特許第6321983号(P6321983)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6321983
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】床材
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20180423BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   E04F15/16 A
   B32B27/32 D
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-21078(P2014-21078)
(22)【出願日】2014年2月6日
(65)【公開番号】特開2015-148083(P2015-148083A)
(43)【公開日】2015年8月20日
【審査請求日】2016年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001748
【氏名又は名称】特許業務法人まこと国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹川 政克
(72)【発明者】
【氏名】松田 茂
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−272930(JP,A)
【文献】 特開2000−025180(JP,A)
【文献】 特開2013−113022(JP,A)
【文献】 特開2000−103022(JP,A)
【文献】 特開2000−248084(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0131713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/16
B32B 27/32
B32B 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂層を有する床材本体と、前記床材本体の上に設けられた表層と、を有し、
前記床材本体の厚みが、1.5mm〜5mmであり、
前記樹脂層が、それぞれ塩化ビニル系樹脂を主成分とする上方樹脂層及び下方樹脂層を有し、前記上方樹脂層と下方樹脂層の間に形状安定化層が介装されており、前記上方樹脂層の厚みが、前記下方樹脂層の厚みよりも小さく、
前記表層が、ポリオレフィン系樹脂層と前記ポリオレフィン系樹脂層上に接着層を介して積層されたポリアミド系樹脂層とを有し、前記ポリオレフィン系樹脂層が、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、又は、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合樹脂を含む、床材。
【請求項2】
前記下方樹脂層における充填剤の含有割合が、前記上方樹脂層におけるそれよりも大きい、請求項1に記載の床材。
【請求項3】
前記ポリアミド系樹脂が、11−ナイロン及び12−ナイロンの少なくとも何れか一方である、請求項1または2に記載の床材。
【請求項4】
前記表層の、40℃、相対湿度90%環境下で7日保管した場合の寸法変化率が±1.1%以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の床材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐摩耗性及び柔軟性に優れ且つ汚れ難い床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の床材が広く用いられている。その中で樹脂製の床材は、一般的に、床材本体と、床材本体上に積層された上層と、を有し、前記床材本体の表面が上層にて覆われている。また、汚れや磨耗、傷などによる損耗を防止するために、前記上層の表面に汚れや磨耗、傷に強い材質の樹脂が積層される場合がある。このような樹脂としては、紫外線硬化型樹脂、硬質塩化ビニル、床材に一般に用いられる塩化ビニルに耐磨耗添加剤を混入したもの、その他塩化ビニル以外の樹脂などが挙げられる。
例えば、特許文献1には、オレフィン系シートの表面に紫外線硬化型樹脂からなる表面保護層が設けられているオレフィン系床材が開示されている。
しかしながら、紫外線硬化型樹脂からなる表面保護層は、硬質であるので、比較的厚みを大きく形成すると、不陸に沿って床材が変形した際に、割れやクラックを生じるおそれがある。他方、前記表面保護層の厚みを小さくすると、経年磨耗によって表面保護層の一部が消失し易くなり、床材の表面保護機能を奏さなくなる。
また、特許文献2には、少なくともポリアミド樹脂とエチレン系重合体との共押出フィルムからなる表層と、無機充填材を含有する接着性樹脂からなる樹脂層と、から構成された積層タイルが開示されている。この積層タイルは、表層がポリアミドを含むので、耐摩耗性に優れているが、柔軟性に欠けるという問題点がある。通常、床材本体は、床面の不陸を吸収するように、比較的柔軟なものが用いられるが、その床材本体の表面に柔軟性に欠ける表層を積層すると、床材全体の柔軟性が低下し、床面の不陸に追従しないおそれがある。さらに、前記紫外線硬化型樹脂やポリアミド樹脂を床材本体の表面に積層した床材は、反り易いという問題点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−105874号公報
【特許文献2】特開2000−103022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、耐摩耗性及び柔軟性に優れ且つ汚れ難く、さらに反りが生じ難い床材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の床材は、樹脂層を有する床材本体と、前記床材本体の上に設けられた表層と、を有し、前記床材本体の厚みが、1.5mm〜5mmであり、前記樹脂層が、それぞれ塩化ビニル系樹脂を主成分とする上方樹脂層及び下方樹脂層を有し、前記上方樹脂層と下方樹脂層の間に形状安定化層が介装されており、前記上方樹脂層の厚みが、前記下方樹脂層の厚みよりも小さく、前記表層が、ポリオレフィン系樹脂層と前記ポリオレフィン系樹脂層上に接着層を介して積層されたポリアミド系樹脂層とを有し、前記ポリオレフィン系樹脂層が、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、又は、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合樹脂を含む。
【0006】
本発明の好ましい床材は、前記下方樹脂層における充填剤の含有割合が、前記上方樹脂層におけるそれよりも大きい
【0007】
本発明の好ましい床材は、前記ポリアミド系樹脂が、11−ナイロン及び12−ナイロンの少なくとも何れか一方である。
本発明の好ましい床材は、前記表層の、40℃、相対湿度90%環境下で7日保管した場合の寸法変化率が±1.1%以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、耐摩耗性及び柔軟性に優れ、汚れ難く、反りが生じ難い床材を提供できる。このような床材は、床面の不陸を吸収するので、施工後の外観が良好で、さらに、長期間綺麗な状態で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る床材の平面図。
図2】同床材を図1のII−II線で切断した拡大断面図。
図3】第2実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。
図4】第3実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。
図5】第4実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。
図6】第5実施形態に係る床材の拡大断面図(図1のII−II線と同様な箇所で切断)。
図7】同床材に用いられる表層の一例の拡大断面図。
図8】同床材に用いられる表層の他例の拡大断面図。
図9】同床材に用いられる表層の更なる他例の拡大断面図。
図10】実施例10の表層の寸法安定性の結果を示すグラフ図。
図11】実施例10の表層の寸法安定性の結果を示すグラフ図。
図12】実施例10の表層の寸法安定性の結果を示すグラフ図。
図13】実施例12の表層の寸法安定性の結果を示すグラフ図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、ある層の「表面」又は「上方」は、床材を敷設する床面から遠い側の面又は方向を指し、「裏面」又は「下方」は、その反対側(床材を敷設する床面に近い側)の面又は方向を指す。
本明細書において、「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
また、各図における、厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
【0011】
[床材の基本構造]
図1は、第1実施形態の床材の平面図であり、図2は、第1実施形態の床材の断面図である。
図1及び図2において、第1実施形態の床材1は、樹脂層3を有する床材本体2と、前記床材本体2の上に設けられた表層5と、を有する。床材本体2は、好ましくは、さらに形状安定化層4を有する。樹脂層3は、好ましくは、上方樹脂層31と下方樹脂層32とを有し、上方樹脂層31と下方樹脂層32の間に前記形状安定化層4が介装されている。また、上方樹脂層31の表面には、化粧層6が設けられている。従って、第1実施形態の床材1は、上方から下方に向かって、表層5、化粧層6、上方樹脂層31、形状安定化層4、下方樹脂層32が順に積層されて構成されている。
【0012】
図1に示すように、床材1は、平面視長尺帯状に形成されている。長尺帯状は、一方向の長さが他方向(他方向は一方向に対して直交する方向)の長さに比して十分に長い長方形状であり、例えば、一方向の長さが他方向の長さの2倍以上、好ましくは4倍以上である。長尺帯状の床材1は、通常、ロールに巻かれて保管及び運搬に供され、施工現場において、所望の形状に裁断して使用される。もっとも、本発明の床材1は、長尺帯状に限られず、平面視正方形状などの枚葉状に形成されていてもよい(図示せず)。
床材1の表面(本実施形態の場合、表層5の表面)には、必要に応じて、エンボス加工が施されていてもよい。また、床材1の裏面(本実施形態の場合、下方樹脂層32の裏面)にも、必要に応じて、エンボス加工が施されていてもよい。
【0013】
図3乃至図6は、第2乃至第5実施形態の床材の断面図である。なお、第2乃至第5実施形態の床材の平面図は、図1と同様なので省略している。
図3において、第2実施形態の床材1は、下方樹脂層32が2層で構成されている。なお、下方樹脂層32が3層以上で構成されていてもよい。図4において、第3実施形態の床材1は、上方樹脂層31が2層で構成されている。なお、上方樹脂層31が3層以上で構成されていてもよい。また、特に図示しないが、下方樹脂層32が2層以上で且つ上方樹脂層31が2層以上で構成されていてもよい。下方樹脂層32及び/又は下方樹脂層32が2層以上で構成される場合、その樹脂層3を構成する各層は、樹脂成分が同種、同じ又は異なっていてもよい。
【0014】
図5において、第4実施形態の床材1は、樹脂層3(下方樹脂層32)の裏面に基材層7が設けられている。
図6において、第5実施形態の床材1は、樹脂層3が下方樹脂層のみからなる。つまり、第5実施形態の床材1は、形状安定化層4と表層5の間に樹脂層を有さず、形状安定化層4の裏面側に樹脂層3が設けられている。なお、特に図示しないが、形状安定化層4と表層5の間に樹脂層3を有し、形状安定化層4の裏面側に樹脂層3を有さない床材1でもよい。
以下、上記各実施形態の床材1の、床材本体2及び表層5について詳しく説明する。
【0015】
[床材本体]
床材本体2は、床材1の強度及び重量を構成する主たる部分である。本発明では、床材本体2は、好ましくは、樹脂層3及び形状安定化層4を少なくとも有する。この好ましい床材本体2の具体的な厚みは、例えば、0.2mm〜6mmであり、好ましくは1.5mm〜5mmであり、より好ましくは1.5mm〜4.5mmである。
【0016】
樹脂層3(下方樹脂層32及び上方樹脂層31)の合成樹脂成分としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、一般的には、熱可塑性樹脂が用いられる。また、上方樹脂層31と下方樹脂層32の樹脂成分は、同種でもよいし、同じでもよいし、又は、異なっていてもよい。樹脂成分が同種とは、その樹脂成分の主たる繰り返し単位を構成するモノマーが同一であることを意味し、共重合モノマーを有する場合にはその共重合モノマーが異なる場合、及び/又は、重合度が異なる場合を含む。樹脂成分が同じとは、繰り返し単位(及び共重合モノマーを有する場合には、その共重合モノマーを含む)が同一であることを意味し、重合度が異なる場合を含む。
【0017】
前記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニルや塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などの塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂;エチレン−メタクリレート樹脂などのアクリル系樹脂;ポリアミド系樹脂;エステル系樹脂;オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどの各種エラストマーなどの各種エラストマー;ゴムなどが挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上を併用できる。優れた可撓性を有し、さらに、表層5と強固に密着することから、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂層3が好ましい。塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂層3を有する床材1は、柔軟性に優れているので、歩行感が良好であり、さらに、湾曲させながら床面(床材1を敷設する施工面)に施工できる。また、塩化ビニル系樹脂は、安価である上、これを用いると、床材1の製造も簡易となる。
前記塩化ビニル系樹脂としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで製造されたものを用いることができる。加工し易く且つ取り扱い易いことから、乳化重合法、又は、懸濁重合法で得られる塩化ビニル系樹脂が好ましい。これらの塩化ビニル系樹脂は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
前記乳化重合法で得られる塩化ビニル系樹脂は、多数の微粒子集合体からなる基本粒子径数μm以下(好ましくは1〜3μm)の微細粉末の表面に界面活性剤がコーティングされたものであり、可塑剤などを配合することによってペースト状になるものである。前記乳化重合法による塩化ビニル系樹脂は、その平均重合度が1000〜2000程度のものが好ましく用いられる。
前記懸濁重合法で得られる塩化ビニル系樹脂は、好ましくは20〜100μmの微細粉末であり、カレンダー成形法にてシート加工されて使用されるものである。カレンダー成形法に適したロールタック性を付与できる点から、前記懸濁重合法による塩化ビニル系樹脂は、その平均重合度が700〜1500程度のものが好ましく、更に700〜1000程度のものがより好ましい。
前記各塩化ビニル系樹脂は、K値60〜95程度のものが好ましく、K値65〜80程度のものがより好ましい。
前記塩化ビニルは、市販品を用いることができ、例えば、下記実施例で用いた塩化ビニル系樹脂の他、新第一塩ビ(株)製の「ZEST 70L」(K値60.5〜63.1。重合度650〜730)、同「ZEST 800Z」(K値60.3〜62.8。重合度750〜850)などが例示できる。また、塩化ビニルに代えて又はそれと併用して塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を用いる場合には、(株)カネカ製の「MB1008」(K値56.0〜59.0。酢酸ビニル含有率8〜12%)などが例示できる。
前記樹脂層3には、通常、上記樹脂以外に各種添加剤が含まれる。添加剤としては、従来公知のものを使用でき、例えば、充填剤、可塑剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、発泡剤、防黴剤などが挙げられる。
【0018】
前記樹脂層3は、非発泡でもよいし、或いは、発泡されていてもよい。第1実施形態においては樹脂層3が上方樹脂層31及び下方樹脂層32を有するが、例えば、上方樹脂層31及び下方樹脂層32の何れか一方が発泡樹脂で且つ他方が非発泡樹脂で構成されていてもよいし、又は、双方が非発泡樹脂若しくは発泡樹脂で構成されていてもよい。
発泡樹脂の発泡倍率は特に限定されないが、好ましくは1.2倍〜20倍であり、より好ましくは1.5倍〜4倍である。発泡倍率が余りに低いと、床材1に実質的にクッション性を付与できず、一方、発泡倍率が余りに高いと、床材1が柔らかくなりすぎる。
【0019】
上方樹脂層31の厚みと下方樹脂層32の厚みは、同じでもよいし、又は、何れか一方が小さくてもよい。反りを効果的に抑制できることから、上方樹脂層31の厚みが下方樹脂層32の厚みと同じ又は下方樹脂層32の厚みよりも小さいことが好ましく、上方樹脂層31の厚みが下方樹脂層32の厚みよりも小さいことがより好ましい。具体的には、上方樹脂層31の厚みは、下方樹脂層32の厚みの0.05倍〜0.8倍が好ましく、0.1倍〜0.5倍がより好ましく、0.1倍〜0.3倍が特に好ましい。
上方樹脂層31の具体的な厚みは、例えば、0.1mm〜5mmであり、好ましくは0.2mm〜3mmであり、より好ましくは0.2mm〜2mmである。下方樹脂層32の具体的な厚みは、例えば、0.1mm〜5mmであり、好ましくは1mmを超え4mm以下であり、より好ましくは1.5mm〜3.5mmである。
【0020】
前記形状安定化層4は、経時的な収縮や膨張による床材1の寸法変化を抑制し、さらに、表層5と協働して反りを抑制するための層である。
前記形状安定化層4としては、不織布又は織布などを用いることができる。不織布及び織布を構成する繊維の材質は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。床材1の寸法安定性を高めることができ、有機繊維に比べて極めて寸法変動が少ない上、樹脂との馴染みも良いことから、形状安定化層4として、ガラス繊維不織布を用いることが好ましい。
前記形状安定化層4の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.05mm〜0.5mmであり、より好ましくは0.07mm〜0.4mmであり、さらに好ましくは0.07mm〜0.35mmである。形状安定化層4の厚みが小さすぎると、寸法変化及び反りの抑制作用が小さく、一方、形状安定化層4の厚みが大きすぎると、床材1の使用感が低下するおそれがある。
なお、ガラス繊維などの繊維からなる不織布については、目付量が10g/m〜100g/mのものが好ましく、さらに、30g/m〜50g/mのものがより好ましい。
【0021】
前記化粧層6は、床材1にデザインを付与する層である。化粧層6は、必要に応じて設けられる。なお、化粧層6は、床材本体2の表面に設けられていてもよいし、又は、床材本体2の内部に設けられていてもよい。また、化粧層6が表層5の裏面に直接設けられ、その化粧層付きの表層5を床材本体2の表面に積層してもよい。
前記化粧層6は、デザイン印刷の転写層又はデザイン印刷層から構成されていてもよいし、熱可塑性樹脂層から構成されていてもよい。前記転写層は、デザイン印刷の施された転写シートを樹脂層3の表面又は表層5の裏面に転写することによって形成される。前記デザイン印刷層は、樹脂層3の表面又は表層5の裏面に、直接にデザイン印刷を施す又はデザイン印刷シートを積層することによって形成できる。前記熱可塑性樹脂層としては、上記樹脂層3の欄で例示したようなものが挙げられ、樹脂層3と表層5とに強固に密着することから、塩化ビニル系樹脂を主成分とする樹脂が好ましい。その熱可塑性樹脂層には、着色剤が混合されていてもよい。前記熱可塑性樹脂層には、着色剤と着色剤の色彩以外の色を呈する樹脂チップとが混合されていてもよい。
前記化粧層6の厚みは特に限定されないが、例えば、1μm〜1mmであり、好ましくは2μm〜0.3mmである。なお、化粧層6をデザイン印刷の転写層又はデザイン印刷層から構成する場合は、化粧層6の厚みが1μm未満となる場合もある。
【0022】
前記基材層7は、床材本体2(床材1)の最も裏面に位置する層である。基材層7は、必要に応じて設けられる。基材層7を設けることによって、床材1の反りをより効果的に抑制できる。
前記基材層7としては、不織布(フェルトを含む)、織布及び紙などが挙げられ、好ましくは不織布又は織布であり、より好ましくは不織布である。不織布又は織布を用いることにより、樹脂層3の合成樹脂成分が基材層7に含浸し、床材1の反りをより効果的に防止できる。
前記不織布としては、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布などが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用できる。中でも、スパンボンド不織布を用いることが好ましい。不織布及び織布を構成する繊維の材質は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成樹脂繊維;ガラス、カーボンなどの無機繊維;天然繊維などが挙げられる。
前記基材層7の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.1mm〜0.5mmであり、好ましくは0.2mm〜0.4mmである。
【0023】
[表層]
表層5は、床材表面に汚れが付着することを防止するために設けられた層である。
【0024】
表層5は、図7に示すように、ポリオレフィン系樹脂層53と、前記ポリオレフィン系樹脂層53上に積層された接着層52と、前記接着層52上に積層されたポリアミド系樹脂層51と、を有し、これらがこの順で積層された積層シートからなる。なお、本明細書における「シート」は、一般にフィルムとも呼ばれる。ポリオレフィン系樹脂層53とポリアミド系樹脂層51は、接着層52を介して直接的に接着されている。かかる表層5は、耐摩耗性に優れ、さらに、透明性に優れている。前記表層6は、透明性に優れているので、この表層5を有する床材1は、表層5の裏面側に設けられた化粧層のデザインを明瞭に視認できる(化粧層が設けられていない場合には、床材本体2の着色を明瞭に視認できる。
なお、床材は、表層の裏面側(図7の紙面下側)に床材本体が積層されているが、図7では図示しない(図8及び図9も同様)。
【0025】
(ポリアミド系樹脂層)
ポリアミド系樹脂層51を構成するポリアミド系樹脂は、ラクタム又はアミノカルボン酸の重合、もしくは、ジアミンとジカルボン酸との重縮合によって得られるポリマーである。ポリアミド系樹脂は、単独重合体であってもよいし、共重合体であってもよい。さらに、ポリアミド系樹脂は、1種単独又は複数種の混合態様でもよい。ポリアミド系樹脂層51にポリアミド系樹脂を用いることにより、床材1に適切な耐摩耗性を付与することができる。
【0026】
前記ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)などが挙げられる。
前記アミノカルボン酸としては、例えば、上述のラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸及びα,ω−アミノ酸などが挙げられる。また、アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された直鎖又は分岐の飽和脂肪族カルボン酸であってよく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸などが挙げられる。さらに、アミノカルボン酸としては、芳香族アミノカルボン酸であってよく、例えば、パラアミノメチル安息香酸などが挙げられる。
【0027】
ジアミンとしては、脂肪族ジアミン及び芳香族ジアミンが挙げられる。
前記脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミンなどの直鎖脂肪族ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミンなどの分岐状脂肪族ジアミンなどが挙げられる。さらに、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミンなどの脂環式ジアミンも挙げられる。
前記芳香族ジアミンとしては、芳香族を含有するジアミンであり、例えば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどが挙げられる。
【0028】
前記ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸などの炭素数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸などの無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0029】
なお、ジカルボン酸としては、上述のジカルボン酸化合物のみならず、上述のジカルボン酸と等価な化合物も含まれる。ジカルボン酸と等価な化合物としては、上述のジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物などが挙げられる。
【0030】
ポリアミド系樹脂を構成する主たるモノマー成分(ラクタム、アミノカルボン酸、又は、ジアミン及びジカルボン酸の少なくとも一方)は、炭素数10以上の脂肪族炭化水素鎖を有することがより好ましい。前記炭素数の上限は特に限定されないが、例えば20である。あるいは、ポリアミド系樹脂中の、アミド基数に対する炭素数の比(炭素数/アミド基数)が、例えば8以上、好ましくは9以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは11以上である。前記炭素数の比の上限は特に限定されないが、例えば20である。
【0031】
上述のように比較的長い炭化水素鎖を有するポリアミド系樹脂を用いることにより、ポリアミド系樹脂層51を、吸湿性の低い樹脂で構成することができる。なお、ポリアミド系樹脂の吸水率は、好ましくは8.0重量%以下、より好ましくは4.0重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。また、ポリアミド系樹脂は、融点が160℃〜270℃であってもよい。これにより、ポリアミド系樹脂として、汎用性のあるエンジニアリングプラスチックを選択しやすい。
【0032】
より具体的には、ポリアミド系樹脂として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン10、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12、メタキシリレンジアミンとアジピン酸との共重合体(ナイロンMXD6)、ナイロン66/6共重合体、パラアミノメチル安息香酸とε−カプロラクタムとの共重合体(ナイロンAHBA)、2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸塩を主成分とするポリアミド(ナイロンTHDT、THDT/6I)などが用いられ得る。低吸湿性を考慮した場合、上述の例示の中では、ナイロン10、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン1010、ナイロン11、ナイロン12を用いることが好ましい。
【0033】
ポリアミド系樹脂層51には、添加剤が含まれていてもよい。添加剤は、表層5の製造工程及び/又は床材1への適用を考慮し、当業者が適宜決定することができる。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、滑剤、難燃材、アンチブロッキング剤(シリカ、アルミノケイ酸塩などの無機粒子)、充填材(炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタンなどの無機充填材、及び、ポリマービーズなどの有機充填材など)などが挙げられる。
【0034】
ポリアミド系樹脂層51の厚みは、特に限定されないが、例えば、表層全体の厚みの0.1倍以上、好ましくは0.15倍超、より好ましくは0.2倍以上であり、その上限は、例えば0.9倍以下である。前記範囲を下回ると、表層5の耐摩耗性の確保が困難になる傾向があり、前記範囲を上回ると、表層5の柔軟性の確保が困難になる傾向にある。
【0035】
(接着層)
接着層52を構成する接着性樹脂としては、前記ポリアミド系樹脂層51とポリオレフィン系樹脂層53とを接着させる樹脂が用いられる。
前記接着性樹脂としては、例えば、不飽和カルボン酸又は酸誘導体で変性された変性ポリオレフィン系樹脂、ならびに前記変性ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重合体及び混合物が挙げられる。
【0036】
前記変性ポリオレフィン系樹脂は、主成分であるオレフィンモノマーと、不飽和カルボン酸又は酸誘導体との共重合体である。例えば、ポリオレフィンを主鎖とし、不飽和カルボン酸又は酸誘導体がグラフトした構造を有していてもよい。
【0037】
前記ポリオレフィン主鎖としては、例えば炭素数2〜8のα−オレフィン又はプロピレンの重合体又は共重合体が挙げられる。共重合体の場合、共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合及びブロック共重合などが挙げられる。例えば、ポリオレフィン主鎖としては、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂と、他のα−オレフィンと、のランダム及び/又はブロック共重合体、具体的にはポリプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1ペンテン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、又は複数種の組み合わせで用いることができる。
【0038】
ポリエチレン系樹脂としては、高密度タイプ(HDPE)、中密度タイプ(MDPE)、低密度タイプ(LDPE)、及び直鎖低密度タイプ(L−LDPE)のポリエチレン、ならびにエチレン−αオレフィン共重合体、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、又は複数種の組み合わせで用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチックポリプロピレン又はプロピレンと、他の少量のα−オレフィンと、のランダム及び/又はブロック共重合体、具体的にはプロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、及びポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリブテン−1などが挙げられる。耐熱性の観点からは、ポリプロピレン構造であることが好ましい。これらの樹脂は、単独で、又は複数種の組み合わせで用いることができる。
【0039】
不飽和カルボン酸としては、二塩基性不飽和脂肪酸及びその無水物が挙げられる。より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが挙げられる。
酸誘導体としては、無水物、アミド、及びエステルが挙げられ、より具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、酢酸ビニル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸ナトリウムなどが挙げられる。これら酸化合物は、単独で、又は複数種の組み合わせで用いることができる。
【0040】
上記の変性ポリオレフィン系樹脂にさらに重合又は混合させてよいポリオレフィン系樹脂としては、例えば炭素数2〜8のα−オレフィンの重合体が挙げられる。
【0041】
接着層52を構成する樹脂のビカット軟化点は、80℃以上であることが好ましい。80℃を下回ると、高温高湿条件下において接着力の保持が不安定になる傾向にある。前記ビカット軟化点の上限値は特に限定されるものではないが、例えば120℃である。
【0042】
接着層52は、無機充填材を実質的に含まないものであってもよい。無機充填材を実質的に含まないとは、無機充填材を全く含まないか、又は、0重量%を超え10重量%未満、好ましくは0重量%を超え5重量%以下の範囲で含むことを許容する意味である。ここで、無機充填材は、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化チタンその他の任意の無機充填材をいう。
【0043】
接着層52の厚みは、特に限定されないが、例えば、表層全体の厚みの0.02倍〜0.2倍であり、好ましくは0.04倍〜0.15倍である。このような厚みの接着層52は、ポリアミド系樹脂層51とポリオレフィン系樹脂層53との接着性を確保しつつ、両者の特性を活かすことができる。
【0044】
また、接着層52は、表層5が、前記ポリアミド系樹脂層51とポリオレフィン系樹脂層53とをそれぞれ作製しておき、両層の間に接着剤を塗布して貼り合わせるドライラミネートによって製造される場合には、前記接着剤によって構成されたものであってもよい。この場合、接着剤としては、例えばイソシアネート系、ウレタン系、イミン系、チタネート系などの接着剤が挙げられる。
【0045】
(ポリオレフィン系樹脂層)
ポリオレフィン系樹脂層53は、オレフィン単独重合樹脂、オレフィン共重合樹脂、又は、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂との混合物である。ポリオレフィン系樹脂層53として前記のような樹脂を用いることにより、床材1に適切な柔軟性を付与することができる。さらに、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂とを混合して用いる場合は、機械的強度を保持しつつ透明性を付与することができる。
【0046】
前記オレフィン単独重合樹脂は、実質的にオレフィンモノマーのみから構成される分岐状ポリオレフィンである。オレフィンモノマーとしては、例えば炭素数2〜8のα−オレフィンが挙げられる。オレフィン単独重合体樹脂は、柔軟性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレンであることが好ましい。特にポリエチレンの場合、透明性の観点から、エチレン単独重合樹脂の密度は、910kg/m以上930kg/m未満であることが好ましい。このような分岐状ポリエチレンの好ましい例として、低密度ポリエチレン(LDPE)が挙げられる。
【0047】
前記オレフィン共重合樹脂は、オレフィンモノマーと、その他のコモノマーと、から構成される樹脂である。共重合様式としては、交互共重合、ランダム共重合及びブロック共重合などが挙げられるが、好ましくは、ポリオレフィンの直鎖を主鎖として、コモノマーに由来する側鎖を有する直鎖系オレフィン共重合樹脂である。また、オレフィン共重合樹脂は、下記の樹脂を単独で又は複数種の混合態様で用いてもよい。
【0048】
前記オレフィン共重合樹脂のコモノマーとしては、他のα−オレフィン、ビニル化合物、及びアクリルアミド系化合物の少なくともいずれかが挙げられる。
【0049】
前記コモノマーとしてのα−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは3〜12、より好ましくは4〜8である。より具体的には、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。これらα−オレフィンは、1種又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。
【0050】
α−オレフィンをコモノマーとするエチレン共重合樹脂のより具体的な例としては、直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0051】
前記コモノマーとしてのビニル化合物は、例えば、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの不飽和エーテルなどが挙げられる。これらビニル化合物は、1種又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。ビニル化合物の共重合割合は、透明性確保の観点から、例えば60重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
【0052】
前記コモノマーとしてのアクリルアミド系化合物は、例えば、N−アルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N−アルキルメタアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタアクリルアミドなどであってよい。具体的には、N−エチルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−イソブチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−t−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチル−N−エチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらアクリルアミド系化合物は、1種又は2種以上が組み合わされて用いられ得る。アクリルアミド系化合物の共重合割合は、透明性確保の観点及び機械強度確保の観点から、例えば0.01重量%以上50重量%以下であり、好ましくは0.05重量%以上45重量%以下である。
【0053】
混合物において、前記オレフィン単独重合樹脂に対するオレフィン共重合樹脂の混合比(オレフィン共重合樹脂/オレフィン単独重合樹脂)は、重量基準で例えば1〜35であり、好ましくは1〜19、より好ましくは5〜9、特に好ましくは2〜5.5であり、一例を示せば4である。混合比を前記範囲とすることにより、機械的強度が良好且つ曇度が低い表層5が得られ得る。
【0054】
前記ポリオレフィン系樹脂には、添加剤が用いられてよい。添加剤としては、例えば、透明性向上剤(例えば炭酸リチウム)、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、及びアンチブロッキング剤(すなわちAB剤)が挙げられる。
【0055】
前記ポリオレフィン系樹脂層53の厚みは、特に限定されないが、例えば、表層全体の厚みの0.1倍以上、好ましくは0.16倍以上、より好ましくは0.2倍以上であり、その上限は、例えば、0.9倍以下である。前記範囲を下回ると、表層5の柔軟性の確保が困難になる傾向にある。上記範囲を上回ると、表層5の耐摩耗性の確保が困難になる傾向にある。
【0056】
前記ポリオレフィン系樹脂層53の厚みは、前記ポリアミド系樹脂層51の厚みに対し(すなわち、ポリオレフィン系樹脂層53の厚み/ポリアミド系樹脂層51の厚みの比が)、例えば0.1〜9、好ましくは0.3〜7である。前記範囲を下回ると、表層5の柔軟性の発現が相対的に小さくなる傾向があり、前記範囲を上回ると、耐摩耗性の発現が相対的に小さくなる傾向にある。
表層5は、ポリアミド系樹脂層51とポリオレフィン系樹脂層53とが積層されているため、床材1に適した耐摩耗性と柔軟性との両方を付与することができ、摩擦及び曲げに対して強くなる。さらに、ポリオレフィン系樹脂層53において、オレフィン単独重合樹脂とオレフィン共重合樹脂とを混合して用いられているため、機械的強度が保持されつつ透明性も高い表層5とすることができる。
【0057】
本発明の表層5の曇度(Haze値)は、透明性に優れ且つ化粧層6のデザインなどを視認できることから、8以下が好ましく、特に、それを良好に視認できることから、7以下がより好ましい。前記曇度(Haze値)は、JIS K7136(2000年)に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製の濁度計、「NDH2000」。光源D65)を用いて、表層5の表面側から入光させて測定できる。
【0058】
また、表層5は、寸法変化率が小さいことから、反り抑制効果に優れる。具体的には、表層5は、40℃、相対湿度90%以下、7日保管における寸法変化率が例えば±1.1%以下、好ましくは±0.5%以下、より好ましくは±0.2%以下である。この場合、表層5は、相対湿度90%程度の湿潤条件下及び相対湿度4%程度の乾燥条件下のいずれにおいても、ほとんど寸法が変化しない。
【0059】
表層5のヤング率(JIS K7127)は、例えば、300MPa〜800MPa、好ましくは300MPa〜450MPaである。また、表層5の引張強度(JIS Z1702)は、例えば、30MPa〜70MPaであり、好ましくは30MPa〜60MPaである。さらに、表層5の伸び率(JIS Z1702)は、例えば、350%〜500%であり、好ましくは400%〜500%である。これらの物性の少なくとも1つを満たす表層5は、好ましい柔軟性を有する。これらの物性は、少なくとも何れか1つが満たされていればよいが、全てを満たしていることが好ましい。好ましい柔軟性を有する表層5を用いることにより、程良いクッション性及び適度な剛性を有し、不所望な変形を生じ難い床材1を構成できる。
【0060】
表層全体の具体的な厚みは、特に限定されないが、例えば、0.05mm〜1mmであり、好ましくは0.1mm〜0.5mmであり、より好ましくは0.1mm〜0.2mmである。
【0061】
(表層の他の例)
表層5は、図7のような層構成に限られず、適宜変更できる。例えば、図8に示すように、ポリアミド系樹脂層51が2層で構成されていてもよい。この2層は、異なる2種類のポリアミド系樹脂から構成される。第1のポリアミド系樹脂層511と第2のポリアミド系樹脂層512とは、互いに吸湿性が異なる樹脂及び/又は互いに耐摩耗性が異なる樹脂で構成されることが好ましい。
例えば、最表層を構成する第1のポリアミド系樹脂層511を、第2のポリアミド系樹脂層512よりも吸湿性が低いポリアミド系樹脂で構成することができる。すなわち、外部環境に直接触れる最表層のみに耐吸湿性に優れたポリアミド系樹脂を用いることができる。これによって、ポリアミド系樹脂層51を、所望の耐吸湿性を確保するとともに、低コストで製造することができる。
【0062】
また、前記第1のポリアミド系樹脂層511を、第2のポリアミド系樹脂層512よりも耐摩耗性が高いポリアミド系樹脂で構成することができる。すなわち、外部の衝撃を直接受ける最表層のみに耐摩耗性が高いポリアミド系樹脂を用いることができる。これによって、ポリアミド系樹脂層51を、所望の耐摩耗性を確保するとともに、低コストで製造することができる。
【0063】
さらに、第1のポリアミド系樹脂層511と第2のポリアミド系樹脂層512を、それぞれ、耐吸湿性、耐摩耗性、融点、その他の特性が異なるポリアミド系樹脂で構成することで、ポリアミド系樹脂層51を多機能化することができる。より具体的には、例えば、第1のポリアミド系樹脂層511をより融点が高いポリアミド系樹脂で構成することにより、摩擦による溶けへの耐性が強くなる。
【0064】
第1のポリアミド系樹脂層511の厚みは、例えば、ポリアミド系樹脂層51全体の厚みの0.1倍〜0.9倍であり、好ましくは0.2倍〜0.8倍である。
また、上記ポリアミド系樹脂層51は、3層以上で構成されていてもよい。その他、接着層52やポリオレフィン系樹脂層53についても、それぞれ独立して、2層以上で構成されていてもよい。
【0065】
さらに、表層5の最裏面(ポリオレフィン系樹脂層53の裏面)に、親水化処理が施されていてもよい。親水化処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎(フレーム)処理、紫外線照射処理、燃焼化学気相蒸着処理が挙げられる。親水化処理を施すことにより、表層5の裏面と床材本体2の表面との接着性が向上し、特に、表層5の裏面に化粧層が設けられる場合には、化粧層が表層5に対して強固に接着し得る。
親水化処理された表層5の最裏面の濡れ指数(JIS K6768)は、例えば、35ダイン〜55ダインであり、好ましくは35ダイン〜45ダインである。
【0066】
また、例えば、図9に示すように、表層5の裏面にプライマー層8が設けられていてもよい。図9の表層5は、上から順に、ポリアミド系樹脂層51、接着層52、ポリオレフィン系樹脂層52、化粧層61及びプライマー層8を有する。表層5の裏面に化粧層61を設けると、表層5と床材本体2の接着性が低下するおそれがあるが、プライマー層8を設けることにより、表層5を床材本体2に強固に接合できる。プライマー層に用いる樹脂としては、エステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ニトロセルロース系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は混合して使用できる。プライマー層の形成は、ロールコート法やグラビア印刷法等の適宜の塗布手段を用いて行うことができる。
【0067】
前記表層5は、積層型フィルムの製膜方法として一般的な方法、例えば、共押出法、熱接着法、押出しラミネーション法、ドライラミネーション法、押出ドライラミネーション法、真空蒸着などの方法で製膜できるが、共押出法が好適に用いられる。共押出法は、表層5を全体厚みが25μm以下のような薄層に形成する場合、それを均一な接着強度で皺などの欠陥の発生も少なく形成できるので好ましい。
例えば、前記表層5は、ポリオレフィン系樹脂、接着性樹脂、ポリアミド系樹脂を一度に溶融製膜する共押出法によって製造できる。共押出法としては、Tダイによる共押出法及びインフレーションによる共押出法が挙げられる。例えば、1層のポリアミド系樹脂層51が比較的厚い場合が想定される表層5を製膜する場合は、Tダイによる共押出法の方が製膜容易性の観点から好ましい。その他、それぞれの層を逐次積層するドライラミネート法によって表層5を製造してもよい。
【0068】
[本発明の床材の製造方法]
本発明の床材1は、例えば、次のようにして製造することができる。
床材本体2は、例えば、ロール又はカレンダー成形機、押出機、射出成形機、ブロー成形機、ラミネート装置、注型成形装置等の公知の設備を用いて、ペーストゾルのゲル法、カレンダー成形法、溶融押出法、溶剤キャスティング法、インフレーション法などによって形成することができる。これらの中でも、強度や耐水性の高い床材本体2を形成できることから、カレンダー成形法が好ましい。例えばカレンダー成形法により、図2に示す床材本体2を有する床材1を形成する場合を簡単に説明する。
(1)まず、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤及び充填材を混練し、その混合物をカレンダー成形機によってシート状に成形する。これにより、下方樹脂層32が得られる。
(2)次に、形状安定化層4を下方樹脂層32の上に重ね、これをカレンダーロール間に通して圧延する。これにより、形状安定化層4が下方樹脂層32と一体となる。
(3)次に、塩化ビニル樹脂、可塑剤、安定剤及び充填材を混練し、その混合物をカレンダー成形機によってシート状に成形する。これにより、上方樹脂層31が得られる。この上方樹脂層31を形状安定化層4の上に重ね、これをカレンダーロール間に通して圧延して接合することにより、上方樹脂層31、形状安定化層4及び下方樹脂層32が一体となった床材本体2が得られる。
(4)この上方樹脂層31の上に表層5のポリオレフィン系樹脂層53の裏面を載置し、再びカレンダーロール間に通して圧延して接合することにより、床材本体2及び表層5が一体化した床材1を得ることができる。
【0069】
なお、床材本体2をペーストゾルのゲル法で形成する場合は、塩化ビニル系樹脂及び可塑剤などの添加剤からなる樹脂材料を、展開用フィルムなどの展開面に塗布し、その上に、ガラス不織布などの形状安定化層4を載せ、その上に、塩化ビニルペーストを塗布して、上方樹脂層31と形状安定化層4と下方樹脂層32の積層体を形成し、その積層体を140℃〜150℃でプリゲル化する。化粧層6を設ける場合には、デザインを印刷又は転写シートからデザインを転写する。このようにしてゲル化前の床材本体2を得ることができる。
【0070】
このゲル化前の床材本体2の上方樹脂層31の表面に、表層5のポリオレフィン系樹脂層53の裏面を載置し、全体を加熱する。加熱温度は、好ましくは160℃〜200℃である。加熱時間は、好ましくは2分〜10分である。加熱により、塩化ビニル系樹脂がゲル化し、床材本体2及び表層5が一体化した床材1を得ることができる。
なお、表層5と床材本体2との接着性を高めるため、表層5の裏面及び床材本体2の表面の少なくとも一方の面に、エンボス加工を行った上で両者を接着してもよい。
【0071】
床材の表面は、靴裏などによって摩耗や汚れが付着するが、本発明の床材1は、床材本体2の表面に前記のような表層5が設けられているので、耐摩耗性に優れ、且つ、汚れ難い。また、前記表層5は、柔軟性に優れているので、床材本体2の柔軟性を阻害することがなく、本発明の床材1を施工した際には、床面の不陸が床材1に反映し難く、床材の施工外観も良好となる。さらに、形状安定化層4を有する本発明の床材1は、反りが生じ難く、特に、上方樹脂層31の厚みが下方樹脂層32の厚みと同じ又は下方樹脂層32の厚みよりも小さい床材本体2を有する床材1は、経時的な反りを効果的に抑制できる。
【実施例】
【0072】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
【0073】
[実施例1]
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 1022B」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF308」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(プライムポリマー製の「ネオゼックス 2540R」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された総厚150μmの表層を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、97/3(重量基準)とした。
製膜後の6Ny層の厚みは52.5μm、AD層の厚みは15μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の厚みは82.5μmであった。
【0074】
[実施例2]
LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)を80/20(重量基準)としたこと、成膜後の各層の厚みを次のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして表層を作製した。6Ny層の厚みは37.5μm、AD層の厚みは15μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の厚みは97.5μmであった。
【0075】
[実施例3]
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 3030U」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセン L211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された総厚150μmの表層を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、80/20(重量基準)とした。
製膜後の12Ny層の厚みは120μm、AD層の厚みは7.5μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の厚みは22.5μmであった。
【0076】
[実施例4]
成膜後の各層の厚みを次のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして表層を作製した。製膜後の12Ny層の厚みは45μm、AD層の厚みは7.5μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の厚みは97.5μmであった。
【0077】
[機械的物性の評価]
実施例1乃至実施例4について、機械的特性に関する下記の諸物性を測定した。測定結果を表1に示す。
(柔軟性)
JIS Z1702に準拠した試験法に基づいて引張強度を測定した。
JIS Z1702に準拠した試験法に基づいて延び率を測定した。
JIS K7127に準拠した試験法に基づいてヤング率を測定した。
(耐摩耗性)
JIS A1453に準拠した試験法に基づいて摩耗試験を行った。2000回転実施し耐性があったサンプルについて○と評価した。
【0078】
【表1】
【0079】
[実施例5]
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製の「UBESTA 3030U」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセン L211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「F522」)との混合樹脂を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/LLDPE+LDPEの順で積層された表層を得た。製膜後の12Ny層の厚みは50μm、AD層の厚みは10μm、LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の厚みは90μmであった。
実施例5においては、LDPEに対するLLDPEの比(LLDPE/LDPE)を90/10とした。なお、当該比は、重量を基準とする。
製膜された表層について、JIS K7136に準拠した方法によって、曇度を測定した。
【0080】
[実施例6]
LDPEに対するLLDPEの比(LLDPE/LDPE)を80/20としたこと以外は、実施例5と同様にして表層を得、その曇度を測定した。
[実施例7]
LDPEに対するLLDPEの比(LLDPE/LDPE)を60/40としたこと以外は、実施例5と同様にして表層を得、その曇度を測定した。
[実施例8]
LDPEを用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして表層を得、その曇度を測定した。
[実施例9]
LLDPEを用いなかったこと以外は、実施例5と同様にして表層を得、その曇度を測定した。
【0081】
[曇度の評価]
実施例5乃至実施例9について、測定された曇度を表2に示す。表2に示すように、全ての実施例において、曇度が小さい表層が得られた。したがって、実施例5乃至実施例9により、透明性に優れた表層が得られた。
特に、LLDPEとLDPEとを混合させて用いた実施例5乃至実施例7により、曇度がより小さい表層が得られた。したがって、実施例5乃至実施例7により、透明性に特に優れた表層が得られた。
【0082】
【表2】
【0083】
[実施例10]
以下の4種のサンプルT021、T022、T023、T024を作製した。
(サンプルT021)
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 1022B」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセン L211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/PEの順で積層された表層サンプルT021を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。6Ny層の厚みは105μm、AD層の厚みは22μm、PE層の厚みは32μmであった。
【0084】
(サンプルT022)
ナイロン6系樹脂(改変6Ny)(宇部興産製の「1022FDX99」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセン L211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレンの「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、改変6Ny/AD/PEの順で積層された表層サンプルT022を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。改変6Ny層の厚みは100μm、AD層の厚みは20μm、PE層の厚みは29μmであった。
【0085】
(サンプルT023)
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製の「UBESTA 3030U」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセン L211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/AD/PEの順で積層された表層サンプルT023を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。12Ny層の厚みは101μm、AD層の厚みは20μm、PE層の厚みは30μmであった。
【0086】
(サンプルT024)
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 1022B」)、酸変性LLLDPE(改変AD)(三井化学製の「アドマー NF587」。ビカット軟化点65℃)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセン L211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/改変AD/PEの順で積層された表層サンプルT024を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。6Ny層の厚みは99μm、改変AD層の厚みは20μm、PE層の厚みは31μmであった。
【0087】
[寸法変化率の評価]
サンプルT021、T022、T023、T024を製膜直後にアルミ袋に防湿保管(5日間)し、その後、サンプル毎に3片のサンプル片に切断して寸法を測定し、それぞれ基準寸法を求めた。さらに、基準寸法を求めたサンプル片を、(i)40℃、相対湿度4%、7日間、(ii)40℃、相対湿度60%、7日間、及び(iii)40℃、相対湿度90%、7日間、の条件下で保管した。その後、寸法と水分率(エー・アンド・デイ株式会社製 加熱乾燥式水分計MS−70 120℃)とを測定した。さらに、実測寸法から、基準寸法に基づいて、伸縮率(%)を求めた。なお、収縮率は、実測寸法が基準寸法より伸長した場合は+、実測寸法が基準寸法より収縮した場合は−で表した。
【0088】
上記(i)40℃、相対湿度4%、7日間の条件下で保管した場合の、水分率(横軸)及び収縮率(縦軸)を、図10に示し、上記(ii)40℃、相対湿度60%、7日間の条件下で保管した場合の、水分率(横軸)及び収縮率(縦軸)を、図11に示し、上記(iii)40℃、相対湿度90%、7日間、の条件下で保管した場合の、水分率(横軸)及び収縮率(縦軸)を、図12に示す。
【0089】
図10乃至から図12に示すように、サンプル片はいずれも、伸縮率が±1.1%(長さ基準)以下にとどまっており、良好な寸法安定性が示された。特に、ナイロン12を用いたサンプルT023の場合は、伸縮率が+0.2%にとどまっており、ほとんど寸法が変化しないことが証明された。また、ナイロン12は、条件(iii)のように高湿条件下のみならず、条件(i)のように乾燥条件下においても、極めて優れた寸法安定性を示した。
【0090】
[実施例11]
ナイロン6(6Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 1022B」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマーNF518」)、及びエチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)(三井・デュポン製の「ニュクレルAN4213C」)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、6Ny/AD/EMAAの順で積層された表層を得た。ADのビカット軟化点は85℃であった、6Ny層の厚みは110μm、AD層の厚みは20μm、EMAA層の厚みは30μmであった。
製膜した表層をステンレス板へラミネートした。ラミネート条件は、温度120℃、圧力0.5MPa、速度20mm/秒であった。ラミネートした後、積層物を60℃、相対湿度90%、1日の条件下で保管した。実施例11では、当該条件における保管後であっても、剥離が起こることなく、AD層が安定した接着力を保持することが示された。
【0091】
[実施例12]
以下の2種のサンプルT025、T026を作製した。
(サンプルT025)
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製の「UBESTA 3030U」)、ナイロン6(6Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 1022B」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、及び直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセンL211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレンの「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/6Ny/AD/PEの順で積層された表層サンプルT025を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。12Ny層の厚みは30μm、6Ny層の厚みは80μm、AD層とPE層との合計厚みは40μmであった。
【0092】
(サンプルT026)
ナイロン12(12Ny)(宇部興産製の「UBESTA 3030U」)、ナイロン6(6Ny)(宇部興産製の「宇部ナイロン 1022B」)、マレイン酸変性LLDPE(AD)(三井化学製の「アドマー NF518」)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(住友化学製の「スミカセンL211」)と分岐状低密度ポリエチレン(LDPE)(宇部丸善ポリエチレン製の「ウベポリエチレン F522」)との混合樹脂(PE)を、Tダイによる共押出法によって溶融製膜し、12Ny/6Ny/AD/PEの順で積層された表層サンプルT026を得た。LDPEに対するLLDPEの混合比(LLDPE/LDPE)は、60/40(重量基準)とした。12Ny層の厚みは50μm、6Ny層の厚みは60μm、AD層とPE層との合計厚みは40μmであった。
【0093】
[寸法変化率の評価1]
サンプルT025、T026を製膜直後にアルミ袋に防湿保管(5日間)し、その後、寸法を測定し、それぞれ基準寸法を求めた。さらに、基準寸法を求めたサンプルを、40℃、相対湿度90%、10日間の条件下で保管した。その後、寸法と水分率(エー・アンド・デイ株式会社製 加熱乾燥式水分計MS−70 120℃)とを測定した。さらに、実測寸法から、基準寸法に基づいて、伸縮率(%)を求めた。なお、収縮率は、実測寸法が基準寸法より伸長した場合は+、実測寸法が基準寸法より収縮した場合は−で表した。
【0094】
上記条件下で保管した場合の、水分率(横軸)及び収縮率(縦軸)を、図13に示す。
実施例10よりも厳しい条件であったにもかかわらず、図13に示すように、サンプル片はいずれも、伸縮率が±1.1%以下にとどまっており、良好な寸法安定性が示された。また、ポリアミド系樹脂層に6Ny層を含むサンプルT025,T026では、12Ny層の厚みが積層されることにより、ポリアミド系樹脂層に6Ny層のみを含むサンプルT021よりも、良好な寸法安定性が得られた。さらに、ポリアミド系樹脂層全体に対する12Ny層の厚みが大きいほど、良好な寸法安定性が得られる傾向がみられた。
【0095】
[寸法変化率の評価2]
サンプルT025、T026を上述のように40℃、相対湿度90%、10日間の条件下で保管した後、当該条件下から解放し、23℃、50%RH環境下で4時間放置した。放置後のサンプルT025,T026には、反りも寸法変化も生じなかった。
【0096】
[床材作製に用いた材料]
(1)樹脂(A):21重量%の塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 1000Z」。K値64.5−68.1)、9重量%のDOP、0.6重量%の安定剤、0.4重量%の顔料、及び69重量%の炭酸カルシウムの混合物。
(2)樹脂(B):57重量%の塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 1000Z」。K値64.5−68.1)、21重量%のDOP、0.9重量%の安定剤、1.1重量%の顔料、及び20重量%の炭酸カルシウムの混合物。
(3)樹脂(C):34重量%の塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 1000Z」。K値64.5−68.1)、11重量%のDOP、0.9重量%の安定剤、1.1重量%の顔料、及び53重量%の炭酸カルシウムの混合物。
(4)樹脂(D):25重量%の塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 1000Z」。K値64.5−68.1)、8重量%のDOP、0.6重量%の安定剤、0.4重量%の顔料、及び66重量%の炭酸カルシウムの混合物。
(5)樹脂(E):74重量%の塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 1000Z」。K値64.5−68.1)、23重量%のDOP、及び3重量%の安定剤の混合物。
(6)樹脂(F):33.5重量%の塩化ビニル系樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 1000Z」。K値64.5−68.1)、11重量%のDOP、0.9重量%の安定剤、0.5重量%の顔料、及び54.1重量%の炭酸カルシウムの混合物。
(7)樹脂(G):74.6重量%の塩化ビニル樹脂(新第一塩ビ(株)製の「ZEST 800Z」。K値60.3−62.8)、19.3重量%のDOP、6.1重量%の安定剤の混合物。
【0097】
(8)繊維シート(a):目付量30g/cm、厚み約0.1mmのガラス繊維不織布。
(9)繊維シート(b):厚み約0.1mmのガラス繊維織物。
(10)繊維シート(c):目付量30g/cm、厚み約0.1mmのガラス繊維不織布に、塩化ビニル樹脂ペーストを300g/mの割合で含浸させ且つ熱によってゲル化させた厚み0.35mmの樹脂含浸繊維シート。
(11)フィルム(d):厚み0.07mmの塩化ビニル系樹脂フィルムに直接印刷が施されたもの。
【0098】
(12)紫外線硬化型樹脂(1):ウレタンアクリル系の紫外線硬化型樹脂塗料(中国塗料(株)製の「114L4」)。
(13)紫外線硬化型樹脂(2):ウレタンアクリル系の紫外線硬化型樹脂塗料(大日精化工業(株)製の「TLI−B07」)。
(14)Ny−POシート:実施例4で作製したシートの裏面(LLDPE及びLDPEの混合樹脂層の裏面)に直接化粧印刷が施されたもの。
【0099】
[実施例13]
樹脂(A)をカレンダー加工し、厚み1.3mmのシートを作製した。また、樹脂(B)をカレンダー加工し、厚み0.5mmのシートと厚み1.2mmのシートをそれぞれ作製した。前記厚み1.2mmのシートの上に、前記厚み1.3mmのシートを載せ、その上に、繊維シート(a)を載せ、その上に、厚み0.5mmのシートを載せ、その上に、Ny−POシートの裏面(印刷面)を載せて、積層体を作製した。その積層体を、約200℃に加熱しながら加圧することにより、塩化ビニル系樹脂を完全にゲル化させた。このようにして、厚み3mmの実施例13の床材を作製した。なお、各層を一体化させる際に、加熱加圧したため、床材の厚みは各層の厚み合計よりも小さくなっている。その床材の表面(Ny−POシートの表面)に、比較的粗い梨地模様のエンボス加工を行った。
【0100】
[実施例14乃至実施例20、比較例1乃至比較例3]
表3及び表4に示すような層構成にしたこと及びエンボス加工を変更したこと以外は、実施例13と同様にして、床材を作製した。
ただし、比較例1については、加熱加圧して床材を作製した後、その最表面及び最裏面に紫外線硬化型樹脂(1)及び紫外線硬化型樹脂(2)をそれぞれ塗布し硬化させることにより、厚み0.03mmの表面保護層及び裏面保護層を形成した。比較例2については、加熱加圧して床材を作製した後、その最表面に紫外線硬化型樹脂(1)を塗布し硬化させることにより、厚み0.03mmの表面保護層を形成した。
【0101】
[反り試験]
JIS A1454 14に準拠し、上記各実施例及び各比較例で作製した床材を縦横300mm×300mmに裁断して試験片を作製し、それを23℃、湿度60%で24時間養生した後、試験片端部の反り値を測定し、以下の3段階で評価した。なお、反り値のプラスは、端部が上方に反った値(上反り値)を、マイナスは、端部が下方に反った値(下反り値)を示す。その結果を表3及び表4に示す。
3:反り値が、−2mm〜+6mmであった。
2:反り値が、−4mm〜−2mmであった。
1:反り値が、+6以上、又は、−4mm以下であった。
【0102】
[汚れ試験]
上記各実施例及び各比較例で作製した床材を縦横230mm×230mmに裁断して試験片を作製した。この試験片を、中空六立方筒体の回転試験機の内壁面に試験片の裏面(床材の裏面)を貼り付けた。試験機の内部に、1辺が5cmの立方体のゴム塊(材質:NBR90)を6個入れ、回転試験機の蓋を閉じ、15分の正回転と、15分の逆回転を行った。その後、試験片を取り外し、試験片に付着するゴム跡を目視で観察するとともに、試験片からの除去性を、以下の4段階で評価した。その結果を表3及び表4に示す。
4:ブラックヒールマーク(ゴム跡)の付着量が非常に少なく、また、そのマークも布で除去できた。
3:ブラックヒールマークの付着量が比較的少なく、また、そのマークも布で除去できた。
2:ブラックヒールマークの付着量が少し目立つものの、そのマークは布で除去できた。
1:ブラックヒールマークの付着量が比較的多く、また、布で除去できなかった。
【0103】
[傷付き試験]
上記汚れ試験を実施した後の試験片の表面に付着した汚れ(ブラックヒールマーク)を可能な限り除去した後、その試験体の表面を目視で観察し、スカッフマーク(擦り傷)の有無を、以下の3段階で評価した。その結果を表3及び表4に示す。
3:スカッフマークが認められなかった。
2:スカッフマークが僅かに確認された。
1:スカッフマークが多く発生していた。
【0104】
[耐久試験]
上記各実施例及び各比較例で作製した床材を直径105mmの円形状に裁断して試験片を作製した。JIS A1453に準拠し、磨耗試験装置に前記試験片を貼り付け、その試験片の表面にS−42磨耗紙を試験体に接触させた状態で、試験装置を60±2rpmの速度で1,000回、回転させた。そして、1000回転の摩耗量から限界有効摩耗までの回転数を算出し、以下の3段階で評価した。その結果を表3及び表4に示す。なお、比較例3については、摩耗試験ができないほどに脆く、算出できなかった。
3:算出結果が2000回転を超えた。
2:算出結果が600〜2000回転であった。
1:算出結果が600回転未満であった。
【0105】
【表3】
【0106】
【表4】
【0107】
各実施例の床材は、紫外線硬化型樹脂の表面保護層を設けた比較例1及び2と同程度又はそれ以上に耐久性に優れていた。
また、表層としてNy−POシートを用いた各実施例は、表面保護層として紫外線硬化型樹脂層を設けた比較例1及び2よりも汚れ難かった。さらに、表層としてNy−POシートを用いた各実施例は、傷付き性の点で、表面保護層として紫外線硬化型樹脂層を設けた比較例1及び2よりも若干悪いものの、実際の使用上、特に問題がない程度であった。なお、実施例13乃至15のようにエンボス加工として粗い梨地を設けることにより、傷付き性も向上することが判る。また、表層としてNy−POシートを用いた各実施例のうち、エンボス加工を施している実施例13乃至16及び18乃至20は、エンボス加工を施していない実施例17よりも、表層が傷付き難くなることが判る。
なお、各実施例の床材においては、Ny−POシートとして実施例4で作製したシートを用いたが、実施例1乃至3及び5乃至12で作製したシートを用いても同様の効果が得られる。
さらに、形状安定化層を設けた実施例13乃至実施例19の床材は、実施例20の床材に比して、反り難いことが判る。また、形状安定化層を挟んで上方樹脂層及び下方樹脂層が設けられている床材は、一方側にのみ樹脂層が設けられている実施例15の床材よりも反りを効果的に抑制できることが判る。さらに、形状安定化層を挟んで上方樹脂層及び下方樹脂層が設けられている床材のうちで、上方樹脂層の厚みが下方樹脂層の厚みよりも小さい床材(実施例13乃至実施例17)は、上方樹脂層の厚みが下方樹脂層の厚みよりも大きい床材(実施例19)よりも反りを効果的に抑制できることが判る。
【符号の説明】
【0108】
1 床材
2 床材本体
3 樹脂層
31 上方樹脂層
32 下方樹脂層
4 形状安定化層
5 表層
51 ポリアミド系樹脂層
52 接着層
53 ポリオレフィン系樹脂層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13