(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322409
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】門扉
(51)【国際特許分類】
E06B 11/06 20060101AFI20180423BHJP
E05C 3/04 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
E06B11/06
E05C3/04 F
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-271126(P2013-271126)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-124567(P2015-124567A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100073276
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 公總
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 大和
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直人
(72)【発明者】
【氏名】江川 雅也
【審査官】
富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−152977(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3106595(JP,U)
【文献】
特開2001−342753(JP,A)
【文献】
特開2001−207766(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0074453(US,A1)
【文献】
米国特許第05765411(US,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0215924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/06
E05C 3/04
E05B 1/00−85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部を回動中心として回動自在に設けられた扉本体と、前記扉本体の他端部に回動自在に取り付けられ、前記扉本体の外面及び内面と平行な仮想面上を回動するハンドルと、前記扉本体が閉位置に位置付けられた状態で前記扉本体の他端部側に位置する構造物と、前記扉本体を前記閉位置に維持する維持手段と、を備えた門扉において、
前記維持手段が、
前記扉本体に内蔵され、前記ハンドルの回動操作に連動して前記扉本体の内外に突没自在に変位するアームと、
前記構造物に取り付けられ、前記扉本体が前記閉位置に位置付けられた状態で前記アームが係止可能なアーム受け部と、
を備えており、
前記アームが、基部と、該基部から前記扉本体の上側又は下側に向かって延び、前記アーム受け部内に位置付けられて該アーム受け部と係止可能な引掛け部と、により鉤状に形成されている
ことを特徴とする門扉。
【請求項2】
前記構造物の前記アーム受け部近傍に取り付けられ、前記扉本体から突出した前記アームが前記構造物に当たることを防止する保護部材をさらに備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の門扉。
【請求項3】
前記ハンドルが、前記扉本体の外面側に配置される第1把持部と、前記扉本体の内面側に配置される第2把持部と、前記第1把持部と前記第2把持部とを連結した当該ハンドルの回動中心となる連結部と、を備え、
前記第1把持部及び前記第2把持部が、前記扉本体に関して面対称となる形状に形成され、かつ、前記第1把持部、前記第2把持部、前記連結部、が相互に分離可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動自在に設けられた扉本体を備えた門扉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の打ち掛け錠を備えた門扉の概略平面図である。
図7は、
図6に示された打ち掛け錠の説明図である(特許文献1を参照。)。
【0003】
図6,7に示すように、両開き門扉300は、不図示の門柱等にヒンジを介して回動自在に取り付けられた一対の扉301,302と、これら一対の扉301,302を閉位置に維持する打ち掛け錠303と、を備えている。
【0004】
打ち掛け錠303は、一方の扉301に回動自在に取り付けられた一対の把持部333及び該把持部333に連結されたアーム331と、他方の扉302の内面側に取り付けられ、アーム331の自由端が係合するアーム受335と、を備えている。一対の把持部333は、一方が扉301の外面側に配置され、他方が扉301の内面側に配置されている。これら一対の把持部333は、互いに連動して回動するように連結されている。又、アーム331は、他方の把持部333に連結されており、扉301,302の内面側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−67440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した打ち掛け錠303を備えた門扉300においては、以下に示す複数の問題があった。
【0007】
まず、上記門扉300においては、一対の扉301,302の内面側にアーム331及びアーム受335が配置されており、一対の扉301,302の内面側の意匠に制約が生じてしまうという問題があった。
【0008】
又、強風が吹いた際や門扉300に強い衝撃が加えられた際に、アーム331がアーム受335から外れて扉301,302が開いてしまうことがあるという問題があった。
【0009】
さらに、この種の門扉においては扉が左側に開く左勝手と右側に開く右勝手の二方向の開閉構造があり、上記門扉300は右勝手となっている。このため、ハンドル333、アーム331、アーム受335等の部品は右勝手仕様のものが用いられている。しかし、ユーザーの希望等に応じて上記門扉300の勝手を左勝手とする場合、ハンドル333、アーム331、アーム受335等の部品を全て左勝手仕様のものを用いなくてはならず、当該門扉300の製造乃至在庫の現場等においては揃えておくべき部品の種類が多くなってしまうという問題があった。
【0010】
したがって、本発明は、扉本体の内面側の意匠の制約を少なくすることが可能な門扉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載された発明は、一端部を回動中心として回動自在に設けられた扉本体と、前記扉本体の他端部に回動自在に取り付けられ、前記扉本体の外面及び内面と平行な仮想面上を回動するハンドルと、前記扉本体が閉位置に位置付けられた状態で前記扉本体の他端部側に位置する構造物と、前記扉本体を前記閉位置に維持する維持手段と、を備えた門扉において、前記維持手段が、前記扉本体に内蔵され、前記ハンドルの回動操作に連動して前記扉本体の内外に突没自在に変位するアームと、前記構造物に取り付けられ、前記扉本体が前記閉位置に位置付けられた状態で前記アームが係止可能なアーム受け部と、を備えて
おり、前記アームが、基部と、該基部から前記扉本体の上側又は下側に向かって延び、前記アーム受け部内に位置付けられて該アーム受け部と係止可能な引掛け部と、により鉤状に形成されていることを特徴とする門扉である。
【0013】
請求項
2に記載された発明は、請求項
1に記載された発明において、前記構造物の前記アーム受け部近傍に取り付けられ、前記扉本体から突出した前記アームが前記構造物に当たることを防止する保護部材をさらに備えていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項
3に記載された発明は、請求項1
又は2に記載された発明において、前記ハンドルが、前記扉本体の外面側に配置される第1把持部と、前記扉本体の内面側に配置される第2把持部と、前記第1把持部と前記第2把持部とを連結した当該ハンドルの回動中心となる連結部と、を備え、前記第1把持部及び前記第2把持部が、前記扉本体に関して面対称となる形状に形成され、かつ、前記第1把持部、前記第2把持部、前記連結部、が相互に分離可能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、前記維持手段が、前記扉本体に内蔵され、前記ハンドルの回動操作に連動して前記扉本体の内外に突没自在に変位するアームと、前記構造物に取り付けられ、前記扉本体が前記閉位置に位置付けられた状態で前記アームが係止可能なアーム受け部と、を備えているので、扉本体の内面側にアームやアーム受等を配置する必要がなくなり、意匠の制約を少なくすることが可能になる。
また、前記アームが、基部と、該基部から前記扉本体の上側又は下側に向かって延び、前記アーム受け部内に位置付けられて該アーム受け部と係止可能な引掛け部と、により鉤状に形成されているので、強風が吹いた際や門扉に強い衝撃が加えられた際にも、アームをアーム受け部から外れ難くすることができる。
【0017】
請求項
2に記載された発明によれば、前記構造物の前記アーム受け部近傍に取り付けられ、前記扉本体から突出した前記アームが前記構造物に当たることを防止する保護部材をさらに備えているので、構造物に傷をつき難くすることができる。
【0018】
請求項
3に記載された発明によれば、前記ハンドルが、前記扉本体の外面側に配置される第1把持部と、前記扉本体の内面側に配置される第2把持部と、前記第1把持部と前記第2把持部とを連結した当該ハンドルの回動中心となる連結部と、を備え、前記第1把持部及び前記第2把持部が、前記扉本体に関して面対称となる形状に形成され、かつ、前記第1把持部、前記第2把持部、前記連結部、が相互に分離可能であるので、右勝手の門扉と左勝手の門扉との間で、第1把持部及び第2把持部を共通使用することができる。すなわち、右勝手の門扉で用いる第1把持部を左勝手の門扉の第2把持部として用いることができ、右勝手の門扉で用いる第2把持部を左勝手の門扉の第1把持部として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる門扉を敷地の外側から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示された門扉のハンドル部分を敷地の内側から見た図である。
【
図3】
図1に示された親扉の側面部分を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示された親扉の扉本体に内蔵されたアームの先端側が扉本体外に突出した状態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示されたアームが子扉の扉本体に取り付けられた保護部材に当たっている状態を示す斜視図である。
【
図6】従来の打ち掛け錠を備えた門扉の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態にかかる「門扉」を
図1〜5を参照して説明する。
図1,2に示す門扉100は、一対の門柱101,102にヒンジ103,104を介してそれぞれ回動自在に取り付けられた親扉1及び子扉2と、親扉1の扉本体10に回動自在に取り付けられたハンドル3と、親扉1の扉本体10を閉位置(
図1に示す位置である。)に維持する維持手段4と、を備えている。
【0021】
親扉1の扉本体10は、一端部(ヒンジ103が取り付けられた側)を回動中心として回動自在に設けられている。子扉2の扉本体20は、一端部(ヒンジ104が取り付けられた側)を回動中心として回動自在に設けられている。すなわち、門扉100は、両開きの親扉1及び子扉2を備えている。
【0022】
親扉1の扉本体10が閉位置に位置付けられた状態で、子扉2の扉本体20は、親扉1の扉本体10の他端部側に位置する。子扉2の扉本体20の下端には、扉本体20を閉位置(
図1に示す位置である。)に維持する落し棒21が取り付けられている。なお、親扉1の扉本体10は、請求項の「扉本体」に相当する。子扉2の扉本体20は、請求項の「構造物」に相当する。
【0023】
ハンドル3は、親扉1の扉本体10の他端部に回動自在に取り付けられている。
図3に示すように、ハンドル3は、扉本体10の外面側(敷地の外側)に配置される第1把持部31と、扉本体10の内面側(敷地の内側)に配置される第2把持部32と、第1把持部31と第2把持部32とを連結した当該ハンドル3の回動中心となる連結部33と、を備えている。第1把持部31及び第2把持部32は、扉本体10に関して面対称となる形状に形成されている。これら第1把持部31及び第2把持部32は、扉本体10の外面及び内面と平行な仮想面上を回動する。
【0024】
上述した第1把持部31、第2把持部32、連結部33、は、相互に分離可能である。このため、本実施形態の門扉100は敷地の外側から見て親扉1が左側に開く左勝手となっているが、親扉1を右勝手の扉に変更する場合、第2把持部32を前記右勝手の扉の外面側に配置し、第1把持部31を前記右勝手の扉の内面側に配置して使用することができる。
【0025】
維持手段4は、親扉1の扉本体10に内蔵され、第1把持部31又は第2把持部32の回動操作に連動して扉本体10の内外に突没自在に変位するアーム5と、子扉2の扉本体20に内蔵され、扉本体10が前記閉位置に位置付けられた状態でアーム5が係止可能なアーム受け部6(
図2を参照。)と、を備えている。
【0026】
アーム5は、
図4に示すように、ハンドル3側から延びた基部51と、基部51のハンドル3から離れた端部から扉本体10の上側に向かって延びた引掛け部52と、により鉤状に形成されている。このアーム5は、第1把持部31又は第2把持部32の回動操作に連動して、扉本体10の他端部側(子扉2側)の側面から扉本体10の内外に突没自在に変位する。又、アーム5は、自然状態において扉本体10から突出した姿勢となるように設けられている。
【0027】
アーム受け部6は、アーム5の先端側を収容可能な収容空間を有しており、該収容空間は、扉本体20の他端部側(親扉1側)の側面において開口している。
【0028】
このような維持手段4においては、アーム5の引掛け部52がアーム受け部6内に位置付けられかつアーム受け部6に係止することにより、親扉1の扉本体10が閉位置に維持される。そして、第1把持部31又は第2把持部32を下側に回動させることにより、アーム5が下に下がると共にアーム受け部6への係止が解除されて当該アーム5が扉本体10内部に没入する。このことにより、親扉1の扉本体10が閉位置から回動可能となる。
【0029】
又、本実施形態では、アーム5がハンドル3に直結されているが、本発明においては、アーム5とハンドル3との間にギアやカム等を組み込むようにしてもよい。こうすることで、親扉1を開く際の第1把持部31又は第2把持部32の回動角度を小さくすることができ、操作性を向上させることができる。
【0030】
さらに、
図5に示すように、子扉2の扉本体20におけるアーム受け部6近傍には、親扉1の扉本体10から突出したアーム5が扉本体20に当たることを防止する保護部材7が取り付けられている。このことにより、アーム5が扉本体10から突出した状態で扉本体10を閉位置に回動させてしまっても、アーム5が直接扉本体20に当たることがなく、扉本体20に傷をつき難くすることができる。
【0031】
上記構成の門扉100によれば、アーム5を親扉1の扉本体10に内蔵し、アーム受け部6を子扉2の扉本体20に内蔵した構成により、扉本体10の内面側にはハンドル3の構成部品のみが配置され、扉本体20の内面側には何も配置されないので、扉本体10,20の内面側の意匠の制約を少なくすることができる。又、アーム5は鉤状に形成されており、扉本体20に内蔵されたアーム受け部6に係止する構成により、強風が吹いた際や門扉100に強い衝撃が加えられた際にも、アーム5をアーム受け部6から外れ難くすることができる。
【0032】
さらに、この門扉100は、扉本体10の内面側にハンドル3の構成部品のみが配置される簡素な構成であり、かつ、一種類の第1把持部31及び第2把持部32を左勝手の門扉100と右勝手の門扉とに共通使用することができるので、左勝手の門扉100と右勝手の門扉とを製造する場合に、製造乃至在庫の現場等において揃えておくべき部品の種類を少なくすることができる。
【0033】
又、上述した実施形態では、門扉100が両開きの親扉1及び子扉2を備えており、アーム受け部6が子扉2の扉本体20に内蔵されていたが、本発明の門扉は、片開きの扉を備えた構成であってもよく、その場合はアーム受け部6が門柱等の構造物に取り付けられていてもよい。
【0034】
又、上述した実施形態では、アーム5が、基部51と、基部51の端部から扉本体10の上側に向かって延びた引掛け部52と、により鉤状に形成されていたが、本発明のアームは、基部51と、基部51の端部から扉本体10の下側に向かって延びた引掛け部と、により鉤状に形成されていてもよい
。
【0035】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 親扉
2 子扉
3 ハンドル
4 維持手段
5 アーム
6 アーム受け部
10 扉本体
20 扉本体(構造物)
100 門扉