特許第6322080号(P6322080)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンファインテック株式会社の特許一覧

特許6322080分散剤、それを用いた微粒子分散体および微粒子分散体の製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322080
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】分散剤、それを用いた微粒子分散体および微粒子分散体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 17/52 20060101AFI20180423BHJP
   C09C 3/10 20060101ALI20180423BHJP
   C09C 1/00 20060101ALI20180423BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20180423BHJP
   B01F 17/32 20060101ALI20180423BHJP
   C08F 8/30 20060101ALI20180423BHJP
   C08L 25/00 20060101ALI20180423BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20180423BHJP
   C01G 19/00 20060101ALN20180423BHJP
【FI】
   B01F17/52
   C09C3/10
   C09C1/00
   B01J13/00 B
   B01F17/32
   C08F8/30
   C08L25/00
   C08K3/00
   !C01G19/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-156104(P2014-156104)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-32788(P2016-32788A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年5月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテックニスカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 大地
(72)【発明者】
【氏名】山本 智也
(72)【発明者】
【氏名】河野 健一
【審査官】 古妻 泰一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0302700(US,A1)
【文献】 特開2014−108986(JP,A)
【文献】 特開2010−209186(JP,A)
【文献】 特開2012−189802(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 17/52
B01F 17/32
B01J 13/00
C08F 8/30
C08K 3/00
C08L 25/00
C09C 1/00
C09C 3/10
C01G 19/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子を分散させるための分散剤であって、
下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成されるポリマーユニットと、
下記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される親水性ユニットと、
前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を含有することを特徴とする分散剤。
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
[一般式(2)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示す。]
【請求項2】
前記トリアゾレン基が、下記構造式(3)で示されるトリアゾレン基(3)である請求項1に記載の分散剤。
【請求項3】
前記ポリマー誘導体が、下記一般式(4)で示されるポリマー誘導体(4)である請求項1又は2に記載の分散剤。
[一般式(4)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義であり、nは一般式(2)と同義である。]
【請求項4】
無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体であって、
前記分散剤が、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の分散剤であることを特徴とする微粒子分散体。
【請求項5】
無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体の製造方法であって、
無機微粒子と、下記一般式(5)で示されるアジド化合物(5)とを混合し、混合物を得る工程Iと、
前記混合物と、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に、アルキニル基が導入されたアルキニル基含有親油性ポリマーと、を反応させることにより、ポリマー誘導体を得る工程IIと、を備えた微粒子分散体の製造方法。
[一般式(5)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示す。]
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
【請求項6】
前記アルキニル基含有親油性ポリマーとして、下記一般式(6)で示されるポリマー(6)を用いる請求項5に記載の微粒子分散体の製造方法。
[一般式(6)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義である。]
【請求項7】
前記混合物と、前記アルキニル基含有親油性ポリマーとを、せん断力を加えながら反応させる請求項5又は6に記載の微粒子分散体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機微粒子を分散させるための分散剤、それを用いた微粒子分散体および微粒子分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において、樹脂と無機微粒子を含有するハイブリッド材料が利用されている。例えば、発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子を封止する封止材料として、樹脂中に無機微粒子が分散された光学材料が提案されている(特許文献1参照)。また、無機酸化物粒子と、前記無機酸化物粒子に結合しているポリマーと、から構成される有機−無機複合体により、低屈折率層が形成された反射防止フィルムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−209186号公報
【特許文献2】特開2012−189802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記のような樹脂と無機微粒子を含有するハイブリッド材料においては、無機微粒子に吸着又は結合していないフリーポリマーが発光素子等の光学材料の特性に悪影響を及ぼす場合があることが知られている。例えば、特許文献2においては、無機酸化物微粒子に結合していないフリーポリマーが、反射防止膜の屈折率を上昇させ、その透明性を低下させてしまうことが指摘されている。特許文献2には、メタノール(又は水)を用いた再沈殿法によりフリーポリマーを除去する方法が提案されているが、この方法は、ITOなどのように凝集性が強く、容易に再分散することができない材料には適用することが難しいという問題がある。
【0005】
一方、無機微粒子とポリマーとを共有結合させるのではなく、高分子分散剤を添加して無機微粒子を分散させる方法も考えられる。しかし、無機微粒子を安定的に分散させるためには、適量の高分子分散剤が必要であり、その添加量を減ずることは難しい。この場合、分散体中にフリーな高分子分散剤が少なからず生じることになり、発光素子等の光学材料の特性に悪影響を及ぼすおそれがある。また、分散を行った後に、分散体からフリーな高分子分散剤のみを除去することは極めて困難である。このような事情から、無機微粒子の分散性を維持しつつ、フリーな高分子分散剤を含有しない分散体を製造することは、事実上不可能であった。
【0006】
本発明は、上記の従来技術の課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明は、無機微粒子の分散性を維持しつつ、フリーな高分子分散剤の含有量が極めて少ない微粒子分散体を製造することができる分散剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、
(1)親油性ポリマーから構成されるポリマーユニットに、トリアゾレン基を介して、カルボキシル基を含有する有機基から構成される親水性ユニットが結合された構造のポリマー誘導体を分散剤として用いること、
(2)無機微粒子を分散させる工程中で、前記ポリマー誘導体を合成すること、によって、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。則ち、本発明によれば、以下に示す分散剤等が提供される。
【0008】
[1]分散剤:
本発明によれば、無機微粒子を分散させるための分散剤であって、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成されるポリマーユニットと、下記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される親水性ユニットと、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を含有することを特徴とする分散剤;が提供される。
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
[一般式(2)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示す。]
【0009】
本発明の分散剤は、
前記トリアゾレン基が、下記構造式(3)で示されるトリアゾレン基(3)であること;
前記ポリマー誘導体が、下記一般式(4)で示されるポリマー誘導体(4)であること;が好ましい。
[一般式(4)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義であり、nは一般式(2)と同義である。]
【0010】
[2]微粒子分散体:
また、本発明によれば、無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体であって、前記分散剤が、前記[1]に記載の分散剤であることを特徴とする微粒子分散体;が提供される。
【0011】
[3]微粒子分散体の製造方法:
さらに、本発明によれば、無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体の製造方法であって、無機微粒子と、下記一般式(5)で示されるアジド化合物(5)とを混合し、混合物を得る工程Iと、前記混合物と、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に、アルキニル基が導入されたアルキニル基含有親油性ポリマーと、を反応させることにより、ポリマー誘導体を得る工程IIと、を備えた微粒子分散体の製造方法;が提供される。
[一般式(5)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示す。]
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
【0012】
前記製造方法は、前記アルキニル基含有親油性ポリマーとして、下記一般式(6)で示されるポリマー(6)を用いること;
前記混合物と、前記アルキニル基含有親油性ポリマーとを、せん断力を加えながら反応させること;が好ましい。
[一般式(6)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義である。]
【発明の効果】
【0013】
本発明の分散剤、及び微粒子分散体の製造方法は、無機微粒子の分散性を維持しつつ、フリーな高分子分散剤の含有量が極めて少ない微粒子分散体を製造することができる。また、本発明の微粒子分散体は、無機微粒子の分散安定性が良好で、フリーな高分子分散剤の含有量が極めて少ない。従って、発光素子等の光学材料の特性に悪影響を及ぼす不具合を顕著に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は下記の実施形態に限定されず、その発明特定事項を有する全ての実施形態を含むものである。
【0015】
[1]分散剤:
本発明の分散剤は、無機微粒子を分散させるための分散剤である。本発明の分散剤は、ポリマーユニットと、親水性ユニットと、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を含有することを特徴とする。
【0016】
[1−1]ポリマーユニット:
ポリマーユニットは、分散剤の疎水性基として機能する部分であり、親油性ポリマーから構成される。
【0017】
[1−1−1]親油性ポリマーの構造:
一般に、親油性ポリマーとしては、水に対する親和性が低く、水に不溶であるか、又は水と容易に混ざらない性質を有するポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル等を挙げることができる。但し、本発明において、ポリマーユニットは、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成される。
【0018】
一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。R1及びR2を水素原子又は炭素数5以下のアルキル基とすることにより、無機微粒子の分散性が向上する。アルキル基の構造としては、直鎖状アルキル基の他、分岐状アルキル基を挙げることができるが、本発明においては、R1及びR2の少なくとも一方が直鎖状のアルキル基であることが好ましい。また、R1及びR2は相互に独立であり、R1及びR2が共にアルキル基である場合、R1とR2の構造や炭素数が異なっていてもよい。R1及び/又はR2をアルキル基とし、ベンゼン環にアルキル基を導入することで無機微粒子の分散性が向上した理由については明らかではないが、恐らく、これらのアルキル基の存在により、親油性ポリマー(1)の芳香環同士のスタッキングが抑制されたためと考えられる(アルキル基による立体障害)。則ち、芳香環同士のスタッキングが抑制されたことで、親油性ポリマー(1)の結晶化が抑えられ、溶媒への溶解性が増大し、無機微粒子の分散性が向上したと推測している。なお、アルキル基の炭素数を6以上にしても、無機微粒子の分散効果は殆ど向上しない。
【0019】
親油性ポリマー(1)は、スチレン単位(R1及びR2=水素原子、無置換)、アルキルスチレン単位(R1又はR2=アルキル基、1置換)、及びジ−アルキルスチレン単位(R1及びR2=アルキル基、2置換)からなる群より選択された、少なくとも1種の繰り返し単位を有するスチレン系ポリマーである。但し、本発明においては、親油性ポリマー(1)は、アルキルスチレン単位又はジ−アルキルスチレン単位を有するスチレン系ポリマーであることが好ましく、アルキルスチレン単位を有するスチレン系ポリマーであることが更に好ましい。
【0020】
親油性ポリマー(1)は、1種の繰り返し単位のみからなるスチレン系ホモポリマーであってもよいし、2種以上の繰り返し単位からなるスチレン系コポリマーであってもよい。但し、本発明においては、親油性ポリマー(1)が、スチレン系ホモポリマーであることが好ましい。
【0021】
一般式(1)中、mは親油性ポリマー(1)の繰り返し単位数を意味し、10〜500の整数を示す。mを10以上、好ましくは40以上とすることにより、分散剤に疎水性を付与することができ、無機微粒子の分散性を向上させることができる。一方、mを500以下とすることにより、分散体中で無機微粒子同士が接近した場合でも、各々の無機微粒子に吸着された分散剤同士の絡みつきが抑制される。このため、無機微粒子が凝集し難く、無機微粒子の分散性を向上させることができる。
【0022】
[1−1−2]親油性ポリマーの合成:
親油性ポリマー(1)は、スチレン系モノマー(芳香族ビニル化合物等)の1種を単独重合させるか、2種以上を共重合させることにより得られる。
【0023】
[1−1−2A]重合原料:
スチレン系モノマーの種類は特に限定されないが、例えば、スチレン、アルキルスチレン、ジ−アルキルスチレン等を挙げることができる。
【0024】
アルキルスチレンとしては、例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、m−プロピルスチレン、p−プロピルスチレン、o−ブチルスチレン、m−ブチルスチレン、p−ブチルスチレン、o−ペンチルスチレン、m−ペンチルスチレン、p−ペンチルスチレン;等を挙げることができる。
【0025】
ジ−アルキルスチレンとしては、例えば、2,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2−メチル−3−エチルスチレン、2−メチル−4−エチルスチレン、3−メチル−4−エチルスチレン、2−メチル−3−プロピルスチレン、2−メチル−4−プロピルスチレン、3−メチル−4−プロピルスチレン、2−メチル−3−ブチルスチレン、2−メチル−4−ブチルスチレン、3−メチル−4−ブチルスチレン、2−メチル−3−ペンチルスチレン、2−メチル−4−ペンチルスチレン、3−メチル−4−ペンチルスチレン、
【0026】
2,3−ジエチルスチレン、2,4−ジエチルスチレン、3,4−ジエチルスチレン、2−エチル−3−メチルスチレン、2−エチル−4−メチルスチレン、3−エチル−4−メチルスチレン、2−エチル−3−プロピルスチレン、2−エチル−4−プロピルスチレン、3−エチル−4−プロピルスチレン、2−エチル−3−ブチルスチレン、2−エチル−4−ブチルスチレン、3−エチル−4−ブチルスチレン、2−エチル−3−ペンチルスチレン、2−エチル−4−ペンチルスチレン、3−エチル−4−ペンチルスチレン、
【0027】
2,3−ジプロピルスチレン、2,4−ジプロピルスチレン、3,4−ジプロピルスチレン、2−プロピル−3−メチルスチレン、2−プロピル−4−メチルスチレン、3−プロピル−4−メチルスチレン、2−プロピル−3−エチルスチレン、2−プロピル−4−エチルスチレン、3−プロピル−4−エチルスチレン、2−プロピル−3−ブチルスチレン、2−プロピル−4−ブチルスチレン、3−プロピル−4−ブチルスチレン、2−プロピル−3−ペンチルスチレン、2−プロピル−4−ペンチルスチレン、3−プロピル−4−ペンチルスチレン、
【0028】
2,3−ジブチルスチレン、2,4−ジブチルスチレン、3,4−ジブチルスチレン、2−ブチル−3−メチルスチレン、2−ブチル−4−メチルスチレン、3−ブチル−4−メチルスチレン、2−ブチル−3−エチルスチレン、2−ブチル−4−エチルスチレン、3−ブチル−4−エチルスチレン、2−ブチル−3−プロピルスチレン、2−ブチル−4−プロピルスチレン、3−ブチル−4−プロピルスチレン、2−ブチル−3−ペンチルスチレン、2−ブチル−4−ペンチルスチレン、3−ブチル−4−ペンチルスチレン、2,3−ジペンチルスチレン、2,4−ジペンチルスチレン、3,4−ジペンチルスチレン、
【0029】
2−ペンチル−3−メチルスチレン、2−ペンチル−4−メチルスチレン、3−ペンチル−4−メチルスチレン、2−ペンチル−3−エチルスチレン、2−ペンチル−4−エチルスチレン、3−ペンチル−4−エチルスチレン、2−ペンチル−3−プロピルスチレン、2−ペンチル−4−プロピルスチレン、3−ペンチル−4−プロピルスチレン、2−ペンチル−3−ブチルスチレン、2−ペンチル−4−ブチルスチレン、3−ペンチル−4−ブチルスチレン等のジ−アルキルスチレン;等を挙げることができる。
【0030】
[1−1−2B]重合法:
親油性ポリマー(1)は、例えば、ラジカル重合法、アニオン重合法;原子移動ラジカル重合法(Atom transfer radical polymerization:ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer polymerization:RAFT)等のリビングラジカル重合法;等の重合法により合成することができる。但し、本発明においては、親油性ポリマー(1)をリビングラジカル重合法、特にATRP法により合成することが好ましい。ATRP法は、他の重合法と比較して、分子鎖長(分子量)をより均一に揃えることができ、ポリマー末端にアルキニル基を導入することができる点において好ましい。このアルキニル基は、親油性ユニットと、親水性ユニットを結合させる際の反応点となる。
【0031】
[1−1−2C]重合開始剤:
重合開始剤の種類は特に限定されず、従来公知の重合開始剤の中から原料の種類等に合わせて適宜選択すればよい。但し、リビングラジカル重合法によって、親油性ポリマー(1)を合成する場合には、末端にアルキニル基を有する重合開始剤を用いることが好ましい。末端にアルキニル基を有する重合開始剤としては、例えば、プロパルギル−2−ブロモイソブチラート等を挙げることができる。重合開始剤の使用量は特に限定されず、モノマーの仕込量や、得ようとするポリマーの分子量に合わせて適宜調整すればよい。
【0032】
[1−1−2D]重合触媒:
親油性ポリマー(1)を合成する際には、従来公知の重合触媒を用いてもよい。但し、リビングラジカル重合法によって、親油性ポリマーを合成する場合には、反応性が高い重合触媒を用いることが好ましい。反応性が高い重合触媒としては、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)等の銅触媒;等を挙げることができる。
【0033】
重合触媒の使用量は特に限定されず、重合触媒の種類やモノマーの仕込量に合わせて適宜調整すればよい。例えば、スチレン系モノマー100質量部に対する銅触媒の使用量を0.001〜5質量部とすることが好ましく、0.005〜1質量部とすることが更に好ましい。
【0034】
[1−1−2E]リガンド:
親油性ポリマー(1)を合成する際には、重合触媒の活性を向上させる目的で、重合触媒とリガンド(配位子)を併用することが好ましい。リガンドの種類は特に限定されないが、例えば、ペンタメチルジエチレントリアミンを挙げることができる。
【0035】
リガンドの使用量は特に限定されないが、重合触媒1質量部に対して1〜5質量部とすることが好ましい。
【0036】
[1−1−2F]重合溶媒:
親油性ポリマー(1)を合成する際には、重合溶媒を用いることが一般的である。重合溶媒の種類は特に限定されない。モノマーや重合触媒をよく溶解し、重合反応に悪影響を及ぼさず、重合反応の後、未反応のモノマーや重合触媒を分離、除去し易いものを適宜選択して用いればよい。
【0037】
[1−1−2G]精製:
合成された親油性ポリマー(1)は、精製することが好ましい。精製方法は特に限定されないが、例えば、透析法と分液抽出法を併用した精製方法が好ましい。透析法と分液抽出法を併用することにより、未反応のモノマー、重合触媒(銅触媒等の金属触媒)、及びリガンド等を効率的に除去することができる。
【0038】
[1−2]親水性ユニット:
親水性ユニットは、分散剤の親水性基として機能する部分であり、親水性基から構成される。
【0039】
[1−2−1]親水基の構造:
一般に、親水性基としては、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の極性基を挙げることができる。但し、本発明において、親水性ユニットは、下記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される。親水性基(2)は、1価の分岐状炭化水素基に複数のカルボキシル基が結合された構造の基であり、より具体的には1価の分岐状炭化水素基の分岐鎖の各末端に、各1個のカルボキシル基が結合された構造の基である。この複数のカルボキシル基が無機微粒子の表面に対して高い吸着性を示す。
【0040】
一般式(2)中、nはメチレン基の数を意味し、相互に独立して1〜5の整数を示す。
本発明において、親水性基(2)を有する化合物として好ましいのは、後述する一般式(5)で示されるアジド化合物(5)である。アジド化合物(5)は、3本の分岐鎖のメチレン基の数nが異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
【0041】
[1−3]トリアゾレン基:
トリアゾレン基は、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させる基である。トリアゾレン基とは、トリアゾール環から水素原子を2個取り除いた構造の2価の基であり、具体的な構造は特に限定されない。但し、下記構造式(3)で示されるトリアゾレン基(3)、則ち、1,2,3−トリアゾール環構造を有するトリアゾレン基が好ましい。
【0042】
[1−4]ポリマー誘導体:
ポリマー誘導体は、ポリマーユニットと、親水性ユニットと、前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させるトリアゾレン基と、を有する。例えば、前記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)から構成されるポリマーユニットと、前記一般式(2)で示される親水性基(2)から構成される親水性ユニットと、前記構造式(3)で示されるトリアゾレン基と、を有するポリマー誘導体を挙げることができる。
【0043】
前記ポリマー誘導体において、トリアゾレン基は前記ポリマーユニットと前記親水性ユニットとを結合させている。この「結合」とは、ポリマーユニットと親水性ユニットとが、トリアゾレン基を介して直接的に、又は間接的に結合されていることを意味する。
【0044】
前記ポリマー誘導体は、下記一般式(4)で示されるポリマー誘導体(4)であることが好ましい。ポリマー誘導体(4)は、前記一般式(2)で示される親水性基(2)が前記構造式(3)で示されるトリアゾレン基(3)に直接結合され、前記トリアゾレン基(3)と前記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)が2−メチルプロピオン酸骨格を有する原子団を介して間接的に結合された構造を有している。
【0045】
なお、一般式(4)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義であり、nは一般式(2)と同義である。
【0046】
[2]微粒子分散体:
微粒子分散体は、無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する。そして、本発明の微粒子分散体は、前記分散剤が、本発明の分散剤であることを特徴とする。本発明の微粒子分散剤は、本発明の分散剤を含有するため、無機微粒子の分散安定性に優れており、しかも分散体中にフリーな分散体が極めて少ない。従って、例えば発光素子の封止材料等の特性に悪影響を及ぼすことがない。
【0047】
[2−1]無機微粒子:
[2−1−1]材質:
無機微粒子は、無機材料からなる微粒子である。無機材料の種類は特に限定されないが、金属酸化物であることが好ましい。特に光学材料として用いる場合には、透明性及び屈折率が高い酸化インジウムスズ(ITO)、ジルコニア等であることが好ましい。
【0048】
[2−1−2]粒径:
無機微粒子の平均粒子径は特に限定されないが、100nm以下であることが好ましい。無機微粒子の平均粒子径を100nm以下、好ましくは50nm以下とすることで、微粒子の表面における散乱、ひいては光学材料としての機能が損なわれる不具合を抑制することができる。一方、無機微粒子の平均粒子径は、5nm以上であることが好ましい。無機微粒子の平均粒子径を5nm以上とすることで、調製されるスラリーの粘度が増加することを防止し、前記スラリーのハンドリング性が低下することを抑制することができる。なお、本明細書において、無機微粒子の平均粒子径というときは、動的光散乱式の粒度分布測定装置を用いて測定した値を意味するものとする。
【0049】
[2−1−3]含有量:
無機微粒子の含有量は特に限定されないが、微粒子分散体の全質量に対して1〜20質量%であることが好ましい。無機微粒子の含有量を1質量%以上、好ましくは8質量%以上とすることにより、過剰の分散媒を留去する時間を短縮することができ、製造コストを低廉化することができる。一方、無機微粒子の含有量を20質量%以下、好ましくは13質量%以下とすることで、無機微粒子同士の凝集を抑制することができ、製品寿命を長くすることができ、微粒子分散体を用いて成膜した封止材料にムラが生じる等の不具合を防止することができる。
【0050】
[2−2]分散剤:
分散剤としては、既に説明した本発明の分散剤を用いる。分散剤の含有量は特に限定されないが、微粒子分散体の全質量に対して0.01〜30質量%であることが好ましい。分散剤の含有量を0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上とすることにより、無機微粒子の分散性を良好なものとすることができる。一方、分散剤の含有量を30質量%以下、好ましくは5質量%以下とすることで、透明性が低下する等の不具合を防止することができる。
【0051】
[2−3]分散媒:
分散媒の種類は特に限定されないが、例えば、微粒子分散体を封止材料を成膜する際の塗工液として使用する場合には、添加剤であるバインダーの溶解性、基板に対する濡れ性、レベリング性等が良好な有機溶媒を選択することが好ましい。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の直鎖状アルコール;2−エチル−ブタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール等の分岐状アルコール;エチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル;等を挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
[2−4]添加剤:
微粒子分散体には、必要に応じて、バインダー、粘度調整剤、pH調整剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0053】
[3]微粒子分散体の製造方法:
本発明の微粒子分散体の製造方法は、微粒子無機微粒子と、前記無機微粒子を分散させるための分散剤と、を含有する微粒子分散体の製造方法であり、以下に説明する工程Iと工程IIを備える。
【0054】
[3−1]工程I:
工程Iは、無機微粒子と、下記一般式(5)で示されるアジド化合物(5)とを混合し、混合物を得る工程である。
【0055】
一般式(5)中、nは相互に独立して1〜5の整数を示し、一般式(2)中のnと同義である。
【0056】
[3−1−1]アジド化合物(5):
アジド化合物(5)は、分岐状炭化水素基の分岐鎖の各末端に結合された、複数のカルボキシル基と、アジド基を有する。複数のカルボキシル基は、無機微粒子の表面に強固に吸着する性質を有し、アジド基は後述するアルキニル基含有親油性ポリマーのアルキニル基との反応点となる。
【0057】
アジド化合物(5)の具体例としては、例えば、3−アジド−3−カルボキシメチルペンタン二酸(3つの分岐鎖は全てn=1)、4−アジド−4−カルボキシエチルヘプタン二酸(3つの分岐鎖は全てn=2)、5−アジド−5−カルボキシプロピルノナン二酸(3つの分岐鎖は全てn=3)、6−アジド−6−カルボキシブチルウンデカン二酸(3つの分岐鎖は全てn=4)、7−アジド−7−カルボキシペンチルトリデカン二酸(3つの分岐鎖は全てn=5)等を挙げることができる。
【0058】
なお、アジド化合物(5)の反応点となるアジド基は、通常、有機溶媒中での活性は低いものの、無機微粒子(金属酸化物)の存在下では活性化され、アルキニル基含有親油性ポリマーのアルキニル基と反応させることが可能となる。その理由は明らかではないが、本発明者らは以下のような理由によるものと推測している。
【0059】
則ち、無機微粒子が存在しない状態では、アジド化合物(5)は、3つのカルボキシル基とアジド基との間に水素結合(静電気的な結合)が形成され、3つのカルボキシル基によってアジド基が覆われた状態(低活性状態)となっている。この状態においては、3つのカルボキシル基が立体障害となってアジド基の活性を低下させている。しかし、無機微粒子(金属酸化物)が添加されると、アジド基を覆っていたカルボキシル基が無機微粒子の表面に対して吸着するため、カルボキシル基とアジド基との間の水素結合は切断され、アジド化合物(5)は反応点であるアジド基が露出された状態(活性化状態)に変化する。このようなメカニズムによって、無機微粒子に吸着したアジド化合物(5)だけが、後述するアルキニル基含有親油性ポリマー(6)と反応することができ、分散剤となるポリマー誘導体(4)を形成することができる。
【0060】
このように本発明では、無機微粒子に吸着したアジド化合物(5)のみをアルキニル基含有ポリマー(6)と反応させること、則ち、アジド化合物(5)が、有機溶媒中において、無機微粒子を投入する前の段階では低活性状態を維持し、無機微粒子を投入した際に初めて活性化状態に変化することが重要となる。これを実現するためには、アジド化合物(5)において、3本の分岐鎖のメチレン基の長さを適切な長さに調整し、カルボキシル基がアジド基を覆うことができるようにする必要がある。このような理由から、アジド化合物(5)のメチレン基の数nは1〜5の範囲内とする。また、3本の分岐鎖のメチレン基の数nは異なっていてもよいが、カルボキシル基が効率よくアジド基を覆うことを可能とするため、全て同じ数であることが好ましい。
【0061】
[3−1−2]アジド化合物(5)の合成方法:
アジド化合物(5)は、従来公知の方法により合成することが可能である。例えば、以下に説明するようなスキームで合成することができる。
【0062】
[3−1−2A]ヒドロキシカルボン酸の水酸基のトリフラート化:
まず、反応式(8)に示すように、一般式(9)で示されるヒドロキシカルボン酸(9)の水酸基を塩基性条件下でトリフラート化し、一般式(10)で示されるトリフラート(10)を得る。トリフラート化剤としてはメタンスルホン酸無水物を用いることができる。反応溶媒としては、塩基触媒の効果も有するピリジンを用いることが好ましい。
【0063】
[3−1−2B]カルボキシル基の保護:
次に、反応式(11)に示すように、トリフラート(10)のカルボキシル基をt−ブチル化(エステル化)して、一般式(12)で示されるt−ブチルエステル(12)とする。具体的には、t−ブチルアルコール溶媒中に、トリフラート(10)、DCC(N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、脱水縮合剤)、及びDMAP(N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、求核剤・強塩基)を加え、室温条件下で攪拌することにより、反応を進行させることができる。
【0064】
[3−1−2C]アジド化:
更に、反応式(13)に示すように、t−ブチルエステル(12)のトリフリル基にアジ化ナトリウムを作用させることにより、アジド化を行い、一般式(14)で示されるアジド体(14)を得る。反応溶媒としては、DMFを用いることができる。
【0065】
[3−1−2D]加水分解(脱保護):
最後に、反応式(15)に示すように、アジド体(14)を加水分解することにより、t−ブチル基を脱離させ、アジド化合物(5)を得る。反応溶媒としてはジオキサンを用いることができる。また、加水分解を速やかに進行させるため、触媒量の塩酸を添加した状態で反応を行うことが好ましい。
【0066】
[3−2]工程II:
工程IIは、工程Iで得られた混合物と、下記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に、アルキニル基が導入されたアルキニル基含有親油性ポリマーと、を反応させることにより、ポリマー誘導体を得る工程である。無機微粒子の表面に強固に吸着されたアジド化合物(5)に対して、アルキニル基含有親油性ポリマーを反応させて、分散剤となるポリマー誘導体を合成することにより、フリーな高分子分散剤の含有量が極めて少ない微粒子分散体を製造することができる。
[一般式(1)中、R1及びR2は相互に独立して水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、mは10〜500の整数を示す。]
【0067】
[3−2−1]アルキニル基含有親油性ポリマー:
アルキニル基含有ポリマーは、前記一般式(1)で示される親油性ポリマー(1)に導入されたアルキニル基を有する。アルキニル基は、アジド化合物(5)のアジド基と選択的に付加環化反応(クリック反応)を起こし、1,2,3−トリアゾール環を形成する。この反応により、ポリマーユニットと親水性ユニットとが、トリアゾレン基を介して直接的に、又は間接的に結合された構造のポリマー誘導体を得ることができる。
【0068】
前記アルキニル基含有親油性ポリマーの構造は特に限定されないが、下記一般式(6)で示されるポリマー(6)を用いることが好ましい。
[一般式(6)中、R1、R2及びmは一般式(1)と同義である。]
【0069】
例えば、反応式(16)に示すように、アジド化合物(5)にポリマー(6)を反応させた場合には、ポリマー誘導体(4)を得ることができる。
【0070】
[3−2−2]反応条件:
工程IIの反応条件は特に限定されないが、前記混合物と、前記アルキニル基含有親油性ポリマーとを、せん断力を加えながら反応させることが好ましい。例えば、分散媒となる有機溶媒中に、アジド化合物(5)、クリック反応の反応触媒及びリガンド、並びに無機微粒子を加え、分散機器によりせん断力をかけながら、ポリマー(6)を加える。このような方法により、無機微粒子の表面に強固に吸着されたアジド化合物(5)に、ポリマー(6)を反応させることができる。
【0071】
[3−2−2A]アジド化合物(5)、アルキニル基含有親油性ポリマーの量:
アジド化合物(5)の量は、微粒子分散体における分散剤(則ち、ポリマー誘導体(4))の含有量を想定して定めればよい。既に説明したように、微粒子分散体における分散剤の含有量は、微粒子分散体の全質量に対して0.01〜30質量%の範囲内であることが好ましいから、アジド化合物(5)の量は、この範囲内の量のポリマー誘導体(4)を合成するのに必要な量に応じて定めればよい。
【0072】
また、アルキニル基含有親油性ポリマーの量は、例えば、以下のようなプレ実験により定めることができる。まず、分散媒中に、アジド化合物(5)、反応触媒及びリガンド、並びに無機微粒子を加え、せん断力をかけながらポリマー(6)を段階的に加え、アジド化合物(5)とポリマー(6)を反応させる。この際、前記段階ごとに反応液をサンプリングし、GPCを用いて未反応のポリマー(6)の量を測定する。次に、未反応のポリマー(6)の量から検量線を作成し、未反応のポリマー(6)が存在しないときのポリマー(6)の最大添加量を外挿法で求める。アルキニル基含有親油性ポリマーの量は、前記最大添加量を上限として定めればよい。後述するように、遊離のアジド化合物(5)は、透析等の方法により容易に分離することができるから、アジド化合物(5)が過剰となるように、アルキニル基含有親油性ポリマーの量を定めることが好ましい。
【0073】
[3−2−2B]反応触媒:
クリック反応の反応触媒としては、リビングラジカル重合法の重合触媒と同様のものを用いることができる。反応触媒としては、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、塩化銅(I)等の銅触媒;等を挙げることができる。使用量は特に限定されないが、アジド化合物1質量部に対する銅触媒の使用量を0.0001〜1質量部とすることが好ましく、0.0005〜0.005質量部とすることが更に好ましい。
【0074】
[3−2−2C]リガンド:
クリック反応のリガンドとしては、例えば、トリス[(1−ベンジル−1H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル]アミン(以下、「TBTA」と記す場合がある。)等が使用できる。リガンドの使用量は特に限定されないが、反応触媒1質量部に対し0.1〜50質量部とすることが好ましい。リガンドを0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上とすることで、クリック反応を効率よく進行させることができる。一方、リガンドを50質量部以下、好ましくは10質量部以下とすることで、透明性が低下する等、微粒子分散体を用いて形成された膜の不具合を防止することができる。
【0075】
[3−2−2D]分散機器:
分散機器の種類は特に限定されないが、例えばビーズミル、ボールミル、スターバースト、ホモジナイザー等を挙げることができる。但し、せん断応力が高く、微粒子分散体の粒度を所望の粒度とすることができる等の理由から、ビーズミルが特に好ましい。
【0076】
[3−2−3]精製:
反応の後、未反応のアジド化合物(5)を分離除去するために精製を行ってもよい。精製方法は特に限定されないが、例えば、透析等の精製方法が好ましい。本発明の製造方法においては、無機微粒子に吸着され、活性化されたアジド化合物(5)を反応させるため、無機微粒子に吸着されていない結合していない遊離の分散剤が殆ど存在しない。また、アルキニル基含有ポリマーの添加量を、プレ実験によって求めた最大添加量以下とすることにより、未反応のアルキニル基含有ポリマーを殆ど存在しないようにすることもできる。従って、無機微粒子を分散させた後であっても精製を行うことができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載における「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0078】
[アジド化合物の合成]
(合成例1)
アジド化合物として、4−アジド−4−カルボキシエチルヘプタン二酸を合成した。
【0079】
(1)分岐鎖の伸長(増炭反応):
下記反応式(17)に示すように、3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸(以下、「ヒドロキシカルボン酸(18)」と記す。)の分岐鎖の伸長(増炭反応)を行った。
【0080】
還流管、滴下ロート、温度計、及び撹拌装置を備えた4つ口フラスコに、ヒドロキシカルボン酸(18)のクロロホルム溶液を加えた。これとは別に、N−メチル−N−ニトロソ−p−トルエンスルホンアミド(登録商標「ジアザルド(Diazald)」)から既知の手法を用いてジアゾメタンのエーテル溶液を調製した。そして、このジアゾメタンのエーテル溶液に、前記クロロホルム溶液を滴下し、これらを撹拌しながら1時間反応させた後、反応液にHBr水溶液を添加して反応を停止させた。
【0081】
次に、反応生成物をジエチルエーテルで抽出し、エーテル層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで脱水した。更に、エーテル層中の無水硫酸マグネシウムを濾別し、減圧条件下、濾液に含まれる溶媒を留去し、得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、4−ヒドロキシ−4−カルボキシエチルヘプタン二酸(以下、「ヒドロキシカルボン酸(9a)」と記す。)を得た。
【0082】
(2)トリフラート化:
下記反応式(8a)に示すように、ヒドロキシカルボン酸(9a)の水酸基のトリフラート化を行った。
【0083】
還流管、滴下ロート、温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換された4つ口フラスコの内部に、ヒドロキシカルボン酸(9a)1部、ピリジン(溶媒、塩基)4部を投入し、撹拌しながら内容物の温度を2〜9℃に調整した。これとは別に、トルエン0.5部に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)1.5部を溶解させた溶液を調製した。そして、前記内容物に対して、前記溶液を40分かけて滴下した。滴下が終了した後、室温条件下、内容物を攪拌しながら3時間反応させ、反応液にピリジン、水、および35%塩酸を加え、有機層を回収することにより、4−カルボキシエチル−4−トリフリルヘプタン二酸(以下、「トリフラート(10a)」と記す。)を得た。
【0084】
(3)カルボキシル基の保護:
下記反応式(11a)に示すように、トリフラート(10a)のカルボキシル基をt−ブチル化(エステル化)して、保護した。
【0085】
還流管、温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換された3つ口フラスコに、トリフラート(10a)1部、tert−ブチルアルコール(溶媒)20部、DCC1部、DMAP0.1部を投入し、室温条件下、内容物を撹拌しながら3時間反応させた。その後、反応液に酢酸エチル、水、および35%塩酸を加え、有機層を回収することにより、トリ(tert−ブチルプロパン−3−エート)−メチルトリフルオロメタンスルホネート(以下、「t−ブチルエステル(12a)」と記す。)を得た(収率:60%)。
【0086】
(4)アジド化:
下記反応式(13a)に示すように、t−ブチルエステル(12a)をアジド化した。
【0087】
温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換された3つ口フラスコに、t−ブチルエステル(12a)1部、乾燥させたDMF100部を加え、この混合物を0℃まで冷却した。その後、前記混合物にアジ化ナトリウム0.2部を更に加え、室温条件下、前記混合物を攪拌しながら24時間反応させた。反応終了後、反応液に酢酸エチルを加え、有機層を回収し、この有機層から得られた反応生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィによって精製することで、アジドトリ(tert−ブチルプロパン−3−エート)−メタン(以下、「アジド体(14a)」と記す。)を得た(収率:47%)。
【0088】
(5)加水分解(脱保護):
下記反応式(15a)に示すように、アジド体(14a)を加水分解することにより、t−ブチル基を脱離して、脱保護を行った。
【0089】
還流管、滴下ロート、温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換された4つ口フラスコの内部に、アジド体(14a)1部、1,4−ジオキサン(溶媒)300部、塩酸(酸触媒、エステル基に対して5当量)を投入し、内容物を撹拌しながら80℃まで昇温した。内容物を攪拌しながら、80℃で5時間反応させ、さらに室温(25℃)で17時間反応させた。反応終了後、反応液を酢酸エチルで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、硫酸マグネシウムを濾別した。ロータリーエバポレーターを用い、得られた濾液から溶媒を留去させ、生成物を乾燥させることで、4−アジド−4−カルボキシエチルヘプタン二酸(以下、「アジド化合物(5a)」と記す。n=2)を得た。なお、アジド化合物(5a)の分子構造は、FT−IR、NMRを用いて同定した。
【0090】
(合成例2)
3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸をヒドロキシカルボン酸(9a)としたこと以外は、合成例1と同様にして、下記構造式(5b)で示される5−アジド−5−カルボキシプロピルノナン二酸(以下、「アジド化合物(5b)と記す。n=3)を得た。
【0091】
(合成例3)
3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸をヒドロキシカルボン酸(9a)とし、増炭反応を3回繰り返したこと以外は、合成例1と同様にして、下記構造式(5c)で示される7−アジド−7−カルボキシペンチルトリデカン二酸(以下、「アジド化合物(5c)」と記す。n=5)を得た。
【0092】
(合成例4)
3−ヒドロキシ−3−カルボキシメチルペンタン二酸をトリカルボキシルメタノールとし、増炭反応を行わない以外は、合成例1と同様にして、下記構造式(5d)で示されるアジドトリカルボキシメタン(以下、「アジド化合物(5d)」と記す。n=0)を得た。
【0093】
[アルキニル基含有親油性ポリマーの合成]
(合成例5)
下記反応式(19)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−p−メチルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6a)を合成した。
【0094】
還流管、滴下ロート、温度計、及び撹拌装置を備え、窒素置換された4つ口フラスコの内部に、ジメチルホルムアミド(溶媒)300部、塩化銅(I)(重合触媒)1部、ペンタメチルジエチレントリアミン(リガンド)2部、プロパルギル−2−ブロモイソブチラート(21)(開始剤)1部、及びp−メチルスチレン(20)85部を投入し、これらを撹拌しながら80℃まで昇温した。高速GPC装置(商品名「HLC8220」、東ソー製)により、分子量をモニタリングしながら重合反応を進行させ、所望の分子量に到達した時点で加熱を停止した。反応液を冷却した後、メタノールに投入して、ホモポリマー(6a)を析出させた(再沈法)。得られたホモポリマー(6a)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は8,800であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6a)の繰返し単位数mは74であった。
【0095】
(合成例6)
重合反応の時間を短縮したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6b)を合成した。得られたホモポリマー(6b)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は1,900であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6b)の繰返し単位数mは15であった。
【0096】
(合成例7)
重合反応の時間を延長したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6c)を合成した。得られたホモポリマー(6c)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は58,200であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6c)の繰返し単位数mは492であった。
【0097】
(合成例8)
重合反応の時間を短縮したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6d)を合成した。得られたホモポリマー(6d)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は1,100であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6d)の繰返し単位数mは8であった。
【0098】
(合成例9)
重合反応の時間を延長したこと以外は合成例5と同様にして、合成反応及び再沈を行い、ホモポリマー(6e)を合成した。得られたホモポリマー(6e)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は66,000であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6e)の繰返し単位数mは558であった。
【0099】
(合成例10)
下記反応式(22)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−o,p−ジメチルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6f)を合成した。p−メチルスチレン85部をo,p−ジメチルスチレン(23)85部に変更した以外は、合成例5と同様にしてホモポリマー(6f)を得た。得られたホモポリマー(6f)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は11,100であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6f)の繰返し単位数mは83であった。
【0100】
(合成例11)
下記反応式(24)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−m−メチルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6g)を合成した。p−メチルスチレン85部をm−メチルスチレン(25)85部に変更した以外は、合成例5と同様にして、ホモポリマー(6g)を得た。得られたホモポリマー(6g)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は8,500であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマーの繰返し単位数mは71であった。
【0101】
(合成例12)
下記反応式(26)に示すように、アルキニル基含有親油性ポリマーとして、ポリ−p−ヘキシルスチレンに、アルキニル基が導入されたホモポリマー(6h)を合成した。p−メチルスチレン85部をp−ヘキシルスチレン(27)85部に変更した以外は、合成例5と同様にして、ホモポリマー(6h)を得た。得られたホモポリマー(6h)を、前記高速GPC装置により分析したところ、重量平均分子量(Mw)は15,500であり、重量平均分子量から算出されたホモポリマー(6h)の繰返し単位数mは86であった。
【0102】
[微粒子分散体の製造]
(実施例1)
トルエン(分散媒)130gに対し、合成例1のアジド化合物(5a)1g、ITO粉末30g、塩化銅(I)(重合触媒)0.001g、TBTA(リガンド)0.005g、及び合成例5のホモポリマー(6a)2gを加え、これらをジルコニアビーズ(粒径0.050mm)500gが入っているビーズミルに投入した。ITO粉末としては、1次粒子径が20nmのITO粉末(商品名「ITO−R」、CIKナノテック製)を用いた。ホモポリマー(6a)の量はプレ実験により求めた。
【0103】
前記ビーズミル中の内容物を、回転数4,000rcf(Relative Centrifugal force)で2時間、せん断しながら分散させた。分散が終了した後、ビーズミルから分散液(スラリー)を取り出し、この分散液をトルエン溶媒中で透析処理し、重合触媒とリガンドを除去することで、微粒子分散体を得た(この方法を表1中、「A法」と記載した。)。微粒子分散体の内容および評価を表1に、得られた微粒子分散体の組成を表2に示す。
【0104】
[評価]
微粒子分散体については、以下に示す方法によりフリーポリマーの量と、無機微粒子の分散性について評価した。
【0105】
(フリーポリマーの量)
微粒子分散体を、14,100rpm、3時間の条件で遠心分離して上澄み液を得、ハロゲン水分計を用い、200℃の条件で、前記上澄み液の固形分量を測定した。この固形分量をフリーポリマーの量とし、下記の評価基準により評価した。下記評価基準において、A〜Cの場合を良好、D又はEの場合、不良とした。その結果を表1に示す。なお、遠心分離器としては、商品名「MiniSpin plus」(エッペンドルフ製)を用いた。また、ハロゲン水分計としては、商品名「HB43」(メトラー・トレド製)を用いた。
A:N.D.(検出されず)
B:1質量%以下
C:1質量%超、2質量%以下
D:2質量%超、5質量%以下
E:5質量%超
【0106】
(無機微粒子の分散性)
微粒子分散体について粒度分布を測定し、測定されたメディアン径(D50[nm])を分散性の指標とし、下記の評価基準により評価した。その結果を表1に示す。なお、粒度分布の測定は、動的光散乱式のナノトラック粒度分析計(商品名「UPA−EX250」、日機装製)を用いて行った。下記評価基準において、A〜Cの場合を良好、D又はEの場合、不良とした。その結果を表1に示す。
A:D50が30nm以下
B:D50が30nm超、40nm以下
C:D50が40nm超、50nm以下
D:D50が50nm超、100nm以下
E:D50が100nm超
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
(実施例2〜7、比較例1〜4)
アジド化合物とアルキニル基含有親油性ポリマーの種類を表1に記載のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして微粒子分散体を得た。これらの微粒子分散体の内容および評価を表1に、得られた微粒子分散体の組成を表2又は表3に示す。
【0111】
(比較例5)
比較例5においては、無機微粒子を添加しない状態で、アジド化合物と、ホモポリマーの反応(クリック反応)を試みた。具体的には、トルエン(分散媒)130gに対し、合成例2のアジド化合物(5b)1g、塩化銅(I)(重合触媒)0.001g、TBTA(リガンド)0.005g、及び合成例5のホモポリマー(6a)2gを加え室温(25℃)で攪拌することにより、アジド化合物と、ホモポリマーの反応を試みた。この反応においては、反応液をサンプリングし、スライドガラスの上で加熱乾燥させ、乾燥させた残渣をFT−IRで分析することにより反応追跡を行った。その結果、ホモポリマー(6a)のアルキニル基に帰属されるピークの消失が確認されなかったため、アジド化合物と、ホモポリマーの反応は進行していないと判断した。これは、無機微粒子を添加しない状態で、アジド化合物と、ホモポリマーの反応を行ったため、アジド化合物(5b)のアジド基が活性化されず、アルキニル基含有親油性ポリマー(ホモポリマー(6a))のアルキニル基と反応することができなかったためと考えられる。この微粒子分散体の内容および評価を表1に示す。
【0112】
(比較例6)
トルエン(分散媒)130gに対し、市販の分散剤6g、及びITO粉末30gを加え、これらをジルコニアビーズ(粒径0.050mm)500gが入っているビーズミルに投入した。ITO粉末としては、一次粒子径が20nmのITO粉末(商品名「ITO−R」、CIKナノテック製)を用いた。市販の分散剤としては、カチオン系吸着基を有する湿潤分散剤(商品名「DYSPERBYK−160」、ビッグケミー・ジャパン製)を用いた。
【0113】
前記ビーズミル中の内容物を、回転数4,000rcf(Relative Centrifugal force)で2時間、せん断しながら分散させることで、微粒子分散体を得た(この方法を表1中、「B法」と記載した。)。この微粒子分散体の内容および評価を表1に、得られた微粒子分散体の組成を表3に示す。
【0114】
(比較例7)
市販の分散剤として、変性アクリル系ブロック共重合物からなる高分子量タイプの湿潤分散剤(商品名「DYSPERBYK−2000」、ビッグケミー・ジャパン製)を用いたこと以外は、比較例6と同様にして、微粒子分散体を得た。この微粒子分散体の内容および評価を表1に、得られた微粒子分散体の組成を表3に示す。
【0115】
[評価結果]
実施例1〜7の微粒子分散体は、フリーポリマーの量、無機微粒子の分散性とも良好な結果を示した。比較例1〜7の微粒子分散体は、フリーポリマーの量と、無機微粒子の分散性のいずれか一方又は双方が不良であった。比較例2〜4の微粒子分散体は、フリーポリマーの量については良好な結果を示したが、無機微粒子の分散性が不良であった。比較例5の微粒子分散体は分散剤のみでの合成が不可能であったため、フリーポリマーの量、無機微粒子の分散性とも評価することができなかった。比較例6の微粒子分散体は、無機微粒子の分散性については良好な結果を示したが、フリーポリマーの量が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の分散剤、微粒子分散体および微粒子分散体の製造方法は、例えば、樹脂と無機微粒子を含有するハイブリッド材料、特に発光ダイオード(LED)等の半導体発光素子を封止する封止材料等として、又は前記封止材料を製造する際に好適に用いることができる。