【実施例1】
【0016】
図1は、実施例1のヘッドエンド機器の構造を示した図である。実施例1のヘッドエンド機器は、アンプなどのモジュール化された電気機器であるユニット1と、ユニット1を収納するトレイ2と、によって構成されている。また、トレイ2の一方の端には、電源装置3とステータスモニタ装置4が直接固定されて設けられている。なお、電源装置3およびステータスモニタ装置4もそれぞれ個別にあるいは一体にユニット化して取り出し可能な構造とすることも可能である。
【0017】
図2、3は、トレイ2に納めるユニット1の構造を示した図である。
図2は斜め上方からユニット1を見た図、
図3はユニット1の底板10aに平行な面での断面図である。
図2のように、ユニット1は細長い直方体状の筐体10を有している。その内部にはアンプ等の機能を有した電気部品が納められている。なお、説明の簡略化のため図中に電気部品は図示しない。また、筐体10の長尺な側板10bの一方の内側には、ワッシャ保持部11が設けられている。短尺な側板のうち一方(背板10c)が配線側となり、他方の面(正板10d)がユニット1をトレイ2から取り出す側となる。また、筐体10の底板10aは取り出し側に一定幅はみ出しており、そのはみ出した部分にねじ止め用のねじ穴13が設けられていて、ねじ14によってトレイ2に固定されている。
【0018】
トレイ2には、3つのユニット1が長尺方向に揃えて収納されており、1つはユニット1a、他の2つはユニット1bである。ユニット1aの幅(底板10aに平行な短尺方向の幅)は、ユニット1bの幅の半分となっている。なお、ユニット1aの幅を単位として、幅が5単位以内となる任意の組み合わせで単数ないし複数のユニット1をトレイ2に収納することができる。たとえば幅が3単位のユニット1を1つと、幅が2単位のユニット1を1つ収納することができ、幅が1単位のユニット1を5つ収納することもできる。このように、トレイ2にはユニット1ごとの仕切りがないため、ユニット1の幅の選択性が高い。また、仕切りがないためトレイ2を省スペース化できる。
【0019】
図4は、ユニット1のワッシャ保持部11を拡大して示した図である。なお、
図4では、ワッシャ保持部11の内部がわかるように透過して示している。
図4のように、ワッシャ保持部11は、ワッシャ12を縦に保持するために設けるものである。ワッシャ12は、円形の金属板の中央に穴を有したリング状である。
【0020】
ワッシャ保持部11は、長方形状の金属板を凸状に(コの字型に)折り曲げ加工したものである。その凸部の幅はワッシャ12の直径より若干大きく、凸部の高さはワッシャ12の厚さよりも若干大きい。金属板の長尺方向と側板10bの長尺方向とを一致させ、側板10bの内側に金属板をビス止めしている。この凸状加工によるワッシャ保持部11と側板10bとの隙間にワッシャ12を保持している。これにより、ワッシャ12は、側板10bの長尺方向において挟み込んでワッシャ12を保持する。ワッシャ12はワッシャ保持部11により縦に(ワッシャ12の主面が底板10aに垂直となるように、かつワッシャ12の主面が側板10bとほぼ平行となるように)保持され、かつ長尺方向には移動しないよう保持される。つまり、凸部側面によりワッシャ12の水平方向への移動が制限される。また、高さ方向には自由になっている。
【0021】
図5は、ユニット1の底板10aをユニット1の外部側から見た図である。
図5のように、底板10aのワッシャ保持部11に対応する位置(ワッシャ12が保持される位置の鉛直下方の位置)には、底板10aを貫通する溝15が設けられている。溝15は、ユニット1の長尺方向に延びる細長い形状であり、その長尺方向の長さは、ワッシャ12の直径よりもやや短い。具体的には直径の0.7〜0.98倍である。より望ましくは0.8〜0.98倍、さらに望ましくは0.85〜0.95倍である。ワッシャ12はユニット1の高さ方向にはワッシャ保持部11によって保持されず自由な状態となっているため、鉛直下方に落下するが、溝15がワッシャ12の直径よりも小さいため、底板10aの溝15から少しはみ出した格好となる。ただし、ユニット1が何かの上にある場合には、ワッシャ12がその何かにより持ち上げられてはみ出さないようになる。
【0022】
また、
図5のように、底板10aの外部側の面には、2つの凸部16が設けられている。この凸部16は半球状であり、その直径および高さについては後述する。
【0023】
なお、実施例1では、真ん中に穴の開いた円盤状(リング状)であるワッシャ12を用いているが、少なくとも、ワッシャ12が溝15からはみ出す部分について、ユニット1の取り出し方向における両端が円弧状である任意の板状部材を用いることができる。そのような形状であれば、ユニット1の取り出しをスムーズに行うことができる。
【0024】
たとえば、
図9(a)のように真ん中に穴のない単純な円形の板や、
図9(b)のように楕円形の板、
図9(c)のように矩形であってはみ出し側の辺の角部を丸めた形状の板であってもよい。ただし、実施例1のようなリング状や
図9(a)のような円状とすると、回転によってユニット1の取り出しがよりスムーズに行えるため望ましい。
【0025】
また、ワッシャ12はある程度剛性のあるものであれば任意の材料でよく、ステンレスや鉄などの金属材料でもよいし、プラスチックなどであってもよい。
【0026】
また、ワッシャ保持部11は、ワッシャ12を縦に(ワッシャ12の主面が底板10aに垂直となるように、かつ、ワッシャ12の主面がユニット1の取り出し方向と一致するように)保持し、鉛直方向には自由とするものであれば、実施例1に示したもの以外にも任意の構造のものを採用することができる。たとえば、
図6のように、ワッシャ12の穴よりも軸の細いねじ111をワッシャ12の穴に通し、側板10bにねじ止めした構造であってもよい。この場合、ワッシャ12の穴を細長として、ワッシャ12が水平方向にあまり移動しないようにしてもよい。
【0027】
図7は、トレイ2の構造を示した図である。
図7のように、トレイ2は平らな直方体状であり、ユニット1取り出し側22、およびユニット1の配線側23には側板が設けられずに開放されている。また、電源装置3およびステータスモニタ装置4が配置される領域2aとユニット1が配置される領域2bとを区切る仕切り板21が設けられている。また、トレイ2の上板20bはすべての領域にわたって設けられているわけではなく、配線側の一部領域にのみ設けられている。ユニット1が配置される領域2bにおいて、取り出し側22から配線側23に向かう方向をユニット1の長尺方向として、
図1に示すように3つのユニット1a、bが並べて収納される。
【0028】
上板20bは、ユニット1が配線側23で固定されないために上方に浮いてしまうのを防止するために設けている。ユニット1が配置される領域2bにおける上板20bの長さ(配線側23から取り出し側22に向かう方向の長さ)は、ユニット1の長尺方向の長さの1/10から1/3の長さとするとよい。ユニット1が上方に浮いてしまうのを防止しつつ、ユニット1の出し入れを容易とすることができる。
【0029】
図8は、トレイ2の底板20aを内側から見た図である。
図8のように、底板20aには、溝25が幅方向に等間隔(ユニット1aの幅)で5つ設けられている。この溝25は、ユニット1が正しい位置に収納された場合に、ユニット1のワッシャ12が溝25とかみ合うように位置している。溝25の形状は、ユニット1の長尺方向に延びる細長い形状であり、その長さおよび幅は、およそ溝15と同一である。なお、溝25の長さは、溝15より長くても短くてもよい。短くてもワッシャ12が上方に持ち上げられワッシャ12が溝15からはみ出す部分が小さくなって溝25とかみ合うようになり、長くても溝15からのはみ出す部分の大きさは変わらないため溝25とかみ合う。また、実施例1では溝25は底板20aを貫通させているが、貫通させなくてもよい。その場合、溝25の深さは、ワッシャ12のはみ出し部分の形状に合わせるとよい。
【0030】
また、底板20aには、ユニット1が正しい位置となったときにユニット1底板10aの凸部16とかみ合う位置に凹部26が設けられている。また、底板20aには、ユニット1をねじ14によってトレイ2に固定する際のトレイ2側のねじ穴23が設けられている。なお、凹部26に替えて、底板20aを貫通する孔を設けてもよい。
【0031】
ユニット1の凸部16の高さや直径、およびトレイ2の凹部26の深さや直径は、かみ合った凸部16と凹部26が容易に離脱してトレイ2からのユニット1の出し入れを容易にでき、かつ、凸部16と凹部26がかみ合った時に、手にその感覚が十分に伝わる程度の直径および高さ・深さとする。たとえば、高さ・深さについてはユニット1の高さの0.1%以上20%以下とする。より好ましくは0.5%以上10%以下であり、さらに好ましくは1%以上5%以下である。また、たとえば直径についてはユニット1の短尺方向の長さの0.1%以上20%以下とする。より好ましくは0.5%以上15%以下、さらに好ましくは1%以上10%以下である。また、凸部16、凹部26の形状は、互いにかみ合う形状であれば任意の形状でよいが、かみ合った状態から容易に離脱できるように、実施例1のような半球状とするとよい。
【0032】
次に、トレイ2にユニット1を出し入れするときの動作について説明する。
【0033】
トレイ2の取り出し側22からユニット1を挿入すると、まだ正しい位置に来ていない場合には、ユニット1は自由に底板20aの面内で移動させることができる。また、このとき、ワッシャ12がユニット1の溝15からはみ出してトレイ2の底板20aと接触するが、ワッシャ12は円形であるため、移動に支障がなくスムーズにユニット1を移動させることができる。また、ユニット1の凸部16も十分に高さが低いため、移動に支障はない。
【0034】
ユニット1が正しい位置に来ると、ユニット1の凸部16とトレイ2の凹部26とがかみ合い、そのかみ合った感覚がユニット1を手に持つ作業者に伝わる。これにより、作業者はユニット1の位置決めを容易に行うことができ、ユニット1をトレイ2にねじ14で止めるのが容易となる。また、ユニット1が正しい位置に来ると、ワッシャ12が鉛直下方に落下して溝15からワッシャ12の一部がはみ出し、そのはみ出した部分が溝25とかみ合う。これにより、ユニット1の幅方向のずれが防止される。ユニット1の位置が決まると、ユニット1のねじ穴13とトレイ2のねじ穴23とが一致し、ねじ14によってトレイ2にユニット1を固定することができる。
【0035】
なお、ワッシャ12の直径は、ユニット1の高さ以下であって、かつユニット1の長尺方向の長さの1〜10%とすることが望ましい。ワッシャ12と溝25とのかみ合いによる横方向へのずれをより効果的に防止することができ、ユニット1に占めるワッシャ12の割合を小さくして省スペース化できる。また、ワッシャ12の厚さは、剛性を確保できる厚さ以上であればよく、ユニット1の短尺方向の長さの10%以下とすることがユニット1の内部空間の確保の点から望ましい。
【0036】
また、トレイ2からユニット1を取り出す場合、幅方向(ユニット1の短尺方向)にはワッシャ12と溝25とのかみ合いによって移動させることはできない。しかし、ユニット1の凸部16はトレイ2の凹部26から容易に離脱し、ユニット1の長尺方向には容易に移動させることができる。そのため、トレイ2からユニット1を容易に取り出すことができる。
【0037】
また、ユニット1は配線側23へと押し出すことができるため、多段に配置された各トレイ2の奥行きが異なっていたとしても、押し出すことで上下の他のトレイ2が邪魔にならずに配線の取りまわしを容易に行うことができる。また、実施例1ではトレイ2に上板20bを設けているため、そのトレイ2が最上段であるなどしても上方から配線の取り回しを行うことは困難である。そのため、上記のようにユニット1を配線側に押し出して配線の取りまわしを行うのが非常に効果的である。
【0038】
以上、実施例1のヘッドエンド機器によれば、ユニット1の入れ換えが容易であり、また配線接続の変更なども容易であるため、作業効率が向上し、メンテナンス性に優れる。
【0039】
なお、実施例1では、ユニット1として高さよりも幅の方が大きいものを用いているが、高さと幅が等しいもの、あるいは高さの方が幅よりも大きいものを用いてもよい。
【0040】
また、ワッシャ保持部11を複数設けて複数のワッシャ12を保持するようにしてもよいが、実施例1のように1つ設けるのみで十分に横方向へのユニット1のずれを防止することができる。
【0041】
また、凸部16および凹部26は、少なくとも2つ以上設ければ、ユニット1の位置決めをすることができる。また、実施例1とは逆に、ユニット1の方に凹部を設け、トレイ2の方に凸部を設けることで位置決めを行ってもよい。