(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合せを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0011】
なお、以下に示す各図では、説明および理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。XYZのそれぞれの向きについては、後に図ごとに説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子機器1の斜視図である。
図1において、左方に向かう向きをXプラス方向とし、上方に向かう向きをYプラス方向とし、紙面手前向きをZプラス方向とする。電子機器1は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)といった樹脂で形成される保持部としての樹脂ケース2を備え、キャパシタ3を保持する。
図1では、電子機器1がキャパシタ3を3つ保持している例を示している。
【0013】
図2は、キャパシタ3を保持した状態における電子機器1の、
図1のA−A断面における側断面図である。
図2および後述の
図4から6において、左方に向かう向きをXプラス方向とし、紙面奥向きをYプラス方向とし、上方に向かう向きをZプラス方向とする。
【0014】
キャパシタ3は、円柱型のキャパシタ本体31と、一対のリード32と、を備える。一対のリード32は、キャパシタ本体31の対向する2つの円形状の面のうち一方の面である上面33からキャパシタ本体31の軸方向(
図2においてXプラス方向)に突出しており、屈曲部34においてL字状に曲げられている。また、キャパシタ本体31の対向する2つの円形状の面のうち他方の面である底面35には、防爆弁(図示省略)が設けられている。
【0015】
図3は、樹脂ケース2の斜視図である。
図3において、下方に向かう向きをXプラス方向とし、左方に向かう向きをYプラス方向とし、紙面手前向きをZプラス方向とする。
【0016】
樹脂ケース2は、キャパシタ本体31が配置される保持空間21と、キャパシタ本体31の側面の形状に応じて円弧状に湾曲形成された接触部22と、接触部22からZプラス方向に立設してキャパシタ本体31の上面33と接する前壁23と、接触部22からZプラス方向に立設してキャパシタ本体31の軸方向(
図3においてX方向)に延在する一対の側壁24と、一対の側壁24の間に架設されたブリッジ25と、ブリッジ25から前壁23側(
図3においてXプラス方向)に突出する押さえ26と、を備える。これら接触部22、前壁23、一対の側壁24、ブリッジ25、および押さえ26は、一体に形成される。
【0017】
図2に示すように、押さえ26は、ブリッジ25から伸びるアーム261と、アーム261の先端部から接触部22に向かって(
図2においてZマイナス方向)突出する半円弧状の押し付け部262と、を備える。アーム261は、弾性変形可能に形成される。
【0018】
樹脂ケース2がキャパシタ本体31を保持している状態では、押し付け部262が、キャパシタ本体31の側面のうち、キャパシタ本体31の中央より底面35側であって、リード32の屈曲部34より先端側が延伸する向き(
図2においてZプラス方向)側に当接し、アーム261の弾性力によりキャパシタ本体31を押圧する。この押圧力により、保持空間21を挟んで押し付け部262と向かい合う接触部22に、キャパシタ本体31の側面が押し付けられる。
【0019】
なお、接触部22のうちキャパシタ本体31の底面35側は、
図3に示すように、切り欠けが設けられている。このため、押さえ26と対向する領域A3には、接触部22は存在していない。しかし、樹脂ケース2がキャパシタ本体31を保持している状態におけるキャパシタ本体31の長手方向の中心軸に一致する直線(
図3においてX方向に延伸する直線)を保持軸線とすると、押し付け部262がキャパシタ本体31に当接する保持軸線方向(保持軸線が延伸する方向)の位置と一致する位置、すなわち領域A3の両脇の領域A1および領域A2では、キャパシタ本体31が接触部22に接触する。このため、保持軸線と直交する同一平面内において、接触部22がキャパシタ本体31の側面に接触するとともに、押し付け部262がキャパシタ本体31の側面に当接することになる。
【0020】
また、
図2に示すように、樹脂ケース2には、電極端子部としての一対の銅バー41が設けられている。これら一対の銅バー41は、それぞれ、樹脂ケース2がキャパシタ本体31を保持している状態において、一対のリード32のうち屈曲部34より先端側と接触する。これら一対の銅バー41のそれぞれは、一対のリード32のそれぞれと溶接や半田付けなどにより固着される。
【0021】
前壁23の上面には、前壁23のうちキャパシタ本体31の上面33と接触する側から、銅バー41が設けられている側に向かって(
図2においてXプラス方向)、溝状に一対のガイド27が形成されている。一対のガイド27の間隔は、一対のリード32の間隔に等しく、ガイド27の幅は、リード32の直径より一回り大きい。
【0022】
樹脂ケース2には開口部S1が形成されており、この開口部S1により、樹脂ケース2がキャパシタ本体31を保持している状態においてキャパシタ本体31の底面35が樹脂ケース2と接触しないように開放されている。また、ブリッジ25および押さえ26と、一対の銅バー41と、一対の側壁24と、に挟まれた領域には、開口部S2が形成されている。
【0023】
以上の電子機器1にキャパシタ3を保持させる際の手順、すなわち
図2に示したようにキャパシタ本体31を樹脂ケース2に保持させる際の手順について、
図4から6を用いて以下に説明する。
【0024】
まず、
図4に示すように開口部S1の下方からZプラス方向にキャパシタ3を移動させて、
図5に示すようにキャパシタ本体31の側面をブリッジ25の下面に当接させる。なお、ブリッジ25の下面は、キャパシタ本体31の側面の形状に応じて円弧状に湾曲形成されている。また、一対のリード32の間を押さえ26が通過できるように、アーム261および押し付け部262のY方向の幅が定められている。
【0025】
次に、ブリッジ25の下面にキャパシタ本体31の側面が接している状態で、キャパシタ3を保持空間21に向けて(
図5および
図6においてXプラス方向)移動させて、キャパシタ本体31の上面33を前壁23に当接させる。このXプラス方向へのキャパシタ3の移動時には、押さえ26がZプラス方向に押し上げられる。また、キャパシタ3が保持空間21に収容されると、アーム261の弾性力によって、キャパシタ本体31が押し付け部262と接触部22とで挟持される。これによれば、
図2に示したように樹脂ケース2がキャパシタ本体31を保持している状態になる。その後、一対の銅バー41のそれぞれを一対のリード32のそれぞれと溶接や半田付けなどにより固着させる。
【0026】
以上の電子機器1によれば、以下の効果を奏することができる。
【0027】
電子機器1は、キャパシタ本体31を保持する樹脂ケース2を備えており、樹脂ケース2は、キャパシタ本体31の側面に接触する接触部22と、キャパシタ本体31の側面に当接してキャパシタ本体31を接触部22に押し付ける押し付け部262と、を備える。このため、接触部22および押し付け部262によりキャパシタ本体31を挟持して、キャパシタ3を保持することができる。
【0028】
また、電子機器1に設けられている樹脂ケース2は、モールド樹脂により一体成形することにより形成された接触部22、前壁23、一対の側壁24、ブリッジ25、および押さえ26を備える。このため、電子機器1は、一体に形成された樹脂ケース2だけでキャパシタ本体31を保持することができるので、電子機器1の製造コストを低減することができる。
【0029】
また、電子機器1に設けられている樹脂ケース2には開口部S1が形成されており、この開口部S1により、樹脂ケース2がキャパシタ本体31を保持している状態においてキャパシタ本体31の底面35が樹脂ケース2と接触しないように開放されている。このため、キャパシタ本体31の底面35に形成されている防爆弁を塞がない。したがって、電子機器1は、キャパシタ3の防爆弁の機能を妨げることなく、キャパシタ3を保持することができる。
【0030】
また、電子機器1に設けられている樹脂ケース2は、保持軸線と直交する同一平面内において、接触部22がキャパシタ本体31の側面に接触するとともに、押し付け部262がキャパシタ本体31の側面に当接する。このため、保持軸方向の一致する位置において、押し付け部262と接触部22とがキャパシタ本体31に接触する。したがって、押し付け部262と接触部22とが、保持軸線方向の互いに異なる位置においてキャパシタ本体31に接触する場合と比べて、電子機器1は、キャパシタ3を安定して保持することができる。
【0031】
また、電子機器1では、キャパシタ本体31の側面のうち、キャパシタ本体31の中央より底面35側であって保持軸線方向の一致する位置において押し付け部262と接触部22とがキャパシタ本体31に接触するだけでなく、この保持軸線方向の位置から前壁23の立設している位置まで接触部22がキャパシタ本体31に接触する。このため、キャパシタ本体31の側面が接触部22と接触する面積を確保することができるので、電子機器1は、キャパシタ3をさらに安定して保持することができる。
【0032】
また、電子機器1に設けられている樹脂ケース2は、ブリッジ25および押さえ26と、一対の銅バー41と、一対の側壁24と、に挟まれた領域に開口部S2が形成されている。このため、
図4から6を用いて上述したようにキャパシタ本体31を樹脂ケース2に保持させる際に、一対のリード32が干渉することなく、キャパシタ3を移動させることができる。また、アーム261および押し付け部262のY方向の幅が、一対のリード32の間隔より小さいため、一対のリード32が押さえ26と干渉することなく、キャパシタ3を移動させることもできる。さらに、ブリッジ25がキャパシタ本体31の側面に当接するので、キャパシタ3をより安定して保持することができるとともに、キャパシタ3を保持空間21に向けて移動させる際のガイドにすることもできる。したがって、電子機器1にキャパシタ3を保持させる際の作業性を向上させることができる。
【0033】
また、電子機器1に設けられている樹脂ケース2は、前壁23の上面にガイド27が形成されている。このため、
図6に示した状態から
図2に示した状態になるまでキャパシタ3を移動させる際に、リード32がガイド27の溝に入って動きが規制され、リード32が銅バー41まで案内されることになる。したがって、電子機器1にキャパシタ3を保持させる際の作業性や、リード32と銅バー41とを溶接や半田付けなどにより固着させる際の作業性を、向上させることができる。
【0034】
また、電子機器1は、上述のようにキャパシタ3を安定して保持することができる。これによれば、電子機器1にキャパシタ3を保持させてから、銅バー41をリード32と溶接や半田付けなどにより固着させるまでに間に、キャパシタ3の位置がずれてしまうのを抑制することができるので、溶接や半田付けなどにより固着させる際の作業性を向上させることができる。また、銅バー41をリード32と溶接や半田付けなどにより固着させた後であっても、樹脂ケース2によりキャパシタ3を安定して保持し続けることができるので、振動による応力がリード32にかかってしまうのを抑制して、リード32の破断を抑制することができる。
【0035】
また、電子機器1は、複数のキャパシタ3が配置されている方向(
図1においてY方向)とは直交する位置に押し付け部262を設けている。このため、互いに隣接するキャパシタ3同士の間隔を狭くすることができ、電子機器1を小型化できる。
【0036】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る電子機器1Aの斜視図である。
図7において、左方に向かう向きをXプラス方向とし、上方に向かう向きをYプラス方向とし、紙面手前向きをZプラス方向とする。電子機器1Aは、樹脂で形成される保持部としての樹脂ケース5を備え、キャパシタ3を保持する。なお、電子機器1Aにおいて、本発明の第1実施形態に係る電子機器1と同一構成要件については、同一符号を伏し、その説明を省略する。
【0037】
図8は、キャパシタ3を保持した状態における電子機器1Aの、
図7におけるB−B断面における側断面図である。
図8および後述の
図10から12において、左方に向かう向きをXプラス方向とし、紙面奥向きをYプラス方向とし、上方に向かう向きをZプラス方向とする。
【0038】
図9は、樹脂ケース5の正面図である。
図9において、下方に向かう向きをXプラス方向とし、左方に向かう向きをYプラス方向とし、紙面手前向きをZプラス方向とする。
【0039】
図8に示すように、樹脂ケース5は、キャパシタ本体31が配置される保持空間51と、キャパシタ本体31の側面の形状に応じて円弧状に湾曲形成された第1の接触部52と、第1の接触部52からZマイナス方向に立設してキャパシタ本体31の上面33と接する前壁53と、第1の接触部52からZマイナス方向に立設してキャパシタ本体31の軸方向(
図8においてX方向)に延在する一対の側壁54(
図7、9参照)と、キャパシタ本体31の側面の形状に応じて円弧状に湾曲形成されて一対の側壁54の間に架設された第2の接触部55と、前壁53から第2の接触部55側(
図8においてXマイナス方向)に突出する弾性変形可能に構成されたアーム56と、アーム56から第1の接触部52側に突出する弾性変形可能に構成された押し付け部57と、を備える。これら第1の接触部52、前壁53、一対の側壁54、第2の接触部55、アーム56、および押し付け部57は、一体に形成される。
【0040】
樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態では、押し付け部57が、キャパシタ本体31の側面のうち、キャパシタ本体31の中央より上面33側であって、リード32の屈曲部34より先端側が延伸する向きと逆向き(
図2においてZプラス方向)側に当接し、押し付け部57の弾性力によりキャパシタ本体31を押圧する。この押圧力により、保持空間51を挟んで押し付け部57と向かい合う第1の接触部52に、キャパシタ本体31の側面が押し付けられる。
【0041】
また、第2の接触部55は、キャパシタ本体31の側面のうち、キャパシタ本体31の中央より底面35側であって、第1の接触部52が接触する側と反対側に接触する。
【0042】
なお、第1の接触部52と押し付け部57とは、保持空間51を挟んで対向する位置に設けられている。このため、樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態におけるキャパシタ本体31の長手方向の中心軸に一致する直線(
図8においてX方向に延伸する直線)を保持軸線とすると、第1の接触部52と押し付け部57とは、保持軸線方向(保持軸線が延伸する方向)の一致する位置でキャパシタ本体31に接触する。このため、保持軸線と直交する同一平面内において、第1の接触部52がキャパシタ本体31の側面に接触するとともに、押し付け部57がキャパシタ本体31の側面に当接することになる。
【0043】
図7に示すように、樹脂ケース5には、電極端子部としての一対の銅バー71が設けられている。これら一対の銅バー71は、それぞれ、樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態において、一対のリード32のうち屈曲部34より先端側と接触する。これら一対の銅バー71のそれぞれは、一対のリード32のそれぞれと溶接や半田付けなどにより固着される。
【0044】
樹脂ケース5には、保持空間51にキャパシタ本体31を収容するときにキャパシタ本体31および一対のリード32と干渉しないように、第1の開口部S3(
図8参照)、第2の開口部S4、および第3の開口部S5が設けられている。
【0045】
図10に示すように、第1の開口部S3は、樹脂ケース5のうち押し付け部57が設けられている側に開口して形成されており、第1の開口部S3を挟んで第2の接触部55とアーム56とが位置している。この第1の開口部S3は、樹脂ケース5の保持軸線(
図10においてX方向に延伸する直線)に対して、保持軸線とリード32の屈曲部34より先端側の延伸軸線とを含む平面内(
図10においてXZ平面内)でキャパシタ本体31の中心軸を傾けて、キャパシタ本体31の底面35側を押し付け部57が設けられている側から保持空間51へ挿入可能な大きさおよび形状に形成される。
【0046】
第2の開口部S4は、樹脂ケース5のうち第1の接触部52から第2の接触部55までの間に開口して形成されている。この第2の開口部S4は、第1の開口部S3を通過したキャパシタ本体31の底面35側が通過可能であって、かつ、キャパシタ本体31の中心軸を樹脂ケース5の保持軸線に合わせる方向へのキャパシタ本体31の回転移動時にキャパシタ本体31と干渉しないように形成される。また、アーム56および押し付け部57のY方向の幅は、一対のリード32の間隔より小さく形成されている。このため、キャパシタ本体31の回転移動時に、一対のリード32とアーム56および押し付け部57とが干渉することがない。
【0047】
図9に示すように、第3の開口部S5は、第1の接触部52と前壁53に開口して形成されている。第3の開口部S5は、上述のキャパシタ本体31の挿入時と、上述のキャパシタ本体31の回転移動時と、回転移動後に樹脂ケース5の保持軸線に沿って前壁53側にキャパシタ本体31を移動させる直線移動時と、において一対のリード32が通過可能なように形成される。この第3の開口部S5は、一対のリード32のそれぞれに対応して1つずつ設けられており、一対の第3の開口部S5の間隔は、一対のリード32の間隔に等しく、第3の開口部S5の幅は、リード32の直径より一回り大きい。
【0048】
以上の電子機器1Aにキャパシタ3を保持させる際の手順、すなわち
図8に示したようにキャパシタ本体31を樹脂ケース5に保持させる際の手順について、
図10から12を用いて以下に説明する。
【0049】
まず、
図10に示すように、樹脂ケース5の保持軸線に対してXZ平面内でキャパシタ本体31の中心軸を傾けて、第1の開口部S3から保持空間51に向かって、キャパシタ本体31の底面35からキャパシタ3を挿入する。
【0050】
ここで、第2の開口部S4は、上述のように、第1の開口部S3を通過したキャパシタ本体31の底面35側が通過可能に形成されている。このため、
図10や
図11に示すように、キャパシタ本体31の挿入時に、キャパシタ本体31の底面35側を、第2の開口部S4を介して保持空間51の外側に突出させることができる。したがって、キャパシタ本体31の底面35側が干渉することなく、キャパシタ本体31を保持空間51へ挿入することができる。
【0051】
また、第3の開口部S5は、上述のように、キャパシタ本体31の挿入時にリード32が通過可能なように形成されている。このため、キャパシタ本体31の挿入時に、一対のリード32を、前壁53に設けられた第3の開口部S5を介して保持空間51内に入れることができる。また、キャパシタ本体31の挿入時には、アーム56および押し付け部57が一対のリード32の間を通り抜けるようになっているので、上述のように一対のリード32とアーム56および押し付け部57とが干渉することがない。したがって、
図10に示した状態から
図11に示した状態になるまでキャパシタ本体31を保持空間51へ挿入する際に、一対のリード32が前壁53やアーム56や押し付け部57に干渉することなく、キャパシタ本体31を保持空間51へ挿入することができる。
【0052】
次に、
図11に示すように、リード32の屈曲部34より先端側が保持空間51内に入ると、キャパシタ本体31の中心軸を樹脂ケース5の保持軸線に合わせる方向に(Y軸周りに)回転移動させる。
【0053】
第3の開口部S5は、前壁53だけでなく、第1の接触部52に亘って設けられており、キャパシタ本体31の上述の回転移動時に、第1の接触部52に設けられた第3の開口部S5に一対のリード32が挿入される。このため、キャパシタ本体31を
図12に示す状態まで回転移動させる際に、一対のリード32を、第3の開口部S5を介して保持空間51の外側に突出させることができる。したがって、一対のリード32が第1の接触部52に干渉することなく、キャパシタ本体31を回転移動させることができる。
【0054】
次に、
図12に示すように、キャパシタ本体31の中心軸が樹脂ケース5の保持軸線に一致すると、
図8に示したようにキャパシタ本体31の上面33が前壁53に当接するまで、樹脂ケース5の保持軸線に沿って前壁53側にキャパシタ3を直線移動させる。押し付け部57には、第2の接触部55側に勾配が設けられており、キャパシタ3の直線移動時には、キャパシタ本体31の上面33が押し付け部57の勾配部分に突き当てられる。このとき、アーム56がZマイナス方向に押し下げられる。これにより、キャパシタ本体31がアーム56の弾性力によって、押し付け部57と第1の接触部52とで挟持される。
【0055】
ここで、第3の開口部S5は、上述のように、キャパシタ本体31の直線移動時にリード32が通過可能なように形成されている。このため、キャパシタ本体31の直線移動時に、一対のリード32を、第3の開口部S5を介して保持空間51の外側に突出させておくことができる。したがって、一対のリード32が第1の接触部52や前壁53に干渉することなく、キャパシタ本体31を直線移動させることができる。
【0056】
その後、一対の銅バー71のそれぞれを一対のリード32のそれぞれと溶接や半田付けなどにより固着させる。
【0057】
ここで、第2の開口部S4は、上述のように、樹脂ケース5のうち第1の接触部52から第2の接触部55までの間に開口して形成されている。このため、樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態では、キャパシタ本体31の底面35の全面が、第2の開口部S4に面し、第2の開口部S4により、キャパシタ本体31の底面35が樹脂ケース5に接触しないように開放されることになる。したがって、第2の開口部S4は、樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態においてキャパシタ本体31の底面35に樹脂ケース5が接触しない大きさおよび形状で、形成されていることになる。
【0058】
以上の電子機器1Aによれば、以下の効果を奏することができる。
【0059】
電子機器1Aは、キャパシタ本体31を保持する樹脂ケース5を備えており、樹脂ケース5は、キャパシタ本体31の側面に接触する第1の接触部52と、キャパシタ本体31の側面に当接してキャパシタ本体31を第1の接触部52に押し付ける押し付け部57と、を備える。このため、第1の接触部52および押し付け部57によりキャパシタ本体31を挟持して、キャパシタ3を保持することができる。
【0060】
また、電子機器1Aに設けられている樹脂ケース5は、モールド樹脂により一体成形することにより一体に形成された第1の接触部52、前壁53、一対の側壁54、第2の接触部55、アーム56、および押し付け部57を備える。このため、電子機器1Aは、一体に形成された樹脂ケース5だけでキャパシタ本体31を保持することができるので、電子機器1Aの製造コストを低減することができる。
【0061】
また、電子機器1Aに設けられている樹脂ケース5には第2の開口部S4が形成されており、この第2の開口部S4により、樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態においてキャパシタ本体31の底面35が樹脂ケース5と接触しないように開放されている。このため、キャパシタ本体31の底面35に形成されている防爆弁を塞がない。したがって、電子機器1Aは、キャパシタ3の防爆弁の機能を妨げることなく、キャパシタ3を保持することができる。
【0062】
また、電子機器1Aに設けられている樹脂ケース5は、押し付け部57がキャパシタ本体31に当接する保持軸線方向の位置と一致する位置において、第1の接触部52によりキャパシタ本体31に接触する。このため、保持軸線方向の一致する位置において、押し付け部57と第1の接触部52とがキャパシタ本体31に接触する。したがって、押し付け部57と第1の接触部52とが、保持軸線方向の互いに異なる位置においてキャパシタ本体31に接触する場合と比べて、電子機器1Aは、キャパシタ3を安定して保持することができる。
【0063】
また、電子機器1Aでは、キャパシタ本体31の側面のうち、キャパシタ本体31の中央より上面33側であって保持軸線方向の同一の位置において第1の接触部52と押し付け部57とがキャパシタ本体31に接触するだけでなく、キャパシタ本体31の中央より底面35側であって第1の接触部52が接触する側と反対側において第2の接触部55がキャパシタ本体31に接触する。つまり、第1の接触部52と第2の接触部55とは、キャパシタ本体31の側面を挟むようにしてキャパシタ本体31の側面と接触する。このため、第1の接触部52および押し付け部57と、第2の接触部55と、により、キャパシタ本体31の中心軸方向に互いに離れた位置で、キャパシタ本体31と接触させることができるので、電子機器1Aは、キャパシタ3をさらに安定して保持することができる。
【0064】
また、電子機器1Aに設けられている樹脂ケース5には、第1の開口部S3が形成されている。このため、第1の開口部S3から保持空間51に向かって、キャパシタ本体31の底面35からキャパシタ3を挿入することができる。
【0065】
また、電子機器1Aに設けられている樹脂ケース5には、第2の開口部S4が形成されている。このため、キャパシタ本体31の底面35側が干渉することなく、キャパシタ本体31を保持空間51へ挿入することができる。
【0066】
また、電子機器1Aに設けられている樹脂ケース5には、第3の開口部S5が形成されている。具体的には、前壁53や第1の接触部52の銅バー71と対向している位置に亘って、第3の開口部S5が設けられている。このため、キャパシタ本体31を樹脂ケース5に保持させる際に、一対のリード32を、第1の接触部52や前壁53に干渉させることなく、キャパシタ本体31を保持空間51へ挿入し、回転移動させた後に、直線移動させることができる。したがって、電子機器1Aにキャパシタ3を保持させる際の作業性を向上させることができる。
【0067】
また、
図12に示した状態から
図8に示した状態になるまでキャパシタ3を移動させる際に、リード32が第3の開口部S5に入って動きが規制され、リード32が銅バー71まで案内されることになる。したがって、電子機器1Aにキャパシタ3を保持させる際の作業性や、リード32と銅バー71とを溶接や半田付けなどにより固着させる際の作業性を、向上させることができる。
【0068】
また、電子機器1Aは、上述のようにキャパシタ3を安定して保持することができる。これによれば、電子機器1Aにキャパシタ3を保持させてから、銅バー71をリード32と溶接や半田付けなどにより固着させるまでに間に、キャパシタ3の位置がずれてしまうのを抑制することができるので、溶接や半田付けなどにより固着させる際の作業性を向上させることができる。また、銅バー71をリード32と溶接や半田付けなどにより固着させた後であっても、樹脂ケース5によりキャパシタ3を安定して保持し続けることができるので、振動による応力がリード32にかかってしまうのを抑制して、リード32の破断を抑制することができる。
【0069】
また、電子機器1Aは、複数のキャパシタ3が配置されている方向(
図7においてY方向)とは直交する位置に押し付け部57を設けている。このため、互いに隣接するキャパシタ3同士の間隔を狭くすることができ、電子機器1Aを小型化できる。
【0070】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計なども含まれる。
【0071】
例えば、上述の各実施形態では、キャパシタ本体31は、円柱型であるものとしたが、これに限らず、例えば角型であってもよい。
【0072】
また、上述の各実施形態では、リード32は、L字状に曲げられているものとしたが、これに限らず、曲げられておらず直線状のものであってもよい。この場合、銅バー71におけるリード32と固着する面が、リード32の向きと平行になるようにすればよい。
【0073】
また、上述の第2実施形態では、キャパシタ本体31の側面のうちキャパシタ本体31の中央より上面33側に、押し付け部57が当接するものとした。ここで、キャパシタ本体31の側面には、例えば上面33の近傍に、溝が形成されている場合がある。そこで、溝が形成されている場合には、樹脂ケース5がキャパシタ本体31を保持している状態においてこの溝に引っかかる位置に、押し付け部57を設けてもよい。これによれば、キャパシタ3をさらに安定して保持することができる。
【0074】
また、上述の各実施形態において、電子機器1や電子機器1Aは、基板にキャパシタ3を固定するために用いられるものであってもよいし、キャパシタ3単体やキャパシタ3および他の部品を保持するために用いられるものであってもよい。
【0075】
また、上述の第1実施形態では、押し付け部262は、ブリッジ25から伸びるアーム261の先端部から接触部22に向って突出して設けられるものとした。しかし、これに限らず、例えば
図13の押し付け部262Aのように、ブリッジ25から接触部22に向って突出して設けてもよい。また、例えば
図14に示すように、樹脂ケース2のうち銅バー41が取り付けられている側からアーム261が伸び、アーム261の先端部から接触部22に向って押し付け部262が突出して設けられるものとしてもよい。
【0076】
また、上述の第2実施形態における第2の接触部55に、
図15に示すようにスリットS6を設けてもよい。これによれば、スリットS6が設けられていない場合と比べて、第2の接触部55が弾性変形しやすくなる。このため、
図10から12を用いて上述したようにキャパシタ本体31を樹脂ケース5に保持させる際に、作業性を向上させることができる。