【文献】
高橋 智一,多様な形状をした物体を把持できる真空吸着グリッパの開発,2013年11月19日,URL,https://shingi.jst.go.jp/past_abst/abst/p/13/1340/kanchu_1.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1(a)は、対象物を吸着力で吸着するための吸着機構1を示している。この吸着機構1は、対象物を吸着するための吸着体2と、吸着体2に吸着力を発生させるために後述する変形部11B,12Bを変形させる外力を付与する外力付与部3とを備えている。
【0024】
外力付与部3は、吸引力を発生させる吸引部からなり、この吸引部は、真空を発生させる真空ポンプから構成されている。
【0025】
吸着体2と真空ポンプ3との間には、バルブ4が設けられている。このバルブ4を自動的又は人為的に切り替え操作することによって、吸着体2内のエアを排出して吸着体2内を吸着体2外(外気)の圧力よりも減圧する状態と、減圧された吸着体2内を吸着体2外(外気)に開放して吸着体2外(外気)と同圧に戻す状態とに切り替えることができる。吸着体2内を吸着体2外(外気)よりも減圧することによって、対象物を吸着体2で吸着できる。また、減圧された吸着体2内を吸着体2外(外気)に開放することによって、吸着した対象物を吸着解除できる。尚、バルブ4と真空ポンプ3とが第1ホース5を介して連結され、吸着体2とバルブ4とが第2ホース6を介して連結されている。従って、真空ポンプ3からの吸引力が、第1ホース5、バルブ4、第2ホース6を介して吸着体2へ伝達される。また、第2ホース6の途中部分には、第2ホース6の内部において大気圧以下の圧力を測定するための真空計Pが接続されている。この真空計Pの測定値から、吸着体2が吸着動作中かどうかを把握することができる。
【0026】
吸着体2は、第2ホース6に接続された基台7に取り付けられ、対象物に当接する当接部8と、当接部8の側方を覆うべく、当接部8の外周縁から基台7側へ延出された側壁部9とを備えている。当接部8と側壁部9とが、可撓性及び弾力性を有する樹脂材料から一体形成されている。そして、吸着体2は、当接部8と側壁部9とで外気と密閉された内部空間を有する構成となっている。可撓性及び弾力性を有する樹脂材料としては、例えばシリコーンゴム等のエラストマーを用いるのが最適であるが、軟質性を有する各種の合成樹脂であってもよい。
【0027】
基台7の厚み方向一端(後端)に、第2ホース6が接続される円筒状部7Aが突出形成され、円筒状部7Aの中心部に、第2ホース6と連通する貫通孔7Kが形成されている。この貫通孔7Kは、基台7の厚み方向一端側(後端側)に形成された断面形状円形の小径孔7aと、この小径孔7aの内部側端から基台7の厚み方向他端(前端)に亘って形成され、かつ、小径孔7aよりも大きな直径を有する断面形状円形の大径孔7bとから構成されている。
【0028】
また、基台7の厚み方向他端(前端)に、側壁部9の遊端部(後端部)9Aが嵌まり込む凹部7Bが形成されている。この凹部7Bに嵌め込まれた側壁部9は、凹部7Bの内側に配置された取付部材10によって固定されている。取付部材10は、中央に大径孔7bと連通する貫通孔10aを有する円板部10Aと、この円板部10Aの外周縁から直交する方向に延出される円筒部10Bとから構成されている。
【0029】
当接部8における対象物との当接面の外周縁に、当接面から離間する内部側に凹む円環状の凹部8M(
図3(a)では凹部8Mをわかりやすくするためにドットを記載している)が形成されている。この凹部8Mを形成することによって、当接部8を複数(図では2個)の当接部分11,12に区画している。これら2つの当接部分11,12は、内部側に位置する略円形状の第1当接部分11と、外部側に位置する略円環状の第2当接部分12とから構成されている。
【0030】
凹部8Mは、
図1(b)に示すように、凹んだフラット面を有する底壁8aと底壁8aから当接面側へ立ち上げられた垂直面を有し互いに対向するように配置される一対の側壁8b,8cとを備えて、円環状の溝に構成されている。一対の側壁8b,8cは、外側に位置する外側壁8bと内側に位置する内側壁とからなる。
【0031】
第1当接部分11は、円形で略フラットな表面(外面)を有しており、その第1当接部分11には、
図1(b)及び
図3(a),(b)に示すように、内面(裏面)の多数箇所(36個)に外面側に凹んだ円形の凹部11Aが形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部11Bが形成されている。これら第1薄肉部11Bは、変形可能な第1変形部を構成し、これら第1変形部11Bは、対象物との当接状態において真空ポンプ3からの吸引力により対象物から離間する側(吸着体2の内部側)へ引っ張られて変形する。これら第1変形部11Bの変形により第1変形部11Bと対象物との間に外部(外気)よりも減圧された密閉空間が形成され、吸着体2が対象物を吸着する。第1薄肉部11Bの数としては、36個に限定されることはなく、第1当接部分11の面積の大きさに応じて任意の数に設定することができる。また、第1薄肉部11Bの大きさによっては、個数を減らすこともできる。また、対象物の形状や大きさに合わせて第1薄肉部11Bの数を設定することができる。
【0032】
第2当接部分12は、凹部8Mに凹部8Mから外部側へ突出する多数の突起部12Aから構成されている。これら突起部12Aは、有底円筒状の円筒体からなり、凹部8Mに所定間隔を置いて突出形成されている(
図3(a)では24個であるが、個数は自由に変更できる)。各突起部12Aの突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部12a(
図1(b)参照)が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部12Bが形成されている。各第2薄肉部12Bは、変形可能な変形部を構成し、これら第2変形部12Bは、対象物との当接状態において真空ポンプ3からの吸引力により対象物から離間する側(吸着体2の内部側)へ引っ張られて変形する。これら第2変形部12Bの変形により第2変形部12Bと対象物との間に外部(外気)よりも減圧された密閉空間が形成され、吸着体2が対象物を吸着する。第2薄肉部12Bの数としては、24個に限定されることはなく、任意の数に設定することができ、また、第2薄肉部12Bの形状や大きさによっては、第2薄肉部12Bの個数を減らすこともできる。また、対象物の形状や大きさに合わせて第2薄肉部12Bの数を設定することができる。尚、
図3(a)において、第1薄肉部11B及び第2薄肉部12Bをわかりやすくするために、第1薄肉部11B及び第2薄肉部12Bにハッチングを施している。
【0033】
対象物を吸着する基本的な原理を
図2(a),(b)に基づいて説明する。
図1(b)及び
図3(a),(b)では、吸着体2の第1薄肉部11Bや第2薄肉部12Bを多数備えたものを示しているが、
図2(a),(b)では、分かりやすくするために、1つの第2薄肉部12Bのみを示している。この第2薄肉部12Bが変形して対象物を吸着する吸着体2を構成している。このように構成された第2薄肉部12Bを吸着したい対象物である板状体S1に当接させると、
図2(a)に示すように第2薄肉部12Bの外面12bと板状体S1の外面Sbとの間に僅かな空間H1が形成される。バルブ4を切り替えて真空ポンプ3からの吸引力を吸着体2へ供給することによって、吸着体2の内部の空間X1の圧力が外部(外気)の圧力よりも減圧される。この減圧により、第2薄肉部12Bが板状体S1から離間する側へ変形して(吸着体2の内部側に凹んで)、
図2(b)に示すように大きな空間H2となる。このように空間の体積が増大すると、ボイル・シャルルの法則により圧力が下がり(減圧され)、板状体S1を空間H2で吸着することができる。但し、第2薄肉部12Bの弾性復元力があるため、吸着体2の内部の空間X1の圧力をP1、空間H2の圧力をP2、第2薄肉部12Bの圧力をP3とすると、P1=P2+P3の関係が成立し、つり合った状態となる。また、空間H2の面積をS2とすると、吸着体2の吸着力F2は、S2×P2となる。尚、
図2(a),(b)では、吸着体2の内部に充填される後述するガラスビーズ及びフィルターを省略している。
【0034】
吸着体2の内部には、充填材としてのガラスビーズ15が充填されており、対象物との当接時に、充填材が適度な抵抗となるので、吸着体2を構成する側壁部9が不測に(必要以上に大きく)変形して(潰れて)、当接部8の当接面(外面)が対象物に良好に沿わないことを回避することができる。これにより、どのような形状の対象物であっても、確実に吸着することができる。ここでは、吸着体2の内部にガラスビーズ15を充填しているが、発泡ビーズや炭酸カルシウム等の粒状の物質の他、スポンジ、ゴムチップ、オガクズ等であってもよい。要するに、エアを通すことができるとともに対象物との当接時に対象物の形状に沿って側壁部9が良好に変形することができる構成であれば、どのような形状及び材料の充填材であってもよい。
【0035】
吸着体2の内部に充填されたガラスビーズ15が、第1当接部分11の凹部11A及び第2当接部分12の凹部12aに入り込むことを阻止するための第1フィルター13及び第2フィルター14を第1当接部分11の内面(裏面)11U及び第2当接部分12の内面(裏面)12Uに接着剤を用いて貼り付けている(係止手段を用いて係止固定してもよい)。この第1フィルター13及び第2フィルター14を設けることによって、凹部11A及び凹部12aにガラスビーズ15が入り込んで第1薄肉部11B及び第2薄肉部12Bが変形することが阻止されるといったトラブルを確実に回避することができる。また、吸着体2の内部に充填されたガラスビーズ15が取付部材10の貫通孔10aを通して第2ホース6側へ排出されることを阻止するための第3フィルター16を取付部材10に接着剤を用いて貼り付けている(係止手段を用いて係止固定してもよい)。
【0036】
前記のように構成された吸着体2(
図1(b)及び
図3(a),(b)参照)により、対象物S2を吸着する場合を
図3(c)に示している。これは、上面の中央に略半円状の凸部17を有する対象物S2に、吸着体2を当接すると、対象物S2の凸部17の表面(外面)17Aに沿って吸着体2の第1当接部分11が変形する一方、吸着体2の外周縁のフラットな表面(外面)18に吸着体2の第2当接部分12が当接する。この状態において吸着体2の第1薄肉部11B及び第2薄肉部12B(
図3(a),(b)参照)が変形して吸着体2が対象物S2を吸着する。吸着体2が、開放された構成ではなく、密閉された構成であるため、塵が吸着体2の内部に入り込むことがない。このため、吸着力が塵の堆積により低下するといったことがなく、長期間に亘って安定した吸着力を発揮することができる。また、当接部が、区画される複数(ここでは2個)の当接部分11,12から構成され、各当接部分11又は12に、少なくとも1つの変形部11B又は12Bが設けられているので、対象物S2を吸着した状態において、区画されている一方の当接部分11に設けられている変形部11Bの一部が不測に対象物S2から離間して外れた場合でも、他方の当接部分12が連鎖的に対象物S2から離間して外れることがなく、確実に対象物S2を吸着した状態を維持し易い利点がある。また、対象物S2の表面が波打っているような形状であっても、区画されているので、第1当接部分11及び第2当接部分12が対象物の表面に沿いやすく対象物を安定して吸着することができる。
【0037】
真空ポンプ3からの吸引力を吸着体2へ供給すべくバルブ4を切り替えるタイミングは、第1当接部分11及び第2当接部分12が対象物に当接したことを検出した時の検出信号に基づいて行う場合が考えられるが、バルブ4を切り替える切り替えスイッチを人為的に操作してバルブ4を切り替えてもよい。尚、第1当接部分11及び第2当接部分12が対象物に当接したことを検出する手段としては、磁気センサや光反射型センサ等を用いることができる。
【0038】
また、本発明では、真空ポンプ3の吸引力を第1変形部11B及び第2変形部12Bに作用させるだけで、対象物を吸着体2に吸着することができるため、吸引口に開閉用のバルブを設けることが不要にできるだけでなく、バルブを切り替え操作するための配線等の電気的な構成及びバルブを切り替えるタイミングを制御する制御構成を不要にすることができ、構造及び制御構成を簡素にすることができる。
【0039】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、吸着体2を
図4〜
図11に示す構成にしてもよい。尚、
図4〜
図11において、凹部及び第1薄肉部11B及び第2薄肉部12Bをわかりやすくするために、凹部にドットを施し、第1薄肉部11B及び第2薄肉部12Bにハッチングを施している。
図4(a)では、吸着体2の底面に大小2つの円環状の凹部19,20を形成することによって、当接部8が大きさの異なる2つの第1当接部分21,22と大きさの異なる2つの第2当接部分23,24の合計4つの部分に区画された構成を示している。内側に位置する円形状の第1当接部分22には、内面(裏面)の多数箇所(12個)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部22Bが形成されている。また、外側に位置する円環状の第1当接部分21には、外面側に凹んだ円形の凹部が環状に沿って所定間隔をおいて形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部21Bが12個形成されている。これら第1薄肉部21B,22Bは、変形可能な第1変形部を構成し、これら第1変形部21B,22Bは、対象物との当接状態において真空ポンプ3からの吸引力により対象物から離間する側(吸着体2の内部側)へ引っ張られて変形する。これら第1変形部21B,22Bの変形により第1変形部21B,22Bと対象物との間に外部(外気)よりも減圧された密閉空間が形成され、吸着体2の第1変形部21B,22Bが対象物を吸着する。また、各第2当接部分23,24は、前述同様に、凹部19又は20から外部側へ突出する多数の突起部19A又は20Aから構成されている。これら突起部19A又は20Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部19又は20に突出形成されている(
図4(a)では突起部19Aが24個であり、突起部20Aが12個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部19B又は20Bが形成されている。各第2薄肉部19B又は20Bは、変形可能な変形部を構成し、これら第2変形部19B又は20Bは、対象物との当接状態において真空ポンプ3からの吸引力により対象物から離間する側(吸着体2の内部側)へ引っ張られて変形する。これら第2変形部19B又は20Bの変形により第2変形部19B又は20Bと対象物との間に外部(外気)よりも減圧された密閉空間が形成され、吸着体2の第2変形部19B又は20Bが対象物を吸着する。また、
図4(b)では、円環状の凹部ではなくて、2個の半円状の凹部25,26が形成されて当接部8が、3つの部分に区画されている場合を示している。凹部25,26で囲まれる部分が略円形でフラット面を有する第1当接部分27を構成している。第1当接部分27には、内面(裏面)の多数箇所(36個)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部27Bが形成されている。尚、第2当接部分28,29の両端部間のそれぞれにも、外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い1個の第1薄肉部27Bが形成されている。尚、第1薄肉部27Bは、合計38個形成されている。また、各第2当接部分28又は29は、前述同様に、凹部25又は26から外部側へ突出する多数の突起部28A,29Aから構成されている。突起部28A,29Aは、有底円筒状でなる円筒体から構成され、凹部25又は26に沿って所定間隔を置いて多数設けられている(
図4(b)では突起部28A,29Aがいずれも11個であるが、個数は自由に変更できる)。突起部28A,29Aの突出端には、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部28B又は29Bが形成されている。各第2薄肉部28B又は29Bは、変形可能な変形部を構成している。変形部28B又は29Bが変形することについては、前述と同様である。
【0041】
また、
図5(a)では、当接部8が、3個の円弧状の凹部30,31,32が形成されて4つの部分に区画されている場合を示している。凹部30,31,32で囲まれる部分が略円形でフラット面を有する第1当接部分33を構成している。第1当接部分33には、内面(裏面)の多数箇所(36個)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部(変形部)33Bが形成されている。尚、第2当接部分34,35,36の両端部間(3か所)のそれぞれにも、外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い1個の第1薄肉部33Bが形成されている。尚、第1薄肉部33Bは、合計39個形成されている。また、各第2当接部分34又は35又は36は、前述同様に、凹部30又は31又は32から外部側へ突出する多数の突起部34A又は35A又は36Aから構成されている。突起部34A又は35A又は36Aは、有底円筒状でなる円筒体から構成され、凹部30又は31又は32に沿って所定間隔を置いて多数設けられている(
図5(a)では突起部34A又は35A又は36Aがいずれも7個であるが、個数は自由に変更できる)。突起部34A又は35A又は36Aの突出端には、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部34B又は35B又は36Bが形成されている。各第2薄肉部34B又は35B又は36Bは、変形可能な変形部を構成している。第1変形部33B及び第2変形部34B,35B,36Bが変形することについては、前述と同様である。また、
図5(b)では、1つの円形の第1当接部分38の外周縁に所定間隔を置いて24個に区画された第2当接部分39とから当接部8を構成している。各第2当接部分39は、円形の各凹部37の中心部に凹部37から外部側へ突出する1つの突起部39Aから構成されている。各突起部39Aは、有底円筒状でなる円筒体で構成されている。各突起部39Aの突出端には、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部39Bが形成されている。各第2薄肉部39Bは、変形可能な変形部を構成している。また、第1当接部分38には、内面(裏面)の多数箇所(36個)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部(変形部)38Bが形成されている。
【0042】
また、
図6(a)では、円環状の凹部ではなくて、外周縁よりも内側部分に正6角形状で帯状の凹部40が形成されて、当接部8を3つの部分に区画されている場合を示している。凹部40で囲まれる部分が正6角形状でフラット面を有する内側の第1当接部分41を構成し、凹部40の外側に位置する外側の第1当接部分42を構成している。各第1当接部分41又は42には、内面(裏面)の多数箇所(49個又は24個)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部(変形部)41B又は42Bが形成されている。また、各第2当接部分43は、前述同様に、凹部40から外部側へ突出する多数の突起部43Aから構成されている。これら突起部43Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部40に突出形成されている(
図6(a)では突起部43Aが24個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部43Bが形成されている。各第2薄肉部43Bは、変形可能な変形部を構成している。
図6(b)では、円環状の凹部ではなくて、外周縁よりも内側部分に正4角形状で帯状の凹部44が形成されて、当接部8を3つの部分に区画されている場合を示している。凹部44で囲まれる部分が正4角形状でフラット面を有する内側の第1当接部分45を構成し、凹部44の外側に位置する外側の第1当接部分46を構成している。内側の第1当接部分45には、内面(裏面)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部(変形部)45Bをマトリックス状に整列した状態で25個備えている。外側の第1当接部分46には、内面(裏面)に外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部(変形部)45Bを2列に整列した状態で合計48個備えている。また、各第2当接部分47は、前述同様に、凹部44から外部側へ突出する多数の突起部47Aから構成されている。これら突起部47Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部44に突出形成されている(
図6(b)では突起部47Aが24個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部47Bが形成されている。各第2薄肉部47Bは、変形可能な変形部を構成している。
図6(b)で示した正4角形状で帯状の凹部44の内側に、凹部44よりも小さな正4角形状で帯状の凹部を更に備えていてもよい。
【0043】
また、
図7(a)では、円環状の凹部ではなくて、一直線状でかつ第1当接部分が左右方向で2つ存在するように直径方向に沿って帯状の凹部48が形成されている。これにより、当接部8を3つの当接部分49,50,51に区画されている場合を示している。左側の第1当接部分49には、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部49Bが放射状に合計43個形成されている。右側の第1当接部分50にも左側の第1当接部分49と同様に、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部50Bが放射状に合計43個形成されている。また、第2当接部分51は、前述同様に、凹部48から外部側へ突出する多数の突起部51Aから構成されている。これら突起部51Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部48に突出形成されている(
図7(a)では突起部51Aが11個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部51Bが形成されている。各第2薄肉部51Bは、変形可能な変形部を構成している。このように一直線状でかつ第1当接部分を左右方向で2分割するような凹部48を形成することによって、凹部48で折れ曲がりやすくなるため、
図7(c)に示すように、中心部に凹部52が形成されている対象物S3を吸着する際に、当接部8が凹部52の外面に沿って変形し易く、対象物S3を確実に吸着することができる。
【0044】
また、
図8(a)では、円環状の凹部ではなくて、円の中心から放射状に3本(ここでは3本であるが4本以上であってもよい)の溝が形成されたY字状で帯状の凹部57が形成されて、当接部8を4つの当接部分53,54,55,56に区画されている場合を示している。3つの第1当接部分53,54,55は、いずれも同一構成であり、各第1当接部分53又は54又は55は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部53B又は54B又は55Bが放射状に27個形成されている。また、第2当接部分56は、前述同様に、凹部57から外部側へ突出する多数の突起部56Aから構成されている。これら突起部56Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部57に突出形成されている(
図8(a)では突起部56Aが16個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部56Bが形成されている。
図8(b)では、
図8のY字状の凹部57ではなくて、十字状で帯状の凹部58が形成されて、当接部8を5つの当接部分59,60,61,62,63に区画されている場合を示している。4つの第1当接部分59,60,61,62は、いずれも同一構成であり、各第1当接部分59又は60又は61又は62は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部59B又は60B又は61B又は62Bが放射状に18個形成されている。また、第2当接部分63は、前述同様に、凹部58から外部側へ突出する多数の突起部63Aから構成されている。これら突起部63Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部58に突出形成されている(
図8(b)では突起部56Aが21個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部63Bが形成されている。
【0045】
また、
図9(a)では、円環状の凹部ではなくて、縦3列の帯状の凹部64と横3列の帯状の凹部65とが交差して形成されて、当接部8を17つの当接部分66〜82に区画されている場合を示している。四隅の第1当接部分66,69,78,81は、いずれも同一構成であり、各第1当接部分66又は69又は78又は81は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部66B又は69B又は78B又は81Bが放射状に1個形成されている。残りの12つの第1当接部分67,68,70,71,72,73,74,75,76,77,79,80は、いずれも同一構成であり、1つの第1当接部分70(2段目の左端に位置する)は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部70Bが放射状に5個形成されている。また、第2当接部分82は、前述同様に、凹部64から外部側へ突出する多数の突起部82Aから構成されている。これら突起部82Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部57に突出形成されている(
図9(a)では突起部82Aが57個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部82Bが形成されている。
図9(b)では、円環状の凹部ではなくて、正六角形でなるハニカム形状で帯状の凹部83が形成されて、当接部8を14つの当接部分84〜96に区画されている場合を示している。正六角形で囲まれた第1当接部分90〜96は、いずれも同一構成であり、最上部に位置する第1当接部分91は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部91Bが放射状に9個形成されている。残りの外周部分には、2種類の第1当接部分84〜89が存在し、一方の第1当接部分86又は89(左右両側の2か所に形成されている)は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部86B又は89Bが1個形成されている。また、他方の第1当接部分84,85,87,88(上下に合計4か所に形成されている)は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部84B,85B,87B,88Bが2個形成されている。また、第2当接部分97は、前述同様に、凹部83から外部側へ突出する多数の突起部97Aから構成されている。これら突起部97Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部83に突出形成されている(
図9(b)では突起部97Aが50個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部97Bが形成されている。
【0046】
また、
図10(a)では、円環状で帯状の凹部98とY字状で帯状の凹部99とが合体した形状の凹部100が形成されて、当接部8を4つの当接部分101,102,103,104に区画されている場合を示している。3つの第1当接部分101,102,103は、いずれも同一構成であり、各第1当接部分101又は102又は103は、内面(裏面)から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第1薄肉部101B又は102B又は103Bが放射状に18個形成されている。また、第2当接部分104は、前述同様に、凹部100から外部側へ突出する多数の突起部104Aから構成されている。これら突起部104Aは、有底円筒状の円筒体からなり、所定間隔を置いて凹部100に突出形成されている(
図10(b)では突起部104Aが37個であるが、個数は自由に変更できる)。各円筒体の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部104Bが形成されている。また、
図10(b),(c)では、当接部分が、吸着体2の底部105から離間する外部側に突出する多数(図では、193個)の突出部106から構成されている。各突出部106の突出端に、内面から外面側に凹んだ円形の凹部が形成されて他の部分よりも薄い第2薄肉部106Bが形成されている。
【0047】
図8(a),(b)〜10(a)のように凹部が少なくとも一つの交差部分を有する吸着体2及び
図10(b)のように多数(図では、193個であるが少なくとも5個)の当接部分106からなる吸着体2である場合には、吸着体2自体が変形し易くなるため、
図3(c)の凸部17を有する対象物S2及び
図7(c)の凹部52を有する対象物S3のいずれにおいても、対象物の形状に沿って変形し易い。従って、対象物の形状にかかわらず、吸着効果を確実に発揮することができる利点がある。
【0048】
また、前記実施形態では、側壁部9が変形可能に構成した場合を示したが、対象物の吸着面がフラット面である場合には、側壁部9を変形不能な金属や硬質プラスチック等で構成することができる。
【0049】
また、前記実施形態では、変形部を変形させるための外力としてエア(気体)を用いたが、液体を用いてもよい。この液体の場合は、液体ポンプで吸着体2の内部の液体を取り除くことになる。また、変形部に例えば伸縮作動するピストロッドのロッドの先端を連結しておき、ピストンロッドを短縮作動させることによって、変形部を引っ張り変形させるようにしてもよい。また、前記実施形態の真空ポンプに代えて、例えば吸着体2の内部のエアを吸引するためのシリンダであってもよい。
【0050】
また、前記実施形態では、第1当接部分に形成した第1薄肉部を変形部としたが、全域に亘って同一厚みの当接部とし、その当接部のうちの変形させたい特定部分を他の部分よりも変形し易い材料から構成して、その特定部分を変形部に構成してもよい。
【0051】
また、前記実施形態では、吸着体2を、当接部8と側壁部9とで構成したが、当接部8のみで構成してもよい。この場合、平面のある対象物を吸着することになる。
【0052】
また、前記実施形態では、吸着体2は、当接部8の内側に凹部11Aを形成して薄肉部11Bを形成したが、
図11に示すように、当接部8の内側に形成された凹部11Aに対応する当接部8の外側にも凹部11Cを形成して薄肉部11Bを構成して吸着体を構成してもよい。また、
図11では、当接部8の厚みよりも側壁部9の厚みを厚く形成して側壁部9の保形強度を向上させることによって、
図1(b)で示したガラスビーズ15を吸着体2の内部に充填しなくてもよい(3つのフィルター13,14,16も不要となる)。また、当接部8と側壁部9とを別々に形成し、側壁部9を当接部8よりも保形強度が高いように構成し、それらを一体化して吸着体2を構成してもよい。
【0053】
また、前記実施形態では、第1当接部分11が当接する高さ位置と第2当接部分12が当接する高さ位置とを同一に設定しているが、第1当接部分11が当接する高さ位置が第2当接部分12が当接する高さ位置よりも高い位置に設定する、又は逆に第2当接部分12が当接する高さ位置が第1当接部分11が当接する高さ位置よりも高い位置に設定してもよいし、対象物の形状に合わせて第1当接部分11の中でも当接する高さ位置が異なるように設定する、又は第1当接部分11の中でも当接する高さ位置が異なるように設定してもよい。また、第1当接部分11に対する第2当接部分12の比率は、自由に変更することができる。
【0054】
また、前記実施形態では、突起部12Aを円筒体から構成したが、直方体や立方体等の規則的に立体形状の他、不規則な立体形状であってもよい。
【0055】
また、前記実施形態では、凹部8Mを、底壁8aと外側壁8bと内側壁8cとからなる溝から構成したが、外側壁8bの無い凹部、つまり底壁8aが外周端縁まで続く凹みであってもよい。
【0056】
本発明の吸着機構は、ロボットハンドに用いて対象物をハンドリングする場合に適用できる他、窓面に吸着させて移動させることによって清掃を行う清掃機械、箱詰めするための商品をピッキングするピッキング装置、対象物を吸着により固定して各種の加工を行う加工装置、対象物を吸着して搬送する搬送装置等においても適用することができる。