(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のシステムのようにカメラで撮影しても、不審者が宅配業者の偽の制服を着用し配達員を装って訪問してきた場合、居住者は、その配達員が偽物か本物かを見極めることは難しい。
【0005】
宅配業者に正規に所属する配達員は例えば宅配専用のPOS端末等を携帯しており、訪問先が不在の場合はこの端末等を用いて紙の不在票を作成する。そこで、訪問者が怪しいと思った居住者は、例えば居留守をして紙の不在票を確認してから荷物を受け取ることができる。
【0006】
しかし、紙の不在票を確認する方法は、荷物を受け取るまでに時間がかかり、宅配業務の効率を大幅に低下させてしまう。また、紙の不在票自体を複製することは不可能ではなく、防犯的にも十分ではない。
【0007】
そこで、本発明は、宅配業務の効率低下を抑制しつつ、宅配業者の配達員へのなりすましに対する防犯性を向上させることが可能なインターホンシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のインターホンシステムは、
宅配業者の配達員を特定することが可能な配達員特定情報が記録された記録媒体と、
前記記録媒体と通信可能な玄関子機と、
表示部を有し、居室内に設置されて、前記玄関子機と通信可能に接続された居室親機と、
前記居室親機と通信可能に接続され、前記配達員特定情報を含む宅配情報が記録された宅配業者サーバと、
を備え、
前記記録媒体と前記玄関子機とが通信して前記記録媒体に記録された前記配達員情報が前記居室親機を介して前記宅配業者サーバに送信されて前記配達員の照会が行われた後、前記宅配情報を用いて作成された電子訪問票が前記居室親機の前記表示部に表示される。
【0009】
この構成によれば、宅配業者サーバを介した配達員の照会が行われた上で、電子訪問票が作成されて居室親機に表示される。このため、居住者は、玄関子機からの呼出に対して応答する前に、居室親機に表示された電子訪問票を確認することで、訪問してきた配達員が宅配業者に正規に所属する者であることを容易に確認することができる。そして、在宅中の居住者は、居留守等を使うことなく配達員から速やかに荷物を受け取ることができる。これにより、配達員における宅配業務の効率の低下を抑制できる。
【0010】
また、本発明のインターホンシステムは、前記配達員が所持する携帯機器をさらに備え、前記居室親機に前記電子訪問票が表示されてから所定時間経過後、前記居室親機の前記表示部に前記電子訪問票が表示された旨が前記配達員の前記携帯機器に通知されてもよい。
【0011】
この構成によれば、荷物を配達する配達員は、電子訪問票を訪問先に残したということを確認することができるので、従来のような紙の不在票を発行し投函することなく次の配達先へ移動することができる。
【0012】
また、本発明のインターホンシステムは、居住者が所持する携帯機器をさらに備え、前記居室親機に前記電子訪問票が表示されてから所定時間経過後、前記居住者の前記携帯機器に前記電子訪問票が送信されてもよい。
【0013】
この構成によれば、居住者は不在時でも自身の携帯機器から電子訪問票の内容を確認することができる。
【0014】
また、本発明のインターホンシステムは、前記配達員が所持する携帯機器をさらに備え、前記居住者の前記携帯機器に表示された前記電子訪問票を用いて再配達の依頼が可能であっても良い。
【0015】
この構成によれば、居住者は帰宅前に携帯機器を用いて再配達を依頼することができる。
【0016】
また、本発明のインターホンシステムは、前記配達員が所持する携帯機器をさらに備え、前記配達員の携帯機器に荷物の再配達情報を入力可能であり、前記携帯機器と前記玄関子機との通信によって前記再配達情報を前記居室親機に送信可能であっても良い。
【0017】
この構成によれば、居室親機に表示される電子訪問票には、例えば再配達可能時刻等の情報も表示されるため、居住者は再配達を依頼する際に便利である。
【0018】
また、本発明のインターホンシステムは、前記配達員が所持する携帯機器をさらに備え、前記居室親機に、予め、再配達希望日時を登録可能であり、登録された前記再配達希望日時を前記宅配業者サーバを通じて前記配達員の携帯機器に通知するようにしても良い。
【0019】
この構成により、本物の配達員は、通知された再配達希望時刻を基にその日の配達物のスケジュールを再考できるので、宅配業務の効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のインターホンシステムによれば、宅配業務の効率低下を抑制しつつ、宅配業者の配達員へのなりすましに対する防犯性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るインターホンシステムの実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るインターホンシステムの構成図である。
図1に示すように、インターホンシステム1は、玄関子機2と、居室親機3と、RFIDカード(記憶媒体の一例)4と、配達員が所持するスマートフォン(携帯機器の一例)5と、宅配業者サーバ6と、居住者のスマートフォン(携帯機器の一例)7と、を備えている。インターホンシステム1は、一戸建ての住宅に適用されるものである。
【0024】
玄関子機2は、住宅10の玄関付近に設置されており、居室親機3と伝送線Lを通じて接続されている。玄関子機2は、居住者を呼び出して通話する機能を有している。また、玄関子機2は、RFIDカード4との間の近距離通信によりRFIDカード4に記憶されている情報を読み取る機能を有している。また、玄関子機2は、配達員のスマートフォン5との間の近距離通信により配達員のスマートフォン5の情報を読み取る機能を有している。玄関子機2は、RFIDカード4から読み取った情報を居室親機3に送信する。
【0025】
居室親機3は、住宅10の居室内に設置されており、玄関子機2からの呼び出しを受けて応答し通話する機能を有している。また、居室親機3は、ルータ8を介してインターネット9に接続され、玄関子機2から受信した情報を宅配業者サーバ6に送信可能である。居室親機3は、宅配業者サーバ6に識別可能に登録されている。また、居室親機3は、居住者のスマートフォン7と通信可能であり、配達員の訪問があった旨を居住者のスマートフォン7に送信する。
【0026】
RFID(Radio Frequency IDentificaton)カード4は、宅配業者の各配達員が所持するカードであり、各配達員を特定することが可能な配達員特定情報(例えばID番号等)が記憶されている。RFIDカード4は、玄関子機2との間で近距離通信が行われることにより、配達員特定情報を玄関子機2に送信する。
【0027】
配達員のスマートフォン5は、宅配業者の各配達員が所持する携帯機器であり、各配達員を特定可能な配達員特定情報(例えばID番号)が記憶されている。配達員のスマートフォン5は、宅配業者サーバ7との通信によって宅配に関する情報を送受信する。また、配達員のスマートフォン5は、玄関子機2との間の近距離通信によって、宅配に関する情報を玄関子機2に送信する。
【0028】
宅配業者サーバ6は、配達に関する情報を管理するサーバであり、例えば配達員のID番号、配達員の氏名、あるいは配達物の情報等の宅配情報が保存されている。宅配業者サーバ6は宅配業者によって管理されている。
【0029】
居住者のスマートフォン7は、宅配サービスを利用する者、例えば住宅10の居住者などが所持する携帯機器である。居住者のスマートフォン7には、宅配業者サーバ6のURLやWEBブラウザに関する情報が保存されており、宅配業者サーバ6に対してアクセス可能である。
【0030】
図2は、インターホンシステム1における玄関子機2および居室親機3の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、玄関子機2は、カメラ20と、RFID受信部21と、マイク22と、スピーカ23と、映像処理部24と、子機CPU25と、音声処理部26と、子機IF27と、を備えている。
【0031】
カメラ20は、居住者の呼び出しを行った配達員や、玄関子機2が設置された周囲の映像等を撮像する。カメラ20は、映像処理部24に接続されている。
【0032】
RFID受信部21は、配達員によって近距離通信のためにかざされたRFIDカード4の配達員特定情報を受信する。RFID受信部21は、子機CPU25に接続されている。
【0033】
マイク22とスピーカ23は、配達員が居住者との間で通話をする際に、音声を入出力する。マイク22とスピーカ23は、音声処理部26に接続されている。
【0034】
映像処理部24は、カメラ20によって撮像された映像信号を居室親機3に送信するための処理回路で構成される。映像処理部24は、子機CPU25から送信されてくる制御信号にしたがい、処理した信号を子機IF27を介して居室親機3に送信する。
【0035】
子機CPU25は、玄関子機2の動作を制御するためのプログラムを格納した演算素子で構成される。子機CPU25は、RFID受信部21によって受信された配達員特定情報を子機IF27を介して居室親機3に送信する。また、子機CPU25は、映像処理部24および音声処理部26の信号出力を制御する。
【0036】
音声処理部26は、マイク22によって受信された訪問者の音声信号を子機IF27を介して居室親機3に送信するための処理回路と、居室親機3から子機IF27を介して送信されてきた居住者の音声信号をスピーカ23に出力するための処理回路とによって構成される。音声処理部26は、子機CPU25から送信されてくる制御信号にしたがって、処理した信号を送信あるいは出力する。
【0037】
子機IF27は、玄関子機2の信号および居室親機3からの信号が入出力される回路である。
【0038】
また、
図2に示すように、居室親機3は、親機IF30と、映像処理部31と、親機CPU32と、音声処理部33と、モニタ(表示部の一例)34と、タッチパネル35と、宅配情報記憶部36Aと、転送先情報記憶部36Bと、通信部37と、マイク38と、スピーカ39と、を備えている。
【0039】
親機IF30は、玄関子機2からの信号および居室親機3の信号が入出力される回路である。
【0040】
映像処理部31は、玄関子機2から送信されてきた映像信号をモニタ34に表示させるための処理回路で構成される。映像処理部31は、親機CPU32から送信されてくる制御信号にしたがって、処理した信号をモニタ34に表示させる。
【0041】
親機CPU32は、居室親機3の動作を制御するためのプログラムを格納した演算素子で構成される。親機CPU32は、通信部37を通じて宅配業者サーバ6、あるいは居住者のスマートフォン7との情報通信を行う。また、親機CPU32は、タッチパネル35から入力される情報の処理、あるいは宅配情報記憶部36Aと転送先情報記憶部36Bとに記憶される情報の処理を行う。また、親機CPU32は、映像処理部31および音声処理部33の信号出力を制御する。
【0042】
音声処理部33は、マイク38によって受信された居住者の音声信号を玄関子機2に送信するための処理回路と、玄関子機2から送信されてきた訪問者の音声信号をスピーカ39に出力するための処理回路とによって構成される。音声処理部33は、親機CPU32から送信されてくる制御信号にしたがって、処理した信号を送信あるいは出力する。
【0043】
モニタ34は、映像処理部31に接続されており、玄関子機2から送信されてきた映像信号を表示する。また、モニタ34は、宅配業者サーバ6や居住者のスマートフォン7から送信されてきた情報を表示する。また、モニタ34は、居室親機3の動作を設定する各種の設定画面を表示する。モニタ34は、映像処理部31に接続されている。
【0044】
タッチパネル35は、居室親機3の動作を設定するための操作手段であり、モニタ34に設定画面として組み込まれて表示される。
【0045】
宅配情報記憶部36Aは、宅配業者サーバ6から受信した配達員や配達物や配達時刻等に関する情報、配達員のスマートフォン5から送信されてきた再配達可能日時の情報、居住者のスマートフォン7から送信されてきた再配達希望日時の情報、などを含む宅配に関する情報が記憶されている。
【0046】
転送先情報記憶部36Bは、宅配業者サーバ6のURLやWEBブラウザに関する情報、居住者のスマートフォン7のメールアドレス、などを含む転送先に関する情報が記憶されている。
【0047】
通信部37は、インターネット9に接続するための処理回路であり、インターネット9を介して接続された宅配業者サーバ6と情報通信を行う。
【0048】
マイク38とスピーカ39は、居住者が配達員との間で通話をする際に、音声を入出力する。マイク38とスピーカ39は、音声処理部33に接続されている。
【0049】
次に、
図4〜
図7を参照しつつ、
図3に示すフローチャートに基づいて、インターホンシステム1の動作を説明する。この例では宅配業者の配達員が荷物を配達に訪れた場合の動作を説明する。
【0050】
各配達員は予め宅配業者からRFIDカード4とスマートフォン5の少なくともいずれか一方を配布されている。
【0051】
配達員によって、訪問宅の玄関子機2の呼出ボタンが押され、RFIDカード4が玄関子機2のRFID受信部21にかざされる(ステップS101)。RFIDカード4と玄関子機2との間で近距離通信が成立すると、例えば「ピッ」という音が玄関子機2のスピーカ23から出力される。玄関子機2は、近距離通信で読み込んだRFIDカード4のID番号を居室親機3に送信する。また、玄関子機2は、呼出ボタンが押されると同時にカメラ20によって配達員の撮像を開始し、撮像した配達員の映像を居室親機3に送信する。
【0052】
居室親機3は、玄関子機2における呼出ボタンの押下操作を受けて、スピーカ39から呼出音を居室内に出力する。また、居室親機3は、玄関子機2から送信されたID番号を照会するために、ルータ8およびインターネット9を介してID番号を宅配業者サーバ6に送信する(ステップS102)。
【0053】
宅配業者サーバ6は、居室親機3から送信されたID番号が宅配業者で配布された本物の番号であるか否か照会する。その結果、ID番号が偽物であった場合、宅配業者サーバ6は、偽物である旨を居室親機3に送信し、ID番号が本物であった場合、本物である旨と、配達員の氏名と、配達される荷物に関する情報と、を居室親機3に送信する(ステップS103)。居室親機3は予め宅配業者サーバ6に識別可能に登録されており、宅配業者サーバ6は、登録されている情報の中の居室親機3宅(居住者宅)の住所等に基づいて、配達物を特定することが可能である。
【0054】
居室親機3は、宅配業者サーバ6から送信された照会の結果や宅配に関する情報と、玄関子機2から送信された配達員の映像と、に基づいて「電子訪問票」を作成し、モニタ34に表示する(ステップS104)。
【0055】
モニタ34に表示された電子訪問票41の一例を
図4(a),(b)に示す。この例は、ID番号が本物であると判定された場合のものであり、
図4(a)に示すように、電子訪問票41は、文字情報部分41Aと映像情報部分41Bとで構成されている。文字情報部分41Aには、本物の配達員が、現在、配達に伺っていることを示す「電子訪問票」42の文字が表示される他、宅配情報として宅配業者名と訪問日時と宅配番号とが表示される。また、映像情報部分41Bには、玄関子機2から送信された映像信号における配達員の顔写真が表示される。また、文字情報部分41Aの「詳細」部43をタッチすることにより、
図4(b)に示すように、配達物の送り主(依頼元)、宅配種別(例えば通常またはクール)等の荷物情報も文字情報部分41Aに表示させることができる。なお、図示は省略するが、ID番号が偽物であると判定された場合には、文字情報部分41Aに「電子訪問票」とは表示されずに、例えば「不審者訪問」の文字が表示される。
【0056】
続いて、居住者が在宅であって、モニタ34に表示された訪問票41を見て呼出音に対し応答した場合、宅配物は居住者に受け取られ(ステップS105)、インターホンシステム1の動作は終了する。
【0057】
これに対して、呼出音が鳴らされてから所定の時間(例えば20〜30秒)経過しても居住者からの応答がない場合、居室親機3は、居住者が不在であると判定する。居室親機3は、
図4(a),(b)に示す文字情報部分41Aの「電子訪問票」42の文字を、
図4(c)に示すように「電子不在票」47の文字に変更して表示する(ステップS106)。
【0058】
居室親機3は、モニタ34に「電子不在票」が表示された旨の情報を、インターネット9を介して宅配業者サーバ6に送信する。宅配業者サーバ6は、受信した情報を配達員のスマートフォン5に送信する。これにより配達員のスマートフォン5には、電子不在票の通知を完了した旨が電子情報として表示される(ステップS107)。
【0059】
ステップS107で配達員のスマートフォン5に表示される電子情報の一例を
図5に示す。スマートフォン5の表示部には、文字による情報として「電子不在票の送信を完了しました」と表示される。
【0060】
続いて、居室親機3は、不在の居住者のスマートフォン7に、電子不在票の内容を送信する(ステップS108)。
【0061】
帰宅した居住者は、居室親機3に表示された電子不在票を確認して、居室親機3から再配達希望日時の依頼を行うことが可能である。居室親機3から再配達希望日時が依頼(ステップS109)された場合、依頼された再配達希望日時の情報は、インターネット9を介して宅配業者サーバ6に送信される。送信された再配達希望日時の情報は、宅配業者サーバ6から配達員のスマートフォン5に送信される。
【0062】
また、不在の居住者は、スマートフォン7に送信されてきた電子不在票を確認して、スマートフォン7から再配達希望日時の依頼を行うことが可能である。スマートフォン7から再配達希望日時が依頼(ステップS110)された場合、依頼された再配達希望日時の情報は、宅配業者サーバ6に送信される。送信された再配達希望日時の情報は、宅配業者サーバ6から配達員のスマートフォン5に送信される。
【0063】
居室親機3から再配達希望日時を依頼する仕方について
図4(c)および
図6に示す。居室親機3には宅配サービス利用者用のアプリケーションがインストールされており、モニタ34へのタッチ入力により再配達希望日時の設定を行うことができるように設定されている。
図4(c)に示される「再配達設定」部44をタッチすることにより、文字情報部分41Aの表示内容が
図6に示すような設定画面に変化する。この画面において希望する日時を設定した後、「送信」部45をタッチすることで、設定した再配達希望日時の情報が居室親機3から宅配業者サーバ6に送信される。
【0064】
また、不在の居住者のスマートフォン7から依頼する場合も同様であり、スマートフォン7に
図4(c)および
図6に示すような画面が表示され、画面へのタッチ入力により再配達希望日時の設定を行うことができるように設定されている。
【0065】
続いて、配達員のスマートフォン5に再配達希望日時の情報が送信される(ステップS111)。配達員は、スマートフォン5に送信されてきた再配達希望日時の情報を確認し、配達物を居住者宅に配達する。
【0066】
以上説明した本実施形態のインターホンシステム1によれば、電子訪問票を居室親機3に表示させる場合、先ず、表示させる前に本物の配達員であるか否かを宅配業者サーバ6で照会する。このため、居住者は、呼出音に応答する前に、居室親機3に表示された照会済みの電子訪問票を確認することで、本物の配達員であるか宅配業者を装った不審者であるかを確実に見破ることができる。すなわち、インターホンシステム1は、配達員へのなりすましに対する防犯性が良好である。よって、在宅中の居住者は、居留守を使うことなく速やかに荷物を受け取ることができる。これにより、宅配業務の効率の低下を抑制することができる。
【0067】
また、配達員によって作成された紙の不在票を投函する従来の場合、他の郵便物に紛れ込んで紛失しやすい他、配達時刻、荷物の送り主、荷物の内容、受け取りの緊急度を判断することができない場合が多かった。これに対して電子訪問票または電子不在票によれば、宅配サービスの利用者(居住者)は、これら宅配に関する詳細な情報を迅速かつ正確に確認することができる。
【0068】
また、呼出音が鳴ってから数十秒たっても応答がない場合、居室親機3の「電子訪問票」の文字は、自動的に「電子不在票」の文字へと変更されて表示されるので、配達員は不在票を新たに作成する必要が無い。これにより、配達員における宅配業務の効率を向上させることができる。
【0069】
また、配達員は、電子不在票を居住者に対して電子的な表示により残したということを配達員のスマートフォン5で確認することができるので、例えば従来のような紙の不在票を発行し投函することなく次の配達先へ効率よく移動できる。
【0070】
また、帰宅した居住者は、居室親機3のモニタ34に表示された「電子不在票」を見て、配達時刻、送り主、荷物の具体的内容、受け取りの緊急度(通常またはクール)を迅速に確認することができる。また、電子不在票が表示される居室親機3には常時電源が入っているため、居住者は帰宅時に見忘れることなく電子不在票を確認することができる。
【0071】
また、居住者は、居室親機3の画面上の「電子不在票」に対するタッチ操作で、容易かつ迅速に、再配達の希望日時や、希望する受け取り方法等の情報を宅配業者サーバ6へ送信することができる。これにより、不在票に対する再配達の依頼忘れを減少させることができる。また、宅配業者サーバ6は再配達に関する情報を配達員のスマートフォン5へと送信することが可能なため、運転中のため電話応答できない配達員に対しても確実に再配達の情報を送信することができる。これにより、配達員における宅配業務の効率の低下をさらに抑制することができる。
【0072】
居住者のスマートフォン7には、居室親機3から電子不在票の情報が送信されるので、居住者は、不在時でもスマートフォン7から電子不在票の内容を確認することができ、再配達を依頼することができる。このため、外出中の居住者は、帰宅前に再配達を依頼することができるので、早期に荷物を受け取ることができる。これにより、配達員の宅配業務の効率を高めることができる。また、再配達の依頼情報は、居住者のスマートフォン7から宅配業者サーバ6を経由して配達員のスマートフォン5へと送信される。これにより、配達員に対して居住者の個人情報(電話番号やメールアドレスなど)をもらすことなく配達員に再配達の情報を送信することができ、防犯性を向上させることができる。
【0073】
次に、上述した形態の変形例について説明する。
上記の実施形態では、配達員はRFIDカード4とスマートフォン5とを携帯していたが、例えば両者が一体化されたRFIDチップ内蔵型のスマートフォンを携帯するようにしても良い。
この場合、配達員は、配達員のスマートフォン5から再配達可能日時(再配達情報の一例)の通知を行うことが可能である。
図3のステップS107に示すように呼び出しに対する応答が無く配達員のスマートフォン5に電子不在票の通知を完了した旨が表示された場合、配達員がスマートフォン5に入力した再配達可能な日時の情報が近距離通信で玄関子機2に送信されて、さらに、その情報が玄関子機2から居室親機3に送信されるようにしても良い。配達員のスマートフォン5には配達員用に作成されたアプリケーションがインストールされており、再配達可能な日時を入力することができるように設定されている。
【0074】
例えば、
図5に示すスマートフォン5の画面において、「再配達通知」部51をタッチすることにより、画面の表示内容が
図7に示すような設定画面に変化する。この画面において配達可能な日時が設定された後、スマートフォン5と玄関子機2との間で近距離通信が行われると、再配達可能日時の情報が、スマートフォン5に記憶されたID番号とともに玄関子機2に送信される。送信された再配達可能日時の情報は、玄関子機2から居室親機3に送信されて、例えば
図4(c)に示す文字情報部分41Aの再配達可能日時の表示領域46に表示される。
【0075】
このような構成とすることにより、居室親機3に表示される電子不在票には、再配達可能日時の情報も表示されるため、居住者は、この表示を確認して居室親機3から再配達の希望日時の依頼を行うことが可能であり利便性が良い。
【0076】
次に、上述した形態の別の変形例について説明する。
居住者は、予め、居室親機3に再配達希望日時を登録しておくことが可能である。例えば、荷物を配達されることが分かっているにもかかわらず外出しなければならない場合、居住者は外出する際に、居室親機3への入力操作により荷物の再配達を希望する日時を登録しておいても良い。居室親機3には宅配サービス利用者用に作成されたアプリケーションがインストールされており、再配達の希望日時を入力することができるように設定されている。登録された再配達希望日時の情報は、居室親機3の宅配情報記憶部36Aに記憶される。
【0077】
また、登録された再配達希望日時の情報は、
図3のステップS102において玄関子機2から送信されたID番号を照会する際に、ID番号と一緒に宅配業者サーバ6に送信される。そしてその後、宅配業者サーバ6は、モニタ34に「電子不在票」が表示された旨の情報を、配達員のスマートフォン5に送信する際に、その情報と一緒に再配達希望日時の情報も配達員のスマートフォン5に送信する。
【0078】
このような構成とすることにより、配達員は、送信されてきた再配達希望日時を確認し、それを基にその日の配達物のスケジュール等を再考できるので、無駄な時間を削減することができ宅配業務の効率の低下を抑制することができる。
【0079】
次に、
図8を参照して、集合住宅(例えばマンション)にインターホンシステムを適用した場合の形態を説明する。
図8に示すように、インターホンシステム60は、集合玄関子機61と、複数の居室親機62と、管理室親機63と、制御装置64と、RFIDカード4と、配達員のスマートフォン5と、宅配業者サーバ6と、居住者のスマートフォン7と、ルータ8と、を備えている。
【0080】
集合玄関子機61はロビー等の集合玄関に設置されて居住者を呼び出すためのものであり、
図1に示す玄関子機2と同様の機能を有している。ただし、集合玄関子機61の場合は任意の居住者を特定して呼び出すことになる。居室親機62は集合住宅の個々の住戸内に設置されて集合玄関機61からの呼び出しを受けて応答するためのものであり、
図1に示す居室親機3と同様の機能を有している。管理室親機63は管理室に設置されて来訪者や居住者と通話するためのものである。制御装置64は各機器間の通信を制御するためのものである。その他、
図1に示すインターホンシステム1と同じ構成部分には同一の符号を付す。また、集合玄関子機61、居室親機62、および管理室親機63は、伝送線L1,L2,L3によってそれぞれ制御装置64に接続されている。
本実施形態のインターホンシステム60の場合にも上記インターホンシステム1と同様の作用効果を奏することができる。
【0081】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0082】
また、上記の形態では、配達員特定情報を居室親機3から宅配業者サーバ6へ送信し、宅配業者サーバ6において配達員特定情報の照会を行っていたが、例えば宅配業者サーバ6に保存されている配達員に関する情報を居室親機3に読み込み、居室親機3で配達員特定情報の照会を行うようにしても良い。
【0083】
また、上記形態では、
図3のステップS103において、宅配業者サーバ6は、居室親機3から送信されたID番号が本物であると判定した場合、本物である旨、配達員の氏名、および配達される荷物に関する情報を送信していたが、この他に配達員の顔写真も居室親機3に送信するようにしても良い。
【0084】
また、配達員特定情報にはID番号の他に配達員の顔写真を含むようにしても良い。カメラ20で撮像された配達員の顔写真をID番号とともに宅配業者サーバ6へ送信し、ID番号と顔写真の照会を行うようにしても良い。
【0085】
また、上記の形態では、配達員がスマートフォン5を所持している例を説明したが、本発明はこの例に限られない。例えば、配達員がスマートフォン5を所持せずRFIDカード4のみを所持する場合であっても、電子訪問票を居室親機3に表示させることができ、上記インターホンシステム1と同様の作用効果を奏することができる。