(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための喉頭鏡用ブレード及び喉頭鏡を例示するものであって、本発明をこの喉頭鏡用ブレード及び喉頭鏡に特定することを意図するものではなく、本発明は、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の喉頭鏡用ブレード及び喉頭鏡にも等しく適応し得るものである。
【0020】
[実施形態1]
図1〜3を参照して、実施形態1に係る喉頭鏡1について説明する。本実施形態の喉頭鏡1は、ハンドル10と、ブレード20と、から構成される。
図1は喉頭鏡1の斜視図であり、
図2は喉頭鏡1を構成するハンドル10の斜視図であり、
図3は喉頭鏡1を構成するブレード20の斜視図である。
【0021】
このハンドル10は、喉頭鏡1を用いて気管挿管を行う際に、医師や救急救命士が左手で握るとともに、ブレード20を連結するものである。この把持されるハンドル10は、円筒状の本体部11と、連結部12とから構成されている。
【0022】
図2に示すように、円筒状の本体部11は、円形のハンドル下面11aに連結部12が設けられており、ハンドル上面11bが取り外し可能な蓋部となっている。そして、ハンドル10は、ハンドル上面11bの蓋部を取り外すことで、本体部11の内部に図示しない乾電池や光源ランプ等が収納できるようになっている。
【0023】
ブレード20が連結される連結部12は、後述するブレード20のマウント26が嵌め込まれる凹部を構成している。具体的には、連結部12は、二つの壁部13と、二つの壁部13の間に架設された連結棒14と、で構成されている。
【0024】
なお、ハンドル10は、本体部11の太さや長さが異なるものを用いることにより、患者の年齢や体型に合わせて使い分けできるようになっている。
【0025】
ブレード20は、喉頭鏡1に用いるための喉頭鏡用ブレードである。また、ブレード20は、口腔内にブレード20を挿入し、舌を圧排した際に、ブレード20の縁から舌が垂れ下がってしまったような場合に、ブレード20の横方向の幅を広げて垂れ下がった箇所を圧排できるようにするため、ブレード20の幅を変えることができる幅可変ブレードからなる。なお、
図1等の矢印Fはブレード20の挿入方向であり、矢印Pは舌を圧排する圧排方向である。
【0026】
この幅可変ブレードからなるブレード20は、ブレード本体21と、補助ブレード22と、補助ブレード操作部23と、で構成されている。
【0027】
ブレード本体21は、金属製の部材からなり、スパツラなどと呼ばれている面状の舌圧部24と、舌圧部24から垂直に伸びるフランジ25と、ハンドル10の連結部12と連結するマウント26と、を備えている。
【0028】
舌圧部24は、マウント26の下部から、ハンドル10に対して直角に長く伸びる平面状の部材からなるものである。下圧部の長さは大体60〜140mm程度であり、幅は大体8〜15mmである。舌圧部24は、接触面24a側で患者の舌が圧排され、また、接触面24aの先端で喉頭蓋を持ち上げる。なお、本実施形態の舌圧部24は、直線状に伸びるストレート型となっているが、舌圧部24が口腔内の湾曲に合わせて曲がって伸びる所謂マッキントッシュ型でも構わない。
【0029】
フランジ25は、
図3に示すように、舌圧部24の非接触面24bの縁側から垂直に垂れ下がった側壁25aと、側壁25aから直角に折れ曲がった天板25bと、で構成されている。そして、舌圧部24が口腔内を正しく進むことによって、通常患者の舌はフランジ25の側壁25aに対して左側(
図1の矢印L側)に自然に圧排され、声門に至る視野が確保されることになる。
【0030】
マウント26には、挿入方向Fに沿って伸びるスロット26aが側壁にそれぞれ設けられている。ハンドル10とブレード20との連結は、マウント26を連結部12の二つの壁部13の間に配置し、二つのスロット26aの開口部から連結棒14に嵌合させることにより行われる。
【0031】
なお、喉頭鏡1は、ハンドル10とブレード20との連結状態において、ハンドル10に対してブレード20が回動可能になっており、気管挿管を行う際には、ハンドル10とブレード20とを
図1のような直角状態にして使用される。また、図示していないが、フランジ25の側壁25aには、右側(
図1の矢印R側)に口腔内を照らすために、電球や光ファイバーからなる光源が取り付けられている。そして、喉頭鏡1は、ハンドル10の本体部11内部の乾電池や光源ランプの光を利用することで、この光源から光が照射される構造になっている。
【0032】
補助ブレード22は、挿入方向Fに沿って長く伸びる平面状の金属製部材からなるものである。補助ブレード22は、挿入方向Fの長さが、ブレード本体21の舌圧部24の長さの半分程度、好ましくは舌圧部24の長さの2/3の長さである。また、補助ブレード22の幅は、舌圧部24の幅よりも狭くなっており、好ましくは舌圧部24の幅の半分以上である。具体的には、補助ブレード22の幅は、大体4〜7mm程度である。そして、この補助ブレード22は、幅可変ブレードからなるブレード20において、ブレード20の横方向の幅を変えるためのものである。なお、補助ブレード22の先端に関しては、ブレード20の挿入の妨げにならないように、図示のような先端が細くなる形状が好ましい。
【0033】
通常、補助ブレード22は、
図1に示すように、舌圧部24の非接触面24bと重なる位置になっており、接触面24a側から観察することはできず、ブレード本体21に対して潜伏した状態(収容位置)にある。なお、
図4の(A)には、補助ブレード22の収容位置におけるブレード20の背面図を示している。この場合のブレード20の横方向の幅は、ブレード本体21の舌圧部24の幅になる。
【0034】
そして、補助ブレード22が収容位置にある状態で、ブレード20を口腔内に挿入し、舌を圧排する際、舌圧部24の縁から舌が垂れ下がってしまいそうな場合や、舌圧部24の縁から舌が垂れ下がってしまった場合には、
図3に示すように、補助ブレード22をブレード本体21の側端から外側へと移動させた状態(拡張位置)にして喉頭鏡1を使用する。なお、
図4の(B)には、補助ブレード22の拡張位置におけるブレード20の背面図を示している。
【0035】
このように補助ブレード22を拡張位置にして喉頭鏡1を使用することで、舌圧部24の縁から舌が垂れ下がってしまいそうな場合や、舌圧部24の縁から舌が垂れ下がってしまった場合に、わざわざブレード20を幅の異なる他のブレードに交換することなく、ブレード20の幅を舌の圧排に適した幅へと簡単に調整することが可能になる。従って、気管挿管にかかる作業時間の延長や、作業回数の増加を防ぐことができる。なお、この場合のブレード20の横方向の幅は、舌圧部24の幅と、補助ブレード22が舌圧部24の側端から露出している幅との合計になる。
【0036】
補助ブレード操作部23は、補助ブレード22を収容位置から拡張位置へ移動させるための操作を行うものである。このように本実施形態のブレード20は、補助ブレード22を収容位置から拡張位置へ移動させるための補助ブレード操作部23を備えている。したがって、補助ブレード操作部23を操作することによって、口腔内において補助ブレード22の位置を速やかに変えることができる。従って、補助ブレード22の位置を変えるために、口腔内に挿入したブレード20をわざわざ口腔内から抜き出す必要がないため、気管挿管にかかる作業時間の延長や、作業回数の増加をより一層低減することができる。
【0037】
この補助ブレード操作部23は、操作ロッド27と、ハンドル10側に位置する操作機構28と、補助ブレード22側に位置するリンク機構29と、で構成されている。
【0038】
操作ロッド27は、ハンドル10と平行に伸びる垂直ロッド27aと、ブレード本体21と平行に伸びる水平ロッド27bと、が一体に構成されているL字状の金属製部材である。
【0039】
操作機構28は、垂直ロッド27aの端部に設けられている。この操作機構28は、喉頭鏡1を使用する医師等が、ハンドル10を握る左手で操作が行えるように、ハンドル10の近傍に配置されている。操作機構28は、医師等の左手の親指により、ハンドル10の本体部11側(挿入方向F側)に押圧される操作レバー28aと、操作レバー28aの押圧面の反対側(本体部11側)に取り付けられたばね28bと、で構成されている。また、操作レバー28aは、垂直ロッド27aと一体になって設けられている。
【0040】
医師等が、左手の親指で操作レバー28aを押圧すると、操作レバー28aの押圧に合わせて操作ロッド27の垂直ロッド27aもハンドル10側に移動し、ハンドル10に近づくことになる。そして、この垂直ロッド27aの動きに連動し、水平ロッド27bも挿入方向Fに沿って移動し、リンク機構29を機能させる。
【0041】
リンク機構29は、医師等によって行われる操作レバー28aの挿入方向Fへの変位を、補助ブレード22の拡張位置への変位に変換するものである。具体的には、L字リンク30を用いている。このL字リンク30は、L字リンク30の屈折部が固定軸30aを介して舌圧部24に回動可能に固定され、L字リンク30の短辺側端部が操作ロッド軸30bを介して水平ロッド27bと接続され、L字リンク30の長辺側端部が補助ブレード軸30cを介して補助ブレード22と接続されている。
【0042】
そして、水平ロッド27bが挿入方向Fへ移動すると、L字リンク30が固定軸30aを中心に回転し、L字リンク30の長辺側が矢印R側に変位し、この変位に合わせて補助ブレード22も収納位置から拡張位置へと変位することになる。
【0043】
一方、医師等が、操作レバー28aの押圧を止めると、ばね28bの弾性力によって、操作レバー28aはハンドル10側とは反対側に移動し、垂直ロッド27a、水平ロッド27bが挿入方向Fとは反対側に移動することになる。そして、L字リンク30が逆方向に回転し、補助ブレード22も拡張位置から収納位置へと変位することになる。
【0044】
また、補助ブレード22は、補助ブレード操作部23によって収容位置と拡張位置とを自在に移動できる。したがって、医師等は、ブレード20を口腔内に挿入する際、まず補助ブレード22が収容位置にある状態でブレード20を挿入する。そして、医師等は、必要に応じて、補助ブレード22を拡張位置へ変位させて喉頭鏡1を使用する。そして、気管挿管等の作業が終了すると、医師等は、補助ブレード22を収容位置の状態へ戻して、ブレード20を口腔内から引き出す。したがって、ブレード20を引き出す際にはブレード20が元の幅に戻っているので、医師等は、ブレード20の引き出しを容易に行うことができる。
【0045】
なお、本実施形態においては、
図3に示すように、補助ブレード22が拡張位置へ変位する際に、補助ブレード22の側面が舌圧部24の側面と平行に移動するように、非接触面24b等に図示しないガイド等を設けて、補助ブレード22の変位を規制しながら移動させる構成にしている。このような構成にすることで、喉頭鏡1は、ブレード20の幅がブレードの位置に関係なく均等に変わるようになっている。
【0046】
以上のように、幅可変ブレードからなるブレード20を備える喉頭鏡1を用いることにより、舌がブレード20の縁から垂れ下がってしまい、喉頭の観察等の妨げとなるような場合に、わざわざ他のブレードに交換したり、ブレード20の挿入をやり直したりすることなく、ブレード20の幅を広げることで、垂れ下がった舌を簡単に圧排することができる。
【0047】
なお、本実施形態において、補助ブレード操作部23は、ハンドル10を握る左手で簡単に操作できるようにするために、操作機構28を本体部11の傍に隣接して配置している。しかしながら、操作機構28の位置は、この位置に限定されるものではなく、例えば、医師等が右手で簡単に操作できるように、例えば、操作機構28をブレード本体21の傍に配置するような構成でも構わない。また、例えば、本体部11の表面にスイッチを取り付けておくように、ハンドル10と操作機構28とを一体に設けておく構成でも構わない。このようにハンドル10と操作機構28とが一体構成となることで、喉頭鏡1は、使用者の操作性をより向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態における操作ロッド27と、操作機構28と、リンク機構29と、で構成された補助ブレード操作部23は、あくまでも一例であり、補助ブレード22を収容位置から拡張位置へと移動させる構成であれば、その他種々の構成を適用することができる。例えば、モータの回転運動をカムや遊星歯車やギア等を利用して直線運動に変えて、補助ブレード22が収容位置から拡張位置へと移動するような構成を適用することができる。
【0049】
また、収容位置から拡張位置へと変化する補助ブレード22が、矢印Rの方向へ段階的に変化してく構成、つまり段階的にブレード20の幅が変化してく構成としても構わない。このような構成にすることにより、ブレード20の最適な幅への調整を容易に行うことができる。この場合、補助ブレード操作部23の構成に段階的な調整が行えるようなダイヤル式の操作機構を設ける構成を適用することができる。
【0050】
[実施形態2]
次に実施形態1と異なる幅可変ブレードからなるブレード120について、
図5を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同じ符号を付しており、詳細な説明を省略する。
図5の(A)は、補助ブレード122が収容位置にあるブレード120の斜視図を示しており、
図5の(B)は、補助ブレード122が拡張位置にあるブレード120の斜視図を示している。
【0051】
ブレード120は、ブレード本体21と、補助ブレード122と、補助ブレード操作部123と、で構成されている。なお、ブレード本体21は、実施形態1と同様である。
【0052】
補助ブレード122は、形状記憶合金からなり、挿入方向Fに沿って伸びる平面状の部材からなる。この補助ブレード122は、収容位置において、ブレード本体21の舌圧部24の非接触面24b側に、
図5の(A)に示すようなロール状に取り付けられている。
【0053】
そして、補助ブレード122の表面全体には、ヒータ線128が蛇行しながら配置されている。ブレード120は、ヒータ線128に電流を流すことで発生するジュール熱によって、ロール状の補助ブレード122を
図5の(B)に示すように展開させ、補助ブレード122を収容位置から拡張位置へと変化させる。
【0054】
実施形態1のブレード20の補助ブレード22は、収容位置から拡張位置へ変化する際に、矢印Rの方向へ水平に移動しながら変化する構成となっている。一方、本実施形態のブレード120の補助ブレード122は、収容位置から拡張位置へ変化する際に、ロール状態から展開しながら変化する構成になっている。つまり、補助ブレード122は、矢印Rの方向にブレード20の幅を広げるとともに、垂れ下がった舌を持ち上げるように圧排方向Pへも変化していく。したがって、拡張位置へ変化する際に、舌へ加わる負担が非常に少なくなる。
【0055】
なお、補助ブレード122は、収容位置から拡張位置へ変化する際に、矢印Rの方向にブレード20の幅を広げるとともに、舌を持ち上げるように圧排方向Pへも変化していくのであれば、本実施形態のように収容位置において、ロール状でなくとも構わない。例えば、収容位置において、補助ブレード122が、圧排方向Pとは反対方向に折れ曲がった状態でも構わない。
【0056】
ヒータ線128は、補助ブレード操作部123を構成する部材である。また、補助ブレード操作部123のその他の構成については図示を省略しているが、その他構成として例えば電流をオン・オフするためのスイッチや、電池等の電源を備えている。
【0057】
また、本実施形態では、補助ブレード122そのものを形状記憶合金としているが、補助ブレード122として形状記憶合金製のワイヤーが埋め込まれている樹脂製の板部材を用いても構わない。このような補助ブレード122は、ワイヤーに電流を流すことによって、ロール状態の収容位置から拡張位置へ展開しながら変化する。
【0058】
また、補助ブレード122として、形状記憶合金を用いるのではなく、例えば、ヒータ線128の代わりにチューブを配置しておき、このチューブ内に、空気や水等を図示しないポンプにより供給することで、収容位置から拡張位置へ変化する構成としても構わない。このような構成であれば、補助ブレード122の変化の際に熱を必要としてないので、口腔内での使用により適している。
【0059】
以上のように、幅可変ブレードからなるブレード120を、実施形態1と同様のハンドル10に連結し、この喉頭鏡を用いることにより、舌がブレード120の縁から垂れ下がってしまい、喉頭の観察等の妨げとなるような場合に、わざわざ他のブレードに交換したり、ブレード120の挿入をやり直したりすることなく、ブレード120の幅を広げることで、垂れ下がった舌を簡単に圧排することができる。
【0060】
なお、実施形態1、実施形態2においては、ハンドルとブレードがそれぞれ別体の喉頭鏡により説明した。しかしながら、ハンドルとブレードが分離不可に連結されている喉頭鏡にも、ブレード部分に本実施形態の幅可変ブレードを適用することは可能である。
【0061】
また、実施形態1、実施形態2において、幅可変ブレードからなるブレードの構成が、ブレード本体と、補助ブレードからなるものであったが、例えば、実施形態3として
図6に示すようなブレード本体221の舌圧部224そのものの幅が変化する構成の幅可変ブレードでも構わない。
【0062】
図6のブレード220は、ブレード本体221の舌圧部224が、非可動部分と幅の変化する拡張部分と、からなる。そして、舌圧部224の拡張部分が形状記憶合金からなっている。このブレード220は、収容位置において舌圧部224の一部が非接触面224b側に曲がったロール状になっており、図示しないヒータ線からの熱により、拡張位置においてはロール状の舌圧部224が圧排方向Fへと展開する。なお、
図6の(A)は、舌圧部224が収容位置にあるブレード220の斜視図を示しており、
図6の(B)は、舌圧部224が拡張位置にあるブレード220の斜視図を示している。このような非可動部分と拡張部分とが一体に形成された舌圧部224の構成は、衛生的に好適である。
【0063】
また、補助ブレードと補助ブレード操作部をユニット化しておき、ハンドルとブレードからなる既存の喉頭鏡に対して、ユニット化された補助ブレードと補助ブレード操作部とを後付けできる構成にしても構わない。このような構成であれば、既にある喉頭鏡を利用して幅可変ブレードを備える喉頭鏡を実現することができる。
【0064】
また、実施形態1、実施形態2、実施形態3の補助ブレードは、舌圧部の一方側(矢印Rの方向)だけに変化するものであったが、舌圧部の両方へ変化する構成でも構わない。また、補助ブレードは、板状の部材に限られるものではなく、枠状の部材からなるものでも構わない。なお、補助ブレードが枠状の部材の場合に、枠の内側から舌が垂れ下がってしまうおそれがあるため、舌の垂れ下がりを防ぐために枠の内側にも補助の部材を設けておく構成がより好ましい。
【0065】
また、実施形態1、実施形態2、実施形態3の補助ブレードは、ブレードを口腔内に挿入し、舌を圧排する際に、舌圧部の縁から舌が垂れ下がる場合に、収容位置から拡張位置へと変化させて使用するものであった。しかし、このような幅可変ブレードを備える喉頭鏡は、補助ブレードを口腔内に挿入する前から拡張位置の状態にしておき、ブレードを口腔内に挿入しながら、補助ブレードを収容位置の状態に近づけるよう、ブレードの幅を徐々に狭くしながら使用することもできる。
【0066】
[実施形態4]
次に他の実施形態のブレード320について、
図7を参照して説明する。
図7は、ブレード320を舌圧部324の非接触面324b側から見た平面図であり、
図7(A)は、補助ブレード322が収容位置にあるブレード320の平面図であり、
図7(B)は、補助ブレード322が拡張位置にあるブレード320の平面図である。
【0067】
ブレード320は、ブレード本体321と、補助ブレード322と、補助ブレード操作部323と、で構成されている。
【0068】
ブレード本体321は、実施形態1のブレード本体21と同様の構成となっている。また、このブレード本体321は、舌圧部324の長さが140mmであり、舌圧部324の幅が15mmとなっている。なお、
図7は、ブレード本体321のフランジを省略して示している。また、補助ブレード操作部323は、補助ブレード操作部323を構成するリンク機構329のみを示すとともに、リンク機構329(固定軸330a、操作ロッド軸330b、補助ブレード軸330c)を簡略化して示している。
【0069】
補助ブレード322は、挿入方向Fにおける先端側から離れるにしたがって徐々に幅が広くなっており、補助ブレード322の幅が最大となる位置Wは補助ブレード322の長さの中間地点近傍になっている。補助ブレード322の先端側は舌根側となり、舌が垂れ下がるのは舌体側となるため、補助ブレード322は、舌体側となる補助ブレード322の中間地点近傍が幅広となっている。また、補助ブレード322の先端側が舌圧部324からあまり大きく飛び出すと、気管挿管の際に挿管チューブの挿入を妨げるおそれがあるため、補助ブレード322は、先端側の幅が狭くなっている。この時、位置Wでの補助ブレード322の幅は、大体4〜7mmとなる。
【0070】
また、気管挿管の際の挿管チューブの挿入を妨げないことや、喉頭部を不意に刺激しないこと等の理由により、舌圧部324の先端では補助ブレード322が拡張しない方が好ましい。したがって、補助ブレード322が舌圧部324から飛び出す位置は、舌圧部324の先端から距離Bだけ離れている。なお、この距離Bは、舌圧部324の幅Aとすると1/2A〜2Aの範囲となる。
【0071】
ブレード320は、このような構成により、気管挿管等の作業をより安全に行うことができる。
【0072】
[実施形態5]
次に他の実施形態の補助ブレード操作部423について、
図8を参照して説明する。
図8は、ハンドル410の内部構造を示した概略内部図である。補助ブレード操作部423は、操作機構428と伝達機構429とリンク機構と、で構成されている。なお、リンク機構は実施形態1と同様の構成となっているため図示及び説明を省略する。
【0073】
操作機構428は、ダイヤル式の操作部428aからなり、操作部428aの側面の一部がハンドル410の本体部411から露出している。この操作部428aの側面を指で正転或いは逆転させることで伝達機構429を介して、リンク機構が動作されることになる。
【0074】
伝達機構429は、実施形態1で示した本体部11の外部に設けられた操作ロッド29と異なり、一部が本体部411の内部に設けられている。伝達機構429は、操作部428aの回転軸に設けられたピニオンの回転を伝えるラックギア429aと、ラックギア429aの動きに応じて回転する第1ギア429bと、第1ギア429bの回転に応じて回転する第2ギア429cと、第2ギア429cの回転により前後に動く水平ロッド429dと、を備えている。水平ロッド429には前後方向に延びるラックギアが設けられ、このラックギアが第2ギア429と噛み合っている。
【0075】
ハンドル410にブレード420が連結されていないときには、水平ロッド429dはブレード420側にあり、水平ロッド429dの先端は図示しないリンク機構の操作ロッド軸につながっている。そして、ブレード420を連結部412へ連結することによって、第2ギア429cの歯車と水平ロッド429dのラックギアの歯とが噛み合う。そして、水平ロッド329dが前方(挿入方向F)へ移動することにより、図示しない補助ブレードが拡張位置へと変位する。また、水平ロッド329dが後方へ移動することにより、補助ブレードが収納位置へと変位する。なお、本実施形態では、操作部328aの側面を矢印Nの方向に回転させることにより、水平ロッド329dが前方へ移動する。
【0076】
このように、本実施形態においては、補助ブレード操作部423を構成している操作機構428がハンドル410の本体部411に設けられており、操作機構428による操作をリンク機構へと伝える伝達機構429がハンドル410の本体部411内部に設けられている。したがって、ハンドル410の本体部411の傍に隣接して伝達機構429がないため、本体部411をしっかり握ることができるとともに、操作を容易に行うことができる。また、補助ブレード操作部423は、他の交換用のブレードと取り換える際にも、ハンドル410側に取り付けられた第2ギア429cと、ブレード420側に取り付けられた水平ロッド429dのラックギアとをかみ合わせるだけなので、他のブレードとの交換を容易に行うことができる。
【0077】
[実施形態6]
次に他の実施形態のブレード520について、
図9を参照して説明する。
図9は、ブレード520のブレード本体521を構成するマウント526周辺を拡大した拡大断面図である。
【0078】
ブレード520は、ハンドル510の連結部512を構成する連結棒514へ連結される。このブレード520は、ブレード本体521と、図示しない補助ブレードと、補助ブレード操作部523と、で構成される。なお、補助ブレード操作部523は、実施形態5の補助ブレード操作部423と略同様の構成となっており、詳細な説明は省略する。
【0079】
ブレード本体521は、金属製の舌圧部524と、図示しないフランジと、連結部512の連結棒514へ連結するための接続手段であるマウント526と、を備えている。
【0080】
このマウント526は、実施形態のマウント26とは異なり、ブレード520の連結位置をブレード520の長手方向に沿って変えることができる連結位置可変機構を有している。
【0081】
具体的には、連結位置可変機構は、連結棒514を嵌合させる嵌合溝526a、526bとからなる。嵌合溝526a、526bは、舌圧部524の長さ方向に沿って異なる位置に設けられている。したがって、ブレード520は、連結棒514へ連結する嵌合溝によって、口腔内へと挿入する舌圧部524の長さを変えることができる。
【0082】
したがって、舌の短い患者の場合には、舌圧部524の長さが短くなるよう嵌合溝526aへ連結棒514を嵌合させ、舌の長い患者の場合には、舌圧部524の長さが長くなるように嵌合溝526bへ連結棒514を嵌合させる。
【0083】
このように、ブレード520は、接続手段であるマウント526に、ブレード520の連結位置を変える嵌合溝526a、526bとからなる連結位置可変機構を有している。そのため、従来長さの異なる複数のブレードが必要であったが、連結位置可変機構を備えるブレード520によって、必要となるブレードの数を減らすことができる。とくに救急現場ではあまり多くのブレードを携帯することは収納スペース等の理由から難しいため、ブレード520は非常に有益である。
【0084】
また、ブレード520の補助ブレード操作部523は、補助ブレード操作部423と同様の構成となっている。このため補助ブレードの操作は、ハンドル510側に取り付けられた第2ギア529cと、ブレード520側に取り付けられた水平ロッド529dとのかみ合わせによって実現することができる。この時、連結位置を変えることによって、第2ギア529cと水平ロッド529dとのかみ合わせの位置も変わることになる。しかしながら、第2ギア529cと水平ロッド529dとがかみ合いさえすれば動作するため、水平ロッド529d側に歯が形成されていれば、連結位置を変えても、補助ブレードの操作へは影響しない。
【0085】
なお、本実施形態では、連結位置可変機構は、二つの嵌合溝526a、526bからなるものであったが、より多くの嵌合溝からなるものでも構わない。また、本実施形態では、連結部512は連結棒514からなり、接続手段はマウント526からなるものであったが、例えば連結部512の壁部513にレールを設けておき、ブレード520の接続手段をこのレールと連結する構造とし、連結位置可変機構をスライド式のものとしても構わない。
【0086】
[実施形態7]
次に他の実施形態のブレード620について、
図10を参照して説明する。
図10(A)は、ブレード620を構成するブレード本体621の接触面624a側からみた平面図であり、
図10(B)は、
図10(A)に示すXB−XBの断面図である。
【0087】
ブレード620は、ブレード本体621と、補助ブレード622と、図示しない補助ブレード操作部と、で構成されている。なお、補助ブレード操作部に関しては、他の実施形態と同様の構成を採用することができる。またブレード本体621は実施形態1のブレード本体21と同様であり、詳細な説明を省略するとともに、マウント等の図示を省略している。
【0088】
補助ブレード622は、実施形態1の補助ブレード22と異なり、
図10(B)に示すように、断面コの字状となっている。したがって、補助ブレード622は、舌圧部624を挟んで非接触面624b側だけでなく、接触面624a側にも位置することになる。
【0089】
補助ブレード622が、ブレード本体621における舌圧部624の接触面624b側に設けられることにより、補助ブレード622を拡張位置から収容位置へ変位させた際に、患者の舌が舌圧部624と補助ブレード622との間に挟まれることを防止することができる。また、補助ブレード622を拡張位置へ変位させた際に、補助ブレード622が舌圧部624によって支持されることになるため、補助ブレード622は垂れ下がった患者の舌をしっかりと支えることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、補助ブレード622は、断面コの字状となっているが、接触面624a側だけに位置する形状でも構わない。このような形状であっても、補助ブレード622は、患者の舌が舌圧部624と補助ブレード622との間に挟まれることを防止することができる。
【0091】
[実施形態8]
次に他の実施形態のブレード720について、
図11を参照して説明する。
図11は、ブレード720を舌圧部724の非接触面724b側から見た平面図であり、
図11(A)は、補助ブレード722が収容位置にあるブレード720の平面図であり、
図11(B)は、補助ブレード722が拡張位置にあるブレード720の平面図である。
【0092】
ブレード720は、ブレード本体721と、補助ブレード722と、補助ブレード操作部723と、で構成されている。なお、ブレード本体721は実施形態1のブレード本体21と同様であり、詳細な説明を省略するとともに、フランジ等の図示を省略している。また、補助ブレード722も実施形態1のブレード本体21と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0093】
補助ブレード操作部723は、図示しない操作ロッドと、図示しない操作機構と、リンク機構729と、で構成されている。なお、補助ブレード操作部723は、操作ロッドや操作機構に関して、実施形態1の同様の構成を採用することができる。また、補助ブレード操作部723は、実施形態5に示した伝達機構429の構成を採用することができる。
【0094】
リンク機構729の構成のうち、実施形態1のリンク機構29と同様の構成に関しては図示及び説明を省略する。リンク機構729は、実施形態1のリンク機構29と異なり、補助ブレード722と接続する補助ブレード軸730cが、補助ブレード722の先端側(挿入側)に位置するように設けられている。
【0095】
このような構成のリンク機構729であっても、他の実施形態と同様に、ブレード720は、舌がブレードの縁から垂れ下がってしまい、喉頭の観察等の妨げとなるような場合に、わざわざ他のブレードに交換したり、ブレードの挿入をやり直したりすることなく、ブレードの幅を広げることで、垂れ下がった舌を速やかに圧排することができる。
【0096】
以上のように、本実施形態のような、幅が可変する幅可変ブレードからなるブレードを喉頭鏡に用いることで、舌がブレードの縁から垂れ下がってしまい、喉頭の観察等の妨げとなるような場合に、わざわざ他のブレードに交換したり、ブレードの挿入をやり直したりすることなく、ブレードの幅を広げることで、垂れ下がった舌を速やかに圧排することができる。本実施形態のような喉頭鏡は、経験の浅い医師や救急救命士にとって、速やかな気管挿管が要求される新生児に対する気管挿管において、特に高い効果を奏することになる。
【0097】
また、幅可変のブレードによって、従来に比べ交換用のブレードの数を減らすことができる。そのため、例えば、救急現場等で喉頭鏡を使用する場合に、携帯するブレードの数を減らすことが可能になる。