特許第6322043号(P6322043)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322043
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】コンパウンドの混練
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/18 20060101AFI20180423BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20180423BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20180423BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   B29B7/18
   C08L101/00
   C08K3/22
   C08K3/36
【請求項の数】4
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-96994(P2014-96994)
(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公開番号】特開2014-240190(P2014-240190A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2017年3月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-105531(P2013-105531)
(32)【優先日】2013年5月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻野 貴志
【審査官】 中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−079330(JP,A)
【文献】 特開2005−262094(JP,A)
【文献】 特開2007−229703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B7/00−7/94
B29C47/00−47/96
B01F7/00−7/32
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物が(A)硬化性樹脂、(B)酸化亜鉛、(C)無機充填剤を必須の構成成分とし、(A)成分の粘度が40℃で2.0Pa・s以下であり、
前記樹脂組成物を、混練翼が2本、且つそれぞれが異方向に自転し、且つ公転する混練機によって混練することを特徴とするコンパウンドの製造方法であって、
混練機の接液部がハードクロムメッキを施され、その表面粗度がRa=0.1〜1.0μmであるコンパウンドの製造方法
【請求項2】
樹脂組成物中、(A)成分が5〜60重量%、(B)成分が35〜90重量%、(C)成分が5〜60重量%含むことを特徴とする請求項1に記載されたコンパウンドの製造方法。
【請求項3】
無機充填剤として球状シリカを含むことを特徴とする請求項1または2に記載されたコンパウンドの製造方法。
【請求項4】
混練されたコンパウンドのYIが7.0未満、且つスパイラルフローが35cm以上となることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載されたコンパウンドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンパウンドの混練方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体には種々の形状の硬化性樹脂を用いたパッケージが適用されている。
こうしたパッケージに求められる物性としては、耐熱性、耐光性、強度、反射性が挙げられる。
【0003】
耐熱性、耐光性に関しては、当社で開発した耐熱性、耐光性に優れたSiH基を成分中に含有するシリコーン系樹脂を用いることで物性を高めている(特許文献1,2、3)。
強度に関しては、強度を保持するために無機充填剤としてシリカを用いている。
反射性に関しては、白色顔料を用いている。
パッケージの作成には、上記成分を均一混練し、そのコンパウンドをトランスファー成形する手法が用いられる。
【0004】
しかし、上記コンパウンド中の成分である液状成分量が非常に少ないことから、均一混練の難易度が非常に高く、満足のいく混練度を達成するには長時間の混練が必要となるため、生産性に乏しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−62272
【特許文献2】特開2005−146191
【特許文献3】WO2011/125753
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題の解決のため、半導体パッケージ用樹脂として求められる項目に対し満足のいく硬化性樹脂組成物の効率の良い混練方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を鑑み鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の構成をなす。
【0008】
1).樹脂組成物が(A)硬化性樹脂、(B)酸化亜鉛、(C)無機充填剤を必須の構成成分とし、(A)成分の粘度が40℃で2.0Pa・s以下であり、
前記樹脂組成物を、混練翼が2本、且つそれぞれが異方向に自転し、且つ公転する混練機によって混練することを特徴とするコンパウンドの製造方法。
【0009】
2).前記混練機において、接液部がハードクロムメッキを施され、その表面粗度がRa=0.1〜1.0μmであることを特徴とする1)に記載されたコンパウンドの製造方法。
【0010】
3).樹脂組成物中、(A)成分が5〜60重量%、(B)成分が35〜90重量%、(C)成分が5〜60重量%含むことを特徴とする1)または2)に記載されたコンパウンドの製造方法。
【0011】
4).無機充填剤として球状シリカを含むことを特徴とする1)〜3)いずれか1項に記載されたコンパウンドの製造方法。
【0012】
5).混練されたコンパウンドのYIが7.0未満、且つスパイラルフローが35cm以上となることを特徴とする1)〜4)いずれか1項に記載されたコンパウンドの製造方法。
【0013】
6).1)〜5)いずれか1項に記載されたコンパウンドの製造方法により製造されたことを特徴とするLEDリフレクタ用コンパウンド。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、液状成分重量%が低い硬化性樹脂組成物の効率の良い混練が可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
<硬化性樹脂組成物>
本発明で言う硬化性樹脂組成物とは、(A)硬化性樹脂、(B)酸化亜鉛、(C)無機充填剤を必須成分として含有することを特徴とする組成物である。
【0017】
<(A)成分:硬化性樹脂>
(A)成分の粘度は、40℃で2.0Pa・s以下であることが必要である。(A)成分の粘度として、40℃で2.0Pa・s以下である前記範囲内であれば、混練の際の液状樹脂のバインダーとしての働きが失われず、良好な混練が実現できる。ここで、(A)成分の粘度が40℃で2.0Pa・s以下とは、40℃でE型粘度計で測定した際の(A)成分の粘度が、2.0Pa・s以下ということである。(A)成分の一部に40℃で固体成分を含み、40℃でE型粘度計で測定した粘度が、2.0Pa・s以下である場合も含む。
【0018】
(A)成分である硬化性樹脂とは、熱硬化性樹脂を意味している。本発明の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂やケイ素系熱硬化性樹脂などの樹脂、及びその変性樹脂などがあげられるが、ここに記載するものに限定されるものではない。
透明エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂をヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
【0019】
ケイ素系熱硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、及びその変性体などが挙げられる。
シリコーン樹脂としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、及びエポキシ基等の有機基や水素原子、水酸基が直結したケイ素原子が酸素原子と交互に結合したシロキサン結合を骨格として有する樹脂であり、例えば特開2004−186168号公報や特許第4071639号公報、特開2004−292807号公報及び特開2005−171021号公報等記載の硬化性組成物が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0020】
なお、本発明においては、上記シロキサン結合とエポキシ樹脂や付加反応性炭素−炭素二重結合を有する有機化合物とが連結して骨格を成す樹脂も「シリコーン樹脂」に含むものとする。このようなシリコーン樹脂組成物としては、特開2002−338833号公報、特開2005−314591号公報及び特許第4112443号公報等記載の硬化性組成物が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0021】
上記ケイ素系熱硬化性樹脂の中でも、
(a)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、
(b)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、
(c)ヒドロシリル化触媒、
(d)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量が1000以上のシリコーン化合物
よりなるシリコーン系化合物で構成されるものであることがさらに好ましい。
以下で(a)〜(d)成分について説明する。
【0022】
<(a)成分>
(a)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物であれば特に限定されない。上記有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマー等の、シロキサン単位(Si−O−Si)を含む化合物以外のものが好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない化合物がより好ましい。シロキサン単位を含む化合物の場合は、反応性などの問題がある。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
【0023】
(a)成分は、単独で用いても良いし、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
【0024】
(a)成分の化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系の化合物に分類できる。有機重合体系化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物等が挙げられる。
【0025】
有機単量体系化合物としては特に限定されないが、例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系;鎖状、環状等の脂肪族炭化水素系;複素環系の化合物;これらの混合物等が挙げられる。
【0026】
(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(1)
CH2=CR1− (1)
(式中R1は水素原子あるいはメチル基を表す。)
で示される基が反応性の点から好適である。中でも原料の入手の容易さから、R1が水素原子である基が特に好ましい。さらに、(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(2)
―R2C=CR2― (2)
(式中R2は水素原子あるいはメチル基を表す。2つのR2は同じであってもよいし異なっていてもよい。)
で表される部分構造を環内に有する脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。中でも原料の入手の容易さから、R2がともに水素原子である基が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(a)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していてもよい。上記2価以上の置換基としては特に限定されないが、炭素数0〜10の置換基が好ましく、構成元素としてC、H、N、O、S及びハロゲン以外の元素を含まない置換基がより好ましい。
【0027】
(a)成分の骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2,2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2,2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、などが挙げられる。
【0028】
(a)成分の有機化合物としては、骨格部分と炭素−炭素二重結合を有する基とに分けて表現しがたい低分子量化合物も用いることができる。上記低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
【0029】
(a)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点から、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(A)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
【0030】
(a)成分の具体的な例としては、上述のほか、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、それらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1,2比率10〜100%のもの、好ましくは1,2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、エポキシ樹脂のグリシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの、等が挙げられる。
これらの中でも耐光性などの光学特性が良好であるという観点からは、(a)成分中における芳香環の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
【0031】
(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の個数は、1分子当たり少なくとも2個あればよいが、耐熱性をより向上し得るという観点から、2個を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましく、4個以上であることが特に好ましい。ただし(a)成分が種々の化合物の混合物であり、各化合物の上記炭素−炭素二重結合の個数が同定できない場合には、上記混合物全体に関して1分子あたりの上記炭素−炭素二重結合の平均個数を求め、それを、(a)成分の上記炭素−炭素二重結合の個数とする。
【0032】
(a)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(b)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
【0033】
(a)成分としては、他の成分との均一な混合及び良好な作業性を得るためには、100℃以下の温度において流動性があるものが好ましい。(a)成分は、線状でも枝分かれ状でもよい。(a)成分の分子量は特に制約はないが、50〜1000の任意のものが好適に使用できる。(a)成分としては、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
【0034】
(a)成分としては、入手性、反応性の点から、ビスフェノールAジアリルエーテル、2,2’−ジアリルビスフェノールA、ノボラックフェノールのアリルエーテル、ジアリルフタレート、ビニルシクロヘキセン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、耐熱性・耐光性の点からトリアリルイソシアヌレートが特に好ましい。
【0035】
<(b)成分>
(b)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物であれば特に限定されない。例えば国際公開特許WO96/15194号公報に記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有するもの等が使用できる。入手性の面からは、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましい。なかでも、(a)成分との相溶性が良いという観点から、下記一般式(3)
【0036】
【化1】
【0037】
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)
で表される、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンがより好ましい。なお、一般式(3)で表される化合物中の置換基R3は、C、H及びO以外の元素を含まない置換基が好ましく、炭化水素基がより好ましい。
【0038】
(b)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状ポリオルガノシロキサンと、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する有機化合物から選ばれた1種以上の化合物との反応物も好ましい。この場合、反応物の(a)成分との相溶性をさらに高めるために、反応物から未反応のシロキサン類等を脱揮等により除去したものを用いることもできる。
【0039】
<(c)成分>
(c)成分はヒドロシリル化触媒である。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH2=CH22(PPh32、Pt(CH2=CH22Cl2)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt[(MeViSiO)4m)、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)34、Pt[P(OBu)34)(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)3、RhCl3、RhAl23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。
【0040】
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0041】
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性樹脂組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(b)成分のSiH基1モルに対して10-8モル、より好ましくは10-6モルであり、好ましい添加量の上限は(b)成分のSiH基1モルに対して10-1モル、より好ましくは10-2モルである。また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレート等の1,2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10-2モル、より好ましくは10-1モルであり、好ましい添加量の上限は102モル、より好ましくは10モルである。
【0042】
<(d)成分>
本発明の(d)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも1個含有する分子量が1000以上のシリコーン化合物である。実質的にSi−O−Si結合からなるシロキサン骨格で構成されるシリコーン化合物を用いることにより、一般の有機系高分子を用いる場合と比較して、耐熱性、耐光性に優れた硬化物を得ることができる。さらに、本発明の(d)成分を用いることにより(C)成分の無機充填材と混合した場合に、より小さな線膨張係数を有しながら、靭性に優れた硬化物を与える硬化性樹脂組成物とすることができる。またCuをはじめとするリードフレームなどの金属基材の実質片面に成形したときに反りがほとんどない成形品を提供することができる。
【0043】
(d)成分のシリコーン化合物は、実質的にその骨格がSi−O−Si結合で形成されている化合物であり、直鎖状、環状、分枝状、部分ネットワークを有するもの等種々のものを用いることができる。
【0044】
この場合、骨格に結合した置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等のアルキル基、フェニル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基、水酸基等の基を挙げることができる。これらのうち、耐熱性が高くなりやすいという点においては、メチル基、フェニル基、水酸基、メトキシ基が好ましく、メチル基、フェニル基がより好ましい。また、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を有する置換基としては、ビニル基、アリル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシプロピル基、メタクリロキシプロピル基等を挙げることができるが、これらのうち反応性がよいという点においては、ビニル基が好ましい。
【0045】
(d)成分の例としては次の式で表すことができるものであってもよい。
Rn(CH2=CH)mSiO(4-n-m)/2
(式中、Rは水酸基、メチル基あるいはフェニル基から選ばれる基であり、n、mは0≦n<4、0<m≦4、0<n+m≦4を満たす数)であらわされる分子量1000以上のシリコーン化合物である。
【0046】
(d)成分の例としては、末端基あるいは側鎖基としてビニル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンやこれら2種あるいは3種のランダムあるいはブロック共重合体、などを挙げることができる。(d)成分としては複数のものを混合して用いてもよい。
【0047】
これらの内、本発明の効果がより得られやすいという点においては、ビニル基を末端に有する直鎖状ポリシロキサンが好ましく、ビニル基を両末端に有する直鎖状ポリシロキサンがより好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンあるいは直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンがさらに好ましく、両末端にビニル基を有する直鎖状ポリジメチル−ポリジフェニルシロキサンあるいは直鎖状ポリメチルフェニルシロキサンであって、全置換基に対するフェニル基の量が10モル%以上であるシロキサンであることが特に好ましい。
【0048】
(d)成分の分子量としては、重量平均分子量(Mw)が2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000以上であることがさらに好ましい。分子量が高い場合にはさらに得られる硬化物が低応力となりやすい。また、(d)成分の分子量としては1,000,000以下であることが好ましく、100,000以下であることがより好ましい。分子量が大きい場合には(a)成分、(b)成分との相溶性が得られにくくなる。
【0049】
(d)成分の量としては、(a)成分および(b)成分の合計の重量に対する(d)成分の重量が30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることがさらに好ましい。
【0050】
(a)成分、(b)成分、(d)成分の混合比率は、必要な強度を失わない限りは特に限定されないが、(b)成分中のSiH基の数(Y)の(a)成分および(d)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数(X)に対する比において、好ましい範囲の下限はY/X≧0.3、より好ましくはY/X≧0.5、さらに好ましくはY/X≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y/X、より好ましくは2≧Y/X、さらに好ましくは1.5≧Y/Xである。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
【0051】
(A)成分については、上記樹脂成分の熱硬化反応を促進させるための硬化促進剤、及び熱硬化反応を遅延させるための硬化遅延剤を添加しても良い。
【0052】
<(B)成分>
(B)成分は酸化亜鉛である。一般的に、酸化亜鉛結晶に対しせん断のようなずりエネルギーが加わると、結晶格子にひずみができてしまうことが分かっている。ひずみができた酸化亜鉛の発色領域は、ひずみが強くなるにつれ黄色にシフトし、白色顔料としての役割を果たさなくなるという問題が生じる。この問題のために、酸化亜鉛を含んだ白色コンパウンドを作製する際に、せん断力のような機械的エネルギーを強くかけての混練を行うと黄変してしまうため、弱い混練力で長時間混練するなど、生産性に乏しい混練を行うしかなかった。
本発明が適用できる酸化亜鉛の平均粒径は0.1〜100μmである。この粒径範囲以下である場合は粒子径が小さすぎるため混練が困難になり、この粒径範囲以上である場合はコンパウンドの混練の際の流動が大きく変わる為、混練が困難になる。
好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは2〜25μmである。この範囲であれば、混練の際の液状樹脂成分のバインダーとしての働きが損なわれず、混練時の酸化亜鉛の流動もスムーズになり、局所的なせん断がかかりにくくなる。
酸化亜鉛の形状については、特に限定するものではない。
【0053】
<(C)成分>
(C)成分は無機充填剤である。(C)成分は、得られる硬化物の強度や硬度を高くしたり、線膨張率を低減化したりする効果を有する。
【0054】
(C)成分としては、酸化亜鉛を除く、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどがあげられるが、ここに例示したものに限定されるわけではない。
形状については、特に限定されるものではないが、フィラーの50%以上が球状であることが好ましい。フィラーの50%以上が球状である場合は、バインダーとしての液状樹脂成分がフィラー粒子内に吸油されにくくなり、且つ流動性が良くなる為、均一な混練が容易となる。
硬度については、特に限定されるものではないが、酸化亜鉛のモース硬度である4よりも硬いフィラーの場合は、フィラーの50%以上を球状にすることが好ましく、75%以上であることがさらに好ましい。球状のフィラーが50%以下の場合は、混練時に酸化亜鉛に局所的な強いせん断がかかってしまい黄変度が高くなる可能性がある。本発明が適用できるフィラーの平均粒径は0.1〜100μmである。この粒径範囲以下である場合は粒子径が小さすぎるため混練が困難になり、この粒径範囲以上である場合はコンパウンドの混練の際の流動が大きく変わる為、混練が困難になる。好ましくは1〜50μmであり、さらに好ましくは2〜25μmである。この範囲であれば、混練の際の液状樹脂成分のバインダーとしての働きが損なわれず、混練時の酸化亜鉛の流動もスムーズになり、局所的なせん断がかかりにくくなる。
本成分の使用料については、
また、本発明のコンパウンドは、前記化合物を主たる含有成分とし、本発明の目的を損なわない範囲で、溶媒、安定剤、可塑剤、離型剤、及びその他の成分を必要に応じて含有させることができる。
【0055】
<各成分の混合比率>
コンパウンドに対する各成分の比率について記載する。
(A)成分の上限比率としては、コンパウンド全体に対し、60重量%以下であればよく、好ましくは40重量%以下、さらには20重量%以下であることが好ましい。上記上限比率以上になると、(B)成分、及び(C)成分の含有量が相対的に少なくなる為、成形体の白色性や強度、及び線膨張率に影響を及ぼし、望ましい物性が得られなくなる。
【0056】
(A)成分の下限比率としては、コンパウンド全体に対し、5重量%以上であればよく、好ましくは7重量%以上、さらには9重量%以上であることが好ましい。上記下限比率以下になると、液状成分のバインダーとしての働きが著しく損なわれ、混練による均一分散ができなくなる。また、コンパウンド中の粒子の流動が不利になることから、酸価亜鉛への局所的なせん断がかかり、後述する変色が起こってしまう。
【0057】
(B)成分の上限比率としては、コンパウンド全体に対し、90重量%以下であればよく、好ましくは70重量%以下、さらには50重量%以下であることが好ましい。上記上限比率以上になると、(A)成分、及び(C)成分の含有量が相対的に少なくなる為、成形体の強度や線膨張率、及び混練性に影響を及ぼし、望ましい物性が得られなくなる。
【0058】
(B)成分の下限比率としては、コンパウンド全体に対し、35重量%以上であることが好ましく、さらには40重量%以上であることが好ましい。上記下限比率以下になると、コンパウンドの白色性が確保されない。
【0059】
(C)成分の上限比率としては、コンパウンド全体に対し、60重量%以下であればよく、50重量%以下であれば好ましい。上記上限範囲以上になると、(A)成分、及び(B)成分の含有量が相対的に少なくなる為、成形体の強度や線膨張率、及び白色性に影響を及ぼし、望ましい物性が得られなくなる。
【0060】
(C)成分の下限比率としては、コンパウンド全体に対し、5重量%以上であることが好ましく、さらには15重量%以上、さらには25重量%以上であることが好ましい。上記下限比率以下になると、好ましい成形体の強度や線膨張率が確保されない。
【0061】
上記内容から、(A)成分を5〜60重量%、(B)成分を35〜90重量%、及び(C)成分を5〜60重量%の比率で配合することが、コンパウンド内の粒子の流動性、白色性、強度及び線膨張率の面からバランスのとれた配合であるといえる。
【0062】
<パッケージ>
本発明で言う半導体のパッケージとは、半導体素子あるいは/および外部取出し電極等を支持固定あるいは/および保護するために設けられた部材である。この場合の半導体素子としては各種のものが挙げられる。例えばIC、LSI等の集積回路、トランジスター、ダイオード、発光ダイオード等の素子の他、CCD等の受光素子等を挙げることができる。
半導体が発光ダイオード素子の場合において、好ましくは発光ダイオード素子から出た光が照射されるように設計されたものであり、さらに好ましくは発光ダイオード素子から出た光を反射させて外部に取出すように設計されたものである。その場合は本発明のイエローインデックス(以下、YI)が8.0未満であると効果が顕著になり得る。さらに好ましくは、YIが7.0未満である。発光ダイオードパッケージの形状等には特に制約はない。例えば、発光ダイオード素子を搭載するための凹部を有する形状のものでもよいし、単に平板状のものであってもよい。本発明の発光ダイオードのパッケージの表面は平滑であってもよいし、エンボス等のような平滑でない表面を有していてもよい。
【0063】
<発光ダイオード素子>
本発明で言う発光ダイオードの各種の発光ダイオード素子としても、特に限定なく従来公知の発光ダイオードに用いられる発光ダイオード素子を用いることができる。発光ダイオード素子のサイズ、個数についても特に限定なく用いることができる。用いる発光ダイオード素子は一種類で単色発光させても良いし、複数用いて単色或いは多色発光させても良い。
【0064】
<発光ダイオード用透明封止材>
本発明の半導体の封止材としては特に制限は無く、広く知られた各種熱硬化性樹脂の中から必要に応じて1種または2種以上を任意の組み合わせで選択して用いる事が可能である。一方、樹脂封止を用いず、ガラス等でカバーしてハーメチック封止により封止することも可能である。樹脂封止としては例えば従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シアナート樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂およびこれらの変性樹脂、等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、透明性が高く接着性等の実用特性に優れるという観点から、透明エポキシ樹脂、分子内にケイ素を含有するケイ素系熱硬化性樹脂、透明ポリイミド樹脂、が好ましい。
【0065】
<混練設備>
本発明で言う混練設備は、
構成部位1:被混練物を収容できる釜、
構成部位2:釜内壁に近接して設置される2本の混練翼
を必須構造として持つものであれば、特に限定されるものではない。
【0066】
<構成部位1:釜>
釜の内容量については特に限定しないが、1〜150Lのものが生産性の面から好ましい。釜の材質については特に限定しないが、SUS304が加工性、耐錆性、コストの面から好ましい。表面処理は、コンパウンドに用いられる各種成分よりも硬度の高い処理が必要であり、ハードクロムメッキが加工性、耐錆性、コスト、及び硬度の面から好ましい。
表面粗度は、Ra=0.1〜1.0μmの範囲にある必要がある。表面粗度がこの範囲以下である場合、コンパウンドと釜の摩擦が非常に小さくなるため、混練翼の公転方向にコンパウンドがはじかれ、混練性が著しく低下する。表面粗度がこの範囲以上である場合、ミクロな凹凸の凸部分がシリカによって破壊され、磨耗粉が発生してしまう。
釜の形状としては特に限定されるものではないが、可能な限り滞留部がないよう角部にカーブをつけた形状が好ましい。
ここで前述の表面粗度(Ra)は、株式会社ミツトヨ製小形表面粗さ測定機 サーフテスト SJ-500によって測定された算術平均粗さのことを言う。
【0067】
<構成部位2:混練翼>
混練翼の材質については特に限定しないが、SUS304が加工性、耐錆性、コストの面から好ましい。表面処理は、コンパウンドに用いられる各種成分よりも硬度の高い処理が必要であり、ハードクロムメッキが加工性、耐錆性、コスト、及び硬度の面から好ましい。
表面粗度は、Ra=0.1〜1.0μmの範囲にある必要がある。表面粗度がこの範囲以下である場合、コンパウンドと釜の摩擦が非常に小さくなるため、混練翼の公転方向にコンパウンドがはじかれ、混練性が著しく低下する。表面粗度がこの範囲以上である場合、ミクロな凹凸の凸部分がシリカによって破壊され、磨耗粉が発生してしまう。
【0068】
回転数は特に限定しないが、50〜200rpmであることが混練性、及び生産性の面から好ましい。前記範囲以下の回転数であれば、混練時間が長くなり生産性が非常に乏しくなり、前記範囲以上の回転数であれば、混練翼の側面が混練物を叩き解砕してしまうため、混練物が細かくなり混練翼と釜との間でのせん断を受けにくくなる為、混練性が著しく低下する場合がある。
【0069】
混練翼は2本で構成されていることが必要である。1本だと混練の際のデッドスペースが広くなり混練効率が著しく低下するとともに、混練翼の回転によってはじかれた混練物同士が結着し、だまとなり、混練物の動きが不均一になる恐れがある。3本以上だと混練翼同士をオーバーラップさせながら回転させることが非常に困難になる為、釜中央部分にデッドスペースができ、混練性が著しく低下し、均一混練が困難になる恐れがある。
回転方向は、2本の混練翼が互いに異方向に回転することが必要である。
【0070】
公転方向と同方向に回転する混練翼は、混練力は強くはないが釜に広範囲に混練物を押し付ける作用を持つため、広範囲にずりをかけることができる。
公転方向を逆方向に回転する混練翼は、混練できる範囲は狭いが混練力は強く、釜に付着した混練物を掻き取る作用を持つ。
【0071】
2本の混練翼が公転方向と同方向に回転する者の場合、釜壁面に付着した混練物が更新されず、壁面に固着してしまう恐れがある。
【0072】
2本の混練翼が公転方向と逆方向に回転する者の場合、混練できる範囲が狭いため、混練物全体を均一に混練するためには十分に時間をかける必要があり、生産性に乏しいことが予想される。
形状としては、フック、スパイラルフック、ビーター、スクリュービーターなどがあげられるが、特に限定するものではないが、混練物の巻き上げによる混練物のデッドスペースへの付着を防止するため、練りこみの機構を持つものが好ましい。
【実施例】
【0073】
以下に実施例により発明の実施態様、効果を示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0074】
(合成例)
5Lの四つ口フラスコに、攪拌装置、滴下漏斗、冷却管をセットした。このフラスコにトルエン1800g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン1440gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱、攪拌した。トリアリルイソシアヌレート200g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)1.44mlの混合液を50分かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、攪拌した後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去した。1H−NMRの測定によりこのものは1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応した以下の構造を有することがわかった。
【0075】
【化2】
【0076】
<(A)成分配合例>
表1の内容に従って各成分を配合して組成物1、組成物2、組成物3、組成物4を調整した。
【0077】
【表1】
【0078】
<イエローインデックス(YI)>
本発明のYIとは、イエローインデックスのことを意味する。
イエローインデックスの測定は、測定するコンパウンド6.3gをφ13mmのタブレットにし、トランスファー成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて圧縮加熱し5cm×5cm×1cmの平板にしたサンプルを、VSS-400(日本電色工業株式会社製)の反射率測定モードにて測定することができる。
YI値としては、8.0未満が好ましく、7.0未満がさらに好ましい。この範囲を逸脱すると、反射率が低下し、リフレクタとして必要な輝度が保持できなくなる。
【0079】
<スパイラルフロー(SF値)>
本発明ではコンパウンドの流動性を評価するためにスパイラルフローを用いて評価した。スパイラルフローの測定は、17gのコンパウンドをφ5cmのタブレットを蚊取り線香状の金型に対し、4.5MPa、170℃にて2分間トランスファー成形(神藤金属工業所製 ETA-D型)した時の流動長を測定するというものである。
測定流動長が25cm以上であることが後の成形性から好ましく、さらには30cm以上であることが好ましい。
流動長が25cmを下回る場合、成形品に未充填部分が生じてしまう可能性がある。
この流動長は混練度と相関があり、混練が不足している場合は流動長が短いといえる。
【0080】
<5XDMV-Qr(株式会社 品川工業所製)>
被混練物を収容できる釜、及び釜内壁に近接して設置される2本の混練翼を持ち、その2本の混練翼が互いに異方向に自転し、且つ公転することを特徴とするミキサーである。
【0081】
<5XDMV-QQ(株式会社 品川工業所製)>
被混練物を収容できる釜、及び釜内壁に近接して設置される2本の混練翼を持ち、その2本の混練翼が互いに同方向に自転することを特徴としており、その回転方向は公転方向と同方向であることを特徴とするミキサーである。
【0082】
<5XDMV-rr(株式会社 品川工業所製)>
被混練物を収容できる釜、及び釜内壁に近接して設置される2本の混練翼を持ち、その2本の混練翼が互いに同方向に自転することを特徴としており、その回転方向は公転方向と逆方向であることを特徴とするミキサーである。
【0083】
<スパイラルミキサー SM50T(鎌田製作所製)>
被混練物を収容できる釜、及び釜内壁に近接して設置される1本の混練翼を持ち、その1本の混練翼、及び釜が独立して自転することを特徴とするミキサーである。
この際、混練翼は定位置にて自転する。
【0084】
(実施例1)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
【0085】
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0086】
(A)成分
組成物1に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0087】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0088】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.4Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは5.2であった。コンパウンドのスパイラルフローは48cmであった。
【0089】
(実施例2)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
【0090】
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.1μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0091】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0092】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0093】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは6.9であった。コンパウンドのスパイラルフローは42cmであった。
【0094】
(実施例3)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0095】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0096】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0097】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは6.8であった。コンパウンドのスパイラルフローは50cmであった。
【0098】
(実施例4)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.75μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0099】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは6.6であった。コンパウンドのスパイラルフローは51cmであった。
【0100】
(実施例5)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=1.0μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0101】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0102】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0103】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは6.4であった。コンパウンドのスパイラルフローは52cmであった。
【0104】
(実施例6)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0105】
(A)成分
組成物3に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0106】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0107】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は2.0Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは6.1であった。コンパウンドのスパイラルフローは45cmであった。
【0108】
(比較例1)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.05μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0109】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0110】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0111】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは7.6であった。コンパウンドのスパイラルフローは31cmであった。
【0112】
(比較例2)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=1.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0113】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0114】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0115】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入が確認され、全体が黒色に着色していた。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは黒色着色の影響で測定不能であった。コンパウンドのスパイラルフローは53cmであった。
【0116】
(比較例3)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理は施さず、その表面粗度はRa=0.05μmであった。
原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0117】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0118】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0119】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入が確認され、全体が黒色に着色していた。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは黒色着色の影響で測定不能であった。コンパウンドのスパイラルフローは34cmであった。
【0120】
(比較例4)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理は施さず、その表面粗度はRa=0.1μmであった。
原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0121】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0122】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0123】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入が確認され、全体が黒色に着色していた。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは黒色着色の影響で測定不能であった。コンパウンドのスパイラルフローは43cmであった。
【0124】
(比較例5)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理は施さず、その表面粗度はRa=0.5μmであった。
原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0125】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0126】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0127】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入が確認され、全体が黒色に着色していた。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは黒色着色の影響で測定不能であった。コンパウンドのスパイラルフローは49cmであった。
【0128】
(比較例6)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理は施さず、その表面粗度はRa=1.0μmであった。
原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0129】
(A)成分
組成物2に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0130】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0131】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.7Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入が確認され、全体が黒色に着色していた。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは黒色着色の影響で測定不能であった。コンパウンドのスパイラルフローは51cmであった。
【0132】
(比較例7)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-Qr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0133】
(A)成分
組成物4に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0134】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0135】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は4.0Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入が確認され、全体が黒色に着色していた。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは7.5であった。コンパウンドのスパイラルフローは27cmであった。
【0136】
(比較例8)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-QQ(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0137】
(A)成分
組成物1に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0138】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0139】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.4Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは8.2であった。コンパウンドのスパイラルフローは40cmであった。
【0140】
(比較例9)
(A)〜(C)の混合物を5XDMV-rr(品川工業所製)にて混練した。
混練条件は、混練翼公転回転数80rpm、自転係数3.06にて混練した。
混練釜の表面処理はハードクロムメッキを施しており、その表面粗度はRa=0.5μmであった。原料投入量は1.0kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0141】
(A)成分
組成物1に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0142】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0143】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、混練機のジャケット温度を40℃に設定して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.4Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
しかし、コンパウンドは粘土状ではなく、パサパサの粉体状であった。このタブレットを用い、タブレット化を行ったところ、タブレットにクラックが多発した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは5.0であった。コンパウンドのスパイラルフローは35cmであった。
【0144】
(比較例10)
(A)〜(C)の混合物をスパイラルミキサー(鎌田製作所製 SM50T)にて混練した。
混練条件は、フック100rpm、釜30rpmにて同方向回転にて混練した。
原料投入量は25kgであり、原料の詳細は以下に示す。
【0145】
(A)成分
組成物1に示す配合品を9.34重量%用いた。(a)成分については、50℃の熱風乾燥器内に1時間置いておき溶融させたものを投入した。
【0146】
(B)成分
堺化学製の第1種酸化亜鉛(平均粒径0.60μm)を42.57重量%用いた。
【0147】
(C)成分
龍森化学製のMSR-SF650(平均粒径10.6μm)を47.88重量%用いた。
さらに添加物としてステアリン酸カルシウムを0.20重量%用いた。
原料投入順序として、(A)成分全量に対し、ステアリン酸カルシウムを全量投入し5分混練。次に(C)成分を5分割し、各々10分おきに追加し、計50分混練した後、(B)成分を10分割し、各々10分おきに追加し、計100分混練してコンパウンドを作製した。
混練の際には、釜の温度を40℃に保温して混練を行った。40℃の時の(A)成分の粘度は0.4Pa・sであった。
得られたコンパウンドの外観は金属磨耗粉の混入はなかった。
しかし、コンパウンドは粘土状ではなく、パサパサの粉体状であった。このタブレットを用い、タブレット化を行ったところ、タブレットにクラックが多発した。
コンパウンドを圧縮成形機(アピックヤマダ製 G-LINE Manual System 60TON)にて平板上(5cm×5cm×1cm)に成形し、YIを測定した結果、YIは5.7であった。コンパウンドのスパイラルフローは30cmであった。
【0148】
表2に実施例、比較例の検討条件、表3に実施例、比較例の測定結果をまとめて記載した。
【0149】
実施例1〜6では、スパイラルフロー、及びYIが満足のいく結果であったが、比較例1〜7ではスパイラルフロー、YI、もしくは混練釜の磨耗のいずれかにおいて満足いくものが得られなかった。
【0150】
比較例1については、スパイラルフロー、及びYIについて満足のいくものが得られなかった。スパイラルフローについては、表面粗度が滑らか過ぎることでコンパウンドが混練翼の公転方向にすべり、混練翼と釜のクリアランス間にコンパウンドが入り込まず混練性が低下したと推測される。YIについては、コンパウンドがすべる際に釜で摩擦を受け、酸化亜鉛が黄変したと推測される。
【0151】
比較例2については、混練釜の磨耗について満足のいくものが得られなかった。これは、表面粗度が粗いため、ミクロな凹凸の凸部分がシリカによって破壊され、磨耗粉が発生したためと推測される。
【0152】
比較例3〜6については、混練釜の磨耗について満足のいくものが得られなかった。これは、混練釜の材質硬度がシリカよりも低いため、シリカによって磨耗したためと推測される。
【0153】
比較例7については、スパイラルフロー、及びYIについて満足のいくものが得られなかった。スパイラルフローについては、液状成分の粘度が高いため、コンパウンドが硬くなり、混練の際に混練翼と釜のクリアランス間にコンパウンドが入り込むための形状変化がおきにくくなり、混練性が低下したためだと推測される。YIについては、コンパウンドが混練翼の公転回転によってはじかれ、供回りすることで釜で摩擦を受け、酸化亜鉛が黄変したと推測される。
【0154】
比較例8については、2本の混練翼の回転方向がどちらも練りこみの作用を持つため、混練自体の能力は高いはずであるが、練りこまれたコンパウンドが壁面に付着し続け、堆積してしまう為、コンパウンドが更新せず、混練される部分と混練されない部分が分かれてしまい、結果的に全体の混練性を落としていると推測される。
【0155】
比較例9については、2本の混練翼の回転方向がどちらもかき上げの作用を持つため、混練翼と混練釜の間に入っていかず、混練性が低下したと推測される。
比較例10については、設備の構造上混練翼が1本であるため、単純に2本に比べ混練にかかる仕事量が少ないことと、混練翼が練りこみの作用のみであるため、練りこまれたコンパウンドが壁面に付着し続け、堆積してしまう為、コンパウンドが更新せず、混練される部分と混練されない部分が分かれてし待ったことが、結果的に全体の混練性を落としている原因と推測される。
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】