(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
表1は、温度変化(ramp)後、ならびに硬化温度での1時間保持後、2時間保持後、及び3時間保持後の累積損失重量を示す。
表2は、
参考例2の半導体に対するアニール条件を示す。
【0014】
表3は、不動態化TFT又はILD材料において必要とされる一組の特性を示す。
表4は、不動態化TFTやILDのアプリケーションに対する誘電体のフィルム特性を
示す。
【0015】
表5は、フェニルシロキサン系材料とHKLR系材料の誘電特性を示す。
表6は、G2ガラス基板上へスロットダイコーティングした本発明のフィルムの厚さと
不均一率を示す。
【0016】
表7は、TGAを使用して測定した、水分曝露の前と後のフィルムの損失重量を示す。
表8は、水分曝露の前と後の、本発明のフィルムの電気的特性を示す。
表9は、400℃で硬化したフェニルシロキサン系材料フィルムの湿潤薬品耐性を示す
。
【0017】
表10は、酸素プラズマ灰化フィルムの電気的特性を示す。
表11は、250℃で硬化したフィルムの湿潤薬品耐性を示す。
表12は、異なったアプリケーションに対する誘電体フィルムの特性一覧を示す。
【0018】
表13は、本発明の組成物とそれらのフィルム特性を示す。
表14は、数種類の本発明の組成物からの、層および(その後の)フィルムの製造方法
を示す。
【0019】
表15と表16は、70℃での6分連続曝露に対するPRS2000抵抗を示す。
表17は、これらの組成物に関してモニターされた電気的特性の一覧を示す。
表18は、ディスプレイ誘電体に対する必要な特性の一覧を示す。
【0020】
表19は、本実施例に関して検討された3つの本発明の材料のそれぞれに対する特性の
比較を示す。
表20は、本発明の材料を8インチのウエハー上に使用して製造されるフィルムの物理
的特性を示す。
【0021】
表21は、材料の“n”測定値と“k”測定値を示す。
表22に、これらの本発明の材料に関して収集した電気的データを示す。
表23は、
参考例3の場合と同様の手順を使用して得られた耐湿性データを示す。
【0022】
表24と25は、
実施例4に記載の配合物の保存寿命データを示す。
表26は、これらの組成物のそれぞれからから製造される層およびフィルムの製造方法
を示す。
【0023】
表27は、70℃で少なくとも30分の連続曝露した場合のPRS2000の抵抗を示
す。
表28は、これらの組成物に関してモニターした電気的特性の一覧を示す。
【0024】
表28は、界面活性剤を含有する組成物に対する一連の保存寿命の検討結果を示す。
表29は、これらの材料に対する分子量の増加を表わすGPCデータを示す。
光学的用途においては、デバイスの一部として使用されている有機材料は、より高い温
度では不安定であることが多く、着色していて、光線透過率がより低い(約95%未満)
。したがって、当業界においては、高温において安定で、低いプロセス温度で、クラック
とボイドの無い狭い機構の隙間充填を可能にする材料が求められている。場合によっては
、このような材料が、サブトラクティブ・プロセス(subtractive proc
esses)(例えば、エンハンストO
2プラズマプロセスやウェットエッチングプロセ
ス)に耐えるのに十分な機械的・化学的強度を有することも有用である。
【0025】
驚くべきことに、下記要件の1つ以上を満たすことができるような方法で有用な組成物
が開発され、そして利用されてきた:a)パッシベーション層、カラーフィルター平坦化
オーバーコート、OLEDの防湿塗料と防湿接着剤、ならびにフラットパネルディスプレ
イとトランジスタにおけるフィルム及び/または層としての機能を含めて、幾つかの異な
った機能を果たすことができる;b)狭いトレンチやチャネルにおける隙間を適切に埋め
ることができる;c)従来の構造成分と溶媒成分を使用して作製することができる;d)
他の組成物変性成分(例えば、界面活性剤や接着促進剤)を導入しても影響を受けにくい
;e)オプトエレクトロニクスアプリケーション中に簡単に組み込むことができる部材を
形成するように、表面もしくは基板を平坦化することができる;及び/又はf)多様なア
プリケーション用の極薄フィルム、薄いフィルム、及びより厚いフィルム中に水平に配置
することができる。今日まで、当業界では、本明細書に記載の組成物、フィルム、及び層
を、本明細書に記載の方法で使用することができる、ということは分かっていない。
【0026】
本発明の架橋可能な組成物は、少なくとも1種のシリコン系化合物、少なくとも1種の
触媒、及び少なくとも1種の溶媒を含む。これらの組成物はさらに、少なくとも1種の界
面活性剤、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の接着促進剤、少なくとも1種の他
の添加剤、又はこれらの組み合わせを含んでよい。本発明の架橋可能な組成物は、コーテ
ィング、層、又はフィルムの予測最終用途に応じて適切な表面に塗布される。少なくとも
1種の触媒は、層状材料、層状デバイス、層状フィルム、又はディスプレイの製造におけ
る適切な時点で活性化され、これによって光透過性のフィルムもしくは層が作製される。
【0027】
本発明では、フィルム、層、又はコーティングを作製するための上記組成物をデバイス
又は装置の一部として使用するオプトエレクトロニクスデバイスも想定されている。本発
明のオプトエレクトロニクスデバイスは、1種以上の光透過性のフィルム、コーティング
、又は層(本明細書に記載のもの)を含んでよく、これら光透過性のフィルムや層は、他
の光透過性のフィルムや層と同一の化学組成物を含んでもよいし、あるいは他の光透過性
のフィルムや層とはやや異なる化学組成物を含んでもよい。幾つかの実施態様においては
、本発明のオプトエレクトロニクスデバイスは、デバイス内の表面、及び少なくとも1種
の十分に光透過性の架橋フィルムを含み、ここで前記フィルムは、少なくとも1種のシリ
コン系材料、少なくとも1種の触媒、及び少なくとも1種の溶媒から作製される。オプト
エレクトロニクスデバイスはさらに、デバイス内の表面、及び少なくとも1種の充分に光
透過性の架橋可能な組成物を含み、ここで前記組成物は、少なくとも1種のシリコン系材
料、少なくとも1種の架橋剤、及び少なくとも1種を含む。
【0028】
本発明のオプトエレクトロニクスデバイスは、トランジスタ、発光ダイオード、カラー
フィルター、ステンレス鋼もしくはプラスチックの表面、光起電力電池、フラットパネル
ディスプレイ、X線検出器、又はこれらの組み合わせ物を含む。本発明のデバイスは、ア
クティブマトリクス薄膜有機発光ディスプレイ、パッシブマトリクス有機発光ディスプレ
イ、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、
又はこれらを組み合わせたものを含む。本発明のトランジスタは、非晶質シリコン薄膜ト
ランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ、有機トランジスタ、有機トランジスタ、有
機電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタ、結晶質シリコントランジスタ、又はこ
れらを組み合わせたものを含む。幾つかの実施態様においては、光透過性フィルムは、パ
ッシベーション層、平坦化層、又はこれらを組み合わせたものを形成する。
【0029】
架橋可能な組成物
シリコン系化合物
先ず、本発明の架橋可能な組成物を構成する成分について理解することが重要である。
これらの組成物は、少なくとも1種のシリコン系化合物を含む。シリコン系化合物の例と
しては、シロキサン、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、
又はシラザン化合物(例えば、メチルシロキサン、メチルシルセスキオキサン、フェニル
シロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニル
シルセスキオキサン、シラザンポリマー、ジメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、
メチルフェニルシロキサン、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン
、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチル
シロキサン、ポリメチルシルセスキオキサン、シリケートポリマー、及びこれらの組み合
わせ)などがある。本発明で想定されるシラザンポリマーはペルヒドロシラザンであり、
“透明な”ポリマー主鎖を有する。本発明のために想定される化合物と材料は、可視域(
例えば、400nm〜800nm)の光を有意な程度には吸収しない化合物と材料である
。本発明の実施態様において、少なくとも1種のシリコン系化合物は、ポリフェニルシル
セスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオ
キサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフ
ェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルシロキサン、ポ
リメチルシルセスキオキサン、又はこれらの組み合わせを含む。
【0030】
幾つかの実施態様において、本発明のために想定されるシリコン系化合物は、アルキル
成分とアリール成分(例えば、メチルフェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロ
キサン、ポリメチルフェニルシロキサン、又はポリメチルフェニルシルセスキオキサン)
を含み、ここでアルキル濃度は、用途に応じて、低い割合とより高い割合の間で変動し、
該化合物中の全炭素は、それぞれのタイプの炭素系成分中の炭素割合として表示される。
「炭素系成分」(“carbon−based entity”)は、アルキル基、又は
アリール基すなわち芳香族基を意味するものとする。統合された低アルキル−高アリール
”の場合、すなわちLKHR(“K”=アルキル、“R”=アリールすなわち芳香族基)
の場合、アルキル基として表わされる炭素割合は、アリール基として表わされる炭素割合
(該化合物中の全炭素の約80%より多い)と比較して約20%未満である。幾つかの実
施態様においては、アルキル基として表わされる炭素割合は、アリール基として表わされ
る炭素割合(該化合物中の全炭素の約90%より多い)と比較して約10%未満である。
統合された“高アルキル−低アリール”の場合、すなわちHKLRの場合、アルキル基と
して表わされる炭素割合は、アリール基として表わされる炭素割合(該化合物中の全炭素
の約80%未満である)と比較して約20%より多い。幾つかの実施態様において、アル
キル基として表わされる炭素割合は、アリール基として表わされる炭素割合(該化合物中
の全炭素の約70%未満である)と比較して約30%より多い。これらの化合物は、アル
キルのみ、アリールのみ、あるいは他の置換基を含む、本明細書に開示のシリコン系化合
物と比較して、全体として異なった特性を有する材料をもたらす。例えば、統合LKHR
系材料は、低浸食性のフォトレジストストリッパーに対して耐性があるが、統合HKLR
系材料は、低浸食性のフォトレジストストリッパーに対しても、より浸食性の高いフォト
レジストストリッパーに対しても耐性がある。後述の実施例セクションにおける幾つかの
実施例は、LKHR材料とHKLR材料の双方に関して(単独で、及び本明細書に開示の
他の材料と組み合わせて)収集したデータを示している。
【0031】
本明細書で使用している「統合された」(“integrated”)という用語は、
ある1種の化合物上に置換基が統合されているということを意味している。他の実施態様
では、化合物は「ブレンド」されている。この場合には、異なった化合物上に置換基があ
って、これらの化合物がブレンド又は混合されて材料が得られる。ブレンドの例は、メチ
ルシロキサン又はメチルシルセスキオキサンと、フェニルシロキサン又はフェニルシルセ
スキオキサンとを混合するというものである。「ブレンドされた」実施態様において、あ
る材料は、低い割合もしくは高い割合のアルキル基(すなわちメチル基)又はアリール基
(すなわちフェニル基)を有するが、材料の特性が極めて異なることがある。なぜなら、
置換基が異なった化合物上に存在していて、同一の化合物ではないからである。
【0032】
幾つかの本発明のために想定されるシリコン系化合物は、式
【0034】
(式中、R
1は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基であり;x
は0〜2の整数であり;R
2はアルキル基又はアシル基であり;yは0〜2の整数である
。)を有する少なくとも1種の反応物の加水分解−縮合反応により形成される組成物を含
む。本発明のために想定される材料はさらに、一般式(C
6H
5SiO
1.5)
x(式中
、xは約4より大きい整数である。)のシルセスキオキサンポリマーを含む。
【0035】
幾つかの本発明のために想定されるシリコン系化合物は、シロキサンポリマー、シロキ
サンコポリマー、シロキサンブロックポリマー、一般式(H
0−1.0SiO
1.5−2
.0)
xの水素シロキサンポリマー、式(HSiO
1.5)
x(式中、xは約4より大き
い)を有する水素シルセスキオキサンポリマー、ケイ酸の誘導体、及びこれらの組み合わ
せを含む。さらに、水素シルセスキオキサンとアルコキシヒドリドシロキサンもしくはヒ
ドロキシヒドリドシロキサンとのコポリマーも含まれる。本発明のために想定される材料
はさらに、オルガノシロキサンポリマー、アクリルシロキサンポリマー、シルセスキオキ
サン系ポリマー、ケイ酸の誘導体、一般式(H
0−1.0SiO
1.5−2.0)
n(R
0−1.0SiO
1.5−2.0)
mのオルガノヒドリドシロキサンポリマー、及び一般
式(HSiO
1.5)
n(RSiO
1.5)
m(式中、mはゼロより大きく;nとmの合
計が約4より大きく;Rは、アルキル、アリール、又はこれらの組み合わせである)のオ
ルガノヒドリドシルセスキオキサンポリマーを含む。幾つかの有用なオルガノヒドリドシ
ロキサンポリマーは、nとmの合計が約4〜約5000であって、RがC
1−C
20アル
キル基又はC
6−C
12アリール基である。幾つかの特定の例としては、メチルヒドリド
シロキサン、エチルヒドリドシロキサン、プロピルヒドリドシロキサン、t−ブチルヒド
リドシロキサン、及びフェニルヒドリドシロキサン等のアルキルヒドリドシロキサン;メ
チルヒドリドシルセスキオキサン、エチルヒドリドシルセスキオキサン、プロピルヒドリ
ドシルセスキオキサン、t−ブチルヒドリドシルセスキオキサン、及びフェニルヒドリド
シルセスキオキサン等のアルキルヒドリドシルセスキオキサン;ならびにこれらの組み合
わせ;が挙げられる。
【0036】
幾つかの本発明の実施態様において、本発明に使用される特定のオルガノヒドリドシロ
キサン樹脂は、下記のような一般式
【0038】
〔式中、nとmの合計、又はxとyとzの合計が約8〜約5000であり;Rが、置換ま
たは非置換の直鎖アルキル基もしくは分岐鎖アルキル基(メチル基、エチル基、ブチル基
、プロピル基、及びペンチル基)、アルケニル基(ビニル基、アリル基、及びイソプロペ
ニル基)、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(フェニル基、ベンジル
基、ナフタレニル基、アントラセニル基、及びフェナントレニル基)、及びこれらの混合
物から選択される〕を有する。
【0039】
本発明のために想定される化合物の幾つかと前記化合物の製造方法が、本発明の譲受人
に譲渡された2000年11月17日付け発行の米国特許第6,143,855号と20
06年3月14日付け発行の米国特許第7,011,889号に開示されており、オルガ
ノシルセスキオキサンが、本発明の譲受人に譲渡された2001年4月26日公開のWO
01/29052に開示されている。その他の本発明のために想定される化合物は、下記
の発行済み特許及び係属中の出願(これら特許文献の全開示内容を参照により本明細書に
援用されるものとする)に記載されている:2000年12月21日付け公開のWO20
00/077575;2001年7月31日付け発行の米国特許第6,268,457号
;1999年6月10日付け出願の米国特許出願09/491166;2002年4月2
日発行の米国特許第6,365,765号;2001年7月31日付け取得の米国特許第
6,268,457号;2004年11月20日付け発行の米国特許第6,824,87
9号;2000年7月13日付け公開のWO2000/041231;2001年1月2
3日付け発行の米国特許第6,177,199号;2002年3月19日付け発行の米国
特許第6,358,559号;2001年4月17日付け発行の米国特許第6,218,
020号;2002年3月26日付け発行の米国特許第6,361,820号;2001
年4月17日付け発行の米国特許第6,218,497号;2002年3月19日付け発
行の米国特許第6,359,099号;2000年11月7日付け発行の米国特許第6,
143,855号;2003年1月28日付け発行の米国特許第6,512,071号;
及び米国特許出願60/043,261。本発明のために想定されるシリカ化合物は、下
記の発行済み米国特許に記載の化合物である:第6,022,812号;第6,037,
275号;第6,042,994号;第6,048,804号;第6,090,448号
;第6,126,733号;第6,140,254号;第6,204,202号;第6,
208,041号;第6,318,124号;及び第6,319,855号。
【0040】
触媒
少なくとも1種のシリコン系化合物に少なくとも1種の触媒を加えることができる。幾
つかの実施態様において、適切な触媒は加熱によって活性化される触媒である。本明細書
に使用される“触媒”という用語は、化学反応に対する活性化エネルギーを低下させるこ
とによって化学反応の速度に影響を及ぼす材料を意味している。場合によっては、触媒は
、それ自体が消費されることなく、あるいは化学変化を受けることなく、化学反応の活性
化エネルギーを低下させる。これらの縮合触媒は、しばしば、ある特定の温度(例えば高
温)においてのみ活性化される。したがって、ある温度(例えば室温)において組成物が
低分子量を保持するので、表面に対する良好な平坦化能力を実現する。温度を上昇させる
と(例えば50℃より高く)、縮合触媒がSi−OHの縮合反応を触媒し、この結果、よ
り緻密な構造が得られ、場合によっては全体的に改良された性能が得られる。本発明のた
めに想定される縮合触媒は、安定なケイ酸塩溶液を保持しやすくできる触媒を含む。本発
明のために想定される金属イオン非含有触媒は、オニウム化合物及び求核試薬を含んでよ
い。触媒は、例えば、アンモニウム化合物(第四アンモニウム塩等)、アミン、ホスホニ
ウム化合物、又はホスフィン化合物であってよい。
【0041】
幾つかの実施態様において、本発明のために想定される触媒は、分子が比較的「小さい
」か、あるいは比較的小さなカチオンを生成する触媒(例えば第四アンモニウム塩)を含
む。幾つかの実施態様において、本発明のために想定される触媒は、酢酸テトラメチルア
ンモニウム(TMAA)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、酢酸テトラブ
チルアンモニウム(TBAA)、酢酸セチルトリメチルアンモニウム(CTAA)、硝酸
テトラメチルアンモニウム(TMAN)、他のアンモニウム系触媒、アミン系及び/又は
アミン生成触媒、ならびにこれらの組み合わせを含む。他の適切な触媒としては、塩化(
2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、水酸化(2−ヒドロキシエチル)トリ
メチルアンモニウム、酢酸(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、ギ酸(2
−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、硝酸(2−ヒドロキシエチル)トリメチ
ルアンモニウム、安息香酸(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウム、ギ酸テト
ラメチルアンモニウム、及びこれらの組み合わせがある。幾つかの本発明の実施態様にお
いては、TMANが使用される。TMANは、TMANを水中に溶解することによって、
又は硝酸を使用してTMAAもしくはTMAHをTMANに転化させることによって得る
ことができる。
【0042】
他の適切な触媒としては、塩化(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウム、水酸化
(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウム、ギ酸(カルボキシメチル)トリメチルア
ンモニウム、及び酢酸(カルボキシメチル)トリメチルアンモニウムがある〔「(カルボ
キシメチル)トリメチルアンモニウム」は「ベタイン」としても知られている〕。ベタイ
ンを使用することで得られる利点は、改善された触媒活性が得られること、毒性が低いこ
と、そしてイオン性化学種を除去すること(イオンが残留していると、幾つかのアプリケ
ーションにおいて「画像焼き付き」(“image sticking”)を促進するこ
とがある)である。
【0043】
溶媒
少なくとも1種のシリコン系化合物及び少なくとも1種の触媒に少なくとも1種の溶媒
を加える。本発明のために想定される溶媒は、所望の温度で揮発する、及び/又は、本明
細書に記載の成分を容易に溶媒和する有機化合物の、任意の適切な純物質又は混合物を含
む。溶媒はさらに、極性化合物及び無極性化合物の、任意の適切な純粋物質又は混合物を
含む。本明細書で使用している「純物質」(“pure”)という用語は、一定の組成を
有する成分を意味している。例えば、純水はH
2Oだけからなる。本明細書で使用してい
る「混合物」という用語は、塩水を含めた、純粋質ではない成分を意味している。本明細
書に使用される“極性(polar)”という用語は、分子または化合物のある箇所にお
いて、あるいは分子または化合物に沿って、不均等な電荷分布、不均等な部分的電荷分布
、または不均等な自発的電荷分布(spontaneous charge distr
ibution)をつくり出す分子もしくは化合物の特性を意味している。本明細書で使
用している“無極性(non−polar)”という用語は、均等な電荷分布、均等な部
分的電荷分布、または均等な自発的電荷分布をつくり出す分子もしくは化合物の特性を意
味している。
【0044】
本発明のために想定される溶媒はさらに、場合によっては、組成物の隙間充填特性及び
平坦化特性を向上させるために、単独で、あるいは組み合わせて、溶液の粘度、分子間力
、及び溶液の表面エネルギーを改善することができる溶媒である。しかしながら、理解し
ておかねばならないことは、適切な溶媒は、別の方法で(例えば、架橋効率に影響を与え
ることによって、熱安定性に影響を与えることによって、粘度に影響を与えることによっ
て、及び/又は、得られる層もしくはフィルムの、他の層、基板、もしくは表面に対する
接着性に影響を与えることによって)組成物のプロフィールに影響を与える溶媒であって
よい、という点である。
【0045】
少なくとも1種の溶媒は、炭化水素系の溶媒の一部であると考えられる溶媒を含んでよ
い。炭化水素溶媒は、炭素と水素とを含む溶媒である。理解しておかねばならないことは
、炭化水素溶媒の大多数が無極性であるが、極性であると考えられる少数の炭化水素溶媒
が存在する、という点である。炭化水素溶媒は、一般には3種類に分けられる(すなわち
、脂肪族炭化水素、環式炭化水素、及び芳香族炭化水素)。脂肪族炭化水素溶媒は、直鎖
化合物、及び分岐し、場合によっては架橋している化合物を含んでよいが、脂肪族炭化水
素溶媒は環式炭化水素とは見なさない。環式炭化水素溶媒は、脂肪族炭化水素溶媒に類似
した特性を有する、環構造中に配向した少なくとも3つの炭素原子を含む溶媒である。芳
香族炭化水素溶媒は、共通の結合によって結びついた、及び/又は、縮合した複数の環に
よって結びついた単一の環もしくは複数の環と共に、一般には3つ以上の不飽和結合を含
む。本発明のために想定される炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、p−キシレ
ン、m−キシレン、メシチレン、ソルベントナフサH、ソルベントナフサA、アルカン(
例えば、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、ドデカン、
2−メチルブタン、ヘキサデカン、トリデカン、ペンタデカン、シクロペンタン、2,2
,4−トリメチルペンタン)、石油エーテル、ハロゲン化炭化水素(例えば塩素化炭化水
素)、ニトロ化炭化水素、ベンゼン、1,2−ジメチルベンゼン、1,2,4−トリメチ
ルベンゼン、ミネラルスピリット、ケロシン、イソブチルベンゼン、メチルナフタレン、
エチルトルエン、及びリグロインなどがある。特に本発明のために想定される溶媒として
は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、
及びこれらの混合物もしくは組み合わせがあるが、これらに限定されない。
【0046】
少なくとも1種の溶媒は、炭化水素溶媒系の化合物の一部とは見なされない溶媒〔例え
ば、ケトン(例えば、アセトン、ジエチルケトン、及びメチルエチルケトン等)、アルコ
ール、エステル、エーテル、及びアミン〕を含んでよい。その他の本発明のために想定さ
れる溶媒としては、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(
PGMEA)、またはこれらの組み合わせがある。さらに他の本発明の実施態様において
、少なくとも1種の溶媒は、本明細書に記載の溶媒のいずれかの組み合わせを含んでよい
。
【0047】
少なくとも1種の溶媒は、溶液中に約90重量%未満の量で存在してよい。幾つかの実
施態様において、少なくとも1種の溶媒は、溶液中に約50〜90重量%の量で存在して
よい。その他の実施態様において、少なくとも1種の溶媒は、溶液中に約55〜85重量
%の量で存在してよい。さらに他の実施態様において、少なくとも1種の溶媒は、溶液中
に約65〜85重量%の量で存在してよい。組成物に加えるべき適切な溶媒量の決定は、
a)所望の層もしくはフィルムの厚さ;b)組成物中での所望の固体濃度;c)組成物の
塗布方法;及び/又はd)スピンコーティングが使用されるときのスピン速度;を含む多
くのファクターに依存する。さらに、配合物中の固体濃度(すなわち、樹脂やポリマー)
が高くなるほど粘度が高くなる。スピンコーターやスプレーコーターは、低粘度(すなわ
ち3センチポイズ)の組成物を処理することができるが、スロットダイコーターやスリッ
トコーターは、高粘度の組成物を必要とすることが多い。したがって、粘性のある材料(
すなわち9センチポイズ)を得るためには、固体の含量を増加させなければならない(あ
るいは溶媒の量を減少させなければならない)。さらに、粘性配合物すなわち固体含量が
より高い配合物は、より厚いフィルム(>2μm)をもたらす。
【0048】
本発明に使用される溶媒は、不純物を任意の適切なレベルで含んでよい。幾つかの実施
態様において、使用される溶媒は、比較的低いレベル(例えば、約1ppm未満、約10
0ppb未満、約10ppb未満、約1ppb未満、約100ppt未満、約10ppt
未満、及び場合によっては約1ppt未満)の不純物を含有する。これらの溶媒は、本発
明のために想定される用途での使用に適した不純物レベルを有する状態で購入することも
できるし、あるいは不純物をさらに除去すべく、そして約10ppb未満、約1ppb未
満、約100ppt未満、あるいは適切な及び/又は所望の低レベルにするために、さら
に精製しなければならない場合もある。
【0049】
組成物変性用成分
必要に応じて、組成物はさらに、少なくとも1種の組成物変性用成分(例えば、少なく
とも1種の界面活性剤、少なくとも1種の接着促進剤、少なくとも1種の架橋剤、少なく
とも1種の他の添加剤、またはこれらの組み合わせ)を含んでよい。これらの組成物変性
用成分は、組成物、コーティング、層、及び/又はフィルムの特性に影響を与えるように
設計されている。本発明のために想定される、影響を与えることのできる特性は、表面張
力、他の層もしくは表面に対する接着性、粘度、密度、透過率/透明性、またはこれらの
組み合わせである。
【0050】
少なくとも1種の界面活性剤は、本発明のために想定される組成物変性用成分の1つで
あると考えられる。界面活性剤は、表面張力を低下させるために加えられる。本明細書で
使用される「界面活性剤」という用語は、H
2Oもしくは他の液体中に溶解したときに表
面張力を低下させる、あるいは2種の液体間の、または液体と固体との間の界面張力を低
下させるあらゆる化合物を意味している。本発明のために想定される界面活性剤は、少な
くとも1種のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性イオ
ン界面活性剤、またはこれらの組み合わせを含んでよい。界面活性剤は、組成物中に直接
溶解することもできるし、あるいは最終組成物を作製する前に、組成物成分の1つ(少な
くとも1種のシリコン系化合物、少なくとも1種の触媒、少なくとも1種の溶媒)と一緒
に加えることもできる。本発明のために想定される界面活性剤は、ポリエーテルで変性し
たポリジメチルシロキサン〔例えばBYK307(BYKケミー社製のポリエーテル変性
ポリジメチルシロキサン)〕;スルホネート(例えば、ドデシルベンゼンスルホネートや
テトラプロピレンベンゼンスルホネート);フッ素化アニオン界面活性剤〔例えば、フル
オラド(Fluorad)FC−93やL−18691(3M)〕;フッ素化ノニオン界
面活性剤〔例えば、FC−4430(3M)、FC−4432(3M)、及びL−182
42(3M)〕;第四アミン(例えば、臭化ドデシルトリメチルアンモニウムや臭化セチ
ルトリメチルアンモニウム);アルキルフェノキシポリエチレンオキシドアルコール;ア
ルキルフェノキシポリグリシドール;アセチレンアルコール(acetylinic a
lcohols);ポリグリコールエーテル〔例えば、タージトールTMN−6(ダウケ
ミカル社)やタージトール・ミニフォーム2x(ダウケミカル社)〕;ポリオキシエチレ
ン脂肪エーテル〔例えば、ブリジ−30(アルドリッチ社)、ブリジ−35(アルドリッ
チ社)、ブリジ−58(アルドリッチ社)、ブリジ−72(アルドリッチ社)、ブリジ−
76(アルドリッチ社)、ブリジ−78(アルドリッチ社)、ブリジ−98(アルドリッ
チ社)、及びブリジ−700(アルドリッチ社)〕;ベタイン;スルホベタイン(例えば
ココアミドプロピルベタイン);合成リン脂質(例えば、ジオクタノイルホスファチジル
コリンやレシチン);及びこれらの組み合わせ;を含んでよい。
【0051】
その他の本発明のために想定される界面活性剤としては、Hackerらによる米国特
許第5,858,547号と第6,517,951号(これらの特許は本発明の譲受人に
譲渡されており、全開示内容を参照により本明細書に援用されるものとする)に記載の界
面活性剤がある。本発明のために想定される少なくとも1種の界面活性剤は、溶液中に約
1重量%未満の量で存在してよい。幾つかの実施態様において、少なくとも1種の界面活
性剤は、溶液中に約0.001重量%〜約1重量%の量で存在してよい。他の実施態様に
おいて、少なくとも1種の界面活性剤は、溶液中に約0.001重量%〜約0.25重量
%の量で存在してよい。幾つかの実施態様においては、少なくとも2種の界面活性剤成分
が溶液中に存在してよい。組成物に加えるべき組成物変性用成分の適切な量の決定は、多
数のファクター、例えばa)フィルム中の欠陥をできるだけ少なくすること;及び/又は
b)フィルムの良好な接着性と望ましいフィルム特性とをうまく両立させること;などに
依存する。
【0052】
他の実施態様において、層、コーティング、またはフィルムの、取り囲んでいる支持体
、層、コーティング、フィルム、及び/又は表面への接着能力を高めるために、少なくと
も1種の接着促進剤を、単独で、あるいは少なくとも1種の界面活性剤と一緒に組成物に
加えることができる。幾つかの本発明の実施態様において、少なくとも1種の接着促進剤
は、下記の特性の少なくとも一つを含む:a)オプトエレクトロニクス部品の製造に一般
的に使用される温度での熱処理(例えばベーキング)後に熱的に安定である;及び/又は
b)驚くべきことに、材料の層間の静電相互作用やクーロン相互作用を促進するだけでな
く、幾つかの実施態様ではおそらくはファンデルワールス相互作用を促進することによっ
て接着促進剤として作用することができる。
【0053】
ある本発明の実施態様においては、少なくとも1種の接着促進剤(例えば、少なくとも
1種の弱酸/弱塩基、少なくとも1種の弱酸/強塩基、少なくとも1種の強酸/強塩基、
少なくとも1種の強酸/弱塩基、少なくとも1種のアミン塩基、少なくとも1種のアミン
塩、またはこれらの組み合わせ)を加えることで、静電相互作用とクーロン相互作用が増
大する。本発明のために想定される接着促進剤としては、硝酸アミノプロピルトリエトキ
シシラン(APTEOS)、酢酸APTEOS、メタンスルホン酸APTEOS、トリフ
ロオロメタンスルホン酸APTEOS、トルエンエルホン酸APTEOS、ノナフルオロ
ブタン−1−スルホン酸(nfbs)APTEOS、他の任意のアミン塩、またはアミン
塩の組み合わせがある。適切なアミン塩基としては、アンモニア、ピリジン、アニリン、
TMAH、CTAH、TBAH、APTEOS、またはこれらの組み合わせがある。その
他の本発明のために想定される接着促進剤としては、3−(トリエトキシシリル)プロピ
ルコハク酸無水物、ジメチルジヒドロキシシラン、メチルフェニルジヒドロキシシラン、
またはこれらの組み合わせがある。本発明のために想定される少なくとも1種の接着促進
剤は、溶液中に約20重量%未満の量で存在してよい。幾つかの実施態様において、少な
くとも1種の接着促進剤は、溶液中に約0.001重量%〜約20重量%の量で存在して
よい。他の実施態様において、少なくとも1種の接着促進剤は、溶液中に約0.26重量
%〜約2.6重量%の量で存在してよい。幾つかの実施態様において、少なくとも2種の
接着促進剤が溶液中に存在してよい。
【0054】
少なくとも1種の架橋剤を組成物に加えることができる。本明細書で使用される“架橋
(crosslinking)”という用語は、少なくとも2つの分子、または長い分子
の2つの部分が、化学的相互作用もしくは化学反応によって連結されるプロセスを表わし
ている。このような相互作用は、共有結合の形成、水素結合の形成、疎水性相互作用、親
水性相互作用、イオン相互作用、または静電相互作用を含めた多くの異なった方法で起こ
ってよい。分子相互作用はさらに、ある分子とそれ自体との間の、あるいは2つ以上の分
子間の、少なくとも一時的な物理的結合であることを特徴とする。化学反応は、同一の主
鎖上又は2つの別個の主鎖上に位置する2つの同一もしくは非同一の反応性基間で起こり
得る。さらに、反応性基は、少なくとも1種のシリコン系ポリマーを架橋するための1つ
以上の外来性架橋分子(exogenous crosslinking molecu
les)と反応してよい、ということも想定されている。理解しておかねばならないこと
は、少なくとも1種の触媒は、少なくとも1種のシリコン系化合物の架橋反応を起こさせ
るために組成物の活性化エネルギーを低下させるが、少なくとも1種の架橋剤は、コーテ
ィング、層、もしくはフィルムの架橋密度を増加させるように、少なくとも1種のシリコ
ン系化合物の架橋反応を継続させるために加えられる、という点である。
【0055】
組成物、コーティング、フィルム、層、またはこれらを組み合わせたものの特性に関し
て、特定の最終用途のために隙間充填特性と平坦化特性を最適化するように、粘度成分と
分子間力成分の一方もしくは両方を低下または増大させるのが有益である。平坦化組成物
を変性するために使用される1つの方法は、少なくとも1種の溶媒を部分的に変更する、
及び/又は、取り替えるという方法であり、ここで少なくとも1種の溶媒は、少なくとも
1種のシリコン系化合物に対して相溶性であり、溶媒を加える平坦化組成物の分子間力成
分もしくは表面力成分の少なくとも一方を変性する。他の方法は、少なくとも1種の組成
物変性用成分(例えば、本明細書に記載の成分)を加えるという方法である。本明細書に
使用される「分子間力」という用語は、材料または成分の2つ以上の部分間(例えば、平
坦化組成物と表面との間;平坦化組成物と、平坦化組成物を構成する材料、分子、及びこ
れらの組み合わせからなる他の層との間など)で起こる、ファンデルワールス力、静電引
力、立体相互作用、クーロン引力、水素結合力、イオン結合力、共有結合力、双極子間引
力、分散力、磁力、及びこれらの組み合わせ等の、結合力または非結合力を意味している
。
【0056】
本発明の別の実施態様において、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の組成物変
性用成分、またはこれらの組み合わせを使用することで、見かけ粘度が少なくとも約10
%変わる。本発明の別の実施態様では、見かけ粘度が少なくとも約20%変わる。さらに
本発明の別の実施態様では、見かけ粘度が少なくとも約30%変わる。本明細書で使用さ
れる“見かけ粘度”という用語は、流体の内部流れ抵抗という特性を意味しており、これ
は応力と歪み速度との比に等しい。ミクロン及びサブミクロンのトレンチにおいて、見か
け粘度は、表面力の統合効果を示しており、表面力と体積力との比が大きいというサイズ
効果のために通常は公称粘度より低くなる。さらに本明細書に使用される「公称粘度」と
いう用語は、市販の粘度計(例えばブルックフィールド粘度計)で測定されるバルク流体
特性である粘度を意味しており、流体がニュートン流体であるときの力と速度の測定値か
ら算出される。
【0057】
さらに別の実施態様において、表面力成分(例えば界面張力)は、平坦化組成物、及び
平坦化組成物と表面、基板、もしくはウエハーとの相互作用によってつくり出される。本
発明のために想定される溶媒と組成物変性用成分は、層状材料の分野における当業者にと
って周知の従来の平坦化組成物と比較して、少なくとも約10%程度界面張力を変えるこ
とができる。幾つかの実施態様では、少なくとも1種の溶媒、少なくとも1種の組成物変
性用成分、またはこれらの組み合わせは、従来の平坦化組成物と比較して、少なくとも約
20%程度界面張力を変えることができる。さらに別の実施態様では、少なくとも1種の
溶媒、少なくとも1種の組成物変性用成分、またはこれらの組み合わせは、従来の平坦化
組成物と比較して、少なくとも約30%程度界面張力を変えることができる。
【0058】
一般的な例として、シリコン系化合物(例えばフェニルシルセスキオキサンオリゴマー
)を含有する配合物がシリコン基板に塗布され、これを硬化してポリマーフィルムが作製
される。フェニルシルセスキオキサンオリゴマーは500〜2500AMUの分子量を有
する。幾つかの実施態様では、本発明のために想定されるフェニルシルセスキオキサンオ
リゴマーは700〜2100AMUの分子量を有する。他の実施態様では、本発明のため
に想定されるフェニルシルセスキオキサンオリゴマーは800〜1900AMUの分子量
を有する。配合物は、フェニルシルセスキオキサンオリゴマーをプロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に、15〜45重量%の量で溶解すること
によって作製することができる。縮合触媒(硝酸テトラメチルアンモニウム)は、15〜
250ppmの範囲の濃度で加えられる。より厚いフィルムのフィルム品質を向上させる
ために、界面活性剤(例えば、BYKケミー社から市販のBYK307)を配合物に加え
ることができる。次いで配合物を、スピニング、スロットダイコーティング、ディッピン
グ、または噴霧によって基板に塗布する。150〜300℃でベーキングして溶媒を除去
し、次いでフェニルシルセスキオキサンの架橋を生じさせるように150〜400℃の硬
化工程を施すことによって、基板上にフィルムを形成する。こうして得られたフィルムの
厚さは、配合物中のフェニルシルセスキオキサンの重量%に応じて0.3〜2.5μmの
範囲で変わる。フィルムの特性としては、少ないガス放出、良好な平坦化、高い光透過性
、高い熱安定性、高い屈折率、及び良好な電気絶縁性(kが約3)などが挙げられる。こ
れらの特性は、種々のオプトエレクトロニクスアプリケーション(例えばフラットパネル
ディスプレイ)に使用する上で望ましい特性である。本発明のために想定される材料、コ
ーティング、層、及び/又はフィルムは、比較的高い屈折率を有してよい。幾つかの実施
態様においては、屈折率は約1.5より大きい。
【0059】
オプトエレクトロニクスアプリケーションへの組成物の使用
本発明では、少なくとも1種のシリコン系化合物を供給すること;少なくとも1種の触
媒を供給すること;少なくとも1種の溶媒を供給すること;少なくとも1種のシリコン系
化合物、少なくとも1種の触媒、及び少なくとも1種の溶媒をブレンドして組成物を作製
すること;ならびに、光透過性のフィルムもしくは層を作製するために少なくとも1種の
触媒を少なくとも部分的に活性化すること;によって得られる少なくとも1種の光透過性
のフィルムもしくは層を含むオプトエレクトロニクスデバイスも想定されている。オプト
エレクトロニクスデバイスが、1種以上の光透過性のフィルムもしくは層(例えば、本明
細書に記載の層もしくはフィルム)を含んでよく、またそれらの光透過性のフィルムもし
くは層が、同一の化学組成物を含んでも、あるいは他の光透過性のフィルムもしくは層と
はやや異なった化学組成物を含んでよい、ということも想定されている。別の実施態様で
は、少なくとも1種の組成物変性用成分を組成物に加えることができる。
【0060】
本発明の組成物を、組成物から作製されるフィルムの所期の最終用途に応じて適切な表
面(例えば、層、フィルム、または基板)に塗布することができる。幾つかの実施態様で
は、本発明のフィルムは、少なくとも1種の浸食性の化学エッチングに対してエッチング
抵抗性がある。一般には、3000A/分以上のオーダーの高いエッチング速度(浸食性
の化学エッチングと見なすことができる)を達成するように、フォトレジストストリッパ
ー(フォトレジストを、誘電体や金属のエッチング用に使用した後で除去するために使用
されるもの)が選択される。こうした高いエッチング速度を達成するためのフォトレジス
トストリッピング温度は通常、50℃以上のオーダーの高温である。これらの高いエッチ
ング速度は、限界寸法を保持するために、下側の露出層に対する選択性を失わずに達成し
なければならない。一般的に使用されるフォトレジストストリッパーは、ST106、N
MP、及びPRS2000(商標)等である。50℃以上の温度では、これらのフォトレ
ジストストリッパーは、5000A/分以上のオーダーのエッチング速度をもたらす。ア
リール成分(例えばフェニル)を主として含む本明細書に記載の組成物は、40℃以上の
温度でフォトレジストストリッパー中に溶解する。しかしながら、アルキルとアリールと
の組み合わせたものを含む本発明の組成物は、フォトレジスト:誘電体=40:1以上と
いうかなり高い選択性(あるいは、フォトレジストストリッパーにおいて100A/分以
下のオーダーのかなり低いエッチング速度)をもたらす。
【0061】
本発明のために想定される表面は、オプトエレクトロニクスデバイス製造工業において
見られる、実質的に固体のあらゆる望ましい材料(例えば、ガラス基板、ステンレス鋼基
板、またはプラスチック基板等)を含んでよい。表面は、コーティングされていても、そ
うでなくてもよく、パターン形成されていても、そうでなくてもよく、オプトエレクトロ
ニクスデバイス中のいかなる場所〔例えば、TFT構造物の頂部に;TFT構造物間もし
くはTFT構造物中に;TFTもしくは任意の適切な半導体デバイス構造物(又は他の構
造物)が配置されているステンレス鋼基板またはプラスチック基板の頂部に;LCD中の
カラーフィルターに隣接して;OLEDデバイスに隣接して;電気泳動デバイスに隣接し
て;あるいはフラットパネルディスプレイ、他のディスプレイ、または他のオプトエレク
トロニクスデバイス内の他の任意の表面に隣接して〕に存在してもよい。幾つかの本発明
のために想定される表面は、非平面の表面トポグラフィーと既に平坦化されている他の本
発明のために想定される表面を含む。特に望ましい表面は、フィルム、ガラス、セラミッ
ク、金属もしくは被覆金属、または複合材料を含む。表面は、少なくとも1つの層を含み
、場合によっては複数の層を含む。別の実施態様では、表面は、オプトエレクトロニクス
工業において一般的な材料を含む。本発明のために想定される好適な表面はさらに、これ
までに作製されている他の層状スタック、他の層状部材、または他の部材の一切をを含む
。
【0062】
少なくとも1種の触媒は、層状材料、層状デバイス、層状フィルム、又はディスプレイ
の製造における適切な時点で活性化され、これによって光透過性のフィルムもしくは層が
作製される。ある実施態様では、組成物を適切な表面に塗布し、少なくとも1種の触媒を
少なくとも部分的に活性化させる。「少なくとも部分的に活性化されている」という表現
は、少なくとも1種の触媒が、組成物を部分的に架橋されたゲル状フィルムに転化させる
ように活性化されているが、組成物を十分に架橋されたフィルムに転化させるほどには活
性化されていないことを意味する。他の実施態様では、組成物を表面、基板、層、または
フィルムに塗布する前に、組成物は少なくとも部分的に活性化させられている。さらに別
の実施態様では、組成物を適切な表面、層、フィルム、または基板に塗布し、少なくとも
1種の触媒を充分に活性化させることにより架橋した緻密フィルムもしくは緻密層が得ら
れる。本発明のために想定される触媒は、任意の適切な装置、方法、または操作によって
(例えば、熱、光、振動、または他の化合物を加えることによって)活性化させることが
できる。
【0063】
本発明の組成物は、連続的な塗布方法(例えば、スピンコーティング、グラビアコーテ
ィング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スロットダイコーティング、ス
プレーコーティング、及び連続的ノズルコーティング)と不連続的な塗布方法(例えば、
インクジェットプリンティング、グラビアプリンティング、及びスクリーンプリンティン
グ)を含めた、任意の適切な方法によって表面にコーティングすることができる。
【0064】
本発明の組成物が少なくとも1種の十分に光透過性の架橋可能な組成物を含む場合(こ
のとき組成物は、少なくとも1種のシリコン系材料、少なくとも1種の架橋剤、及び少な
くとも1種の溶媒を含む)、該組成物は、少なくとも1つの硬化温度と少なくとも1つの
硬化時間を有する硬化工程もしくは硬化後に、硬化温度以下でのさらなるプロセシング時
に約2%未満の損失重量を示す。他の実施態様では、この損失重量は約1%未満である。
幾つかの実施態様においては、少なくとも1つの硬化温度は約150℃〜約400℃の範
囲であり、少なくとも1つの硬化時間は約2時間未満である。
【0065】
本明細書に記載の組成物とプロセスによって得られるフィルムは、改善された絶縁破壊
強度〔ブレークダウン電界(FBD)としても知られている〕(これによりフィルムをオ
プトエレクトロニクスアプリケーションに使用することが可能となる)などの、当業界で
以前から知られているフィルムを上回る1つ又はそれ以上の利点を有する。光学デバイス
(例えばフラットパネルディスプレイ)の製造において、ゲート誘電体、平坦化層、及び
パッシベーション層は、少なくとも約2.5MV/cmのFBDを有する必要がある(場
合によっては、より大きな破壊電界が望ましい)。本発明のフィルムにおいては、約40
0nm〜約800nmの範囲で少なくとも約90%の光透過性を有するのが望ましい。幾
つかの実施態様では、フィルム、コーティング、及び層は、少なくとも約95%の光透過
性を有する。幾つかの実施態様では、フィルム、コーティング、及び層は、少なくとも約
98%の光透過性を有する。別の実施態様では、フィルム、コーティング、及び層は、少
なくとも約99%の光透過性を有する。幾つかの実施態様では、フィルム、コーティング
、及び層は、トポグラフィーに関して90%を越える平坦度を有する。別の実施態様では
、フィルム、コーティング、及び層は、10nmすなわち1オングストローム未満の表面
粗さの二乗平均平方根を有する。
【0066】
オプトエレクトロニクスデバイスやオプトエレクトロニクスディスプレイにおいては、
層間誘電体用の絶縁体としてコンフォーマルコーティング(例えば、化学蒸着SiO
2や
化学蒸着SiN)が使用されている。後続の金属化工程において短絡を引き起こす可能性
のある尖った角を作らないようにするため、平坦化/隙間充填材料を使用することが望ま
しい。パッシベーション層の場合、SiN/SiO
2を使用することができるが、平坦化
材料を使用すると、ピクセル電極の面積が増大し、したがってディスプレイの輝度が増加
する。パッシベーション層または平坦化層に対しては、ベンゾシクロブテン(BCB)や
光画像化可能なアクリル樹脂等の有機材料が使用されることがある。BCBの場合には、
本明細書に開示の材料がより高い熱安定性を有する。光画像化可能なアクリル樹脂の場合
には、本明細書に開示の材料がより高い熱安定性を有し、又、より高い透明度を有する。
大抵、熱安定性が高いことが非常に望ましい。これは、熱安定性が高いと、接着上の問題
を引き起こす可能性のある、そして最終デバイス中の感湿性部材に損傷を与える可能性の
あるガス放出が防止できるからである。
【0067】
薄膜トランジスタ(TFT):
本明細書に開示の組成物、コーティング、材料、フィルム、及び層は、薄膜トランジス
タ(例えば、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ、結晶質
シリコントランジスタ、有機トランジスタ、有機電界トランジスタ、または静電誘導トラ
ンジスタ)におけるインターレベル(第1の金属層と第2の金属層との間、あるいは第2
の金属層とピクセル電極層との間)誘電体(ILD)層またはイントラレベル(同一レベ
ルでの金属線間または接点間)誘電体(ILD)層として使用することができる。これら
全てのデバイスにおいて、本発明の組成物は、ソース/ドレイン(S/D)接点間の層内
誘電体として、あるいはゲートとS/D接点との間、ゲートとLCD中のピクセル電極と
の間、または任意の2つの導電金属区域間の層間誘電体もしくはインターレベル誘電体と
して使用される。本発明の組成物はさらに、ゲート上の絶縁体(ゲート誘電体として知ら
れており、現在のデバイスにおいて一般的に使用されている材料はSiNである)に置き
換わってよい。本発明の組成物、フィルム、及び/又は層はさらに、これらのデバイスに
おいてパッシベーション層や平坦化層としても機能する。
【0068】
平坦化層は、表面に沿って厚さが変わる化学蒸着窒化ケイ素等のコンフォーマル層〔図
1(a)と(1b)〕とは異なる。
図1(a)は、基板(110);トポグラフィーを有
する表面(120);及び化学蒸着(CVD)によって施されたSiN
xを含むコンフォ
ーマル層もしくはコンフォーマルコーティング;を含む、コンフォーマルコーティングさ
れたパターン化基板(100)の断面を示す。コンフォーマル層(130)は、表面(1
20)の全体にわたって均一な厚さ(135)をもたらし、これによって表面(120)
のトポグラフィーが完全な状態のままで保持される〔
図1(a)〕。
図1(b)は、基板
(110);トポグラフィーを有する表面(120);及び平坦化層(140);を含む
平坦化基板(105)の断面を示す。平坦化層は、表面のトポグラフィーが変わるように
、そして表面がほぼフラットになるように、異なった区域において異なった厚さをもたら
す(丘(hill)の頂部ではより薄く、又、谷(valley)ではより厚い)〔
図1(b)〕。平
坦度(DOP;パーセント値で表示)は、コーティング前のある表面上のフィーチャーの
初期高さ(150)と、フィーチャー構造の初期高さに対して正規化された谷区域での平
坦化コーティングにおけるくぼみ(160)(コーティングの上表面からの)との差であ
る。DOPは、この比〔1−{(x−y)/x}〕で示され、パーセント値として表示さ
れる。90%より大きいDOPをもたらす層は、良好な平坦化層であると考えられる。通
常は、所定のトポグラフィーに対してフラットな表面が得られるよう、配合物中の固体も
しくは樹脂の含量または溶媒の含量を調整するか、あるいは溶媒の種類を変える。
【0069】
薄膜トランジスタは、あらゆるフラットパネルスクリーンの心臓部なので、一般には、
ゲート、ソース、およびドレインとして知られている3つの端子を含む。
図2は、本発明
の配合物がゲート誘電体(230)として使用されている場合の、典型的な薄膜トランジ
スタデバイス(200)の断面を示す。基板(210)は、ガラス、プラスチック、また
は金属であってよい。通常は物理蒸着法(例えばスパッタリング)によって金属層を基板
(210)の上に形成させ、これをパターン化してゲート金属(220)を形成する。ゲ
ート誘電体(230)が、ゲート金属(220)でパターン化された基板(210)上に
コーティングされると、
図2に示すように、誘電体(230)により、表面トポグラフィ
ーが平坦化される。ゲート誘電体の上に、非晶質シリコン(240)が堆積される。低い
接触抵抗を達成するために、a−Si中のソース区域とドレイン区域にn+をドーピング
する。非晶質シリコン(240)のn+ドーピング区域(250)上に、ソース接点(2
70)とドレイン接点(260)を作製する。一般には、平坦化層が使用される時はいつ
も、表面トポグラフィーが著しく減少する。
【0070】
図3に示すように、本発明のデバイス(300)においては、基板(310)上にTF
T区域(330)を構築した後に、本発明の配合物(320)を使用して表面を平坦化す
る。この層(320)は、第1の金属層(340)(TFT区域においてゲートを形成す
る)とピクセル電極(350)との間に存在するので、通常は層間誘電体として知られて
いる。ピクセル電極(350)は、TFTのドレイン(図示せず)に連結される。この層
(320)はさらに、さらなるプロセシング工程時にTFT区域を保護し、そして液晶区
域をTFT区域から隔離するので、パッシベーション層とも呼ばれる。
【0071】
液晶ディスプレイにおけるカラーフィルター:
フラットパネルディスプレイでは、プロフィールが薄いこと、軽量であること、及び電
力消費量が少ないことから、一般に液晶ディスプレイ(LCD)デバイスが使用されてい
る。LCDシステムにおいては、光の通過を選択的に許容し(あるいは阻止し)、これに
よって画像の表示を達成するよう、液晶分子を異なった方向に配向させる。画像に対する
色は、カラーフィルタースクリーンによって付与される。カラーフィルタースクリーンは
、本明細書に開示の組成物、層、及びフィルムのために想定される最終用途である。
【0072】
図4(a)は、典型的なカラーフィルターの断面を示し、
図4(b)は、本発明の材料
がカラーフィルターにおいてどのように使用されているかを示す。LCDにおけるカラー
フィルタースクリーンは一般に、先ずクロム系もしくは樹脂系のブラックマトリックス(
420)を基板(410)上に堆積させ、そこにパターン形成を行うことによって作製さ
れる。次いで、3つの主要なカラー区域(430,432,434)を形成し、それぞれ
の樹脂を堆積させ、そして赤色、緑色、及び青色の区域を画定するようパターン形成を行
う。透明な導電性電極(440)〔通常は酸化インジウムスズ(ITO)−液晶が機能す
るための共通電極〕を、ブラックマトリックスが挿入されたカラーパターンの上に配置す
る。共通電極(440)は、下側カラー区域のトポグラフィーに従う。カラーフィルター
スクリーンを完全な状態にするために、ポリイミド層を電極(図示せず)上に堆積させる
。ITOにおけるトポグラフィーのために、電界差(differential fie
ld)が液晶の応答差を引き起こす。ITOの付着は、スパッタリング法(カラー樹脂に
損傷を与えることもある)による。
図4(b)に示すように、3つの主要なカラー区域を
保護するために、表面をオーバーコート層(450)で覆う。このオーバーコート層(4
50)は、本明細書の全体にわたって記載されている本発明の配合物を含んでよい。この
層は、カラー区域を保護するほかに、表面を平坦化する。オーバーコート層の上に堆積さ
せた共通電極(440)はフラットであり、所定のピクセルもしくはサブピクセルにおけ
る液晶に均一な電界をもたらす。
【0073】
したがって、本発明の層、フィルム、材料、または組成物は、TFTLCDの異なった
区域におけるゲート誘電体、インターレベル誘電体、イントラレベル誘電体、パッシベー
ション層、または平坦化層として、そしてカラーフィルタースクリーンにおけるカラーフ
ィルターオーバーコートとして使用することができる。
【0074】
有機発光ダイオード(OLED):
図5は、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)(500)の断面
を示す。図面に示すように、OLEDデバイスは、カソード(566)(通常はCa、A
l、またはBa)、発光ポリマー、およびアノード(通常はITO)(550)を含む。
発光ポリマーは、正孔を伝導するための正孔輸送層(562)と電子を輸送するための電
子輸送層(564)を含む。光は、正孔と電子とが組み合わさったときに発生する。AM
OLEDデバイス(500)を作製するためには、先ず基板(510)に水分バリヤー層
(520)をコーティングする。本発明の配合物をこの目的のために使用することができ
る。次いで本発明の水分バリヤー層(520)上にTFT区域(540)を作製する。本
発明の配合物のパッシベーション層(530)(ILDとも呼ばれる)を全体にわたって
堆積させ、OLEDのアノード(550)と接続するために、TFTのドレイン区域で開
放する。このパッシベーション層は、水分拡散バリヤー特性と酸素拡散バリヤー特性を有
していなければならない。さらに、頂部と側部からの水分拡散と酸素拡散を防ぐために、
本発明の配合物を、OLED区域の上に封入層(570)として堆積させる。
【0075】
OLED区域は、水、酸素、または環境中の他の異物の拡散を防ぐために、このような
バリヤー層で完全に封入する必要がある。このような化学種がOLEDに拡散すると、O
LEDデバイスの耐用年数が減少し、信頼性が低下する。本発明の材料は、一般には、O
LED区域を取り囲む酸素拡散バリヤー層および水分拡散バリヤー層として、そして特に
、OLED区域の上の封入層およびアノードの下のパッシベーション層として使用するこ
とができる。AMOLEDにおいては、本発明の材料はさらに、トポグラフィーを平坦化
するための層間誘電体、ゲート誘電体、およびTFT区域におけるパッシベーション層と
して使用することもできる。
【0076】
発光ダイオード(LED)における光抽出層:
発光ダイオードは、固有の高屈折率を有するサファイア/GaN基板上にデポジットさ
せたp型半導体とn型半導体を有する2端子デバイスである。pn接合は、ある特定の電
圧でバイアスをかけると光を発生する。
図6は、本発明のLEDの模式的な断面(601
)、および本発明のLED(600)の裁断図を示しており、このとき本発明の組成物は
、トップ・エミッティングLED(top−emitting LEDs)中のLED上
に使用することもできるし、あるいは基板上のボトム・エミッティングLED(bott
om emitting LEDs)(図示せず)のボトムで使用することもできる。本
発明の組成物、材料、フィルム、および層は、光抽出層(630と635)として使用さ
れる。本発明の配合物は、基板層(610)の上に位置するLED区域の上に、LED区
域(620)の上に広がっているレンズ(640)(通常はポリカーボネートで作られて
いる)に対する接着剤として施される。この接着剤層(630と635)は透明であり、
その屈折率は、LED層(620)の屈折率とレンズ層(640)の屈折率との間である
。この層を使用して屈折率をマッチングさせることによって、LED区域に戻る光の全内
部反射を減少させ、LEDからの放射光のより多くをレンズに抽出する〔あるいは基板か
らボトム・エミッティングLEDデバイス構造(図示せず)における外側まで〕。これに
より全内部反射による光度の低下が抑えられ、LRDは高い輝度を有するようになる。本
発明の材料、コーティング、層、及び/又はフィルムは、比較的高い屈折率を有してよい
。幾つかの実施態様においては、屈折率は約1.5より大きい。これらの材料、コーティ
ング、層、及び/又はフィルムはさらに、亀裂を起こすことなく厚さを増大させることが
でき、高い熱安定性を有する。幾つかの実施態様においては、厚さは1μmより大きい。
他の実施態様においては、厚さは約2.5μmより大きい。本発明の組成物または層は、
LED層、レンズ、および基板層の間の良好な接着性を有する厚いフィルムをもたらす。
【0077】
基板の平坦化:
従来、フラットパネルディスプレイスクリーンを作製するには、ガラス基板が使用され
ている。しかしながら、フレキシブルディスプレイは、基板がフレキシブルであることを
必要とし、したがってステンレス鋼基板やプラスチック基板が選択される。
図7(a)と
7(b)に示すように、基板(710)は、一般には粗い(数百ナノメートルのオーダー
の粗さ)。任意のデバイス(薄膜トランジスタや光起電力電池等)を表面上に作製する前
に、光学的にフラットで平滑な表面が必要とされる。基板がステンレス鋼(導電性基板)
である場合、基板は、その上に作製されるデバイス(この場合は、720で示されるTF
Tデバイス)から電気的に隔離されなければならない。一部の光起電力電池の取引関係者
は、、表面上の全ての粗いピークを覆うのに過不足のない平坦化を要求している。この要
件のために、ステンレス鋼基板がデバイス中の機能性素子、すなわちバックコンタクト(
the back contact)として使用される。しかしながら、バックコンタク
トプロセス(the back contact process)を完了するためには
、金属の薄層を誘電体の上に付着させる必要がある。
【0078】
本発明のために想定される基板としては、PET、PEN、および変性ポリカーボネー
ト(PC)がある。PET基板は、最高温度が150℃に達してよい。PEN基板は、最
高温度が180℃に達してよいが、複屈折のために、LCDの場合にはうまく機能しない
。変性ポリカーボネートは、より高いTG(約215℃)を有する。これらのプラスチッ
クフィルムは、1.59の屈折率を有する。
【0079】
本発明の配合物、層、およびフィルム(730で示す)は、ステレンレス鋼、金属箔、
またはプラスチックを平坦化するために使用され、ここで引き続きトランジスタもしくは
他の任意のデバイスが作製される。プラスチック表面の場合、本発明の材料によってもた
らされる主要な機能は、表面平坦化特性と水分バリヤー特性である。コーティングは、メ
イヤーロッド・アプリケーターによって、または前述した他の任意のコーティング法によ
って基板に施すことができる。フィルムは、150℃で5分熱硬化され、そして450m
J/cm
2で約5秒紫外線硬化される。フィルムは一般に、厚さが約3〜4μmであり、
水分透過抵抗性を示さなければならない。
【0080】
初期粗さは、フィルムがほとんどフラットであることを示している(粗さ測定またはR
a測定に対して約2nm)。PC基板を使用する1つの実施態様では、Raは約0.5n
mであることが示された。
【0081】
光起電力電池:
光起電力電池は、光を電流に転換し、また、太陽電池の心臓部である。光起電力電池は
、「pn接合」を形成するようサンドイッチされた2層の半導体(p型とn型)を使用し
て作製される。半導体に光が入射すると、光が半導体によって吸収され、エネルギーがn
型半導体中の電子に移送される。これらの電子は材料中を移動することができる。それぞ
れの電子に対し、電気的中性を保持するために、対応する正電荷キャリヤーもしくは‘正
孔’がつくり出される。pn接合の近くの電子と正孔は、電界の作用によって反対方向に
一掃されるように移動する。このように電荷が分離すると、外部回路において電気を発生
するデバイスの前後に電圧を引き起こす。太陽電池(800)の典型的な断面を
図8に示
す。入射光線を(890)で示す。従来、太陽電池はガラス基板上に造られている。最近
では、プラスチック基板もしくはステンレス鋼基板(810)が基板として使用されるよ
うになってきている。これら基板の粗い表面を、本発明の材料(820)を使用して平坦
化し、金属で造られたバック接点(830)を層状材料に加える。この上に、p型半導体
物質とn型半導体物質(それぞれ840と850)を堆積させる。入射光線(890)の
吸収をより増大させるために、反射防止コーティングの薄い層(860)を、光沢のある
半導体(シリコン等)表面の上に堆積させる。n型半導体の上にフロント接点(870)
を設けて、太陽電池(800)が完成する。金属区域(870)を、環境による損傷から
保護するために、本発明の材料(880)をフロント接点の上に堆積させる。
【0082】
X線検出器:
一般には、フラットパネルX線検出器は、100万以上のピクセルを含むピクセルアレ
イである。
図9に示すように、X線検出器(900)は一般に、センサー(光伝導体)、
コンデンサー、およびアクティブマトリクス薄膜トランジスタ・アドレッシングユニット
を含む。センサーは、入射するX線(970)を吸収し、対応する電荷(コンデンサー(
920)中に貯えられる)を生成させる光伝導体(940)である。光伝導体に、本発明
の誘電体層(950)を、次いでトップ電極(960)をコーティングする。アクティブ
マトリクス・アドレッシングは、電荷を検出し、信号の読み取り値を外部のエレクトロニ
クスデバイスに送り、このデバイスにより画像が表示される。アドレッシングユニット中
の各ピクセルが、1個のアドレッシングトランジスタ(930,TFT)を有する。層状
材料が、基板(910)(ガラスであってもよい)上に構築される。入射するX線のエネ
ルギーを有害にならない許容レベルにまで減少させるには約300〜500μmの厚さが
必要とされるが、非晶質シリコン光伝導体のみの薄層では、この厚さを得ることができな
い。したがって、入射X線(画像化しようする物体から出てきた後の)を、それぞれ光ま
たは電子に転換させる蛍光体物質や光伝導体が使用される。次いでこの光または電子が、
非晶質シリコンアレイによって読み取られる(フラットパネルディスプレイの場合と同様
である)。これとは別に、シンチレーティング層(一般にはCsI)やフォトダイオード
を、光伝導体やコンデンサー(図示せず)の代わりに使用することもできる。シンチレー
ティング層に使用される材料は腐食性であり、本発明の材料を、TFTとシンチレーティ
ング層との間の保護用オーバーコート層として使用することができる。本発明の層はさら
に、TFT層において、ゲート誘電体、ILD、およびパッシベーション層として使用す
ることもできる。
【実施例】
【0083】
比較例1
29.25gのポリフェニルシルセスキオキサン(テクネグラス社製のGR950F(商標))を70gのPGMEA中に溶解させた。0.75gのAPTEOS(接着促進剤として使用されている)を加え、本溶液を80℃に加熱した。2時間後、溶液を冷却し、0.83gの氷酢酸を加えた。0.5gのTMAN(96%粉末)を計量し、これに99.5gの脱イオン水を加えることによってTMAN溶液を調製した。このTMAN溶液を室温で30分攪拌し、室温で貯蔵した。シルセスキオキサン溶液を0.1ミクロンのフィルターに通して濾過し、TMANを加えた。次いで、スピンコーティングや他の方法によって基板上にフィルムを作製するのに、本溶液を使用することができた。
【0084】
上記の材料をステンレス鋼上にコーティングしてフィルム(ベーキングや硬化の後に「
デウェット」(“dewets”)が存在しない)を作製した。本明細書に使用される「
デウェット」という用語は、接着性が良くないために生じるフィルムの欠陥を表わしてお
り、一般的には、フィルムの作製と硬化との間に発生する。
【0085】
比較例2
本
比較例においては、30gのフェニルシルセスキオキサン(テクネグラス社製のGR950F)を含む本発明の組成物を作製し、70gのPGMEAおよび0.3333gのTMAN溶液とブレンドした。
【0086】
GR950Fは、>98%のフェニルシルセスキオキサンの樹脂フレークである。GR
950Fは、800〜1200AMUの分子量範囲と60℃の融点を有する。30gのG
R950Fを、70gのPGMEAとともに空のHDPEボトル中に入れた。0.5gの
TMAN(96%粉末)を計量し、これに99.5gの脱イオン水を加えることによって
TMAN溶液を調製した。このTMAN溶液を室温で30分攪拌し、室温で貯蔵した。G
R950F溶液に0.3333gのTMAN溶液を加えた(この結果、最終溶液中には合
計で16.6ppmのTMANが存在する)。この溶液を室温に保持し、磁気攪拌機を使
用して3時間攪拌した。溶液を、二重の0.2μmフィルターを通して濾過した。次いで
濾過した溶液を、1500RPMでシリコン表面上にスピンコーティングした。フィルム
の厚さは約1μmであった。
【0087】
実施例1
本実施例では、30gのフェニルシルセスキオキサン(テクネグラス社製のGR150F)を含む本発明の組成物を作製し、70gのPGMEAおよび0.3333gのTMAN溶液とブレンドした。
【0088】
GR150Fは、メチル−フェニルシルセスキオキサンの樹脂フレークである。GR1
50Fは、ほぼ2200AMUの分子量を有する。30gのGR150Fを、70gのP
GMEAとともに空のHDPEボトル中に入れた。2.0gのTMANを計量し、これに
98gの脱イオン水を加えることによって2%TMAN溶液を調製した。このTMAN溶
液を室温で30分攪拌し、室温で貯蔵した。GR150F溶液に0.8gのTMAN溶液
を加えた(この結果、最終溶液中には合計で160ppmのTMANが存在する)。この
溶液を室温に保持し、磁気攪拌機を使用して3時間攪拌した。溶液を、二重の0.2μm
フィルターを通して濾過した。次いで濾過した溶液を、1500RPMでシリコン表面上
にスピンコーティングした。フィルムの厚さは約1μmであった。このフィルムの特性に
より、PRストリッパー、及び金属もしくはITOにパターン形成を行うために使用され
る他の浸食性化学材料(例えばシュウ酸)に対する湿潤薬品耐性がもたらされた。
【0089】
参考例1
比較例2からの組成物をパターン形成されていないシリコン基板に塗布し、ベーキングと硬化にかけした。基板と組成物を、窒素気流環境または周囲空気中においてホットプレート上、160℃/200℃/300℃で(それぞれの温度にて1分)ベーキングした。次いで、ベーキングした基板を400℃で1時間硬化した。表面粗さ(二乗平均平方根粗さ又は二乗平均平方根表面粗さとも呼ばれる)は、10nm未満のプローブサイズを有する高分解能プロファイラー(原子間力顕微鏡)で測定した。5回のスキャンを行い、このとき各スキャンにおけるスキャンサイズは1μm、5μm、および10μmであった。二乗平均平方根粗さは5〜7Åであり、Z方向における粗さ(5つの最も高いピークと5つの最も低い谷の平均)は16〜30Åであった。
【0090】
参考例2
目標とする厚さをもたらす配合物の正確な濃度を明らかにするために、先ず、所定の配合物に対するスピン曲線を作成した。
図10は、典型的なポストベーキングのスピン曲線を示す。ここでは、フィルムの厚さを、スピンコーティング時におけるウエハーの1分当たりの回転数の関数としてプロットした。約1500rpmにおいて、配合物は約1μmのフィルムが得られた。特定のrpm範囲が望ましければ、より高い又はより低い固体含量を有する新たな配合物を調製することができる。
比較例2からの組成物を8”のシリコンウエハー上にスピンコーティングし、160℃/200℃で1分ベーキングした。ウエハーの幾つかを、窒素雰囲気の炉の中で、230℃で1時間硬化させ、他のウエハーを窒素雰囲気の炉の中で300℃で1時間硬化させた。硬化後のフィルム厚さは1umであり、フィルムのベーキング/硬化(bake−to−cure)による収縮率は、230℃と300℃での硬化フィルムにおいて0.5〜0.7%であった。
図11は、300℃での硬化の場合の本発明の硬化プロフィールを示す。ウエハーから硬化フィルムをかき取り、高温での損失重量を、熱重量分析(TGA)によって特性評価を行った。TGAの手順は以下のとおりであった:1)25℃で20分保持する;2)25℃から対応する硬化温度(230℃と300℃)まで温度上昇させ、最高硬化温度で3時間保持する。
図12と
図13はそれぞれ、230℃で硬化させた材料と300℃で硬化させた材料の損失重量を示す。温度上昇後、ならびに硬化温度で1時間保持した後、2時間保持した後、および3時間保持した後の累積損失重量を表1にまとめた。損失重量は、フラットパネルスクリーン中の平坦化層として使用される他の有機材料やアクリル材料と比較して極めて少なかった。PC403(JSR社製)については、230℃以上に加熱したときに約2〜5%の重量損失が報告されている。
【0091】
比較例2に記載の材料がトポグラフィーをいかに良好に平坦化するかを調べるために、この材料をパターン化基板上にコーティングした。
図14は、本発明の材料によって表面が平坦化されている場合の、顕微鏡図の模式的描写を示している。最初に、パターン形成されたメタル1(1430)の上にコンフォーマルPECVD SiO
2(1420)を作製した。SiO
2(1420)をエッチングし、エッチングされた区域にメタル2(1435)を堆積させた。これら層の全てを基板(1410)上に構築した。メタル2を堆積させた後のトポグラフィーを、本発明の材料(1440)によって平坦化した。この構造の上部および近傍における層厚さの差は0.1μm未満であり、93%より大きい平坦度をもたらす。
【0092】
参考例3:ゲート誘電体
本発明の材料をゲート誘電体として試験するために作製された有機TFT(OTFT)(1500)の断面を
図15に示す。本発明の材料をゲート誘電体(1520)として組み込むために、配合物をp+シリコンウエハーすなわち基板(1510)上にスピンコーティングし、300℃で硬化させた。p+シリコンウエハーはゲート電極として機能する。ゲート誘電体(1520)の上に、ソース接点/ドレイン接点(1532と1534)を作製した。有機半導体であるポリ−3−ヘキシルチオフェン(1540)を、グローブボックス中で窒素雰囲気下に堆積させ、この半導体を、表2に示す種々の条件下でアニールした。熱酸化物をゲート誘電体として使用して、対照標準サンプルを作製した。サンプルをグローブボックス中に保持して測定を行った。
図16(a)と
図16(b)は、OTFTのデバイス特性を示す。
図16(a)では熱酸化物について、又、
図16(b)では本発明の材料について、ドレイン電圧が20ボルトおよび40ボルトであるときのドレイン電流(Id)をゲート−ソース電圧(VGS)の関数としてプロットした。IonとIoff(オンオフ電流)はそれぞれ、デバイスが高いVGSでオンになった時点、およびVGSがゼロとなった時点から得た。表には、熱酸化物または本発明の材料をゲート誘電体として使用して作成したOTFTに関して、
図16(a)と
図16(b)から得られた種々のデバイスパラメーターが記載されている。表2および
図16(a)と(b)から明らかなように、本発明の材料は、熱酸化物の場合のOTFTと比較して同等以上の機能を示す(120℃で30分アニールした場合)。
【0093】
実施例2:TFTパッシベーション
静電結合を減少させることによってデバイスの動作速度を増大させるために、超小型電子回路においては従来から、SiO
2の誘電率(3.9)より低い誘電率を有する誘電体が使用されている。これらの材料は、−Si−O−骨格中のSiに結合した有機基を有しており、これらの材料を化学蒸着によって堆積させた。誘電体は、隣接した金属線を絶縁するために、そして同一の層に(層内誘電体)、あるいは2つの異なった層に(層間誘電体)にバイアスをかけるために使用した。フラットパネルディスプレイ産業は、フラットパネルディスプレイスクリーンを製造する上で、材料と技術のほとんどをマイクロエレクトロニクス産業から採用している。従来、フラットパネルディスプレイにおける誘電体はSiN
XまたはSiO
2であり、プラズマエンハンスト化学蒸着(PECVD)によって堆積される。周知のように、CVD法は、表面トポロジーの全体にわたってほぼ同じ誘電体厚さを有するコンフォーマルコーティングをもたらす。SiN
xの電気的性能は優れており、SiN
xは、フラットパネルスクリーンにおけるオン/オフスイッチとして機能する薄膜トランジスタ(TFT)において最も一般的に使用されている層間誘電体[M.カタヤマ,TFT−LCDテクノロジー,Thin Solid Film,341(1999),140−147を参照]である。しかしながら、表面のトポロジーと基板のサイズ(with generations)が大きい場合は、CVDは、コストと表面の平坦化の要件を満たすことができない[H.マツムラ,J.Appl.Phys.,66,3612(1989)を参照]。誘電体の溶液系コーティングは、TFTアレイガラス上の表面を平坦化することができ、LCDやOLEDを簡単に組み込むことができるフラットな表面をもたらす。溶液系コーティング法を使用することによって、パターニングの精度も改善することができる。フラットパネルディスプレイ産業では、マイクロエレクトロニクス産業とは異なり、パネル全体の大きさ、CVDに伴うコスト高、および緩和された電気的要件に伴うより大きなデバイス寸法(5μmのサイズより大きい)のせいで、溶液系コーティングを採用し得る。
【0094】
ハイブリッドSiO
2−オーガニック[一般にはCDO(シリコンの炭素ドープ酸化物
)として知られている]を含むインターコネクト(金属層と誘電体層)から作製されるマ
イクロエレクトロニクスデバイスの性能と信頼性に関する十分に裏付けされた報文がある
[Mok,T.S.,W.J.Yoo and A.Krishnamoorthy,P
hysical and Failure Analysis of Integrat
ed Circuits(IPFA)2004,Proceedings of 11
t
h International Symposium,pp.181−4;M.Got
uaco,P.Huebler H.Ruelke,C.Streck,W.Senni
nger,Solid State Technology January,2004
;E.Ogawa,et al., 2002 IEEE IRPS,pp.312−3
21;を参照]。
【0095】
主要な問題は、ウェットエッチング、プラズマ処理、レジストストリップ、およびウェ
ットクリーン等に曝されたときの誘電体の損傷によって引き起こされる。ディスプレイパ
ネルは、こうした要件から大きく外れてはいない。溶液から堆積される、Si−O骨格中
に組み込まれた有機材料を含む誘電体は、湿潤化学プロセス、プラズマエッチングプロセ
ス、フォトレジストストリッププロセス、およびウェットクリーンプロセスに対して耐性
を示すと推定される。表3には、フラットパネルディスプレイを有するLCDやOLED
におけるILDアプリケーションに対して必要とされる主要な特性が挙げられている。
【0096】
【表1】
【0097】
配合物は通常、スロットダイコーターを使用して大きなガラス基板上に付与し、このと
き液体材料のリボンを最初に表面上に滴下する。均一な厚さのコーティングを得るために
、基板を低速(300〜600rpm)で回転させることができる(スロットダイツール
がこのための設備を備えている場合)。そうでない場合は、材料をガラスパネル上に静置
して自然乾燥するか、あるいは減圧乾燥を行う。
【0098】
TFTアレイガラスを製造する際の代表的なプロセス工程:
代表的なTFTアレイについては、すでに本明細書中に説明されている。ここでは、プ
ロセス工程の一般的なシーケンスを説明する:先ず、ガラス基板に金属層を堆積させ、パ
ターン形成を行ったゲート金属区域を作製する。次いでゲート誘電体の薄層(通常はSi
N
x)をPECVDによって堆積させ、次に半導体層(通常は、非晶質シリコンとn+
a−Si)を堆積させる。次いでピクセル電極材料[通常は酸化インジウムスズ(ITO
)]を堆積させ、パターン形成を行う。n+ a−Si層を、ソース(S)接点とドレイ
ン(D)接点を画定するようにパターン形成を行う。次にSiN
xをPECVDによって
堆積させてILD(この層は、TFT区域を覆って、TFT区域をLCD区域から隔離す
るので、TFTパッシベーション層とも呼ばれる)を作製する。CVDによるSiN
xが
、溶液プロセスが可能なパッシベーション層で置き換えられるときは、インテグレーショ
ン・シーケンスが異なる。パッシベーション層は、溶液プロセス可能な材料によるS/D
パターニングの後で作製する。最後にピクセル電極を作製し、パターン形成を行う。かく
して、ピクセルがドレイン区域から母線区域まで拡大可能となるように、透過エリアまた
は開口比が改善される。
【0099】
アクリル化合物や脂環式化合物をベースとする従来の材料は、熱安定性に制約があり、
電気的特性が不良であり、取り囲まれている層に対する接着性も良くない。ここで、シロ
キサン系材料が、層間誘電体やTFTパッシベーション誘電体に対する全ての要件をどの
ようにして満たすことができるか、を説明する。
【0100】
有機シロキサンを含む誘電体配合物(「平坦化用の、及び熱的に安定な」又は「PTS
」)を有機溶媒中に調製し、シリコンウエハーもしくはガラスウエハー上にスピンコーテ
ィングした。非晶質シリコンまたは低温ポリシリコン(LTPS)系TFTアレイガラス
の製造[H.Koike,“High Temperature Polysilico
n Technology that Simultaneously Achieve
s 1.2x ratio and 1.5x Contrast”,Flat Pan
el Displays,Part3−8,pp80−85,2005]は、より高い温
度(例えば、300〜400℃)で硬化する材料に適用することができる。プラスチック
基板や断面における他のいかなる層(例えば有機半導体)も、180℃より高い温度に耐
えることができない。このようなケースでは、低温硬化可能な誘電体が必要とされる。本
実施例では、2つの異なった材料(フェニルシロキサンを含む本発明の組成物、およびメ
チルフェニルシルセスキオキサン(HKLR)を含む組成物)からの結果について説明す
る。フェニルシロキサン系材料を、それぞれ160℃/200℃/300℃にて1分、ホ
ットプレートでベーキングし、炉の中で窒素気流雰囲気下400℃で1時間硬化させた。
HKLR系材料を、ホットプレート上で80℃で2分ベーキングし、次いで周囲空気のオ
ーブン中230℃で30分硬化させた。しかしながら、異なった用途のための誘電体フィ
ルムを作製するためには、ベーキング/硬化条件の種々の組み合わせが可能である。フェ
ニルシロキサン系の材料は、高温のLTPS−LCDパッシベーション用途のために要求
される特性のセットについて評価された。HKLR系の材料を、低温のTFTパッシベー
ション用途について特性評価された。しかしながら、これらの材料は、最大厚さと湿潤薬
品耐性の要件に応じて、互換的に使用することができる。
【0101】
水銀プローブを100kHzの周波数で使用して誘電体特性を測定した。硬化によるフ
ィルム厚さの収縮(z方向における)を算出するために、ベーキング後に、そしてサーマ
ウェーブ(Thermawave)(登録商標)を用いて硬化させた後にフィルムの厚さ
を測定した。ベーキングと硬化後に、フィルムの屈折率(RI)も測定した。各硬化温度
で保持したウエハーに対し、熱脱離質量分析法(TDMS)を使用して熱安定性を測定し
た。湿気曝露前と湿気曝露後のフィルムの損失重量を、熱重量分析(TGA)を使用して
測定した。ウエハーを小片にスライスし、湿潤エッチング耐性を評価するために湿潤化学
薬品中に一定時間浸漬した。誘電体フィルムにパターン形成するために、ドライエッチン
グ法を開発した。異なった層(金属フィルム、他の誘電体フィルム、有機フィルム)に対
する接着性を、標準的なスコッチテープ試験によって測定した。先ず、ダイヤモンドチッ
プを使用してフィルムに線を刻み付け、次いで刻み付けされた部分にスコッチテープを貼
り付けて引っ張った。表面の光学顕微鏡写真により、接着性がどの程度に良好であるか(
あるいは不良か)がわかった。TAZMOスロットダイコーターを使用して、材料を、ス
ロットダイコーティングに対する相容性を評価した。金属もしくはポリマーでパターン形
成された表面にフィルムをコーティングし、走査型電子顕微鏡を使用して断面での平坦度
を測定した。
【0102】
基本的な特性セット:
表4から明らかなように、この材料に関しては、ベーキングから硬化までのフィルムの
収縮は少なかった(2%未満)。硬化温度を高くするほど、収縮はより少なくなった。屈
折率は、HKLR系材料が約1.5であり、フェニルシロキサン系材料が1.55であっ
た。
【0103】
【表2】
【0104】
接触角は、全てのフィルムに対して88〜90であり、フィルムは疎水性であった。疎
水性は、フィルム中に有機材料を含有しているためである。これらの材料と、標準的なデ
ィスプレイパネルにおいて一般的に使用される他のフィルム(金属層、他の誘電体層、お
よび有機層)との接着性は良好であった。
【0105】
表5に示すように、誘電体は約3〜3.3の誘電率(κ)値を有する。誘電体の絶縁破
壊強さ(1μAの電流で測定)は高く、4.4〜5.0MV/cmの範囲内であった。2
MV/cmで測定した漏洩電流密度は25〜90nA/cm
2であった。低い誘電率と低
い漏洩電流密度とが組み合わさると、フィルムは、フラットパネルディスプレイにおける
TFTパッシベーションと層間誘電体の用途に非常に適したものとなる。
【0106】
【表3】
【0107】
図17は、可視光の光学波長範囲(400〜1000nm)内のガラスに対するこれら
材料の透過率を示す。全体として、光学的透過率は、2種のフィルムに対して95%より
高かった。透過率曲線におけるピークと谷は、ガラスと該材料との間の屈折率(RI)の
差によるものである。ガラスと該材料との間の屈折率の差が大きくなるほど、干渉縞やこ
れに関連した縞が大きくなる。ガラスに対する透過率が97%より大きいので、フィルム
の光学的性能と透明性が影響を受けることはなかった。
【0108】
有機層を含む基板を、フェニルシロキサン系材料を使用して平坦化すると、平坦度(D
OP)は98%となった。金属パターンを含むガラス基板を、HKLR系材料を使用して
平坦化すると、95%のDOPが得られた。どちらの場合も、コーティング後における表
面はほぼフラットであった。
【0109】
PTS系材料のスピンコーティングとスロットダイコーティング
本実施例において本発明の材料から作製されるフィルムは、スピンコーターやスロット
ダイコーターを使用して、Siウエハーやガラスパネル上に容易にコーティングすること
ができる。PTS系材料をスピンコーティングによってSi基板に施し、種々のスピン曲
線を作成した。スピン曲線を作成するのに使用したベーキング温度は80℃〜200℃の
範囲であり、硬化温度は230℃〜400℃の範囲であった。
【0110】
一般に、異なった温度で硬化させた同一材料に対しては、厚さの有意差は認められなか
った。これらフィルムのベーキング/硬化による収縮率(bake to cure s
hrinkage)は2.0%以下であった。作成されたスピン曲線を使用して、それぞ
れの固形物負荷に対して必要とされるフィルム厚さを予測することができる。
【0111】
図18A〜18Kは、Siウエハー上への配合物のスピンコーティングによって得られ
るこれらの材料に対するスピン曲線を示す。これらの材料の特性は以下のとおりである:
図18A(PTS−E−4):20%固形物負荷(20g GR950F+80g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18B(PTS−E−6):30%固形物負荷(30g GR950F+70g PG
MEA+160ppm TMAN);
図18C(PTS−E−9):45%固形物負荷(45g GR950F+55g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18D(PTS−R−4):30%固形物負荷(30g GR150F+70g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18E(PTS−R−8):40%固形物負荷(40g GR150F+60g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18F(PTS−R−9):45%固形物負荷(45g GR150F+55g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18G(PTS−G−3):15%固形物負荷(15g GR908F+85g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18H(PTS−G−4):20%固形物負荷(20g GR908F+80g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18I(PTS−G−6):30%固形物負荷(30g GR908F+70g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18J(PTS−G−8):40%固形物負荷(40g GR908F+60g P
GMEA+160ppm TMAN);
図18K(PTS−G−9):45%固形物組み込み(45g GR908F+55g
PGMEA+160ppm TMAN)。
【0112】
フェニルシロキサン系材料から、亀裂を生じることなく得られる最大厚さは1.5μm
であり、HKLR系材料からの最大厚さは約3.5μmであった。どちらの場合もフィル
ムの品質は良好であり、粒子、条線、デウェット、風紋、および他の欠陥は見られなかっ
た。
【0113】
表6には、G2ガラス基板(370/470mm)上にスロットダイコーティングした
本発明のフィルムの厚さと不均一度(%)が記載してある。スロットダイコーターのパラ
メーターは、圧力(P)、スリットと基板との間の隙間(G)、およびコーティング時に
スリットが移動する速度(V)である。番号の6と4は、異なった濃度の配合物を表わし
ている。これらの本発明の配合物の粘度は、それぞれ4〜12cpおよび6〜20cpの
範囲内で調整することができる。どちらの材料もガラス基板上に適切にコーティングする
ことができ、条線や他の欠陥は見られなかった。
【0114】
【表4】
【0115】
ドライエッチングの結果:
本発明の材料は光画像形成が可能ではないので、フォトレジストを使用して光パターン
形成を行わなければならず、したがってドライエッチング可能でなければならない。両方
のフィルムを、[SF
6+O
2]ガス混合物または[CHF
3+O
2]ガス混合物中にお
いてエッチングした。8”ウエハーを横切る厚さの不均一度を1%にしつつドライエッチ
ングの条件を変えることによって、6000〜9000Åの範囲でエッチング速度を調整
することができる。
【0116】
ガス放出と熱安定性:
ディスプレイ用誘電体の主要な要件の1つは、ガスの放出が少ないことである。シロキ
サン系ポリマーにおけるガス放出は、多くの要因によると考えられる:(1)後処理条件
により、幾つかの未終了の縮合反応が引き起こされることがあり(硬化フィルムにおいて
)、したがって後処理温度は硬化温度を越えてはならない;(2)材料中の有機材料が分
解し、ガス放出成分としてフィルムから出て行くことがある;および(3)種々のプロセ
ス工程時に材料が水を吸収し、後処理時にこの水を遊離することがある。硬化温度以下に
おいて完全に硬化・架橋したフィルムでは、もし材料が、吸湿、浸透、および拡散に対し
て耐性を有するのであれば、ガスの放出は少ないであろう。
【0117】
図19(a)は、250℃で硬化させたHKLR系材料のフィルムのガス放出プロフィ
ールを示し、
図19(b)は、400℃で硬化させたフェニルシロキサン系材料のフィル
ムのガス放出プロフィールを示す。硬化フィルムを熱脱離質量分析計中に装着し、それぞ
れの材料に対して10℃/分において250℃または400℃にまで温度を上昇させ、そ
の温度で1時間保持した。ガス放出成分とそれらの強度(圧力に関して)を
図19(a)
と19(b)に示す。主たるガス放出成分は水であった。ガス放出の総量は、5×10
−
8Torrというオーダーの非常にわずかな量であった。
【0118】
下記の方法を使用して、フィルムに対して水蒸気曝露試験を行った。閉ざされた容器中
で、フィルム側を水に対向させた状態で、有孔ホルダー上にウエハーを配置した。この閉
じたチャンバー中において、フィルムを水蒸気に17時間曝露した。ウエハーを取り出し
、窒素中で乾燥した。曝露前と曝露後のフィルムの損失重量を、熱重量分析器によって測
定した。ウエハー表面からフィルムをかき取り、アルミニウムパン中に入れ、TGAチャ
ンバー中に装着した。温度を室温から硬化温度に上昇させ、硬化温度で1時間保持した。
【0119】
表7は、水蒸気曝露前と水蒸気曝露後の、TGAを使用して測定したフィルムの損失重
量を示す。水蒸気曝露前と水蒸気曝露後のフィルムに損失重量の有意な差は認められない
、ということをこれらの結果は明確に示している。
【0120】
【表5】
【0121】
表8から明らかなように、誘電率(κ)、絶縁破壊電界(FBD)、漏れ電流密度(J
)、および表面接触角などの他の特性は、水蒸気曝露による影響を受けなかった。接触角
は、水蒸気曝露後でも変化せず、このことは、フィルム表面の変化すなわち劣化が起こっ
ていないことを示している。
【0122】
【表6】
【0123】
上記の特性は全て、フィルムの基本的な要件である。どちらのフィルムも、これら全て
の基本的要件を満たしている。
湿潤薬品耐性:
本発明のために想定されるフェニルシロキサン系のフィルムをSiウエハー上に堆積さ
せ、400℃で硬化させ、種々の化学薬品で処理した。表9に示すように、このフィルム
は、集積化の際に使用される標準的な化学薬品(例えば、IPA、NMP、PGMEA、
TMAH、BOE、およびDHF)に対して耐性があった。このフィルムはST106中
で膨潤するが、ホットプレート上150℃で3分ベーキングすることによって完全に元に
戻すことができる。しかしながら、この材料を使用して製造されフィルムは、フォトレジ
ストストリッピング用化学薬品(例えば、N−300やPRS−2000)および関連し
た化学薬品に対しては耐性がなかった。
【0124】
【表7】
【0125】
この材料を集積させる一方で、O
2プラズマを使用して、エッチングで硬化したフォト
レジスト(etch−hardened photoresist)を先ず除去する必要
がある。この材料は、O
2プラズマによってエッチング(または損傷)されなかった。標
準的なPR灰化におけるエッチング速度は約100Å/分であり、このとき選択性はPR
:PTS−E=38:1であった。表面は、PR灰化レシピに曝露された後に親水性にな
った。しかしながら、ホットプレートによって150℃で3分ベーキングすることにより
、最初の疎水性表面を回復することができる。表10からわかるように、誘電体の電気的
特性でさえも回復させることができる。
【0126】
【表8】
【0127】
Siウエハー上の硬化誘電体フィルム上に標準的なI−ラインフォトレジストをコーテ
ィングし、SF
6/O
2プラズマを使用してエッチングを実施した。次いで、O
2灰化工
程によってフォトレジストを除去した。サンプルを横方向にカットし、走査型電子顕微鏡
を使用して分析した。この材料は、フォトレジストとSF
6/O
2プラズマエッチングを
使用して、誘電体に損傷を及ぼすことなくパターン形成を行うことができる。
【0128】
表11に示すように、本発明のHKLR系材料とこれらの材料から作製されるフィルム
は一般に、多くのエッチング用化学薬品に対して十分に耐性がある。これにより、材料を
集積化することが極めて容易になり、エッチングで硬化したフォトレジストの除去は、P
RS2000等の浸食性化学薬品を50℃以上の高温で使用することによって果たすこと
ができ、このときフィルムが損傷を受けることはない。本発明のHKLR系材料はさらに
、O
2プラズマに対して耐性があり、したがってエッチングで硬化したフォトレジストは
、PR灰化プロセスによって除去することができ、次いでPR残留物は、マイルドな湿潤
化学薬品(例えばST106)を使用して除去することができる。
【0129】
【表9】
【0130】
特性の概要
本実施例中(そしてさらに本開示内容中)に開示のフィルムは、フラットパネルディス
プレイ用途のために開発された誘電体の系列に属する。表12に記載の材料特性と、表3
に記載の要求特性とを比較すれば、開発された誘電体は、ディスプレイ用誘電体の要求特
性を全て満たす、ということは明らかである。
【0131】
【表10】
【0132】
これらの誘電体材料は、ディスプレイ誘電体フィルムの特性要件(例えば、疎水性表面
、低い硬化温度、少ないガス放出に関連した高い熱安定性、低い吸湿性、耐浸透性、極め
て高い平坦化能力、光学的透過率、低い誘電率(κ=3.1〜3.3)、優れた電気的特
性、高い亀裂限界(3.5μmほどの高さ)、高い平坦化能力、フォトレジストストリッ
プと灰化用化学薬品に対する耐性、および非常に平滑な表面)を全て満たす。
【0133】
実施例3: 高いアルキル/アリール%の材料と、低いアルキル/アリール%の材料との比較
本実施例では、3種のシリコン系化合物材料を比較した。これらの材料は、すでに開示したLKHR系材料及びHKLR系材料についての本発明の実施態様の一部であると考えられる。本実施例に対し、使用した3種の材料は、
GR908F:フェニルが約95%でメチルが5%(LKHR);
GR150F:フェニルが約65%でメチルが35%(HKLR);及び
GR100F:フェニルが約50%でメチルが50%(HKLR);
である。
【0134】
これらの組成物(表13に示す)および該組成物から得られるフィルムを、以下の特性
に関して評価した:a)フィルムの品質、b)PRS2000に対する耐性、c)電気的
特性、d)TGA(硬化温度での損失重量%)、およびe)TDMS(ガス放出)。
【0135】
表14は、これらの組成物のそれぞれの層とフィルムを製造するための方法を示してい
る。表15と表16は、70℃で6分間連続的に曝露した場合のPRS2000に対する
耐性を示している。表17は、これらの組成物に対してモニターした電気的特性を示して
いる。
【0136】
これらの材料に対し、250℃で硬化させる場合のTDMSプロフィールまたはガス放
出プロフィールを調べた。材料の温度を室温から250℃に上昇させ、この温度で60分
保持した。温度上昇の速度は10℃/分であった。
図20は、GR908Fに対するTD
MSプロフィールを示している。温度上昇時に、マス31、43、45、55、および5
7についてのガスの放出を検出し、湿気も検出した。250℃での等温保持時(1時間)
に、全ての化学種のガス放出が減少した。
図21は、GR150Fに対するTDMSプロ
フィールを示している。温度上昇時に135℃を越える温度でガス放出の増加が観察され
た。同時に、全ての化学種のガス放出が、最初の30分間250℃の等温で保持した間に
減少したことも観察された。
図22は、GR908Fに対するTGA分析を示している。
サンプルのサイズは9.1680mgであった。この方法を250℃にて3時間行った。
フィルムの硬化は、オーブン中250℃で1時間行った。
図23は、GR150Fに対す
るTGA分析を示す。サンプルのサイズは10.1160mgであった。この方法を25
0℃で3時間行った。フィルムの硬化は、オーブン中250℃で1時間行った。
【0137】
実施例4: フェニル系のシロキサン材料と低アルキル/アリール比率の材料との比較
本実施例では、3種のシリコン系材料を比較した。これらの材料は、前記にて開示したフェニル系材料、LKHR系材料、およびHKLR系材料の本発明の実施態様の一部である。本実施態例において使用した3種の材料は、
PTS−E−9 フェニル系のシロキサンポリマー;
PTS−G−9 低アルキル/高アリール系のシロキサンポリマー;及び
PTS−R−9 高アルキル/低アリール系のシロキサンポリマー;
であった。
【0138】
表18には、ディスプレイ用誘電体に必要とされる特性が記載されている。表19は、
本実施例に関して評価された3種の本発明の材料それぞれに対する特性の比較を示してい
る。
【0139】
表20は、本発明の材料を8”のウエハー上に使用して得られるフィルムの物理的特性
を示している。ベーキングプロセスと硬化プロセスが、ベーキング後と硬化後の測定値と
ともに開示されている。ベーキング/硬化による収縮率は2%未満であった。
図24は、
配合物の粘度を示しており、
図25は、本実施例において使用した材料からのフィルムの
透過率を示している。透過率は、本実施例で評価したフィルムの全てに対して95%以上
であった。干渉縞は、ガラス基板とフィルムとの間の屈折率の差によって引き起こされる
。縞は、フィルムの屈折率がガラスの屈折率と同じであるときに消失する。表21は、材
料の“n”測定と“k”測定値を示している。こ本発明の材料に関して収集した電気的デ
ータを表22に示す。
【0140】
表23は、
参考例3に記載の手順と類似の手順を使用して得た耐湿性データを示している。水蒸気曝露の前と後において接触角に有意な差はなく(疎水性)、16時間の曝露後でも、本発明の材料は疎水性のままであった。水の吸収や浸透は認められなかった。フィルムは水分を吸収せず、厚さ、電気的特性、屈折率、および減衰係数に有意な差は全く見られなかった。
【0141】
表24と表25は、本実施例に記載の配合物に対する保存寿命データを示している。配
合物を室温で7日保存し、GPCを使用してポリマーの分子量を測定した。170℃で2
分ベーキングすることによってフィルムを作製し、炉中250℃で60分硬化させた。室
温で7日間保存した配合物を使用して作製したフィルムの品質は、フレッシュな溶液を使
用して作製したフィルムの品質と同じであった。
【0142】
実施例5: 界面活性剤を含有するフェニル系シロキサン材料
界面活性剤を含有するフェニル系シロキサン材料を製造し、これをベーキング/硬化させてフィルムを作製した。材料を、それぞれのベーキングに対して160℃/170℃で1分処理した。次いで、フィルムを250℃で1時間硬化させた。評価したフィルム特性は、厚さ、屈折率、不均一度、ベーキング/硬化による収縮率、熱安定性(TGA)、ガス放出(TDMS)、電気的特性、および70℃30分でのPRS2000耐性である。
【0143】
表26は、これら組成物のそれぞれの層を、次いでフィルム製造するための方法を示し
ている。表27は、70℃にて少なくとも30分の連続曝露に対するPRS2000耐性
を示している。表28には、これら組成物に関してモニターした電気的特性が記載されて
いる。
【0144】
TGAを使用することによって熱安定性を測定した。250℃で硬化させたフィルムに
対する損失重量の算出を、フィルムを600℃の高温で加熱したときに調べた。具体的に
は、温度を25℃から500℃に上昇させ、500℃にて1時間保持した。次いで温度を
500℃から600℃に上昇させ、600℃で30分保持した。
図26と
図27はTGA
実験の結果を示しており、ここで
図26は、界面活性剤を含まない対照標準組成物の結果
を示しており、
図27は、界面活性剤を含有する組成物の結果を示している。
【0145】
対照標準組成物および界面活性剤を含有する組成物のガス放出を、TDMSを使用して
測定した。対照標準組成物を250℃で硬化させ、室温から400℃に温度を上昇させ、
400℃で30分保持した。温度上昇の速度は10℃/分であった。界面活性剤含有組成
物を、同一条件下で調製した。
図28は、対照標準組成物に対するTDMSプロフィール
を示しており、
図29は、界面活性剤含有組成物に対するTDMSプロフィールを示して
いる。
【0146】
表28は、界面活性剤含有組成物に対する一連の保存寿命検討結果を示している。これ
らの検討中にフィルムの品質、フィルムの厚さ、または屈折率に著しい変化は認められな
かった。さらに、室温で5日間エージングした後の膨張率も変わらなかった。表29は、
これらの材料の分子量の増加を表わすGPCデータを示している。室温で8日経過した後
も、分子量に著しい変化は認められなかった。これらの結果は、
図30に示すFTIRデ
ータにおいて確認された。
【0147】
このように、特定の実施態様、組成物、材料、オプトエレクトロニクスデバイス用の層
とフィルム、ならびに前記層とフィルムの製造方法と使用を開示してきた。しかしながら
、当業者には言うまでもないことであるが、既述した変更のほかに、本発明の発明思想か
ら逸脱することなくさらに多くの変更を加えることが可能である。したがって、本発明の
主題は、本明細書に開示の本発明の精神に沿う場合を除いて限定されるべきではない。さ
らに、本明細書と特許請求の範囲を解釈する上で、用語は全て、文脈と矛盾しない、可能
な最も広い態様にて解釈されるべきである。特に、「含む」(“comprise”)お
よび「含んでいる」(“comprising”)という用語は、非限定的な態様での要
素、成分、または工程に言及しているものと解釈すべきであり、言及している要素、成分
、または工程は、明確には言及されていない他の要素、成分、または工程とともに存在し
てもよく、あるいはこれらとともに使用することができ、あるいはこれらと組み合わせる
ことができる、ということを示している。
【0148】
1.少なくとも1つのアルキル基と少なくとも1つのアリール又は芳香族基とを含む少なくとも1種のシリコン系材料;
少なくとも1種の触媒;及び
少なくとも1種の溶媒;
を含む架橋可能な組成物。
2.少なくとも1種の界面活性剤をさらに含む、1に記載の架橋可能な組成物。
3.少なくとも1つのアルキル基がメチル基を含む、1に記載の架橋可能な組成物。
4.少なくとも1つのアリール又は芳香族基がフェニル基を含む、1に記載の架橋可能な組成物。
5.少なくとも1つのアルキル基が、あるアルキル%の炭素(を含み、前記アルキル%の炭素が約20%未満の量で存在する、1に記載の架橋可能な組成物。
6.少なくとも1つのアルキル基が、あるアルキル%の炭素を含み、前記アルキル%の炭素が約10%未満の量で存在する、5に記載の架橋可能な組成物。
7.少なくとも1つのアリール又は芳香族基が、あるアリール%の炭素を含み、前記アリール%の炭素が約80%より多い量で存在する、1に記載の架橋可能な組成物。
8.少なくとも1つのアリール又は芳香族基が、あるアリール%の炭素を含み、前記アリール%の炭素が約90%より多い量で存在する、5に記載の架橋可能な組成物。
9.少なくとも1つのアルキル基が、あるアルキル%の炭素を含み、前記アルキル%の炭素が約20%より多い量で存在する、1に記載の架橋可能な組成物。
10.少なくとも1つのアルキル基が約30%未満の量で存在する、9に記載の架橋可能な組成物。
11.少なくとも1つのアリール又は芳香族基が、あるアリール%の炭素を含み、前記アリール%の炭素が約80%未満の量で存在する、1に記載の架橋可能な組成物。
12.少なくとも1つのアリール又は芳香族基が、あるアリール%の炭素を含み、前記アリール%の炭素が約70%より多い量で存在する、11に記載の架橋可能な組成物。
13.少なくとも1種のシリコン系材料が、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、またはこれらの組み合わせを含む、1に記載の架橋可能な組成物。
14.1に記載の組成物から作製される架橋フィルム。
15.フィルムが、少なくとも1種の浸食性のエッチング用化学薬品に対してエッチング耐性である、14に記載の架橋フィルム。
16.少なくとも1種の浸食性のエッチング用化学薬品が、PRS2000、ST106、NMP、またはBOEを含む、15に記載の架橋フィルム。
17.14に記載の架橋フィルムを含むオプトエレクトロニクスデバイス。
18.オプトエレクトロニクスデバイスが、トランジスタ、発光ダイオード、カラーフィルター、ステンレス鋼もしくはプラスチックの表面、光起電力電池、フラットパネルディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、X線検出器、またはこれらの組み合わせを含む、17に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
19.オプトエレクトロニクスデバイスが、アクティブマトリクス薄膜有機発光ディスプレイ、パッシブマトリクス有機発光ディスプレイ、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、またはこれらの組み合わせを含む、17に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
20.トランジスタが、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタ、結晶質シリコントランジスタ、またはこれらの組み合わせを含む、18に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
21.架橋フィルムが、95%より高い光学的透過率を有する、17に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
22.フィルムが、最大で約3.5μmの厚さを有する、17に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
23.フィルムが、約2μm〜約3.5μmの厚さを有する、22に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
24.デバイス内の表面;並びに
少なくとも1種のシリコン系材料、少なくとも1種の触媒、および少なくとも1種の溶媒から作製される、少なくとも1種の十分な光透過性を有する架橋フィルム;
を含むオプトエレクトロニクスデバイス。
25.少なくとも1つの光透過性架橋フィルムに少なくとも1つの追加層が付着している、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
26.オプトエレクトロニクスデバイスが、トランジスタ、発光ダイオード、カラーフィルター、ステンレス鋼もしくはプラスチックの表面、光起電力電池、フラットパネルディスプレイ、X線検出器、またはこれらの組み合わせを含む、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
27.オプトエレクトロニクスデバイスが、アクティブマトリクス薄膜有機発光ディスプレイ、パッシブマトリクス有機発光ディスプレイ、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、またはこれらの組み合わせを含む、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
28.トランジスタが、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタ、結晶質シリコントランジスタ、またはこれらの組み合わせを含む、26に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
29.光透過性フィルムが、パッシベーション層、平坦化層、またはこれらの組み合わせを形成する、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
30.表面が少なくとも1つの層を含む、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
31.少なくとも1種のシリコン系化合物が、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、またはこれらの組み合わせを含む、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
32.触媒が第四級アンモニウム塩を含む、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
33.第四級アンモニウム塩がTMANを含む、32に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
34.架橋フィルムが、少なくとも1種の接着促進剤、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の界面活性剤、またはこれらの組み合わせを含む、24に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
35.デバイス内の表面;並びに、少なくとも1種のシリコン系材料、少なくとも1種の架橋剤、および少なくとも1種の溶媒を含む、少なくとも1種の十分な光透過性を有する架橋可能な組成物;を含むオプトエレクトロニクスデバイス。
36.オプトエレクトロニクスデバイスが、トランジスタ、発光ダイオード、カラーフィルター、ステンレス鋼もしくはプラスチックの表面、光起電力電池、フラットパネルディスプレイ、X線検出器、またはこれらの組み合わせを含む、35に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
37.トランジスタが、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタ、結晶質シリコントランジスタ、またはこれらの組み合わせを含む、36に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
38.光透過性組成物がフィルムを形成する、35に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
39.フィルムが、パッシベーション層、平坦化層、またはそれらの組み合わせである、38に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
40.少なくとも1種のシリコン系化合物が、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、またはこれらの組み合わせを含む、35に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
41.触媒が第四級アンモニウム塩を含む、35に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
42.第四級アンモニウム塩が硝酸テトラメチルアンモニウムを含む、41に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
43.架橋可能な組成物が、少なくとも1種の接着促進剤、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種の界面活性剤、またはこれらの組み合わせを含む、35に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
44.デバイス内の表面;並びに、35に記載の架橋可能な組成物、ここで、少なくとも1つの硬化温度と少なくとも1つの硬化時間を有する硬化時間の後の前記組成物が、硬化温度以下のさらなるプロセシング時に約2%未満の損失重量を有する;を含むオプトエレクトロニクスデバイス。
45.損失重量が約1%未満である、44に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
46.少なくとも1つの硬化温度が約150℃〜約400℃であり、少なくとも1つの硬化時間が約2時間未満である、44に記載のオプトエレクトロニクスデバイス。
47.表面を供給すること;少なくとも1種の十分な光透過性を有する組成物を供給すること、ここで、前記組成物は、少なくとも1種のシリコン系材料、少なくとも1種の触媒、および少なくとも1種の溶媒を含む;前記表面に前記組成物を塗布すること;及び十分な光透過性を有する架橋組成物が形成されるように前記組成物を硬化させること;を含む、オプトエレクトロニクスデバイスの製造方法。
48.オプトエレクトロニクスデバイスが、トランジスタ、発光ダイオード、カラーフィルター、ステンレス鋼もしくはプラスチックの表面、光起電力電池、フラットパネルディスプレイ、X線検出器、またはこれらの組み合わせを含む、47に記載の製造方法。
49.オプトエレクトロニクスデバイスが、アクティブマトリクス薄膜有機発光ディスプレイ、パッシブマトリクス有機発光ディスプレイ、アクティブマトリクス薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ、またはこれらの組み合わせを含む、47に記載の製造方法。
50.トランジスタが、薄膜トランジスタ、非晶質シリコン薄膜トランジスタ、低温ポリシリコントランジスタ、有機トランジスタ、有機電界効果トランジスタ、静電誘導トランジスタ、結晶質シリコントランジスタ、またはこれらの組み合わせを含む、48に記載の製造方法。
51.光透過性の架橋可能な組成物が、パッシベーション層、平坦化層、またはこれらの組み合わせを含む、47に記載の製造方法。
52.少なくとも1種のシリコン系化合物が、ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、またはこれらの組み合わせを含む、47に記載の製造方法。
53.少なくとも1種の触媒が第四級アンモニウム塩を含む、47に記載の製造方法。
54.第四級アンモニウム塩が硝酸テトラメチルアンモニウムを含む、53に記載の製造方法。
55.少なくとも1つの表面を供給すること;35に記載の組成物を供給すること、ここで少なくとも1つの硬化温度と少なくとも1つの硬化時間を有する硬化後の前記組成物が、硬化温度以下のさらなるプロセシング時に約2%未満の損失重量を有する;前記少なくとも1つの表面に前記少なくとも1種の光透過性組成物を施すこと;及び少なくとも1つの硬化時間と少なくとも1つの硬化温度に対して前記組成物を硬化させること;を含む、オプトエレクトロニクスデバイスの製造方法。
56.損失重量が約1%未満である、55に記載の製造方法。
57.少なくとも1つの硬化温度が約150℃〜約400℃であり、少なくとも1つの硬化時間が約2時間未満である、55に記載の製造方法。
58.ポリフェニルシルセスキオキサン、ポリフェニルシロキサン、フェニルシロキサン、フェニルシルセスキオキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルフェニルシルセスキオキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシルセスキオキサン、もしくはこれらの組み合わせ;硝酸テトラメチルアンモニウム;少なくとも1種の溶媒;及び アミノプロピルトリエトキシシラン系の化合物;を含む架橋可能な組成物。
59.400nm〜800nmに対して少なくとも約95%の透過率を有し、そしてさらに、10Å未満の二乗平均平方根表面粗さ、約1.5以上の屈折率、および少なくとも約2.5MV/cmの電界絶縁破壊電圧、の特性のうちの少なくとも1つをさらに含む、シリコン系架橋フィルム。
60.400nm〜800nmの範囲において透明なシリコン系架橋フィルム。
61.10Å未満の二乗平均平方根表面粗さを有する光透過性のシリコン系架橋フィルム。
62.少なくとも約2.5MV/cmの電界絶縁破壊電圧を有する光透過性のシリコン系架橋フィルム。
63.約1.5より大きい屈折率を有する光透過性のシリコン系架橋フィルム。