(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、図中に示した矢印Uの方向を上方向、矢印Dの方向を下方向、矢印Lの方向を左方向、矢印Rの方向を右方向、矢印Fの方向を前方向、矢印Bの方向を後方向とそれぞれ定義して、説明を行う。
【0026】
以下では、
図1から
図5までを用いて、本発明の一実施形態(第一実施形態)に係る芝刈機1の全体的な構成について説明する。
【0027】
芝刈機1は、作業者が搭乗して走行すると共に、地面に対して所定の作業(芝刈作業)を行うことが可能なものである。芝刈機1は、主として走行機体10、原動部20、駆動輪30L及び駆動輪30R、搭乗部40、従動輪60L及び従動輪60R、ハンドル70、モーアユニット90並びに連結機構100を具備する。
【0028】
走行機体10は、左右一対の駆動輪30L及び駆動輪30Rによって支持される。走行機体10には、左右一対の駆動輪30L及び駆動輪30Rを駆動するための原動部20が設けられる。走行機体10の後部には作業者が搭乗する搭乗部40が連結される。搭乗部40の左右両端部には、従動輪60L及び従動輪60Rがそれぞれ設けられる。走行機体10の上部にはハンドル70が連結され、上方に向かって延びるように設けられる。走行機体10の前部には、連結機構100を介して、草刈り(特に、芝刈り)用の作業装置であるモーアユニット90が連結される。
【0029】
このように構成された芝刈機1において、作業者は搭乗部40に乗ってハンドル70を手で掴むことで、芝刈機1に安定して搭乗することができる。また作業者は、所定の操作を行うことで、左右一対の駆動輪30L及び駆動輪30Rをそれぞれ独立して駆動させ、芝刈機1を任意に走行させることができる。すなわち作業者は、芝刈機1を左右へ任意に操舵しながら前進又は後進させ、またその場で旋回させることができる。また作業者は、所定の操作を行うことで、モーアユニット90を駆動させ、芝刈作業を行うことができる。
【0030】
以下では、芝刈機1の各部の構成について説明する。
【0031】
図1から
図7までに示す走行機体10は、主として機体フレーム11及び機体カバー12を具備する。
【0032】
図4から
図7までに示す機体フレーム11は、走行機体10の主たる構造体となるものである。機体フレーム11は、適宜折り曲げられた複数の円筒状の部材や、板状の部材を組み合わせて形成される。機体フレーム11によって囲まれた空間が、後述する原動部20の構成部材を収容するための収容空間Sとなる。
【0033】
図1及び
図2に示す機体カバー12は、機体フレーム11の収容空間Sを覆うように当該機体フレーム11に固定される。当該機体カバー12によって、機体フレーム11や当該機体フレーム11に設けられる機器(後述する原動部20)を覆い隠すことができる。
【0034】
図4から
図7までに示す原動部20は、駆動輪30L及び駆動輪30Rを駆動するための動力を発生させると共に当該動力を駆動輪30L及び駆動輪30Rへと伝達するためのものである。原動部20は、主としてバッテリ21、左側モータ22L及び右側モータ22R、左側動力伝達機構23L及び右側動力伝達機構23R並びにコントローラボックス24を具備する。
【0035】
バッテリ21は、芝刈機1を運転させるための電力が蓄えられるものである。バッテリ21は、収容空間Sの下部において、当該収容空間Sの前端部から後端部までに亘るように配置される。
【0036】
左側モータ22L及び右側モータ22Rは、左右一対の駆動輪30L及び駆動輪30Rをそれぞれ独立して駆動させるための動力源である。左側モータ22L及び右側モータ22Rは、供給される電力を用いて回転動力を発生させることができる。左側モータ22L及び右側モータ22Rは、収容空間S内に左右に並べて配置される。左側モータ22L及び右側モータ22Rは、バッテリ21のすぐ上方で、かつ収容空間Sの前後略中央部に配置される。
【0037】
左側動力伝達機構23L及び右側動力伝達機構23Rは、左側モータ22L及び右側モータ22Rからの動力を適宜減速させた後に、左右一対の駆動輪30L及び駆動輪30Rにそれぞれ伝達するためのものである。左側動力伝達機構23Lは左側モータ22Lに連結され、機体フレーム11の左側面に固定される。右側動力伝達機構23Rは右側モータ22Rに連結され、機体フレーム11の右側面に固定される。左側動力伝達機構23Lの車軸(出力軸)は駆動輪30Lに、右側動力伝達機構23Rの車軸は駆動輪30Rに、それぞれ連結される。左側動力伝達機構23Lの車軸と右側動力伝達機構23Rの車軸は同一軸線上に配置されているため、左右一対の駆動輪30L及び駆動輪30Rが同一軸線上に配置されることになる。
【0038】
コントローラボックス24は、芝刈機1の運転を制御するための機器(具体的には、後述する制御部24a、左側インバータ24b、右側インバータ24c、左側作業用インバータ24d及び右側作業用インバータ24e等)を収容するものである。コントローラボックス24は、収容空間Sの上部において、左側モータ22L及び右側モータ22Rの前方から上方を介して後方に亘るように配置される。
なお、コントローラボックス24に収容された制御部24a等については後述する。
【0039】
駆動輪30L及び駆動輪30Rは、本発明に係る車輪の実施の一形態である。駆動輪30L及び駆動輪30Rは、走行機体10を支持すると共に、回転することで当該走行機体10を走行させるためのものである。駆動輪30L及び駆動輪30Rは、原動部20(左側動力伝達機構23L及び右側動力伝達機構23R)を介して走行機体10を支持する。
【0040】
図6から
図9までに示す搭乗部40は、走行機体10の後方に配置されると共に当該走行機体10に連結され、作業者が搭乗可能なものである。搭乗部40は、主として第一部材41及び第二部材43を具備する。
【0041】
第一部材41は、板状の部材である。第一部材41は、主として中央部41a、左側部41b及び右側部41cを具備する。
【0042】
中央部41aは、平面視矩形状に形成された部分である。左側部41b及び右側部41cは、第一部材41の左端部及び右端部をそれぞれ盛り上がるように折り曲げて形成された部分である。中央部41aの底面は、機体フレーム11の後端部に連結される。
【0043】
第二部材43は、板状の部材である。第二部材43は、平面視において、第一部材41の中央部41aよりも一回り小さい矩形状に形成される。第二部材43の左右中央部には、仕切り部43aが形成される。仕切り部43aは、第二部材43の左右中央部を前後に亘って盛り上げるように形成された部分である。仕切り部43aの前端部には、当該仕切り部43aの内部と外部とを連通する開口部43bが形成される。仕切り部43aによって、第二部材43の上面が左右に仕切られることになる。
【0044】
このように仕切られた第二部材43の上面のうち左側の面を、作業者の左足を載せるための左側足載せ面44Lとする。また同様に、第二部材43の上面のうち右側の面を、作業者の右足を載せるための右側足載せ面44Rとする。第二部材43に仕切り部43aを形成することで、作業者の左足を載せる部分及び右足を載せる部分を明確に区別することができる。第二部材43は、第一部材41の中央部41aの上部に配置される。
【0045】
また、第一部材41と第二部材43との間には、複数の荷重センサ(左前部荷重センサ50a、左後部荷重センサ50b、右前部荷重センサ50c及び右後部荷重センサ50d)が配置される。具体的には、第一部材41の上面に配置された当該複数の荷重センサの上に第二部材43が載置される。当該複数の荷重センサは、第二部材43に加わる荷重(具体的には、第二部材43に搭乗した作業者による荷重)を検出することができる。
【0046】
左前部荷重センサ50aは、平面視において第二部材43の左側足載せ面44Lの前端部近傍に配置される。
左後部荷重センサ50bは、平面視において左前部荷重センサ50aの後方、かつ第二部材43の左側足載せ面44Lの後端部近傍に配置される。
右前部荷重センサ50cは、平面視において第二部材43の右側足載せ面44Rの前端部近傍(仕切り部43aを挟んで左前部荷重センサ50aと対称な位置)に配置される。
右後部荷重センサ50dは、平面視において第二部材43の右側足載せ面44Rの後端部近傍(仕切り部43aを挟んで左後部荷重センサ50bと対称な位置)に配置される。
【0047】
このように、左前部荷重センサ50a及び右前部荷重センサ50cと、左後部荷重センサ50b及び右後部荷重センサ50dとは、前後方向に位置をずらして配置される。また、左前部荷重センサ50a及び左後部荷重センサ50bと、右前部荷重センサ50c及び右後部荷重センサ50dとは、左右方向に位置をずらして配置される。
【0048】
左前部荷重センサ50a、左後部荷重センサ50b、右前部荷重センサ50c及び右後部荷重センサ50dに接続された配線51は、左右中央へと集められ、第二部材43の仕切り部43a内の空間を通って前方へと案内される。当該配線51は、開口部43bを介して仕切り部43aの外部へと案内され、後述する制御部24aに接続される。
【0049】
従動輪60L及び従動輪60Rは、搭乗部を支持するものである。従動輪60L及び従動輪60Rは、それぞれ第一部材41の左側部41b及び右側部41cの下部に設けられる。従動輪60L及び従動輪60Rは非駆動輪であり、芝刈機1の移動に応じて自在に向きを変えながら回転することが可能である。
【0050】
図2から
図7までに示すハンドル70は、走行機体10に対して左右に揺動可能に連結されるものである。ハンドル70は、主として支点軸71、ハンドル本体部72、把持部73、作業スイッチ74、スライド制御切替スイッチ75及びスライド調節スイッチ76を具備する。
【0051】
図6及び
図7に示す支点軸71は、ハンドル70の揺動支点となるものである。支点軸71は、その長手方向を前後方向に向けた状態で、機体フレーム11の上端部に回動可能に支持される。
【0052】
図2から
図4までに示すハンドル本体部72は、ハンドル70の主たる構造体となるものである。ハンドル本体部72は、走行機体10の後上部から上方に向かって延びるように設けられる。ハンドル本体部72の下端部は、支点軸71の後端部に固定される。これによって、ハンドル本体部72が走行機体10に対して左右に揺動可能に連結される。
【0053】
図2から
図4までに示す把持部73は、搭乗部40に搭乗した作業者が手で握ることが可能な部分である。把持部73は、ハンドル本体部72の上端部から左右に向かって延びるように形成される。把持部73の高さ(すなわち、ハンドル本体部72の上端部の高さ)は、搭乗部40に搭乗した作業者が手で握り易い高さ(例えば、作業者の胸と同等の高さ(
図1参照))になるように予め設定される。
【0054】
作業スイッチ74は、後述するモーアユニット90の運転の入り切りを切り替えるための操作具である。作業スイッチ74は、ハンドル本体部72の上下中途部に設けられる。
【0055】
スライド制御切替スイッチ75は、後述するスライド制御を実行するか否かを切り替えるための操作具である。スライド制御切替スイッチ75は、ハンドル本体部72の上下中途部に設けられる。
【0056】
スライド調節スイッチ76は、本発明に係る調節操作手段の実施の一形態である。スライド調節スイッチ76は、作業者がモーアユニット90の左右方向の位置を任意に調節するための操作具である。スライド調節スイッチ76は、把持部73に設けられる。
【0057】
このように構成されたハンドル70において、作業者は、把持部73を握って、支点軸71を揺動支点としてハンドル本体部72(ハンドル70)を左右に揺動操作することができる。
【0058】
また、
図6に示すように、支点軸71の前端部には回転角センサ80が連結される。回転角センサ80は、ポテンショメータによって構成される。回転角センサ80は、機体フレーム11の上端部に固定されると共に、支点軸71の前端部に連結される。これによって、回転角センサ80は支点軸71の回転角度を検出することができ、ひいてはハンドル70の揺動操作量を検出することができる。
【0059】
図4から
図6までに示すモーアユニット90は、本発明に係る作業装置の実施の一形態であり、芝刈作業を行うためのものである。モーアユニット90は、主としてモーアデッキ95、ブレード91、ブレードモータ92及びゲージ輪93を具備する。
【0060】
モーアデッキ95は、モーアユニット90の主たる構造体となるものである。モーアデッキ95は、底面が開放された略箱状に形成される。モーアデッキ95の右端部には、当該モーアデッキ95の内部と外部とを連通する排出口95a(
図5参照)が形成される。当該排出口95aは、案内部材95bによって上方から覆われる。モーアデッキ95は、後述する連結機構100を介して走行機体10に連結される。
【0061】
ブレード91は、回転動力によって駆動され、芝を刈り取る(芝刈作業を行う)ものである。ブレード91は、モーアデッキ95内に略左右方向に2つ並べて配置される。以下では、左側に配置されるブレード91を左側ブレード91L、右側に配置されるブレード91を右側ブレード91Rと記す。
【0062】
ブレードモータ92は、電力を用いてブレード91を回転させるための回転動力を発生させるものである。ブレードモータ92は、2つのブレード91にそれぞれ対応して設けられる。ブレードモータ92はモーアデッキ95の上部に設けられる。ブレードモータ92の出力軸は下方(モーアデッキ95内)に向かって延びるように設けられ、ブレード91にそれぞれ連結される。2つのブレードモータ92の回転数は、それぞれ任意に変更することができる。以下では、左側ブレード91Lに対応して設けられるブレードモータ92を左側ブレードモータ92L、右側ブレード91Rに対応して設けられるブレードモータ92を右側ブレードモータ92Rと記す。
【0063】
ゲージ輪93は、モーアデッキ95を支持するものである。ゲージ輪93は、モーアデッキ95の前端部に設けられる。ゲージ輪93は非駆動輪であり、芝刈機1の移動に応じて自在に向きを変えながら回転することが可能である。
【0064】
図10及び
図11に示す連結機構100は、モーアユニット90を走行機体10に対して連結するためのものである。モーアユニット90は、主として左右スライド機構110及び昇降機構120を具備する。
【0065】
左右スライド機構110は、モーアユニット90の位置を走行機体10に対して左右に変更するためのものである。左右スライド機構110は、主としてリンク部111、スライドフレーム112及びスライドシリンダ113を具備する。
【0066】
リンク部111は、後述するスライドフレーム112を走行機体10に対して左右に移動可能となるように、当該走行機体10に連結するものである。リンク部111は3つ設けられる。リンク部111は、機体フレーム11の前部の左右中央上部、左下部及び右下部にそれぞれ設けられる。リンク部111は、主として後部ブラケット111a、前部ブラケット111b及びスライドアーム111cを具備する。
【0067】
後部ブラケット111aは、後述するスライドアーム111cの後部を回動可能に支持するものである。後部ブラケット111aは、前方が解放された略U字状に形成される。後部ブラケット111aは、機体フレーム11の前部の左右中央上部、左下部及び右下部にそれぞれに固定される。
【0068】
前部ブラケット111bは、後述するスライドアーム111cの前部を回動可能に支持するものである。前部ブラケット111bは、後方が解放された略U字状に形成される。前部ブラケット111bは、後述するスライドフレーム112の背面の左右中央上部、左下部及び右下部にそれぞれに固定される。
【0069】
スライドアーム111cは、後部ブラケット111aと前部ブラケット111bとを連結するものである。スライドアーム111cは、長手方向を略前後方向に向けて水平に配置される。スライドアーム111cの後端部は、後部ブラケット111aに対して、上下方向の回動軸を中心として回動可能に連結される。スライドアーム111cの前端部は、前部ブラケット111bに対して、上下方向の回動軸を中心として回動可能に連結される。
【0070】
スライドフレーム112は、左右スライド機構110を後述する昇降機構120と連結するための部材である。スライドフレーム112は、3つのリンク部111の前部ブラケット111bを互いに連結するように(本実施形態においては、正面視三角形状に)形成される。
【0071】
スライドシリンダ113は、リンク部111のスライドアーム111cを回動させるためのアクチュエータである。スライドシリンダ113は、電力によって伸縮可能な電動シリンダである。スライドシリンダ113の一端は、機体フレーム11の前部の下部に回動可能に連結される。スライドシリンダ113の他端は、左下部に設けられたスライドアーム111cの中途部に回動可能に連結される。
【0072】
このように構成された左右スライド機構110において、スライドシリンダ113を伸縮させることにより、スライドアーム111cを後部ブラケット111aに対して左右に回動させることができる。これによって、前部ブラケット111bを介して当該スライドアーム111cに連結されたスライドフレーム112を、走行機体10に対して左右に移動(スライド)させることができる。
【0073】
昇降機構120は、モーアユニット90の位置を走行機体10に対して上下に変更するためのものである。昇降機構120は、主として昇降アーム121、昇降フレーム122及び昇降シリンダ123を具備する。
【0074】
昇降アーム121は、後述する昇降フレーム122をスライドフレーム112に対して上下に移動可能となるように、当該スライドフレーム112に連結するものである。昇降アーム121は3つ設けられる。昇降アーム121は、スライドフレーム112の前面の左右中央上部、左下部及び右下部にそれぞれ連結される。昇降アーム121の後端部は、スライドフレーム112に対して、左右方向の回動軸を中心として回動可能に連結される。昇降アーム121の前端部は、後述する昇降フレーム122に対して、左右方向の回動軸を中心として回動可能に連結される。
【0075】
昇降フレーム122は、昇降機構120をモーアユニット90と連結するための部材である。昇降フレーム122は、3つの昇降アーム121を互いに連結するように形成される。昇降フレーム122は、モーアデッキ95の後上部に固定される。
【0076】
昇降シリンダ123は、昇降アーム121を回動させるためのアクチュエータである。昇降シリンダ123は、電力によって伸縮可能な電動シリンダである。昇降シリンダ123の一端は、昇降フレーム122の下部に回動可能に連結される。昇降シリンダ123の他端は、上部に設けられた昇降アーム121の中途部に回動可能に連結される。
【0077】
このように構成された昇降機構120において、昇降シリンダ123を伸縮させることにより、昇降アーム121を昇降フレーム122に対して上下に回動させることができる。これによって、昇降フレーム122に連結されたモーアデッキ95(モーアユニット90)を、走行機体10に対して上下に移動(昇降)させることができる。
【0078】
また、このように構成された連結機構100において、上述の如くスライドシリンダ113を伸縮させることにより、スライドフレーム112を左右に移動(スライド)させることができる。当該スライドフレーム112には、昇降機構120を介してモーアユニット90が連結されているため、スライドシリンダ113を伸縮させることで、モーアユニット90を走行機体10に対して左右に移動(スライド)させることができる。
【0079】
以下では、
図12を用いて、芝刈機1の運転を制御するための構成について説明する。
【0080】
制御部24aは、本発明に係る制御装置の実施の一形態であり、接続された各機器の動作を制御するものである。制御部24aは、記憶部、演算処理部等により構成される。制御部24aには、各機器を制御するためのプログラムや種々のデータが記憶される。
【0081】
制御部24aは左前部荷重センサ50a、左後部荷重センサ50b、右前部荷重センサ50c及び右後部荷重センサ50dに接続され、これらの荷重センサによる荷重の検出結果を受信することができる。
制御部24aは回転角センサ80に接続され、当該回転角センサ80によるハンドル70の揺動操作量の検出結果を受信することができる。
制御部24aは作業スイッチ74に接続され、当該作業スイッチ74の操作に関する信号を受信することができる。
制御部24aはスライド制御切替スイッチ75に接続され、当該スライド制御切替スイッチ75の操作に関する信号を受信することができる。
制御部24aはスライド調節スイッチ76に接続され、当該スライド調節スイッチ76の操作に関する信号を受信することができる。
【0082】
制御部24aは左側インバータ24bに接続され、当該左側インバータ24bの運転を制御することができる。制御部24aは、左側インバータ24bを介してバッテリ21(
図6等参照)からの電力を左側モータ22Lへと任意に供給することで、駆動輪30Lの回転速度を任意に制御することができる。
制御部24aは右側インバータ24cに接続され、当該右側インバータ24cの運転を制御することができる。制御部24aは、右側インバータ24cを介してバッテリ21からの電力を右側モータ22Rへと任意に供給することで、駆動輪30Rの回転速度を任意に制御することができる。
【0083】
制御部24aは左側作業用インバータ24dに接続され、当該左側作業用インバータ24dの運転を制御することができる。制御部24aは、左側作業用インバータ24dを介してバッテリ21からの電力を左側ブレードモータ92Lへと任意に供給することで、左側ブレード91Lの回転速度を任意に制御し、芝刈作業を行うことができる。
制御部24aは右側作業用インバータ24eに接続され、当該右側作業用インバータ24eの運転を制御することができる。制御部24aは、右側作業用インバータ24eを介してバッテリ21からの電力を右側ブレードモータ92Rへと任意に供給することで、右側ブレード91Rの回転速度を任意に制御し、芝刈作業を行うことができる。
【0084】
制御部24aは左右スライド機構110のスライドシリンダ113に接続され、当該スライドシリンダ113の長さを変更することができる。制御部24aは、スライドシリンダ113の長さを変更することで、走行機体10に対するモーアユニット90(モーアデッキ95)の左右方向の位置を変更することができる。
制御部24aは、昇降機構120の昇降シリンダ123に接続され、当該昇降シリンダ123の長さを変更することができる。ハンドル70に設けられるモーア高さ調節スイッチ(不図示)が操作されると、制御部24aは当該モーア高さ調節スイッチの操作量に応じて昇降シリンダ123の長さを変更し、ひいては走行機体10に対するモーアユニット90(モーアデッキ95)の高さを変更することができる。
【0085】
以下では、上述の如く構成された芝刈機1を作業者が運転する際に、制御部24aによって行われる制御について説明する。
まず、芝刈機1を走行(前進又は後進)させる際に、制御部24aによって行われる制御について説明する。
【0086】
芝刈機1を運転する場合、作業者は搭乗部40に搭乗し、ハンドル70の把持部73を手で握る(
図1参照)。この際、作業者の左足は左側足載せ面44Lに、右足は右側足載せ面44Rにそれぞれ載置される(
図9参照)。
【0087】
作業者が体重を前後に移動させる(具体的には、爪先又は踵に体重をかける)と、制御部24aは当該作業者の前後への体重移動に基づいて、芝刈機1を前進又は後進させる。以下、具体的に説明する。
【0088】
制御部24aは、複数の荷重センサ(左前部荷重センサ50a、左後部荷重センサ50b、右前部荷重センサ50c及び右後部荷重センサ50d)によって常時検出される荷重に基づいて、作業者の前後への体重移動を算出する。具体的には、制御部24aは、左前部荷重センサ50a及び右前部荷重センサ50cによって検出される荷重の合計値と、左後部荷重センサ50b及び右後部荷重センサ50dによって検出される荷重の合計値とのバランスの変化から、作業者の体重移動を算出する。
【0089】
なお、体重移動の算出の基準となる前記複数の荷重センサの検出値(前進も後進もしない時の検出値)は任意の方法で設定することができる。例えば、予め制御部24aに記憶させておくことや、作業者が搭乗部40に搭乗した際の前記複数の荷重センサの検出値を制御部24aに記憶させる構成とすることが可能である。
【0090】
制御部24aは、作業者の体重移動が発生したと判断した場合には左側モータ22L及び右側モータ22Rに電力を供給し、駆動輪30L及び駆動輪30Rを駆動させる。具体的には、前方への体重移動が発生した場合には、制御部24aは駆動輪30L及び駆動輪30Rを前転させ、芝刈機1を前進させる。また、後方への体重移動が発生した場合には、制御部24aは駆動輪30L及び駆動輪30Rを後転させ、芝刈機1を後進させる。また制御部24aは、作業者の体重移動量が大きいほど駆動輪30L及び駆動輪30Rの回転速度を増加させ、芝刈機1を高速で前進又は後進させる。
【0091】
また、作業者がハンドル70を左右に揺動させると、制御部24aは当該ハンドル70の揺動操作量に基づいて、芝刈機1を左又は右に旋回させる。以下、具体的に説明する。
【0092】
制御部24aは、回転角センサ80によって常時検出されるハンドル70の揺動操作量に基づいて、左側モータ22L及び右側モータ22Rに電力を供給し、駆動輪30L及び駆動輪30Rを駆動させる。具体的には、制御部24aは、ハンドル70が左へと揺動操作されると、駆動輪30Lを後転させると共に駆動輪30Rを前転させ、芝刈機1をその場で左方向へと旋回させる。また制御部24aは、ハンドル70が右へと揺動操作されると、駆動輪30Lを前転させると共に駆動輪30Rを後転させ、芝刈機1をその場で右方向へと旋回させる。
【0093】
さらに制御部24aは、作業者の体重移動とハンドル70の揺動操作が同時に行われると、芝刈機1を前進又は後進させながら左右へと旋回(すなわち、左折又は右折)させることができる。このように、作業者は体重移動とハンドル70の揺動操作を行うことで、直感的に芝刈機1を運転することができる。
【0094】
次に、芝刈機1のモーアユニット90を用いて芝刈作業を行う際に、制御部24aによって行われる制御について説明する。
【0095】
作業者が作業スイッチ74を操作(ON操作)すると、制御部24aはブレードモータ92に電力を供給し、ブレード91を回転させる。この状態で芝刈機1を走行させることで、芝刈作業を行うことができる。
【0096】
作業スイッチ74がON操作され、かつスライド制御切替スイッチ75がON操作されている状態で、芝刈機1が左右へと旋回された場合、制御部24aは芝刈機1の旋回方向に応じて、スライドシリンダ113を伸縮させる。具体的には、制御部24aは、芝刈機1の旋回方向と同じ側(芝刈機1が左に旋回する場合には左側、右に旋回する場合には右側)にモーアユニット90が移動するように、スライドシリンダ113を伸縮させる。これによって、芝刈作業を行う場合には、芝刈機1の旋回方向内側にモーアユニット90を移動させることができる。このような制御部24aによるスライドシリンダ113の伸縮(モーアユニット90の左右への移動)の制御を、以下では単に「スライド制御」と記す。
【0097】
なお、本実施形態に係る芝刈機1においては、モーアデッキ95の右端部に排出口95a及び案内部材95bが設けられている。このため芝刈機1は、原則的には左方向にのみ旋回(排出口95aが旋回方向外側となるように旋回)しながら芝刈作業を行うものとする。
【0098】
さらに作業者が作業スイッチ74を操作(OFF操作)すると、制御部24aはブレードモータ92への電力の供給を停止し、ブレード91の回転を停止させる。これによって、芝刈機1は芝刈作業を終了する。
なお、作業スイッチ74又はスライド制御切替スイッチ75の少なくとも一方がOFF操作されている状態においては、制御部24aは、芝刈機1の旋回方向に応じてスライドシリンダ113を伸縮させることはない。この場合には、制御部24aは、スライドシリンダ113を予め定められた初期状態(モーアユニット90が、走行機体10に対して左右略中央に位置する長さ)まで伸縮させ、スライドシリンダ113を当該状態に維持する。
【0099】
以下では、制御部24aが行うスライド制御の詳細について説明する。
【0100】
スライド制御を行わないと仮定した場合、
図13に示すように、例えば花壇等の障害物BSの周囲の芝を刈る場合には、走行機体10とモーアユニット90との旋回半径の違いによって、芝を刈ることができない領域TYが生じる場合がある。すなわち、芝刈機1(内側の駆動輪30L)を障害物BSの縁に沿って走行させたとしても、モーアユニット90で領域TYの芝を刈ることができない。このような領域TYの芝は、別途手作業等で刈り取る必要がある。
【0101】
そこで、本実施形態に係る芝刈機1においては、
図14に示すように、モーアユニット90を走行機体10に対して旋回方向内側に移動(スライド)させるスライド制御を行う。当該スライド制御においては、走行機体10の旋回半径(例えば、後述する車輪旋回半径SWや機体旋回半径SBなど)に応じてモーアユニット90の位置を調節する。これによって、領域TYの芝を刈ることができ、作業性を向上させることができる。
【0102】
以下では、当該スライド制御において制御部24aが行う具体的な処理について説明する。なお、制御部24aは、作業スイッチ74がON操作され、かつスライド制御切替スイッチ75がON操作された場合に、スライド制御(
図17に示す処理)を行う。
【0103】
ここで、後述する
図17の処理を行う際には、芝刈機1の各種諸元(寸法等)が用いられる。具体的には、
図15及び
図16に示すように、左右の駆動輪の中間点G、駆動輪30Lの速度VL、駆動輪30Rの速度VR、左右の駆動輪(駆動輪30L及び駆動輪30R)の中心間の距離(トレッド)XD、駆動輪30L(駆動輪30R)の左右方向の幅である車輪幅W、スライドアーム111cの長さL、スライドアーム111cの前後方向を基準とした左右への回動角であるスライド角θ(
図16参照)、スライド角θ=0(度)の状態(
図15に示した状態)における中間点Gから左側ブレード91Lの中心までの左右方向の距離XL0、スライド角θ=0(度)の状態における中間点Gから右側ブレード91Rの中心までの左右方向の距離XR0、スライド角θ=0(度)の状態における中間点Gから左側ブレード91Lの中心までの前後方向の距離YL0、スライド角θ=0(度)の状態における中間点Gから右側ブレード91Rの中心までの前後方向の距離YR0及びブレード91の回転軌跡Kの半径KRが用いられる。
【0104】
上記速度VL及び速度VRは、左側モータ22L及び右側モータ22Rの単位時間あたりの回転数等から算出することができる。
上記トレッドXD、車輪幅W、長さL、距離XL0、距離XR0、及び半径KRは一定の値(芝刈機1の構成によって定まる値)であり、予め制御部24aに記憶される。
上記距離YL0及び距離YR0は、昇降機構120によって昇降されるモーアデッキ95の高さ(すなわち、昇降シリンダ123の長さ)に応じて変化する。そこで制御部24aには、昇降シリンダ123の長さと距離YL0及び距離YR0との関係を示すマップが予め記憶される。制御部24aは、昇降シリンダ123の長さ及び当該マップに基づいて、距離YL0及び距離YR0を算出することができる。
【0105】
上記スライド角θは、スライドシリンダ113の全長から算出することができる。
なお、本実施形態に係る芝刈機1は、原則的には左方向に旋回しながら芝刈作業を行う。そこで、本実施形態に係る芝刈機1においては、モーアユニット90は、走行機体10に対して左右中央となる位置(距離XL0と距離XR0とが等しくなる位置)から左方に向かって移動(スライド)可能となるように構成している。
【0106】
具体的には、スライド角θが最小値θ1(度)である場合に、モーアユニット90は走行機体10に対して左右中央に位置し、スライド角θが最大値θ2(度)である場合に、モーアユニット90は走行機体10に対して最も左方に移動する。なお、スライド角θの最小値θ1及び最大値θ2は、芝刈機1の各部材の寸法や重量バランス等に応じて任意に定めることができる。本実施形態においては、スライド角θの最小値θ1=0(度)であるものとする。
【0107】
図17のステップS101において、制御部24aは、車輪旋回半径SWがモーア最大旋回半径SM1よりも大きいか否かを判定する。
【0108】
ここで、車輪旋回半径SW(
図15及び
図16参照)とは、芝刈機1が旋回する際の、旋回方向内側の駆動輪(駆動輪30L又は駆動輪30R)の内側端部における旋回半径である。本実施形態においては、上述の如く、芝刈機1は原則的には左方向に旋回しながら芝刈作業を行う。従って本実施形態においては、車輪旋回半径SWは、駆動輪30Lの旋回方向内側端部(左端部)における旋回半径となる。車輪旋回半径SWは、以下の数1を数2に代入して算出することができる。
【0110】
ここで、上記数1における機体旋回半径SBは、左右の駆動輪の中間点Gにおける旋回半径である。
【0112】
制御部24aは、上記数2を用いて車輪旋回半径SWを算出することができる。
【0113】
また、モーア最大旋回半径SM1(
図15参照)とは、スライド角θが最小値θ1(すなわち、0(度))の状態におけるモーア旋回半径SMである。また、モーア旋回半径SMとは、ブレード91(左側ブレード91L又は右側ブレード91R)の回転軌跡の旋回方向(旋回半径方向)内側端部における旋回半径である。本実施形態においては、上述の如く、芝刈機1は原則的には左方向に旋回しながら芝刈作業を行う。従って本実施形態においては、モーア旋回半径SMは、左側ブレード91Lの回転軌跡Kの旋回方向内側端部(当該部分を点Fとする)における旋回半径となる。平面視における点Fの位置は、中間点Gを基準としてスライド角θ等を用いることで、幾何学的に算出することができる。
【0114】
例えば、スライド角θの値にかかわらず、中間点Gから左側ブレード91Lの中心までの前後方向の距離YL、及び中間点Gから左側ブレード91Lの中心までの左右方向の距離XL(
図16参照)は、以下の数3及び数4を用いてそれぞれ算出することができる。
【0117】
中間点Gの旋回半径(機体旋回半径SB)は数1で表されるため、当該中間点Gを基準として上記数3及び数4の値を用いることで、左側ブレード91Lの中心の旋回半径を、スライド角θ、速度VL及び速度VRの関数として算出することができる。さらに、当該左側ブレード91Lの中心の旋回半径から、左側ブレード91Lの回転軌跡Kの半径KRを差し引くことで、モーア旋回半径SMを、スライド角θ、速度VL及び速度VRの関数として算出することができる。当該モーア旋回半径SMにおいて、スライド角θ=0(度)を代入することで、モーア最大旋回半径SM1を算出することができる。
【0118】
ステップS101において、制御部24aは、車輪旋回半径SWがモーア最大旋回半径SM1よりも大きいと判定した場合、ステップS102に移行する。
制御部24aは、車輪旋回半径SWがモーア最大旋回半径SM1以下であると判定した場合、ステップS103に移行する。
【0119】
ステップS102において、制御部24aは、スライド角θが最小値θ1(すなわち、0(度))になるように、スライドシリンダ113の動作を制御する。
制御部24aは、当該ステップS102の処理を行った後、ステップS101に再び移行する。
【0120】
ステップS103において、制御部24aは、車輪旋回半径SWがモーア最小旋回半径SM2よりも小さいか否かを判定する。
ここで、モーア最小旋回半径SM2とは、スライド角θが最大値θ2(度)の状態におけるモーア旋回半径SMである。上述のモーア旋回半径SMにスライド角θ=θ2(度)を代入することで、モーア最小旋回半径SM2を算出することができる。
【0121】
ステップS103において、制御部24aは、車輪旋回半径SWがモーア最小旋回半径SM2よりも小さいと判定した場合、ステップS104に移行する。
制御部24aは、車輪旋回半径SWがモーア最小旋回半径SM2以上であると判定した場合、ステップS105に移行する。
【0122】
ステップS104において、制御部24aは、スライド角θが最大値θ2になるように、スライドシリンダ113の動作を制御する。
制御部24aは、当該ステップS104の処理を行った後、ステップS101に再び移行する。
【0123】
ステップS105において、制御部24aは、モーア旋回半径SMが車輪旋回半径SWと略一致するように、スライドシリンダ113の動作を制御する。
【0124】
ここで、モーア旋回半径SMが車輪旋回半径SWと略一致するとは、具体的には、モーア旋回半径SMが車輪旋回半径SWに対して所定範囲内の値になる、すなわち「SW−α1≦SM≦SW+α2」が成立することを意味している。上記α1及びα2は定数である。
α1及びα2の値は、車輪旋回半径SWに対して十分小さい値になるように設定される。これによって、モーア旋回半径SMが車輪旋回半径SWに対して上記所定範囲内の値となった場合には、当該モーア旋回半径SMは車輪旋回半径SWと略一致しているとみなすことができる。なお、α1とα2は同じ値であっても良い。
制御部24aは、当該ステップS105の処理を行った後、ステップS101に再び移行する。
【0125】
このように、車輪旋回半径SWがモーア最大旋回半径SM1よりも大きい場合には(ステップS101)、モーアユニット90(詳細には、左側ブレード91Lの内側端部)の旋回半径が走行機体10(詳細には、駆動輪30Lの内側端部)の旋回半径より小さくなるため、芝を刈ることができない領域TYが発生しない(
図14参照)。この場合には、制御部24aはスライド角θが最小値θ1(0(度))になるように、すなわちモーアユニット90を走行機体10に対して左右中央に位置するように、スライドシリンダ113の動作を制御する(ステップS102)。
【0126】
また、車輪旋回半径SWがモーア最小旋回半径SM2よりも小さい場合には(ステップS103)、モーアユニット90(詳細には、左側ブレード91Lの内側端部)の旋回半径が走行機体10(詳細には、駆動輪30Lの内側端部)の旋回半径より大きくなるため、モーアユニット90を走行機体10に対して最大限左方に移動させたとしても、芝を刈ることができない領域TY(
図13参照)が必ず発生する。この場合には、制御部24aはスライド角θが最大値θ2(度)になるように、すなわちモーアユニット90を走行機体10に対して最大限左方に位置するように、スライドシリンダ113の動作を制御する(ステップS104)。これによって、可能な限り芝を刈ることができない領域TYを小さくすることができる。
【0127】
また、車輪旋回半径SWがモーア最大旋回半径SM1以下、かつモーア最小旋回半径SM2以上である場合には(ステップS101及びステップS103)、制御部24aはモーア旋回半径SMが車輪旋回半径SWと略一致するように、スライドシリンダ113の動作を制御する。これによって、モーアユニット90(詳細には、左側ブレード91Lの内側端部)の旋回半径が走行機体10(詳細には、駆動輪30Lの内側端部)の旋回半径と略一致するため、芝を刈ることができない領域TYが生じないように芝刈作業を行うことができる(
図14参照)。
【0128】
また、本実施形態においては、モーア旋回半径SM(ブレード91の旋回方向内側端部における旋回半径)を用いてスライド制御を行うものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、モーア旋回半径SMに代えて、モーアデッキ95の旋回方向内側端部における旋回半径を用いてスライド制御を行うことも可能である。このように構成することによって、当該モーアデッキ95の旋回半径が車輪旋回半径SWと略一致するため、当該モーアデッキ95が駆動輪30Lよりも旋回方向内側にスライドして、障害物BSと接触するのを防止することができる。
【0129】
また、本実施形態においては、原則的に芝刈機1は左方向に旋回しながら芝刈作業を行うものとしてスライド制御の説明を行ったが、本発明はこれに限るものではなく、芝刈機1が右方向に旋回する場合にも適用することが可能である。この場合、
図17のステップS101の処理におけるモーア旋回半径SMは、右側ブレード91Rの回転軌跡Kの旋回方向内側短部における旋回半径となる。この場合には、中間点Gから右側ブレード91Rの中心までの前後方向の距離YR、及び中間点Gから右側ブレード91Rの中心までの左右方向の距離XR(
図16参照)は、上記数3及び数4に代えて、以下の数5及び数6を用いることでそれぞれ算出することができる。
【0132】
また、本実施形態においては、スライド制御の具体例として
図17に示した処理について説明したが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、モーアユニット90を左右に移動(スライド)させるための具体的な制御方法は限定するものではない。
【0133】
次に、芝刈作業中に芝刈機1をUターンさせる場合について説明する。
【0134】
通常、芝刈作業中に芝刈機1をUターンさせる場合、芝の刈残しが発生しないように当該芝刈機1を一旦後進させる。具体的には、
図18及び
図19に示すように、前方へと前進させていた芝刈機1を左方へと旋回させた後(矢印A1参照)、一旦右方へ向かって後進させる(矢印A2参照)。その後、再び芝刈機1を前進させると共に、芝の刈残しが発生しないように芝刈機1を左方へと旋回させ、後方に向かって直進させる(矢印A3参照)。なお、図中には、芝が刈り取られる領域TMを二点鎖線で示している。
【0135】
ここで、芝刈機1をUターンさせる際に、制御部24aが上述のスライド制御を実行する場合としない場合との違いについて説明する。
【0136】
制御部24aがスライド制御を実行しない場合のUターンの様子を
図18に示している。この場合においては、モーア旋回半径SMはモーア最大旋回半径SM1(比較的大きな旋回半径)となる。従って、芝の刈残しが発生しないようにUターンするためには、芝刈機1を大きく後進させる必要がある(
図18の矢印A2参照)。
【0137】
一方、制御部24aがスライド制御を実行する場合のUターンの様子を
図19に示している。この場合においては、モーア旋回半径SMは走行機体10の旋回半径(車輪旋回半径SW)に応じて制御される。
図19においては、一例としてモーア旋回半径SMがモーア最小旋回半径SM2となるように制御された場合を図示している。モーア最小旋回半径SM2は、モーア最大旋回半径SM1(
図18参照)よりも小さいため、芝刈機1をあまり後進させなくても(
図19の矢印A2参照)、芝の刈残しが発生しないようにUターンすることができる。このように、芝刈作業中に芝刈機1をUターンさせる場合にスライド制御を行うことで、芝刈機1の後進距離を短くすることができ、作業性を向上させることができる。
【0138】
なお、本実施形態においては、芝刈機1をUターンさせる場合にも、制御部24aはスライド制御(
図17参照)を行うものとして説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、芝刈機1をUターンさせる場合には、作業者がスライド調節スイッチ76を操作し、モーアユニット90を任意の位置に調節する構成とすることも可能である。
【0139】
この場合制御部24aは、走行機体10の旋回半径(車輪旋回半径SW)にかかわらず、スライド調節スイッチ76の操作に基づいてスライドシリンダ113を伸縮させ、モーアユニット90の位置を変更する。これによって、モーアユニット90を作業者の所望の位置に調節することができる。例えば、スライド調節スイッチ76を操作してモーアユニット90を最大限左方に移動させることで、走行機体10の旋回半径(車輪旋回半径SW)にかかわらずモーアユニット90を最大限左方に移動させ、芝の刈残しを確実に防止することができる。
【0140】
また、
図18及び
図19には、芝刈機1を一旦後進させてUターンする場合を例示したが、
図20に示すように、芝刈機1を後進させることなくUターンする場合も想定される。この場合においても、スライド制御を行わない場合(
図20(a)参照)に比べてスライド制御を行う場合(
図20(b)参照)の方がモーア旋回半径SMが小さくなる。これによって、旋回中心付近の芝の刈残しが発生する領域を小さくすることができ、作業性を向上させることができる。
【0141】
また、
図21に示すように、斜面で芝刈作業を行っている際に、モーアユニット90の側部(
図21においては右端部(破線で示した部分))が地面と干渉した場合には、作業者はスライド調節スイッチ76を操作してモーアユニット90を左右に(
図21においては左方に)移動させることで、当該地面との干渉を回避することができる。これによって、斜面の芝を傷つけるのを防止することができる。
【0142】
以上の如く、本実施形態に係る芝刈機1は、
芝刈作業を行うブレード91を有するモーアユニット90(作業装置)と、
左右に旋回可能な走行機体10と、
モーアユニット90を走行機体10に対して連結すると共に、走行機体10に対するモーアユニット90の位置を左右に変更可能な連結機構100と、
を具備するものである。
このように構成することにより、モーアユニット90の位置を左右に変更することができ、ひいては作業性を向上させることができる。
【0143】
また、芝刈機1は、
連結機構100の動作を制御する制御部24a(制御装置)をさらに具備し、
制御部24aは、
走行機体10の旋回方向と同じ側にモーアユニット90の位置を変更するものである。
このように構成することにより、旋回方向内側の刈残しを防止することができ、作業性を向上させることができる。
【0144】
また、制御部24aは、
走行機体10の旋回半径に応じて走行機体10に対するモーアユニット90の位置を変更するものである。
このように構成することにより、モーアユニット90を適切な位置に調節することができ、旋回方向内側の刈残しをより確実に防止することができる。
【0145】
また、芝刈機1は、
走行機体10を支持する駆動輪30L及び駆動輪30R(車輪)をさらに具備し、
制御部24aは、
ブレード91の旋回方向内側端部の旋回半径(モーア旋回半径SM)が、駆動輪30L又は駆動輪30Rの旋回方向内側端部の旋回半径(車輪旋回半径SW)に対して所定範囲内の値(SW−α1≦SM≦SW+α2)になるようにモーアユニット90の位置を変更するものである。
このように構成することにより、モーアユニット90を適切な位置に調節することができ、旋回方向内側の刈残しをより確実に防止することができる。特に、駆動輪30L又は駆動輪30Rが通過する部分の芝を予めモーアユニット90によって刈り取ることができるため、当該駆動輪30L又は駆動輪30Rが芝を踏み潰して刈取精度が低下するのを防止することができる。
【0146】
また、制御部24aは、
ブレード91が回転している場合にのみ、モーアユニット90の位置の変更を行うものである。
このように構成することにより、必要な場合(すなわち、芝刈作業中)にのみモーアユニット90の位置を変更することができる。
【0147】
また、芝刈機1は、
作業者がモーアユニット90の位置を調節するスライド調節スイッチ76(調節操作手段)をさらに具備し、
制御部24aは、
スライド調節スイッチ76による操作が行われた場合には、当該操作に従ってモーアユニット90の位置の変更を行うものである。
このように構成することにより、作業者が所望の位置にモーアユニット90の位置を変更することができる。
【0148】
なお、本実施形態においては、モーアユニット90(ブレード91)は電力を用いて駆動されるものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、走行機体10にエンジンを設け、当該エンジンからの動力を動力伝達機構(例えば、変速装置やユニバーサルジョイント等)を介してモーアユニット90へと伝達し、ブレード91を回転させる構成であっても良い。
【0149】
また、本実施形態に係る芝刈機1は電動(電力を用いて走行するもの)としたが、本発明はこれに限るものではなく、その他の駆動力(エンジンの動力等)を用いて走行するものであっても良い。また、当該芝刈機1の構成は、本発明の技術的範囲の中で適宜変更することが可能である。
【0150】
また、本発明に係る連結機構の構成は、本実施形態に係る連結機構100の構成に限定するものではない。例えば、連結機構100の昇降機構120は、昇降シリンダ123を用いてモーアユニット90を昇降させるものではなく、手動で昇降させる構成とすることも可能である。また、連結機構100は昇降機構120を備えていない(左右スライド機構110のみを備えている)ものであっても良い。
【0151】
また、本発明に係る調節操作手段は、本実施形態に係るスライド調節スイッチ76に限るものではない。例えばダイヤル式のスイッチやタッチパネルなど、種々の操作具を用いることが可能である。
【0152】
なお、本実施形態においては、制御部24aは、モーア旋回半径SMが車輪旋回半径SWと略一致するようにスライドシリンダ113の動作を制御するものとしたが(ステップS105)、モーア旋回半径SMが車輪旋回半径SW以下になるようにスライドシリンダ113の動作を制御することも可能である。このように制御することにより、より確実に芝を刈ることができない領域TYが生じないように芝刈作業を行うことができる。なお、この場合、モーア旋回半径SMは、車輪旋回半径SW以下であれば、どのような値であっても良い。
【0153】
このように、制御部24aは、
ブレード91の旋回方向内側端部の旋回半径(モーア旋回半径SM)が、駆動輪30L又は駆動輪30Rの旋回方向内側端部の旋回半径(車輪旋回半径SW)以下になるようにモーアユニット90の位置を変更するものである。
このように構成することにより、旋回方向内側の刈残しをより確実に防止することができる。
【0154】
また、本実施形態においては、スライドアーム111cの長手方向が前後方向を向いた状態(
図15参照)から、左方へと回動させる(
図16参照)ことで、モーアユニット90を走行機体10に対して左方へと移動(スライド)させる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。
図22(a)の第一変形例に示すように、スライドアーム111cを左右に回動させることで、モーアユニット90を左右に移動(スライド)させる構成とすることも可能である。
【0155】
また、
図22(b)の第二変形例に示すように、予めスライドアーム111cの長手方向を前後方向に対して斜めに(右前方に向かって延びるように)配置した状態を、モーアユニット90の初期位置(走行機体10に対して左右中央位置)とすることも可能である。これによって、当該スライドアーム111cの左方への回動角度を大きく確保することができ、ひいてはモーアユニット90の左方への移動量(スライド量)を大きくすることができる。
【0156】
また、本実施形態に係る連結機構100は、走行機体10側に左右スライド機構110を設けると共に、モーアユニット90側に昇降機構120を設ける構成とした(
図15及び
図16等参照)。すなわち、左右スライド機構110は、昇降機構120を介して(昇降機構120ごと)モーアユニット90を左右に移動させる構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではない。例えば、
図23の第三変形例に示すように、走行機体10側に昇降機構120を設けると共に、モーアユニット90側に左右スライド機構110を設ける構成とすることも可能である。この場合には、昇降機構120は、左右スライド機構110を介して(左右スライド機構110ごと)モーアユニット90を上下に昇降させる。
【0157】
また、本実施形態に係る芝刈機1は、走行機体10の前方にモーアユニット90が配置される構成としたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、
図24の第四変形例に示す芝刈機201のように、走行機体210の下方にモーアユニット290を配置する構成とすることも可能である。以下、当該芝刈機201の全体構成について説明する。
【0158】
第四変形例に係る芝刈機201は、主として走行機体210、前輪220、後輪230、搭乗部240、モーアユニット290及び連結機構300を具備する。
【0159】
走行機体210は機体フレーム211を具備し、当該機体フレーム211や図示しない車軸を介して前輪220及び後輪230によって支持される。前輪220及び後輪230は、図示しないエンジンからの動力によって駆動される。走行機体210の上部に配置される搭乗部240には、作業者が着座する座席241、芝刈機201を左右に旋回させる(前輪220を操舵する)ためのステアリングホイール242、並びに種々の操作具が設けられる。
【0160】
モーアユニット290は、機体フレーム211の下方(前輪220と後輪230との間)に配置され、連結機構300を介して当該機体フレーム211に連結される。連結機構300は、左右スライド機構310及び昇降機構320を具備する。左右スライド機構310によってモーアユニット290を走行機体210に対して左右に移動(スライド)させることができる。また昇降機構320によってモーアユニット290を走行機体210に対して上下に移動(昇降)させることができる。
【0161】
以下では、
図25を用いて、第四変形例に係る連結機構300(昇降機構320及び左右スライド機構310)の構成について説明する。
【0162】
昇降機構320は、主として昇降アーム321、昇降フレーム322及び昇降シリンダ323を具備する。
【0163】
昇降アーム321は、後述する昇降フレーム322を機体フレーム211に連結するものである。昇降アーム321は、機体フレーム211の左右両側面に前後に1つずつ(合計4つ)設けられる。昇降アーム321の一端(上端)は、機体フレーム211に対して前後に回動可能に連結される。
【0164】
昇降フレーム322は、昇降機構320を後述する左右スライド機構310に連結するための部材である。昇降フレーム322は、平面視略矩形枠状に形成される。昇降フレーム322は水平に配置された状態で、昇降アーム321の他端(下端)に回動可能に連結される。
【0165】
昇降シリンダ323は、昇降アーム321を回動させるためのアクチュエータである。昇降シリンダ323は、伸縮可能なシリンダ(油圧シリンダ等)である。昇降シリンダ323の一端(上端)は、機体フレーム211に回動可能に連結される。昇降シリンダ323の他端(下端)は、1つの昇降アーム321の中途部に回動可能に連結される。
【0166】
このように構成された昇降機構320において、昇降シリンダ323を伸縮させることにより、昇降アーム321を機体フレーム211に対して回動させ、ひいては昇降フレーム322を機体フレーム211に対して上下に移動(昇降)させることができる。
【0167】
左右スライド機構310は、主としてリンク部311及びスライドシリンダ313を具備する。
【0168】
リンク部311は、昇降フレーム322とモーアユニット290とを連結するものである。リンク部311は、昇降フレーム322の四隅にそれぞれ設けられる。リンク部311は、主として後部ブラケット311a、前部ブラケット311b及びスライドアーム311cを具備する。
【0169】
スライドアーム311cは、昇降フレーム322に固定された後部ブラケット311aと、モーアユニット290の上部に固定された前部ブラケット311bと、を連結する。スライドアーム311cは、前後に水平に延びるように配置される。スライドアーム311cは、後部ブラケット311a及び前部ブラケット311bに対して左右に回動可能に連結される。
【0170】
スライドシリンダ313は、スライドアーム311cを回動させるためのアクチュエータである。スライドシリンダ313は、伸縮可能なシリンダ(油圧シリンダ等)である。スライドシリンダ313の一端(後端)は、昇降フレーム322に回動可能に連結される。スライドシリンダ313の他端(前端)は、1つのスライドアーム311cの中途部に回動可能に連結される。
【0171】
このように構成された左右スライド機構310において、スライドシリンダ313を伸縮させることにより、スライドアーム311cを昇降フレーム322に対して回動させ、ひいてはモーアユニット290を昇降フレーム322(ひいては、走行機体210)に対して左右に移動(スライド)させることができる。
【0172】
また、上述の芝刈機201に、
図26の第五変形例に示すような連結機構400を設けることも可能である。以下、当該連結機構400(昇降機構320及び左右スライド機構410)の構成について説明する。なお、昇降機構320の構成は第四変形例に係る昇降機構320と略同一であるため、説明を省略する。
【0173】
左右スライド機構410は、主として摺動支持部411、摺動フレーム412、スライドアーム413及びスライドシリンダ414を具備する。
【0174】
摺動支持部411は、後述する摺動フレーム412を摺動可能に支持するためのものである。摺動支持部411は、昇降フレーム322の四隅にそれぞれ固定される。摺動支持部411は、軸線方向を左右方向に向けた円筒状に形成される。
【0175】
摺動フレーム412は、モーアユニット290を摺動支持部411に連結するためのものである。摺動フレーム412は、軸線方向を左右方向に向けた円柱状に形成される。摺動フレーム412は、前後に2つ並べて配置される。摺動フレーム412は、モーアユニット290の上部に適宜固定される。前側の摺動フレーム412は、昇降フレーム322の前側に固定された2つの摺動支持部411に摺動可能となるように挿通される。後側の摺動フレーム412は、昇降フレーム322の前側に固定された2つの摺動支持部411に摺動可能となるように挿通される。
【0176】
スライドアーム413は、後述するスライドシリンダ414と摺動フレーム412とを連結するためのものである。スライドアーム413の一端(後端)は、昇降フレーム322の後部に回動可能に連結される。スライドアーム413の前端には、当該スライドアーム413の長手方向に沿った長孔413aが形成される。長孔413aに、前側の摺動フレーム412に固定されたピン412aが挿通されることにより、スライドアーム413と前側の摺動フレーム412とが連結される。
【0177】
スライドシリンダ414は、スライドアーム413を左右に回動させるためのアクチュエータである。スライドシリンダ414は、伸縮可能なシリンダ(油圧シリンダ等)である。スライドシリンダ414の一端(左端)は、昇降フレーム322に回動可能に連結される。スライドシリンダ414の他端(右端)は、スライドアーム413の中途部に回動可能に連結される。
【0178】
このように構成された左右スライド機構410において、スライドシリンダ414を伸縮させることにより、スライドアーム413を回動させ、摺動フレーム412を左右に摺動させることができる。これによって、当該摺動フレーム412に連結されたモーアユニット290を左右に移動(スライド)させることができる。
【0179】
また、上記第五変形例においては、スライドシリンダ414は直接摺動フレーム412に連結されておらず、スライドアーム413を介して摺動フレーム412に連結されている。このため、スライドシリンダ414の伸縮量に対する摺動フレーム412の左右への移動量が大きくなる。これによってモーアユニット290を素早く左右に移動させることができ、スライド制御の応答性を高めることができる。
【0180】
なお、上記第五変形例に係る連結機構400(左右スライド機構410)においては、円筒状の摺動支持部411によって、摺動フレーム412を左右に移動可能(摺動可能)に支持するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、前後方向に向けられた軸を中心として回転可能なローラを用いて、摺動フレーム412を左右に移動可能に支持する構成とすることも可能である。
【0181】
また、上述の芝刈機201に、
図27の第六変形例に係る連結機構500を設けることも可能である。なお、当該連結機構500の構成は、第五変形例に係る連結機構400(
図26参照)と概ね同一であるため、対応する部材には同一の符号を付して説明を省略する。
【0182】
連結機構500が第五変形例に係る連結機構400(
図26参照)と主に異なる点は、摺動フレーム412が1つしか設けられていない点である。この場合、当該摺動フレーム412を中心としてモーアユニット290が上下に回動する。これを防止するために、連結機構500の左右スライド機構410は、付勢部材515を具備している。
【0183】
付勢部材515は、昇降フレーム322とモーアユニット290との間に配置される。また付勢部材515は、摺動フレーム412の前後にそれぞれ2つずつ配置される。付勢部材515は、モーアユニット290を昇降フレーム322から離間させる方向に常時付勢する。摺動フレーム412の前側に配置された付勢部材515の付勢力と、後側に配置された付勢部材515の付勢力とがつり合うことで、モーアユニット290の姿勢が概ね水平な状態に保たれる。
【0184】
なお、上述の第四変形例、第五変形例及び第六変形例に係る連結機構(連結機構300、連結機構400及び連結機構500)は、走行機体210(機体フレーム211)側に昇降機構320を設けると共に、モーアユニット290側に左右スライド機構(左右スライド機構310及び左右スライド機構410)を設ける構成とした。すなわち、昇降機構320は、前記左右スライド機構を介してモーアユニット290を上下に昇降させる構成とした。しかし、本発明はこれに限るものではない。すなわち、走行機体210側に前記左右スライド機構を設けると共に、モーアユニット290側に昇降機構320を設ける構成とすることも可能である。この場合には、前記左右スライド機構は、昇降機構320を介してモーアユニット290を左右に移動させる。
【0185】
また、上述の第四変形例、第五変形例及び第六変形例に係る芝刈機201のように、ステアリングホイール242を用いて前輪220を操舵する場合には、当該前輪220の切れ角(回動角度)に基づいて、スライド制御(モーアユニット290の左右への移動の制御)を行う構成とすることも可能である。この場合、前輪220の切れ角は、適宜センサを用いることで検出することができる。
【0186】
また、上述の第四変形例、第五変形例及び第六変形例に係る芝刈機201は、走行機体210の下方にモーアユニット290を配置する構成としたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、本発明は、走行機体に対するモーアユニットの位置を限定するものではなく、例えば走行機体の後方にモーアユニットを配置する構成とすることも可能である。