(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322463
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ローマンシェードの昇降コード用係止具
(51)【国際特許分類】
A47H 5/032 20060101AFI20180423BHJP
A47H 11/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
A47H5/032
A47H11/00
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-81592(P2014-81592)
(22)【出願日】2014年4月11日
(65)【公開番号】特開2015-202130(P2015-202130A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2017年3月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
(72)【発明者】
【氏名】今井 伸
【審査官】
家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0167350(US,A1)
【文献】
特開平07−323696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/00−99/00
E06B 9/00− 9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレールに上端が取付けられたスクリーンの下部にスクリーン側部材が取付けられ、前記ヘッドレールから垂下された昇降コードの下端にコード側部材が取付けられ、前記スクリーン側部材及び前記コード側部材が結合部材により離脱可能に結合されるように構成されたローマンシェードの昇降コード用係止具において、
前記結合部材が、
前記スクリーン側部材又は前記コード側部材と一体的に設けられた球状体と、
前記コード側部材又は前記スクリーン側部材と一体的に設けられ前記球状体を離脱可能に挟持することにより前記スクリーン側部材及び前記コード側部材を結合する弾性変形可能な一対の挟持片と
を有し、
前記一対の挟持片の先端部内面間の距離が前記球状体の直径より小さく形成され、
前記一対の挟持片の先端縁が互いに平行な直線状に形成され、
前記球状体が前記スクリーン側部材又は前記コード側部材にテーパ部を介して接続され、
前記テーパ部が前記スクリーン側部材又は前記コード側部材から前記球状体に向うに従って次第に細くなるように形成され、
前記スクリーン側部材が前記コード側部材に対して前記球状体を中心に回転したときに、前記一対の挟持片の先端縁のいずれか一方又は双方が前記テーパ部に押し付けられ、前記一対の挟持片が弾性変形して押し広げられるように構成されたことを特徴とするローマンシェードの昇降コード用係止具。
【請求項2】
ヘッドレールに上端が取付けられたスクリーンの下部にスクリーン側部材が取付けられ、前記ヘッドレールから垂下された昇降コードの下端にコード側部材が取付けられ、前記スクリーン側部材及び前記コード側部材が結合部材により離脱可能に結合されるように構成されたローマンシェードの昇降コード用係止具において、
前記結合部材が、
前記スクリーン側部材又は前記コード側部材と一体的に設けられた球状体と、
前記コード側部材又は前記スクリーン側部材と一体的に設けられ前記球状体を離脱可能に挟持することにより前記スクリーン側部材及び前記コード側部材を結合する弾性変形可能な一対の挟持片と、
前記球状体近傍に前記スクリーン側部材又は前記コード側部材と一体的に設けられ前記球状体より大径の円板状体と、
前記一対の挟持片の先端にそれぞれ突設され先端に向うに従って互いに離れるように形成された一対の当接部と
を有し、
前記スクリーン側部材が前記コード側部材に対して前記球状体を中心に回転したときに、前記一対の当接部のいずれか一方又は双方が前記円板状体の外周縁に押し付けられ、前記一対の挟持片が弾性変形して押し広げられるように構成されたことを特徴とするローマンシェードの昇降コード用係止具。
【請求項3】
前記一対の挟持片のいずれか一方又は双方に前記球状体の一部を収容可能であって前記球状体より小径の透孔が形成された請求項1又は2記載のローマンシェードの昇降コード用係止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレールにスクリーンの上端を取付けたローマンシェードに用いられるコード係止具に関する。更に詳しくは、ヘッドレールから垂下された昇降コードの下端に取付けられ、その下端をスクリーンの下部に取付けるコード係止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドボックスから垂下される生地(遮蔽材)の下端部に昇降コードが取付けられ、この昇降コードを操作して生地を昇降可能とした日射遮蔽装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この日射遮蔽装置では、昇降コードの下端が第1コードキャッチ(連結部材)を介して生地の下端部に取付けられる。この第1コードキャッチは生地の下端部に取付けられるフック部(第一の連結部材)と昇降コードの下端に取付けられるコード受け部(第二の連結部材)とにより構成され、フック部とコード受け部はフック部に作用する生地の質量を超える引っ張り力で外れる保持手段で保持される。またコード受け部の下端部には軸部が形成されるとともに、その軸部の外周面に周方向に突条が形成される。更にフック部の下部には、生地の下端に取付けられた取付リングを遊嵌して保持するフックが形成され、フック部の上端部には、コード受け部の軸部を嵌合可能とした嵌合凹部が形成されるとともに、その嵌合凹部の内周面には、突条を嵌合可能とした凹条が形成される。
【0003】
このように構成された第1コードキャッチでは、昇降コードが居住者に引っ掛かって第1コードキャッチが下方へ引っ張られるときには、フック部が生地で下方へ移動不能に保持されているので、コード受け部がフック部から確実に外れるようになっている。
【0004】
また、上記特許文献1には、上面が開口する箱状に形成され両側辺の上部に互いに近づく方向に斜めに延びる係止片が形成されたフック部と、U字状に屈曲された弾性片の基端部に昇降コードを挿通可能な挿通孔が形成されたコード受け部とを有する第2コードキャッチを備えた日射遮蔽装置が開示されている。この日射遮蔽装置では、昇降コードの下端部が弾性片の基端側から挿通孔に挿通され、昇降コードの下端に形成された結び目により、コード受け部が昇降コードの下端に取付けられる。また弾性片の先端部はともに拡幅されて係止軸部が形成される。これらの係止軸部が互いに近づくように弾性片を撓ませて、係止軸部を係止片間の嵌合凹部に挿入すると、弾性片の撓みが解除された状態で、係止軸部が係止片間に保持されるように構成される。更に弾性片間には、金属性のボールが上下動可能に保持される。
【0005】
このように構成された第2コードキャッチでは、昇降コードでコード受け部が吊下支持されている通常時には、ボールが係止軸部上に位置する。この状態では、係止軸部が互いに近付く方向への弾性片の撓みがボールにより阻止されるため、係止軸部が係止片間に保持されて、フック部がコード受け部に吊下支持される。従って、昇降コードが昇降されると、コード受け部及びフック部が一体に昇降されて、生地が昇降される。一方、昇降コードに居住者等が引っ掛かり、ヘッドボックス内のストッパが滑ってコード受け部が下方へ引っ張られると、コード受け部が上下方向に逆転することからボールが弾性片間を下方へ移動する。このとき弾性片は係止軸部が互いに近づく方向に撓むため、係止軸部が係止片から外れて、コード受け部がフック部から離脱する。この結果、昇降コードと生地の接続が外れるので、昇降コードと居住者等との引っ掛かりを解除できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−7419号公報(請求項1、段落[0020]、[0023]、[0036]、[0045]、[0050]、
図1〜
図3、
図7、
図10、
図11)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の特許文献1に示された第1コードキャッチでは、コード受け部の突条がフック部の凹条に嵌合しているけれども、この突条の凹条への嵌合ではこの嵌合を解除する荷重の最小値を所望の値に設定することが難しい不具合があった。また、上記従来の特許文献1に示された第2コードキャッチでは、コード受け部の基端が先端より下方に位置するまで回転しないと、コード受け部に収容されたボールが先端側から基端側に転動しないため、昇降コードや第2コードキャッチに荷重が作用して、コード受け部の弾性片がフック部の係止片から離脱しないおそれがあった。
【0008】
本発明の第1の目的は、スクリーン側部材がコード側部材に対して球状体を中心に回転する方向に所定値以上の曲げ荷重が作用したときに、コード側部材とスクリーン側部材とを速やかに分離でき、またスクリーンの通常の昇降動作時であってスクリーン側部材をコード側部材に対して引き離す方向に引っ張り荷重が作用したときに、コード側部材とスクリーン側部材とを容易に分離できない、ローマンシェードの昇降コード用係止具を提供することにある。本発明の第2の目的は、スクリーン側部材とコード側部材との分離荷重の最小値、即ち曲げ荷重の最小値及び引っ張り荷重の最小値をそれぞれ比較的正確に設定できる、ローマンシェードの昇降コード用係止具を提供することにある。本発明の第3の目的は、スクリーン側部材とコード側部材とを分離するときのスクリーン側部材のコード側部材に対する球状体を中心とする回転角を所望の範囲に設定できる、ローマンシェードの昇降コード用係止具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の観点は、
図11〜図15に示すように、ヘッドレー
ルに上端が取付けられたスクリー
ンの下部にスクリーン側部材
41が取付けられ、ヘッドレー
ルから垂下された昇降コード13の下端にコード側部材
42が取付けられ、スクリーン側部材
41及びコード側部材
42が結合部材
43により離脱可能に結合されるように構成されたローマンシェー
ドの昇降コード用係止具
40において、結合部材
43が、スクリーン側部材
41又はコード側部材
42と一体的に設けられた球状体
43aと、コード側部材
42又はスクリーン側部材
41と一体的に設けられ球状体
43aを離脱可能に挟持することによりスクリーン側部材
41及びコード側部材
42を結合する弾性変形可能な一対の挟持片
43b,43cとを有
し、一対の挟持片43b,43cの先端部内面間の距離が球状体43aの直径より小さく形成され、一対の挟持片43b,43cの先端縁が互いに平行な直線状に形成され、球状体43aがスクリーン側部材41又はコード側部材42にテーパ部43eを介して接続され、テーパ部43eがスクリーン側部材41又はコード側部材42から球状体43aに向うに従って次第に細くなるように形成され、スクリーン側部材41がコード側部材42に対して球状体43aを中心に回転したときに、一対の挟持片43b,43cの先端縁のいずれか一方又は双方がテーパ部43eに押し付けられ、一対の挟持片43b,43cが弾性変形して押し広げられるように構成されたすることを特徴とする。
【0011】
本発明の
第2の観点は
、図1〜
図3及び図9に示すように、
ヘッドレール12に上端が取付けられたスクリーン11の下部にスクリーン側部材21が取付けられ、ヘッドレール12から垂下された昇降コード13の下端にコード側部材22が取付けられ、スクリーン側部材21及びコード側部材22が結合部材23により離脱可能に結合されるように構成されたローマンシェード10の昇降コード用係止具20において、結合部材23が、
スクリーン側部材21又はコード側部材22と一体的に設けられた球状体23aと、コード側部材22又はスクリーン側部材21と一体的に設けられ球状体23aを離脱可能に挟持することによりスクリーン側部材21及びコード側部材22を結合する弾性変形可能な一対の挟持片23b,23cと、結合部材23が、球状体23a近傍にスクリーン側部材21又はコード側部材22と一体的に設けられ球状体23aより大径の円板状体23eと、一対の挟持片23b,23cの先端にそれぞれ突設され先端に向うに従って互いに離れるように形成された一対の当接部23f,23fと
を有し、スクリーン側部材21がコード側部材22に対して球状体23aを中心に回転したときに、一対の当接部23f,23fのいずれか一方又は双方が円板状体23eの外周縁に押し付けられ、一対の挟持片23b,23cが弾性変形して押し広げられるように構成されたことを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に図1〜図3に示すように、一対の挟持片23b,23cのいずれか一方又は双方に球状体23aの一部を収容可能であって球状体23aより小径の透孔23dが形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の観点のローマンシェードの昇降コード用係止具では、スクリーン側部材又はコード側部材と一体的に設けられた球状体を、コード側部材又はスクリーン側部材と一体的に設けられた弾性変形可能な一対の挟持片により離脱可能に挟持するので、スクリーン側部材がコード側部材に対して球状体を中心に回転する方向に曲げ荷重が作用し
、スクリーン側部材がコード側部材に対して球状体を中心に回転したときに、
一対の挟持片の先端縁のいずれか一方又は双方がテーパ部に押し付けられ、スクリーン側部材又はコード側部材がコード側部材又はスクリーン側部材の一対の挟持片を
弾性変形させて押し広げる。このため、コード側部材とスクリーン側部材とが速やかに分離する。この結果、係止具や昇降コードの損傷を防止できるとともに、子供や老人等を昇降コードの絡みつきから速やかに解放できる。一方、スクリーンの通常の昇降時であってスクリーン側部材をコード側部材に対して引き離す方向に引っ張り荷重が作用しても、コード側部材とスクリーン側部材とを容易に分離しない。この結果、スクリーンをスムーズに昇降できる。
【0014】
本発明の
第2の観点のローマンシェードの昇降コード用係止具では、スクリーン側部材がコード側部材に対して球状体を中心に回転したときに、一対の当接部のいずれか一方又は双方が円板状体の外周縁に押し付けられ、一対の挟持片が弾性変形して押し広げられるので、円板状体の直径又は一対の当接部の間隔のいずれか一方又は双方を変更することにより、スクリーン側部材とコード側部材とが分離するときのスクリーン側部材のコード側部材に対する球状体を中心とする回転角を所望の範囲に設定できる。
また、本発明の第3の観点のローマンシェードの昇降コード用係止具では、一対の挟持片のいずれか一方又は双方に球状体の一部を収容可能な透孔を形成したので、この透孔の直径を変更することにより、スクリーン側部材とコード側部材との分離荷重の最小値、即ち曲げ荷重の最小値及び引っ張り荷重の最小値をそれぞれ所望の値に比較的正確に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明第1実施形態のローマンシェードの昇降コード用係止具の要部を破断した
図3のA矢視図である。
【
図2】その係止具のスクリーン側部材がコード側部材に対して球状体を中心に所定の角度だけ回転した状態を示す
図1に対応する図である。
【
図7】基台の巻付部側から見た係止具の斜視図である。
【
図8】基台の巻付部とは反対側から見た係止具の斜視図である。
【
図9】その係止具が取付けられたローマンシェードのスクリーンを全て展開した状態を示す斜視図である。
【
図10】その係止具が取付けられたローマンシェードのスクリーンを一部だけ展開した状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明第2実施形態のローマンシェードの昇降コード用係止具の要部を破断した
図13のF矢視図である。
【
図12】その係止具のスクリーン側部材がコード側部材に対して球状体を中心に所定の角度だけ回転した状態を示す
図11に対応する図である。
【
図14】
基台の巻付部側から見た係止具の斜視図である。
【
図15】
基台の巻付部とは反対側から見た係止具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図9及び
図10に示すように、ローマンシェード10は、図示しない固定用ブラケットを介して部屋の壁面や天井に取付けられたヘッドレール12と、このヘッドレール12に上端が取付けられヘッドレール12の長さと略同一の幅を有するスクリーン11と、ヘッドレール12から昇降可能に垂下されてその下端がスクリーン11の下部に連結された昇降コード13とを備える。ヘッドレール12はアルミニウム合金等の金属の押出し成形又は引抜き成形により作られたレール本体12aと、レール本体12aの両端部に設けられた蓋体12bを有する。ヘッドレール12の内部空間には、複数のコード挿通部材14がヘッドレール12の長手方向の任意の位置に収容される。また、ヘッドレール12の内部空間には、コード挿通部材14の数に相応する本数の昇降コード13が挿通され、これらの昇降コード13の一端部は、対応する所定のコード挿通部材14からスクリーン11の背面に沿って垂下される。更にスクリーン11には上下方向に所定の間隔をあけて複数本の横桿16が取付けられ、ヘッドレール12から垂下された昇降コード13が横桿16と交差するスクリーン11の背面にはコードリング17が取付けられる。これによりスクリーン11の背面にはコードリング17が鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられる。なお、
図9及び
図10中の符号18は、スクリーン11の下縁に設けられたウエイトバーである。
【0018】
ヘッドレール12の内部空間に挿通された複数の昇降コード13の他端部は、ヘッドレール12の内部空間を一方(
図9及び
図10では左方向)に導かれて、ヘッドレール12の端部に設けられた停止手段であるストッパ(図示せず)に挿通された後、ヘッドレール12の端部から垂下されて操作つまみ19に連結される。このストッパは、操作つまみ19が設けられた側(操作つまみ19側)の昇降コード13の上昇をそれぞれ禁止又は許容するように構成される。具体的には、ストッパは、操作つまみ19側の昇降コード13を下降させた後に上昇させるとその操作つまみ19側の昇降コード13の上昇を禁止し、この上昇が禁止された操作つまみ19側の昇降コード13を一旦下降させると再びその昇降コード13の上昇を許容するように構成される。ここで、
図9及び
図10中の符号19aは操作つまみ19をスクリーン11の下端に連結する連結紐である。
【0019】
ヘッドレール12に内蔵されて対応する所定のコード挿通部材14から垂下された昇降コード13の一端側は、スクリーン11の背面に鉛直方向に所定の間隔をあけて取付けられた複数のコードリング17に挿通されて鉛直下方に配索された後、スクリーン11の下端に取付けられた最下端のコードリング17に、本発明のコード用係止具20を介して連結される。これにより操作つまみ19側の昇降コード13を上昇させると、
図9に示すようにヘッドレール12のコード挿通部材14から垂下されてスクリーン11に連結された側(スクリーン11側)の昇降コード13が下降し、逆に操作つまみ19側の昇降コード13を下降させると、
図10に示すようにスクリーン11側の昇降コード13が上昇してスクリーン11をたくし上げ折畳むことができるようになっている。
【0020】
図1〜
図3に示すように、スクリーン11側の昇降コード13の下端を最下端のコードリング17に連結する本発明のコード用係止具20は、スクリーン11の下部に取付けられたスクリーン側部材21と、ヘッドレール11側の昇降コード13の下端に取付けられたコード側部材22と、スクリーン側部材21及びコード側部材22を離脱可能に結合する結合部材23とを備える。上記スクリーン側部材21は、円柱状の基部21aと、この基部21aの下端に設けられコードリング17に係止するフック部21bとを有する。またコード側部材22は、長方形板状の基台22aと、この基台22aの上端に形成されスクリーン11側の昇降コード13を挿通可能な挿通部22bと、この挿通部22bより下方の基台22aに設けられスクリーン11側の昇降コード13下部が巻き付けられる巻付部22cとを有する。更に結合部材23は、スクリーン側部材21と一体的に設けられた球状体23aと、コード側部材22と一体的に設けられた弾性変形可能な一対の挟持片23b,23cとを有する。一対の挟持片23b,23cのうち一方の挟持片23bは平板状に形成され、他方の挟持片23cは球状体23aの外面に沿って1平面内(2次元)で湾曲する湾曲板状に形成される。そして一対の挟持片23b,23cは、球状体23aを離脱可能に挟持することにより、スクリーン側部材21及びコード側部材22を結合するように構成される。また上記スクリーン側部材21は、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等により形成された成型品であって、基部21aとフック部21bと球状体23aは一体的に形成される。更に上記コード側部材22は、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等により形成された成型品であって、基台22aと挿通部22bと巻付部22cと一対の挟持片23b,23cは一体的に形成される。
【0021】
一対の挟持片23b,23cのうち一方の挟持片23bには、球状体23aの一部を収容可能な透孔23dが形成される。この透孔23dの直径は球状体23aの直径より小さく形成される。また、上記結合部材23は、この実施の形態では、球状体23a近傍にスクリーン側部材21と一体的に設けられ球状体23aより大径の円板状体23eと、一対の挟持片23b,23cの先端にそれぞれ突設された一対の当接部23f,23fとを更に有する。これらの当接部23f,23fは、先端に向うに従って互いに離れるように形成される。更に球状体23aが一対の挟持片23b,23cで挟持された状態であってスクリーン側部材21の軸線とコード側部材22の軸線とが一致してこれらの軸線が一直線上に延びた状態で、円板状体23eの外周縁が一対の当接部23f,23fに当接するように構成される(
図1)。そして、スクリーン側部材21がコード側部材22に対して球状体23aを中心に回転したときに、一対の当接部23f,23fのいずれか一方又は双方が円板状体23eの外周縁に押し付けられ、一対の挟持片23b,23cが弾性変形して押し広げられるように構成される。
【0022】
一方、
図1、
図2、
図7及び
図8に示すように、スクリーン側部材21のフック部21bは、コードリング17をその中に挿入可能なU字形に形成され、その開口する上部が狭められて形成される。U字形に形成されたフック部21bの内側にはその中に挿入されたコードリング17の上方に鉛直方向にずらして位置しそのコードリング17のフック部21bからの離脱を阻止する2つの突起21c,21dが一体的に形成される。また、
図1、
図2、
図4、
図7及び
図8に示すように、コード側部材22の基台22aの上端には直角に折り曲がる上板22dが形成され、この上板22dと基台22aの接合部分である角部に昇降コード13が挿通される挿通部22bが形成される。この実施の形態における挿通部22bは上板22dと基台22aの接合部分に形成された孔であって、その挿通部22bを構成する孔は昇降コード13が遊挿可能に比較的大きく形成され、この孔からなる挿通部22bに一端が開口するスリット22eが上板22dに形成される。スリット22eの幅は昇降コード13の外径と同一か或いは僅かに小さく形成され、挿通部22bに挿通された昇降コード13をこのスリット22eに圧入可能に構成される。
【0023】
図1〜
図3及び
図5〜
図7に示すように、コード側部材22の巻付部22cは、挿通部22bと一対の挟持片23b,23cの間の基台22aに立設された上下方向に長いリブ状物22fと、このリブ状物22fの先端に形成された大径部22gとを有する。リブ状物22fは、昇降コード13の下部が巻き付けられる部分であり、その高さは昇降コード13の外径の2倍程度に形成される。リブ状物22fの先端に形成された大径部22gは、リブ状物22fの周囲に巻き付けられた昇降コード13をそのリブ状物22fの周囲に維持させるためのものであり、リブ状物22fの周囲に巻き付けられた昇降コード13より大きな外形となるように形成される。リブ状物22fの外形を越えた大径部22gに対向する基台22aには、リブ状物22fの上縁及び下縁に連続するようにその上下に凸条22hがその大径部22gに対向してそれぞれ形成される。凸条22hとこの凸条22hに対向する大径部22gとの間の隙間は昇降コード13の外径より小さく形成され、リブ状物22fの周囲に昇降コード13を巻き付けると、その昇降コード13はリブ状物22fの上下に形成された凸条22hと大径部22gとの間の隙間に圧入され、リブ状物22fの周囲に巻き付けられた昇降コード13をこの巻付部22cに固定できるようになっている。
【0024】
図1〜
図3に示すように、挿通部22bと巻付部22cの間の基台22aには係合片22iが立設される。挿通部22bと巻付部22cと係合片22iは上下方向に並んでそれぞれが一体的に形成され、係合片22iは挿通部22bと巻付部22cとの間にあって、その間を横断するように横方向に延びて形成される。
図5に詳しく示すように、この係合片22iには、挿通部22bに挿通された昇降コード13を圧入することによりその昇降コード13をその係合片22iに係合可能に構成された凹溝22jが形成される。この実施の形態における凹溝22jは、
図1及び
図2に示すように挿通部22bに挿通された昇降コード13を横方向に導いて圧入するように係合片22iの両側にそれぞれ形成され、凹溝22jに圧入された後に垂下する昇降コード13がリブ状物22fの側壁に沿うように形成される。なお、
図1、
図2、
図4及び
図8中の符号22kはコード側部材22の基台22aの背面に長手方向に延びて設けられ挿通部22bから一対の挟持片23b,23cに向うに従って次第に高さが高くなる略三角形板状の三角リブである。この三角リブ22kは、スクリーン11をたたみ上げるときに係止具20がスクリーンに引っ掛かるのを防止するためと、コード側部材22を補強するためと、基台22aの背面にヒケが発生するのを防止するためと、基台22aの反りを防止するために設けられる。
【0025】
このように構成されたコード用係止具20によりスクリーン11側の昇降コード13の弛みを解消する方法を説明する。スクリーン11側の昇降コード13をコード用係止具20の挿通部22bに挿通した後、この昇降コード13を横方向に導いて、係合片22iに形成された凹溝22jに圧入する。これにより昇降コード13をこのコード用係止具20に仮に固定することができる。このため、例えばスクリーン11の下部にコードリング17を取付け、このコードリング17にコード用係止具20を係止させるような場合であって、そのコードリング17をスクリーン11に取付ける際のばらつきにより複数の昇降コード13の下端における取付位置が上下にばらついたとしても、凹溝22jに圧入された昇降コード13を凹溝22jに圧入させた状態で上下方向に移動させることにより、このように生じたばらつきを解消することができる。このため、弛んだ昇降コード13の下端に取付けたコード用係止具20の位置を変更することが比較的容易であり、その位置を上下に移動させることにより昇降コード13に生じた弛みを比較的容易に解消させることができる。
【0026】
そして、上記コード用係止具20を介して昇降コード13の下端をそのスクリーン11に下部に取付けたローマンシェード10において、そのスクリーン11を昇降させるには、操作つまみ19を操作して行う。例えば、
図10に示すようにスクリーン11を上昇させる場合には、操作つまみ19を下方に引っ張ることにより、この操作つまみ19側の昇降コード13が引き下ろされるとともに、スクリーン11側の昇降コード13が上昇してウエイトバー18が上昇する。このときスクリーン11は互いに隣接する横桿16の間でひだを形成しながら、たくし上げられて折畳まれる。操作つまみ19を下方に引っ張る力を緩めると、ストッパ(図示せず)が昇降コード13の上昇を禁止し、スクリーン11がたくし上げられた状態に保持される。また、スクリーン11を下降させる場合には、操作つまみ19を少し下方に引張って、操作つまみ19側の昇降コード13の上昇を許容した後、操作つまみ13を徐々に上げる。これによりスクリーン11側の昇降コード13がウエイトバー18及びスクリーン11はそれらの自重により下降し、
図9に示すように下降したスクリーン11により家屋の開口部(図示せず)を覆うことができる。
【0027】
一方、スクリーン11の通常の昇降時であってスクリーン側部材21をコード側部材22に対して引き離す方向に引っ張り荷重が作用しても(
図1)、コード側部材22とスクリーン側部材21とを容易に分離しない。この結果、スクリーン11をスムーズに昇降できる。また、スクリーン側部材21がコード側部材22に対して球状体23aを中心に回転する方向に曲げ荷重が作用したとき(
図2)、一対の当接部23f,23fのいずれか一方又は双方が円板状体23eの外周縁に押し付けられ、一対の挟持片23b,23cが弾性変形して押し広げられる。このため、コード側部材22とスクリーン側部材21とが速やかに分離する。この結果、コード用係止具20や昇降コード13の損傷を防止できるとともに、子供や老人等を昇降コード13の絡みつきから速やかに解放できる。また、一対の挟持片23b,23cの一方の挟持片23bに球状体23aの一部を収容可能な透孔23dを形成したので、この透孔23dの直径を変更することにより、スクリーン側部材21とコード側部材22との分離荷重の最小値、即ち上記曲げ荷重の最小値及び上記引っ張り荷重の最小値をそれぞれ所望の値に比較的正確に設定できる。更に、円板状体23eの直径又は一対の当接部23f,23fの間隔のいずれか一方又は双方を変更することにより、スクリーン側部材21とコード側部材22とが分離するときのスクリーン側部材21のコード側部材22に対する球状体23aを中心とする回転角θ(
図2)を所望の範囲に設定できる。
【0028】
<第2の実施の形態>
図11〜
図13は本発明の第2の実施の形態を示す。
図11〜
図13において
図1〜
図3と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、結合部材43が、球状体43a及び一対の挟持片43b,43cを有するけれども、第1の実施の形態の円板状体及び一対の当接部を有しない。即ち、この実施の形態では、コード用係止具40は、基部21aとフック部21bと球状体43aとが一体的に形成されたスクリーン側部材41と、基台22aと挿通部22bと巻付部22cと一対の挟持片43b,43cが一体的に形成されたコード側部材42とを備える。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0029】
このように構成されたコード用係止具40では、スクリーン側部材41がコード側部材42に対して球状体43aを中心に回転したときに、スクリーン側部材41の基部21aがコード側部材42の一対の挟持片43b,43cを押し広げるため、スクリーン側部材41とコード側部材42とが分離するときのスクリーン側部材41のコード側部材42に対する球状体43aを中心とする回転角θ(
図12)が第1の実施の形態より大きくなるけれども、コード用係止具40の全長及び全幅を第1の実施の形態より小さくすることができ、コード用係止具40のコンパクト化を図ることができる。上記以外の使用方法や動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0030】
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、一対の挟持片の一方に球状体の一部を収容可能な透孔を形成したが、一対の挟持片の他方又は双方に球状体の一部を収容可能な透孔を形成してもよい。ここで、一対の挟持片の他方に球状体の一部を収容可能な透孔を形成した場合、一対の挟持片のうち他方の挟持片は平板状に形成され、一方の挟持片は球状体の外面に沿って1平面内(2次元)で湾曲する湾曲板状に形成される。一対の挟持片の双方に球状体の一部を収容可能な透孔を形成した場合、一対の挟持片の双方が球状体の一部を包むように3次元で湾曲する湾曲板状にそれぞれ形成される。また、上記第1及び第2の実施の形態では、球状体をスクリーン側部材と一体的に設け、一対の挟持片をコード側部材と一体的に設けたが、球状体をコード側部材と一体的に設け、一対の挟持片をスクリーン側部材と一体的に設けてもよい。また、上記第1の実施の形態では、円板状体を球状体近傍にスクリーン側部材と一体的に設け、一対の当接部をコード側部材と一体的に設けられた一対の挟持片の先端にそれぞれ突設したが、円板状体を球状体近傍にコード側部材と一体的に設け、一対の当接部をスクリーン側部材と一体的に設けられた一対の挟持片の先端にそれぞれ突設してもよい。また、第1及び第2の実施の形態では、昇降コードをヘッドレールの内部でその長手方向に案内し、ヘッドレールの端部から下方に垂下するローマンシェードに本発明のコード用係止具を用いた場合を説明したが、ヘッドレールの内部に昇降コードを繰出し可能に巻取る複数のドラムを設け、これらのドラムを回転させることにより昇降コードを上下動させるように構成されたローマンシェードに本発明のコード用係止具を用いてもよい。更に、第1及び第2の実施の形態では、スクリーンに複数の横桿を設けた場合を説明したが、横桿は設けなくてもよい。この場合、昇降コードを上昇させると、スクリーンは昇降コードと昇降コードの間で垂れ下がるような円弧を描いて上昇することになる。
【符号の説明】
【0031】
10 ローマンシェード
11 スクリーン
12 ヘッドレール
13 昇降コード
20,40 コード用係止具
21,41 スクリーン側部材
22,42 コード側部材
23,43 結合部材
23a,43a 球状体
23b,23c,43b,43c 挟持片
23d,43d 透孔
23e 円板状体
23f 当接部