特許第6322491号(P6322491)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322491
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】釣用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/10 20060101AFI20180423BHJP
   A01K 85/01 20060101ALI20180423BHJP
   A01K 85/18 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   A01K85/10
   A01K85/01 B
   A01K85/18
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-122809(P2014-122809)
(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公開番号】特開2016-2011(P2016-2011A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年6月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】504091326
【氏名又は名称】株式会社イマカツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】狩野 敦
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−055353(JP,U)
【文献】 米国特許第02107436(US,A)
【文献】 登録実用新案第3169495(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0064564(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3051655(JP,U)
【文献】 特開2000−116281(JP,A)
【文献】 特開2013−236574(JP,A)
【文献】 特開2002−354962(JP,A)
【文献】 特開平10−117636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 − 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアー本体の両側部であって体長方向の中心部より前の位置にネジ穴と、前記ネジ穴に連続し後部に配向したスイベル固定溝を備え、
前記ネジ穴にスイベルの一方の環を介してネジが組み込まれ、前記スイベル固定溝にスイベルが固定され、
前記スイベルの他方の環にブレードが取り付けられており、
前記ルアー本体の移動とともに、前記ブレードが回転及び/又は振動し、前記ルアー本体と接触して接触音を発生することを特徴とする釣用ルアー。
【請求項2】
前記スイベル固定溝はネジ穴に向かって傾斜する傾斜溝である請求項1に記載の釣用ルアー。
【請求項3】
前記ブレードは平板状である請求項1又は2に記載の釣用ルアー。
【請求項4】
前記ルアー本体の内部の腹部に相当する部分には固定錘が配置されている請求項1〜3のいずれかに記載の釣用ルアー。
【請求項5】
前記ルアー本体の内部の空洞には可動錘が配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の釣用ルアー。
【請求項6】
前記ブレードとルアー本体との接触音は、ラインを引いたとき及びラインの引きを止めてルアーを沈めたときに発生する請求項1〜5のいずれか1項に記載の釣用ルアー。
【請求項7】
前記ブレードは金属プレートである請求項1〜6のいずれか1項に記載の釣用ルアー。
【請求項8】
前記ルアー本体は、樹脂製、金属製及び木材製から選ばれる少なくとも一つの硬質材料である請求項1〜7のいずれか1項に記載の釣用ルアー。
【請求項9】
前記ブレードはルアーに不規則で変幻自在な動きを与える請求項1〜8のいずれか1項に記載の釣用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された釣用ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、木製やプラスチック製の釣用ルアー(疑似餌)を用いたルアーフィッシングが盛んに行われている。ルアーフィッシングでは、対象魚の種類等に応じて種々のルアーが使用されている。
【0003】
上記ルアーにはハードルアーと呼ばれるものがあり、この中にはスプーン、スピナー、プラグ、ジグがある。プラグとしては、下記のものを例示できる(非特許文献1)。
(1)水面上に浮かべて使用するルアー(トップウォーターともいう)として、ペンシルベイト、スウィッシャー、ポッパー、ノイジー等
(2)リップ付きで水中で使用するミノー、クランクベイト等
(3)その他として、バイブレーション・プラグ等
本出願人は、特許文献1にはルアー本体の尾部に回転かつ上下動可能にブレードを取り付けたルアーを提案した。特許文献2にはルアー本体の側部にワイヤー状の固定具にブレードを回転可能に取り付けることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4707773号公報
【特許文献2】特開2012−244967号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】橋口彰一郎ら編著、「新・ルアーフィッシング入門」、2004年7月28日、学習研究社、28〜39頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記従来のルアーは、ブレードが回転してもルアー本体と接触することは無く、接触音も発生せず、ブラックバス等の大型魚を釣る場合のルアーとしては、さらに改良することが求められていた。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、ブレードが回転してルアー本体と接触して接触音を発生し、一般魚にも好適であるが、ブラックバス等の大型魚を釣るのにとくに好適な釣用ルアーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の釣用ルアーは、ルアー本体の両側部であって体長方向の中心部より前の位置にネジ穴と、前記ネジ穴に連続し後部に配向したスイベル固定溝を備え、前記ネジ穴にスイベルの一方の環を介してネジが組み込まれ、前記スイベル固定溝にスイベルが固定され、前記スイベルの他方の環にブレードが取り付けられており、前記ルアー本体の移動とともに、前記ブレードが回転及び/又は振動し、前記ルアー本体と接触して接触音を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の釣用ルアーは、スイベルの一方の環を介してネジ穴にネジが組み込まれ、スイベル固定溝にスイベルが固定され、スイベルの他方の環にブレードが取り付けられているため、スイベルの位置は斜め方向に固定されており、水流抵抗を受けるとスイベルの他方の環を中心としてブレードが回転及び/又は振動し、ルアー本体と接触して接触音を発生する。すなわち、スイベルは固定軸となり、スイベルの先端のブレードのみが回転及び/又は振動するため、例えばカリカリとした小刻みで高音のクラッキングサウンドを発生する。これにより、魚に対して刺激を与え、魚釣り効果を高めることができる。この効果は小型魚〜中型魚の一般魚にも好適であり、ブラックバス等の大型魚を釣るのにとくに好適なルアーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は本発明における一実施例のルアーの正面図である。
図2図2は、同ルアーの平面図である。
図3図3は、同ルアーのブレードが回転する部分の拡大図である。
図4図4は、同ルアーの本体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の釣用ルアーは、ルアー本体の両側部であって体長方向の中心部より前の位置にネジ穴を設け、このネジ穴に連続し後部に配向するスイベル固定溝を設ける。スイベルの一方の環を介してネジ穴にネジを組み込み、スイベル固定溝にスイベルを斜め方向に固定する。スイベルの他方の環にはブレードを取り付ける。ブレードはスイベルの他方の環に環を介して取り付けても良い。このようにすることで、ルアー本体を移動させると、ブレードが回転及び/又は振動し、ルアー本体と接触して接触音を発生する。前記において、ルアー本体とはルアーのボディをいう。
【0012】
スイベル固定溝はネジ穴に向かって傾斜する傾斜溝であっても良い。ネジ穴側が深い傾斜溝であると、スイベルは傾斜した状態で固定され、スイベル先端のブレードはルアー本体と接触しやすくなる。
【0013】
ブレードは平板状、末広がり状、湾曲など任意の形状とすることができる。中でも平板状は小刻みで高音のクラッキングサウンドを発生しやすいことから好ましい。ブレードは金属プレートであるのが好ましい。金属プレートであればルアー本体と接触したときに高音の接触音を発生しやすい。ブレードの厚さは0.1mm〜1mm程度が好ましい。
【0014】
ルアー本体の内部の腹部に相当する部分には固定錘が配置されていてもよい。固定錘が配置されていると、ルアーの姿勢が安定であり水流抵抗を腹部に受けやすい。またラインの引きを止めてルアーを沈めたときにルアーは立った状態となり、引き上げる際にフックが障害物に引っかかりにくくなる。
【0015】
ルアー本体の内部の空洞には可動錘が配置されていてもよい。ルアー本体の内部の空洞には可動錘が入っていると、水流抵抗を受けて揺れたときに可動錘も一緒に動き、ルアーの上下方向の動きは加速され、より複雑な動きをする。これにより、魚に対して刺激を与え、魚釣り効果を高めることができる。
【0016】
ブレードとルアー本体との接触音は、ラインを引いたとき及びラインの引きを止めてルアーを沈めたときに発生する。これは水流抵抗によりブレードが回転及び/又は振動してルアー本体と接触するためである。
【0017】
ルアー本体は、樹脂製、金属製及び木材製から選ばれる少なくとも一つの硬質材料が好ましい。いわゆる硬質ルアーであれば、ブレードが接触して高音の接触音を発生しやすい。金属プレート製ブレードと硬質材料製ルアー本体の組み合わせの場合は最も高音を発生しやすく好ましい。
【0018】
本発明のルアーは、ブレードの不規則な回転によりルアーに不規則で変幻自在な動きを与えることができる。このような動きは魚の闘争心を沸かせて釣り効果を高めることができる。
【0019】
本発明のルアーは、ハードルアーと呼ばれるルアーであれば、どのようなものにも適用できる。例えばスプーン、スピナー、プラグ、ジグ等であり、プラグとしては、ペンシルベイト、スウィッシャー、ポッパー、ノイジー、ミノー、クランクベイト、メタルジグ等に適用できる。ルアー本体(ボディ)の材料は、樹脂製、金属製、木材製等いかなるものであってもよい。
【0020】
以下図面によって説明する。以下の説明において、同一符号は同一部品又は物体を示す。図1は本発明における一実施例のルアー20の正面図である。このルアー20はペンシルベイトである。このルアー20は、ルアー本体1の両側部であって体長方向の中心部より前の位置、例えば目から胸の部分の位置にネジ穴と、前記ネジ穴に連続し後部に配向したスイベル固定溝16が形成されている。スイベル固定溝16の配向角度は水平線を基準として約30゜とした。スイベル固定溝16はネジ穴に向かって約30°傾斜する傾斜溝とした。ネジ穴にはスイベル3の一方の環を介してネジ2が組み込まれ、スイベル固定溝16にスイベル3が固定されている。スイベル3の他方の環4にスプリットリング5を介してブレード6が取り付けられている。ルアー本体1の移動とともに、ブレード6は回転及び/又は振動し、ルアー本体1と接触して接触音を発生する。スイベル3の両端に固定されている環はともに自由回転可能に支持されているため、水流抵抗によりブレード6は回転及び/又は振動し、ルアー本体1と接触して接触音を発生する。
【0021】
ルアー本体1の上部には固定環7とスプリットリング8があり、ここにラインを接続する。また、腹部にはフックハンガー9が固定されており、スプリットリング10を介してフロントフック11が取り付けられている。フロントフック11は、ダブルフックでもトリプルフックでもよい。尾部にはフックハンガー12がルアー本体1に固定され、このフックハンガー12にスプリットリング13を介してリアフック14が取り付けられている。リアフック14もダブルフックでもトリプルフックでもよい。尾部にはラバー糸15を取り付けても良い。ラバー糸15の長さは任意に選択できる。このような基本形のルアーに、ブレード6を取り付けたのが本発明の実施例品である。
【0022】
図2は同ルアー20を上から見た平面図である。スイベル3a,3bは固定溝に沿って傾斜して固定されているため、ブレード6a,6bも傾斜して取り付けられている。この状態で水流抵抗を受けるとブレード6a,6bは回転及び/又は振動し、ルアー本体1と接触して接触音を発生する。なお、4a,4bはスイベル3a,3bの他方の環、5a,5bはスプリットリングである。
【0023】
図3は同ルアーのブレード6が回転する部分の拡大図である。すでに説明したように、ネジ穴に連続し後部に配向したスイベル固定溝16,17が形成されており、ネジ穴にはスイベル3の一方の環を介して前記ネジ穴にネジ2が組み込まれ、スイベル固定溝16,17にスイベル3が固定されている。スイベル3の他方の環4にスプリットリング5を介してブレード6が取り付けられている。水流抵抗を受けると、ブレード6は回転及び/又は振動し、ルアー本体1と接触して接触音を発生する。ブレード6がルアー本体1と接触する頻度はかなり高く、1日数時間の釣り動作によりルアー本体1の塗装が剥げ落ちるほどである。
【0024】
図4は同ルアー20の本体断面図である。ルアー本体1の内部の腹部に相当する部分には固定錘21,22が配置されている。これによりルアーの姿勢が安定であり水流抵抗を腹部に受けやすい。またラインの引きを止めてルアーを沈めたときにルアーは立った状態となり、引き上げる際にフックが障害物に引っかかりにくくなる。また、ルアー本体1の内部の空洞には可動錘23が配置されている。この可動錘23は6個の球で構成され、枠24で構成される空洞の中で前後に動く。このようにルアー本体の内部の空洞には可動錘23が入っていると、水流抵抗を受けて揺れたときに可動錘23も一緒に動き、ルアーの上下方向の動きは加速され、より複雑な動きをする。これにより、魚に対して刺激を与え、魚釣り効果を高めることができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体例に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
図1図3に示すブレード6を作成した。このブレード6の材質は、厚さ0.5mmのニッケルメッキを施した真鍮からなる金属プレートとした。大きさは、もっとも幅の広い部分が11mm、長さは14mm、取り付け穴の直径は2mmとした。スイベル3の長さは2mm,直径2mmであり、両端の環を含めた長さは10mmであった、ネジ2は直径1.5mm、長さ5mmであった。プレート6を図1図3に示すように長さ66mmのルアー本体1に取り付け、実際にラインで引いて水中で使用した。この結果、驚くべきことに、ザリガニが泳ぐようなカリカリとした小刻みで高音のクラッキングサウンドを発生した。また、上下左右に不規則で大きな変化をした泳ぎをし、変幻自在な動きをし、あたかも小魚が泳ぐような挙動であり、いわゆるルアーにアクションをさせることができ、例えば蛇行、千鳥、エスケープ・アクションしたり、急に方向を変えたり、しゃくり上げたりという釣りの対象とする魚を誘うような動作した。その結果、高いブラックバスの釣り成果があった。
【0027】
次にラインを引くのを止め、ルアーを沈めた。このときもブレードとルアー本体との接触音が発生した。ルアーを沈めるだけで接触音が発生するものは従来には見られなかった。これは水流抵抗によりブレードが回転及び/又は振動してルアー本体と接触するためと思われる。そして、ルアーを沈める際の接触音によっても釣り成果が出た。また、ルアーを沈めたときフロントフック11はスプリットリング10を起点に横に折れ、ルアーは立った状態で水の底に止まり、引き上げる際にフックが障害物に引っかかりにくいことも確認できた。これはルアーが沈む際に水流抵抗によりブレードが回転及び/又は振動してルアー本体の姿勢を安定させるからと思われる。すなわち、ブレードは姿勢制御に寄与している。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のルアーは、ハードルアーと呼ばれるルアーであればどのようなものにも適用できる。例えばスプーン、スピナー、プラグ、ジグ等であり、プラグとしては、ペンシルベイト、スウィッシャー、ポッパー、ノイジー、ミノー、クランクベイト、メタルジグ等に適用できる。ルアーの材料は、樹脂製、金属製、木材製等いかなるものであってもよい。
【符号の説明】
【0029】
1 ルアー本体
2 ネジ
3,3a,3b スイベル
4,4a,4b 環
5,5a,5b,8,10,13 スプリットリング
6,6a,6b ブレード
7 固定環
9,12 フックハンガー
11 フロントフック
14 リアフック
15 ラバー糸
16,17 スイベル固定溝
20 ルアー
21,22 固定錘
23 可動錘
24 枠
図1
図2
図3
図4