特許第6322085号(P6322085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322085
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】負荷試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/24 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   G01N3/24
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-170096(P2014-170096)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-45100(P2016-45100A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年8月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103644
【氏名又は名称】オイレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】和氣 知貴
【審査官】 伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−073521(JP,A)
【文献】 実開平05−033051(JP,U)
【文献】 特開平09−054027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/24
G01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験体が載置され、固定ベースに対して水平方向に移動可能な可動ベースと、
該可動ベースに水平方向の荷重を加える水平方向アクチュエータと、
前記被試験体の上方に位置し、該被試験体の上面に当接する第1加圧部材と、
積層ゴムからなり、該第1加圧部材に載置される保持構造と、
該保持構造の上方に位置し、該保持構造の上面に当接する第2加圧部材と、
該第2加圧部材に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータと、
前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に介在し、水平方向の負荷荷重を測定するロードセルとを備え、
前記保持構造は、該保持構造の上部と下部との間の水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力を前記第1加圧部材及び前記第2加圧部材に付加することを特徴とする負荷試験装置。
【請求項2】
被試験体が載置され、固定ベースに対して水平方向に移動可能な可動ベースと、
該可動ベースに水平方向の荷重を加える水平方向アクチュエータと、
前記被試験体の上方に位置し、該被試験体の上面に当接する第1加圧部材と、
非圧縮性液体が充填された圧力容器からなり、該第1加圧部材に載置される保持構造と、
該保持構造の上方に位置し、該保持構造の上面に当接する第2加圧部材と、
該第2加圧部材に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータと、
前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に介在し、水平方向の負荷荷重を測定するロードセルとを備え、
前記保持構造は、該保持構造の上部と下部との間の水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力を前記第1加圧部材及び前記第2加圧部材に付加することを特徴とする負荷試験装置。
【請求項3】
前記保持構造の水平剛性が前記ロードセルの水平剛性の0.5%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の負荷試験装置。
【請求項4】
保持構造が載置され、固定ベースに対して水平方向に移動可能な可動ベースと、
該可動ベースに水平方向の荷重を加える水平方向アクチュエータと、
前記保持構造の上方に位置し、該保持構造の上面に当接する第1加圧部材と、
該第1加圧部材に載置される被試験体と、
該被試験体の上方に位置し、該被試験体の上面に当接する第2加圧部材と、
該第2加圧部材に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータと、
前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に介在し、水平方向の負荷荷重を測定するロードセルとを備え、
前記保持構造は、該保持構造の上部と下部との間の水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力を前記可動ベース及び前記第1加圧部材に付加することを特徴とする負荷試験装置。
【請求項5】
前記保持構造の水平剛性が前記ロードセルの水平剛性の0.5%以下であることを特徴とする請求項4に記載の負荷試験装置。
【請求項6】
前記保持構造は積層ゴムであることを特徴とする請求項又はに記載の負荷試験装置。
【請求項7】
前記保持構造は非圧縮性液体が充填された圧力容器であることを特徴とする請求項又はに記載の負荷試験装置。
【請求項8】
前記保持構造を鉛直方向に貫通し、該保持構造に隣接する部材に固定される通しボルトを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の負荷試験装置。
【請求項9】
前記保持構造の上方に位置する前記第1加圧部材又は前記第2加圧部材に固定され、前記保持構造の上部を囲繞することにより、前記保持構造の上部と下部の間隔が拡大するのを規制するストッパを備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の負荷試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ゴム支承やすべり支承等の被試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や建築物等の構造物に用いられる積層ゴム支承やすべり支承は、上部構造物からの鉛直荷重を受けながら水平方向に移動する機能を有し、出荷検査等で水平方向の変位、抵抗力関係を計測してその特性を確認している。
【0003】
積層ゴム支承等の被試験体の水平方向の負荷荷重を測定する負荷試験装置では、水平加振テーブルの支持形態として主に、直動ガイド方式、ローラガイド方式、油圧浮上方式等がある。また、水平抵抗力の計測方法として、水平方向アクチュエータの先端にロードセルを用いたり、積層ゴム支承の上側又は下側に多軸のロードセルを設置したり、ローラや直動ガイド等を介してロードセルを設置する方法等がある。
【0004】
上記負荷試験装置として、例えば、図9に示すように、積層ゴム支承等の被試験体Tを載置した水平加振テーブル73を固定ベース79上に複数のローラ75で支持し、水平方向アクチュエータ74の先端にロードセル78を設け、フレーム72に固定した鉛直方向アクチュエータ76によって加圧板77を介して被試験体Tに鉛直荷重を加える負荷試験装置が存在する。
【0005】
また、図示を省略するが、上記水平加振テーブルをローラ又は直動ガイドで支持し、水平加振テーブルと被試験体の間、又は被試験体と鉛直方向アクチュエータとの間に多軸ロードセルを設置した負荷試験装置は、一般的には種々の装置の中で最も精度よく計測できる。
【0006】
さらに、図10に示すように、被試験体Tを載置した水平加振テーブル83を固定ベース93上に複数のローラ85で支持し、鉛直方向アクチュエータ86の下方に位置する加圧板87に当接する上方プレート89と、下方プレート91との間に複数のローラ90を介在させ、加圧板87の垂下部87aと下方プレート91の端面との間にロードセル88を配置した装置も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、図9に示した負荷試験装置71では、鉛直荷重に比例したローラ75の抵抗力や、水平加振テーブル73の慣性力の影響により、被試験体Tに働く水平抵抗力を精度よく計測することが難しい。また、水平加振テーブル73を直動ガイドで支持した場合にも同様の問題がある。
【0008】
さらに、多軸ロードセルを設置した負荷試験装置では、鉛直荷重、水平荷重及び転倒モーメントの組合せによりロードセルの形状が決まるが、鉛直荷重に比べて水平荷重が極端に小さい積層ゴム支承等の水平特性を把握するためにロードセルの形状を適切な形状とすることは容易ではなく、また装置が非常に高価である。
【0009】
一方、図10に示した負荷試験装置81では、長期間の使用等によって下方プレート91のローラ90との接触面に凹みが生じ、荷重検出に影響を与える懸念があるほか、水平二方向の負荷試験を行うことは困難である。
【0010】
そこで、本発明は、上記従来の負荷試験装置における問題点に鑑みてなされたものであって、装置コストを削減し、積層ゴム支承等の被試験体に働く水平抵抗力を精度よく計測することができ、水平二方向の負荷試験に容易に対応することもできる負荷試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の負荷試験装置は、被試験体が載置され、固定ベースに対して水平方向に移動可能な可動ベースと、該可動ベースに水平方向の荷重を加える水平方向アクチュエータと、前記被試験体の上方に位置し、該被試験体の上面に当接する第1加圧部材と、積層ゴム又は非圧縮性液体が充填された圧力容器からなり、該第1加圧部材に載置される保持構造と、該保持構造の上方に位置し、該保持構造の上面に当接する第2加圧部材と、該第2加圧部材に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータと、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に介在し、水平方向の負荷荷重を測定するロードセルとを備え、前記保持構造は、該保持構造の上部と下部との間の水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力を前記第1加圧部材及び前記第2加圧部材に付加することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の負荷試験装置は、保持構造が載置され、固定ベースに対して水平方向に移動可能な可動ベースと、該可動ベースに水平方向の荷重を加える水平方向アクチュエータと、前記保持構造の上方に位置し、該保持構造の上面に当接する第1加圧部材と、該第1加圧部材に載置される被試験体と、該被試験体の上方に位置し、該被試験体の上面に当接する第2加圧部材と、該第2加圧部材に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータと、前記第1加圧部材と前記第2加圧部材との間に介在し、水平方向の負荷荷重を測定するロードセルとを備え、前記保持構造は、該保持構造の上部と下部との間の水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力を前記可動ベース及び前記第1加圧部材に付加することを特徴とする。
【0013】
上記本発明に係る負荷試験装置によれば、被試験体と鉛直方向アクチュエータとの間、又は被試験体と可動ベースとの間に、上部と下部との間の水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力を隣接する部材に付加する保持構造を備えるため、ロードセルを設けた加圧部材に保持構造の水平変位が増加するに伴って増加する水平力が加わるだけであって、可動ベースを支持するのにローラや直動ガイド等を用いた場合でも、ロードセルは可動ベースとローラ等との間の摩擦力を検出することがないため、可動ベースとローラ等との間の構成を単純化することができる。また、鉛直荷重の大きさ関わらず、保持構造の水平変位が増加するに伴って増加する水平変位がロードセルに加わるだけであるため、保持構造の水平変位が小さい場合には水平力測定の誤差が小さくなる。そのため、簡易な構成で装置コストを低く抑えながら、水平抵抗力を高精度で測定することができる。また、水平二方向の負荷試験に容易に対応することもできる。
【0014】
上記負荷試験装置において、前記保持構造の水平剛性を前記ロードセルの水平剛性の0.5%以下とすることで、測定の際の保持構造の移動及び変形を規制し、保持構造の設置による水平力測定の誤差を小さくし、高精度の測定が可能になる。
【0015】
また、前記保持構造を積層ゴムや、非圧縮性液体が充填された圧力容器とすることができる。
【0016】
さらに、上記負荷試験装置に、前記保持構造を鉛直方向に貫通し、該保持構造に隣接する部材に固定される通しボルトや、前記保持構造の上方に位置する前記第1加圧部材又は前記第2加圧部材に固定され、前記保持構造の上部を囲繞することにより、前記保持構造の上部と下部の間隔が拡大するのを規制するストッパを設けることで、保持構造と隣接する部材との間の離間を防ぐと共に、回転変形を拘束することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、装置コストが低く、積層ゴム支承等の被試験体に働く水平抵抗力を精度よく計測することができ、水平二方向の負荷試験に容易に対応することもできる負荷試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る負荷試験装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る負荷試験装置に用いた積層ゴムの水平変形量と水平力、及び従来の負荷試験装置に用いた水平加振テーブルの水平変位と水平力の関係を示すグラフである。
図3】本発明に係る負荷試験装置に用いる積層ゴムの一例を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は積層ゴムとロードセルの位置関係を示す概略平面図である。
図4】本発明に係る負荷試験装置に用いる積層ゴムの他の例を示す図であって、(a)は正面断面図、(b)は積層ゴムとロードセルの位置関係を示す概略平面図である。
図5】本発明に係る負荷試験装置に用いる積層ゴムのストッパの一例を示す図であって、(a)は断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
図6】本発明に係る負荷試験装置の保持構造の他の例を示す概略構成図である。
図7】本発明に係る負荷試験装置の保持構造の他の例を示す概略構成図である。
図8】本発明に係る負荷試験装置の保持構造の他の例を示す概略構成図である。
図9】従来の負荷試験装置の一例を示す概略構成図である。
図10】従来の負荷試験装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明においては、本発明に係る負荷試験装置によって積層ゴム支承の水平方向の負荷荷重を測定する場合を例にとって説明する。
【0020】
図1は、本発明に係る負荷試験装置の第1の実施形態を示し、この負荷試験装置1は、固定ベース11と、試験対象の積層ゴム支承(以下「被試験体」という。)Tが載置され、固定ベース11上に複数のローラ5によって水平移動可能な可動ベース(水平加振テーブル)3と、可動ベース3に水平方向の荷重を加える水平方向アクチュエータ4と、被試験体Tの上面に当接する第1加圧板(第1加圧部材)7と、第1加圧板7に載置される保持構造としての積層ゴム(試験装置の一部)10と、積層ゴム10の上面に当接し、複数のローラ13によって鉛直方向に移動可能な第2加圧板(第2加圧部材)12と、フレーム2に固定され、第2加圧板12に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータ6と、第2加圧板12の垂下部12a、12bと第1加圧板7の端面との間に介在し、水平方向の負荷荷重を測定するロードセル8、9等を備える。
【0021】
積層ゴム10は、ゴムの一層についての受圧面積と自由面積の比である一次形状係数、及び積層ゴムの外形を総ゴム厚さで除した二次形状係数の両方を大きく設定し、低剛性の減衰性の小さいゴム材料を用いて構成する。積層ゴム10の水平剛性は、ロードセル8、9の剛性の0.5%(ロードセル8、9の許容計測誤差率)以下になるように内部構成を設定し、積層ゴム10の回転挙動を抑えるため、最大鉛直荷重時の鉛直沈み込み量を積層ゴム10の外形の1/200以下に設定する。
【0022】
上記構成を有する負荷試験装置1を用い、水平方向アクチュエータ4と鉛直方向アクチュエータ6とで被試験体Tに荷重を付加し、ロードセル8、9で被試験体Tの水平方向の負荷荷重を測定する。
【0023】
ここで、例えば、図9に示した従来の負荷試験装置71では、被試験体Tを載置した水平加振テーブル73を複数のローラ75で支持し、水平方向アクチュエータ74の先端にロードセル78を設けて被試験体Tの水平方向の負荷荷重を測定しているが、水平加振テーブル73と固定ベース79との間の摩擦により、図2(b)に示すように、水平加振テーブル73の水平変位の大きさに関わらず鉛直荷重に比例した(水平変位が増加するに伴って増加する)水平力Lが生じ、これがロードセル78による水平力測定の誤差に繋がる。
【0024】
一方、本発明のように積層ゴム10を用いると、図2(a)に示すように、第1加圧板7に積層ゴム10の水平変位の大きさに比例した水平力が加わるだけであって、ロードセル8、9は可動ベース3と固定ベース11との間の摩擦力を検出することがないため、可動ベース3と固定ベース11との間の構成を単純化することができる。すなわち、可動ベース3と固定ベース11との間が低摩擦になるような構成を採用しなくとも、水平力を高精度で測定することができる。また、鉛直方向アクチュエータ6による鉛直荷重の大きさに関わらず、積層ゴム10の水平変位の大きさに比例した水平力がロードセル8、9に加わるだけであるため、積層ゴム10の水平変位が小さい場合には水平力測定の誤差が小さくなる。そのため、簡易な構成で水平抵抗力を高精度で測定することができる。
【0025】
また、積層ゴム10の水平剛性は、ロードセル8、9の剛性の0.5%以下であるため、測定の際に積層ゴム10はほとんど移動及び変形することがない。そのため、積層ゴム10の設置による水平力測定の誤差は小さく、高精度の測定が可能になる。特に、低摩擦型すべり支承等のような鉛直荷重が大きく、水平抵抗力が小さい場合に他の方式と比べ誤差が小さくなる。
【0026】
さらに、積層ゴム10の水平剛性、及びロードセル8、9の剛性に基づき、以下の計算式により、ロードセル8、9で検出した水平力を補正して実際の被試験体Tの水平力を算出することができる。
支承水平力=検出水平力×(1+積層ゴムの水平剛性/ロードセルの剛性)
【0027】
尚、上記実施の形態においては、積層ゴム10を第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置し、被試験体Tを可動ベース3と第1加圧板7との間に配置したが、この位置関係を逆にし、積層ゴム10を可動ベース3と第1加圧板7との間に配置し、被試験体Tを第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置することも可能であり、その場合にも上記と同様の作用効果を奏する。
【0028】
図3は、上記積層ゴム10及びその近傍の構成の一実施例を示し、1方向の水平力を測定する場合を例示している。
【0029】
被試験体(不図示)の上面に当接する第1加圧板24の上面に積層ゴム10が載置され、積層ゴム10の上面に第2加圧板21が当接する。第2加圧板21の上方には、第2加圧板21に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータ(不図示)が配置される。第2加圧板21の垂下部21a、21bと、第1加圧板24の立上部24a、24bの間には、水平方向の負荷荷重を測定するロードセル22、23が配置される。ロードセル22、23は、各々5個づつ配置され、各々の定格容量は2MNであり、全体の定格容量は20MNである。
【0030】
積層ゴム10には、鉛直方向に貫通孔が穿設され、各々の貫通孔に通しボルト25が挿通される。これにより、積層ゴム10と隣接する部材との間の離間を防ぐと共に、回転変形を拘束することができる。特に、水平力の測定誤差を小さくするために積層ゴム10の厚さを厚くした場合に好適である。
【0031】
図4は、二方向の水平力を測定する場合の積層ゴム10及びその近傍の構成の一実施例を示す。
【0032】
被試験体(不図示)の上面に当接する第1加圧板28の上面に積層ゴム10が載置され、積層ゴム10の上面に第2加圧板26が当接する。第2加圧板26の上方には、第2加圧板26に鉛直方向の荷重を加える鉛直方向アクチュエータ(不図示)が配置される。第2加圧板26の4つの垂下部26aと、第1加圧板28の4つの立上部28aの間の各々には、水平方向の負荷荷重を測定するロードセル27が配置される。ロードセル27の各々の定格容量は2MNであり、定格容量4MNで二方向の測定が可能である。積層ゴム10に通しボルト25が配置され、積層ゴム10のと隣接する部材との間の離間、及び回転に対応している点は上記1方向測定用の場合と同様である。
【0033】
通しボルト25以外にも、図5に示すように、第1加圧板7の上面にストッパ29を設け、ストッパ29の立設部29aから水平方向内側に突出する突出部29bによって、積層ゴム10の上フランジ部10aの水平方向の移動を規制すると共に、上フランジ部10aから水平方向に突出する突出部10bの上方への移動を規制し、積層ゴム10と第1加圧板7又は上フランジ部10aの離間を防ぎ、回転変形を拘束することができる。また、ロードセル22、23を設置する際には、必要であれば、積層ゴム10の上下方向の沈み込みや、回転を許容するための軸受を設けてもよい。
【0034】
上述のように、本発明に係る負荷試験装置1によれば、被試験体T毎のロードセルの定格容量の変更、すなわちロードセルの交換、設置数の変更を容易に行うことができ、一般的な1軸のロードセルを用いて、容易に水平二方向の荷重検出を行うことができる。
【0035】
また、負荷試験装置1は、実験棟や工場等での負荷試験だけでなく、現地で橋梁や免震建物の免震装置に設置してモニタリングを行うこともできる。
【0036】
次に、本発明と従来の負荷試験装置における鉛直荷重載荷時の水平荷重の測定誤差の計算結果について説明する。
【0037】
表1は、図9に示した負荷試験装置71を用いた場合の被試験体Tに載荷する鉛直荷重、被試験体Tの水平力(真値)、及び検出される水平荷重(測定誤差を含む値)の関係、表2は、前記鉛直荷重、被試験体水平力、及び測定誤差の関係を示している。尚、図9では水平加振テーブル73をローラ75で支持したが、本計算では、直動ガイド方式で水平加振テーブル73を支持し、テーブルガイドの摩擦計数μが0.0025の場合を示している。表2に示されるように、鉛直荷重の増加に伴い測定誤差が増加し、特に鉛直荷重が大きく、検出水平荷重が小さいときの誤差が大きい。同表の黒塗りの部分は、ロードセル78の許容計測誤差率0.5%以上の誤差の部分である。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】
表3、表4は、多軸ロードセルを用いた負荷試験装置の被試験体Tに載荷する鉛直荷重、被試験体Tの水平力(真値)、及び検出される水平荷重(測定誤差を含む値)の関係、及び、前記鉛直荷重、被試験体水平力、及び測定誤差の関係を各々示している。この場合、多軸ロードセルで各方向の荷重検出値を補正するので測定誤差が生じることはない。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
表5は、図10に示した負荷試験装置81を用いた場合の被試験体Tに載荷する鉛直荷重、被試験体Tの水平力(真値)、及び検出される水平荷重(測定誤差を含む値)の関係、表6は、前記鉛直荷重、被試験体水平力、及び測定誤差の関係を示している。本計算では、ローラ90の摩擦計数μが0.0001の場合を示している。同表の黒塗りの部分は、ロードセル88の許容計測誤差率0.5%以上の部分であって、表2に比べて黒塗りの部分が少なくなっていることから判るように、表2の直動ガイド方式に比較して大幅に誤差が小さくなっているが、鉛直荷重が大きく、検出水平荷重が小さいときの誤差が依然として大きい。
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】
【0046】
表7は、図1に示した本発明に係る負荷試験装置1を用いた場合の被試験体Tに載荷する鉛直荷重、被試験体Tの水平力(真値)、及び検出される水平荷重(測定誤差を含む値)の関係、表8は、前記鉛直荷重、被試験体水平力、及び測定誤差の関係を示している。本計算では、積層ゴム10の水平剛性が10.047kN/mmで、積層ゴム10の寸法が平面視1600mmx1600mm、厚さ3mmで33層、被試験体Tの水平抵抗力に応じてロードセルの剛性を調整した場合を示している。表8に示されるように、鉛直荷重の増加に関わらず測定誤差は一定であり、表2の直動ガイド方式や表6のローラガイド方式に比較して大幅に誤差が小さくなっている。尚、表8でも、検出水平荷重が小さいときに比較的誤差が大きいが、これは、検出水平荷重が小さいと、すなわち被試験体の水平抵抗力が小さいと、ロードセルの変形に伴う積層ゴム10の水平力の影響を強く受けるからである。
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】
尚、上記実施の形態においては、本発明に係る負荷試験装置によって積層ゴム支承の水平方向の負荷荷重を測定する場合を例示したが、積層ゴム支承以外にも、鉛直方向と水平方向の荷重を同時に受け、水平変位に追従できる被試験体を対象とすることができる。
【0050】
次に、本発明に係る負荷試験装置の保持構造の他の例について、図6を参照しながら説明する。
【0051】
この保持構造31は、図1に示した積層ゴム10に代えて第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置されるものであって、圧力容器32とピストン33との間に非圧縮性液体としての作動油34が充填され、ピストン33の小径部33aとの圧力容器32の内面とがシールリング35でシールされる。保持構造31の水平剛性は、図1に示したロードセル8、9の剛性の0.5%以下になるように内部構成を設定する。図示を省略するが、作動油34を外部から圧力容器32に導くための流路が圧力容器32に穿設され、圧力容器32には作動油34を送るためのポンプと圧力計等が設けられる。
【0052】
圧力容器32とピストン33との間にはストッパボルト36、37が設けられる。ストッパボルト36、37によって、圧力容器32に対するピストン33の水平方向及び上方の移動が規制される。尚、ストッパボルト36、37以外にも、図5に示したストッパ29のように、ピストン33の大径部33bを囲繞してピストン33の水平方向及び上方の移動を規制するストッパを設けることもできる。
【0053】
上記保持構造31を用いると、圧力容器32とピストン33の微小な水平方向の相対変位をシールリング35の弾性変形で吸収することで、積層ゴム10を用いた場合と同様に、第1加圧板7に保持構造31の水平変位が増加するに伴って増加する水平力が加わるだけであって、ロードセル8、9は可動ベース3と固定ベース11との間の摩擦力を検出することがない。また、鉛直方向アクチュエータ6による鉛直荷重の大きさ関わらず、保持構造31の水平変位が増加するに伴って増加する水平力がロードセル8、9に加わるだけであるため、保持構造31の水平変位が小さい場合には水平力測定の誤差が小さくなり、簡易な構成で水平抵抗力を高精度で測定することができる。
【0054】
また、保持構造31の水平剛性は、ロードセル8、9の剛性の0.5%以下であるため、測定の際に保持構造31はほとんど移動及び変形することがなく、保持構造31の設置による水平力測定の誤差は小さく、高精度の測定が可能になる。
【0055】
次に、本発明に係る負荷試験装置の保持構造の他の例について、図7を参照しながら説明する。
【0056】
この保持構造41も、図1に示した積層ゴム10に代えて第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置されるものであって、圧力容器42の内部に非圧縮性液体としての作動油44が充填される。圧力容器42の上部42aと下部42bとは狭小部42cを介して一体化される。保持構造41の水平剛性は、図1に示したロードセル8、9の剛性の0.5%以下になるように内部構成を設定する。図示を省略するが、作動油44を外部から圧力容器42に導くための流路が圧力容器42に穿設され、流路を介して圧力容器42に作動油44を送るためのポンプと圧力計等が設けられる。
【0057】
圧力容器42の上部42aと下部42bとの間にはストッパボルト46、47が設けられる。ストッパボルト46、47によって、圧力容器42の下部42bに対する上部42aの水平方向及び上方の移動が規制される。尚、ストッパボルト46、47以外にも、図5に示したストッパ29のように、圧力容器42の上部42aを囲繞して上部42aの水平方向及び上方の移動を規制するストッパを設けることもできる。
【0058】
上記保持構造41を用いると、圧力容器42の上部42aと下部42bとの間の微小な水平方向の相対変位を狭小部42cの曲げ変形で吸収することで、積層ゴム10を用いた場合と同様に、図2(a)に示すように、第1加圧板7に保持構造41の水平変位が増加するに伴って増加する水平力が加わるだけであって、ロードセル8、9は可動ベース3と固定ベース11との間の摩擦力を検出することがない。また、鉛直方向アクチュエータ6による鉛直荷重の大きさ関わらず、保持構造41の水平変位が増加するに伴って増加する水平力がロードセル8、9に加わるだけであるため、保持構造41の水平変位が小さい場合には水平力測定の誤差が小さくなり、簡易な構成で水平抵抗力を高精度で測定することができる。
【0059】
また、保持構造41の水平剛性は、ロードセル8、9の剛性の0.5%以下であるため、測定の際に保持構造41はほとんど移動及び変形することがなく、保持構造41の設置による水平力測定の誤差は小さく、高精度の測定が可能になる。
【0060】
次に、本発明に係る負荷試験装置の保持構造の他の例について、図8を参照しながら説明する。
【0061】
この保持構造51も、図1に示した積層ゴム10に代えて第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置されるものであって、圧力容器を構成する下部52と上部53との間に非圧縮性液体としての作動油54が充填される。下部52と上部53との間には、第1Oリング55と、バックアップリング56と、第2Oリング57と、第3Oリング58とがシール手段として設けられる。保持構造51の水平剛性は、図1に示したロードセル8、9の剛性の0.5%以下になるように内部構成を設定する。図示を省略するが、作動油54を外部から下部52と上部53との間に導くための流路が下部52に穿設され、流路には作動油54を送るためのポンプと圧力計等が接続される。
【0062】
下部52と上部53との間には、ストッパボルト59、60が設けられる。ストッパボルト59、60によって、下部52に対する上部53の水平方向及び上方の移動が規制される。尚、ストッパボルト59、60以外にも、図5に示したストッパ29のように、上部53を囲繞して上部53の水平方向及び上方の移動を規制するストッパを設けることもできる。
【0063】
上記保持構造51を用いると、上部53と下部52との間の微小な水平方向の相対変位を第1〜3のOリング55、57、58の変形で吸収することで、積層ゴム10を用いた場合と同様に、図2(a)に示すように、第1加圧板7に保持構造51の水平変位が増加するに伴って増加する水平力が加わるため、ロードセル8、9は可動ベース3と固定ベース11との間の摩擦力を検出することがない。また、鉛直方向アクチュエータ6による鉛直荷重の大きさ関わらず、保持構造51の水平変位が増加するに伴って増加する水平力がロードセル8、9に加わるだけであるため、保持構造51の水平変位が小さい場合には水平力測定の誤差が小さくなり、簡易な構成で水平抵抗力を高精度で測定することができる。
【0064】
また、保持構造51の水平剛性は、ロードセル8、9の剛性の0.5%以下であるため、測定の際に保持構造51はほとんど移動及び変形することがなく、保持構造51の設置による水平力測定の誤差は小さく、高精度の測定が可能になる。
【0065】
尚、上記実施形態においては、保持構造31、41、51を図1の第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置し、被試験体Tを可動ベース3と第1加圧板7との間に配置した場合について説明したが、この位置関係を逆にし、保持構造31、41、51を可動ベース3と第1加圧板7との間に配置し、被試験体Tを第1加圧板7と第2加圧板12との間に配置することも可能であり、その場合にも上記と同様の作用効果を奏する。
【0066】
また、上記積層ゴム10や保持構造31、41、51以外にも、その上部と下部との間の水平方向の相対変位の大きさに比例した水平力、又は前記水平方向の相対変位が増加するに伴って増加する水平力が隣接する第1加圧部材7と第2加圧部材12等に付加することができる構造であれば種々のものを採用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 負荷試験装置
2 フレーム
3 可動ベース
4 水平方向アクチュエータ
5 ローラ
6 鉛直方向アクチュエータ
7 第1加圧板
8、9 ロードセル
10 積層ゴム
10a 上フランジ部
10b 突出部
11 固定ベース
12 第2加圧板
12a、12b 垂下部
13 ローラ
21 第2加圧板
21a、21b 垂下部
22、23 ロードセル
24 第1加圧板
24a、24b 立上部
25 通しボルト
26 第2加圧板
26a 垂下部
27 ロードセル
28 第1加圧板
28a 立状部
29 ストッパ
29a 立設部
29b 突出部
31 保持構造
32 圧力容器
33 ピストン
33a 小径部
33b 大径部
33c、33d 座繰り部
34 作動油
35 シールリング
36、37 ストッパボルト
41 保持構造
42 圧力容器
42a 上部
42b 下部
42c 狭小部
42d、42e 座繰り部
44 作動油
46、47 ストッパボルト
51 保持構造
52 下部
53 上部
53a、53b 座繰り部
54 作動油
55 第1Oリング
56 バックアップリング
57 第2Oリング
58 第3Oリング
59、60 ストッパボルト
T 被試験体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10