壁内部空間Hの換気が行なえ、また、支柱5と笠木構造9の取り合い部Pやビード部分から雨水が浸入した場合であっても、この雨水が連通路を通じて外部に導かれて排出される。
【0063】
本実施形態の建物外部構築物Bの屋根部2は、
図1及び
図8に示すように、桁17よりも上方の建物本体Tの外壁T1に、横方向S1に固設された垂木掛け43と、一端を桁17に、他端を垂木掛け43に接続して斜めに架設されるとともに、横方向S1に所定の間隔をあけて配設された複数の垂木18と、隣り合う垂木18に固定して支持され、屋根面を形成するポリカーボネートやアクリル等の樹脂板やガラス板等の屋根材19とを備えて構成されている。また、本実施形態では、隣り合う垂木18を横方向S1に延設された中骨材(連結材)44によって連結して屋根部2が構成されている。
なお、屋根部2を構成する垂木掛け43、垂木18、中骨材44もそれぞれ、アルミ押出し形材を用いて形成されている。
【0064】
また、本実施形態の垂木18は、桁17と垂木掛け43の間に架設される垂木本体18aと、垂木本体18aの下端側に着脱可能に取り付けられて、垂木18の構造耐力を増大させるとともに室内側からの意匠性を向上させるための垂木化粧材18bと、垂木本体18aの上端側に着脱可能に取り付けられて屋根材19を保持するための垂木カバー18cとを備えて形成されている。
【0065】
本実施形態の建物外部構築物Bの一対の側面壁部21はそれぞれ、例えば、前面壁部20と同様に腰壁部22と採光壁部23を備えて形成したり、窓を備えて形成したり、折り戸7や扉を設置して出入り可能に形成したり、腰壁部22をなくし、採光壁部23のみで形成するなどの構成を適宜選択して構築されている。
【0066】
ここで、本実施形態では、
図4及び
図5に示すように、前面壁部20の腰壁部22の幅方向S1両端側にそれぞれ、妻支柱5に固着して端部処理用スペーサ部材41が設けられている。また、この端部処理用スペーサ部材41が、前面壁板36の下地面と背面壁板37の下地面の間の厚さ寸法t2と同等の厚さ寸法t1で形成され、各妻支柱5にビス止めなどして取り付けた状態で、側面が前面壁板36の下地面と背面壁板37の下地面と面一になるように形成されている。
【0067】
さらに、端部処理用スペーサ部材41は、その幅寸法(奥行き寸法)t3、ひいては妻支柱5に取り付けた状態で妻支柱5から外側に突出する突出寸法が、前面壁板36から背面壁板37までの厚さ寸法t2に応じた寸法になるように形成されている。
【0068】
そして、前面壁部20と同様に腰壁部22と採光壁部23を備えて側面壁部21を形成する場合には、前面壁部20の端部処理用スペーサ部材41から建物本体Tの外壁T1まで基台26を設置し、スリーブ27、33に嵌合させて複数の支柱5や間柱32を立設する。また、支柱5に位置決め支持用スペーサ部材35を取り付け、下地パネルの前面壁板36及び背面壁板37、化粧材38、笠木構造9を設置して腰壁部22を形成する。また、隣り合う支柱5の間にガラス板等の側面パネルを設置して採光壁部23を形成する。
【0069】
このとき、本実施形態では、前面壁部20の端部処理用スペーサ部材41が腰壁部22の厚さ寸法(第1方向S1と交差する第2方向S2の寸法)t2に応じて形成されているため、前面壁板36(及び背面壁板37)の下地面を端部処理用スペーサ部材41の側面と略面一になるように配置すれば、前面壁板36(及び背面壁板37)が所定の位置に配設されることになる。そして、面一な各前面壁板36及び背面壁板37の下地面と端部処理用スペーサ部材41の側面とにそれぞれ、防水シートやタイル、モルタル、内装クロス等の化粧材38を貼設、塗布し、前面壁部20と同様に笠木構造9を設置することで、前面壁部20と側面壁部21の一体化したL字状の腰壁部22が乾式施工で容易に形成される。なお、側面壁部21の腰壁部22は、図示した符号S1、S2を逆にし、その幅方向が第1方向となり、厚さ方向が第2方向となる。
【0070】
なお、本実施形態では、前面壁部20の妻支柱5の上端部側に一端を接続し、建物本体Tの外壁T1側の側面壁部21の妻支柱5に他端を接続し、アルミ押出し形材の妻梁45を水平に設置する。さらに、この妻梁45と妻垂木18と妻支柱5で囲まれた略三角形状の枠部内にポリカーボネート等(FIX窓46)を設置したり、室内側に倒れる内倒し窓を設置する。
【0071】
ここで、上記構成からなる本実施形態の乾式腰壁構造(前面壁部20)の施工手順(構築方法)について説明する。
【0072】
本実施形態の乾式腰壁構造(前面壁部20)を構築する際には、はじめに、
図9に示すように、腰壁部22の幅方向(第1方向)S1の両端部側となる所定位置にそれぞれ、妻支柱(支柱)5を立設する(妻支柱設置工程)。このとき、嵌合凸部(スリーブ)47aを備えた固定ベース47を基礎25などにねじ止めするなどして固着し、この固定ベース47の嵌合凸部47aに、中空部の嵌合凹部を嵌合させつつビス止めするなどして、一対の妻支柱5を固定ベース47に接続する。これにより、一対の妻支柱5が強固に立設される。
【0073】
次に、
図10、
図11に示すように、一対の妻支柱5の間に基台本体26c(下部ベース26a、上部ベース26b)を取り付け、基台26を設置する(基台設置工程)。
【0074】
また、
図12に示すように、基台本体26cの上部ベース26bにスリーブ(嵌合凸部)27、33を取り付ける。基台26のスリーブ27、33に嵌合させるとともにビス止めするなどして、一対の妻支柱5の間に、中間支柱としての支柱5と、間柱32とをそれぞれ、基台26の延設方向の第1方向S1に所定の間隔をあけて立設する(中間支柱設置工程)。
【0075】
さらに、
図13、
図14に示すように、支柱5に位置決め支持用スペーサ部材35及び端部処理用スペーサ部材41を取り付ける。また、
図15に示すように、間柱32や位置決め支持用スペーサ部材35に支持させて、基台本体12(笠木構造9)を設置する(笠木構造設置工程)。
【0076】
さらに、
図16に示すように、笠木構造9の第1下枠14や、水切り26dなどを取り付けるとともに、腰壁部22の厚さ方向の第2方向S2の前面側と背面側にそれぞれ、複数の支柱5を内包するように下地ボードの前面壁板36と背面壁板37を設置する(壁板設置工程)。
【0077】
また、セッティングブロック40、前面パネル(壁面部材)6、笠木構造9の第2下枠16、前面側笠木11a、背面側笠木11b、中央笠木11cなどを適宜設置する。
【0078】
さらに、下地ボードの前面壁板36と背面壁板37によって形成された下地面に、防水シートを貼設し、タイル38や化粧パネル、内装クロス(壁紙)を貼設したり、モルタル塗布(サイディング)を施すなどする。
【0079】
これにより、本実施形態の乾式腰壁構造20が構築される。また、従来のようにブロック8を一体に積み上げ、このブロック8に対する表面仕上げを行うことなく、建て方職人によって乾式腰壁構造20の施工が行える。
【0080】
したがって、本実施形態の乾式腰壁構造(前面壁部20)及びこれを備えた建物外部構築物B並びに乾式腰壁構造20の構築方法においては、基台26に下端部5aを接続して立設された複数の支柱5を内包するように前面壁板36及び背面壁板37を設け、支柱5を貫通させつつ前面壁板36と背面壁板37の間の腰壁内部空間Hの上端側を被覆して笠木構造9を設けることによって、笠木構造9(笠木11)を支柱5が貫通した腰壁部(腰壁)22を形成することが可能になる。そして、従来のようにブロック8を一体に積み上げ、このブロック8に対する表面仕上げを行う湿式ではなく、乾式で腰壁部22を構築することができる。
【0081】
よって、本実施形態の乾式腰壁構造20及びこれを備えた建物外部構築物B並びに乾式腰壁構造20の構築方法によれば、建て方職人だけで支柱5が笠木構造9を貫通した腰壁部22を構築することが可能になり、従来と比較して、腰壁部22を備えた壁構造(腰壁構造)や、この腰壁構造を備えた建物外部構築物Bを構築する際の施工性を大幅に向上させることが可能になる。
【0082】
また、本実施形態の乾式腰壁構造20及び建物外部構築物Bにおいては、端部処理用スペーサ部材41が、前面壁板36から背面壁板37までの腰壁の第2方向S2の寸法に応じて、例えば幅寸法t3及び/又は厚さ寸法(奥行き寸法)t1を前面壁板36から背面壁板37までの腰壁の厚さ寸法(腰壁の第2方向の寸法)t2に応じた寸法にして形成されていることにより、且つ、妻支柱5に対して腰壁の幅方向(第1方向)S1外側に突出して設けられていることで、この端部処理用スペーサ部材41に笠木構造9を上載して取り付けたり、端部処理用スペーサ部材41の外面にタイル38を貼るなどし、腰壁構造20の端部側の意匠性を好適に確保することができる。
【0083】
また、この端部処理用スペーサ部材41が、前面壁板36から背面壁板37までの腰壁の第2方向S2の寸法に応じて形成されていることにより、前面側の腰壁(前面腰壁部)とこれに直交する側面側の腰壁(側面腰壁部)からなるL字状の腰壁部22を構築する場合に、前面腰壁部の端部に設けられた端部処理用スペーサ部材41の幅寸法に合わせることで、すなわち、端部処理用スペーサ部材41の側面に壁面位置を合わせて側面腰壁部の前面壁板36や背面壁板37を設置することで、容易に且つ確実に、側面腰壁部の前面壁板36や背面壁板37を位置決めすることができ、前面腰壁部と同じ厚さ寸法の側面腰壁部を形成することが可能になる。これにより、L字状の腰壁部22を構築する際の施工性を向上させることが可能になるとともに、L字状の腰壁部22の角部の意匠性を好適に確保することが可能になる。
【0084】
さらに、本実施形態の乾式腰壁構造20及び建物外部構築物Bにおいては、支柱5に取り付けられた位置決め支持用スペーサ部材35の側面に当接させることにより、前面壁板36と背面壁板37を位置決めし、所望の厚さの腰壁部22を形成することができる。また、位置決め支持用スペーサ部材35の上端に載置したり、係合させることで笠木構造9を所定の位置に位置決めして設置することが可能になる。これにより、腰壁構造20を構築する際の施工性をさらに向上させることが可能になる。
【0085】
また、本実施形態の乾式腰壁構造20及び建物外部構築物Bにおいては、支柱5と端部処理用スペーサ部材41と位置決め支持用スペーサ部材35の少なくとも一つの中空構造の部材の中空部と、前面壁板36と背面壁板37の間の腰壁内部空間Hと、外部空間とが、連通路によって連通していることにより、連通路を通じて腰壁構造20の内部に外気を通気させることができる。これにより、乾式施工によって構築した場合であっても、腰壁構造20の内部に湿気が溜まることを防止できる。
【0086】
また、支柱5と笠木構造9の取り合い部Pに隙間が生じ、この隙間から雨水が浸入した場合に、連通路を雨水の排水路として利用し、この雨水を外部に排出させることが可能になる。これにより、笠木構造9を支柱5が貫通するように構成しても、支柱5と笠木構造9の取り合い部Pなどから浸入した雨水が笠木構造9の継ぎ目などを通じて例えば室内側に漏出することを防止できる。
【0087】
よって、乾式施工によって腰壁構造20を構築することで通気対策や漏水対策を講じることも可能になり、この乾式腰壁構造20を例えばサンルームやテラス、バルコニーなどのガーデンルームタイプの建物外部構築物Bの前面壁部20や側面壁部21に適用することで利便性や快適性に優れた信頼性の高い建物外部構築物Bを構築することが可能になる。
【0088】
これにより、本実施形態の乾式腰壁構造20及び建物外部構築物Bにおいては、利便性や快適性に優れたサンルームやテラス、バルコニーなどのガーデンルームタイプの建物外部構築物や、カーポート、オープンテラス、自転車置き場、物置、通路等のサイドスルータイプの建物外部構築物を実現することが可能になる。
【0089】
以上、本発明に係る乾式腰壁構造及びこれを備えた建物外部構築物並びに乾式腰壁構造の構築方法の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0090】
例えば、本実施形態では、建物外部構築物Bがガーデンルームタイプの建物外部構築物であるものとして説明を行ったが、本発明に係る建物外部構築物はサイドスルータイプの建物外部構築物であってもよい。また、乾式腰壁構造が建物外部構築物Bの前面壁部20(や側面壁部21)を構成するものとして説明を行ったが、本発明に係る乾式腰壁構造は、例えば門柱、門壁といったエクステリア構築物などの単体構築物として用いられてもよい。そして、このような場合であっても、本実施形態と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0091】
また、本実施形態では、支柱5や垂木18などの各主要部材がアルミ押出し形材であるものとしたが、必ずしもこれに限定しなくてもよく、木材、鋼材等の他の素材を適宜用いて乾式腰壁構造、建物外部構築物を構築してもよい。