特許第6322090号(P6322090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322090
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】加振機
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/02 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   G01M7/02 D
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-176779(P2014-176779)
(22)【出願日】2014年9月1日
(65)【公開番号】特開2016-50867(P2016-50867A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2017年6月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】304039065
【氏名又は名称】カヤバ システム マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(72)【発明者】
【氏名】有坂 尚
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−189375(JP,A)
【文献】 特開平11−094689(JP,A)
【文献】 特開2014−009942(JP,A)
【文献】 特開2014−009943(JP,A)
【文献】 特開2010−286459(JP,A)
【文献】 特開2001−141599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 7/00 − 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線方向に往復動可能な可動部を有するリニアアクチュエータと、
前記可動部の往復動により伸縮するばね要素と、
前記ばね要素に連結される加振台と、
前記加振台に前記ばね要素と並列に連結されて、前記加振台の往復動を抑止可能なダンパ要素とを備えた
ことを特徴とする加振機。
【請求項2】
前記加振台が往復動可能に積載される振動床を備え、
前記ばね要素は、
前記可動部の往復動を前記振動床に伝達する第一のばねと、
前記振動床の往復動を前記加振台に伝達する第二のばねとを備え、
前記ダンパ要素は、
前記振動床の往復動を抑制可能な第一のダンパと、
前記加振台の往復動を抑制可能な第二のダンパとを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の加振機。
【請求項3】
前記リニアアクチュエータが取り付けられる基台を備え、
前記ばね要素は、
前記加振台と前記可動部との間に介装される可動部側ばねと、
前記加振台と前記基台との間に介装される基台側ばねとを備え、
前記ダンパ要素は、
前記加振台と前記可動部との間に介装される可動部側ダンパと、
前記加振台と前記基台との間に介装される基台側ダンパとを備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の加振機。
【請求項4】
前記リニアアクチュエータが取り付けられるとともに前記振動床が往復動可能に積載される基台を備え、
前記第一のばねは、
前記振動床と前記可動部との間に介装される第一可動部側ばねと、
前記振動床と前記基台との間に介装される第一基台側ばねとを備え、
前記第二のばねは、
前記加振台の一端と前記振動床との間に介装される第一加振台ばねと、
前記加振台の他端と前記振動床との間に介装される第二加振台ばねとを備え、
前記第一のダンパは、
前記振動床と前記可動部との間に介装される第一可動部側ダンパと、
前記振動床と前記基台との間に介装される第一基台側ダンパとを備え、
前記第二のダンパは、
前記加振台の一端と前記振動床との間に介装される第一加振台ダンパと、
前記加振台の他端と前記振動床との間に介装される第二加振台ダンパとを備えた
ことを特徴とする請求項2に記載の加振機。
【請求項5】
前記ダンパ要素は、伸縮時に減衰力を発揮しない状態と、減衰力を発揮する状態とに切替可能な切替部を備えた
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の加振機。
【請求項6】
前記ダンパ要素は、伸縮時に発揮する減衰力を可変にする減衰力可変部を備えた
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の加振機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加振機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加振機としては、たとえば、加振台と、アクチュエータと、アクチュエータと加振台との間に介装したばねと、基台と加振台との間に介装したばねとを備えて構成される(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この加振機は、加振台とばねでばねマス系を構成しているため、アクチュエータで加振台を固有振動数にて加振すれば、加振台を大振幅で振動させるのに小さな力で済むという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−009943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の加振機では、小さな力で加振台を大きく振動させうるが、加振台を停止させる場合には、アクチュエータで逆位相の振動を加振台へ与える必要があり、アクチュエータは加振時に比較して大きな力を発揮しなければならない。アクチュエータで加振台を停止させずに、ばねおよび摺動部で発生する摩擦力等で加振台が自然に停止するのを待つようにしてもよいが、この方法は合理的ではない。
【0006】
このように、アクチュエータは、加振台を安全に停止できるように大きな力を発揮しなくてはならないので、大型のアクチュエータを使用しなければならず、小さい力で大きな振動を与える共振を利用した加振機のメリットを享受できない。
【0007】
そこで、本発明は、上記不具合を解決するためになされ、その目的とするところは、出力の小さなアクチュエータの使用を可能とする加振機の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明の課題解決手段における加振機は、加振台の往復動を抑止可能なダンパ要素を備えたので、加振台の振動をダンパ要素が発生する減衰力で安全に停止できる。それゆえ、リニアアクチュエータには、加振台を停止させる大出力が要求されない。
【0009】
また、請求項2の加振機によれば、加振台が往復動可能に積載される振動床を備えて、ばね要素をリニアアクチュエータの可動部の往復動を振動床に伝達する第一のばねと振動床の往復動を加振台に伝達する第二のばねとし、ダンパ要素を振動床の往復動を抑制可能な第一のダンパと、加振台の往復動を抑制可能な第二のダンパとしたので、加振機が二質点に自由度の系となるため、一次モードと二次モードの異なる振動数で加振台の加振が可能であり、複数の振動数での試験が可能となる。また、振動床上に加振台を往復動させるようになっているので、加振機の横幅をコンパクトにできる。
【0010】
請求項3の加振機によれば、ダンパ要素が加振台と可動部との間に介装される可動部側ダンパと、加振台と基台との間に介装される基台側ダンパとを備えているので、可動部側ダンパ或いは基台側ダンパに異常が生じても加振台を安全に停止ができる。
【0011】
請求項4の加振機によれば、振動床と可動部との間に介装される第一可動部側ばねと、振動床と基台との間に介装される第一基台側ばねと、加振台の一端と振動床との間に介装される第一加振台ばねと、加振台の他端と振動床との間に介装される第二加振台ばねとを備えるので、加振機が二質点に自由度の系となる。そのため、一次モードと二次モードの異なる振動数で加振台の加振が可能となり、複数の振動数での試験が可能となる。また、振動床上に加振台を往復動させるようになっているので、加振機の横幅がコンパクトとなる。さらに、振動床と前記可動部との間に介装される第一可動部側ダンパと、振動床と基台との間に介装される第一基台側ダンパと、加振台の一端と振動床との間に介装される第一加振台ダンパと、加振台の他端と振動床との間に介装される第二加振台ダンパとを備えているので、一部に異常が生じても加振台を安全に停止できる。
【0012】
請求項5の加振機によれば、ダンパ要素が伸縮時に減衰力を発揮しない状態と、減衰力を発揮する状態とに切替可能な切替部を備えているので、リニアアクチュエータで加振台を加振する際には、ダンパ要素に減衰力を発揮させないようにしてエネルギロスなく加振台の加振が可能となり、加振機の消費エネルギを少なくできる。
【0013】
請求項6の加振機によれば、ダンパ要素が伸縮時に発揮する減衰力を可変にする減衰力可変部を備えているので、減衰力を変更でき加振台の振幅の制御が可能となる。また、ストロークエンドで減衰力を大きくする場合には、ダンパ要素を加振台の過大ストロークを規制するストッパとしての利用できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加振機によれば、出力の小さなアクチュエータを使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第一の実施の形態における加振機の側面図である。
図2】ダンパ要素としてのダンパの概略断面図である。
図3】第二の実施の形態における加振機の側面図である。
図4】第三の実施の形態における加振機の側面図である。
図5】第四の実施の形態における加振機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。第一の実施の形態における加振機K1は、図1に示すように、基台2と、リニアアクチュエータ3と、上記加振台4と、ばね要素5と、ダンパ要素6とを備えて構成されており、ばね要素5とダンパ要素6がリニアアクチュエータ3と加振台4との間に介装してある。そして、この加振機K1では、リニアアクチュエータ3を駆動してばね要素5を介して加振台4に振動を与えられる。
【0017】
以下、第一の実施の形態の加振機K1の各部について詳細に説明する。基台2は、この実施の形態では、加振台4が走行する走行床2aと、走行床2aから起立してリニアアクチュエータ3を保持する保持部2bとを備えて構成されている。また、走行床2aには、少なくとも二つ以上であって互いに平行に配置されるガイドレール2cが設けられている。
【0018】
リニアアクチュエータ3は、この実施の形態では、油圧シリンダとされており、基台2の保持部2bに保持されるシリンダ3aと、シリンダ3a内に摺動自在に挿入されたピストン3bと、シリンダ3a内に移動自在に挿入されるとともに一端がピストン3bに連結されたピストンロッド3cと、シリンダ3a内にピストン3bで区画したロッド側室R1とピストン側室R2とに作動油を給排させてシリンダ3aに対してピストン3bを軸方向に相対移動させる油圧ポンプ3dとを備えている。そして、このリニアアクチュエータ3にあっては、上記の油圧ポンプ3dによってロッド側室R1へ作動油を供給し、ピストン側室R2から作動油を排出させて、ピストン3bとこれに連結されたピストンロッド3cを図1中右方向へ移動させる。また、リニアアクチュエータ3にあっては、ロッド側室R1から作動油を排出させ、ピストン側室R2へ作動油を供給して、ピストン3bとこれに連結されたピストンロッド3cを図1中左方向へ移動させる。すなわち、この実施の形態にあっては、リニアアクチュエータ3における可動部Mは、ピストン3bとこれに連結されたピストンロッド3cで構成され、当該可動部Mの軸方向への往復移動を可能とする。
【0019】
なお、リニアアクチュエータ3は、作動流体を作動油以外の流体、たとえば、気体を使用する空圧シリンダであってもよいし、このようなシリンダ型のアクチュエータ以外にも、リニアモータ、或いは、回転型のモータと送りねじ機構とでなるリニアアクチュエータとされてもよい。そして、リニアモータであれば、磁石と電磁石とで構成され、いずれか一方を可動部とすればよく、回転型のモータと送りねじ機構とでなるリニアアクチュエータにあっても、モータ或いは送りねじ機構にて直線運動を呈する部材を可動部とすればよい。
【0020】
他方、加振台4は、図示しない試験片を取り付け可能な台本体4aと、台本体4aの下部に設けられてガイドレール2cを走行する複数のベアリング4bとを備えている。ベアリング4bとガイドレール2cとでリニアガイドを構成しており、加振台4は、リニアガイドによって案内されて上記した基台2の走行床2a上を図1中左右方向となるリニアアクチュエータ3の伸縮方向に一致する方向へ走行できるようになっている。よって、この実施の形態の場合、少なくとも二つ以上のガイドレール2cが平行に設けられていて、加振台4は、傾かずに基台2上を往復動できる。
【0021】
なお、この実施の形態では、リニアガイドを設けて基台2の走行床2aを加振台4がリニアアクチュエータ3の伸縮方向に一致する方向へ往復動可能となっているが、リニアガイドを設ける代わりに、加振台4に走行床2aを走行可能な車輪を設けて加振台4が走行床2a上を走行できるようにしてもよいし、また、基台2の走行床2a側にガイドロッドを設け、ガイドロッドに摺接するブッシュを加振台4に取り付けて、加振台4のリニアアクチュエータ3の伸縮方向に一致する方向への移動を案内するようにしてもよい。また、加振台4の床本体4aの下面或いは基台2の走行床2aの上面に多数のボールを配して、加振台4に走行床2a上を走行させるようにしてもよい。さらには、走行床2aにローラを多数配置しておき、当該ローラ上を加振台4に走行させるようにしてもよく、走行床2aと加振台4を低摩擦材量で形成してこれらの接触面を平滑にして、走行床2a上を加振台4に滑らせるようにしてもよい。なお、基台2は、リニアアクチュエータ3を保持できればよいので、走行床2aは必須ではないが、上述したように、走行床2aを設ける方が、加振台4の走行に適する環境を提供できるので、加振台4の円滑な移動を実現できる。また、走行床2aの設置に代えて、加振台4を空気圧または油圧を利用して非接触でスライドさせるスライド機構を設けてもよい。
【0022】
ばね要素5は、この場合、コイルばねとされており、一端が加振台4に連結され、他端がリニアアクチュエータ3のピストンロッド3cに連結されている。そして、リニアアクチュエータ3を駆動させると、ばね要素5を伸縮させて、加振台4の振動を実現できる。つまり、ばね要素5を介してリニアアクチュエータ3の可動部Mの往復動を加振台4へ伝達できるようになっている。なお、ばね要素5は、コイルばねに限定されず、外力を受けて伸縮し、当該伸縮に伴って外力に対抗する反力を発生する弾性体であればよい。
【0023】
ダンパ要素6は、この場合、図2に示すように、一つの液圧ダンパで構成されており、この液圧ダンパは、詳細には、シリンダ6aと、シリンダ6a内に摺動自在に挿入されたピストン6bと、シリンダ6a内に移動自在に挿入されるとともに途中にピストン6bが連結されたピストンロッド6cと、シリンダ6a内にピストン6bで区画した伸側室6dと圧側室6eと、伸側室6dと圧側室6eとを連通する通路6fと、伸側室6dと圧側室6eとを連通するバイパス通路6gと、通路6fの途中に設けられて通過する液体の流れに与える抵抗を変更可能な減衰力可変バルブ6hと、バイパス通路6gの途中に設けられてバイパス通路6gを開閉する開閉バルブ6iとを備えて構成されている。減衰力可変バルブ6hは、図示したところでは、ソレノイドで弁体を駆動して流路面積を変更可能な電磁バルブとされているが、ソレノイド以外のアクチュエータで弁体を駆動するバルブであってもよい。また、開閉バルブ6iについても、図示したところでは、ソレノイドで弁体を駆動して流路を開閉する電磁バルブとされているが、ソレノイド以外のアクチュエータで弁体を駆動するバルブであってもよい。これら減衰力可変バルブ6hおよび開閉バルブ6iは、制御装置Cに接続されており、制御装置Cの指令通りに制御できるようになっている。
【0024】
そして、このダンパ要素6にあっては、開閉バルブ6iを閉じた状態で外力によって伸長せしめられる場合、圧縮される伸側室6dから通路6fおよび減衰力可変バルブ6hを通過して拡大される圧側室6eへ液体が移動する。この液体の通過に対して、減衰力可変バルブ6hが抵抗を与えて伸側室6dと圧側室6eに差圧を生じるため、ダンパ要素6は、伸長を妨げる減衰力を発揮する。減衰力可変バルブ6hが液体の流れに与える抵抗を変更して、ダンパ要素6における減衰力が調整されるので、ダンパ要素6の発揮する減衰力を可変にできる。
【0025】
また、このダンパ要素6にあっては、開閉バルブ6iを閉じた状態で外力によって収縮せしめられる場合、圧縮される圧側室6eから通路6fおよび減衰力可変バルブ6hを通過して拡大される伸側室6dへ液体が移動する。この液体の通過に対して、減衰力可変バルブ6hが抵抗を与えて圧側室6eと伸側室6dに差圧を生じるため、ダンパ要素6は、収縮を妨げる減衰力を発揮する。減衰力可変バルブ6hが液体の流れに与える抵抗を変更して、ダンパ要素6における減衰力が調整されるので、ダンパ要素6の発揮する減衰力を可変にできる。よって、減衰力可変バルブ6hは、ダンパ要素6が伸縮時に発揮する減衰力を可変にする減衰力可変部として機能している。
【0026】
他方、開閉バルブ6iを開いてバイパス路6gが開放された状態では、外力によってダンパ要素6が伸縮せしめられる場合、液体は、減衰力可変バルブ6hよりも抵抗の小さいバイパス路6gを優先して通過するため、ダンパ要素6は、伸縮を妨げる減衰力をほとんど発揮しない状態となる。よって、バイパス路6gおよび開閉バルブ6iは、ダンパ要素6を伸縮時に減衰力を発揮しない状態と、減衰力を発揮する状態とに切替え可能な切替部として機能している。
【0027】
以上より、ダンパ要素6は、本実施の形態の場合、開閉バルブ6iを開くと減衰力を発揮せず、ばね要素5の伸縮を妨げない状態となり、反対に、開閉バルブ6iを閉じると減衰力を発揮してばね要素5の伸縮を妨げる状態となる。
【0028】
ダンパ要素6の前記した構造は一例であって、その構造を任意に設計変更可能であり、他の構造を採用できる。たとえば、前記したところでは、ダンパ要素6は、伸側室6dと圧側室6eの双方にピストンロッド6cが挿通されるいわゆる両ロッド型のダンパとされているが、片ロッド型のダンパとされもよいし、液圧ダンパ以外にも空圧ダンパを用いてもよい。また、ダンパ要素6は、バイフロー型のダンパであってもよし、ユニフロー型のダンパであってもよい。さらに、作動流体についても作動油の他、水、水溶液、電磁粘性流体、或いは電気粘性流体を利用してもよい。電磁粘性流体を用いる場合には、減衰力可変部に通路6fに磁界を作用させるコイルを採用すればよく、電気粘性流体を用いる場合には、減衰力可変部に通路6fに電界を作用させればよい。
【0029】
このように構成された加振機K1にあっては、リニアアクチュエータ3の可動部Mであるピストン3bとピストンロッド3cを往復動させると、ばね要素5が伸縮する。そして、上記可動部Mの振動は、当該ばね要素5を介して加振台4へ伝達されるので、この加振機K1は、加振台4を基台2に対して相対的に移動できる。加振台4を加振する場合、ダンパ要素6の切替部である開閉バルブ6iを開弁させてバイパス路6gを有効として、ダンパ要素6が減衰力を発揮しない状態とするようにするとよい。このようにすれば、ダンパ要素6がリニアアクチュエータ3の駆動による加振台4の加振を妨げないので、リニアアクチュエータ3の運動エネルギをロスなく加振台4の加振へ使用できる。よって、ダンパ要素6に切替部を設ければ、加振機K1の消費エネルギを小さくできる。なお、ダンパ要素6が切替部を備えておらず、伸縮中は減衰力を発揮し続けるようになっていても、加振台4の加振は可能であり、切替部を備えていないダンパ要素の使用も可能である。
【0030】
そして、ばね要素5の質量を無視すれば、加振台4の質量および加振台4に取り付ける図示しない試験片の質量とばね要素5のばね定数で決まる固有振動数、すなわち、加振台4とばね要素5の系における固有振動数でリニアアクチュエータ3の可動部Mを往復動させると、ばね要素5が固有振動数で伸縮して加振台4が共振するので、リニアアクチュエータ3の可動部Mの振幅が増幅されて可動床4に伝達される。このように固有振動数に一致する振動数で加振台4を加振させると、リニアアクチュエータ3の推力が小さく、最初のうちは加振台4の振幅が小さくとも、徐々に加振台4の振幅が大きくなり、加振台4は大きく振動する。
【0031】
つづいて、加振台4を停止させる場合、ダンパ要素6の開閉バルブ6iを閉弁して通路6gを遮断し、ダンパ要素6に減衰力を発揮させるようにする。なお、この場合、リニアアクチュエータ3を停止すればよいが、積極的に加振台4の振動と逆位相で伸縮させるようにしてもよい。加振台4の振動は、ダンパ要素6の伸縮によって発生する減衰力で抑制され、加振台4の運動エネルギおよびばね要素5の弾性エネルギがダンパ要素6によって熱に変換され、加振台4は安全に停止する。また、加振台4の振幅を制御したい場合にも、ダンパ要素6に減衰力を発揮させて、加振台4の振動が抑制されるので、加振台4の振幅を制御できる。具体的には、リニアアクチュエータ3を駆動しつつ、ダンパ要素6の減衰力を調節して、所望する加振台4の振幅を実現できる。
【0032】
このように、本発明の加振機K1では、リニアアクチュエータ3の可動部Mの振幅を増幅して、加振台4の大きな振幅での振動を実現できる。これにより、加振機K1では、加振台4の振幅よりも短いストローク長を持つリニアアクチュエータ3を利用できる。そして、本発明の加振機K1では、加振台4を停止させる場合にはダンパ要素6が発生する減衰力を利用でき、リニアアクチュエータ3が大きな推力を発揮する必要がない。よって、本発明の加振機K1によれば、出力の小さなアクチュエータの使用が可能となる。また、出力の小さなリニアアクチュエータ3を利用すれば足りるので、装置を大型化せず、低コストでともに、消費電力を低減できるという共振を利用した加振機のメリットを最大限に享受可能となる。また、ダンパ要素6の減衰力を変更できるので、リニアアクチュエータ3で大きな出力を発揮して加振台4の振幅を制御する必要がなく、ダンパ要素6の減衰力を変更して加振台4の振幅を制御できる。
【0033】
なお、ダンパ要素6は、リニアアクチュエータ3と加振台4との間に両者に連結されて介装されているが、基台2と加振台4との間への介装も可能である。減衰力可変バルブ6hをシリンダ6a側に設置する場合、基台2と加振台4との間へのダンパ要素6の介装を考えると、基台2にシリンダ6aを連結するようにしておけば、減衰力可変バルブ6hが基台2側に連結されて振動しないので、ソレノイドへの配線の取り回しが容易となる。
【0034】
また、ダンパ要素6は、前述したところでは、通路6fを減衰力可変バルブ6hで通過する液体の流れに与える抵抗を変更可能としているが、ダンパ要素6がストロークエンド近傍まで変位するとそれ以上のストロークエンド側への変位に対しては通路6fを絞る或いは遮断するようにすれば、ダンパ要素6が加振台4の過大振幅を規制するストッパとして機能できる。具体的には、図2に示すように、シリンダ6aの両端近傍に通路6fに接続されるポート6j,6kが設けられており、シリンダ6aに対してピストン6bが伸側のストロークエンド近傍まで変位するとポート6jに差し掛かって、それ以上の伸側のストロークエンド側への変位に対して徐々にポート6jを遮断するようになっていて、ダンパ要素6が発揮する減衰力が大きくなるようになっている。反対に、シリンダ6aに対してピストン6bが圧側のストロークエンド近傍まで変位するとポート6kに差し掛かって、それ以上の圧側のストロークエンド側への変位に対して徐々にポート6kを遮断するようになっていて、ダンパ要素6が発揮する減衰力が大きくなるようになっている。このようにダンパ要素6を構成すれば、ダンパ要素6にストッパ機能を持たせて加振台4の過大振幅の規制が可能となる。このように、減衰力可変バルブ6hに加えて、ピストン6bによってポート6j,6kを遮断させる機構をも含めて減衰力変更部を構成するようにしてもよい。なお、ダンパ要素6がストロークエンド近傍まで変位する際に、減衰力を大きくする構造は、前記した構造に限られず、たとえば、減衰力可変バルブ6hを制御してストロークエンド近傍まで変位する際に流路面積を絞り、ストッパ機能を実現できる。ダンパ要素6にストッパ機能を設けるのではなく、図1中破線で示すように、基台2に加振台4が最大ストロークした際に当接して加振台4のそれ以上の同方向のストロークを規制するストッパS1,S2を設けるようにしてもよい。
【0035】
また、ばね要素5は、図1に示したところでは、加振台4とリニアアクチュエータ3との間に設けた一つのばねで構成されているが、図3に示した、第二の実施の形態の加振機K2のように、ばね要素を加振台4とリニアアクチュエータ3との間に介装した可動部側ばね51と、加振台4と基台2に設けたばね受部2dとの間に介装される基台側ばね52とで構成してもよい。この場合、加振台4が可動部側ばね51と基台側ばね52とで挟まれる格好となっている。可動部側ばね51と基台側ばね52は、圧縮状態で介装されてもよいし、自然長或いは伸長状態で介装されてもよい。また、可動部側ばね51と基台側ばね52のばね定数は、同じでも異なっていてもよいが、加振台4を加振しやすい固有振動数になるように前記ばね定数を設定すればよい。
【0036】
また、ダンパ要素についても、ダンパ要素を加振台4とリニアアクチュエータ3との間に介装した可動部側ダンパ61と、加振台4と基台2に設けたばね受部2dとの間に介装される基台側ダンパ62とで構成してもよい。可動部側ダンパ61および基台側ダンパ62は、前述した第一の実施の形態におけるダンパ要素6の具体的構成と同様に構成されればよいが、他の構成を備えるダンパであってもよく、また、第一の実施の形態におけるダンパ要素6で説明した前述の各種バリエーションを適用できる。ダンパ要素を可動部側ダンパ61と基台側ダンパ62とで構成したので、いずれか一方のダンパ61,62に異常が認められても、他方の正常なダンパを利用して加振台4を安全に停止させうる。
【0037】
さらに、この場合、可動部側ダンパ61或いは基台側ダンパ62の一方についてのみ減衰力可変部を設けて、加振台4の振幅の制御の際には減衰力可変部を備えているダンパについてのみ減衰力を変更して、振幅制御を行ってもよい。可動部側ダンパ61の一端をリニアアクチュエータ3に連結するのではなく、基台2に連結するようにして、基台2に対する加振台4の振動を減衰させるようにしてもよい。また、可動部側ダンパ61或いは基台側ダンパ62の一方が発生する減衰力で、加振台4を安全に停止できるようであれば、いずれか一方のみを設けてダンパ要素としてもよい。
【0038】
このように構成された第二の実施の形態の加振機K2にあっても、リニアアクチュエータ3の可動部Mの振幅を増幅して、加振台4の大きな振幅の振動を実現できる。よって、本発明の加振機K2によれば、出力の小さなアクチュエータの使用が可能となる。また、出力の小さなリニアアクチュエータ3を利用すれば足りるので、装置が大型化せず、低コストでともに、消費電力を低減できるという共振を利用した加振機のメリットを最大限に享受できる。
【0039】
第三の実施の形態における加振機K3について説明する。加振機K3は、図4に示すように、基台2と、加振台4が往復動可能に積載される振動床7と、リニアアクチュエータ3における可動部Mの往復動を振動床7に伝達する第一のばね10と、振動床7の往復動を加振台4に伝達する第二のばね11と、振動床7の往復動を抑制可能な第一のダンパ12と、加振台4の往復動を抑制可能な第二のダンパ13とを備えて構成されている。
【0040】
振動床7は、この実施の形態では、加振台4が走行する床本体7aと、床本体7aの両端から起立するばね受部7bと、床本体7aの図4中上端に設けたガイドレール7cと、基台2の走行床2aに設けたガイドレール2cを走行する複数のベアリング7dとを備えて構成されている。第一の実施の形態の加振機K1では、加振台4に設けたベアリング4bに走行床2aのガイドレール2cを走行させてリニアガイドを構成していたが、本実施の形態では、振動床7に設けたベアリング7dにガイドレール2cを走行させるようになっており、振動床7は、走行床2a上をリニアアクチュエータ3の伸縮方向へ往復動できるようになっている。なお、リニアガイドに代えて、振動床7に走行床2aを走行可能な走行輪を設ける等とできるのは、第一の実施の形態の加振台4が基台2の走行床2a上を走行する構造について説明したのと同様である。
【0041】
加振台4は、振動床7における床本体2aに積載され、ガイドレール7cを走行するベアリング4bを備えている。ベアリング4cとガイドレール7cとでリニアガイドが構成されていて、加振台4は、ベアリング4bを介して振動床7に設けたガイドレール7c上を往復動可能とされている。ガイドレール7cとガイドレール2cは、同一方向に沿って設けられており、加振台4は、振動床7上をリニアアクチュエータ3の伸縮方向へ往復動できるようになっている。ガイドレール7cが二つ以上が平行に設けられているので、加振台4は、傾かずに振動床7上を往復動できる。なお、リニアガイドに代えて、加振台4に振動床7を走行可能な走行輪を設ける等とできるのは、第一の実施の形態の加振台4が基台2の走行床2a上を走行する構造について説明したのと同様である。
【0042】
第三の実施の形態の加振機K3では、ばね要素は、前記した第一のばね10と第二のばね11とで構成されている。第一のばね10は、この場合、コイルばねとされており、リニアアクチュエータ3における可動部Mと振動床7との間に介装されており、可動部Mを駆動して往復動させると、この往復動を振動床7に伝達するようになっている。第二のばね11は、この場合、コイルばねとされており、振動床7のばね受部7bと加振台4との間に介装されており、振動床7の往復動を加振台4に伝達するようになっている。よって、リニアアクチュエータ3を駆動して駆動部Mを往復動するので、ばね要素である第一のばね10および第二のばね11が伸縮して、加振台4が振動する。つまり、この第三の実施の形態の加振機K3にあっても、ばね要素を介してリニアアクチュエータ3の可動部Mの往復動を加振台4へ伝達できるようになっている。なお、第一のばね10と第二のばね11は、コイルばねに限定されず、外力を受けて伸縮し、当該伸縮に伴って外力に対抗する反力を発生する弾性体であればよい。また、第一のばね10および第二のばね11のばね定数は、同じでも異なっていてもよいが、加振台4を加振しやすい固有振動数になるように前記ばね定数を設定すればよい。
【0043】
第三の実施の形態の加振機K3では、ダンパ要素は、前記した第一のダンパ12と第二のダンパ13とで構成されている。第一のダンパ12は、この場合、前述した第一の実施の形態の加振機K1におけるダンパ要素6としてのダンパと同様の構成を備えており、リニアアクチュエータ3における可動部Mと振動床7との間に介装されている。第一のダンパ12は、減衰力を発揮する状態と発揮しない状態を切り替え可能であって、また、減衰力を発揮する状態では減衰力を変更できるようになっている。そして、第一のダンパ12が減衰力を発揮する状態では、可動部Mと振動床7の相対振動が減衰力によって抑制され、第一のダンパ12が減衰力を発揮しない状態では、リニアアクチュエータ3による振動床7の加振を妨げないようになっている。第一のダンパ12は、基台2と振動床7との間に介装されてもよく、また、第一のダンパ12にあってもダンパ要素6と同様にストロークエンドで減衰力を大きくして振動床7の過大なストロークを規制するストッパとして機能を発揮するよう構成されてもよい。なお、第一のダンパ12についても、減衰力の変更および減衰力の発揮の可不可を切り替えられないパッシブなダンパとされてもよい。
【0044】
第二のダンパ13は、この場合、前述した第一の実施の形態の加振機K1におけるダンパ要素6としてのダンパと同様の構成を備えており、振動床7と加振台4との間に介装されている。具体的には、第二のダンパ13は、振動床7のばね受部7bと加振台4との間に介装されている。第二のダンパ13は、減衰力を発揮する状態と発揮しない状態を切り替え可能であって、また、減衰力を発揮する状態では減衰力を変更できるようになっている。そして、第二のダンパ13が減衰力を発揮する状態では、振動床7と加振台4の相対振動が減衰力によって抑制され、第二のダンパ13が減衰力を発揮しない状態では、リニアアクチュエータ3によって駆動される振動床7による加振台4の加振を妨げないようになっている。なお、第二のダンパ13は、基台2と加振台4との間に介装されてもよく、また、第二のダンパ13にあってもダンパ要素6と同様にストロークエンドで減衰力を大きくして振動床7の過大なストロークを規制するストッパとして機能を発揮するよう構成されてもよい。なお、第二のダンパ13についても、減衰力の変更および減衰力の発揮の可不可を切り替えできないパッシブなダンパとされてもよい。第二のダンパ13が基台2と加振台4との間に介装される場合、減衰力不足とならなければ、第一のダンパ12を省略できる。
【0045】
このように構成された加振機K3にあっては、リニアアクチュエータ3の可動部Mであるピストン3bとピストンロッド3cを往復動させると、第一のばね10が伸縮して振動床7に可動部Mの往復動が伝達されて振動床7が振動する。この振動床7の振動によって第二のばね11が伸縮して加振台4も振動する。このように、可動部Mの振動は、当該ばね要素である第一のばね10および第二のばね11を介して加振台4へ伝達され、この加振機K3は、加振台4を基台2に対して相対的に移動できる。加振台4を加振する場合、ダンパ要素である第一のダンパ12および第二のダンパ13が減衰力を発揮しない状態としておけば、リニアアクチュエータ3の駆動による運動エネルギをロスなく加振台4を加振できる。この実施の形態の場合、振動床7と加振台4の二質点を備え、リニアアクチュエータ3と振動床7との間に第一のばね10が介装され、振動床7と加振台4との間に第二のばね11が介装されているので、この系では、一次モードと一次モードより高い振動数の二次モードの二つの固有振動数を備えている。一次モードでは、振動床7と加振台4の振動方向が同じ方向となり、二次モードでは、振動床7と加振台4の振動方向が逆方向となる。一次モード或いは二次モードの固有振動数で加振台4を加振すれば大きな振幅の振動を得られる。一次モードによる加振では、振動床7と加振台4とが同方向に振動するので、二次モードによる加振に比較して加振台4の振幅を大きくしやすい利点がある。なお、ダンパ要素である第一のダンパ12および第二のダンパ13が切替部を備えておらず、伸縮中は減衰力を発揮し続けるパッシブなダンパであっても、加振台4の加振は可能であり、使用できる。
【0046】
このように固有振動数に一致する振動数で加振台4を加振させると、リニアアクチュエータ3の推力が小さく、最初のうちは加振台4の振幅が小さくとも、徐々に加振台4の振幅が大きくなり、加振台4は、大きく振動できる。
【0047】
つづいて、加振台4を停止させる場合、ダンパ要素である第一のダンパ12および第二のダンパ13が発生する減衰力で加振台4および振動床7の振動を減衰させるので、加振台4および振動床7を安全に停止できる。この実施の形態の加振機K3にあっても、加振台4および振動床7の運動エネルギおよびばね要素の弾性エネルギがダンパ要素によって熱に変換され、加振台4を安全に停止できる。なお、二質点二自由度の系では、リニアアクチュエータ3で加振する振動数が振動床7の振動を停止或いは振幅を減少させうる振動数があるので、そのような振動数でリニアアクチュエータ3を駆動するようにすると速やかに加振台4の振動を停止可能である。
【0048】
また、加振台4の振幅を制御したい場合にも、ダンパ要素である第一のダンパ12および第二のダンパ13に減衰力を発揮させて、加振台4の振動が抑制されるので、加振台4の振幅を制御できる。具体的には、リニアアクチュエータ3を駆動しつつ、ダンパ要素である第一のダンパ12および第二のダンパ13の一方または両方の減衰力を調節して、所望する加振台4の振幅を実現できる。なお、第二のダンパ13を基台2と加振台4との間に介装して第一のダンパ12を省略する場合には、第二のダンパ13の減衰力を調節すれば加振台4の振幅の制御が可能となる。
【0049】
このように、本発明の加振機K3では、リニアアクチュエータ3の可動部Mの振幅を増幅して、加振台4の大きな振幅の振動を実現できる。これにより、加振機K3では、加振台4の振幅よりも短いストローク長を持つリニアアクチュエータ3を利用できる。そして、本発明の加振機K3では、加振台4の振幅を制御する場合、或いは、停止させる場合にはダンパ要素が発生する減衰力を利用でき、リニアアクチュエータ3が大きな推力を発揮する必要がない。よって、本発明の加振機K3によれば、出力の小さなアクチュエータの使用が可能となる。また、出力の小さなリニアアクチュエータ3を利用すれば足りるので、装置を大型化せず、低コストでともに、消費電力を低減できるという共振を利用した加振機のメリットを最大限に享受できる。
【0050】
さらに、加振機K3は、振動床7の上に加振台4を往復動可能に積載しているので、加振機K3の図4中の横方向幅を短くでき、加振機K3をコンパクトにできる。
【0051】
また、加振機K3が二質点二自由度の系となるため、一次モードと二次モードの異なる振動数で加振台4の振動を実現可能であるので、複数の振動周波数で試験片の振動試験の実行が可能となる。
【0052】
なお、第一のダンパ12を基台2と振動床7とに連結するようにし、第二のダンパ13を加振台4と振動床7とに連結するようにしておけば、第一のダンパ12および第二のダンパ13の切替部および減衰力可変部におけるソレノイドへの配線の取り回しが容易となる。第一のダンパ12および第二のダンパ13にストッパ機能を設けるのではなく、図4中破線で示すように、基台2に振動床7が最大ストロークした際に当接して振動床7のそれ以上の同方向のストロークを規制するストッパS3,S4を設けるとともに、振動床7に加振台4の最大ストロークを規制するストッパS5,S6を設けるようにしてもよい。
【0053】
また、第一のばね10は、図4に示したところでは、振動床7とリニアアクチュエータ3との間に設けた一つのばねで構成されているが、図5に示した、第四の実施の形態の加振機K4のように、振動床7とリニアアクチュエータ3の可動部Mとの間に介装した第一可動部側ばね71と、振動床7と基台2に設けたばね受部2dとの間に介装される第一基台側ばね72とで構成してもよい。この場合、振動床7が第一可動部側ばね71と第一基台側ばね72とで挟まれる格好となっている。第一可動部側ばね71と第一基台側ばね72は、圧縮状態で介装されてもよいし、自然長或いは伸長状態で介装されてもよい。
【0054】
さらに、第二のばね11は、図4に示したところでは、振動床7と加振台4との間に設けた一つのばねで構成されているが、図5に示した、第四の実施の形態の加振機K4のように、振動床7の一端に設けたばね受部7bと加振台4との間に介装した第一加振台ばね73と、振動床7の他端に設けたばね受部7eと加振台4との間に介装される第二加振台ばね74とで構成してもよい。この場合、加振台4が第一加振台ばね73と第二加振台ばね74とで挟まれる格好となっている。第一加振台ばね73と第二加振台ばね74は、圧縮状態で介装されてもよいし、自然長或いは伸長状態で介装されてもよい。また、第一可動部側ばね71、第一基台側ばね72、第一加振台ばね73および第二加振台ばね74の各ばね定数は、同じでも異なっていてもよいが、加振台4を加振しやすい固有振動数になるように前記ばね定数を設定すればよい。
【0055】
また、第一のダンパ12は、図4に示したところでは、振動床7とリニアアクチュエータ3との間に設けた一つのダンパで構成されているが、図5に示した、第四の実施の形態の加振機K4のように、振動床7とリニアアクチュエータ3の可動部Mとの間に介装した第一可動部側ダンパ81と、振動床7と基台2に設けたばね受部2dとの間に介装される第一基台側ダンパ82とで構成してもよい。この場合、第一可動部側ダンパ81は、基台2と振動床7との間への介装も可能である。
【0056】
さらに、第二のダンパ13は、図4に示したところでは、振動床7と加振台4との間に設けた一つのダンパで構成されているが、図5に示した、第四の実施の形態の加振機K4のように、振動床7の一端に設けたばね受部7bと加振台4との間に介装した第一加振台ダンパ83と、振動床7の他端に設けたばね受部7eと加振台4との間に介装される第二加振台ダンパ84とで構成してもよい。
【0057】
この場合、第一加振台ダンパ83および第二加振台ダンパ84は、基台2と加振台4との間への介装も可能である。
第一可動部側ダンパ81、第一基台側ダンパ82、第一加振台ダンパ83および第二加振台ダンパ84は、前述した第一の実施の形態におけるダンパ要素6の具体的構成と同様に構成されればよいが、他の構成を備えるダンパであってもよく、また、第一の実施の形態におけるダンパ要素6で説明した前述の各種バリエーションを適用可能である。
【0058】
さらに、この場合、第一可動部側ダンパ81と第一基台側ダンパ82の一方と、第一加振台ダンパ83と第二加振台ダンパ84の一方についてのみ減衰力可変部を設けて、加振台4の振幅の制御の際には減衰力可変部を備えているダンパについてのみ減衰力を変更して、振幅制御を行うようにしてもよい。第一可動部側ダンパ81と第一基台側ダンパ82の一方と、第一加振台ダンパ83と第二加振台ダンパ84の一方について異常が認められても、正常なダンパを利用して加振台4を安全に停止できる。
【0059】
このように構成された第四の実施の形態の加振機K4にあっても、第三の実施の形態の加振機K3と同様に、二質点二自由度の系であるから一次モード或いは二次モードの固有振動数で加振すれば、リニアアクチュエータ3の可動部Mの振幅を増幅して加振台4の大きな振幅での振動を実現できる。よって、本発明の加振機K4によれば、出力の小さなアクチュエータの使用が可能となる。また、出力の小さなリニアアクチュエータ3を利用すれば足りるので、装置を大型化せず、低コストでともに、消費電力を低減できるという共振を利用した加振機のメリットを最大限に享受できる。
【0060】
さらに、加振機K4は、振動床7の上に加振台4を往復動可能に積載しているので、加振機K4の図5中の横方向幅を短くでき、加振機K4をコンパクトにできる。
【0061】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されない。
【符号の説明】
【0062】
2 基台、3 リニアアクチュエータ、4 加振台、5 ばね要素、6 ダンパ要素、6h 減衰力可変バルブ(減衰力可変部)、6i 開閉バルブ(切替部)、7 振動床、10 第一のばね、11 第二のばね、12 第一のダンパ、13 第二のダンパ、51 可動部側ばね、52 基台側ばね、61 可動部側ダンパ、62 基台側ダンパ、71 第一可動部側ばね、72 第一基台側ばね、73 第一加振台ばね、74 第二加振台ばね、81 第一可動部側ダンパ、82 第一基台側ダンパ、83 第一加振台ダンパ、84 第二加振台ダンパ、K1,K2,K3,K4 加振機、M 可動部
図1
図2
図3
図4
図5