特許第6322045号(P6322045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322045
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】汚泥消化処理システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/04 20060101AFI20180423BHJP
   F28D 9/04 20060101ALI20180423BHJP
   F25B 30/06 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   C02F11/04 AZAB
   F28D9/04
   F25B30/06 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-98462(P2014-98462)
(22)【出願日】2014年5月12日
(65)【公開番号】特開2015-213881(P2015-213881A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2017年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176752
【氏名又は名称】三菱化工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】井熊 敏行
(72)【発明者】
【氏名】正木 恵之
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−167648(JP,A)
【文献】 特開平09−097622(JP,A)
【文献】 実開昭60−143276(JP,U)
【文献】 特開昭57−156091(JP,A)
【文献】 特開昭58−076199(JP,A)
【文献】 特開2011−036781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−11/20
F28D 1/00−13/00
F25B 19/00−30/06
B09B 1/00− 5/00
C02F 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入汚泥を消化槽により嫌気性消化処理し、前記消化槽で消化ガスを発生させるとともに、その処理した汚泥を消化引抜汚泥として前記消化槽から消化引抜汚泥路を通して排出する汚泥消化処理システムにおいて、
前記消化引抜汚泥と低温水熱媒回路との間で熱交換して前記低温水熱媒回路に熱回収する第1熱交換器と、
前記消化ガスを燃料とし、前記消化槽内の消化汚泥を所定の温度に加温する温水ボイラー又は消化ガス発電からのコジェネされた温水からなる加温用熱源と、
前記加温用熱源により熱を媒介するための高温水槽と、
前記消化槽内の消化汚泥と熱交換する第2熱交換器と、
前記第2熱交換器で熱交換した媒体を回収する低温水槽と、
前記低温水熱媒回路側が前記第1熱交換器に接続されるヒートポンプと、
前記加温用熱源と前記高温水槽と前記第2熱交換器と前記低温水槽とが介設される加温水熱媒循環路と、
を備え、
前記ヒートポンプの高温水熱媒回路の下流側が前記高温水槽に接続され、
前記ヒートポンプの高温水熱媒回路を介して前記消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収し、当該熱エネルギーを前記加温水熱媒循環路の加温水熱媒に与えることを特徴とする汚泥消化処理システム。
【請求項2】
投入汚泥を消化槽により嫌気性消化処理し、その処理した汚泥を消化引抜汚泥として消化槽から消化引抜汚泥路を通して排出する汚泥消化処理システムにおいて、
前記消化引抜汚泥と低温水熱媒回路との間で熱交換して前記低温水熱媒回路に熱回収する第1熱交換器と、
前記消化槽内の消化汚泥を所定の温度に加温する加温用熱源と、
前記加温用熱源により熱を媒介するための高温水槽と、
前記消化槽内の消化汚泥と熱交換する第2熱交換器と、
前記第2熱交換器で熱交換した媒体を回収する低温水槽と、
前記低温水熱媒回路側が前記第1熱交換器に接続されるヒートポンプと、
前記加温用熱源と前記高温水槽と前記第2熱交換器と前記低温水槽とが介設される加温水熱媒循環路と、
を備え、
前記ヒートポンプの高温水熱媒回路の下流側が前記低温水槽を介して前記加温水熱媒循環路に接続され、
前記ヒートポンプの高温水熱媒回路を介して前記消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収することを特徴とする汚泥消化処理システム。
【請求項3】
前記ヒートポンプにおいて、
前記低温水熱媒回路における低温水熱媒出口温度と低温水熱媒入口温度は、温度差を5〜10℃としてそれぞれ5〜30℃、10〜35℃の範囲に設定され、
前記高温水熱媒回路における高温水熱媒出口温度が60〜90℃の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の汚泥消化処理システム。
【請求項4】
前記第1熱交換器はスパイラル式熱交換器であって、
前記消化引抜汚泥の流路幅が14〜20mmの範囲に設定され、
前記消化引抜汚泥の流路には、該流路に対向し合う隔壁板を隔間するディスタンスピースが設けられていないことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の汚泥消化処理システム。
【請求項5】
前記消化槽で発生した消化ガスを利用して得られた廃熱の熱エネルギーと、前記消化引抜汚泥から回収した熱エネルギーとにより、前記消化槽内の消化汚泥を加温するための加温エネルギーの全量をまかなうことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の汚泥消化処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥消化処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下水処理場等の汚泥処理において、汚泥の減容化や再生エネルギーとしての消化ガスを有効利用するため嫌気性消化方式が採用されている。嫌気性消化方式は汚泥の中の有機物を嫌気性微生物を利用して嫌気性発酵させて分解する方式であり、有機物を有機酸に分解し、最終的にはメタンガスにまで分解する。嫌気性消化方式は有機物の処理方式としては活性汚泥での好気性酸化方式に比べエネルギー消費が少なく効率的な方式といわれている。嫌気性消化方式は、滞留時間が15日〜30日と長いため大きな敷地面積が必要になることと、嫌気性消化菌の消化温度を中温消化で35℃〜40℃程度、高温消化で50℃〜55℃程度に一定に保つ必要がある等の点から、日本では比較的大きな下水処理場等で採用されている。
【0003】
従来、消化温度を保つ方式としては、消化ガスを燃料として蒸気ボイラーで蒸気を発生させて直接消化タンクに吹き込む方式又は温水ボイラーで温水を作り、消化タンクの汚泥と熱交換器で熱交加温する方法が一般的である。このとき消化温度に昇温するエネルギーは冬期(たとえば10℃を50℃に昇温)が大きく、夏期(たとえば28℃を50℃に昇温)が小さく、春・秋期(たとえば17℃を50℃に昇温)がその中間程度というように季節によって異なり、夏期は冬期の約半分程度のエネルギーとなる。
【0004】
この加温され一定の消化温度にされた消化汚泥は、消化タンクで消化した後はそのまま脱水設備に送られてしまい、年間一定の熱エネルギーを保有している消化引抜汚泥の熱エネルギーは今までほとんど再利用されていなかった。しかし、消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収して、消化槽の加温エネルギーに変換できれば、必要加温エネルギーの省エネルギー化が可能となり、消化ガスのより一層の有効利用が可能となる。なお、消化槽の加温エネルギーは、概ね、投入汚泥の温度を消化温度に加温するエネルギーに、消化タンクや配管の放散熱量を加えた分のエネルギーである。
【0005】
消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収する技術として、従来、高温消化において、消化引抜汚泥と消化タンク投入汚泥とを熱交換器により熱エネルギーの回収を行う技術が知られている。その例を図4に示す。図4において、消化槽31には、先ず、槽内の消化汚泥の加温手段として、消化汚泥循環路32と第2熱交換器33とが付設されている。第2熱交換器33は、消化汚泥循環路32と加温水熱媒循環路34との間に介設されている。加温水熱媒循環路34は、たとえば加温用熱源35と高温水槽36と低温水槽37とを繋ぐ循環路として構成されている。以上により、消化汚泥循環路32を流れる消化汚泥が第2熱交換器33により加温され、消化槽31内の消化汚泥が一定の消化温度を保つように加温される。
【0006】
そして、消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収する技術として、投入汚泥路38と消化引抜汚泥路39との間に第1熱交換器40が介設されている。図4では第1熱交換器40を複数設けた場合を示している。これにより、消化引抜汚泥の熱エネルギーが、第1熱交換器40によって、投入汚泥管路38を流れる投入汚泥の加温エネルギーとして利用される。
【0007】
なお、嫌気性消化方式の処理システムにおいて、消化槽の加温手段の従来例としては、特許文献1に記載のものが挙げられる。また、消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収する技術の従来例としては、特許文献2に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−36781号公報
【特許文献2】特開2011−167648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図4に示した第1熱交換器40を用いた技術では、消化処理前の汚泥である投入汚泥に含まれるし渣や投入汚泥濃度が高い場合はその高粘度によって第1熱交換器40内の流路が詰まりやすいという問題がある。また、投入汚泥の温度が例えば夏期と冬期とで大きく異なるため、冬期以外では温度差が取れず熱回収が少なくなり、夏期では熱回収が難しいという問題がある。
【0010】
本発明はこのような問題を解決するために創案されたものであり、熱交換器の詰まりの問題を解消でき、消化引抜汚泥から通年で熱エネルギーを回収できる汚泥消化処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明は、投入汚泥を消化槽により嫌気性消化処理し、前記消化槽で消化ガスを発生させるとともに、その処理した汚泥を消化引抜汚泥として前記消化槽から消化引抜汚泥路を通して排出する汚泥消化処理システムにおいて、前記消化引抜汚泥と低温水熱媒回路との間で熱交換して前記低温水熱媒回路に熱回収する第1熱交換器と、前記消化ガスを燃料とし、前記消化槽内の消化汚泥を所定の温度に加温する温水ボイラー又は消化ガス発電からのコジェネされた温水からなる加温用熱源と、前記加温用熱源により熱を媒介するための高温水槽と、前記消化槽内の消化汚泥と熱交換する第2熱交換器と、前記第2熱交換器で熱交換した媒体を回収する低温水槽と、前記低温水熱媒回路側が前記第1熱交換器に接続されるヒートポンプと、前記加温用熱源と前記高温水槽と前記第2熱交換器と前記低温水槽とが介設される加温水熱媒循環路と、を備え、前記ヒートポンプの高温水熱媒回路の下流側が前記高温水槽に接続され、前記ヒートポンプの高温水熱媒回路を介して前記消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収し、当該熱エネルギーを前記加温水熱媒循環路の加温水熱媒に与えることを特徴とする。
また、投入汚泥を消化槽により嫌気性消化処理し、その処理した汚泥を消化引抜汚泥として消化槽から消化引抜汚泥路を通して排出する汚泥消化処理システムにおいて、前記消化引抜汚泥と低温水熱媒回路との間で熱交換して前記低温水熱媒回路に熱回収する第1熱交換器と、前記消化槽内の消化汚泥を所定の温度に加温する加温用熱源と、前記加温用熱源により熱を媒介するための高温水槽と、前記消化槽内の消化汚泥と熱交換する第2熱交換器と、前記第2熱交換器で熱交換した媒体を回収する低温水槽と、前記低温水熱媒回路側が前記第1熱交換器に接続されるヒートポンプと、前記加温用熱源と前記高温水槽と前記第2熱交換器と前記低温水槽とが介設される加温水熱媒循環路と、を備え、前記ヒートポンプの高温水熱媒回路の下流側が前記低温水槽を介して前記加温水熱媒循環路に接続され、前記ヒートポンプの高温水熱媒回路を介して前記消化引抜汚泥から熱エネルギーを回収することを特徴とする。
【0012】
この汚泥消化処理システムによれば、従来のように消化引抜汚泥と投入汚泥との間で熱交換する構造において、投入汚泥に含まれるし渣や投入汚泥濃度が高い場合はその高粘度によって熱交換器内の流路が詰まるという問題を生ずることなく、消化引抜汚泥から熱エネルギーを効率的に回収できる。
また、夏期と冬期とで投入汚泥の温度が異なっても消化槽内の消化汚泥の温度は一定のため、ヒートポンプの各設定温度を適宜な値に設定することで、通年で熱エネルギーを回収することができる。
【0014】
この汚泥消化処理システムによれば、消化引抜汚泥から回収した熱エネルギーを加温水冷媒循環路の加温水熱媒に与えることができ、その分、消化槽内の消化汚泥を加温する熱源の熱発生量を節約できる。
【0015】
また、本発明は、前記ヒートポンプにおいて、前記低温水熱媒回路における低温水熱媒出口温度と低温水熱媒入口温度は、温度差を5〜10℃としてそれぞれ5〜30℃、10〜35℃の範囲に設定され、前記高温水熱媒回路における高温水熱媒出口温度が60〜90℃の範囲に設定されていることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、前記第1熱交換器はスパイラル式熱交換器であって、前記消化引抜汚泥の流路幅が14〜20mmの範囲に設定され、前記消化引抜汚泥の流路には、該流路に対向し合う隔壁板を隔間するディスタンスピースが設けられていないことが好ましい。
【0017】
また、本発明は、前記消化槽で発生した消化ガスを利用した発電から得られた廃熱の熱エネルギーと、前記消化引抜汚泥から回収した熱エネルギーとにより、前記消化槽内の消化汚泥を加温するための加温エネルギーの全量をまかなうことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、熱交換器内の流路の詰まりが低減されるとともに、通年で均一な熱回収効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る汚泥消化処理システムの構成図である。
図2】熱交換器の一例を示す外観斜視図(一部破断)である。
図3】ヒートポンプの概略構成図である。
図4】従来の汚泥消化処理システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して本発明に係る汚泥消化処理システム1の構成を説明する。汚泥消化処理システム1は、投入汚泥路3を介して投入汚泥W1が投入される消化槽2を備える。投入汚泥W1としては、例えば下水汚泥や浄化槽汚泥等の有機性汚泥、食品廃棄物、生ごみ、畜産糞尿等である。消化槽2において投入汚泥W1は、嫌気性のメタン発酵菌によりメタン発酵(消化処理)する。メタン発酵に伴い、消化槽2から主にCH、COからなる消化ガスGが発生する。消化ガスGの全てを消化ガス発電等の再生エネルギーとして有効利用することが可能となる。本実施形態では、後記する加温用熱源7又は発電用の燃料として供給される。消化槽2の運転温度は中温消化で35〜40℃程度、高温消化では50〜55℃程度に適宜設定される。
【0021】
消化槽2には、槽内の消化汚泥の加温手段として、消化汚泥循環路4と、加温水熱媒C1が循環する加温水熱媒循環路5と、消化汚泥循環路4と加温水熱媒循環路5との間に介設される熱交換器(以降、これを第2熱交換器という)6とが付設されている。消化汚泥循環路4は消化槽2との間で消化汚泥が一方向に循環するように設けられている。加温水熱媒循環路5は、前記第2熱交換器6と加温用熱源7と高温水槽8と低温水槽9とを備えている。高温水槽8は、加温用熱源7により熱を媒介するための水槽である。高温水槽8は上流側に加温用熱源7が位置し、下流側に第2熱交換器6が位置するように設けられる。低温水槽9は、第2熱交換器6で熱交換した媒体(加温水熱媒C1)を回収する水槽である。低温水槽9は上流側に第2熱交換器6が位置し、下流側に加温用熱源7が位置するように設けられる。高温水槽8内の温度はたとえば70〜80℃程度に設定され、低温水槽9内の温度はたとえば60〜70℃程度に設定されている。
【0022】
加温用熱源7はたとえば温水ボイラー又は消化ガス発電からのコジェネされた温水等であり、前記したように消化槽2で発生した消化ガスGがこの温水ボイラー又は消化ガス発電等の燃料として供給される。第2熱交換器6は、例えば後記する第1熱交換器11と同じスパイラル式熱交換器である。
以上により、消化汚泥循環路4を流れる消化汚泥が第2熱交換機6により加温されることにより、消化槽2内の消化汚泥が所定の温度に加温される。
【0023】
消化槽2で消化処理された汚泥は、消化引抜汚泥W2として消化槽2から消化引抜汚泥路10を通して排出される。消化引抜汚泥W2は、図示しない消化汚泥貯槽に貯えられたうえで、或いは直接、図示しない汚泥脱水機に送出されて脱水処理される。
【0024】
以上の構成からなる汚泥消化処理システム1は、消化引抜汚泥路10に設けられる熱交換器(以降、これを第1熱交換器という)11と、低温水熱媒回路13側が第1熱交換器11に接続されるヒートポンプ12と、を備えており、ヒートポンプ12の高温水熱媒回路14側を介して消化引抜汚泥W2から熱エネルギーを回収することを主な特徴とする。本実施形態では、第1熱交換器11が消化引抜汚泥路10に対し直列に複数(3つ)設けられている場合を例示しているが、その数は限定されない。
【0025】
第1熱交換器11は、図2に示すように、両流体が共に渦巻流として流れるスパイラル式熱交換器からなる。第1熱交換器11は、円筒形状のハウジング11Aの内部に、一対の渦巻き状の隔壁板11B,11Cが流路間隔を空けて互いに隣り合うように配された構造であり、消化引抜汚泥W2の渦巻き状の流路15と低温水熱媒C2の渦巻き状の流路16とが径方向において交互に形成される。消化引抜汚泥W2、低温水熱媒C2は2つの流入口11Dのそれぞれからハウジング11A内に流入し、2つの流出口11Eのそれぞれから流出する。
【0026】
消化引抜汚泥W2の流路15の流路幅L1は詰まりにくくするため低温水冷媒C2の流路16の流路幅L2よりも大きく設定されている。流路幅L1は14〜20mmの範囲に設定されていることが好ましい。また、流路16に対向し合う隔壁板11B、11Cには、両者を連結して流路幅を保持するように隔間するためのディスタンスピース(連結片)17が設けられている。このディスタンスピース17は、消化引抜汚泥W2の流路15には、詰まりにくくするため設けられておらず、低温水熱媒C2の流路16のみに設けられている。
以上により、低温水熱媒C2が第1熱交換器11によって消化引抜汚泥W2から熱エネルギーを回収する。
【0027】
図1において、ヒートポンプ12は、3つの第1熱交換器11に対してそれぞれ設けられている。ヒートポンプ12は、図3に示すように、冷媒C4を循環させる冷媒循環路21と、冷媒循環路21に介設される圧縮機22、凝縮器23、膨張弁24、蒸発器25とを備えており、蒸発器25の一次側に低温水熱媒回路13が形成され、凝縮器23の二次側に高温水熱媒回路14が形成されている。冷媒C4は、圧縮機22と膨張弁24とにより圧縮と膨張が繰り返されて冷媒循環路21を循環する。冷媒C4は、蒸発器25において低温水熱媒回路13を循環する低温水熱媒C2から熱エネルギーを回収し、圧縮機22により回収した熱エネルギーが高められた後、凝縮器23において高温水熱媒回路14を循環する高温水熱媒C3によって熱エネルギーが回収される。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の高温水熱媒回路14は加温水熱媒循環路5の高温水槽8に接続されている。なお、高温水熱媒回路14は加温水熱媒循環路5の低温水槽9に接続される場合もある。
【0029】
図3に戻り、ヒートポンプ12は、高温水熱媒回路14における高温水熱媒出口温度T4の温度を設定することにより、圧縮機動力を自動的に調節している。低温水熱媒出口温度T2と低温水熱媒入口温度T1は、互いの温度差を5〜10℃程度としてそれぞれ5〜30℃、10〜35℃程度の範囲に設定されていることが好ましい。また、高温水熱媒出口温度T4と高温水熱媒入口温度T3は、互いの温度差が概ね10℃程度として高温水熱媒出口温度T4が60〜90℃の範囲に設定されていることが好ましい。高温水熱媒出口温度T4の設定値により、高温水熱媒回路14の下流側を加温水熱媒循環路5の低温水槽9に接続するか、或いは高温水槽8に接続するかが決定される。
【0030】
以上のように、消化引抜汚泥W2から熱回収する第1熱交換器11と、消化槽2内の消化汚泥を所定の温度に加温する加温用熱源7と、加温用熱源7により熱を媒介するための高温水槽8と、消化槽2内の消化汚泥と熱交換する第2熱交換器6と、第2熱交換器6で熱交換した媒体(加温水熱媒C1)を回収する低温水槽9と、低温水熱媒回路13側が第1熱交換器11に接続されるヒートポンプ12と、を備え、ヒートポンプ12の高温水熱媒回路14を介して消化引抜汚泥W2から熱エネルギーを回収する構成とすれば、従来のように消化引抜汚泥と投入汚泥との間で熱交換する構造において、投入汚泥に含まれるし渣や投入汚泥濃度が高い場合はその高粘度によって第1熱交換器内の流路が閉塞するという問題が生ずることなく、消化引抜汚泥W2から熱エネルギーを回収できる。
また、夏期と冬期とで投入汚泥W1の温度が異なっても消化汚泥の温度は一定のため、ヒートポンプ12の高温水熱媒出口温度T4を適宜に設定することで、通年で熱エネルギーの回収を得ることができる。
【0031】
また、ヒートポンプ12の高温水熱媒回路14の下流側を高温水槽8又は低温水槽9を介して加温水熱媒循環路5に接続する構成とすれば、消化引抜汚泥W2から回収した熱エネルギーを加温水熱媒循環路5の加温水熱媒C1に与えることができ、その分、消化槽2内の処理汚泥を加温する熱源(加温用熱源7)への熱供給量を節約でき、更に、消化ガス発電等再生エネルギーへの有効利用が可能となる。
【0032】
さらに、第1熱交換器11がスパイラル式熱交換器である場合、消化引抜汚泥W2の流路幅L1を14〜20mmの範囲に設定し、対向し合う隔壁板11B,11Cを連結して流路幅を保持するように隔間するディスタンスピース17を、消化引抜汚泥W2の流路15と低温水熱媒C2の流路16の内で低温水熱媒C2の流路16のみに設ける構成とすれば、流路15において障害物が無くなることによって消化引抜汚泥W2のスムーズな流れを確保でき、第1熱交換器11の詰まりを低減できる。
【0033】
また、消化槽2で発生した消化ガスGを再生エネルギーとして利用したとき、例えば消化ガスGの全てをガス発電に利用してそのガス発電で得られる廃熱の熱エネルギーと、消化引抜汚泥W2から回収した熱エネルギーとにより、消化槽2内の消化汚泥を加温するための加温エネルギーの全量をまかなうことができる。
【0034】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。説明した形態では、消化引抜汚泥から回収した熱エネルギーを加温水熱媒循環路5に与えているが、消化引抜汚泥から回収した熱エネルギーを別の対象に利用することもできる。
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、様々な設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 汚泥消化処理システム
2 消化槽
4 消化汚泥循環路
5 加温水熱媒循環路
6 第2熱交換器
7 加温用熱源
8 高温水槽
9 低温水槽
10 消化引抜汚泥路
11 第1熱交換器
12 ヒートポンプ
13 低温水熱媒回路
14 高温水熱媒回路
15 消化引抜汚泥の流路
16 低温水熱媒の通路
17 ディスタンスピース
T3 高温水熱媒入口温度
T4 高温水熱媒出口温度
図1
図2
図3
図4