特許第6322054号(P6322054)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322054
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】自立柵
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/32 20060101AFI20180423BHJP
   A01D 75/20 20060101ALI20180423BHJP
   A01D 34/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   E04G21/32 B
   A01D75/20 Z
   A01D34/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-116795(P2014-116795)
(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公開番号】特開2015-229875(P2015-229875A)
(43)【公開日】2015年12月21日
【審査請求日】2017年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】514142245
【氏名又は名称】近藤 朋之
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 朋之
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3183984(JP,U)
【文献】 特開2012−162915(JP,A)
【文献】 実開平07−040913(JP,U)
【文献】 特開平09−100632(JP,A)
【文献】 米国特許第04299507(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/32
A01D 34/00
A01D 75/20
E01F 13/00−13/12
E04B 2/74
F16L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈払い機による草刈り作業時、コンクリート・アスファルトのはつり作業時あるいは粉塵環境下での作業時における飛石、粉塵又ははつり片の周囲への飛散を防止し、騒音環境下で防音するようにした自立柵において、
2本の縦パイプを蝶番によって相互に回動可能に連結してなるパイプ組立体、該パイプ組立体の両外側に設けられる2本の外側縦パイプ、該2本の外側縦パイプとパイプ組立体の縦パイプの上端間及び下端間を連結する4本の横パイプ、及び上記2本の外側縦パイプとパイプ組立体の縦パイプの上端と下端及び上記横パイプの両端のいずれか一方に取付けられ他方が引抜き可能に差し込まれるL形ジョイントによって組立て分解可能な構造に構成され、上記外側縦パイプに取付けられるL形ジョイントにファスナーの挿通穴が形成され、相互に角度をもって展開されることによって自立し得る一方、金属製パイプを用いて製作されることによって風圧に抗して自立し得る重さに設定されている折畳み・展開可能なフレームと、
矩形状をなし、四隅にはファスナーの挿通穴が形成され、四周縁にはファスナーの挿通穴が間隔をあけて形成され、上記フレームの広面に緩張架され、衝突した飛石・粉塵を落下させ又は防音するネット及び/又はシートと、
テープ状又は紐状をなし、上記ネット及び/又はシートの四隅の挿通穴と上記フレームの四隅の挿通穴に挿通されてその両端部が相互に締着又は結ばれ、上記ネット及び/又はシートの四周縁の挿通穴に挿通されて上記フレームの縦パイプ又は横パイプに抱きつかせてその両端部が相互に締着又は結ばれることによって、上記ネット及び/又はシートを上記フレームへの緩張架状態に取付ける取付け手段と、
を備えたことを特徴とする自立柵。
【請求項2】
上記取付け手段は雌雄の面ファスナー又は紐である請求項1記載の自立柵。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は自立柵に関し、特に持ち運びや運搬が簡単で、しかも風圧を受けて倒れるおそれの少ない自立柵に関する。
【背景技術】
【0002】
道路沿い、駐車場、公園などの雑草を刈り取る場合、刈払い機がよく使用される。この刈払い機はエンジン又はモータの駆動力を刈払い刃に伝えて刈払い刃を高速で回転させて雑草を刈り取るようになっており、刈払い刃が小石に当たると小石が飛散して通行人や自動車などに衝突して、通行人が怪我をし、自動車などが傷つくおそれがある。
【0003】
しかも、刈払い作業では作業者の向く方向が作業現場の状況によって様々であり、飛石の方向は一定ではなく、飛石は作業者の側方だけではなく、反時計廻りに回転する刈払い刃の刃先と小石の衝突の仕方によっては前方や左斜め前方にも小石が飛散する。
【0004】
これに対し、帯状のネットを長尺のバーから吊り下げ、草刈り作業の補助者がバーを持って草刈り作業を行っている場所の側方に立ち、通行人や自動車などを飛石から防護するようにした防護ネットが提案されているが(特許文献1)、草刈り作業の補助者を必要とする。
【0005】
また、道路側方のガードレールを利用してネットを張架し、通行人や自動車などを飛石から防護する防護ネットが提案されているが(特許文献2)、ガードレールがない場所では採用できない。
【0006】
他方、横長の矩形フレームにネットを張架し、台車に矩形フレームを搭載し、これを草刈り作業を行う場所まで移動させて草刈り作業現場の側方に立て、通行人や自動車などを飛石から防護するようにした防護ネットも提案されている(特許文献3)。
【0007】
しかし、上述の防護ネットでは作業者の側方への飛石を防ぐことを目的としており、前方や右斜め前方への飛石は防ぐことができず、飛石の危険性を回避するためには草刈り作業中の作業者の姿勢が制限されてしまい、作業現場の状況によっては作業者の安全性が損なわれるおそれがあった。
【0008】
また、解体作業や掘削作業など、粉塵の発生する作業現場において、現場を建屋で覆い、建屋内に粉塵防護シートを張設し、発生する粉塵が周囲に飛散するのを防止するようにした方法が提案されているが(特許文献4)、建屋の建設を必要とし、作業が煩雑であり、簡単な作業現場には適用しにくい。
【0009】
これに対し、2枚の矩形フレームを蝶番によって折畳み・展開可能に連結し、相互に角度をもって展開することによって自立させ、この2枚の矩形フレームの正面側に飛石防護ネットを張架し、飛石を衝突させることによって飛石を落下させる一方、2枚の矩形フレームの背面側に粉塵防護シートを張架し、飛石防護ネットの目をすり抜けた微小な飛石及び粉塵を衝突させることによって微小な飛石及び粉塵を落下させるようにした自立柵が提案されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実用新案登録第3149175号公報
【特許文献2】特開2007−37427号公報
【特許文献3】実用新案登録第3107649号公報
【特許文献4】特開2007−138487号公報
【特許文献5】実用新案登録第3183984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献5記載の自立柵では塩化ビニル製パイプなどの軽量パイプを用いて、持ち運びや運搬に便利なように軽量に製作すると、自立柵が風圧を受けて簡単に倒れるおそれがある一方、金属製パイプを用いて重く製作すると、自立柵が風圧を受けても倒れ難いものの、作業現場において持ち運ぶのに少なくとも2人の作業者を必要とし、又遠くの作業現場に運搬するときに自立柵を車両に搭載し、作業現場に到着後に車両から降ろして現場まで持ち運ぶのが非常に煩雑である。
【0012】
本発明はかかる状況において、持ち運びや運搬が簡単で、しかも風圧を受けて倒れるおそれの少ない自立柵を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明に係る自立柵は、刈払い機による草刈り作業時、コンクリート・アスファルトのはつり作業時あるいは粉塵環境下での作業時における飛石、粉塵又ははつり片の周囲への飛散を防止し、騒音環境下で防音するようにした自立柵において、2本の縦パイプを蝶番によって相互に回動可能に連結してなるパイプ組立体、該パイプ組立体の両外側に設けられる2本の外側縦パイプ、該2本の外側縦パイプとパイプ組立体の縦パイプの上端間及び下端間を連結する4本の横パイプ、及び上記2本の外側縦パイプとパイプ組立体の縦パイプの上端と下端及び上記横パイプの両端のいずれか一方に取付けられ他方が引抜き可能に差し込まれるL形ジョイントによって組立て分解可能な構造に構成され、上記外側縦パイプに取付けられるL形ジョイントにファスナーの挿通穴が形成され、相互に角度をもって展開されることによって自立し得る一方、金属製パイプを用いて製作されることによって風圧に抗して自立し得る重さに設定されている折畳み・展開可能なフレームと; 矩形状をなし、四隅にはファスナーの挿通穴が形成され、四周縁にはファスナーの挿通穴が間隔をあけて形成され、上記フレームの広面に緩張架され、衝突した飛石・粉塵を落下させ又は防音するネット及び/又はシートと; テープ状又は紐状をなし、上記ネット及び/又はシートの四隅の挿通穴と上記フレームの四隅の挿通穴に挿通されてその両端部が相互に締着又は結ばれ、上記ネット及び/又はシートの四周縁の挿通穴に挿通されて上記フレームの縦パイプ又は横パイプに抱きつかせてその両端部が相互に締着又は結ばれることによって、上記ネット及び/又はシートを上記フレームへの緩張架状態に取付ける取付け手段と; を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の特徴の1つはフレームのパイプに金属製パイプを用いて十分な重さに製作するようにした点にある。これにより、自立柵の使用中に、自立柵が風圧を受けても倒れるおそれは少なく、自立柵が倒れて通行人や自動車に衝突することはなく、作業の安全性を保証できる。
【0015】
また、本発明の第2の特徴はパイプ組立体、外側縦パイプ及び横パイプによってフレームを組立て分解可能な構造に構成するようにした点にある。これにより、自立柵が重くても、自立柵をバラバラに分解して1人の作業者によって簡単に持ち運ぶことができ、又遠くの作業現場に運搬する場合にも車両に簡単に搭載し降ろすことができる。
【0016】
また、自立柵が角度をもって展開できるようになっているので、作業者の側方だけでなく、前方への飛石や粉塵の飛散を確実に防ぐことができ、通行人や自動車などに当たるおそれを少なくできる。
【0017】
また、飛石・粉塵の飛散を回避できるので、作業者は危険な姿勢で草刈り作業を行う必要がなく、安全な姿勢を維持しながら草刈り作業を行うことができ、作業者の安全性を確保することができる。
【0018】
さらに、自立柵は自身の重さによって安定した自立姿勢を確保できるので、飛石や粉塵の飛散防止でけでなく、コンクリートやアスファルトのはつり作業時におけるはつり片の飛散防止、騒音環境下における防音、花や果樹の防護、ゴルフのアプローチ練習、駐車中の自動車の防護、危険物の目隠、溶接や溶断の火花、研磨や切断の火花に対する防護などに利用することができる。
【0019】
ネットは飛石を受けて落下させることができればよく、例えば目の粗さが1.5メッシュ〜3.5メッシュ程度の大きさのネットを使用するのがよい。また、シートは粉塵の飛散を防止し、溶接や溶断の火花、研磨や切断の火花に対して防護し、防音する機能を実現できるものであればよい。ネットとシートは同時に使用してもよく、又目的に応じていずれか一方のみを使用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る自立柵の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
図2】上記実施形態の組立て前の状態を示す図である。
図3】上記実施形態の組立て状態を示す図である。
図4】上記実施形態の使用例を示す図である。
図5】上記実施形態の他の使用例を示す図である。
図6】上記実施形態のさらに他の使用例を示す図である。
図7】上記実施形態のさらにまた他の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図7は本発明に係る自立柵の好ましい実施形態を示す。図において、自立柵はフレーム10、ネット20、シート30及び雌雄の面ファスナー40から構成され、面ファスナー40はその両端部に雌ファスナー部及び雄ファスナー部が形成されるか、又は表面及び裏面に雌ファスナー部及び雄ファスナー部が形成されている。
【0022】
フレーム10は2本の縦パイプ11Aを2つの蝶番11Bで回動可能に連結してなるパイプ組立体11、パイプ組立体11の外側に設けられる2本の外側縦パイプ12、外側縦パイプ12の上端及び下端とパイプ組立体11の縦パイプ11Aの上端と下端との間に連結される4本の横パイプ13、外側縦パイプ12の上端及び下端とパイプ組立体11の縦パイプ11Aの上端と下端に嵌め込まれて接着剤で固定され横パイプ13が引抜き可能に差し込まれるL形ジョイント15から組立て・分解可能な構造に構成され、相互に角度をもって展開されることによって自立し得るようになっている。
【0023】
また、外側縦パイプ12に取付けられるL形ジョイント15にはファスナーの挿通穴15Aが形成され、又パイプ組立体11の縦パイプ11A、外側縦パイプ12、横パイプ13及びL形ジョイント15には鉄パイプの外内面を樹脂コーティングした金属製パイプが使用され、これによりフレーム10は風圧に抗して自立し得る重さになっている。
【0024】
また、横パイプ13の両端部及びL形ジョイント15の横パイプ13が差し込まれる部位には挿通穴13A、15Bが形成され、横パイプ13とL形ジョイント15とはねじ・ナット16によって締結できるようになっている。
【0025】
また、ネット20及びシート30は矩形状に製作され、その四隅にはファスナーの挿通穴20Aが形成され、その四周縁にはファスナーの挿通穴20Bが間隔をあけて形成され、又蝶番11Bにはファスナーの挿通穴20Bを引っ掛けるフック17が取付けられている。
【0026】
例えば、路肩の雑草を刈払い機50を用いて刈り取る場合、本例の自立柵をバラバラに分解して車両に搭載して作業現場まで運搬し、降ろして横パイプ13によってパイプ組立体11と外側縦パイプ12を連結した後、ネット20をフレーム10の広面に沿わせ、面ファスナー40をネット20の四隅の挿通穴20Aとフレーム10の四隅の挿通穴15Aに挿通し、その両端部を相互に締着し、ネット20の四周縁の挿通穴20Bに挿通されて外側縦パイプ12及び横パイプ13に抱きつかせ、その両端部を相互に締着させ、最後にネット20の中央に挿通穴20Bをフック17に引っ掛けることによって、図3に示されるように、ネット20をフレーム10に緩やかに張架した状態(緩張架状態)に取付けることができる。
【0027】
次に、図4に示されるように、自立柵のフレーム10を適切な角度に展開しこれを草刈り作業を行う場所の前方及び側方をカバーするように起立させ、その状態で作業者51が刈払い機50を使用して雑草を刈り取ればよい。
【0028】
予定の場所の草刈りが済むと、自立柵を持ち運ぶが、次の草刈り場所が近いときには自立柵を徐々に移動させる。場所が少し離れているときには自立柵からネット20を取外し、横パイプ13を引き抜いて分解し、バラバラにして持ち運び、組立てて雑草を刈り取る作業を行えばよく、このように1人の作業者によって簡単に運搬し、持ち運び、組立てることができる。
【0029】
このとき、風が強いときには自立柵が風圧を受けると倒れるおそれがあるが、本例の自立柵では金属製パイプによって十分な重さに設定されているので、風が強くても自立柵が倒れるおそれは少ない。
【0030】
なお、自立柵を固定的に使用する場合には図2に示されるように、ねじ・ナット16によって横パイプ13とパイプ組立体11と外側縦パイプ12を強固に連結することもできる。
【0031】
また、本例の自立柵は図5に示されるように、コンクリートやアスファルトのはつり作業現場を囲んで自立させることによってはつり片の飛散による被害を防護できる。
【0032】
さらに、図6に示されるように、騒音環境下ではネット20に代えて防音シート30を取付けた自立柵を騒音源の廻りに自立させると、防音することができる。
【0033】
また、ゴルフクラブ70を手に持ってアプローチの練習をする場合、図7に示されるように、本例の自立柵に向けてゴルフボールを当てるようにすれば、ゴルフボールが遠くに飛んでしまうことがなく、手軽にゴルフの練習をすることができる。
【0034】
さらに、本例の自立柵は溶接や溶断の火花、研磨や切断の火花に対する防護に利用するけこともできる。
【符号の説明】
【0035】
10 フレーム
11 パイプ組立体
11A 縦パイプ
11B 蝶番
12 外側縦パイプ
13 横パイプ
20 ネット
30 シート
50 刈払い機
51 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7