特許第6322514号(P6322514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社吉野工業所の特許一覧

<>
  • 特許6322514-スクイズ吐出容器 図000002
  • 特許6322514-スクイズ吐出容器 図000003
  • 特許6322514-スクイズ吐出容器 図000004
  • 特許6322514-スクイズ吐出容器 図000005
  • 特許6322514-スクイズ吐出容器 図000006
  • 特許6322514-スクイズ吐出容器 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322514
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】スクイズ吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20180423BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20180423BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20180423BHJP
   B05B 11/04 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   B65D47/06 200
   B65D83/00 G
   B65D47/32 310
   B05B11/04 Q
【請求項の数】2
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-157190(P2014-157190)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33052(P2016-33052A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−054303(JP,U)
【文献】 米国特許第04531659(US,A)
【文献】 実開平01−156759(JP,U)
【文献】 実開昭60−028067(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B05B 11/04
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ変形可能とされ、内部に内容液が収容される容器本体と、
前記容器本体の内部に配置され、前記容器本体の口部側から前記容器本体の底部に向けて延びる空気供給パイプ及び外気導入パイプと、
前記容器本体の口部に装着され、吐出孔が形成されたキャップ体と、を備え、
前記キャップ体には、前記キャップ体の外部に連通する外気導入孔と、前記容器本体の内部に連通する連通孔と、前記空気供給パイプ内に連通する空気孔と、前記吐出孔に連通し、且つ前記連通孔を通じた前記容器本体内の前記内容液と前記空気孔を通じた前記容器本体内の空気とを混合させる気液混合室と、が形成され、
前記キャップ体は、前記容器本体の口部に装着された下キャップと、前記下キャップに装着されると共に前記吐出孔が形成された上キャップと、前記容器本体の口部内に配置されると共に前記連通孔及び前記空気孔が形成された中栓と、を備え、
前記外気導入孔は、前記下キャップに形成され、前記下キャップの内部と外部とを連通すると共に外部からの空気を流入させる第1外気導入孔と、前記中栓に形成され、前記中栓の内側と前記容器本体内とを連通すると共に前記第1外気導入孔に連通する第2外気導入孔と、を備え、
前記外気導入パイプは、前記中栓に装着され、前記第2外気導入孔に連通し
前記第1外気導入孔と前記第2外気導入孔とを連通する通路は、前記連通孔及び前記空気孔と前記吐出孔とを前記気液混合室を通じて連通する通路に対して独立し、且つ該通路を取り囲むように環状に形成されていることを特徴とするスクイズ吐出容器。
【請求項2】
請求項1に記載のスクイズ吐出容器において、
前記中栓は、前記容器本体の口部を覆う被覆壁部を備え、
前記連通孔は、前記キャップ体のうち前記被覆壁部に対して前記容器本体の底部側に形成されていることを特徴とするスクイズ吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクイズ吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スクイズ吐出容器として、例えば内容液を空気と混合させることで泡状に吐出することができる吐出容器が知られている(特許文献1参照)。
この吐出容器は、内容液が収容され、スクイズ変形可能な容器本体と、容器本体の口部に装着された2段筒状のキャップ体と、容器本体の口部の内側に配置され、上端部がキャップ体よりも上方に突出した吐出筒と、容器本体の内側に配置された状態でキャップ体に装着され、吐出筒を保持すると共に容器本体内に向けて延びたパイプが取り付けられた筒状のパイプ付き部材と、吐出筒及びキャップ体の上側筒部に装着され、吐出筒内に連通する吐出孔が形成されたノズルを有するヘッド部材と、を備えている。
【0003】
吐出筒とキャップ体の上側筒部との間には、第1外気導入孔が形成されている。パイプ付き部材には、容器本体内と吐出筒内とを連通する連通孔が形成された隔壁部と、隔壁部から下方に向かって突出し、パイプの上端部を保持する保持筒と、保持筒とパイプとの間に形成された空気溝と、容器本体内と第1外気導入孔とを連通する第2外気導入孔と、が形成されている。吐出筒の内部及びノズルの内部には、メッシュがそれぞれ設けられている。
【0004】
このように構成されているので、容器本体をスクイズ変形させることで、内容液をパイプ及び連通孔を通じて吐出筒側に流入させることができると共に、容器本体内の空気を空気溝及び連通孔を通じて吐出筒側に流入させることができる。これにより、内容液と空気とを吐出筒内で混合させることができ、その後、メッシュを通過させることで、泡状の内容液として吐出孔から吐出することができる。
また、内容液の吐出後、スクイズ変形を解除することで容器本体は復元変形する。すると、この復元変形に伴って、第1外気導入孔及び第2外気導入孔を通じて容器本体内に空気が流入する。これにより、次の吐出に備えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−26315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の吐出容器は、容器本体の口部を下方に向けた状態、例えば容器本体の口部が真下を向いた倒立姿勢の状態で吐出(下向き吐出)を行うことには不向きであった。
【0007】
この場合には、正立姿勢で吐出を行う場合とは逆に、例えば内容液を空気溝及び連通孔を通じて吐出筒側に流入させることができ、且つ容器本体内の空気をパイプ及び連通孔を通じて吐出筒側に流入させることができるので、吐出を行うことが可能である。しかしながら、スクイズ変形の解除によって、第1外気導入孔及び第2外気導入孔を通じて容器本体内に空気が流入した際、該空気が気泡となって容器本体内の内容液中を浮上するので、液面に泡立ちが発生してしまう。
そのため、発生した泡がパイプ内に入り込み易く、連続して吐出を行う場合には、パイプを通じて容器本体の空気を吐出筒側に適切に流入できなくなるおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、下向き吐出を行う際、内容液を安定して空気と混合させることができ、所望の吐出状態を維持しながら内容液の吐出を連続的に繰り返し行うことができるスクイズ吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係るスクイズ吐出容器は、スクイズ変形可能とされ、内部に内容液が収容される容器本体と、前記容器本体の内部に配置され、前記容器本体の口部側から前記容器本体の底部に向けて延びる空気供給パイプ及び外気導入パイプと、前記容器本体の口部に装着され、吐出孔が形成されたキャップ体と、を備え、前記キャップ体には、前記キャップ体の外部に連通する外気導入孔と、前記容器本体の内部に連通する連通孔と、前記空気供給パイプ内に連通する空気孔と、前記吐出孔に連通し、且つ前記連通孔を通じた前記容器本体内の前記内容液と前記空気孔を通じた前記容器本体内の空気とを混合させる気液混合室と、が形成され、前記キャップ体は、前記容器本体の口部に装着された下キャップと、前記下キャップに装着されると共に前記吐出孔が形成された上キャップと、前記容器本体の口部内に配置されると共に前記連通孔及び前記空気孔が形成された中栓と、を備え、
前記外気導入孔は、前記下キャップに形成され、前記下キャップの内部と外部とを連通すると共に外部からの空気を流入させる第1外気導入孔と、前記中栓に形成され、前記中栓の内側と前記容器本体内とを連通すると共に前記第1外気導入孔に連通する第2外気導入孔と、を備え、前記外気導入パイプは、前記中栓に装着され、前記第2外気導入孔に連通し、前記第1外気導入孔と前記第2外気導入孔とを連通する通路は、前記連通孔及び前記空気孔と前記吐出孔とを前記気液混合室を通じて連通する通路に対して独立し、且つ該通路を取り囲むように環状に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るスクイズ吐出容器によれば、容器本体の口部を下方に向けながら容器本体をスクイズ変形させることで、連通孔を通じて内容液を気液混合室内に供給できると共に、空気供給パイプ及び空気孔を通じて容器本体内の空気を気液混合室内に供給することができる。これにより、気液混合室内で内容液と空気とを混合(気液混合)させることができ、吐出孔を通じて空気と混合した状態の内容液を外部に吐出することができる。その結果、例えば霧状や泡状等、所望する吐出状態で内容液を吐出することができる。
【0011】
また、内容液の吐出後、容器本体のスクイズ変形を解除すると、容器本体は復元変形して元の状態に復帰する。その際、容器本体の内部が負圧化されているので、容器本体の復元変形に伴って外気導入孔及び外気導入パイプを通じて外部から空気を取り込んで容器本体内に導入することができる。このとき、外気導入パイプが容器本体の底部に向けて延びているので、外部から取り込んだ空気を容器本体内のヘッドスペースに直接的に導入することができる。そのため、空気が内容液中を気泡となって浮上することがないので、内容液の液面が泡立つことを防止することができ、その泡が空気供給パイプ内に入り込む懸念をなくすことができる。
従って、続けて容器本体をスクイズ変形させて、内容液の吐出を繰り返し行ったとしても、空気供給パイプを通じて適切に空気を気液混合室に供給することができ、所望する吐出状態で内容液を安定して吐出することができる。
【0012】
(2)前記中栓は、前記容器本体の口部を覆う被覆壁部を備え、前記連通孔は、前記キャップ体のうち前記被覆壁部に対して前記容器本体の底部側に形成されても良い。
【0013】
この場合には、容器本体の口部を下方に向けた際、被覆壁部を利用して内容液を連通孔に向けて案内でき、内容液を無駄なく吐出することができる。従って、内容液を使い切り易く、残量を極力少なくすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るスクイズ吐出容器によれば、下向き吐出を行う際、内容液を安定して空気と混合させることができ、所望の吐出状態を維持しながら内容液の吐出を連続的に繰り返し行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るスクイズ吐出容器の実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示すキャップ体の周辺を拡大した縦断面図である。
図3図2に示す第1外気導入孔の周辺をさらに拡大した縦断面図である。
図4図3に示す状態から上キャップを上方に移動させた状態を示す図である。
図5図1に示す状態からオーバーキャップを開け、上キャップを下キャップから離間させた後、容器本体の口部を下方にした状態で容器本体をスクイズ変形させて、内容液を吐出している状態を示す図である。
図6図5に示す状態から、スクイズ変形を解除して外部から容器本体内に空気を導入している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るスクイズ吐出容器の実施形態について、図面を参照して説明する。
(スクイズ吐出容器の構成)
図1に示すように、本実施形態のスクイズ吐出容器1は、内部に内容液Wが収容される有底筒状の容器本体2と、容器本体2の内部に配置された空気供給パイプ3及び外気導入パイプ4と、容器本体2の口部10に装着され、吐出孔5が形成された筒状のキャップ体6と、を備えている。
【0017】
なお、容器本体2及びキャップ体6は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿ったキャップ体6側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器本体2は、例えばブロー成形することで形成された合成樹脂製の容器であり、口部10、肩部11、胴部12及び底部13を備えている。
これら口部10、肩部11、胴部12及び底部13は、上方から下方に向けてこの順に連設されていると共に、容器軸Oに直交する横断面視形状が例えば円形状とされている。また、胴部12は径方向内側に向けてスクイズ変形可能とされている。
【0019】
図1及び図2に示すように、キャップ体6は、容器本体2の口部10に螺着された有頂筒状の下キャップ20と、下キャップ20にさらに螺着され、且つ上記吐出孔5が形成された筒状の上キャップ21と、上キャップ21にヒンジ部22を介して接続され、吐出孔5を開閉する有頂筒状のオーバーキャップ23と、容器本体2の口部10内に配置された有底筒状の中栓24と、下キャップ20及び中栓24の内部に配置された弁部材25と、弁部材25と中栓24とを連結する連結筒26と、を備えている。
【0020】
下キャップ20は、容器本体2の口部10を径方向外側から囲繞し、且つ該口部10に螺着された第1周壁部30と、第1周壁部30の下端部に連設され、且つ第1周壁部30よりも拡径した第2周壁部31と、第1周壁部30よりも上方に配置され、且つ第1周壁部30よりも縮径した第3周壁部32と、第3周壁部32よりも上方に配置され、且つ第3周壁部32よりも縮径した第4周壁部33と、第4周壁部33の上端部に接続された頂壁部34と、を備えている。これにより、下キャップ20は多段(4段)の有頂筒状に形成されている。
【0021】
第1周壁部30の上端部と第3周壁部32の下端部とは、容器本体2の口部10の開口端縁上に配置された環状の第1フランジ部35を介して接続されている。これにより、下キャップ20のうち第3周壁部32及び第4周壁部33は、容器本体2の口部10よりも上方に配置されている。また、第3周壁部32の上端部と第4周壁部33の下端部とは、環状の第2フランジ部36を介して接続されている。
【0022】
なお、図示の例では、第1周壁部30は容器本体2の口部10に螺着されているが、この場合に限定されるものではなく、例えばアンダーカット嵌合により容器本体2の口部10に装着されていても構わない。
【0023】
第2周壁部31の内周面には、径方向内側に向けて突出した第1係合突起37が形成され、容器本体2の口部10の下端部側から径方向外側に突出するように形成された第2係合突起38に係合している。
この際、第1係合突起37は、下キャップ20を捩じ込み方向(周方向の一方向)に向けて容器軸O回りに回転させたときに第2係合突起38を乗り越え可能とされ、且つ下キャップ20を緩み方向(周方向の他方向)に向けて回転させたときに第2係合突起38に対して周方向に係合する。これにより、下キャップ20は、緩み止めがされた状態で容器本体2の口部10に螺着されている。
【0024】
第3周壁部32は、外径が容器本体2の口部10の内径と同等とされている。第3周壁部32の下端部(第1フランジ部35の内周縁部)には、下方に向けて突出し、容器本体2の口部10の内側に例えば液密に嵌合するシール筒39が形成されている。
【0025】
第4周壁部33には、下キャップ20の内部と外部とを連通する第1外気導入孔(外気導入孔)40が形成されている。図示の例では、第1外気導入孔40は、第4周壁部33の全長に亘って縦長に延びたスリット状で、且つ上下に開口するように形成されていると共に、周方向に間隔をあけて第4周壁部33に複数形成されている。
但し、第1外気導入孔40の形状や数は、これらの場合に限定されるものではない。例えば、側面視円形状の第1外気導入孔を1つだけ形成しても構わない。
【0026】
頂壁部34の中央部分には、平面視円形状の貫通孔41が形成されている。そして、頂壁部34には、この貫通孔41の径よりも内径が大きい第1保持筒42が下方に向けて突出するように形成されていると共に、第1保持筒42を径方向外側から囲繞する第2保持筒43が下方に向けて突出するように形成されている。なお、第2保持筒43は、第1保持筒42との間に若干の隙間をあけて形成され、第1保持筒42よりも下方に延びる長さが短い。
さらに、頂壁部34には、第1保持筒42と第2保持筒43との間に位置する部分から上方に向けて突出したガイド筒44が形成されている。
【0027】
上キャップ21は、図2及び図3に示すように、下キャップ20の第3周壁部32を径方向外側から囲繞し、且つ第3周壁部32に螺着された第1外郭筒50と、下キャップ20のガイド筒44を径方向外側から囲繞する第2外郭筒51と、ガイド筒44の内側に該ガイド筒44に対して上下動可能に接し、上端開口部が上記吐出孔5とされた吐出筒52と、を備えている。なお、吐出筒52はガイド筒44に対して密に接している。
【0028】
第1外郭筒50と下キャップ20の第3周壁部32との間には、第1外気導入孔40への外部からの空気の流入を可能とさせる隙間が確保されている。つまり、第1外郭筒50と下キャップ20の第3周壁部32との間は、第1外気導入孔40に外部から空気を流入させる空気通路とされている。
【0029】
また、上キャップ21は、下キャップ20に対して容器軸O回りに回転可能とされ、該回転に伴ってガイド筒44でガイドされながら上方に移動し、図4に示すように、下キャップ20から離間可能とされている。この際、上キャップ21は、上方への移動によって下キャップ20との螺着が解除され、それによって下キャップ20に対する上方への抜けが生じないように、抜け止めがされている。
【0030】
具体的には、上キャップ21の第1外郭筒50の内周面には、径方向内側に向けて突出し、下キャップ20の第3周壁部32の外周面から径方向外側に向けて突出するように形成された第1係止突起32aに対して下方から係止する環状の第2係止突起50aが形成されている。
【0031】
これにより、図4に示すように、上キャップ21が下キャップ20に対して上方移動した際、第1係止突起32aと第2係止突起50aとが係止し合うことで、上キャップ21のそれ以上の上方移動が規制される。その結果、下キャップ20に対する上キャップ21の抜け止めがされる。
よって、図4に示すように、第1係止突起32aと第2係止突起50aとが係止し合う位置が、上キャップ21の上死点となる。一方、図2に示すように、上キャップ21の第1外郭筒50の下端部が下キャップ20の第1フランジ部35に接触した位置が、上キャップ21の下死点となる。そのため、上キャップ21は、容器軸O回りの回転によって、これら上死点と下死点との間で上下動可能とされる。
【0032】
なお、第1係止突起32aは、周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、周方向に隣り合う第1係止突起32a同士の間に隙間が形成されているので、第1外気導入孔40への空気の流入が可能とされている。また、第2係止突起50aと下キャップ20の第3周壁部32の外周面との間にも隙間が形成されている。そのため、第2係止突起50aが第1外気導入孔40への空気の流入を阻害することもない。
【0033】
一方、図3に示すように、上キャップ21の第1外郭筒50の内周面には、第1係止突起32a及び第2係止突起50aよりも上方に位置する部分から、径方向内側に向けて突出した環状のシール突起50bが形成されている。このシール突起50bは、下キャップ20の第3周壁部32の外周面に対して密接している。
これにより、図3に示すように、上キャップ21が下死点に位置している場合、シール突起50bは第1外気導入孔40への空気の流入を規制している。
【0034】
しかしながら、下キャップ20における第3周壁部32の上端部の外周面は、径方向内側に凹んだ環状の窪み面32bとされている。この窪み面32bは、図4に示すように、上キャップ21が上死点に位置した際、シール突起50bに対して径方向に対向しており、シール突起50bとの間に隙間を画成している。
これにより、上キャップ21が上死点に位置した場合には、シール突起50bと窪み面32bとの間の隙間を通じて、第1外気導入孔40への空気の流入が許容される。
【0035】
図2及び図3に示すように、第1外郭筒50の上端部と第2外郭筒51の下端部とは、下キャップ20の第2フランジ部36及び頂壁部34上に配置された環状壁53を介して接続されている。この環状壁53は、第2フランジ部36及び頂壁部34の段差に対応して段付き形状とされている。
【0036】
この環状壁は、上キャップ21が下死点に位置している場合には、下キャップ20の第2フランジ部36及び頂壁部34に対して接し、図4に示すように、上キャップ21が上死点に位置している場合には、第2フランジ部36及び頂壁部34から離間する。
【0037】
図2及び図3に示すように、第2外郭筒51は、下キャップ20のガイド筒44よりも上方に突出するように形成されていると共に、上方に向かうにしたがって漸次縮径するように形成されている。そして、第2外郭筒51の上端部は、径方向内側に向かって延びた後、吐出筒52に接続されている。なお、第2外郭筒51の上端部には、周方向に沿って延びる段部51aが形成されている。
【0038】
第2外郭筒51の内周面には、径方向内側に向けて突出した縦リブ55が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これら縦リブ55は、下キャップ20のガイド筒44の外面に対して上下移動可能に接している。
従って、上キャップ21は、ガイド筒44に対して径方向内側から吐出筒52が接し、且つ径方向外側から縦リブ55が接するので、安定した上下動が可能とされている。
【0039】
吐出筒52は、下キャップ20のガイド筒44よりも上方に突出するように形成されている。この際、吐出筒52のうち第2外郭筒51の上端部が接続されている部分よりも上方に位置する部分は、上方に向かうにしたがって漸次縮径するように形成されている。これにより、吐出筒52の上端部は窄まった形状とされ、この窄まった部分に吐出孔5が上方に向けて開口している。
【0040】
オーバーキャップ23は、周壁筒60と天壁部61とで有頂筒状に形成されている。周壁筒60は、ヒンジ部22を介して上キャップ21の第2外郭筒51の上端部側に連結されている。この際、周壁筒60の下端部は、第2外郭筒51の上端部に形成された段部51aに例えばアンダーカット嵌合した状態で接触している。これにより、オーバーキャップ23は、上キャップ21に対して安定に組み合わされ、不意に開いてしまうことが抑制されている。
【0041】
周壁筒60のうち容器軸Oを挟んでヒンジ部22が接続された部分とは径方向の反対側に位置する部分には、径方向外側に向けて突出する引上突片62が形成されている。この引上突片62を利用して、オーバーキャップ23の開閉操作を容易に行うことが可能とされている。
天壁部61の中央部分には、上キャップ21の吐出筒52に係合する係合筒63が下方に向けて突設されている。これにより、オーバーキャップ23は不意に開いてしまうことがさらに抑制されている。
【0042】
天壁部61のうちヒンジ部22に近い部分には、下方に凹んだ凹部64が形成されている。この凹部64は、オーバーキャップ23が開操作されたときに、上キャップ21における環状壁53の上側部分から上方に向けて突設された凸部65に対して離脱自在に係止される。これにより、オーバーキャップ23は開状態で維持される(図5参照)。
【0043】
中栓24は、下キャップ20の第3周壁部32の内側に例えば液密に嵌合したプラグ筒70と、プラグ筒70の下端部に接続されたプラグ壁(被覆壁部)71と、を備えている。
プラグ筒70は、下キャップ20のシール筒39よりも下方に突出している。プラグ壁71は、容器本体2の口部10の内側をほぼ覆っている。これにより、中栓24は、シール筒39と協働して容器本体2の口部10を塞いでいる。
【0044】
プラグ壁71の中央部分には、下方に向けて段状に凹んだ平面視円形状の窪み部72が形成されている。窪み部72の周壁には、容器本体2の内部と中栓24の内側とを連通する連通孔73が形成されている。図示の例では、連通孔73は、縦長のスリット状で、且つ下方に向けて開口するように形成されていると共に、周方向に間隔をあけて複数形成されている。但し、連通孔73の形状や数はこの場合に限定されるものではない。
特に、連通孔73は窪み部72の周壁に形成されているので、キャップ体6のうちプラグ壁71に対して容器本体2の底部13側に配置されている。
【0045】
また、窪み部72の底壁における中央部分には、空気供給パイプ3内に連通する平面視円形状の空気孔74が形成されていると共に、空気供給パイプ3の上端部3aを保持する第1取付筒75が下方に向けて突設されている。第1取付筒75は、内径が空気孔74の径と同等の円筒状に形成されている。そして、空気供給パイプ3は、第1取付筒75内に上端部3aが差し込まれることで嵌合保持されている。
【0046】
さらに、窪み部72の底壁には、空気孔74と連通孔73との間の位置にする部分から上方に向けて突出した供給筒76が形成されている。
供給筒76の外周面には、該供給筒76の全長に亘って延びると共に連通孔73に繋がる縦溝76aが形成されている。この際、縦溝76aは、複数の連通孔73に対応するように、周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、供給筒76の上端部には、該供給筒76を径方向に貫通する横溝(横穴)76cが形成されている。この横溝76cは、例えば周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0047】
このように供給筒76が形成されているので、連通孔73を通じて流れてくる容器本体2内の内容液Wを、縦溝76a及び横溝76cを通じて後述する気液混合室R内に供給することができると共に、空気孔74を通じて流れてくる容器本体2内の空気を後述する気液混合室R内に供給することが可能とされている。このとき、供給筒76の外側を内容液Wが流れ、供給筒76の内側を空気が流れるので、内容液W及び空気は気液混合室Rに達する前に混合されることがない。
なお、供給筒76の内面には、径方向内側に向けて突出する縦リブ76bが周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0048】
また、プラグ壁71には、供給筒76よりも径方向外側に位置する部分から上方に向けて突出した突出筒80と、突出筒80とプラグ壁71との間に位置する部分に形成された第2外気導入孔(外気導入孔)81と、下方に向けて突出し、外気導入パイプ4の上端部4aを保持する第2取付筒82と、が形成されている。
第2外気導入孔81は、例えば平面視円形状に形成され、中栓24の内側と容器本体2内とを連通している。これにより、第1外気導入孔40と容器本体2内とは、第2外気導入孔81を通じて連通している。
【0049】
第2取付筒82は、内径が第2外気導入孔81の内径よりも拡径した円筒状に形成されており、内側が第2外気導入孔81に連通している。そして、外気導入パイプ4は、第2取付筒82内に上端部4aが差し込まれることで嵌合保持されている。
【0050】
弁部材25は、多段筒状に形成された支持筒90と、支持筒90に対して一体に形成されると共に第1外気導入孔40を開閉する外気導入弁91と、支持筒90に対して一体に形成されると共に支持筒90の内側を開閉する弁体92と、を備えている。
【0051】
支持筒90は、第1支持筒90aと、第1支持筒90aよりも縮径した第2支持筒90bと、第2支持筒90bよりも縮径した第3支持筒90cと、を備え、上方から下方に向かってこれら各支持筒90a〜90cが一体に連設された多段(3段)の筒状とされている。
【0052】
第1支持筒90aは、下キャップ20の第2保持筒43に嵌合保持されている。第2支持筒90bは、下キャップ20の第1保持筒42に嵌合保持されている。第3支持筒90cは、下キャップ20の第1保持筒42よりも下方に向けて延びている。この際、第3支持筒90cは、中栓24の供給筒76の上端部との間に隙間が確保される程度、下方に向けて延びている。
【0053】
外気導入弁91は、支持筒90のうち第1支持筒90aに一体に形成されている。この外気導入弁91は、第1支持筒90aの外周面から径方向外側に向けて環状に突設され、外端部が自由端とされた弾性変形な環状弁95を備えている。
【0054】
環状弁95は、全周に亘って外端部が下キャップ20の第2フランジ部36の下面に下方から離反可能に当接しており、第1外気導入孔40を開閉自在に閉塞している。
従って、環状弁95は、第1外気導入孔40を通じた外部からの空気(外気)の流入を許容し、且つ第1外気導入孔40を通じた外部への空気の流出を規制する逆止弁として機能する。
【0055】
なお、外部からの空気は、上キャップ21の第1外郭筒50と下キャップ20の第3周壁部32との間の隙間、及び上キャップ21における環状壁53の下側部分と下キャップ20の第2フランジ部36との間の隙間を通じて第1外気導入孔40から流入する。
【0056】
弁体92は、支持筒90のうち第3支持筒90cに一体に形成されている。この弁体92は、外周縁が弾性ヒンジ部92aを介して第3支持筒90cの内周面に接続され、弾性ヒンジ部92aが弾性変形することで第3支持筒90cの内側を開閉する。
具体的には、弁体92は平面視円形状に形成され、第3支持筒90c内の中央部に位置する弁本体92bと、周方向に延びると共に、内端部が弁本体92bの外周縁に連結され、且つ外端部が弾性ヒンジ部92aに連結された複数(3本)のアーム状の弾性連結片92cと、を備えた例えば3点弁とされている。
【0057】
弾性連結片92cは、径方向外側を向く外端縁のうち、弾性ヒンジ部92aとの接続部分を除いた部分が破断可能な第1弱化部を介して第3支持筒90cの内周面に連結され、且つ径方向内側を向く内端縁が、破断可能な第2弱化部を介して弁本体92bの外周縁に連結されている。
従って、弁部材25の成形段階では、第1弱化部及び第2弱化部が破断していないので、弁体92は第3支持筒90cの内部を完全に閉塞している。なお、弁部材25の成形後、キャップ体6を製造する段階では、例えば弁体92に外力を加える等して第1弱化部及び第2弱化部を予め破断させておくことが好ましい。但し、例えば第1弱化部及び第2弱化部を微小な力で破断可能である場合には、スクイズ変形によって上昇する容器本体2の内圧を利用して、第1弱化部及び第2弱化部を破断させる構成としても良い。
【0058】
なお、弾性連結片92cは、スクイズ変形によって容器本体2の内圧が上昇した際に、弁本体92bを上方に移動させるように弾性変形させる(図5参照)。これにより、弁本体92bと弾性連結片92cとの間に隙間が生じるので、内容液Wを流通させることが可能とされている。
容器本体2のスクイズ変形が解除されると、弾性連結片92cは復元変形して、弁本体92bを元の位置に復帰させる。これにより、弁本体92bと弾性連結片92cとの間の隙間が閉じるので、内容液Wの流通を規制することが可能とされている。
【0059】
従って、弁体92は、容器本体2をスクイズ変形したときに内容液Wの流通を許容し、且つスクイズ変形を解除したときに内容液Wの流通を規制する液だれ防止弁として機能する。
【0060】
なお、弾性連結片92cの数は3つに限定されるものではない。また、弁体92としては、容器本体2のスクイズ変形時に内容液Wを流通できれば良く、上記構成以外の弁構造としても良い。
【0061】
ところで、第3筒部の内側のうち、弁体92よりも下方に位置する空間は、連通孔73、縦溝76a及び横溝76cを通じて供給されてきた内容液Wと、空気孔74及び中栓24の供給筒76の内側を通じて供給されてきた空気と、が合流する気液混合室Rとして機能する。
【0062】
連結筒26は、上筒100と、上筒100よりも縮径した中筒101と、中筒101よりも縮径した下筒102と、を備え、上方から下方に向かってこれら各筒100〜102が一体に連設された多段(3段)の筒状とされている。
【0063】
上筒100は、弁部材25の第2支持筒90bに嵌合保持されている。中筒101は、弁部材25の第3支持筒90cに嵌合保持されている。下筒102は、中栓24の供給筒76と突出筒80との間に上方から差し込まれ、供給筒76の外周面及び突出筒80の内周面に嵌合している。
これにより、中栓24は連結筒26によって安定に保持された状態で、容器本体2の口部10の内側に配置されている。
【0064】
なお、連結筒26には、気液混合室R内に配置された有頂筒状のドーム部103がさらに一体に形成されている。このドーム部103には、複数の開口が形成されている。これにより、気液混合室R内に供給された内容液W及び空気は、例えばドーム部103に干渉することで撹拌された状態となり、混合が積極的に促される。
なお、ドーム部103の天壁には、下方に向けて突出し、供給筒76の縦リブ76b同士の隙間に上方から差し込まれる挿入部材103aが形成されている。これにより、気液混合室R内に供給される空気は、挿入部材103aによって拡散しながら気液混合室R内に入るので、空気との混合がより一層積極的に促される。
【0065】
上述のようにキャップ体6が構成されているので、第1外気導入孔40と第2外気導入孔81とを連通する通路と、連通孔73及び空気孔74と吐出孔5とを連通する通路とは、互いに独立している。これにより、容器本体2のスクイズ変形時に、吐出孔5に向けて内容液W及び容器本体2内の空気を流す作用と、スクイズ変形の解除時に、容器本体2内に向けて外部から空気を流す作用と、をそれぞれ異なる通路を利用して適切に行うことができる。
【0066】
ところで、上述のように構成されたキャップ体6には、気液混合室R内で気体と混合した内容液Wを発泡させ、所定の泡状にする発泡部材110が取り付けられている。
発泡部材110は、下キャップ20における第1保持筒42内に配設されており、気液混合室Rと吐出孔5との間に位置している。発泡部材110は、第1保持筒42内に装着された2つの発泡エレメント111を備えている。
【0067】
発泡エレメント111は、第1保持筒42の内側に装着されるリング部111aと、リング部111aの一端開口端に張設され、所定の網目が形成されたメッシュ部材(網)111bと、を備え、上下に間隔をあけた状態で第1保持筒42の内側に配置されている。
この際、2つの発泡エレメント111のうち、第1保持筒42の下側に位置する発泡エレメント111はメッシュ部材111bが下側を向き、第1保持筒42内の上側に位置する発泡エレメント111はメッシュ部材111bが上側を向くように配置されている。
【0068】
但し、発泡エレメント111の数は2つに限定されるものではなく、1つだけでも良い。さらに、2つの発泡エレメント111を具備する場合、上下2段に重ねた状態で配置しても良い。
また、発泡部材110の位置としては、第1保持筒42内に限定されるものではなく、気液混合室Rと吐出孔5との間に位置していれば良い。例えば、上キャップ21における吐出筒52内に発泡部材110を配置しても良い。
【0069】
図1及び図2に示すように、空気供給パイプ3は、容器本体2の口部10側から容器本体2の底部13に向けた延びた長尺なパイプであり、先に述べたように、上端部3aが中栓24の第1取付筒75内に差し込まれて嵌合保持されている。これにより、空気供給パイプ3は、空気孔74に連通した状態で、容器本体2の内部に安定に保持されている。
なお、空気供給パイプ3の下端部3bは、容器本体2の底部13付近まで達しており、底部13に向けて開口している。
【0070】
外気導入パイプ4は、空気供給パイプ3と同様に、容器本体2の口部10側から容器本体2の底部13に向けた延びた長尺なパイプであり、先に述べたように、上端部4aが中栓24の第2取付筒82内に差し込まれて嵌合保持されている。これにより、外気導入パイプ4は、第2外気導入孔81に連通した状態で、容器本体2の内部に安定に保持されている。
なお、外気導入パイプ4の下端部4bは、容器本体2の底部13付近まで達しており、底部13に向けて開口している。
【0071】
(スクイズ吐出容器の作用)
次に、上述のように構成されたスクイズ吐出容器1の使用について説明する。
内容液Wの吐出を行う場合には、まず引上突片62を利用してオーバーキャップ23をヒンジ部22回りに回転させ、上キャップ21に対してオーバーキャップ23を開操作する。このとき、天壁部61に形成された凹部64を、上キャップ21の凸部65に係止させる。これにより、オーバーキャップ23を開状態で安定に保持することができる。
【0072】
次いで、下キャップ20に対して上キャップ21を容器軸O回りに回転させ、図4に示すように、下キャップ20に対して上キャップ21を上方に移動させる。これにより、上キャップ21が上死点に位置するので、第1外気導入孔40への外部からの空気の流入が許容される。
【0073】
次いで、容器本体2の口部10が上方を向いた正立姿勢から、図5に示すように、容器本体2の口部10が真下を向いた倒立姿勢にする。この際、弁体92が閉じているので、スクイズ変形前に、吐出孔5から内容液Wが漏出するといった、いわゆる液だれが発生することを防止することができる。
そして、容器本体2を倒立姿勢にした状態において、容器本体2の胴部12を押圧してスクイズ変形させる。
【0074】
なお、オーバーキャップ23を開ける操作と、上キャップ21を回転する操作とを、必ずしも容器本体2を倒立姿勢にする前に行う必要はなく、最初に容器本体2を倒立姿勢した後に行っても構わない。
【0075】
容器本体2の胴部12をスクイズ変形させることで、容器本体2の内圧が上昇するので、容器本体2内の内容液Wを、図5に示す矢印のように、連通孔73、縦溝76a及び横溝76cを通じて気液混合室R内に供給することができる。また、これと同時に、図5に示す矢印のように、容器本体2内の空気を空気供給パイプ3、空気孔74及び供給筒76の内部を通じて気液混合室R内に供給することができる。これにより、気液混合室R内で内容液W及び空気を合流させて混合させることができる。
【0076】
さらに、容器本体2の内圧が上昇することで、弁体92の弾性連結片92cが弁本体92bを移動させるように弾性変形するので、弁本体92bと弾性連結片92cとの間に隙間が生じる。これにより、弁体92が開いた状態となるので、気液混合室R内で空気と混合した内容液Wが弁体92を通過して発泡部材110の内部に流れ込む。そのため、内容液Wは発泡すると共に、2つの発泡エレメント111のメッシュ部材111bを通過することで、きめの細かい所定の泡状となる。その結果、吐出孔5を通じて泡状の内容液Wを外部に吐出させることができる。
【0077】
また、内容液Wの吐出後、スクイズ変形を解除すると容器本体2の胴部12は復元変形して元の状態に復帰する。その際、容器本体2の内部が負圧化されているので、この負圧が第2外気導入孔81を通じて外気導入弁91に作用する。そのため、図6に示すように、環状弁95の外端部が上キャップ21の第2フランジ部36の下面から離間し、第1外気導入孔40を開放する。
これにより、容器本体2の胴部12の復元変形に伴って、図6に示すように、第1外気導入孔40、第2外気導入孔81及び外気導入パイプ4を通じて外部から空気を取り込んで、容器本体2内に導入することができる。
【0078】
このとき、外気導入パイプ4が容器本体2の底部13に向けて延びているので、外部から取り込んだ空気を容器本体2内のヘッドスペースに直接的に導入することができる。そのため、空気が内容液W中を気泡となって浮上しないので、内容液Wの液面が泡立つことを防止することができ、空気供給パイプ3内に泡が入り込む懸念がない。
従って、続けて、容器本体2をスクイズ変形させて、内容液Wの吐出を繰り返し行ったとしても、空気供給パイプ3を通じて適切に空気を気液混合室R内に供給することができ、泡状の内容液Wを安定して吐出することができる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態のスクイズ吐出容器1によれば、下向き吐出を行う際、内容液Wを安定して空気と混合させることができ、所望の吐出状態(泡状態)を維持しながら内容液Wの吐出を連続的に繰り返し行うことができる。
【0080】
また、内容液Wの吐出後、容器本体2の胴部12の復元変形に伴って、弾性連結片92cが復元変形して弁本体92bを元の位置に復帰させる。そのため、容器本体2の胴部12が元の状態に復帰すると、弁体92が閉じて内容液Wの流通を規制する。これにより、使用初期段階における液だれ防止だけでなく、次回のスクイズ変形を行うまでの間においても、吐出孔5からの液だれを防止することができる。
【0081】
さらに、内容液Wを吐出する際、プラグ壁71を利用して内容液Wを連通孔73に向けて案内(誘導)できるので、内容液Wを無駄なく吐出することができる。従って、内容液Wを使い切り易く、残量を極力少なくすることができる。
【0082】
加えて、未使用時や使用後の保管時では、上キャップ21が下死点に位置して、シール突起50bが下キャップ20の第3周壁部32の外周面に対して密接している。そのため、シール突起50bは第1外気導入孔40への空気の流入を規制しているだけでなく、例えば第1外気導入孔40を通じた容器本体2内からの内容液Wの液漏れについても効果的に防止することができる。
【0083】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0084】
例えば、容器本体2の口部10を真下に向けた倒立姿勢状態で内容液Wを吐出したが、下向き吐出であれば良く、この場合に限定されるものではない。例えば、容器本体2の口部10を斜め下方に向けた状態で内容液Wを吐出しても構わない。
【0085】
また、発泡部材110を具備することで内容液Wを泡状に吐出した場合を例に挙げたが、発泡部材110は必須なものではなく具備しなくても構わない。この場合には、気液混合室R内で空気と混合した内容液Wを吐出孔5から吐出する際に、例えば霧状にした状態で外部に吐出することができる。さらに、内容液Wを霧状に吐出する場合には、発泡部材110に代えてノズルチップを具備することが好ましい。このようにすることで、よりきめ細かい微細な霧状の内容液Wを吐出することが可能である。なお、ノズルチップとしては、例えば公知のものを採用して構わない。
【0086】
また、外気導入パイプ4をストレートに形成し、空気供給パイプ3に対して平行に配置したが、例えば外気導入パイプ4を途中で折り曲げる等して、外気導入パイプ4の下端部4bを空気供給パイプ3の下端部3bから径方向に十分に離間させても構わない。
さらに、外気導入パイプ4及び空気供給パイプ3を別体のパイプとしたが、2本のパイプ同士を一体に組み合わせても構わない。
【0087】
なお、本実施形態のスクイズ吐出容器1において、外気導入パイプ4を取り外すと共に、吐出孔5が側方に向けて開口するように若干の設計変更を行うことで、容器本体2の口部10が上方を向いた正立姿勢の状態で内容液Wを吐出する仕様にモデルチェンジすることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
W…内容液
R…気液混合室
1…スクイズ吐出容器
2…容器本体
3…空気供給パイプ
4…外気導入パイプ
5…吐出孔
6…キャップ体
10…容器本体の口部
13…容器本体の底部
40…第1外気導入孔(外気導入孔)
71…中栓のシール壁部(被覆壁部)
73…連通孔
74…空気孔
81…第2外気導入孔(外気導入孔)
図1
図2
図3
図4
図5
図6