(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内燃機関(6)の燃焼室(60)内に導入した燃料と空気の混合気の点火に用いられ、少なくとも、軸状に延びる中心電極(1)と、該中心電極を保持する筒状の絶縁碍子(2)と、該絶縁碍子を収容・保持する筒状のハウジング(3)と、を具備する内燃機関用点火プラグ(5)であって、
前記絶縁碍子が、少なくとも、前記燃焼室内に露出する先端側露出部(20)と、その基端側の一部を外径方向に拡径せしめた碍子拡径部(21)と、を具備し、
前記ハウジングが、
前記碍子拡径部の先端側に設けられ前記燃焼室に望む筒状の側面電極(32)と、
該側面電極の内周面の一部を中心に向かって突出せしめて、前記碍子拡径部の先端側に直接的又は間接的に当接する係止部(33)と、前記碍子拡径部の基端側に配設した封止部材(232、233)を介して軸方向に押圧する加締め部(35)とを具備し、
前記先端側露出部の表面と前記側面電極の内周面との間に、基端側が前記係止部と前記碍子拡径部の先端側との間に配設されるシールリング(231)によって閉塞され、先端側が前記燃焼室内に連通するガスポケット(230)が区画され、
該ガスポケットの基端側において、前記係止部よりも先端側に設けられて、前記先端側露出部の一部を中心に向かって押圧し、前記側面電極の内周面の一部を径方向に押圧して、前記先端側露出部を拘束する断面台形状の緩衝材(4)を配設したことを特徴とする内燃機関用点火プラグ
前記緩衝材が、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド、ポリイミドのいずれかから選択した樹脂からなる請求項1ないし3のいずれか記載の内燃機関用点火プラグ
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1、
図2Aを参照して、本発明の第1の実施形態における内燃機関用点火プラグ5(以下、単に点火プラグ5と略す。)の概要について説明する。
本発明は、従来の点火プラグに加え、後述する緩衝材4を所定の位置に配設することで、プレイグニション、ノッキング、テトネーション等の燃焼異常によって衝撃波が発生しても、先端側露出部20の振れ幅Wを減少させて、絶縁碍子2の破損を防止するものである。
【0011】
点火プラグ5は、中心電極1と、絶縁碍子2と、ハウジング3と、本発明の要部である緩衝材4とによって構成されている。
本実施形態における点火プラグ5は、ハウジング3の先端に延設して、中心電極1の先端に設けた中心電極放電部10との間に、所定の放電空間130を隔てて対向する接地電極放電部30を設けて、高電圧の印加により中心電極放電部10と接地電極放電部30との間にアーク放電を発生させて、混合気の点火を行う、いわゆる火花放電型の点火プラグに本発明を適用したものである。
【0012】
中心電極1は、軸方向に延びる長軸状に形成されている。
本実施形態における中心電極1は、燃焼室60内に露出する中心電極放電部10と、中心電極高熱伝導部11と、導電性接着層12、14と、雑音防止抵抗体13と、中心電極中軸部15と中心電極端子部16とによって構成されている。
【0013】
中心電極放電部10には、Pt、イリジウム等、公知の耐熱貴金属材料が用いられている。
中心電極高熱伝導部11には、Fe、Ni、これらの合金等、公知の耐熱性金属材料が用いられ、その内側にCu等の公知の熱伝導率の高い金属材料が用いられている、
【0014】
導電性接着層12、14には、ガラス粉末と銅、鉄、若しくは、これらの合金等の金属粉末を混合したものが用いられ、絶縁碍子2内の所定位置に充填圧縮された後加熱熔融されている。
導電性接着層12は、中心電極高熱伝導部11の基端側を封止固定すると共に、中心電極高熱伝導部11と雑音防止抵抗体13との導通を図っている。
導電性接着層14は、雑音防止抵抗体13の基端側及び中心電極中軸部の先端を封止固定すると共に、雑音防止抵抗体13と中心電極中軸部15との導通を図っている。
【0015】
雑音防止抵抗体13には、B2O3−SiO2系、BaO−SiO2−B2O系3、ZnO−B2O3−SiO2系、BaO−CaO−B2O3−SiO系2、Na2O−SiO2−B2O3系、K2O−SiO2−B2O3系、Al2O3−B2O3−SiO2系、BaO−B2O3系、Bi2O−B2O3系、SiO2−MgO−Al2O3系のいずれかから選択される1種以上からなるガラス粉末と、カーボン等の導電性粉末と、Al2O3、SiO2、SiC、Si3N4、ZrO2のいずれかから選択される1種以上を含有する絶縁性材料からなる骨材とからなり、絶縁碍子2に充填圧縮された後、加熱熔融されて構成されている。
【0016】
絶縁碍子2は、高純度アルミナ等の公知の耐熱性絶縁セラミック材料からなり筒状に形成され、内側に中心電極1を挿通保持している。
本実施形態における、絶縁碍子2は、先端側露出部20と、碍子拡径部21と、碍子頭部22とによって構成されている。
【0017】
碍子拡径部21は、絶縁碍子2の一部が外周方向に向かって張り出し、他の部分よりも径大となるように形成されている。
碍子拡径部21の先端側には、先端側に向かって縮径するように傾斜する先端側傾斜面210が設けられている。
先端側傾斜面210は、ハウジング3の内周面から中心に向かって突出するように形成した係止部33に直接的、又は、間接的に当接している。
本実施形態においては、先端側傾斜面210と係止部33との間には、金属製のシールリング231が配設され、碍子拡径部21と係止部33との間の気密性を確保している。
【0018】
碍子拡径部21の基端側には、基端側に向かって縮径する基端側傾斜面212が形成されている。
基端側傾斜面212の基端側にはタルク等の公知の粉末封止部材232、シールリング233等が配設され、ハウジング3の基端側に設けた加締め部35を設けて、加締め部35と係止部33との間に軸力を作用させて絶縁碍子2とハウジング3との間の気密性を確保している。
【0019】
絶縁碍子2が係止部33から露出する先端側露出部20と係止部33の先端側に延設された筒状の側面電極32との間には、基端側が係止部33と碍子拡径部21とによって閉塞され、先端側が内燃機関6の燃焼室60に連通するガスポケット230が区画されている。
絶縁碍子2の傾斜面210と先端側露出部20とが切り替わる径変部211から絶縁碍子2の先端までの長さL1は、要求される熱価に応じて適宜設定される。
【0020】
ハウジング3は、Fe、Ni、これらの合金、炭素鋼、ステンレス等公知の金属材料が用いられ、筒状に形成され、内側に絶縁碍子2を収容・保持している。
ハウジング3の基端には、加締め部35が設けられ、係止部33と共に、絶縁碍子2の碍子拡径部21に軸方向の圧縮力を作用させて、絶縁碍子2とハウジング3との間の気密性を確保している。
ハウジング3の先端側外周には、エンジンヘッド61に点火プラグ5を固定するためのネジ部34が形成され、基端側外周には、ネジ部34を締め付け固定するための六角部36が形成されている。
【0021】
本実施形態においては、ハウジング3の先端側に延設して、L字型の接地電極31が設けられており、接地電極31の先端には、中心電極放電部10に対向する位置に、所定の放電ギャップ130を隔てて、接地電極放電部30が設けられている。
接地電極放電部30には、Pt、イリジウム等の公知の耐熱性貴金属が用いられている。
【0022】
係止部33の先端側には、先端側露出部20の表面の一部を覆いつつ側面電極32の内周面の一部に密接するように、本発明の要部である緩衝材4が設けられている。
緩衝材4は、耐熱温度100℃以上の耐熱樹脂材料によって、環状に形成されている。
【0023】
緩衝材4は、燃焼室60に連通するガスポケット230の基端側に設けられており、先端側の面がガスポケット230に対向しているので、燃焼行程において、瞬間的に高温の火炎に晒されることになる。
しかし、ハウジング3がネジ部34によって固定されるエンジンヘッド61には、図略の冷却水路が形成され、水温80℃以下の冷却水によって冷却されているので、側面電極32及びネジ部34を介してエンジンヘッド61に放熱され、緩衝材4が長時間に亘って100℃以上に加熱されることはない。
【0024】
また、緩衝材4は、ヤング率0.1〜20GPaの延性を有する延性材料でもある。
緩衝材4に延性部材を用いることで、先端側露出部20に過剰な負荷を与えることなく弾性的に押圧して先端露出部20の振れを抑制することができる。
また、上記範囲のヤング率を有する延性部材を用いることで、緩衝材4自体が塑性変形され難くなっている。
【0025】
緩衝材4は、具体的には、例えば、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド、ポリイミドのいずれかを選択して形成することができる。
なお、フッ素系樹脂等の絶縁碍子2及びハウジング3との
接着性が低い材料を用いる場合には、緩衝材4の脱落防止を図るべく、
図6を参照して後述する変形例2として示す点火プラグ5bの構成とするのが望ましい。
【0026】
本実施形態においては、
図2Aに示すように、緩衝材4は、絶縁碍子2の先端側露出部20の一部の外周表面を全周に亘って覆うように、予め、断面台形状で環状に形成され、点火プラグ5の先端側から挿入され、圧入されている。
その結果、緩衝材4は、係止部33よりも先端側において、先端側露出部20の外周面を中心に向かって弾性的に押圧し、側面電極32の内周面を外径方向に向かって弾性的に押圧することになる。
【0027】
また、緩衝材4の肉厚T4は、その先端側に形成されるガスポケット230の長さL2が、少なくとも5mm以上となるように設定されている。
緩衝材4の肉厚T4、及び、ガスポケット230の長さL2は、内燃機関6の燃焼特性に適合する熱価に応じて適宜調整することができる
また、先端側露出部20の燃焼室60内への突き出し長さH20は、くすぶり、プレイグニション等を考慮して適宜変更可能である。
【0028】
内燃機関6は、公知の内燃機関であり、図略のシリンダとシリンダ内を昇降可能に収容されたピストンとエンジンヘッド61とによって燃焼室60が区画されている。
エンジンヘッド61には、燃焼室60に連通する吸気筒と、吸気筒を開閉する吸気バルブと、燃焼室60に連通する排気筒と、排気筒を開閉する排気バルブと燃焼室内に燃料を導入する燃料噴射装置と、燃焼室60内に導入された燃料と空気との混合気の点火を行う点火プラグ5とが設けられている。
【0029】
一方、
図2Bに、比較例として示す、従来の点火プラグ5zでは、本発明の要部である緩衝材4が設けられていない。
絶縁碍子2zでは、係止部33の基端側において、傾斜面210が係止部33と加締め部35からの軸力F
AXを受けて拘束された状態となっているが、絶縁碍子2zが係止部33から露出する先端側露出部20zは何ら拘束されていない。
それ以外の構成は、前記実施形態と全く同じであり、同じ符号を付したので、説明を省略する。
【0030】
図3A、
図3Bを参照して本発明の効果と比較例の問題点について説明する。
プレイグニションや、ノッキング、デトネーション等の燃焼異常が発生すると、音速を超える速度で伝播される高圧力F
SWの衝撃波WV
SKが発生することがある。
【0031】
本発明の点火プラグ5及び比較例として示す従来の点火プラグ5zは、いずれも、係止部33と加締め部35との間に挟持された碍子拡径部21に作用する軸力F
AXによって絶縁碍子2が固定されている。
本発明においては、係止部33からガスポケット230内に露出する先端側露出部20の一定の範囲(緩衝材4の肉厚T4に相当)が、係止部33の先端側に設けた緩衝材4から径方向に作用する押圧力を受けながら拘束されている。
一方、従来の点火プラグ5zでは、係止部33の先端側には一切拘束力が作用しない。
【0032】
なお、先端側露出部20の固有振動数は、断面積に比例し、径変部211から絶縁碍子2の先端までの長さL1の2乗に反比例すると考えられる。
このような状態で、燃焼異常により発生した衝撃波WV
SKが点火プラグ5又は比較例における点火プラグ5zの先端に伝わると、比較例においては、係止部33からの軸力によって固定された碍子拡径部21と開放状態となっている先端側露出部20zとの径変部21z0を固定端とし、中心電極放電部10が露出する先端を自由端として振れ(振れ幅Wz)を起こす虞がある。
その結果、一定以上の衝撃波圧力F
SWが加わると、径変部211zに応力集中が起こり、絶縁碍子2zに亀裂を生じることになる。
【0033】
一方、本発明においては、傾斜面210が係止部33によって軸方向に押圧されているのに加え、係止部33の先端側において、先端側露出部20を拘束する緩衝材4が配設されているので、何らかの燃焼異常によって衝撃波WV
SKが発生して、先端側露出部20の先端に衝撃波圧力F
SWを受けても、緩衝材4から振幅Wを抑制する方向の拘束力F
BFが作用する。
このため、先端露出部20の振れ幅Wは、比較例の振れ幅Wzに比べ、遙かに小さくなり、径変部211に応力集中することがなく、絶縁碍子2の破損を防止することができる。
【0034】
図4を参照して、本発明の効果を確認するために行った試験結果について説明する。本発明の実施例として、
図2Aに示した点火プラグ5を用い、比較例として、
図2Bに示した点火プラグ5zを用いた。
燃焼室を模した圧力容器に本発明の点火プラグ5と従来の点火プラグ5zを配設し、衝撃波を加えた所、
図4に示すように、比較例では、衝撃波圧F
SWが50MPaを超えると、絶縁碍子2zに亀裂が発生した。
一方、本発明の実施例では、衝撃波圧力F
SWを150MPaまで高くしても、絶縁碍子2には亀裂が全く発生しなかった。
装置の都合上、150MPaを超える衝撃波圧力F
SWに対する試験ができなかったが、本発明によれば、従来の点火プラグ5zに比べ、少なくとも3倍以上の衝撃波圧力F
SWにも耐えうるたけの耐久性向上を図ることができることが判明した。
しかも、本発明では、従来の点火プラグ5zの所定の位置に緩衝材4を配設するという極めて簡易な方法により、飛躍的に耐久性の向上を図ることが可能である。
【0035】
図5を参照して、本発明の第1の実施形態における点火プラグの変形例5aについて説明する。
本変形例5aは、前記実施形態と基本的には同一の構成であるが、前記実施形態のように、予め緩衝材4を環状に形成して圧入等により配設するのではなく、ガスポケット230の基端側に液状の樹脂部材を注入し固化することで、緩衝材4aを所定位置に配設させた点が相違する。
【0036】
本実施形態によれば、前記実施形態と同様の効果に加え、樹脂を注入するという極めて簡単な方法で既存の点火プラグの耐久性の向上を図ることができる。
緩衝材4aを構成する樹脂には、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミド、ポリイミドのいずれかから選択した材料を適宜採用することができる。
【0037】
樹脂の特性に応じて、液体状態の樹脂を所定位置に充填した後、乾燥や、化学反応により硬化するようにしても良いし、熱可塑性樹脂を加熱熔融して所定位置に充填した後、冷却固化するようにしても良いし、熱硬化樹脂を所定位置に充填した後、加熱硬化するようにしても良い。
本変形例では、係止部33と先端側露出部20の表面との間の間隙にくまなく液状の樹脂を充填することができるため、絶縁碍子2とハウジング3との間の気密性向上を図ることもできる。
【0038】
図6を参照して他の変形例5bについて説明する。
本実施形態においては、ハウジング3bの先端側に設けた側面電極32bの内周面にの一部を窪ませた溝部321を形成し、緩衝材4bを配設した点が相違する。
本変形例では、緩衝材4bを予め環状に形成して、凹み部321内に嵌着させるようにしても良いし、変形例5aのように、液状の樹脂を充填固化させて、緩衝材4bを形成するようにしても良い。
【0039】
本変形例5bでは、前記実施形態と同様の効果に加え、緩衝材4bの一部が、凹み部321内に係止された状態となるので、接着力の弱いフッ素系樹脂を用いることも可能となる。
また、他の材料を用いた場合でも、長期の使用により緩衝材4bの劣化により接着力が失われても凹み部321によって保持されるので、燃焼室60内に脱落することがない。
【0040】
図7、
図8を参照して、熱価の違いによる変形例について説明する。
図7に示す、低熱価(焼け型)プラグ5cでは、高温の燃焼ガスに晒される先端側露出部20cの表面積が大きく、低熱価となっている。
この場合にも、係止部33の先端側に所定の高さT20の緩衝材4を配設することで、前記実施形態と同様の効果を発揮できる。
【0041】
緩衝材4は、樹脂製であるため、絶縁碍子2cやハウジング3cに比べ熱伝導率が低い。
このため、緩衝材4を配設することによって先端側露出部20cがガスポケット内に露出する面積が減少し、熱価が高くなる虞があると考えられるが、その分、ハウジング3の側面電極32cがガスポケット330cに露出する面積も減少するため、放熱性が低下し、受熱量の低下と放熱量の低下とが相殺されることになり、熱価への影響は僅かとなる。
図8に示す、高熱価(冷え型)プラグ5dでは、高温の燃焼ガスに晒される先端側露出部20dの表面積が小さく、低熱価となっている。
この場合にも、係止部33の先端側に所定の高さT20の緩衝材4を配設することで、前記実施形態と同様の効果を発揮できる。
なお、高熱価プラグ5dでは、くすぶりを考慮して、先端側露出部20dがガスポケット230に露出する長さL2cが5mm以上とするのが望ましい。
【0042】
図9A、
図9B、
図9Cを参照して、緩衝材4の変形例について説明する。
前記実施形態においては、
図9Aに示すように、緩衝材4は、環状に形成された例について説明したが、緩衝材4は、係止部33よりも先端側において振幅方向にの振れを防ぎ応力集中しないようにできれば良いので、必ずしも、先端側露出部20の全周に亘って、緩衝材4を設る必要はないと考えられる。
図9Bに示すように、断面扇型に形成した緩衝材4eを少なくとも3箇所以上に配設すれば、任意の方向の振動に対して、先端側露出部20の振幅を抑制する方向の押圧力が作用し、振れが抑制され、本発明の効果が発揮される。
さらに、
図9Cに示すように、複数の緩衝材4fを周方向に不均一に配設した場合であっても、振れが抑制され、本発明の効果が発揮される。
【0043】
特に、既存の点火プラグに本発明に係る緩衝材4fを形成する際に、位置決めをする必要がないので、製造が簡単である。
本実施形態においても、係止部33の先端側で先端側露出部20の一部が緩衝材4fによって拘束されているので、衝撃波が加わっても、径方向の振幅が抑制され、径変部211への応力集中による亀裂の発生を回避できる。
【0044】
図10を参照して、本発明の第2の実施形態における内燃機関用点火プラグ5gについて説明する。
前記実施形態では、接地電極31が中心電極1の先端に設けた中心電極放電部10に向かって延びるように形成され、その先端に設けた接地電極放電部30と中心電極放電部10とを所定の放電空間130を隔てて対向させ、その間に高電圧を印加してアーク放電を発生させる構成を示したが、本実施形態では、ハウジング3の先端側に環状の接地電極31gを形成し、その内周面を接地電極放電部30gとし、先端側露出部20の先端から燃焼室60内に露出した中心電極放電部10gの側面との間に高電圧を印加したときに先端側露出部20gの表面を這うように形成される沿面アーク放電を発生させるいわゆる沿面放電プラグに本発明を適用したものである。
【0045】
本実施形態においても、振れ抑制手段として、係止部33の先端側で、所定の熱価調整長さL1を確保する位置までの間に延性材料からなる環状の緩衝材4が設けられている。
本実施形態においても、前記実施形態と同様の効果が期待できる。また、緩衝材について前述した変形例を本実施形態にも適宜採用することができる。
【0046】
図11を参照して、本発明の第3の実施形態における内燃機関用点火プラグ5gについて説明する。
前記実施形態においては、絶縁碍子23を介して配設した中心電極放電部10と接地電極放電部30との間に直流電圧を印加して、放電空間130にアーク放電を発生させて内燃機関6の点火を行う、いわゆる火花放電型の点火プラグに本発明を適用した例について説明したが、本実施形態における点火プラグ5hでは、中心電極放電部10hの先端を有底筒状の絶縁碍子2hで覆うと共に接地電極30hとの間に図略の高周波高電圧電源から、所定の周波数の交流電圧を印加して先端側露出部20hの表面と接地電極放電部30hとの間に形成した放電空間130hにストリーマ放電を発生させて内燃機関6の点火を行う、いわゆるバリア放電型の点火プラグに本発明を適用した点が相違する。
【0047】
点火プラグ5hでは、中心電極1hの先端に設けた中心電極放電部10が有底筒状に形成した先端側露出部20hによって覆われている。
また、本実施形態におけるハウジング3hの先端には、環状に形成され、燃焼室60に望む接地電極31hが形成され、さらに、接地電極31hの内周面には、中心電極放電部10に向かって突出し、接地電極31hよりも径小となる環状の接地電極放電部30hが形成されている。
【0048】
本実施形態においても、振れ抑制手段として、係止部33の先端側で、所定の熱価調整長さL1を確保する位置までの間に延性材料からなる環状の緩衝材4が設けられている。
本実施形態においても、前記実施形態と同様の効果が期待できる。
また、緩衝材4について前述した変形例を本実施形態にも適宜採用することができる。