特許第6322010号(P6322010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322010
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】グリルシャッター用アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16D 3/18 20060101AFI20180423BHJP
   F16D 3/20 20060101ALI20180423BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20180423BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   F16D3/18 P
   F16D3/20 Z
   F16H1/16 Z
   F01P11/10 D
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-55773(P2014-55773)
(22)【出願日】2014年3月19日
(65)【公開番号】特開2014-206267(P2014-206267A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】1304992.9
(32)【優先日】2013年3月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン ブルキ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン シャップ
(72)【発明者】
【氏名】ニック グリヴァス
【審査官】 日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0264133(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0012115(US,A1)
【文献】 特開2012−035829(JP,A)
【文献】 特開昭64−018744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 3/16, 3/18, 3/20
F01P 11/10
B60K 11/04
F16H 1/00− 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ユニットと、
前記駆動ユニットによって駆動され、相対する側に第1の結合部分と第2の結合部分とを有するホイールと、
第1の枢動カップリングによって前記ホイールの第1の結合部分に結合され、前記駆動ユニットが前記ホイールを駆動することに応じて回転するように構成された第1の作動軸と、
前記ホイールの第2の結合部分に結合され、前記駆動ユニットが前記ホイールを駆動することに応じて回転するように構成された第2の作動軸と、
を備えるアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の枢動カップリングは、自在継手、ボールジョイント、又は等速自在継手である、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ホイールの第1の結合部分は、複数の内歯を有するソケットを備え、
前記第1の枢動カップリングは、軸方向に延びる外歯を有する円形端部を備え、
前記第1の枢動カップリングの前記円形端部は、該円形端部の歯が前記ソケット内に形成された対応する歯と噛み合う状態で前記ソケットに収容され、前記第1の作動軸の軸線は、前記ホイールの回転軸に対して枢動可能であり、前記ホイールの回転は、前記第1の作動軸の軸線周りの回転をもたらすようになっている、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第2の作動軸は、第2の枢動カップリングによって前記ホイールの第2の結合部分に結合され、前記第2の枢動カップリングは、前記第2の作動軸の前記ホイールの回転軸線に対する方向を調節可能とする、請求項1又は2又は3に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2の枢動カップリングは、自在継手、ボールジョイント、又は等速自在継手である、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記ホイールの第2の結合部分は、複数の内歯を有するソケットを備え、
前記第2の枢動カップリングは、軸方向に延びる外歯を有する円形端部を備え、
前記第2の枢動カップリング前記円形端部は、前記ソケットに収容され、前記円形端部の外歯は前記ソケットの内歯と噛み合い、前記第2の作動軸の軸線は、前記ホイールの回転軸線に対して枢動可能であり、前記ホイールの回転は、前記第2の作動軸の軸線周りの回転をもたらす、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記駆動ユニットは、ウォームをもつスピンドル軸を有する電動モータを備え、
前記ホイールの周囲には、前記スピンドル軸のウォームと噛み合う複数の歯が形成される、請求項1から6の何れかに記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第1の作動軸が前記ホイールに対して枢動するのを防止するように構成された第1の位置決め部材をさらに備え、これによって、前記ホイールの回転軸線に対する前記第1の作動軸の軸線方向が所定の方向に維持される、請求項1から7の何れかに記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記第2の作動軸が前記ホイールに対して枢動するのを防止するように構成された第2の位置決め部材をさらに備え、これによって、前記ホイールの回転軸線に対する前記第2作動軸の軸線方向が所定の方向に維持される、請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記駆動ユニット及び前記ホイールを取り囲むハウジングをさらに備え、
前記ハウジングは、開口をもつ第1の端部壁と、開口をもつ第2の端部壁と、前記第1の端部壁と前記第2の端部壁とを結合する側壁とを含み、
前記第1の作動軸及び前記第2の作動軸は、それぞれ前記第1の端部壁と前記第2の端部壁の開口を通ってハウジングの外へ延び、
環状フランジは、前記開口の各々の周囲から一体に延び、前記環状フランジの各々は、前記第1の作動軸及び前記第2の作動軸の対応する1つの軸線と同軸な軸線を有し、前記第1の作動軸及び前記第2の作動軸の軸線方向は、前記ホイールの回転軸線に対して所定の方向に維持するようになっている、請求項1から9の何れかに記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記第1の作動軸及び前記第2の作動軸は互いに平行ではない、請求項1から10の何れかに記載のアクチュエータ。
【請求項12】
第1の部分及び第2の部分を有する冷却モジュールと、
前記冷却モジュールの前記第1の部分に隣接する第1のシャッタールーバーの組と、
前記冷却モジュールの前記第2の部分に隣接する第2のシャッタールーバーの組と、
前記第1及び第2のシャッタールーバーの組の間に配置された、請求項1から11の何れかに記載のアクチュエータと、
を備え、
前記第1の作動軸は、前記第1のシャッタールーバーの組に結合され、前記第2の作動軸は、前記第2のシャッタールーバーの組に結合され、
前記シャッタールーバーは、前記アクチュエータによって開閉可能であることを特徴とする冷却モジュール組立体。
【請求項13】
前記第1のシャッタールーバーの組と、前記第2のシャッタールーバーの組とは、所定の角度で傾斜している、請求項12に記載の組立体。
【請求項14】
前記冷却モジュール、前記第1のシャッタールーバーの組、及び、前記第2のシャッタールーバーの組が設けられた区画室をさらに備え、前記第1のシャッタールーバーの組と前記第2のシャッタールーバーの組とは、前記冷却モジュールの前側に配置され、前記区画室の幅は、前方に向かうにつれて徐々に減少する、請求項12又は13に記載の組立体。
【請求項15】
エンジン区画室と、
前記エンジン区画室に設けられたエンジンと、
前記エンジンを冷却するために、前記エンジンの前側に配置された、請求項12、13、又は14に記載の冷却モジュールと、
を備えることを特徴とするエンジン組立体。
【請求項16】
前記エンジン区画室の幅が、前方に向かうにつれて徐々に減少する、請求項15に記載のエンジン組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、熱交換器のグリルシャッター用アクチュエータ、特に複軸型出力軸をもつアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
グリルシャッター用アクチュエータは、シャッターのルーバーを開閉することにより、熱交換器又は他の冷却モジュールへの空気流を制御するために用いられる。グリルシャッターは、車両の種々の熱交換器、例えば空調器のラジエータ及び凝縮器への空気流を制御するために、車両において用いられることが多くなっている。グリルシャッターは、車両が速い速度で走行しており、エンジンを冷却する必要がない場合に、グリル又は空気吸入口を閉じ、車両の空気力学特性を改善することにより燃料を節減し、それによって費用を節減する。同様に、エンジンが低温状態にあるときに空気吸入口を閉じることにより、エンジンがより経済的及び低汚染で作動する作動温度まで、より迅速に到達するようになる。複駆動式グリルシャッターアクチュエータは、アクチュエータの両側に配置された二組のシャッタールーバーを駆動させるための、二つの対称な出力軸をもつ。二つの出力軸の間に形成される角度は、二組のシャッタールーバーの角度を決定する。現在の複駆動式グリルシャッター用アクチュエータは、互いにほぼ平行な出力軸を備える。したがって、現在の複動式グリルシャッター用アクチュエータによって駆動される二組のシャッタールーバーは、互いに平行でなければならない。このような複駆動式グリルシャッター用アクチュエータは、限られた範囲のグリルシャッターのみに適している。現在では、共平面にないルーバーセットを備えたグリルシャッターは、個別のアクチュエータを使用する必要があるため、グリルシャッター組立体の重量及び費用が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、様々なグリルシャッターに用いるのに適した、グリルシャッターのための複駆動式アクチュエータが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、本発明は、第1の態様において、駆動ユニットと、該駆動ユニットによって駆動され、相反する側に第1の結合部分と第2の結合部分とを備えるホイールと、第1の枢動カップリングによってホイールの第1の結合部分に結合され、駆動ユニットがホイールを駆動することに応じて回転するように構成された第1の作動軸と、ホイールの第2の結合部分に結合され、駆動ユニットがホイールを駆動することに応じて回転するように構成された第2の作動軸とを備えるアクチュエータを提供する。
【0005】
第1の枢動カップリングは、自在継手、ボールジョイント、又は等速自在継手であることが好ましい。
【0006】
第1の枢動カップリングは、半球状ソケットに収容される円形端部を備え、円形端部は、ソケットに形成された対応する歯と噛み合う軸方向に延びる歯を有し、それによって、第1の作動軸の軸線は、ホイールの回転軸線に対して枢動可能となり、ホイールの回転は、第1の作動軸の軸線周りの回転をもたらすことが好ましい。
【0007】
第2の作動軸は、第2の枢動カップリングによって、ホイールの第2の結合部分に結合されることが好ましい。
【0008】
第2の枢動カップリングは、自在継手、ボールジョイント、又は等速自在継手であることが好ましい。
【0009】
第2の枢動カップリングは、半球状ソケットに収容される円形端部を備え、円形端部は、ソケットに形成された対応する歯と噛み合う軸方向に延びる歯を有し、それによって、第2の作動軸の軸線は、ホイールの回転軸線に対して枢動可能となり、ホイールの回転は、第2の作動軸の軸線周りの回転をもたらすことが好ましい。
【0010】
駆動ユニットは、ウォームをもつスピンドル軸を有する電動モータを含み、ホイールは、外周面に形成され、スピンドル軸のウォームと噛み合う複数の歯を含むことが好ましい。
【0011】
第1の作動軸は、ホイールに対して枢動するのを防止するための第1の位置決め部材を備え、ホイールの軸線に対する第1の作動軸の軸線を所定の方向に維持するようになっていることが好ましい。
【0012】
第2の作動軸は、ホイールに対して枢動するのを防止するための第2の位置決め部材を備え、ホイールの軸線に対する第2の作動軸の軸線を所定の方向に維持するようになっていることが好ましい。
【0013】
ハウジングは、駆動ユニット及びホイールを取り囲むことが好ましい。ハウジングは、開口をもつ第1の端部壁と、開口をもつ第2の端部壁と、第1の端部壁と第2の端部壁とを結合する側壁とを含み、第1の作動軸及び第2の作動軸のそれぞれは、第1の端部壁及び第2の端部壁の開口を通ってハウジングから外へ延びることが好ましく、ハウジングは、開口の各々の周囲から一体に延びる環状フランジを含み、環状フランジの各々は、第1の作動軸及び第2の作動軸の各々の軸線と同軸な軸線を有し、作動軸とホイールとを所定の方向に維持するようになっていることが好ましい。
【0014】
第1の作動軸と第2の作動軸とは互いに平行ではないことが好ましい。
【0015】
本発明は、第2の態様において、第1の部分及び第2の部分を有する冷却モジュールと、冷却モジュールの第1の部分に隣接する第1のシャッタールーバーセットと、冷却モジュールの第2の部分に隣接する第2のシャッタールーバーセットと、第1のシャッタールーバーセットと第2のシャッタールーバーセットとの間に配置された前記のアクチュエータとを備え、第1の作動軸は、第1のシャッタールーバーセットに結合され、第2の作動軸は、第2のシャッタールーバーセットに結合されて、シャッタールーバーは、アクチュエータによって開閉可能となった冷却モジュール組立体を提供する。
【0016】
第1のシャッタールーバーセット及び第2のシャッタールーバーセットは、互いに所定の角度で傾斜することが好ましい。
【0017】
冷却モジュールと、第1のシャッタールーバーセット及び第2のシャッタールーバーセットとは、区画室に設けられ、第1のシャッタールーバーセットと第2のシャッタールーバーセットは、冷却モジュールの前側に配置され、区画室の幅は、前方に向かうにつれて徐々に減少することが好ましい。
【0018】
本発明は、別の態様において、エンジン区画室と、エンジン区画室に設けられたエンジンと、エンジンを冷却するためにエンジンの前側に配置された前記の冷却モジュール組立体とを備えるエンジン組立体を提供する。
【0019】
エンジン組立体の幅は、前方に向かうにつれて徐々に減少することが好ましい。
【0020】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して例示的に以下に説明される。図において、2つ以上の図に現れる同一の構造、要素、又は部分には、現れる図面すべてにおいて同じ参照番号が付される。図に示された部品及び形状の寸法は全て、説明を簡単にして明確に行うために選ばれており、必ずしも縮尺通りであるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好ましい実施形態によるアクチュエータを示す。
図2】ハウジングの端部壁が取り除かれた、図1のアクチュエータを示す。
図3図2のアクチュエータの部分分解組み立て図である。
図4図1のアクチュエータを駆動させるための駆動ユニットを示す。
図5図1のアクチュエータの平面図である。
図6図1のアクチュエータの部分断面平面図である。
図7】車両に搭載された、図1のアクチュエータを示す。
図8図1のアクチュエータによって作動される、シャッタールーバーセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1から図6を参照すると、グリルシャッター用アクチュエータ10は、駆動ユニット30と、該駆動ユニット30によって駆動される駆動ホイール50と、該ホイールに結合された出力軸又は作動軸70とを備える。本発明の実施形態によると、駆動ユニット30は、スピンドル軸34を備えたモータ32と、スピンドル軸34と一緒に回転するように該スピンドル軸34上に固定されたウォーム36とを備える。
【0023】
ホイール50は、環状本体52と、該環状本体52の相反する側から突出する一対の結合部分54とを備える。環状本体52の周面には、複数の歯522が形成されている。環状本体52の歯522は、駆動ユニット30のウォーム36と噛み合い、駆動ユニット30は、モータの電源投入時にホイール50を駆動することができる。
【0024】
軸70の各々は、一端部72が対応するホイール50の対応する結合部分54に結合されており、該軸70はホイール50と共に回転する。軸70の他方の端部は、ルーバー106(図7及び図8を参照)のような対応する被駆動物体に結合される。軸70がホイール50と共に回転する際に、ルーバー106はこれに対応して開閉される。
【0025】
少なくとも一つの軸70はホイールに対して枢動可能なので、対応する軸70の軸線74とホイール50の軸線との間に形成される角度は調整可能である。本発明の好ましい実施形態において、両方の軸70は、ホイール50の軸線に対し枢動可能である。つまり、軸70の各々の軸線74は、ホイール50の軸線に対して調整可能に傾斜させることができる。2つの軸70の軸線74の間に形成される角αは、0度から180度の間の範囲で調整可能である。従って、2つの作動軸70は平行又は非平行にすることができる。作動軸70とホイール50との間の枢動可能な結合と、2つの作動軸70の間の可変角度とが、アクチュエータ10の作動範囲を広げることになる。本発明の特定の実施形態において、2つの軸70の軸線は互いに同一平面上にある。
【0026】
さらにグリルシャッター用アクチュエータ10は、駆動ユニット30及びホイール50を内部に収容するように構成された密閉ハウジング90を備える。該ハウジング90は、一対の端部壁92、94と、該端部壁92、94の間に結合された側壁96とを備える。側壁96は、端部壁92、94の周囲に結合される。軸70は、端部壁92、94の2つの開口922、942を通って、ハウジング90から外へ突出する。
【0027】
軸70と、対応する結合部分54との間の結合は、自在継手又はカルダン自在継手、一種のボールジョイント又は等速自在継手のような枢動継手によって実現される。好ましい実施形態において、各々の枢動継手は、対応する結合部分の半球状ソケットに受け入れられる、それぞれの軸の円形端部を備える。円形端部は、ソケット内に形成された対応する歯と噛み合う複数の軸方向に延びる歯を有する。この歯はスプラインに類似している。枢動継手によって、軸は、ホイールの軸線方向に対して円形端部の周りで枢動し、同時に、ホイールの回転によって該軸の軸線周りを回転できる。
【0028】
図7は、車両のエンジン区画室100に設けられたグリルシャッター用アクチュエータ10を示す。エンジン区画室100の幅は、前側に向かうにつれて徐々に減少する。エンジン区画室100の前側部分は空気吸入口を備え、空気はここを通って流入することができる。間隔をあけて配置された冷却グリルを備えた冷却モジュール102は、エンジン104前方のエンジン区画室100の前側部分に設けられる。冷却モジュール102の前側には、所定の角度で互いに傾いている2セットのシャッタールーバー106が配置され、エンジン区画室100の吸入口に位置合わせされており、各セットは、冷却モジュール102の一部に隣接している。図8に示されるように、シャッタールーバーの各セットは、結合ロッド108で結合された複数のシャッタールーバー106を備えることができ、のシャッタールーバーは一体となって移動するようになっている。シャッタールーバー106の各セットは、2セットのシャッタールーバー106の間に配置されたアクチュエータ10の作動軸70によって駆動される。アクチュエータ10の作動軸70の各々は、対応するシャッタールーバー106のセットに結合される。2セットのシャッタールーバー106の間に形成される角度は、軸70の軸線74の間に形成される角αに等しい。
【0029】
アクチュエータ10の駆動ユニット30のモータが回転すると、軸70は、2セットのシャッタールーバー106を開閉し、同時に、車両の前側から冷却モジュール102に流入する空気流を調整する。アクチュエータ10は、冷却モジュール102に流入する空気流を調整するために、シャッタールーバー106の開角度を変更するように作用し、それによって冷却モジュール102の冷却効果を制御する。アクチュエータ10のホイール50に対する作動軸70の枢動結合は、コンパクトなエンジン区画室100に設けられたエンジン用冷却装置に使用するのに適している。特定の用途において、作動軸70の各々の軸線とホイール50の軸線との間に形成される好適な角度は、位置決め部材により固定することができ、この位置決め部材は、アクチュエータハウジング90の一体部品とするか、又は、ハウジング90又はエンジン区画室100に取り付けられた付加的な部品とすることができる。位置決め部材は、作動軸70がホイール50に対して枢動するのを防止するように形成され、それによって、作動軸70とホイール50の軸線との間に形成される角度を所定の値に維持する。1つの特定の実施形態において、環状フランジ924又は944(図6)は、対応する開口922又は924の周辺部から一体に延び、位置決め部材として作用する。各々の軸70は、対応する環状フランジ924及び944を通って延びる。環状フランジ924又は944の各々の軸線は、ホイール50の軸線に関して傾斜して、対応する作動軸70の軸線と同軸であることが好ましい。各々の軸70の結合端部72の外径は、対応する環状フランジ924又は944の内径と実質的に等しいことが好ましい。
【0030】
理解できるように、本発明によるアクチュエータ10は、他の用途、例えば熱交換のために外気吸気口に依存して冷却又は加熱を行う、空調凝縮器、ターボチャージャーのインタークーラー、又は他の熱交換器に利用することができる。
【0031】
本発明において、グリルシャッター用アクチュエータの2つの軸の間に形成される角度は、該軸によって駆動される2セットのシャッタールーバーが異なる角度で傾斜している様々な用途に適合するように調節可能である。さらに、互いに傾斜している軸を備えたアクチュエータは、狭いエンジン区画室の車両において、2セットのシャッタールーバーを、互いに傾斜した、又は平行でない状態で使用することを可能にする。2セットの傾斜したシャッタールーバーは、コンパクトなエンジン区画室の前側の輪郭に上手く適合することができる。さらに、アクチュエータは、互いに傾斜した2セットのシャッタールーバーの間に配置され、アクチュエータと、シャッタールーバーの背後に配置される車両用ラジエータ/冷却モジュール等の熱源との間の間隔が大きくなるので、アクチュエータ及びシャッターシステムへの熱負荷が小さくなる。
【0032】
本発明の説明及び請求項において、動詞「備える」、「含む」、「包含する」、及び「有する」、及びそれらの派生語は、記述された物品が存在することを特定するために総括的な意味で使用されており、追加的な物品の存在を排除するものではない。
【0033】
本発明は、1つ又はそれ以上の好ましい実施形態を参照して説明されているが、当業者は、様々な改良が可能であることを認識できるであろう。したがって、本発明の範囲は、請求項によって決定されるべきものである。
【0034】
例えば、好ましい実施形態では、両方の作動軸が枢動可能にホイールに結合されるように示されるが、幾つかの用途に好ましい構成は、一方の作動軸だけをホイールに枢動可能に結合することを必要とする。
【0035】
また、好ましい実施形態は、作動軸に形成された円形端部と、ホイールに形成されたソケットとを備えた枢動可能な結合を示しているが、ソケットを作動軸に形成し、円形端部がホイールの結合部分に形成することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 グリルシャッター用アクチュエータ
30 駆動ユニット
32 モータ
34 スピンドル軸
36 ウォーム
50 ホイール
52 環状本体
522 歯
54 結合部分
70 作動軸
72 軸の端部
74 軸線
90 ハウジング
92、94 端部壁
922、924 端部壁の開口
96 側壁
100 エンジン区画室
102 冷却モジュール
104 エンジン
106 ルーバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8