【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
固定接点1上で可動接点2を回転させて固定接点1と可動接点2とを断接するロータリースイッチ装置であって、
前記両接点は帯状で防蝕用導電加工が施された接触面を有し、双方の接触面には、接触開始から所定の接続操作角の間に他方に対する接触点が一端部から他端部に向けて移動する
過渡接触領域3が設けられる構成を含む。
【0008】
本発明において、ロータリースイッチ装置の固定接点1、および可動接点2の接触面は防蝕用導電加工により腐食が防止され、高接点圧での摺動によるクリーニング作用に頼ることなく接触面が清浄に保持されるために、低電流用として使用した場合にも、接触面腐食が発生することなく、絶縁性皮膜の発生による接触不良の発生が防がれる。
【0009】
また、両接点は細長帯形状に形成されて可動接点2の回転とともに双方の接触点が一端部から他端部に移動するために、アーク放電による接解部膜損傷が発生しても、接続操作角においては、双方の接触面は清浄な表面状態が維持されるために接触不良が発生することはない。
【0010】
防蝕用導電加工面は、銅等の導電金属の表面に銀メッキを施したり、あるいはクラッド加工、ディスク加工を施すことにより得ることができる。
【0011】
したがって本発明において、同一の構造を高電流用としても使用することも可能になるために、定格電流毎に複数種のロータリースイッチを設定する必要がなくなる。
【0012】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記固定接点1の過渡接触領域3は、接触開始点近傍において可動接点2上での移動速度が低速となる形状に形成される。
【0013】
過渡接触領域3の形成は、例えば、短冊状の可動接点2を、可動接点2の回転中心との距離が変化するように傾斜配置された短冊状の固定接点1上で移動させることにより実現可能であるが、固定接点1の可動接点2との接触開始点近傍の傾斜を緩やかにすると、可動接点2を所定の角速度で回転操作した際の可動接点2上の固定接点1との接触点の移動速度が低速となる。
【0014】
このように、低速移動領域を両電極の接触初期に設けると、可動接点2上のアーク放電による接解部損傷領域を狭域に限定することが可能になる。
【0015】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記固定接点1の過渡接触領域3は、接触開始位置近傍において可動接点2の回転中心との間隔が最大となる形状に形成される。
【0016】
本態様において、可動接点2を所定の角速度で回転操作した場合、固定接点1上の可動接点2の周速度は、回転中心からの間隔が最大となる接触開始位置で最大となるために、通過時間が最小となる。この結果、固定電極のアーク放電による影響距離が最小になり、電極の劣化を効果的に防止することが可能になる。
【0017】
さらに、本発明は、
前記固定接点1、および電源端子4を所定の接触方向線に向けて露出させて保持するスイッチケース5と、
前記スイッチケース5に対して、前記接触方向線に沿う軸周りに回転自在で、前記可動接点2を前記接触方向線に向けて進退自在に保持する接点ホルダ6とを有し、
前記可動接点2は、所定厚を有して板状に形成され、圧縮スプリング7により材端を電源端子4に常時接触させるとともに、導通時に固定接点1に各々所定接触圧で
接触させる構成を含む。
【0018】
本態様において、可動接点2は接点圧付加方向に付勢力を与えたフローティング構造を有しているために、固定接点1に対する追随性が高くなり、接続信頼性が向上し、さらに、構造も簡単になる。
【0019】
また、本発明において、
前記固定接点1の辺縁に面取り部8を形成するとともに、電源端子4と固定接点1を前記接触方向線方向に異なった高さに配置して前記可動接点2を傾斜姿勢に保持し、
可動接点2を固定接点1に線接触させて導通が取られる。
【0020】
本態様において、固定接点1の辺縁には面取りが形成され、フローティング状態の可動接点2は面取り部8の稜線に線接触することにより、各移動点での均質な接触品質が確保される。
【0021】
また、固定接点1に面取りを形成し、可動接点2を稜線に接触させると、固定接点1が摩耗した場合、接触点が摩耗量に対応して接触点が移動するために、可動接点2に対して常に清浄な接触点を提供することができる。
【0022】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記スイッチケース5には、固定接点1の接触開始点を終点とし、かつ、終点を傾斜面9により形成した可動接点2の乗り上げ突条10が設けられる。
【0023】
本態様において、可動接点2は非接触回転位置において乗り上げ突条10に乗り上げており、接触開始は乗り上げ突条10の終点に形成された傾斜面9を下りながら徐々に可動接点2の接触面全面が固定接点1表面に接触して行われる。この結果、可動接点2が同一平面上で接触開始する場合には、固定接点1の端縁が接続開始点となり、エッジ効果による放電集中が発生して接点への損傷が大きくなるが、本態様においては、可動接点2が固定接点1上にランディングする状態で接触開始するために、エッジ効果による接点への損傷を軽減することが可能になる。
【0024】
さらに、上記目的を達成するための本発明の他の態様として、
前記スイッチケース5には、前記固定接点1と電源端子4間を隔てる緩衝凹部11が設けられる。
【0025】
本態様において、固定接点1を電源端子4との間に設けられる緩衝凹部11は、アーク放電による粒子等の貯留スペースとなって固定接点1と電源端子4との間に導電性粒子が連続状に堆積することを防止する緩衝帯となるために、固定接点1を電源端子4との間に連続した導電性粒子層が形成されて固定端子と電源端子4間が短絡することを防止する。