特許第6321972号(P6321972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6321972圧力式流量制御装置及びその流量制御開始時のオーバーシュート防止方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321972
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】圧力式流量制御装置及びその流量制御開始時のオーバーシュート防止方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   G05D7/06 Z
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-8831(P2014-8831)
(22)【出願日】2014年1月21日
(65)【公開番号】特開2015-138338(P2015-138338A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年10月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】平田 薫
(72)【発明者】
【氏名】池田 信一
(72)【発明者】
【氏名】西野 功二
(72)【発明者】
【氏名】土肥 亮介
(72)【発明者】
【氏名】杉田 勝幸
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 正明
【審査官】 田村 耕作
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−338546(JP,A)
【文献】 特開昭63−028875(JP,A)
【文献】 特開平10−009996(JP,A)
【文献】 特開平10−055218(JP,A)
【文献】 特開2003−195948(JP,A)
【文献】 特開2006−330851(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/141947(WO,A1)
【文献】 特開平11−045122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
F16K 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口と流体出口との間を連通する流体通路と、該流体通路から分岐して該流体通路と排気出口との間を連通する排気通路とを設けた本体と、
前記排気通路の分岐箇所よりも上流側に設けられた圧力制御用コントロール弁と、
前記排気通路の分岐箇所より下流側の前記流体通路内に設けられたオリフィスと、
前記圧力制御用コントロール弁の下流側かつ前記オリフィスの上流側の流体通路内圧を検出する第1圧力センサと、
前記第1圧力センサの下流側の前記流体通路を開閉する開閉弁と、
前記排気通路を開閉する排気用弁と、を備えることを特徴とする圧力式流量制御装置。
【請求項2】
流量制御時に前記開閉弁を開閉することにより流量のパルス制御がなされる請求項に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項3】
前記開閉弁が前記オリフィスの下流側に設けられる請求項1又は2に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項4】
前記排気用弁を制御弁とした請求項1乃至3の何れかに記載の圧力式流量制御装置。
【請求項5】
前記本体に、オリフィス下流側の前記流体通路内圧を検出する第2圧力センサを設けた請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項6】
前記第2圧力センサを、前記開閉弁の下流側の前記流体通路内圧を検出するセンサとした請求項に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項7】
前記オリフィス及び前記開閉弁を、オリフィスと開閉弁を一体的に組み付け固定した構成のオリフィス内蔵型弁により形成するようにした請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項8】
複数のオリフィスを並列状に連結し、切換弁により少なくとも一つのオリフィスに流体を流通させるように構成した請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項9】
複数のオリフィスを並列状に連結し、切換弁により少なくとも一つのオリフィスに流体を流通させると共に、オリフィス下流側の流体通路内圧を検出する圧力センサを備える請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項10】
前記圧力制御用コントロール弁が、ピエゾ素子駆動型の金属ダイヤフラム式制御弁である請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項11】
前記開閉弁は、空気圧駆動弁又は電磁駆動弁である請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項12】
前記排気出口に接続した真空ポンプにより前記排気通路内を強制排気する構成とした請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項13】
流量制御開始前に、前記排気用弁を作動して前記圧力制御用コントロール弁と前記開閉弁との間の流体通路空間内を予め排気するように構成されている、請求項1に記載の圧力式流量制御装置。
【請求項14】
流体入口と流体出口との間を連通する流体通路該流体通路から分岐して該流体通路と排気出口との間を連通する排気通路とを設けた本体と、前記排気通路の分岐箇所よりも上流側に設けられた圧力制御用コントロール弁と、前記排気通路の分岐箇所より下流側の前記流体通路内に設けられたオリフィスと、該圧力制御用コントロール弁の下流側かつ前記オリフィスの上流側の流体通路内圧を検出する第1圧力センサと、前記第1圧力センサの下流側の前記流体通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路を開閉する排気用弁と、を備える圧力式流量制御装置のオーバーシュート防止方法であって、前記圧力式流量制御装置による流量制御開始前に前記排気用弁を作動して前記圧力制御用コントロール弁と開閉弁間の流体通路空間内を強制排気することにより、流量制御開始時のオーバーシュートを防止する前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力式流量制御装置の改良に関するものであり、流量制御の追従性の向上及び流量立上げ時や流量立下げ時の応答性を高めることにより半導体製造装置用等の原料ガス供給装置の作動性能を大幅に高めることを可能にした圧力式流量制御装置と、その流量制御開始時のオーバーシュートを防止する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前から、半導体製造装置用等の原料ガス供給装置に於いては、供給ガス流量の制御に熱式流量制御装置や圧力式流量制御装置が広く利用されている。特に、後者の圧力式流量制御装置FCS(登録商標)は、図5に示すように、コントロール弁CV、温度検出器T、圧力検出器P、オリフィスOL及び演算制御部CD等から構成されており、一次側供給圧が大きく変動しても安定した流量制御が行えるという優れた流量特性を具備している。
【0003】
即ち、図5の圧力式流量制御装置FCSにおいては、その演算制御部CDが、温度補正・流量演算回路CDaと比較回路CDbと入出力回路CDcと出力回路CDd等から構成されている。そして、圧力検出器P及び温度検出器Tからの検出値が温度補正・流量演算回路CDaへ入力され、ここで検出圧力の温度補正と流量演算が行われ、流量演算値Qtが比較回路CDbへ入力される。
【0004】
また、設定流量に対応する入力信号QSが端子Inから入力され、入出力回路CDcを介して比較回路CDbへ入力され、ここで前記温度補正・流量演算回路CDaからの流量演算値Qtと比較される。比較の結果、設定流量入力信号Qsと流量演算値Qtとの間に差異があると、コントロール弁CVの駆動部へ制御信号Pdが出力され、これによりコントロール弁CVが駆動され、設定流量入力信号Qsと演算流量値Qtとの差(Qs−Qt)が零となるように自動調整される。
【0005】
尚、上記圧力式流量制御装置FCSでは、オリフィスOLの下流側圧力Pと上流側圧力Pとの間にP/P≧約2の所謂臨界膨張条件が保持されていると、オリフィスOLを流通するガス流量QはQ=KP(但しKは定数)で表され、また、臨界膨張条件が満たされていないと、オリフィスOLを流通するガス流量QはQ=KP(P−P(但しK、m、nは定数)として算出される。
【0006】
従って、圧力Pを制御することにより流量Qを高精度で制御することができ、しかも、コントロール弁CVの上流側ガスGoの圧力が大きく変化しても、制御流量値が殆ど変化しないという優れた特性を発揮することができる。
尚、上記ガス流量QをQ=KP(但しKは定数)として演算する方式の圧力式流量制御装置は、一般にFCS−N型と呼ばれており、また、ガス流量QをQ=KP(P−P(但しK、m、nは定数)として演算する方式の圧力式流量制御装置は、FCS−WR型と呼ばれている。
【0007】
また、この種の圧力式流量制御装置には、この他に、上記FCS−N型のオリフィスを、並列状に連結した複数のオリフィスOLを切換弁により任意に選択する構造のオリフィスとし、流量制御範囲を変更できるようにしたもの(FCS−SN型)や、同じオリフィス機構を上記FCS−WR型のオリフィスとして用いたもの(FCS−SWR型)が存在する。
【0008】
図6は、上記FCS−N型(特開平8−338546号等)、FCS−SN型(特開2006−330851号等)、FCS−WR型(特開2003−195948号等)及びFCS−SWR型(特願2010−512916号等)の構成系統図であり、その構成や作動原理等は既に公知であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
尚、図6において、P,Pは圧力センサ、CVはコントロール弁、OLはオリフィス、OLは小口径オリフィス、OLは大口径オリフィス、ORVはオリフィス切換弁である。
【0009】
原料ガス供給においては、この種の圧力式流量制御装置FCSを用いて、原料ガスを所定量供給することが可能であるが、より精密な原料ガスの供給を行うために、流量の立上りや立下り特性を改良した所謂パルス制御を行うことが求められている。
【0010】
図7は、上記パルス制御が可能な圧力式流量制御装置の構成系統図であり、オリフィスOLと開閉弁Vpとの間の内容積を極小化することにより、良好な立上り及び立下り特性が得られ、高精度なパルス制御を行うことが可能となる。
【0011】
しかし、従前の圧力式流量制御装置において、オリフィス下流側に開閉弁を設けてこれを開閉制御することでパルス流量制御を行う場合、コントロール弁CVを閉鎖して流量制御を中止した場合に、該コントロール弁からの原料ガスの微小リークにより流体通路内圧が高くなることがある。その結果、再度流量制御を開始したときに、流体通路内圧が高くなっていることにより、立上げ時の制御流量値に所謂オーバーシュートを生じると云う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平8−338546号
【特許文献2】特開平10−55218号
【特許文献3】特開2003−195948号
【特許文献4】特開2006−330851号
【特許文献5】特願2010−512916号
【特許文献6】特開2000−213667号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、パルス流量制御可能な圧力式流量制御装置及びその流量制御開始時のオーバーシュート防止方法を提供することを発明の主目的とするものである。即ち、従前の圧力式流量制御装置のオリフィス下流側に開閉弁を設け、これを開閉制御することでパルス流量制御を行うことが可能となるが、流量制御を行っていない状態では、制御弁からの原料ガスの微小リークによって流体通路内圧が高くなり、そのため、流量制御開始時の流体通路内圧が設定値より大きくなってオーバーシュートが発生する。
本発明は、流量制御開始時の上記オーバーシュートの問題を解決せんとするものであり、パルス流量制御可能な圧力式流量制御装置及びその流量制御開始時のオーバーシュート防止方法の提供を発明の主要な課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、従前の圧力式流量制御装置のオリフィス下流側に開閉弁を設け、この開閉弁を開閉制御することでパルス流量制御が可能な圧力式流量制御装置において、流量制御の開始時にオーバーシュートが生じると云う前記課題を解決するためにオリフィス上流側にベントラインを設け、流量制御の開始前に予め排気通路より排気を行なってオリフィス下流側の圧力を下げることにより、流量制御開始時のオーバーシュートを防止する。
即ち、本発に係る圧力式流量制御装置は、流体入口と流体出口との間を連通する流体通路及び該流体通路から分岐して該流体通路と排気出口との間を連通する排気通路を設けた本体と、本体の前記流体入口側に固定されて前記流体通路の上流側を開閉する圧力制御用コントロール弁と、該圧力制御用コントロール弁の下流側の前記流体通路内圧を検出する第1圧力センサと、前記排気通路の分岐箇所より下流の前記流体通路内に設けたオリフィスと、前記第1圧力センサの下流側の前記流体通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路を開閉する排気用弁、を備えることを基本構成とする。当該圧力式流量制御装置による流体流量の制御開始前に圧力制御用コントロール弁と排気用弁を作動して圧力制御用コントロール弁と開閉弁の間の流体通路空間内を強制排気することにより、流量制御開始時のオーバーシュートを防止することを可能にる。
【0015】
量制御時に前記開閉弁を開閉することにより流量のパルス制御を行うことができる
【0016】
前記開閉弁は、前記オリフィスの下流側に設けられ得る
【0017】
前記排気用弁は、制御弁であり得る
【0018】
前記本体に、前記オリフィス下流側の前記流体通路内圧を検出する第2圧力センサを設け得る
【0019】
前記第2圧力センサを、前記オリフィスと前記開閉弁の間の前記流体通路内圧を検出するセンサとし得る
【0020】
前記オリフィス及び前記開閉弁を、オリフィスと開閉弁を一体的に組み付け固定した構成のオリフィス内蔵型弁とし得る
【0021】
前記オリフィスの複数を並列状に連結し、切換弁により少なくとも一つの前記オリフィスに流体を流通させる構成とし得る
【0022】
前記オリフィスの複数を並列状に連結し、切換弁により少なくとも一つの前記オリフィスに流体を流通させると共に、オリフィス下流側の前記流体通路内圧を検出する圧力センサを備えることもできる
【0023】
前記圧力制御用コントロール弁及び前記気用弁は、ピエゾ素子駆動型の金属ダイヤフラム式制御弁であり得る
【0024】
前記開閉弁、空気圧駆動弁又は電磁駆動弁であり得る
【0025】
前記排気出口に接続した真空ポンプにより排気通路内を強制排気する構成としる。
【0026】
また、本発明の方法は、流体入口と流体出口との間を連通する流体通路及び該流体通路から分岐して該流体通路と排気出口間を連通する排気通路を設けた本体と、本体の前記流体入口側に固定されて前記流体通路の上流側を開閉する圧力制御用コントロール弁と、該圧力制御用コントロール弁の下流側の流体通路内圧を検出する第1圧力センサと、前記排気通路の分岐箇所より下流の前記流体通路内に設けたオリフィスと、前記オリフィスの下流側の前記流体通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路を開閉する排気用弁、を備える圧力式流量制御装置のオーバーシュート防止方法であって、当該圧力式流量制御装置による流量制御開始前に前記気用弁を作動して前記圧力制御用コントロール弁と前記オリフィスとの間の前記流体通路空間内を強制排気することにより、流量制御開始時のオーバーシュートを防止する前記方法である。
【発明の効果】
【0027】
本発明に於いては、圧力式流量制御装置が、流体入口と流体出口間を連通する流体通路及び前記流体通路と排気出口間を連通する排気通路を設けた本体と、前記本体の流体入口側に固定されて前記流体通路の上流側を開閉する圧力制御用コントロール弁と、該圧力制御用コントロール弁の下流側の流体通路内圧を検出する第1圧力センサと、前記排気通路の分岐箇所より下流の前記流体通路内に設けたオリフィスと、前記第1圧力センサの下流側の前記流体通路を開閉する開閉弁と、前記排気通路を開閉する排気用弁、を備える。当該圧力式流量制御装置による流体流量の制御開始時に前記圧力制御用コントロール弁と前記気用弁を作動して前記圧力制御用コントロール弁と前記開閉弁との間の流体通路空間内を強制排気することにより、流量制御開始時のオーバーシュートを防止し得る
【0028】
その結果、本発明に係る圧力式流量制御装置では、制御流量の変動時に於ける制御応答性が高まり、流量制御の立上げ時間や立げ時間を大幅に短縮できるだけでなく、その時間調整も容易に行うことができ、圧力式流量制御装置の所謂ガス置換性の向上とこれよる設備稼働率の向上、半導体製品の品質向上等が可能となる。
【0029】
更に、流体供給通路に設ける開閉弁をオリフィス内蔵型開閉弁とすることにより、圧力式流量制御装置の一層の小型化が図れると共に、排気用弁を閉鎖することにより、通常の圧力式流量制御装置としても適用することが出来る。
【0030】
加えて、流体通路に設けた開閉弁を用いて流体流量の所謂パルス流量制御を行う場合に於いても、オリフィス上流側の流体通路内圧が減圧されていることにより、制御の追従性が大幅に向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る圧力式流量制御装置の基本構成を示す系統図である。
図2】本発明に係る圧力式流量制御装置の基本構成を示す縦断面図である。
図3】本発明に係る圧力式流量制御装置の平面図(a)、正面図(b)及びオリフィス内蔵型開閉弁の部分拡大断面図(c)である。
図4】本発明に係る圧力式流量制御装置を適用したガス供給ボックスの構成を示す系統図である。
図5】従前の圧力式流量制御装置(FCS−N型)の基本構成図である。
図6】従前の各種形式の圧力式流量制御装置の概略構成図であり、(a)はFCS−N型,b)は圧力式流量制御装置(FCS−WR型)、(c)はFCS−SN型、(d)はFCS−SWR型を示すものである。
図7】従前の圧力式流量制御装置(FCS−N型)と開閉弁によるパルス流量制御を組み合わせたシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の圧力式流量制御装置の基本構成を示す系統図であり、図2は本発明に係る圧力式流量制御装置の基本構成を示す縦断面図、図3は本発明に係る圧力式流量制御装置の平面図(a)と正面図(b)及びオリフィス内蔵型開閉弁の部分拡大断面図(c)である。
また、図4は、本発明に係る圧力式流量制御装置を用いたガス供給ボックスの構成を示す系統図である。
【0033】
図1図3を参照して、本発明に係る圧力式流量制御装置1は、本体2、圧力制御用コントロール弁6、排気用弁7、空気圧駆動型の開閉弁8、第1圧力センサP1、第2圧力センサP2、オリフィスOL等から構成されている。また、図2の実施形態では、1個のオリフィスOLと第1圧力センサP及び第2圧力センサP2と空気圧駆動型の開閉弁8を使用したFCS−WR型の圧力式流量制御装置とされており、オリフィスOLを流通する流体が臨界状態又は非臨界状態の何れであっても、圧力制御用コントロール弁6による圧力調整により流量制御が可能な構成とされている。
【0034】
尚、図1図3において、2a弁座、3は入口側ブロック、4は本体ブロック、5は出口側ブロック、8は空気圧駆動型の開閉弁、8aは空気圧型弁駆動部、9は流体入口、10aは流体通路、10bは排気通路、11は流体出口、12は排気出口、13はガスケット、14は制御用のパネルコントロールボード、15はケーシング、16は接続用コネクタである。
【0035】
前記本体2は、入口側ブロック3、本体ブロック4及び出口側ブロック5を固定ボルト(図示省略)により相互に組付け一体化したものであり、圧力制御用コントロール弁6、排気用弁7、第1圧力センサP1及び第2圧力センサP2などは、本体2へ夫々ねじ込み固定されている。また、第2圧力センサP2は、出口側ブロック5の内側面の下部に配置されており、排気通路10bとの交差を避けて流体通路10aへ連通されている。
【0036】
前記圧力制御用コントロール弁6は、公知の金属製ダイヤフラムを弁体20とするピエゾ駆動素子6aを用いた開閉弁であり、ピエゾ駆動素子6aへの通電によりこれが伸長し、円筒体17を弾性体18の弾力に抗して上方へ押し上げることにより弁体押え19が上方へ移動し、ダイヤフラム弁体20の自己弾性力により弁体20が弁座2aから離座して弁が開放される。また、弁開度は、ピエゾ駆動素子6aへの印加電圧を変動することにより調節される。
また、排気用弁7の構造及び作動は、圧力制御用コントロール弁6の場合と同一とすることができ、ピエゾ駆動素子7aの伸長量調節により、弁開度制御が行なうことができる。
尚、排気用弁7には、上記ピエゾ駆動式金属ダイヤフラム型開閉弁に代えて、公知の空気圧駆動式や電磁駆動式の開閉制御弁を用いることも可能であり、また、コントロール弁ではなく開閉弁を用いることも可能である。
更に、前記圧力制御用コントロール弁6、排気用弁7及び開閉弁8等の作動制御は、パネルコントロールボード14を介して全て自動的に行なわれることは、従前のこの種圧力式流量制御装置の場合と同様である。
【0037】
上記図2に示したFCS−WR型の圧力式流量制御装置では、装置の小型化及び流体通路容積の削減を図るために、オリフィスOLと開閉弁8とを一体的に組み付けした構造のオリフィス内蔵型の開閉弁を使用している。当該オリフィス内蔵型開閉弁8そのものの構造は公知(特許文献6・特開2000−213667号等)であるため、ここではその詳細な説明を省略するが、図3(c)に示すように、出口側ブロック5の上面に弁機構を収納する孔部34を設け、その内部へオリフィスOL、弁座リング30、弁体(金属ダイヤフラム)20、押え筒体33、弁体押え19、ステム31、スプリング32等の弁機構の構成部材を配置し、本体2を構成する出口側ブロック5上に開閉弁8を固設する構成としたものである。
【0038】
オリフィス内蔵型開閉弁を用いることで、オリフィスと弁体間の内容積を極小にすることができ、弁開閉時の流量の立上り特性および立下り特性が改良される。
なお、オリフィス内蔵型開閉弁については、上流側にオリフィスが下流側に弁体が設けられているが、この場合、立下り特性は、開閉弁の動作のみの影響を受け、また内容積が極小であるため、立上り特性における内容積の影響が小さい。オリフィス内蔵型開閉弁の取付け方向を反対にすることで、上流側に弁体が、下流側にオリフィスが設けられるが、この場合は立上り特性は開閉弁の動作のみの影響を受け、立下り特性における内容積の影響が小さい。
【0039】
図4は、本発明に係る圧力式流量制御装置を用いたガス供給ボックスの構成を示す系統図であり、3種の実ガスG1〜G3及びN2ガスを夫々単独に、または、適宜のガス種を所定の割合で混合して、プロセスチャンバ29へ供給するものである。尚、排気用弁7(図示省略)を介してFCS−Nの内部空間ガスが、排気ライン27の出口側開閉弁24を通して真空ポンプ28により強制排気(真空排気)されることは、前述の通りである。
尚、図4において、21はガス供給口、22は供給側切換弁、23は出口側切換弁、26は混合ガス供給ラインである。
【0040】
上記図1図3の実施形態においては、図3の()に示したオリフィス内蔵型の開閉弁8を用いたFCS−WR型の圧力式流量制御装置に基づいて説明をしたが、圧力式流量制御装置としては、FCS−N型、FCS−SN 型、FCS−SWR型であっても良いことは勿論であり、図6(a)〜(d)に示した従前の各型式の圧力式流量制御装置は、何れも本発明の実施に適用し得ることが可能なものである。
【0041】
また、本発明に係る圧力式流量制御装置でパルス流量制御を行う場合には、数10〜数100msecのパルス間隔でもって、高精度なパルス流量制御が行える。
尚、圧力式流量制御装置の作動原理や構成は既に公知であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、半導体製造装置用のガス供給設備やガス供給装置のみならず、化学産業や食品産業等のあらゆるガス供給設備の流量制御装置に適用できるものである。
【符号の説明】
【0043】
1 圧力式流量制御装置
2 本体
2a 弁座
3 入口側ブロック
4 本体ブロック
5 出口側ブロック
6 圧力制御用コントロール弁
6a ピエゾ駆動素子
7 排気用弁
7a ピエゾ駆動素子
8 空気圧駆動型の開閉弁
8a 空気圧型弁駆動部
9 流体入口
10a 流体通路
10b 排気通路
10c 漏洩検査用通路
11 流体出口
12 排気出口
13 ガスケット
14 パネルコントロールボード
15 ケーシング
16 接続用コネクタ
17 円筒体
18 弾性体
19 弁体押さえ
20 弁体
21 ガス供給口
22 供給側切換弁
23 出口側開閉弁
24 出口側開閉弁
26 混合ガス供給ライン
27 真空排気ライン
28 真空ポンプ
29 プロセスチャンバ
30 弁座用リング
31 ステム
32 スプリング
33 押え筒体
34 孔部
第1圧力センサ
第2圧力センサ
OL オリフィス
〜G 実ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7