特許第6322497号(P6322497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322497
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/04 20060101AFI20180423BHJP
   B65B 69/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   B65D83/04 D
   B65B69/00 A
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-136439(P2014-136439)
(22)【出願日】2014年7月2日
(65)【公開番号】特開2015-166262(P2015-166262A)
(43)【公開日】2015年9月24日
【審査請求日】2017年6月29日
(31)【優先権主張番号】特願2014-25403(P2014-25403)
(32)【優先日】2014年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505437044
【氏名又は名称】広瀬 康男
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】特許業務法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 康男
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0243507(US,A1)
【文献】 特開2000−168832(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3180480(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/04
B65B 69/00
B65D 73/00−79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の形状に合わせて突出させて形成した表面側の突出部と裏面側のシート状部材とで前記内容物が覆われた保持体を固定すると共に該保持体から落下した内容物を取り出すための包装容器であって、
前記保持体の突出部を貫通させるための貫通孔と前記内容物を取り出すための取出口が形成された表面側保持片、及び、前記突出部に対する押圧により前記シート状部材が破断することで前記内容物が落下するために前記貫通孔に対応する位置に形成された落下孔が形成された裏面側保持片を具備し、前記表面側保持片と前記裏面側保持片とで前記保持体を挟持する保持体挟持部材と、
前記落下孔から落下した前記内容物を受皿端部へとガイドするガイド部を具備し前記裏面側保持片の前記落下孔に内嵌する受皿部材と、
を有し、
前記受皿部材の前記受皿端部を開放又は閉鎖することで、該受皿端部にガイドされた前記内容物を前記表面側保持片の取出口から取出可能に又は取出不能となるように構成したことを特徴とする包装容器。
【請求項2】
前記受皿部材のガイド部は、前記内容物をガイドする方向と交差する方向の前記貫通孔の両端部に隣接するようにリブが形成され、且つ断面がU字に形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記受皿部材は、前記受皿端部に蓋をするための蓋部材を有し、前記蓋部材は前記表面側保持片の取出口に設けた固定部に対して一体的に固定されており、前記受皿端部を該固定部と蓋部材によって開放することで前記取出口から内容物を取出可能とし、又は前記受皿端部を前記固定部と蓋部材によって閉鎖することで前記取出口から内容物を取出不能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記受皿端部に形成される係合部に対して係合することを特徴とする請求項3に記載の包装容器。
【請求項5】
前記受皿部材は前記裏面側保持片に形成された前記落下孔に対し移動可能に内嵌されており、前記受皿端部を前記表面側保持片に形成された前記取出口側に移動させて対向させたとき該受皿端部が開放されて前記内容物を該取出口から取出可能とし、又は前記受皿端部を前記取出口から前記貫通孔側に移動させたとき該受皿端部が閉鎖されて前記内容物を該取出口から取出不能とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPTPシートから簡便に錠剤を抜き落とすとともに、抜き落とした錠剤の飛散を防止する包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、PTPシート等の錠剤を保持し、使用時には、PTPシートに保持した錠剤を取り出し易い構造が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1では、PTP(Press Through Package)シートを、2枚のシート状部材によって錠剤部分(突起部分)を除いて挟持する包装体で保持する。錠剤を取出す際には、錠剤の突出していない裏面側のシート状部材の覆い片を破断させ、PTPシートの裏面を露出させる。そして、錠剤が突出している表面側からPTPシートの突出部を押圧すると、PTPシートの裏面が破れて、錠剤が包装体から取り出される。
【0004】
特許文献2では、下面に取出し孔を設けた内容器に、錠剤の入ったPTPシートを保持し、前記取出し孔の上部に錠剤を配置する。錠剤を取り出す際には、外容器から内容器をスライドさせて取り出し、次に、内容器の上部に突出しているPTPの錠剤部分を押圧することで、PTPシート裏面が破れ、前記取出し孔から錠剤が取り出される。
【0005】
上述の技術によると、PTPシートから錠剤を取り出す際、PTPシートの表面にある突出部を押圧すると、錠剤が押し出されてPTPシート裏面のアルミ泊が破れる。これにより、錠剤がPTPシート外へ取出すことができる。ここで、取り出された錠剤を受けるためには、PTPシート裏面を手で覆うなどする必要がある。この場合、押圧する手と錠剤を受ける手は異なる手である必要があるため、両手を使用する必要があり手間がかかっていた。
【0006】
また、押圧するのは表面であるが、錠剤が取り出されるのは裏面からである。すると、錠剤部分を押圧する際、表面を見ながら行うと、裏面側は隠れていて見えない。このため、手で裏面を覆う際に、隠れている裏面の錠剤の落下する位置を予測する必要があり、確実に錠剤を受け取るには十分ではなかった。
【0007】
このような課題を解決するため、PTPシートを保持する内箱を設け、その内箱から落下する錠剤を受け取る受け皿部を有する外箱とで構成された包装容器がある(例えば、特許文献3参照)。これにより、外箱を開けてPTPシートの錠剤を押すと、錠剤は前記受け皿部に落下するので、より容易且つより確実に内容物を受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−006431号公報
【特許文献2】特開2012−143308号公報
【特許文献3】実用新案登録第3180480号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3の技術は、内箱と外箱がそれぞれ一枚のブランク板を折りたたんで形成される。このため、それぞれの箱を組み立てるのに手間がかかる。また、内箱の材質が紙であると、内箱でPTPシートを保持しつつ、PTPシート上から錠剤を押圧されたときの力にも耐えうる強度を確保するために、複数の面で保持せねばならない。このため、PTPシートを保持する構造とするまでに手間がかかり、且つ内箱により強度が必要とされていた。
【0010】
本発明の目的は、PTPシートを保持する包装容器において、PTPシートから容易かつ確実に錠剤を抜き落とし、且つ抜き落とした錠剤を飛散させることなく、一定の取出口から取り出せるように構成することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための第1構成は、内容物の形状に合わせて突出させて形成した表面側の突出部と裏面側のシート状部材とで前記内容物が覆われた保持体を固定すると共に該保持体から落下した内容物を取り出すための包装容器であって、前記保持体の突出部を貫通させるための貫通孔と前記内容物を取り出すための取出口が形成された表面側保持片、及び、前記突出部に対する押圧により前記シート状部材が破断することで前記内容物が落下するために前記貫通孔に対応する位置に形成された落下孔が形成された裏面側保持片を具備し、前記表面側保持片と前記裏面側保持片とで前記保持体を挟持する保持体挟持部材と、前記落下孔から落下した前記内容物を受皿端部へとガイドするガイド部を具備し前記裏面側保持片の前記落下孔に内嵌する受皿部材と、を有し、前記受皿部材の前記受皿端部を開放又は閉鎖することで、該受皿端部にガイドされた前記内容物を前記表面側保持片の取出口から取出可能に又は取出不能となるように構成したことを特徴とする包装容器である。
【0012】
第2構成は、前記ガイド部には、前記内容物をガイドする方向と交差する方向の前記貫通孔の両端部に隣接するようにリブが形成され、且つ断面がU字に形成されることを特徴とする第1構成に記載の包装容器である。
【0013】
第3構成は、前記受皿部材は、前記受皿端部に蓋をするための蓋部材を有し、前記蓋部材は前記表面側保持片の取出口に設けた固定部に対して一体的に固定されており、前記受皿端部を該固定部と蓋部材によって開放することで前記取出口から内容物を取出可能とし、又は前記受皿端部を前記固定部と蓋部材によって閉鎖することで前記取出口から内容物を取出不能とすることを特徴とする第1構成又は第2構成の包装容器である。
【0014】
第4構成は、前記蓋部材は、前記受皿端部に形成される係合部に対して係合することを特徴とする第3構成の包装容器である。
【0015】
第5構成は、前記受皿部材は前記裏面側保持片に形成された前記落下孔に対し移動可能に内嵌されており、前記受皿端部を前記表面側保持片に形成された前記取出口側に移動させて対向させたとき該受皿端部が開放されて前記内容物を該取出口から取出可能とし、又は前記受皿端部を前記取出口から前記貫通孔側に移動させたとき該受皿端部が閉鎖されて前記内容物を該取出口から取出不能とすることを特徴とする第1構成又は第2構成の包装容器である。
【発明の効果】
【0016】
第1の構成によれば、まず、保持体挟持部材の表面側保持片の貫通孔に対して、保持体(PTPシート)の内容物が突出している部分を嵌め込む一方、裏面側保持片の落下孔に対して受皿部材を内嵌する。そして、保持体を表面側保持片と裏面側保持片にて挟持すれば、包装容器が組み立てられる。このため、包装容器が容易に組み立てられる。
【0017】
組み立てられた包装容器の表面側から内容物を押すと、内容物は、落下孔を通りガイド部によって受皿端部にまでガイドされる。これにより、落下する内容物が飛散することがない。また、受皿部材に落下した内容物は、受皿端部にガイドして集められる。そして、受皿端部に集められた内容物を取出可能に又は取出不能にしたので、予期しない状態で受皿端部に集められた内容物が取り出されることを防ぐことができる。
【0018】
また、保持体挟持部材に挟み込まれるPTPシートは、その下方が受皿部材によって支持されるため、手の不自由な人であっても、上方から錠剤部分を押圧することで、錠剤を容易かつ確実に受皿部材に抜き落とすことができる。また、抜き落とされた錠剤は一旦受皿部材に保持されるため、飛散することがない。また、ガイド部材によって、一定の取出口からの取り出しが可能か或いは不能となるため、錠剤の不必要な取り出しを防ぐことができる。
【0019】
第2の構成によれば、貫通孔の両端部に隣接してリブが構成されるため、包装容器の表面側から内容物を押す際に、貫通孔の両端を裏面側から支持する。すると、表面側から内容物を押す力が、内容物を介して確実に裏面側の薄いシートに伝わり、薄いシートを破りやすくなる。このため、容易に内容物を受皿部材に落下させることができる。
【0020】
第3の構成によれば、受皿端部を蓋部材によって開閉できるので、受皿端部に集められた内容物の取り出しが容易であり、また不必要な取り出しを防ぐことができる。
【0021】
第4の構成によれば、蓋部材を開閉するのみならず、確実に閉状態を維持することができ、誤って内容物を受皿部材に落下させてしまった場合でも、内容物を包装容器の内部にとどめておくことができる。また、意識的に蓋部材の係合を外して、蓋部材を開放すれば、既に受皿端部にある内容物を容易に取り出すことができる。
【0022】
第5の構成によれば、受皿部材を移動させることで、受皿端部に集められた内容物を取出可能に又は取出不能にすることができるので、内容物の取り出しを容易に行うことができ、且つ不必要な取り出しを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の保持体挟持部材のブランク板の表裏面図。
図2】第1実施形態の包装容器を組み立てる際の関係を示す分解斜視図。
図3】第1実施形態の包装容器を組み立てる過程を示す斜視図。
図4】第1実施形態の包装容器の使用状態を示す斜視図。
図5】第2実施形態の保持体挟持部材のブランク板の表裏面図。
図6】第2実施形態の受皿部材を示す図。
図7】第2実施形態の包装容器の使用状態を示す模式図。
図8】保持体挟持部材の他の実施形態に係るブランク板の裏面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態の包装容器10の構成)
図1図4を用いて本実施形態の包装容器について説明する。本実施形態において、包装容器10は、保持体挟持部材20と、受皿部材30と、保持体40とから構成される。そして、保持体40に保持されている内容物を受皿部材30に落下させた後、該受皿部材30に設けた蓋部材35を開放させて取り出しを可能とし、蓋部材35を閉鎖して取り出しを不能とするように構成されている。
【0025】
包装容器10は保持体40を保持する容器である(図2図4参照)。このため、まず、保持体40の説明をする。
【0026】
保持体40としては、例えば、錠剤T(内容物)の形状に合わせて突出させて形成した表面側のプラスチック製の突出部41と、裏面側の薄いアルミ製のシート状部材42とで錠剤を覆うPTP(Press Through Package)シートがある。なお、保持体40はこれに限るものではなく、表面を押圧することで、裏面から取り出すことが可能な構成のものであればよい。また、本実施形態の内容物は錠剤Tであるが、これに限るものではない。
【0027】
この構成により、突出部41を上方から押圧すると、間接的に押圧された錠剤Tによりシート状部材42が押圧されて破断する。これにより、錠剤Tは突出部41と反対方向に取り出される(図4参照)。
【0028】
次に、保持体挟持部材20の構成を説明する。図1は保持体挟持部材のブランク板の表裏面図である。(a)が挟持部の内面を含む面を示す図で、(b)が挟持部の外面を含む面を示す図である。尚、以下の説明では、図1に於ける左右方向を「幅方向」といい、上下方向を「縦方向」又は「長手方向」という。
【0029】
図1に示すように、保持体挟持部材20は、一枚のブランク板から構成される。保持体挟持部材20は、保持体40を表面から保持する表面側保持片21と、保持体40を裏面から保持する裏面側保持片22と、挟持部保護片23とが、この順で連結して構成される。なお、裏面側保持片22と挟持部保護片23は、マチ部23Aを介して連結される。
【0030】
後述するように、表面側保持片21と裏面側保持片22とが重なり合うことによって、保持体40を挟持する挟持部を形成する。次に各部を詳細に説明する。
【0031】
表面側保持片21には、保持体40の突出部41を貫通させるため、突出部41の数に対応した貫通孔21Aが形成される。また、端部の一方(本実施形態では裏面側保持片22側)に錠剤Tを取り出すための開口である取出口21Bが形成される。取出口21Bの内部には、受皿部材30に対して固定される固定部21Cが形成される。固定部21Cには、受皿部材30の固定用突起に係合する係合穴Hが形成される。
【0032】
また、表面側保持片21には表面側表示穴21Dが形成される。このため、保持体40の表面に掲載された錠剤Tの名前などが、表面側表示穴21Dを通して表示されることとなる。表面側保持片21の内面には、同種の接着剤と当接すると接着性を発生する接着剤G1が塗布されている。
【0033】
なお、取出口21B、貫通孔21A、表面側表示穴21Dをつなぐように破棄用破断線Cが形成される。包装容器10の使用後に破棄をする際には、破棄用破断線Cに沿って破断する。これにより、包装容器1を自然と分離することができ、保持体挟持部材20、受皿部材30、保持体40は、それぞれ別体となり、容易に解体することができる。
【0034】
裏面側保持片22は、錠剤Tが落下するために表面側保持片21の貫通孔21Aに対応する位置に落下孔22Aが形成される。落下孔22Aの開口は、取出口21Bに対応する部分にもわたる。
【0035】
また、裏面側保持片22には裏面側表示穴22Bが形成される。このため、保持体40の裏面に掲載された錠剤Tの名前などが、裏面側表示穴22Bを通して表示されることとなる。裏面側保持片22の内面には、同種の接着剤と当接すると接着性を発生する接着剤G2が塗布されている。
【0036】
挟持部保護片23は、包装容器10の表面側において、保持体40の表面側を覆う。これにより、包装容器10を持ち運ぶような不使用時に、突出部41に過度の力が加わらないように保護している。また、挟持部保護片23の表裏には、錠剤Tの説明が印刷される。これにより、錠剤Tが薬である場合には、投薬指導などを表示することができる。
【0037】
まず、図2を用いて、包装容器10の構成要素である受皿部材30の構成を説明する。図2は包装容器を組み立てる際の関係を示す分解斜視図である。受皿部材30は、必ずしも材質を特定するものではないが、樹脂成型品であることが好ましい。成形の自由度が高く、軽量で、強度も高いからである。
【0038】
受皿部材30は、保持体挟持部材20の落下孔22Aから落下した錠剤Tを受ける受皿部と、受皿部の上部開口の縁に形成される開口縁部31を有する。開口縁部31が、後述するように、表面側保持片21と裏面側保持片22により挟持されることで、受皿部が裏面側保持片22の落下孔22Aに内嵌する。
【0039】
受皿部は、受皿端部32Aへとガイドするガイド部32を具備する。ガイド部32は、本実施形態では、保持体40の錠剤Tの列に合わせて2列配列されているが、これに限るものではない。保持体40の列によって設計変更可能である。
【0040】
ガイド部32の幅W1は、錠剤Tが落下する保持体40の長穴の長径の幅W2よりも若干大きい。すなわち、ガイド部32の幅W1は、錠剤Tがガイドされる方向(J方向)と交差する方向の貫通孔21Aの両端部の幅W2より若干大きい。このため、貫通孔21Aに隣接するようにリブ33及び壁面34が形成される。また、ガイド部32は、その断面が略U字に形成される。なお、本実施形態でガイド部32の断面を略U字としたのは、保持体挟持部材20側からの押圧力に耐えうるための構成の一例であり、必ずしもこの構成に限定されるものではない。
【0041】
ガイド部32は、錠剤Tが落下した場合に一端部方向であるガイド方向Jに錠剤Tをガイドすることとなる。ここで、ガイド方向Jの受皿端部32Aにリブ33は形成されない。このため、ガイド部32に落下した錠剤Tが受皿端部32Aの一か所に集められることとなる。
【0042】
受皿端部32Aの上方には、蓋部材35が連結される。蓋部材35は、裏面側保持片22の係合穴Hに内嵌するとともに、リブ33の上端に突設される突起33A(係合部)に対して係合する係合突起35Aとを有する。
【0043】
(包装容器10の組立て)
包装容器10を組み立てる手順を説明する。まず、図2に示すように、保持体挟持部材20の表面側保持片21の上に保持体40を載置する。この際、保持体40の突出部41が表面側保持片21の貫通孔21Aに嵌入するようにする。
【0044】
一方、保持体挟持部材20の裏面側保持片22の上に受皿部材30を嵌入する。この際、受皿部材30の壁面34が裏面側保持片22の落下孔22Aに嵌入するようにする。すると、受皿部材30の開口縁部31が裏面側保持片22の内部に当接する。
【0045】
図3は包装容器を組み立てる過程を示す斜視図である。(a)が表面側保持片21を閉じた図であり、(b)が(a)のうち視認できる線のみを描いた図であり、(c)が(b)の状態を下方向から見た図である。
【0046】
図3に示すように、表面側保持片21と裏面側保持片22の間で折って、表面側保持片21が裏面側保持片22の上に重なるように折り畳む。すると、保持体40及び受皿部材30の開口縁部31が、表面側保持片21と裏面側保持片22に挟持される。
【0047】
なお、表面側保持片21と前記裏面側保持片22とで保持体40を挟持すると、表面側保持片21の内面に塗布された接着剤G1と、裏面側保持片22の内面に塗布された接着剤G2とが当接する。すると、接着剤G1及び接着剤G2は互いに接着性が発生して、表面側保持片21と裏面側保持片22とが接着する。これにより、保持体挟持部材20、受皿部材30、保持体40は一体的に固定され、包装容器10となる。
【0048】
(包装容器10の使用時の説明)
図4は包装容器の使用状態を示す斜視図である。包装容器10の使用時の手順を、S1乃至S5の手順に従って説明する。
【0049】
まず、保持体40の突出部41において突出して配置される錠剤Tを押圧する(図4のS1)。このとき、突出部41の両端部は、リブ33と壁面34は立設されているため、強度が高い。これにより、両端の下部を支持された突出部41の下部は座屈やたわみが抑制された状態であるため、錠剤Tの上部からの力は下方に伝わりやすい。これにより、突出部41に対向する部分のシート状部材42を容易に破ることができ、錠剤Tを容易に受皿部材30へ落下させることができる。
【0050】
このように、ガイド部32にリブ33が形成され、ガイド部32の断面形状を略U字にしたことで、強度が高まる。すると、例えば、包装容器10を机上に置いて、保持体40の突出部41を強く押圧した場合であっても、受皿部材30が姿勢を保持するため、保持体40から錠剤Tを確実且つ容易に落下させることができる。このように、机上に包装容器10を置けば、片手で錠剤Tを取り出すこともでき、手の不自由な人であっても、容易に使用可能である。
【0051】
次に、包装容器10を図中手前側に傾けると、受皿部材30に落下した錠剤Tは、リブ33と壁面34を両端に挟まれているため、ガイド部32にガイドされて(S2)、受皿端部32Aに移動する(S3)。このように、どの錠剤Tを落下させても、受皿部の中に留まるため、錠剤Tの飛散を防止することができ、且つ最終的に受皿端部32Aに集まることにより、取出しが容易である。
【0052】
そして、蓋部材35を開放する。この際、係合突起35Aは係合穴Hの内部に嵌合して一体となっている。また、係合突起35Aの突起33Aに対する係合を解除する。すると、受皿端部32Aが開放されて(S4)、錠剤Tを取り出せることとなる(S5)。
【0053】
また、不使用時は、蓋部材35を閉じて突起33Aに係合突起35Aを係合させることで、確実に受皿端部32Aを閉じることができる。このため、小児などが薬を勝手に使用することを防止することができる。
【0054】
(第2実施形態の包装容器10Aの構成)
次に、図5図7を用いて第2実施形態の包装容器10Aについて説明する。本実施形態において、前述の第1実施形態に於ける包装容器10、保持体挟持部材20、受皿部材30、保持体40と同一の部分或いは同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
本実施形態の包装容器10Aは、保持体挟持部材20A、受皿部材50、保持体40を有して構成される。前述の第1実施形態と同様に、保持体40は保持体挟持部材20Aの表面側保持片21と裏面側保持片22とによって挟持されている。また、受皿部材50は、表面側保持片21と裏面側保持片22に挟持された保持体40と裏面側保持片22との間に配置されて移動可能に挟持されている。そして、受皿部材50の移動に伴って、該受皿部材50に落下した錠剤Tの取り出しを可能或いは不能にしている。
【0056】
本実施形態では、前述の第1実施形態と比較して受皿部材50の形状が異なり、これに付随して保持体挟持部材20Aを構成する表面側保持片21と裏面側保持片22の一部の形状が異なる。
【0057】
先ず、図6により受皿部材50について説明する。受皿部材50は基本的な構成は前述した第1実施形態の受皿部材30と同じである。即ち、受皿部材50は、落下した錠剤Tを受ける受皿部を有しており、該受皿部の上部開口の縁にフランジ状の開口縁部51が形成されている。
【0058】
また、受皿部は、落下した錠剤Tを受皿端部52Aへとガイドする凹溝状のガイド部52を具備する。ガイド部52は、保持体40の錠剤Tの列に合わせて2列配列されている。本実施形態では、2列のガイド部52は夫々独立して形成されており、夫々の端部52A(受皿端部52A)が交わることがない。しかし、このように、ガイド部52が端部52Aで交わることなく夫々独立していることに限定するものではなく、前述した第1の実施形態のように受皿端部で交わるように構成されていても良い。
【0059】
受皿部材50に2列のガイド部52が形成されることで、ガイド部52の間にリブ53が形成されると共に、該ガイド部52の周囲に壁面54が形成される。そして、リブ53を形成することで、保持体40から錠剤Tを落下させる際に、該保持体40に対する押圧力に対抗することが可能である。受皿部材50に形成されたリブ53と対峙する壁面54は、裏面側保持片22に形成された落下孔22Dの幅方向の縁に沿って位置するように形成されることが好ましい。
【0060】
特に、本実施形態に係る包装容器10Aでは、受皿部材50は表面側挟持片21と裏面側挟持片22とに挟持された状態で移動して、錠剤Tの取り出しを可能に或いは不能にし得るように構成されている。このため、受皿部材50は、開口縁部51の幅方向の寸法が保持体40の幅寸法よりも小さいことが好ましく、長手方向の寸法は保持体40の縦寸法よりも充分に大きく且つ落下孔22Dの縦寸法に応じて適宜設定されることが好ましい。
【0061】
本実施形態に於ける保持体挟持部材20Aは、図5に示すように、第1実施形態と同様に、縦方向に連続させた表面側保持片21、裏面側保持片22、挟持部保護片23を有している。
【0062】
表面側保持片21の表面側表示穴21Dが形成された側と反対側であって、端部に位置する貫通孔21Aaと所定距離離隔した位置には、取出口21Gが形成されている。そして、取出口21Gと端部に位置する21Aaとの間の表面側挟持片21が閉鎖部21Hとしての機能を有する。
【0063】
取出口21Gは受皿部材50の受皿端部52Aの平面視形状と略同じような形状を有している。即ち、取出口21Gは、ガイド部52に対応した凹部21Gaと、リブ53に対応した凸部21Gbとを有している。しかし、取出口21Gの形状は本実施形態の形状に限定するものではなく、受皿部材50の受皿端部52Aの形状や構造に対応させて適宜設定することが好ましい。
【0064】
裏面側挟持片22には落下孔22Dが形成されている。本実施形態では、落下孔22Dは縦方向の一端21Daが表面側挟持片21に形成された表面側表示穴21Dと対応する位置を有し、他端21Dbが取出口21Gと対応する位置を有する1個の穴として形成されている。そして、他端21Dbは取出口21Gの形状と略同一の形状をもって形成されている。
【0065】
表面側挟持片21と裏面側挟持片22の裏面側には、接着剤を塗布した接着面G3が連続して形成されている。接着面G3は、前述の第1実施形態に於ける接着剤G1、G2のように各挟持面21、22の裏面全面に形成されていても良い。しかし、接着剤G1、G2を各挟持面21、22の裏面全面に形成した場合、裏面側挟持片22の落下孔22Dに内嵌した、受皿部材50の開口縁部51と接着面G3との接触摩擦が大きくなり、受皿部材50を移動させる際の抵抗が大きくなる虞がある。
【0066】
本実施形態の接着面G3は、表面側挟持片21から裏面側挟持片22にかけて連続した枠状に形成されている。即ち、枠状の接着面G3は、外周部分が表面側挟持片21と裏面側挟持片22の外周によって規定されている。また、枠状の接着面G3の内周部分は、保持体4の幅寸法と略等しいか僅かに大きい幅寸法を有し、表面側表示穴21Dの近傍から裏面側挟持片22のマチ部23Aの近傍に至る縦寸法を有する。特に、接着面G3の内周部分の縦寸法は、落下孔22Dに内嵌した受皿部材50を移動させたときに係合することのないような値を有している。
【0067】
このため、接着面G3に囲まれた部分は、接着剤が塗布されることなく、ブランク板の地肌が露出している。従って、落下孔22Dに受皿部材50を内嵌したとき、開口縁部51はブランク板の地肌と接触することとなり、摩擦抵抗を軽減させることが可能となる。従って、落下孔22Dに内嵌した受皿部材50を移動させる際の抵抗を小さくすることが可能である。
【0068】
本実施形態の包装容器10Aを組み立てる手順は、前述した第1の実施形態と略同じである。即ち、保持体挟持部材20Aの表面側保持片21の上に保持体40を載置する。この際、保持体40の突出部41が表面側保持片21の貫通孔21Aに嵌入する。また、裏面側保持片22の落下孔22Dに受皿部材50のガイド部52を嵌入する。
【0069】
その後、表面側保持片21と裏面側保持片22の間で折って、表面側保持片21が裏面側保持片22の上に重なるように折り畳み、接着面G3を互いに押圧して接着する。これにより、保持体40は互いに接着した表面側保持片21と裏面側保持片22によって挟持される。
【0070】
また、受皿部材50は、開口縁部51が保持体40と裏面側保持片22に挟持されるものの、開口縁部51の幅寸法が保持体40の幅寸法と等しいか小さい寸法を有するため、強固に挟持されることはない。しかも、開口縁部51の一方側の面は保持体40と接触し、他方側の面は裏面側保持片22の地肌を接触することとなり、接着面G3に塗布された接着剤が接触することがない。このため、受皿部材50の円滑な移動を実現することが可能である。
【0071】
上記の如く構成された包装容器10Aの使用方法について図7により説明する。包装容器10Aを開封した状態では、同図(a)に示すように、受皿部材50は挟持部保護片23に接近した位置にある。この状態では、受皿部材50のガイド部52に形成された受皿端部52Aは取出口21Gに隣接した閉鎖部21Hの下方にあり、受皿部材50の受皿端部52Aは取出口21Gに対向していない。
【0072】
このため、受皿部材50に於けるガイド部52の受皿端部52Aに錠剤Tが存在していても取り出すことは不可能である。従って、この状態で、保持体40の突出部41を押圧することで、錠剤Tによってシート状部材42を破断し、該錠剤Tをガイド部52に落下させる。しかし、ガイド部52に落下した錠剤Tを取り出すことは不可能である。
【0073】
次に、受皿部材50を同図(b)に示す矢印a方向に移動させる。この移動によってガイド部52の受皿端部52Aが取出口21Gに対向し、受皿端部52Aに存在する錠剤Tを取り出すことが可能となる。このとき、表面側挟持片21と裏面側挟持片22との接続部分に接着剤が塗布されていないため、受皿部材50の受皿端部51A側の開口縁部51は両挟持片21、22の凹部21Ga、凸部21Gbが重なった部分に挿入される。従って、受皿部材50の矢印a方向への移動を安定した且つ円滑に行うことが可能である。
【0074】
そして、取出口21Gから錠剤Tを取り出した後、受皿部材50を矢印b方向に移動させて、同図(a)に示す位置まで復帰させる。これにより、受皿部材50を取出口21Gから退避させ、何等かの事情で錠剤Tがガイド部52に落下したとしても、取り出すことが不可能となる。
【0075】
前述した第1、第2の実施形態では、保持板挟持部材20、20Aは、表面側挟持片21、裏面側挟持片22、挟持部保護片23を縦方向に連続させて構成されている。しかし、この構成にのみ限定するものではなく、図8に示すように、表面側挟持片21、裏面側挟持片22、挟持部保護片23を横方向に連続させて保持板挟持部材20Bを構成することも可能である。
【0076】
この保持板挟持部材20Bでは、表面側挟持片21、裏面側挟持片22、挟持部保護片23の個々の構成は前述した第2の実施形態に於ける保持板挟持部材20Aと同じであり、配列のみが縦方向から横方向に変更されている。
【0077】
表面側挟持片21、裏面側挟持片22、の裏面には、接着面G4a〜G4cが夫々縦方向に形成されている。この接着面G4a、G4cの幅寸法は、第2の実施形態に於ける接着面G3の縦枠部分の幅寸法と等しく、接着面G4bの幅寸法は接着面G4aの幅寸法の2倍である。この保持板挟持部材20Bでは、ブランク板を連続的に移送する段階で接着剤を塗布して接着面G4a〜G4cを形成することが可能となる。
【0078】
上記の如く構成された保持板部材20Bによって包装容器を構成したとき、縦方向の両端部分に於ける表面側挟持片21と裏面側挟持片22との間に未接着部分が生じることになるが、使用上の問題が生じることはない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は錠剤等が包装された包装体を保持する包装容器に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
C…破棄用破断線、D…破断線、G1、G2…接着剤、G3、G4a〜G4c…接着面、H…係合穴、J…ガイド方向、T…錠剤、W1…幅、W2…幅、10、10A…包装容器、20、20A、20B…保持体挟持部材、21…表面側保持片、21A…貫通孔、21B…取出口、21C…固定部、21D…表面側表示穴、21G…取出口、21H…閉鎖部、22…裏面側保持片、22A、22D…落下孔、22B…裏面側表示穴、23…挟持部保護片、23A…マチ部、30、50…受皿部材、31、51…開口縁部、32、52…ガイド部、32A、52A…受皿端部、33、53…リブ、33A…突起、34、54…壁面、35…蓋部材、35A…係合突起、40…保持体、41…突出部、42…シート状部材
図1
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図7
図8