(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【0013】
<検討>
図1に、アッテネータの等価回路を示す。等価回路90は、直列に接続された入力抵抗190と可変抵抗910で構成される。入力抵抗190は、一端が入力端子191に、他端が出力端子192に接続される。可変抵抗910は、一端が出力端子192に接続され、他端が接地される。このような等価回路では、入力電圧V
Iと出力電圧V
Oとの関係は、
V
O=V
I・R
A/(R
O+R
A)
となり、入力電圧V
Iが減衰された出力電圧V
Oが得られる。
【0014】
図2は、本願出願時には未公開の本願出願人の出願である特願2014−100181(参考文献1)の実施例1に示されたアッテネータの構成例を示す図である。アッテネータ10は、一端が入力端子191に接続され、他端が出力端子192に接続された入力抵抗190と、出力端子192に接続された可変抵抗部110を備える。可変抵抗部110は、NPN型の第1トランジスタ131、NPN型の第2トランジスタ132、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1可変電圧源121、第2可変電圧源122、第1電源101、第2電源102、帰還点182、出力点181を有する。
【0015】
第1可変電圧源121と第2可変電圧源122は、第1トランジスタ131のベース−エミッタ間のバイアス電圧V
BE1と第2トランジスタ132のベース−エミッタ間のバイアス電圧V
BE2とが同じになるように変化させる。そして、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1電源101、第2電源102は、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように定められる。
【0016】
例えば、第1電源101の電圧V
CCと第2電源102の電圧V
EEとを12V、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを220kΩ、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗114の抵抗値R
4とを4.7kΩ、入力抵抗190の抵抗値R
0を100kΩとし、入力信号の振幅を5Vとする。そして、第1可変電圧源121の電圧V
B1と第2可変電圧源122の電圧V
B2とを0.1Vから0.6Vまで変化させると、入力電圧V
Iと出力電圧V
Oとの比(減衰率)V
O/V
Iを、約1/2から1/100まで変化させることができる。これは、等価回路90の可変抵抗910に当てはめてみると、抵抗値を100kΩから1kΩまで変化させたことと等価である。
【0017】
アッテネータ10は、第1トランジスタ131のベース−エミッタ間のバイアス電圧V
BE1と第2トランジスタ132のベース−エミッタ間のバイアス電圧V
BE2とが同じなので、第1トランジスタ131と第2トランジスタ132の特性を同等にできる。また、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように抵抗値と電源電圧とを定めている。したがって、入力電圧が正の電圧の場合も負の電圧の場合も同じ減衰率にでき、減衰率を第1可変電圧源121と第2可変電圧源122で調整できる。
【0018】
図3は、上述の参考文献1の実施例2に示されたアッテネータの構成例を示す図である。アッテネータ30は、入力抵抗190と可変抵抗部310を備える。可変抵抗部310は、PNP型の第1トランジスタ331、PNP型の第2トランジスタ332、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1可変電圧源121、第2可変電圧源122、第1電源101、第2電源102、帰還点182、出力点181を有する。
【0019】
第1可変電圧源121と第2可変電圧源122は、第1トランジスタ331のベース−エミッタ間のバイアス電圧V
BE1と第2トランジスタ332のベース−エミッタ間のバイアス電圧V
BE2とが同じになるように変化させる。そして、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1電源101、第2電源102は、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように定められる。このような構成なので、
図3のアッテネータも
図2のアッテネータと同様の効果が得られる。
【0020】
参考文献1のアッテネータでは可変電圧源を用いているが、本発明のアッテネータでは可変電流源を用いる。
【実施例1】
【0021】
図4に、実施例1のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ15は、一端が入力端子191に接続され、他端が出力端子192に接続された入力抵抗190と、出力端子192に接続された可変抵抗部100を備える。可変抵抗部100は、NPN型の第1トランジスタ131、NPN型の第2トランジスタ132、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1可変電流源151、第2可変電流源152、第3可変電流源253、第1電源101、第2電源102、帰還点182、出力点181を有する。なお、帰還点182と出力点181は、素子同士の接続関係を説明するために採用した表現上の点であり、実際のアッテネータにおいて明確な点が存在する必要はなく、配線内のいずれかの点を帰還点182もしくは出力点181と考えればよい。出力点181は出力端子192に接続される。また、帰還点182と出力点181とが接続される。第1電源101の負極と第2電源102の正極が接地される。第1トランジスタ131のベースと接地の間に第1可変電流源151が接続される。第2トランジスタ132のベースと接地の間に第2可変電流源152が接続される。帰還点182と接地の間に第3可変電流源253が接続される。
【0022】
第1トランジスタ131のコレクタが第1電源101の正極に接続される。第2トランジスタ132のエミッタが第2電源102の負極に接続される。第1トランジスタ131のエミッタと第2トランジスタ132のコレクタとが出力点181に接続される。第1トランジスタ131のベースとコレクタの間に、第1抵抗111が接続される。第1トランジスタ131のベースと帰還点182の間に、第2抵抗112が接続される。第2トランジスタ132のベースと帰還点182の間に、第3抵抗113が接続される。第2トランジスタ132のベースとエミッタの間に、第4抵抗114が接続される。
【0023】
第1可変電流源151、第2可変電流源152、第3可変電流源253は、第1トランジスタ131のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧と第2トランジスタ132のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧とが同じになるように変化させる。言い換えると、第1可変電流源151、第2可変電流源152、第3可変電流源253を、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合に、第1トランジスタ131のベース−エミッタ間の電圧と第2トランジスタ132のベース−エミッタ間の電圧とが同じになるように変化させる。第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1電源101、第2電源102は、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように定められる。例えば、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを同じにし、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗の抵抗値R
4とを同じにし、R
1とR
3をR
2とR
4よりも十分大きい抵抗値(R
1=R
3≫R
2=R
4)に定めればよい。「R
1とR
3をR
2とR
4よりも十分大きい抵抗値(R
1=R
3≫R
2=R
4)に定めればよい」とは、第1可変電流源151と第2可変電流源152から流入する電流が第2抵抗112と第4抵抗側114に流れ、第1抵抗111と第3抵抗113側に流れる電流は設計上無視できるという意味である。また、R
1=R
3≫R
2=R
4のように設定すれば、高い電圧が入力された場合でもベース電圧の変化を小さくできるので、広い入力電圧の範囲で線形性を確保することもできる。そして、第1可変電流源151、第2可変電流源152、第3可変電流源253は、電流が同じ(C
1=C
2=C
3)になるように変化させればよい。また、第1電源101の電圧V
ccと第2電源102の電圧V
EEとを同じにすれば、電源の設計が容易である。
【0024】
このように設定すれば、第1可変電流源151から流入する電流C
1のほとんどは第2抵抗112に流れ、C
1×R
2のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図2の第1可変電圧源121によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。そして、流れ込んだ電流C
1は第3可変電流源253から流れ出る。なお、第1トランジスタ131のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。同様に、第2可変電流源152から流れ込んだ電流C
2のほとんどは第4抵抗114に流れ、C
2×R
4のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図2の第2可変電圧源122によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。そして、流れ込んだ電流C
2は第2電源102側に流れる。なお、第2トランジスタ132のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。
【0025】
例えば、第1電源101の電圧V
CCと第2電源102の電圧V
EEとを6V、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを1MΩ、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗114の抵抗値R
4とを10kΩ、入力抵抗190の抵抗値R
0を100kΩとし、入力信号の振幅を5Vとする。そして、第1可変電流源151の電流C
1、第2可変電流源152の電流C
2、第3可変電流源253の電流C
3を0.04mAから0.06mAまで変化させると、入力電圧V
Iと出力電圧V
Oとの比(減衰率)V
O/V
Iを、約1/2から1/100まで変化させることができる。これは、等価回路90の可変抵抗910に当てはめてみると、抵抗値を100kΩから1kΩまで変化させたことと等価である。
【0026】
図5に可変電流源の具体例を示す。
図5(A)は、電流を流し込むための可変電流源の例であり、トランジスタ155、抵抗115、電圧源101、可変電圧源156を備える。
図5(B)は、電流を流し出すための可変電流源であり、トランジスタ255、抵抗115、電圧源102、可変電圧源256を備える。例えば、抵抗115の抵抗値R
5を68kΩ、電源101の電圧V
CCと電源102の電圧V
EEを6Vとし、可変電圧源156の電圧V
2CCと可変電圧源256の電圧V
2EEを9.3〜10.7Vで変更すればよい。なお、電流源は、
図5に示した構成に限る必要はなく、オペアンプなどを用いた回路で構成してもよい。
【0027】
アッテネータ15は、第1トランジスタ131のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧V
BE1と第2トランジスタ132のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧V
BE2とが同じなので、第1トランジスタ131と第2トランジスタ132の特性を同等にできる。また、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように抵抗値と電源電圧とを定めている。したがって、入力電圧が正の電圧の場合も負の電圧の場合も同じ減衰率にでき、減衰率を第1可変電流源151、第2可変電流源152、第3可変電流源253で調整できる。また、アッテネータ15は、トランジスタと抵抗と電源で構成されているので、素子を入手しやすく、部品数を少なくできる。
【0028】
さらに、アッテネータ15は上述のような特性を持つので、入力信号に効果を付加するエフェクタにアッテネータ15を備えさせることも可能である。ここで言うエフェクタには、例えば、特許文献1で開示されている入力信号制限(回路)装置や、楽音信号の振幅を低周波信号で変調するトレモロ装置、フィルター回路の時定数を変調し音色の変化を得る電気・電子楽器用の効果付加装置などが含まれる。なお、従来のエフェクタとしては、電圧制御方式の可変抵抗素子としてカドミウムを含有するフォトカプラを用いた例が知られている。本発明のアッテネータは、カドミウムを含有するフォトカプラを用いた回路の代替回路としてエフェクタに備えることができる。
【0029】
[変形例]
図6に実施例1変形例のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ25の可変抵抗部200は、アッテネータ15の可変抵抗部100に、増幅率が1のバッファ140を付加した構成である。バッファ140は、帰還点182と出力点181との間に、出力点181側が入力、帰還点182側が出力となるように挿入されている。その他の構成は、アッテネータ15と同じである。
【0030】
バッファ140によって、出力点181と帰還点182との電位を同じに保ちながら、出力点181から帰還点182側を見たインピーダンスを大きくし、帰還点182側には電流を供給できるようになる。したがって、アッテネータ25は、減衰率をアッテネータ15よりも幅広く変更できるようになる。また、バッファ140が電流を吸い出すことができる範囲で第1可変電流源151から電流を流し込むのであれば、第3可変電流源253は備えなくてもよい。
【0031】
例えば、第1電源101の電圧V
CCと第2電源102の電圧V
EEとを6V、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを100kΩ、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗114の抵抗値R
4とを1kΩ、入力抵抗190の抵抗値R
0を100kΩとし、入力信号の振幅を5Vとする。そして、第1可変電流源151の電流C
1、第2可変電流源152の電流C
2、第3可変電流源253の電流C
3を0.3mAから0.6mAまで変化させると、入力電圧V
Iと出力電圧V
Oとの比(減衰率)V
O/V
Iを、ほぼ1から1/100まで変化させることができる。これは、等価回路90の可変抵抗910に当てはめてみると、抵抗値を10MΩ以上から1kΩ以下まで変化させたことと等価である。
【0032】
なお、第1可変電流源151の電流C
1、第2可変電流源152の電流C
2、第3可変電流源253の電流C
3を0.3mAから0.6mAまで変化させる場合は、
図5に示した可変電流源は、抵抗115の抵抗値R
5を6.8kΩ、電源101の電圧V
CCと電源102の電圧V
EEを6Vとし、可変電圧源156の電圧V
2CCと可変電圧源256の電圧V
2EEを8.5〜10.5Vで変更すればよい。
【0033】
このように、アッテネータ25は、アッテネータ15と同様の効果が得られるほか、より幅広く減衰率を調整できる。また、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114の選択自由度が大きくなる。これによって、トランジスタのベースに低インピーダンスで信号を入力することが可能となり、S/N比が向上する。さらに、エフェクタに備えることも可能である。
【実施例2】
【0034】
図7に、実施例2のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ35は、一端が入力端子191に接続され、他端が出力端子192に接続された入力抵抗190と、出力端子192に接続された可変抵抗部300を備える。可変抵抗部300は、PNP型の第1トランジスタ331、PNP型の第2トランジスタ332、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1可変電流源251、第2可変電流源252、第3可変電流源153、第1電源101、第2電源102、帰還点182、出力点181を有する。なお、帰還点182と出力点181は、素子同士の接続関係を説明するために採用した表現上の点であり、実際のアッテネータにおいて明確な点が存在する必要はなく、配線内のいずれかの点を帰還点182もしくは出力点181と考えればよい。出力点181は出力端子192に接続される。また、帰還点182と出力点181とが接続される。第1電源101の負極と第2電源102の正極が接地される。第1トランジスタ331のベースと接地の間に第1可変電流源251が接続される。第2トランジスタ332のベースと接地の間に第2可変電流源252が接続される。帰還点182と接地の間に第3可変電流源253が接続される。
【0035】
アッテネータ35は、アッテネータ15とは、第1トランジスタ331と第2トランジスタ332がPNP型である点が異なる。そのため、抵抗の配置が異なり、次のように配置される。第1トランジスタ331のエミッタが第1電源101の正極に接続され、第1トランジスタ331のコレクタが出力点181に接続され、第1トランジスタ331のベースとエミッタの間に第2抵抗112が接続され、第1トランジスタ331のベースと帰還点182の間に第1抵抗111が接続される。また、第2トランジスタ332のコレクタが第2電源102の負極に接続され、第2トランジスタ332のエミッタが出力点181に接続され、第2トランジスタ332のベースと帰還点182の間に第4抵抗114が接続され、第2トランジスタ332のベースとコレクタの間に第3抵抗113が接続される。また、第1可変電流源251と第2可変電流源252は、電流を流出させる電流源であり、第3可変電流源153は、電流を流入させる電流源である点もアッテネータ15と異なる。第1可変電流源251と第2可変電流源252は、
図5(B)に示した回路とすればよい。また、第3可変電流源153は、
図5(A)に示した回路とすればよい。ただし、これらの構成に限定する必要はなく、オペアンプなどを用いて構成してもよい。
【0036】
第1可変電流源251、第2可変電流源252、第3可変電流源153は、第1トランジスタ331のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧と第2トランジスタ332のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧とが同じになるように変化させる。第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1電源101、第2電源102は、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように定められる。この点は、アッテネータ15と同じである。アッテネータ15と同じように、例えば、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを同じにし、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗の抵抗値R
4とを同じにし、R
1とR
3をR
2とR
4よりも十分大きい抵抗値(R
1=R
3≫R
2=R
4)に定めればよい。そして、第1可変電流源251、第2可変電流源252、第3可変電流源153は、電流が同じ(C
1=C
2=C
3)になるように変化させればよい。また、第1電源101の電圧V
ccと第2電源102の電圧V
EEとを同じにすれば、電源の設計が容易である。
【0037】
このように設定すれば、第2可変電流源252から流出する電流C
2のほとんどは第4抵抗114を流れ、C
2×R
4のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図3の第2可変電圧源122によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。なお、この電流C
2は第3可変電流源153から流れ込んだ電流C
3である。第2トランジスタ332のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。同様に、第1可変電流源251から流れ出す電流C
1のほとんどは第2抵抗112を流れるので、C
1×R
2のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図3の第1可変電圧源121によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。この電流C
1は第1電源101から供給された電流である。なお、第1トランジスタ331のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。
【0038】
具体的な電圧や抵抗値の設定例は実施例1と同じである。したがって、アッテネータ35は、アッテネータ15と同様の効果が得られる。さらに、入力信号に効果を付加するエフェクタにアッテネータ35を備えさせることも可能である。
【0039】
[変形例]
図8に実施例2変形例のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ45の可変抵抗部400は、アッテネータ35の可変抵抗部300に、増幅率が1のバッファ140を付加した構成である。バッファ140は、帰還点182と出力点181との間に、出力点181側が入力、帰還点182側が出力となるように挿入されている。その他の構成は、アッテネータ35と同じである。
【0040】
バッファ140によって、出力点181と帰還点182との電位を同じに保ちながら、出力点181から帰還点182側を見たインピーダンスを大きくし、帰還点182側には電流を供給できるようになる。したがって、アッテネータ45は、減衰率をアッテネータ35よりも幅広く変更できるようになる。また、バッファ140が電流を流し込むことができる範囲で第2可変電流源252から電流を流し出すのであれば、第3可変電流源153は備えなくてもよい。
【0041】
具体的な、電圧や抵抗値の設定例は実施例1変形例とおなじである。アッテネータ45は、アッテネータ25と同様の効果が得られる。また、エフェクタに備えることも可能である。
【実施例3】
【0042】
図9に、実施例3のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ55は、一端が入力端子191に接続され、他端が出力端子192に接続された入力抵抗190と、出力端子192に接続された可変抵抗部500を備える。可変抵抗部500は、PNP型の第1トランジスタ331、NPN型の第2トランジスタ132、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1可変電流源251、第2可変電流源152、第1電源101、第2電源102、帰還点182、出力点181を有する。なお、帰還点182と出力点181は、素子同士の接続関係を説明するために採用した表現上の点であり、実際のアッテネータにおいて明確な点が存在する必要はなく、配線内のいずれかの点を帰還点182もしくは出力点181と考えればよい。出力点181は出力端子192に接続される。また、帰還点182と出力点181とが接続される。第1電源101の負極と第2電源102の正極が接地される。第1トランジスタ331のベースと接地の間に第1可変電流源251が接続される。第2トランジスタ132のベースと接地の間に第2可変電流源152が接続される。
【0043】
アッテネータ55は、第1トランジスタ331がPNP型であり、第2トランジスタ132がNPN型である。そのため、アッテネータ15,35とは、抵抗の配置が異なり、第3可変電流源が不要である。具体的には、第1トランジスタ331のエミッタが第1電源101の正極に接続され、第1トランジスタ331のコレクタが出力点181に接続され、第1トランジスタ331のベースとエミッタの間に第2抵抗112が接続され、第1トランジスタ331のベースと帰還点182の間に第1抵抗111が接続される。また、第2トランジスタ132のエミッタが第2電源102の負極に接続され、第2トランジスタ132のコレクタが出力点181に接続され、第2トランジスタ132のベースと帰還点182の間に第3抵抗113が接続され、第2トランジスタ132のベースとエミッタの間に第4抵抗114が接続される。また、第1可変電流源251は電流を流れ出させる電流源であり、第2可変電流源152は電流を流入させる電流源である。第1可変電流源251は、
図5(B)に示した回路とすればよい。また、第2可変電流源152は、
図5(A)に示した回路とすればよい。ただし、これらの構成に限定する必要はなく、オペアンプなどを用いて構成してもよい。
【0044】
第1可変電流源251、第2可変電流源152は、第1トランジスタ331のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧と第2トランジスタ132のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧とが同じになるように変化させる。第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1電源101、第2電源102は、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように定められる。この点は、アッテネータ15,35と同じである。アッテネータ15,35と同じように、例えば、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを同じにし、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗の抵抗値R
4とを同じにし、R
1とR
3をR
2とR
4よりも十分大きい抵抗値(R
1=R
3≫R
2=R
4)に定めればよい。そして、第1可変電流源251、第2可変電流源152は、電流が同じ(C
1=C
2)になるように変化させればよい。また、第1電源101の電圧V
ccと第2電源102の電圧V
EEとを同じにすれば、電源の設計が容易である。
【0045】
このように設定すれば、第1可変電流源251から流れ出す電流C
1のほとんどは第2抵抗112を流れるので、C
1×R
2のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図3の第1可変電圧源121によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。この電流C
1は第1電源101から供給された電流である。なお、第1トランジスタ331のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。同様に、第2可変電流源152から流れ込んだ電流C
2のほとんどは第4抵抗114に流れ、C
2×R
4のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図2の第2可変電圧源122によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。そして、流れ込んだ電流C
2は第2電源102側に流れる。なお、第2トランジスタ132のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。
【0046】
具体的な電圧や抵抗値の設定例は実施例1と同じである。したがって、アッテネータ55は、アッテネータ15,35と同様の効果が得られる。さらに、入力信号に効果を付加するエフェクタにアッテネータ55を備えさせることも可能である。
【0047】
[変形例]
図10に実施例3変形例のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ65の可変抵抗部600は、アッテネータ55の可変抵抗部500に、増幅率が1のバッファ140を付加した構成である。バッファ140は、帰還点182と出力点181との間に、出力点181側が入力、帰還点182側が出力となるように挿入されている。その他の構成は、アッテネータ55と同じである。
【0048】
バッファ140によって、出力点181と帰還点182との電位を同じに保ちながら、出力点181から帰還点182側を見たインピーダンスを大きくし、帰還点182側には電流を供給できるようになる。したがって、アッテネータ65は、減衰率をアッテネータ55よりも幅広く変更できるようになる。
【0049】
具体的な、電圧や抵抗値の設定例は実施例1変形例とおなじである。アッテネータ65は、アッテネータ25と同様の効果が得られる。また、エフェクタに備えることも可能である。
【実施例4】
【0050】
図11に、実施例4のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ75は、一端が入力端子191に接続され、他端が出力端子192に接続された入力抵抗190と、出力端子192に接続された可変抵抗部700を備える。可変抵抗部700は、NPN型の第1トランジスタ131、PNP型の第2トランジスタ332、第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1可変電流源151、第2可変電流源252、第1電源101、第2電源102、帰還点182、出力点181を有する。なお、帰還点182と出力点181は、素子同士の接続関係を説明するために採用した表現上の点であり、実際のアッテネータにおいて明確な点が存在する必要はなく、配線内のいずれかの点を帰還点182もしくは出力点181と考えればよい。出力点181は出力端子192に接続される。また、帰還点182と出力点181とが接続される。第1電源101の負極と第2電源102の正極が接地される。第1トランジスタ131のベースと接地の間に第1可変電流源151が接続される。第2トランジスタ332のベースと接地の間に第2可変電流源252が接続される。
【0051】
アッテネータ75は、第1トランジスタ131がNPN型であり、第2トランジスタ332がPNP型である。そのため、アッテネータ15,35,55とは、抵抗の配置が異なり、第3可変電流源が不要である。具体的には、第1トランジスタ131のコレクタが第1電源101の正極に接続され、第1トランジスタ131のエミッタが出力点181に接続され、第1トランジスタ131のベースとコレクタの間に第1抵抗111が接続され、第1トランジスタ131のベースと帰還点182の間に第2抵抗112が接続される。また、第2トランジスタ332のコレクタが第2電源102の負極に接続され、第2トランジスタ332のエミッタが出力点181に接続され、第2トランジスタ332のベースと帰還点182の間に第4抵抗114が接続され、第2トランジスタ332のベースとコレクタの間に第3抵抗113が接続される。また、第1可変電流源151は電流を流入させる電流源であり、第2可変電流源252は電流を流出させる電流源である。第1可変電流源151は、
図5(A)に示した回路とすればよい。また、第2可変電流源252は、
図5(B)に示した回路とすればよい。ただし、これらの構成に限定する必要はなく、オペアンプなどを用いて構成してもよい。
【0052】
第1可変電流源151、第2可変電流源は252、第1トランジスタ131のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧と第2トランジスタ332のベース−エミッタ間に生じるバイアス電圧とが同じになるように変化させる。第1抵抗111、第2抵抗112、第3抵抗113、第4抵抗114、第1電源101、第2電源102は、入力端子191に入力される電圧が0Vの場合には、出力点の電圧が0Vになるように定められる。この点は、アッテネータ15,35と同じである。アッテネータ15,35と同じように、例えば、第1抵抗111の抵抗値R
1と第3抵抗113の抵抗値R
3とを同じにし、第2抵抗112の抵抗値R
2と第4抵抗の抵抗値R
4とを同じにし、R
1とR
3をR
2とR
4よりも十分大きい抵抗値(R
1=R
3≫R
2=R
4)に定めればよい。そして、第1可変電流源251、第2可変電流源152は、電流が同じ(C
1=C
2)になるように変化させればよい。また、第1電源101の電圧V
ccと第2電源102の電圧V
EEとを同じにすれば、電源の設計が容易である。
【0053】
このように設定すれば、第1可変電流源151から流入する電流C
1のほとんどは第2抵抗112に流れ、C
1×R
2のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図2の第1可変電圧源121によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。そして、流れ込んだ電流C
1は第4抵抗114を通って第2可変電流源252から流れ出る。第2可変電流源252から流れ出る電流をC
2とすると、第4抵抗114ではC
2×R
4のバイアス電圧が生じる。この電圧が、
図3の第2可変電圧源122によって付加された電圧(バイアス電圧)に相当する。なお、第1トランジスタ131のベースと第2トランジスタ332のベースに流れ込む電流は十分小さいので無視できる。
【0054】
具体的な電圧や抵抗値の設定例は実施例1と同じである。したがって、アッテネータ35は、アッテネータ15と同様の効果が得られる。さらに、入力信号に効果を付加するエフェクタにアッテネータ35を備えさせることも可能である。
【0055】
[変形例]
図12に実施例4変形例のアッテネータの構成例を示す。アッテネータ85の可変抵抗部800は、アッテネータ75の可変抵抗部700に、増幅率が1のバッファ140を付加した構成である。バッファ140は、帰還点182と出力点181との間に、出力点181側が入力、帰還点182側が出力となるように挿入されている。その他の構成は、アッテネータ75と同じである。
【0056】
バッファ140によって、出力点181と帰還点182との電位を同じに保ちながら、出力点181から帰還点182側を見たインピーダンスを大きくし、帰還点182側には電流を供給できるようになる。したがって、アッテネータ85は、減衰率をアッテネータ75よりも幅広く変更できるようになる。
【0057】
具体的な、電圧や抵抗値の設定例は実施例1変形例とおなじである。アッテネータ85は、アッテネータ25と同様の効果が得られる。また、エフェクタに備えることも可能である。
【0058】
<実施例1〜実施例4の特徴>
実施例1、実施例2では、第1トランジスタと第2トランジスタの型を一致させている。したがって、正の入力電圧を減衰させる第1トランジスタの特性と負の入力電圧を減衰させる第2トランジスタの特性をそろえやすい。一方、第1トランジスタと第2トランジスタの型を一致させたために、第1可変電流源と第2可変電流源の電流の向き(流入させるか、流出させるか)も同じになる。よって、バッファを用いない場合は必ず第3可変電流源が必要であり、バッファを用いる場合もバッファの能力以上の電流が流れる可能性があるときには第3可変電流源が必要である。
【0059】
実施例3、実施例4では、第1トランジスタと第2トランジスタの型を変えている。したがって、第1可変電流源と第2可変電流源の電流の向き(流入させるか、流出させるか)を逆にできるため、第3可変電流源を省略できる。しかし、正の入力電圧を減衰させる第1トランジスタの特性と負の入力電圧を減衰させる第2トランジスタの特性をそろえにくい。
【0060】
つまり、アッテネータとしての高い性能が求められる場合は、実施例1、実施例2に示したアッテネータが有利であり、構造を簡単にするという点では実施例3、実施例4に示したアッテネータが有利である。