(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記切替え手段は、前記第1開口側、前記第2開口側および前記揚水開口側のうち少なくとも2つに設けられた複数の弁開閉用開口部を含み、前記複数の弁開閉用開口部の開閉を切替えることにより、前記第1状態と前記第2状態とを切替えるように構成されている、請求項1に記載の揚水機能を有する水力発電装置。
前記第1開口側または前記第2開口側の前記弁開閉用開口部と、前記揚水開口側の前記弁開閉用開口部とは、近接して配置されている、請求項2に記載の揚水機能を有する水力発電装置。
前記第1状態において発電された電力は、蓄電部に蓄電され、該蓄電された電力を用いて、前記第2状態において揚水される水が、前記第1開口または前記第2開口から吸水され、前記揚水開口から吐出されるように構成されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の揚水機能を有する水力発電装置。
前記第1状態と前記第2状態とを切替える切替え手段において、前記揚水開口側の前記弁開閉用開口部が、前記回転電機よりも前記第1開口側または前記第2開口側のいずれか一方に配置されている、請求項2、3あるいは5に記載の揚水機能を有する水力発電装置。
前記第1開口を前記筐体外部の水流の上流側に向けた状態で、前記第1状態において発電し、前記第2状態において前記揚水開口から水を吐出することが可能であるとともに、前記第1開口を前記筐体外部の水流の下流側に向けた状態で、前記第1状態において発電し、前記第2状態において前記揚水開口から水を吐出することが可能に構成されている、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の揚水機能を有する水力発電装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態による揚水機能を有する水力発電システム100は、流れを有する河川や小川或いは灌漑用の農水路などに揚水機能を有する水力発電装置1を配置して、発電および揚水を行うように構成されている。
図1に示すように、揚水機能を有する水力発電システム100は、揚水機能を有する水力発電装置1と、蓄電部2と、制御部3と、操作部4と、貯水槽5と、配管6とを備えている。
【0024】
揚水機能を有する水力発電装置1は、水流により発電を行うとともに、発電した電力の利用を含めて、回転電機16に給電されることで羽根車161を回転駆動させることにより揚水するように構成されている。具体的には、揚水機能を有する水力発電装置1は、発電した電力を蓄電部2に蓄電するように構成されている。また、揚水機能を有する水力発電装置1は、ユーザによる操作部4への操作に基づいて、制御部3により、発電と揚水との動作が切替えられるように構成されている。また、揚水機能を有する水力発電装置1は、揚水時に、配管6を通って貯水槽5に水を送るように構成されている。
【0025】
また、揚水機能を有する水力発電装置1は、
図2に示すように、T字形状の筐体11を備えている。筐体11には、第1開口12と、第2開口13と、揚水開口14とが設けられている。また、揚水機能を有する水力発電装置1は、筐体11の内部に設けられた切替え手段15および回転電機16をさらに備えている。切替え手段15は、第1開口12側に配置された弁開閉用開口部151と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部152と、弁体153とを含んでいる。第1開口12側の弁開閉用開口部151には、弁座151aが形成されている。揚水開口14側の弁開閉用開口部152には、弁座152aが形成されている。回転電機16には、羽根車161が接続されている。
【0026】
また、揚水機能を有する水力発電装置1は、流れを有する水中(たとえば、河川や小川或いは灌漑用の農水路など)に沈められて配置されている。つまり、揚水機能を有する水力発電装置1は、水底へ固定するためのアンカーブロックや、装置を水中に浮遊させるためのフロートなどを必要とせずに水中にそのまま仮設的に設置することが可能に構成されている。
【0027】
筐体11は、中空の管状に形成されている。つまり、筐体11内部には、水が流れるように構成されている。筐体11の第1開口12の外周縁には、他の接続部材と接続できるように外側に突出する円環状のフランジ121が設けられている。また、筐体11の第2開口13の外周縁にも上述の如く、外側に突出する円環状のフランジ131が設けられている。また、筐体11の揚水開口14の外周縁にも上述の如く、外側に突出する円環状のフランジ141が設けられている。フランジ121、131および141は、汎用性の高い管用継手を用いることが望ましい。第1実施形態では、
図1に示すように、フランジ141を用いて、筐体11の揚水開口14に配管6が接続されている。
【0028】
筐体11の第1開口12は、
図2および
図5に示すように、発電時に取水口または排水口の一方を構成する。また、第2開口13は、発電時に取水口または排水口の他方を構成する。つまり、発電時には、第1開口12または第2開口13の一方の取水口から筐体11内に水が流入し、第1開口12または第2開口13の他方の排水口から水が流出するように構成されている。また、筐体11の第1開口12から第2開口13までの部分は、略直線状に形成されている。これにより、発電時の水流の速度水頭損失を抑制することが可能である。
【0029】
また、
図3に示すように、揚水時の羽根車161の回転駆動により第2開口13から筐体11内に吸水されて、他方の第1開口12側に配置された弁開閉用開口部151が弁座153で封止され、それに伴って揚水開口14側の弁開閉用開口部152が開かれることで、上記吸水される水が揚水開口14へ吐出して揚水されるように構成されている。
【0030】
ここで、第1実施形態では、切替え手段15は、第1開口12と第2開口13とを連通させる第1状態(
図2参照)と、第2開口13と揚水開口14とを連通させる第2状態(
図3参照)とを切替えるように構成されている。つまり、切替え手段15は、発電時に第1開口12と第2開口13とを連通させる第1状態に切替え、揚水時に第2開口13と揚水開口14とを連通させる第2状態に切替えるように構成されている。
【0031】
具体的には、切替え手段15は、弁体153が回動軸153aを中心に回動されることにより、第1開口12側の弁開閉用開口部151および揚水開口14側の弁開閉用開口部152の開閉を水流の作用により自動的に切替えるように構成されている。具体的には、第1開口12側の弁開閉用開口部151と、揚水開口14側の弁開閉用開口部152とは、近接して配置されている。また、切替え手段15は、1つの弁体153を共用するように構成されている。また、弁体153は、板状に形成されている。つまり、
図3に示すように、弁体153が第1開口12側の弁開閉用開口部151の弁座151aに当接すると、第1開口12側の弁開閉用開口部151が閉じられ、揚水開口14側の弁開閉用開口部152が開かれる(第2状態)。また、
図2に示すように、弁体153が揚水開口14側の弁開閉用開口部152の弁座152aに当接すると、第1開口12側の弁開閉用開口部151が開かれ、揚水開口14側の弁開閉用開口部152が閉じられる(第1状態)。
【0032】
回転電機16は、筐体11の内部に配置されている。具体的には、回転電機16は、第1開口12および第2開口13を連通する管内の第2開口13側に配置されている。また、回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部152よりも第2開口13側に配置されている。つまり、揚水開口14側の弁開閉用開口部152は、回転電機16よりも第1開口12側に配置されている。また、回転電機16の第2開口13側には、羽根車161が接続されている。つまり、羽根車161は、回転電機16に対して、揚水時に吸水側の第2開口13側に配置されている。
【0033】
また、回転電機16は、回転子と、回転子の外周側に配置され、巻線を有する固定子とを含む。また、回転電機16は、回転子が外部からの力により回転させられることにより、発電するように構成されている。つまり、回転電機16は、発電時に、回転子の回転軸に接続された羽根車161が水流により回転させられることにより、回転子が回転されて発電するように構成されている。また、回転電機16は、固定子の巻線に所定の電力が供給されることにより、回転子を回転させるように構成されている。つまり、回転電機16は、揚水時に、電力が供給されて回転子を回転させることにより、羽根車161を回転させて、水を送る(揚水する)ように構成されている。
【0034】
また、回転電機16は、蓄電部2に電気的に接続されている。つまり、回転電機16により発電された電力は、蓄電部2に蓄電されるように構成されている。また、揚水時に、蓄電部2に蓄電された電力により、回転電機16が駆動されるように構成されている。また、蓄電部2に蓄電された電力は、他の電化製品を動作させるために利用してもよい。また、回転電機16は、制御部3に接続されている。
【0035】
ここで、第1実施形態では、揚水機能を有する水力発電装置1(回転電機16)は、
図2に示す第1状態において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、
図3に示す第2状態において、第1状態において発電された電力は、蓄電部2に蓄電され、該蓄電された電力を用いて、回転電機16に給電されることで羽根車161を転駆動させることにより揚水される水が、第2開口13から吸水され、揚水開口14へ吐出して揚水されるように構成されている。
【0036】
また、揚水機能を有する水力発電装置1は、
図4に示すように、発電時と、揚水時とで、第1開口12側の弁開閉用開口部151および揚水開口14側の弁開閉用開口部152の開閉状態が切替えられる。具体的には、発電時では、
図2に示すように、自然流下作用により弁座153が自動的に回動されて第1開口12側の弁開閉用開口部151が開かれ、それに伴って揚水開口14側の弁開閉用開口部152が弁体153により閉じられる。また、揚水時では、
図3に示すように、羽根車161の回転駆動により第2開口13から筐体11内に吸水されて、該吸水の揚水作用により自動的に第1開口12側の弁開閉用開口部151が弁体153により閉じられ、それに伴って揚水開口14側の弁開閉用開口部152が開かれて揚水される。
【0037】
また、第1実施形態では、揚水機能を有する水力発電装置1は、
図2および
図3に示すように第1開口12を筐体11外部の水流の上流側に向けた状態で、第1状態において発電し、第2状態において揚水開口14から水を吐出することが可能にするとともに、
図5に示すように第1開口12を筐体11外部の水流の下流側に向けた状態(反転させた状態)で、第1状態において発電し、第2状態において揚水開口14から水を吐出することが可能に構成されている。つまり、揚水機能を有する水力発電装置1は、発電時の取水口を第1開口12として配置することが可能であるとともに、発電時の取水口を反転させて第2開口13として配置することが可能に構成されている。
【0038】
第2開口13を上流側に配置した場合(反転させた場合)、
図5に示すように、発電時には、第2開口13から水が流入し、第1開口12から水が流出する。また、揚水時には、上流側の第2開口13から水が吸入され、揚水開口14から水が吐出される。つまり、反転させて第2開口13を上流側に配置した場合、揚水時の吸水口が上流側に向けられることで、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上される。これにより、該吸水口から吸水する水量を多くすることができるので、揚水量を多くすることができる。また、発電時において、羽根車161は、水の流れに対して、回転電機16よりも上流側に配置されていることから、速度水頭損失が抑制された自然流下の水流が羽根車161を効率よく旋回することで、発電効率を向上することができる。
【0039】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0040】
第1実施形態では、上記のように、第1状態において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態において、第1状態において発電した電力が回転電機16に給電されることで羽根車161を回転駆動させることにより揚水される水が、第2開口13から吸水され、揚水開口14から吐出されるように構成する。これにより、1つの装置を第1状態と第2状態とに切替えることにより、水力発電および揚水を行うことができるので、水力発電装置および揚水装置を別個に設ける場合に比べて部品点数の増加を抑制すると共に、取付も省スペース化されてコンパクト且つ軽量に構成ができる。また、第1開口12と第2開口13とを連通させる第1状態において、水流により羽根車161が回転させられることにより発電されるので、高低差を設けた流路を設けなくても、流れを有する河川や小川或いは灌漑用の農水路などに揚水機能を有する水力発電装置1を設置することにより、発電を行うことができる。これにより、高低差を設けた流路を設ける場合に比べて、装置の小型軽量化を図ることができる。これらの結果、水力発電および揚水を行う装置において、部品点数の増加を抑制しながら、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、切替え手段15を、複数の弁開閉用開口部151および152の開閉を切替えることにより、第1状態と第2状態とを切替えるように構成する。これにより、複数の弁開閉用開口部151および152の開閉を切替えることにより、第1開口12と第2開口13とを連通させる第1状態と、第2開口13と揚水開口14とを連通させる第2状態とを容易に切替えることができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、第1開口12側の弁開閉用開口部151と、揚水開口14側の弁開閉用開口部152とを、近接して配置する。これにより、近接して配置されている複数の弁開閉用開口部151および152を共通の弁体153を用いて開閉させることができる。これにより、揚水機能を有する水力発電装置1を簡素化することができるとともに、信頼性が高くコンパクトな構成にすることができる。
【0043】
また、第1実施形態では、上記のように、第1状態において発電された電力を、蓄電部2に蓄電し、蓄電部2に蓄電した電力を用いて、第2状態において揚水される水が、第2開口13から吸水され、揚水開口14から吐出されるように構成する。これにより、発電した電力を蓄電部2に蓄電して容易に揚水や、家庭用電源としてテレビやエアコンや室内照明等の家電製品のための電力に利用することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、上記のように、切替え手段15を、複数の弁開閉用開口部151および152の開閉を共通の弁体153で切替えるように構成する。これにより、共通の弁体153を用いて複数の弁開閉用開口部151および152の開閉を容易に行うことができる。
【0045】
また、第1実施形態では、上記のように、揚水開口14側の弁開閉用開口部152を、回転電機16よりも第1開口12側に配置する。これにより、第1開口12側および揚水開口14側の弁開閉用開口部151および152を近接して設けることができるので、第1開口12側および揚水開口14側の弁開閉用開口151および152を開閉して容易に第1状態と第2状態とを切替えることができる。また、第2開口13側に弁開閉用開口部を設ける必要がないので、構造を簡素化することができる。また、発電時の水流が複数の弁開閉用開口部により阻害されることを抑制することができるので、効率よく発電することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、上記のように、発電時に、筐体11内部の水流により弁体153が移動されて、揚水開口14側の弁開閉用開口部152を閉じて第1状態に切替え、揚水時には、第2開口13より吸水し揚水方向に弁体153が移動されて、第1開口12側の弁開閉用開口部151を閉じて、揚水開口14から水を吐出するように構成する。これにより、共用の1つの弁体153を駆動源を別途設けることなく、水流作用により自動的に所定位置に移動させることで、第1状態と第2状態とを切替えることができるので、構造を簡素化することができる。
【0047】
また、第1実施形態では、上記のように、揚水開口14側の弁開閉用開口部152を、回転電機16よりも第1開口12側に配置し、弁体153を、板状に形成する。これにより、第1開口12側を上流に向けて揚水機能を有する水力発電装置1を設置すれば、発電時に、板状の弁体153を水流により移動させて、揚水開口14側の弁開閉用開口部152を容易に閉じることができる。
【0048】
また、第1実施形態では、上記のように、揚水機能を有する水力発電装置1を、第1開口12を筐体11外部の水流の上流側に向けた状態で、第1状態において発電し、第2状態において揚水開口14から水を吐出することが可能にするとともに、第1開口12を筐体11外部の水流の下流側に向けた状態で、第1状態において発電し、第2状態において揚水開口14から水を吐出することが可能に構成する。これにより、発電時の取水口を上流側の第1開口12にして、揚水時の吸水口を下流側の第2開口13にして設置する状態と、発電時の取水口および揚水時の吸水口を上流側の第2開口13にして設置する状態とに設置状態を切替えることができる。これにより、用途に応じて揚水時の取水口の向きを変えることができる。たとえば、揚水時の吸水口を上流側に向けた場合、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上されることで、吸水する水量を多くすることができるので、揚水量を多くすることができる。
【0049】
(第1実施形態の第1変形例)
次に、
図6および
図7を参照して、本発明の第1実施形態の第1変形例について説明する。この第1変形例では、羽根車161が回転電機16に対して、揚水開口14側の弁開閉用開口部152側に配置されている構成の例について説明する。
【0050】
図6に示すように、第1変形例の揚水機能を有する水力発電装置1aは、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段15と、回転電機16とを備えている。切替え手段15は、第2開口13側に配置された弁開閉用開口部154と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部152と、弁体153とを含んでいる。第2開口13側の弁開閉用開口部154には、弁座154aが形成されている。揚水開口14側の弁開閉用開口部152には、弁座152aが形成されている。つまり、第1変形例では、第1実施形態と異なり、第1開口12側には弁開閉用開口部が設けられずに、第2開口13側に弁開閉用開口部154が設けられている。
【0051】
回転電機16は、第1開口12および第2開口13を連通する管内の第1開口12側に配置されている。また、回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部152よりも第1開口12側に配置されている。つまり、揚水開口14側の弁開閉用開口部152は、回転電機16よりも第2開口13側に配置されている。また、回転電機16の第2開口13側には、羽根車161が接続されている。つまり、羽根車161は、回転電機16に対して、水流の下流側(発電時の排水側および揚水時の吐出側)に配置されている。
【0052】
ここで、第1変形例では、揚水機能を有する水力発電装置1a(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部152が閉、弁開閉用開口部154が開の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部152が開、弁開閉用開口部154が閉の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第1開口12から吸水して、揚水開口14から水を吐出する(揚水する)ように構成されている。つまり、前述の如く揚水時の吸水口が上流側に向けれているので、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上されることで、該吸水口から吸水する水量を多くすることができるので、揚水量を多くすることができる。
【0053】
また、第1変形例では、揚水機能を有する水力発電装置1aは、
図7に示すように、発電時と、揚水時とで、第2開口13側の弁開閉用開口部154および揚水開口14側の152の開閉状態が切替えられる。具体的には、発電時では、第2開口13側の弁開閉用開口部154が開かれ、揚水開口14側の弁開閉用開口部152が閉じられる。また、揚水時では、第2開口13側の弁開閉用開口部154が閉じられ、揚水開口14側の弁開閉用開口部152が開かれる。
【0054】
なお、第1変形例のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0055】
(第2実施形態)
次に、
図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、切替え手段15の弁体153が板状に形成されている前記第1実施形態とは異なり、切替え手段210の弁体213が球状に形成されている例について説明する。
【0056】
図8に示すように、第2実施形態の揚水機能を有する水力発電装置201は、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段210と、回転電機16とを備えている。切替え手段210は、第1開口12側に配置された弁開閉用開口部211と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部212と、弁体213とを含んでいる。第1開口12側の弁開閉用開口部211には、弁座211aが形成されている。揚水開口14側の弁開閉用開口部212には、弁座212aが形成されている。
【0057】
ここで、第2実施形態では、切替え手段210の弁体213は、球状に形成されている。つまり、切替え手段210は、ボールチャッキ弁により構成されている。球状の弁体213は、第1開口12側の弁座211aまたは揚水開口14側の弁座212aに係合して、係合した側の弁開閉用開口部211または212を閉じるように構成されている。また、弁体213は、発電時には、ガイドに誘導されて浮上或いは自然流下の水流により上昇して、揚水開口14側の弁開閉用開口部212を閉じるように構成されている。また、その逆に揚水時には、羽根車161の回転駆動による水流によって、弁体213がガイドに誘導されて、第1開口12側に移動されて、第1開口12側の弁開閉用開口部211を閉じるように構成されている。つまり、前述の如く駆動源を別途設けることなく、無動力で水流の作用により弁体自らが自動的に第1状態の発電と第2状態の揚水に切替えることができるので、構造を簡素化することができる。
【0058】
また、第2実施形態では、前記第1実施形態と同様に、揚水機能を有する水力発電装置201(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部211が開、弁開閉用開口部212が閉の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部211が閉、弁開閉用開口部212が開の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第2開口13から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されている。
【0059】
なお、第2実施形態のその他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0060】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0061】
第2実施形態では、前第1実施形態と同様に、第1状態において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態において、第1状態において発電した電力が回転電機16に給電されることで羽根車161を回転駆動させることにより揚水される水が、第2開口13から吸水され、揚水開口14から吐出されるように構成する。これにより、水力発電および揚水を行う装置において、部品点数の増加を抑制すると共に、取付も省スペース化されてコンパクト且つ軽量に構成ができるので、装置の小型軽量化を図ることができる。さらに加えて、前述の如く駆動源を別途設けることなく、無動力で水流の作用により弁体自らが自動的に第1状態の発電と第2状態の揚水に切替えることができるので、構造を簡素化することができる。
【0062】
なお、第2実施形態のその他の効果は、前第1実施形態と同様である。
【0063】
(第2実施形態の第2変形例)
次に、
図9を参照して、本発明の第2実施形態の第2変形例について説明する。この第2変形例では、羽根車161が回転電機16に対して、揚水開口14側の弁開閉用開口部212側に配置されている構成の例について説明する。
【0064】
図9に示すように、第2変形例の揚水機能を有する水力発電装置201aは、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段210と、回転電機16とを備えている。切替え手段210は、第2開口13側に配置された弁開閉用開口部214と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部212と、弁体213とを含んでいる。第2開口13側の弁開閉用開口部214には、弁座214aが形成されている。揚水開口14側の弁開閉用開口部212には、弁座212aが形成されている。つまり、第2変形例では、第2実施形態と異なり、第1開口12側には弁開閉用開口部が設けられずに、第2開口13側に弁開閉用開口部214が設けられている。
【0065】
回転電機16は、第1開口12および第2開口13を連通する管内の第1開口12側に配置されている。また、回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部212よりも第1開口12側に配置されている。また、回転電機16の第2開口13側には、羽根車161が接続されている。つまり、羽根車161は、回転電機16に対して、水流の下流側(発電時の排水側および揚水時の吐出側)に配置されている。
【0066】
ここで、第2変形例では、揚水機能を有する水力発電装置201a(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部212が閉、弁開閉用開口部214が開の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部212が開、弁開閉用開口部214が閉の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第1開口12から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されている。つまり、前述の如く揚水時の吸水口が上流側に向けられているので、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上されることで、該吸水口から吸水する水量を多くすることができるので、揚水量を多くすることができる。
【0067】
なお、第2変形例のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0068】
(第3実施形態)
次に、
図10〜
図14を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、切替え手段15の弁体153が板状に形成されている前記第1実施形態と、切替え手段210の弁体213が球状に形成されている前記第2実施形態とは異なり、切替え手段310の弁体314が三方ボール弁により構成されている例について説明する。
【0069】
図10および
図11に示すように、第3実施形態の揚水機能を有する水力発電装置301は、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段310と、回転電機16とを備えている。切替え手段310は、第1開口12側に配置された弁開閉用開口部311と、第2開口13側に配置された弁開閉用開口部312と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部313と、弁体314とを含んでいる。
【0070】
ここで、第3実施形態では、切替え手段310の弁体314は、三方ボール弁により構成されている。具体的には、弁体314は、3方向に開口314a、314bおよび314cを有している。開口314a、314bおよび314cは、弁体314内において互いに連通している。開口314aおよび314cは、対向するように配置されている。開口314bは、開口314aおよび314cからそれぞれ90度回転した位置に配置されている。弁体314は、回動することにより、第1開口12側の弁開閉用開口部311と第2開口13側の弁開閉用開口部312とを連通する第1状態(
図10参照)と、第2開口13側の弁開閉用開口部312と揚水開口14側の弁開閉用開口部313とを連通する第2状態(
図11参照)とを切替えるように構成されている。また、弁体314は、ユーザの操作に基づいて、回動されるように構成されている。
【0071】
また、第3実施形態では、前記第1実施形態と同様に、揚水機能を有する水力発電装置301(回転電機16)は、第1状態において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、特に
図13に示すように第1開口12から吸水して、揚水開口14から水を吐出するようにしている場合には、前述の如く揚水時の吸水口が上流側に向けられているので、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上されることで、該吸水口から吸水する水量を多くすることができる。これにより、揚水量を多くすることができる。また、発電時において、羽根車161は、水の流れに対して、回転電機16よりも上流側に配置されていることから、速度水頭損失が抑制された自然流下の水流が羽根車161を効率よく旋回することで、発電効率を向上することができる。
【0072】
また、揚水機能を有する水力発電装置301は、
図12に示すように、発電時と、揚水時とで、第1開口12側の弁開閉用開口部311、第2開口13側の弁開閉用開口部312および揚水開口14側の弁開閉用開口部313の開閉状態が切替えられる。具体的には、発電時では、
図10に示すように、第1開口12側の弁開閉用開口部311に弁体314の開口314aが向けられて開かれ、第2開口13側の弁開閉用開口部312に弁体314の開口314cが向けられて開かれる。一方、揚水開口14側の弁開閉用開口部313には、弁体314の開口314a〜314cのいずれも向けられずに閉じられる。これにより、第1開口12と第2開口13とが連通する。また、揚水時では、
図11に示すように、第2開口13側の弁開閉用開口部312に弁体314の開口314bが向けられて開かれ、揚水開口14側の弁開閉用開口部313に弁体314の開口314cが向けられて開かれる。一方、第1開口12側の弁開閉用開口部311には、弁体314の開口314a〜314cのいずれも向けられずに閉じられる。これにより、第2開口13と揚水開口14とが連通する。
【0073】
また、第3実施形態では、前記第1実施形態と同様に、揚水機能を有する水力発電装置301は、
図10および
図11に示すように第1開口12を筐体11外部の水流の上流側に向けた状態で、第1状態において発電し、第2状態において揚水開口14から水を吐出するように設置することが可能であり、またその逆方向に設置する
図13に示すように第1開口12を筐体11外部の水流の下流側に向けた状態で、第1状態において発電し、第2状態において揚水開口14から水を吐出することが可能に構成されている。つまり、揚水機能を有する水力発電装置301は、発電時の取水口を第1開口12として配置することが可能であるとともに、発電時の取水口を反転させて第2開口13として配置することが可能に構成されている。
【0074】
なお、第3実施形態のその他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0075】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0076】
第3実施形態では、前記第1実施形態と同様に、第1状態において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態において、第1状態において発電した電力が回転電機16に給電されることで羽根車161を回転駆動させることにより揚水される水が、第2開口13から吸水され、揚水開口14から吐出されるように構成する。これにより、水力発電および揚水を行う装置において、部品点数の増加を抑制すると共に、取付も省スペース化されてコンパクト且つ軽量に構成ができるので、装置の小型軽量化を図ることができることに加えて、
図13に示すように構成した場合は、揚水時には揚水量を多くすることができ、また、発電時には発電効率を向上することができる。
【0077】
なお、第3実施形態のその他の効果は、前記第1実施形態と同様である。
【0078】
(第3実施形態の第3変形例)
次に、
図14および
図15を参照して、本発明の第3実施形態の第3変形例について説明する。この第3変形例では、羽根車161が回転電機16に対して、揚水開口14側の弁開閉用開口部313側に配置されている構成の例について説明する。
【0079】
ここで、第3変形例では、
図14に示すように、回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部313よりも第1開口12側に配置されている。また、回転電機16の第2開口13側には、羽根車161が接続されている。つまり、羽根車161は、回転電機16に対して、水流の下流側(発電時の排水側および揚水時の吐出側)に配置されている。
【0080】
また、第3変形例では、揚水機能を有する水力発電装置301a(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部311および312が開、弁開閉用開口部313が閉の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部311および313が開、弁開閉用開口部312が閉の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第1開口12から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されていることから、前述の如く揚水時の吸水口が上流側に向けられているので、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上されることで、該吸水口から吸水する水量を多くすることができる。これにより、揚水量を多くすることができる。
【0081】
また、第3変形例では、揚水機能を有する水力発電装置301aは、
図15に示すように、発電時と、揚水時とで、第1開口12側の弁開閉用開口部311、第2開口13側の弁開閉用開口部312および揚水開口14側の弁開閉用開口部313の開閉状態が切替えられる。具体的には、発電時では、第1開口12側の弁開閉用開口部311に弁体314の開口314aが向けられて開かれ、第2開口13側の弁開閉用開口部312に弁体314の開口314cが向けられて開かれる。一方、揚水開口14側の弁開閉用開口部313には、弁体314の開口314a〜314cのいずれも向けられずに閉じられる。これにより、第1開口12と第2開口13とが連通する。また、揚水時では、第1開口12側の弁開閉用開口部311に弁体314の開口314bが向けられて開かれ、揚水開口14側の弁開閉用開口部313に弁体314の開口314aが向けられて開かれる。一方、第2開口13側の弁開閉用開口部312には、弁体314の開口314a〜314cのいずれも向けられずに閉じられる。これにより、第1開口12と揚水開口14とが連通する。
【0082】
なお、第3変形例のその他の構成は、前記第3実施形態と同様である。
【0083】
(第3実施形態の第4変形例)
次に、
図16を参照して、本発明の第3実施形態の第4変形例について説明する。この第4変形例では、回転電機16が第1開口12側および第2開口13側の両方に設けられている構成の例について説明する。
【0084】
ここで、第4変形例では、
図16に示すように、回転電機16は、筐体11の第1開口12側および第2開口13側の双方に設けられている。具体的には、一方の回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部313よりも第1開口12側に配置されている。他方の回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部313よりも第2開口13側に配置されている。また、第1開口12側の回転電機16の第1開口12側には、羽根車161が接続されている。また、第2開口13側の回転電機16の第2開口13側には、羽根車161が接続されている。
【0085】
また、第4変形例では、切替え手段310は、第1開口12および第2開口13を連通させる第1状態と、第1開口12および揚水開口14を連通させる第2状態と、第2開口13および揚水開口14を連通させる第2状態との三方向に切替えるように構成されている。
【0086】
また、第4変形例では、揚水機能を有する水力発電装置301b(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部311および312が開、弁開閉用開口部313が閉の状態)において、各回転電機16に連結された各羽根車161が水流により回転させられることにより同時に発電するように構成されている。また、揚水機能を有する水力発電装置301bの揚水時は、例えば前記他方の第2開口13側に配置された回転電機16を停止させた状態で、第1開口12と揚水開口14とを連通させる第2状態(弁開閉用開口部311および313が開、弁開閉用開口部312が閉の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて、前記一方の第1開口12側に配置された回転電機16に給電して羽根車161を回転駆動させることにより、第1開口12から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されている。また、それとは逆の前記一方の第1開口12側に配置された回転電機16を停止させた状態で、第2開口13と揚水開口14とを連通させる第2状態(弁開閉用開口部312および313が開、弁開閉用開口部311が閉の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて、前記他方の第2開口13側に配置された回転電機16に給電して羽根車161を回転駆動させることにより、第2開口13から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されている。つまり、第4変形例の揚水機能を有する水力発電装置301bは、揚水時に各回転電機16・・16を交互に駆動し、各揚水状態に応じて、第1開口12側から吸水する場合と、第2開口13側から吸水する場合とを切替えることが可能である。
【0087】
第4変形例では、第1開口12および第2開口13を連通する第1状態において、第1開口12側および第2開口13側の双方に設けられている回転電機16により発電することができるので、発電量を容易に倍増させることができる。また、第1開口12または第2開口13と揚水開口14とを連通させる第2状態において、複数の回転電機16を交互に駆動して揚水することができるので、各回転電機16・・16の稼動時間が平準化し得ることから寿命を長くすることができる。また、故障や点検等で一方の回転電機16を駆動することができない場合でも、他方の回転電機16を駆動させることができるので、揚水時に信頼性の高い運転を維持することができる。
【0088】
なお、第4変形例のその他の構成および効果は、上記第3実施形態と同様である。
【0089】
(第4実施形態)
次に、
図17を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、切替え手段15の弁体153が板状に形成されている前記第1実施形態と、切替え手段210の弁体213が球状に形成されている前記第2実施形態と、切替え手段310が三方ボール弁により構成されている前記第3実施形態とは異なり、切替え手段410がストップバルブにより構成されている例について説明する。
【0090】
図17に示すように、第4実施形態の揚水機能を有する水力発電装置401は、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段410と、回転電機16とを備えている。切替え手段410は、第1開口12側に配置された弁開閉用開口部411と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部412と、弁体413とを含んでいる。第1開口12側の弁開閉用開口部411には、弁座411aが形成されている。揚水開口14側の弁開閉用開口部412には、弁座412aが形成されている。
【0091】
ここで、第4実施形態では、切替え手段410の弁体413は、板状に形成されている。また、板状の弁体413は、第1開口12側の弁座411aまたは揚水開口14側の弁座412aに当接して、当接した側の弁開閉用開口部411または412を閉じるように構成されている。また、弁体413は、ユーザの操作に基づいて、弁開閉用開口部411および412の間を移動するように構成されている。
【0092】
また、第4実施形態では、前記第1実施形態と同様に、揚水機能を有する水力発電装置401(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部411が開、弁開閉用開口部412が閉の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部411が閉、弁開閉用開口部412が開の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第2開口13から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されている。
【0093】
なお、第4実施形態のその他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0094】
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0095】
第4実施形態では、前記第1実施形態と同様に、第1状態において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態において、第1状態において発電した電力が回転電機16に給電されることで羽根車161を回転駆動させることにより揚水される水が、第2開口13から吸水され、揚水開口14から吐出されるように構成する。これにより、水力発電および揚水を行う装置において、部品点数の増加を抑制すると共に、取付も省スペース化されてコンパクト且つ軽量に構成ができるので、装置の小型軽量化を図ることができる。
【0096】
なお、第4実施形態のその他の効果は、前記第1実施形態と同様である。
【0097】
(第4実施形態の第5変形例)
次に、
図18を参照して、本発明の第4実施形態の第5変形例について説明する。この第5変形例では、羽根車161が回転電機16に対して、揚水開口14側の弁開閉用開口部412側に配置されている構成の例について説明する。
【0098】
図18に示すように、第5変形例の揚水機能を有する水力発電装置401aは、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段410と、回転電機16とを備えている。切替え手段410は、第2開口13側に配置された弁開閉用開口部414と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部412と、弁体413とを含んでいる。第2開口13側の弁開閉用開口部414には、弁座414aが形成されている。揚水開口14側の弁開閉用開口部412には、弁座412aが形成されている。つまり、第5変形例では、第4実施形態と異なり、第1開口12側には弁開閉用開口部が設けられずに、第2開口13側に弁開閉用開口部414が設けられている。
【0099】
回転電機16は、第1開口12および第2開口13を連通する管内の第1開口12側に配置されている。また、回転電機16は、揚水開口14側の弁開閉用開口部412よりも第1開口12側に配置されている。また、回転電機16の第2開口13側には、羽根車161が接続されている。つまり、羽根車161は、回転電機16に対して、水流の下流側(発電時の排水側および揚水時の吐出側)に配置されている。
【0100】
ここで、第5変形例では、揚水機能を有する水力発電装置401a(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部412が閉、弁開閉用開口部414が開の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部412が開、弁開閉用開口部414が閉の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第1開口12から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されていることから、前述の如く揚水時の吸水口が上流側に向けられているので、自然流下される水流の速度エネルギーを阻害することなく活用されることから、該速度エネルギーに加えて自吸作用の相乗効果により吸込み効率が向上されることで、該吸水口から吸水する水量を多くすることができるので、揚水量を多くすることができる。
【0101】
なお、第5変形例のその他の構成は、上記第4実施形態と同様である。
【0102】
(第5実施形態)
次に、
図19を参照して、本発明の第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、共通の弁が設けられていた前記第1〜第4実施形態とは異なり、3つの弁がそれぞれ個別に設けられている構成の例について説明する。
【0103】
図19に示すように、第5実施形態の揚水機能を有する水力発電装置501は、第1開口12、第2開口13および揚水開口14が設けられた筐体11と、切替え手段510と、回転電機16とを備えている。切替え手段510は、第1開口12側に配置された弁開閉用開口部511と、第2開口13側に配置された弁開閉用開口部512と、揚水開口14側に配置された弁開閉用開口部513とを含んでいる。第1開口12側の弁開閉用開口部511には、弁511aが設けられている。第2開口13側の弁開閉用開口部512には、弁512aが設けられている。揚水開口14側の弁開閉用開口部513には、弁513aが設けられている。つまり、第5実施形態では、弁開閉用開口部511、512、513のそれぞれ個別に、弁511a、512aおよび513aが設けられている。
【0104】
弁511a、512aおよび513aは、それぞれ、バルブ弁などにより構成されている。弁511a、512aおよび513aをそれぞれ開閉することにより、弁開閉用開口部511、512、513の開閉が切替えられるように構成されている。また、弁511a、512aおよび513aは、それぞれ、ユーザの操作に基づいて、個別に開閉および開度調整が可能なように構成されている。
【0105】
また、第5実施形態では、前記第1実施形態と同様に、揚水機能を有する水力発電装置501(回転電機16)は、第1状態(弁開閉用開口部511および512が開、弁開閉用開口部513が閉の状態)において、回転電機16に連結された羽根車161が水流により回転させられることにより発電し、かつ、第2状態(弁開閉用開口部511が閉、弁開閉用開口部512および513が開の状態)において、第1状態において発電した電力を用いて羽根車161を回転駆動させることにより、第2開口13から吸水して、揚水開口14から水を吐出するように構成されている。
【0106】
なお、第5実施形態のその他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
【0107】
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
第5実施形態では、前述の如く各開口12、13および14にそれぞれ個別に弁511a、512aおよび513aが設けられていることから、該各弁511a、512aおよび513aの開閉状態および流通開度はユーザの操作に基づいて、任意に設定することができることから、例えば、発電時の取水量や揚水時の揚水量を自由に調整することができるため、必要に応じて無駄のない適正な発電量や揚水量を容易に制御することができる。
【0109】
なお、第5実施形態のその他の効果は、前記第1実施形態と同様である。
【0110】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0111】
たとえば、前記第1〜第5実施形態では、揚水機能を有する水力発電装置と蓄電部とが別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、揚水機能を有する水力発電装置と一体に蓄電部を設けてもよく、特に蓄電部を一体構成することで、装置全体を更にコンパクトに形成することで、可搬性に秀でると共に狭い小川や灌漑用の農水路等の広範囲の用途に対応することができる。
【0112】
また、前記第1〜第5実施形態では、揚水機能を有する水力発電装置により発電し、蓄電部に蓄電した電力により、揚水機能を有する水力発電装置を駆動して揚水を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、揚水機能を有する水力発電装置により発電した電力に加えて、外部電源として例えば商用電源や風力や太陽光或いはバイオマス発電などの他の発電の電力を利用して、揚水機能を有する水力発電装置を駆動して揚水を行う構成でもよい。
【0113】
また、前記第1〜第5実施形態では、揚水機能を有する水力発電装置と制御部とが別個に設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、揚水機能を有する水力発電装置と一体に制御部を設けてもよい。
【0114】
また、前記第1〜第5実施形態では、ユーザの操作に基づいて、発電と揚水とを切替える構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、制御部の制御により自動で発電と揚水とを切替えてもよい。たとえば、蓄電部の蓄電量が所定の量以上になるまでは発電を行う制御を行ってもよい。また、貯水槽の水量が一定量よりも小さくなった場合に、揚水を行い貯水槽に水を供給する制御を行ってもよい。
【0115】
また、前記第1〜第5実施形態では、揚水した水を貯水槽に貯める構成の例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、揚水した水を貯水槽以外の他の場所に移してもよい。たとえば、揚水した水を直接田畑に移してもよい。