(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動手段が、シリンダと、前記シリンダ内を軸方向に摺動するピストンと、前記ピストンに軸方向に連結され、先端側に前記アーム部材が固定されるピストン軸と、前記ピストンが前記シリンダ内を軸方向に摺動する際に前記ピストン軸を回転させるカム機構と、を備え、
前記カム機構が、前記シリンダの内周面および前記ピストン軸の外周面の一方に設けられる溝と、前記シリンダの内周面および前記ピストン軸の外周面の他方に設けられ、前記溝内に係合される係合部と、を有する請求項1または請求項2に記載のクランプ装置。
前記位置決め手段が、前記セット台に設けられ、前記ワークに形成される貫通孔に嵌挿する位置決め軸と、前記付勢部材に設けられ、前記位置決め軸の先端部が嵌合する位置決め孔と、を有する請求項4に記載のクランプ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記した特許文献に記載の装置では、駆動手段の中心軸と該駆動手段の付勢力によってワークを押圧する付勢部材(クランパ)の中心軸とが同軸上になく、駆動手段の付勢力を付勢部材に伝達するために、クランプアーム等のアーム部材が用いられる。
【0007】
しかし、アーム部材を用いる場合には、アーム部材に配設された付勢部材でワークを押圧してクランプするため、アーム部材が撓んだり、クランプ装置全体に傾きが生じてアーム部材が傾斜したりする。したがって、付勢部材が傾斜した状態でワークを押圧してクランプすることとなる。
【0008】
そして、付勢部材がワークに対して傾斜した状態で加工が行われると、クランプの摩擦力によるトルクが加工負荷によるトルクに負けてしまって、加工時にワークが回転方向に滑り、クランプ力が低減されてしまうおそれがある。また、クランプ力が偏荷重になるため、ワークや、ワークの載置台、軸受等の装置に損傷を与えるおそれがある。さらに、付勢部材の中心軸とワークの中心軸とがずれることとなる結果、付勢部材の回転追従性が低下するとともに、そのままワークの載置台を回転させると該載置台の中心軸が振られてしまい、ワークの回転精度、ひいては、加工精度が低下してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、ワークを押圧する付勢部材が配設されるアーム部材に撓みや傾斜が発生した場合でも、ワークを良好にクランプすることができるクランプ装
置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した目的を達成するために、本発明に係るクランプ装置は、テーブルに回転自在に配設され、ワークをセットするセット台と、前記テーブルに沿う平面上
における、前記セット台とは異なる位置に配設される駆動手段と、前記駆動手段の付勢力によって前記ワークを押圧する付勢部材と、前記駆動手段の付勢力を前記付勢部材に伝達するアーム部材と、前記付勢部材を揺動かつ回転自在に、前記アーム部材に配設する支持部材と、を備え
、前記支持部材が、前記付勢部材を支持する球面座と、前記球面座と球面接触して該球面座を揺動自在に支持する球面座支持体と、前記付勢部材を回転自在に軸支する軸受と、前記球面座を前記球面座支持体に向かって付勢する弾性部材と、を備え、前記球面座支持体は、前記アーム部材における、前記セット台とは反対側の面に固定されており、前記アーム部材における前記セット台側の面に、支持体が固定されており、前記弾性部材は、前記球面座と前記支持体との間に配設されている。
【0011】
この発明によれば、付勢部材が揺動かつ回転自在にアーム部材に配設されているため、アーム部材の撓みや傾斜に対して、付勢部材はワークに対する姿勢を良好に保つことができ、ワークに対する適切な押圧状態を維持できる。
したがって、加工時にワークが回転方向に滑ることがなく、クランプ力が確保される。また、クランプ力が円周方向に沿ってより均一になるため、ワークや、ワークのセット台、軸受等の装置に損傷を与えることもない。さらに、付勢部材の中心軸とワークの中心軸とのずれが抑えられるため、付勢部材の回転追従性が保たれるとともに、ワークをセットするセット台の中心軸が振られることがなく、ワークの回転精度、ひいては、加工精度を適切に確保できる。
すなわち、ワークを押圧する付勢部材が配設されるアーム部材に撓みや傾斜が発生した場合でも、ワークを良好にクランプすることができるクランプ装置を提供できる。
【0013】
また、球面座、球面座支持体、および軸受を備えることによって、アーム部材の撓みや傾斜に対して、付勢部材は姿勢を良好に保つことができ、ワークに対する適切な押圧状態を維持できる。
さらに、弾性部材を備えたことによって、アーム部材の撓みや傾斜が多方向に発生する場合であっても、より柔軟にアーム部材の撓みや傾斜の変化を弾性部材によって受けて緩衝させることができ、加工精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明は、
前記軸受が、ラジアル軸受およびスラスト軸受
を備える。
【0015】
このような構成によれば
、ラジアル軸受とスラスト軸受とを備えることによって、セット台の中心軸に垂直な方向に作用するラジアル荷重をより確実に受けることができるとともに、セット台の中心軸に沿う方向に作用するスラスト荷重をより確実に受けることができるので、より効果的にワークに対する適切な押圧状態を維持することができ
る。
【0016】
また、本発明は、前記駆動手段が、シリンダと、前記シリンダ内を軸方向に摺動するピストンと、前記ピストンに軸方向に連結され、先端側に前記アーム部材が固定されるピストン軸と、前記ピストンが前記シリンダ内を軸方向に摺動する際に前記ピストン軸を回転させるカム機構と、を備え、前記カム機構が、前記シリンダの内周面および前記ピストン軸の外周面の一方に設けられる溝と、前記シリンダの内周面および前記ピストン軸の外周面の他方に設けられ、前記溝内に係合される係合部と、を有する。
【0017】
このような構成によれば、付勢部材が配設されたアーム部材の旋回を伴うワークのクランプおよびアンクランプの切換えを、よりコンパクトかつ簡易な構成で行うことができる。したがって、アンクランプ時にアーム部材を旋回させてセット台から離隔させることができ、セット台に対するワークのセットおよび取外しが容易となる。
【0018】
また、本発明は、前記付勢部材および前記セット台の少なくとも一方に配設され、前記ワークに設けられる孔または凸部と嵌合する位置決め手段を備える。
【0019】
このような構成によれば、位置決め手段を備えることによって、付勢部材とセット台とによってワークを安定した状態で狭持することができる。
【0020】
また、本発明は、前記位置決め手段が、前記セット台に設けられ、前記ワークに形成される貫通孔に嵌挿する位置決め軸と、前記付勢部材に設けられ、前記位置決め軸の先端部が嵌合する位置決め孔と、を有する。
【0021】
このような構成によれば、付勢部材の中心軸とワークの中心軸とをより確実に同軸に保ちながら、付勢部材とセット台とによってワークを安定した状態で狭持することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ワークを押圧する付勢部材が配設されるアーム部材に撓みや傾斜が発生した場合でも、ワークを良好にクランプすることができるクランプ装
置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材には同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るクランプ装置1を搭載した工作機械Kを示す斜視図である。
図2は、
図1に示されるクランプ装置1の平面図である。
図3は、
図1に示されるクランプ装置1のクランプ時における全体構成を示す縦断面図である。
図4は、
図1に示されるクランプ装置1のアンクランプ時における全体構成を示す縦断面図である。
図5は、
図3に示される駆動手段5の内部構造を示す縦断面図である。
図6は、
図3に示される支持部材7の周辺の内部構造を示す縦断面図である。なお、
図4において、アーム部材としてのクランプアーム13の旋回方向の位置は、説明の都合上、クランプ時と同じ位置で表示している。
【0028】
本発明の一実施形態に係るクランプ装置1を説明するにあたって、まず始めに、このクランプ装置が搭載される工作機械について説明する。
図1に示すように、工作機械Kは、ワークWを切削、研削、切断、圧延、溶接等して所定の形状に加工する加工機であり、クランプ装置1を搭載している。つまり、工作機械Kは、ワークWをクランプするクランプ装置1を搭載している機械であればよく、ワークWをどのように加工する装置であるかは、特に限定されない。
【0029】
クランプ装置1は、インペラ等のワークWを工作機械Kにクランプする装置である。工作機械Kにおけるテーブル2上に回転自在に配設される載置台(セット台)3にワークWを載置(セット)した後、駆動手段5のピストン軸10(
図3参照)の上下動に伴う付勢力を、クランプアーム13に配設された付勢部材6を介してワークWに付与することによって、ワークWをクランプまたはアンクランプすることができる。
【0030】
クランプアーム13は、駆動手段5のピストン軸10(
図3参照)の先端側に固定されている。クランプアーム13は、後記するようにピストン軸10が回転を伴って軸方向に移動することによって、クランプ時には
図1および
図2に示すA方向に、アンクランプ時には
図1および
図2に示すB方向に、所定角度(
図2では90度)旋回しつつ、上下動する。
【0031】
テーブル2は、工作機械Kにおける加工領域の下部に配設される部材である。テーブル2上の一方の側に載置台3が配設されており、他方の側に、駆動手段5が配設されている。すなわち、駆動手段5は、テーブル2に沿う平面(ここでは水平面)上の載置台3とは異なる位置においてテーブル2に配設される。載置台3は、モータMにより回転駆動され得る。なお、載置台3と駆動手段5の位置は、互いに干渉をしない程度に適切な位置関係にあればよい。
【0032】
図3および
図4に示すように、載置台3は、テーブル2に軸受Bを介して回転自在に配設され、ワークWを載置する部材である。載置台3は、ワークWの下面と接触し、載置台3の中心軸のまわりで、ワークWを載置した状態で回転し得る。本実施形態においては、インペラ等のワークWを加工対象としており、載置台3は、ワークWの中心付近と外周付近とにおける下部に接触することを前提としているため、それらの箇所に重点的に突起31,32を形成している。突起31,32を形成することによって、載置台3とワークWとの間に空間が形成され、切りくずやクーラントの一時的な除去等も可能となる。なお、ワークWの形状は本実施形態の形状に限定されず、適宜変更することができる。
【0033】
なお、載置台3は、ワークWの下面とガタツキなく接触し得るように、上面が形成されていればよい。例えば、載置台3の上面は、ワークWの下面の形状に応じて、フラットな一つの平面であってもよく、支持箇所となる複数のフラットな面を有していてもよい。なお、本実施例においては、フラットな面としたが、円錐面等であっても良い。
【0034】
また、載置台3には、ワークWを該載置台3上で位置決めするために、中央部に位置決め軸としてのセンターシャフト17が配設されている。クランプ時には、センターシャフト17がワークWの中心軸上に形成された貫通孔W1に嵌挿するように、載置台3の上面にワークWが配置された後、付勢部材6の下方移動によって、センターシャフト17の一部(先端部)が、付勢部材6の中心軸上に形成された位置決め孔16に嵌合して支持される。
【0035】
駆動源4は、駆動手段5の付勢力を発生させる源であり、駆動手段5の内部または外部に配設される。駆動源4として、油圧モータ、インジェクションモータ、サーボモータ等の市販のモータを含む各種モータや、油圧、空気圧等の流体圧を供給する流体圧供給手段を利用することができ、特に、限定されるものではない。すなわち、駆動手段5の付勢力は、油圧、空気圧、電力等の各種エネルギを用いて発生させることが可能である。
【0036】
図5に示すように、駆動手段5は、ここでは、駆動源4から供給される流体圧によって、ワークWのクランプまたはアンクランプを切り換えることができる部材である。駆動手段5は、駆動源4(
図3参照)に接続されるシリンダ8と、シリンダ8内を軸方向に摺動するピストン9と、ピストン9に軸方向に連結され、先端側にクランプアーム13が固定されるピストン軸10と、ピストン9がシリンダ8内を軸方向に摺動する際にピストン軸10を回転させるカム機構27とを備えている。
【0037】
ピストン9は、シリンダ8に形成された流体圧供給口26を通して、駆動源4(
図3参照)から流体圧を供給することによって、軸方向(ここでは上下方向)に移動する。カム機構27は、ピストン9に連結されたピストン軸10の軸方向の移動時に回転を発生させる機構である。ピストン軸10の回転を効果的に行うことを目的として、カム機構27は、本実施形態では、ピストン軸10の外周面に設けられる溝11と、シリンダ8の内周面に位置が固定して設けられ、溝11内に係合される係合部12とを有している。ただし、シリンダ8の内周面に設けられる溝と、ピストン軸10の外周面に位置が固定して設けられ、シリンダ8の溝内に係合される係合部とを有するカム機構が採用されてもよい。
【0038】
このような構成によれば、付勢部材6が配設されたクランプアーム13の旋回を伴うワークWのクランプおよびアンクランプの切換えを、よりコンパクトかつ簡易な構成で行うことができる。したがって、アンクランプ時にクランプアーム13を旋回させて載置台3の直上方から離隔させることができ、載置台3に対するワークWの載置および取外しが容易となる。
【0039】
係合部12としては、ここでは鋼球等の球体が使用されるが、これに限定されるものではなく、ピン等が使用されてもよい。
【0040】
駆動手段5の構造は、前記した構成に限定されるものではない。例えば、駆動源4の駆動力の一部を利用してカム、ネジ、歯車等を介してクランプアーム13を旋回させる構造とすることや、電磁力のオン・オフの切換えによってカム、ネジ、歯車等を介してクランプアーム13を旋回させる構造とすることも可能である。なお、ワークWの脱着が可能であれば、クランプアーム13の旋回させる構造を省いても良い。
【0041】
また、駆動源4の油圧や空気圧を調整することによって、ピストン9を一気に上下動させてもよいし、段階的にピストン9を上下動させてもよいし、徐々に連続的にピストン9を上下動させてもよい。さらに、前半では通常の速度でピストン9を下方移動させ、付勢部材6とワークWとが接触する間際または接触時を含む後半では徐々に下方移動させてもよい。ワークWの硬度が高い場合や低い場合、単層材の場合や複層材の場合等、ワークWの材質、性質、形状等の違いによって、ピストン9の動作仕様を切り換えて設定することもできる。また、ピストン9の上部や下部に上下動を促進するばね部材等の機構を別途設けることができる。なお、ピストン9の上下動を確認するセンサを設置して、クランプ装置1の動作の制御に用いてもよい。
【0042】
ピストン軸10は、クランプアーム13の一端側と連結するとともに、シリンダ8内に内通する部材である。ピストン9の上下動に伴い、ピストン軸10がカム機構27によって回転しつつ上下動を行う。ピストン軸10の上方外側面に形成されたピン溝14にピンを嵌入させることによって、クランプアーム13の回転方向の位置決めを容易に行うことが可能となっている。
【0043】
クランプアーム13は、一端側が駆動手段5のピストン軸10の上部に接続され、他端側(先端側)が支持部材7に接続される。クランプアーム13は、ピストン軸10の軸心を中心として旋回可能であるとともに、駆動手段5によって載置台3の上方から下方に向かって与えられる付勢力を伝える役割を果たす。
【0044】
図6に示すように、付勢部材6は、駆動手段5(
図3参照)の付勢力によってワークWを押圧するための部材である。ワークWを載置台3の上面に垂直な方向に押圧してクランプする必要があるため、クランプ時において付勢部材6の中心軸CL1は載置台3の中心軸CL2と同軸に配設される。
【0045】
付勢部材6は、略円筒形状を呈しており、クランプ時にワークWに接触する押圧部28と、該押圧部28の軸方向に連設される支持部29とを有している。支持部29は押圧部28よりも外径が小さく、押圧部28と支持部29との境界には、段差面30が形成されている。
【0046】
本実施形態は、付勢部材6の中心軸CL1と載置台3の中心軸CL2とを同軸に保つための位置決め手段15を備えている。この位置決め手段15は、本実施形態では、センターシャフト17と、位置決め孔16とを有している。センターシャフト17は、載置台3の上面から突出するように載置台3に固定して設けられており、クランプ時にはワークWに形成される貫通孔W1に嵌挿する。また、位置決め孔16は、付勢部材6の下端部に設けられており、クランプ時にはセンターシャフト17の先端部が嵌合する。センターシャフト17は、棒状のシャフトや長尺のピン等であればよく、形状や大きさは特に限定されるものではない。
【0047】
なお、位置決め手段15は、前記した構成に限定されるものではなく、付勢部材6および載置台3の少なくとも一方に配設され、ワークWに設けられる孔または凸部と嵌合するものであってもよい。このような構成によれば、付勢部材6と載置台3とによってワークWを安定した状態で狭持することができる。
【0048】
例えば、位置決め手段15は、載置台3の上面から突出するように載置台3に設けられ、ワークWに形成される貫通孔W1に嵌挿する第1の位置決め軸と、付勢部材6の下面から突出するように付勢部材6に設けられ、ワークWに形成される貫通孔W1に嵌挿する第2の位置決め軸とを有する構成とされてもよい。この場合、第1の位置決め軸および第2の位置決め軸の一方のみが設けられる構成であってもよい。また、第1の位置決め軸や第2の位置決め軸の設置数は、単数であってもよく、複数であってもよい。
【0049】
支持部材7は、付勢部材6を揺動かつ回転自在に、クランプアーム13の先端側に配設するための部材である。本実施形態では、支持部材7は、付勢部材6を支持する球面座18と、球面座18と球面接触して該球面座18を揺動自在に支持する球面座支持体19と、付勢部材6を回転自在に軸支する軸受20とを備えている。このように、球面座18、球面座支持体19、および軸受20を備えることによって、クランプアーム13の撓みや傾斜に対して、付勢部材6は姿勢を良好に保つことができ、ワークWに対する適切な押圧状態を維持できる。
【0050】
軸受20は、載置台3の中心軸CL2と同軸に配置されるラジアル軸受23およびスラスト軸受24を有している。ラジアル軸受23は、付勢部材6の支持部29の外周面に嵌合されており、スラスト軸受24は、ラジアル軸受23のアウタレースと付勢部材6の段差面30との間に装着されている。
【0051】
ラジアル軸受23およびスラスト軸受24の2種類の軸受を組み合わせることによって、載置台3の中心軸CL2に垂直な方向に作用するラジアル荷重をより確実に受けることができるとともに、載置台3の中心軸CL2に沿う方向に作用するスラスト荷重をより確実に受けることができる。したがって、クランプまたはアンクランプ時の負荷を軽減しながら安定した回転を維持することができる。さらに、付勢部材6や、ワークWの加工時における振動や経年による偏心を抑制することができる。すなわち、より効果的にワークWに対する適切な押圧状態を維持することができる。
【0052】
球面座18は、付勢部材6の支持部29の外周面にラジアル軸受23を介して嵌合されている。球面座支持体19は、クランプアーム13の先端側の上面に固定して取り付けられている。球面座18と球面座支持体19とは、互いに、球面座18の球面形状の凸面21と球面座支持体19の球面形状の凹面22とが球面接触することで、付勢部材6を揺動自在に安定的に支持できる。
【0053】
球面座18の凸面21や球面座支持体19の凹面22に対して、表面処理を行うこともできる。例えば、ショットピーニング処理、熱処理、硬化膜形成処理等の表面処理を行うことによって、球面座18の凸面21や球面座支持体19の凹面22の摺動性を向上させ、クランプとアンクランプを繰り返すことによる摩耗を抑制することができ、クランプ装置1の寿命の長期化を図ることができる。
【0054】
また、支持部材7は、球面座18を球面座支持体19に向かって付勢する弾性部材25を備えている。この弾性部材25は、付勢部材6の径方向外側であって、球面座18の下部に、環状のスペーサ33を介して配設される。弾性部材25のスペーサ33と反対側の端面は、クランプアーム13の下面に固定して取り付けられた下側支持体34によって支持される。
【0055】
弾性部材25を備えることによって、クランプアーム13の撓みや傾斜が多方向に発生する場合であっても、より柔軟にクランプアーム13の撓みや傾斜の変化を弾性部材25によって受けて緩衝させることができ、加工精度を向上させることができる。弾性部材25としては、例えば、コイルばね、皿ばね、竹の子ばね等を利用することができる。
【0056】
次に、前記のように構成されたクランプ装置1を用いたワークWのクランプ方法について説明する。
【0057】
本実施形態に係るクランプ方法では、ワークWを回転自在な載置台3に載置するステップAと、揺動かつ回転自在に配設された付勢部材6をワークWの上面に押圧するステップBと、付勢部材6による押圧後にワークWを加工するステップCと、加工後のワークWを取り外すステップDとが順次行われる。
【0058】
ステップAにおいて、ワークWの中心軸上に形成された貫通孔W1にセンターシャフト17を挿入することで、ワークWの位置が設定される。ここで、ステップAでは、駆動手段5におけるピストン9、ピストン軸10は上方に押し上げられた状態となっている(
図4参照)。
図4では、クランプアーム13に配設された付勢部材6が載置台3の直上方に位置するように描かれているが、実際には、クランプアーム13は、
図2に示すB方向に旋回された旋回方向位置(
図2において2点鎖線で示す)にあり、付勢部材6が載置台3の直上方から離隔されている。このため、ワークWを載置台3に容易に載置することができる。
【0059】
ステップBにおいて、駆動手段5を起動するステップB1と、ピストン軸10、クランプアーム13、および付勢部材6を下方移動させるステップB2と、ワークWを押圧して固定するステップB3とが順次行われる。
【0060】
ステップB1では、駆動源4から駆動手段5の流体圧供給口26に対して、流体圧を供給することによって、駆動手段5が起動させられる。なお、駆動手段5の起動時点では、駆動手段5におけるピストン9、ピストン軸10は上方に押し上げられた状態のままである。
【0061】
ステップB2では、駆動手段5における流体圧供給口26から供給される流体圧がシリンダ8内のピストン9の上側に付加されることによって、ピストン9が下方へ押し下げられる。これによって、ピストン軸10が回転するとともに下方へ押し下げられる。さらに、ピストン軸10に連結しているクランプアーム13も連動して旋回しながら下方へ押し下げられる。ただし、クランプアーム13は、ステップB1における位置からワークWの方へ向けて垂直方向に押し下げさげられる場合や、ステップB1における位置からワークWの方へ向けて旋回しながら押し下げれる場合等、適宜設定することが可能である。
【0062】
ステップB3では、クランプアーム13および付勢部材6が押し下げられる結果、ワークWが付勢部材6によって押圧されてクランプされると同時に、センターシャフト17の先端部が、付勢部材6の下端部に設けられた位置決め孔16に嵌合する。そして、付勢部材6の中心軸CL1と載置台3の中心軸CL2とを同軸に保ちながら付勢部材6の下面と載置台3の上面との間にワークWが挟持される。ここで、駆動手段5の付勢力を維持することで、クランプ状態を維持することができる。したがって、付勢部材6の中心軸CL1とワークWの中心軸とをより確実に同軸に保ちながら、付勢部材6と載置台3とによってワークWを安定した状態で狭持することができる。
【0063】
ステップCにおいて、工作機械Kの工具(図示せず)等によって、ワークWが加工される。
【0064】
そして、ステップDにおいて、駆動源4からシリンダ8内のピストン9の上側への流体圧の供給を停止し、前記したステップBとは逆の動きをすることによって、ワークWをアンクランプする。ここで、ピストン9は、シリンダ8内のピストン9の下側に流体圧が供給されるか、あるいは別途ピストン9の下方に設置されたばね部材(図示せず)によって、上方へ押し上げられる。その後、ワークWを載置台3から取り外すことによって、作業は完了する。
【0065】
前記したように、本実施形態によれば、付勢部材6が揺動かつ回転自在にクランプアーム13に配設されているため、クランプアーム13の撓みや傾斜に対して、付勢部材6はワークWに対する姿勢を良好に保つことができ、ワークWに対する適切な押圧状態を維持できる。
したがって、加工時にワークWが回転方向に滑ることがなく、クランプ力が確保される。また、クランプ力が円周方向に沿ってより均一になるため、ワークWや、ワークWの載置台3、軸受20等のクランプ装置1に損傷を与えることもない。さらに、付勢部材6の中心軸CL1とワークWの中心軸とのずれが抑えられるため、付勢部材6の回転追従性が保たれるとともに、ワークWを載置する載置台3の中心軸CL2が振られることがなく、ワークWの回転精度、ひいては、加工精度を適切に確保できる。
すなわち、ワークWを押圧する付勢部材6が配設されるクランプアーム13に撓みや傾斜が発生した場合でも、ワークWを良好にクランプすることができる。
【0066】
以上の通り、本発明を実施形態に従って説明したが、本発明は、前記した実施形態の構成に限定されるものではなく、各種バリエーションに応じて仕様等を適宜変更することができる。
【0067】
例えば、前記した実施形態では、クランプ装置1は、テーブル2を水平に保持した状態で使用される場合について説明したが、これに限定されるものではなく、クランプ装置1は、テーブル2を水平面に対して傾斜あるいは反転させた状態でも使用され得る。また、クランプ装置1は、縦型の工作機械に適用される場合に限定されるものではなく、例えば直交する3軸と回転する2軸を持つ5軸制御が可能な横型の工作機械にも適用され得る。