特許第6322522号(P6322522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セコム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000002
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000003
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000004
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000005
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000006
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000007
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000008
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000009
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000010
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000011
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000012
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000013
  • 特許6322522-広告配信システムおよびプログラム 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322522
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】広告配信システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/02 20120101AFI20180423BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20180423BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   G06Q30/02 398
   G06Q30/02 446
   G09F19/00 Z
   G06F13/00 540P
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-175581(P2014-175581)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-51285(P2016-51285A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2016年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108085
【氏名又は名称】セコム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 一仁
【審査官】 宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−189922(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0153516(US,A1)
【文献】 竹迫 良範,Do Not Trackとプライバシー問題 インターネット広告と行動追跡,WEB+DB PRESS,技術評論社,2012年11月25日,Vol.71,pp.45-52
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G06F 13/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末からユーザの意思にて接続するコンテンツサーバと、前記ユーザ端末に広告情報を配信する広告配信サーバとから構成される広告配信システムであって、
前記ユーザ端末は、
ユーザが任意に自己の1または複数の属性情報を設定する属性情報設定部と、
前記コンテンツサーバとユーザ端末との通信にて収集されたデータであるユーザ情報および前記属性情報を記憶する記憶部と、
前記コンテンツサーバに接続しコンテンツを閲覧するブラウザと、
前記コンテンツに含まれる広告配信サーバのアドレスに対して、前記ユーザ情報の送信を禁止するとともに、当該広告配信サーバへ前記属性情報を含む広告要求信号を送信する広告要求送信部と、
前記広告配信サーバから広告情報を受信する広告情報受信部と、を備え、
前記広告配信サーバは、
前記広告要求信号を受信する広告要求受信部と、
前記属性情報を用いて特定した広告情報を当該ユーザ端末に送信する広告情報送信部と、を備えたことを特徴とする広告配信システム。
【請求項2】
前記ブラウザは、前記コンテンツサーバに前記属性情報の送信を禁止する属性送信制御部をさらに備えた請求項1に記載の広告配信システム。
【請求項3】
前記属性情報設定部は、前記属性情報を複数のパターンにて設定可能とし、前記コンテンツサーバに接続する際に前記ユーザが前記属性情報のパターンを選択する請求項1または請求項2に記載の広告配信システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末は、
前記コンテンツに含まれるアドレスの前記広告配信サーバとの間で通信した信号を分析して前記ユーザの属性を推定する属性推定部と、
前記属性推定部により推定された前記属性を、前記属性情報と対比して表示する対比表示部と、
をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1つに記載の広告配信システム。
【請求項5】
ユーザの意思にて接続するコンテンツサーバと、前記コンテンツサーバに登録されて広告情報を配信する広告配信サーバと通信するユーザ端末で実行されるプログラムであって、
前記ユーザが任意に自己の1または複数の属性情報を設定する属性情報設定処理と、
前記コンテンツサーバと当該ユーザ端末との通信にて収集されたデータであるユーザ情報および前記属性情報を記憶する記憶処理と、
前記コンテンツサーバに接続しコンテンツを閲覧するブラウザに対し、前記コンテンツサーバに前記属性情報の送信を禁止する属性送信制御処理と、
前記広告配信サーバに対して、前記ユーザ情報の送信を禁止するとともに、前記属性情報を含む広告要求信号を送信する広告要求送信処理と、
前記広告配信サーバから広告情報を受信する広告情報受信処理と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネット広告配信技術に関し、特に、ユーザ主導で行動ターゲティングの属性を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホームページ等のWebコンテンツにユーザの嗜好に合わせた広告を表示する「行動ターゲティング広告」と呼ばれる技術がある。行動ターゲティング広告は、広告配信業者が、ユーザにID(識別子)を付与して個々のユーザを識別・追跡し、個々のユーザの過去のWeb閲覧履歴などを収集し、個々のユーザの性別や年齢などの属性を推定して、推定した属性に対して宣伝効果が高い広告を選択表示することで実現される。また、各広告配信業者がユーザに付与したIDを、各広告配信業者間や、広告配信業者とWebコンテンツ業者間で紐づけ処理を行い、Web閲覧履歴を共有することで、高精度の属性推定から広告の選択が実現される。
【0003】
この広告配信業者による追跡、Web閲覧履歴などの情報収集、年齢や性別などの推定、IDの紐づけと情報共有を不快に感じるユーザもいるため、広告配信業者より行動ターゲティング広告を拒否する機能が提供されている。例えば、広告配信業者が提供している拒否機能にはオプトイン方式とオプトアウト方式がある。オプトイン方式では、広告配信業者が情報収集や推定等を行う前に、ユーザは明示的に許可の意思表示を行い、許可しない限りは情報収集や推定等を行わないという拒否状態であるとみなす。また、オプトアウト方式では、ユーザが意思表示を行う前に、広告配信業者は許可状態であるとみなして情報収集や推定等を行い、途中でユーザの拒否の意思表示があれば、情報収集や推定等を停止する。
【0004】
その他、ブラウザのオプション機能を用いてCookieの使用を拒否する形でも行動ターゲティング広告の拒否が実現される。これは、行動ターゲティング広告におけるユーザの識別と追跡が、広告配信サーバが各ユーザに対して付与するID(広告配信専用のIDで広告配信サーバがCookieとして生成)で行われており、Cookieが利用できなければ、ユーザの追跡自体が困難になるためである。また、広告をブロックするソフトウェアを導入し、すべての広告を非表示にすることでも、行動ターゲティング広告の拒否が実現される。
【0005】
また、広告配信サーバ側で行動ターゲティングをさせるのではなく、広告配信サーバから分類を付与した複数の広告データを送信させ、ユーザ端末側にて使用しているユーザの嗜好に合わせて付与された分類を用いて広告データを選別する方法も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−118382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、一般的なユーザは、広告を拒否したいときもあれば、広告を得たいときもある。現在のユーザが利用できる行動ターゲティング広告を拒否する機能では、行動ターゲティング広告を完全に拒否するか許容するかの選択しかできなかった。また、ユーザが選択した「拒否」という状態を継続させることも難しく、行動ターゲティング広告の配信が復活してしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、行動ターゲティングにおける広告配信サーバによるユーザの追跡とWeb閲覧履歴の共有、すなわち、IDの付与と結合に着目し、このIDの付与と結合をユーザ主導で制御可能とし、ユーザが許容する範囲内で行動ターゲティング広告配信を行えるシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、本発明は、ユーザ端末と、ユーザ端末からユーザの意思にて接続するコンテンツサーバと、ユーザ端末に広告情報を配信する広告配信サーバとから構成される広告配信システムであって、ユーザ端末は、ユーザが任意に自己の1または複数の属性情報を設定する属性情報設定部と、コンテンツサーバとユーザ端末との通信にて収集されたデータであるユーザ情報および属性情報を記憶する記憶部と、コンテンツサーバに接続しコンテンツの閲覧するブラウザと、コンテンツに含まれる広告配信サーバのアドレスに対して、ユーザ情報の送信を禁止するとともに、当該広告配信サーバへ属性情報を含む広告要求信号を送信する広告要求送信部と、広告配信サーバから広告情報を受信する広告情報受信部と、を備え、広告配信サーバは、広告要求信号を受信する広告要求受信部と、属性情報を用いて特定した広告情報をユーザ端末に送信する広告情報送信部と、を備えたことを特徴とする広告配信システムを提供する。これにより、広告配信サーバへはユーザ端末がコンテンツサーバとの間で使用しているユーザ情報が送信されないため、コンテンツサーバと広告配信サーバの間でIDが結合されることを防ぐことができる。
【0010】
また、かかる広告配信システムにおいて、ブラウザは、コンテンツサーバに属性情報の送信を禁止する属性送信制御部をさらに備えることが好ましい。これにより、コンテンツサーバへはユーザ端末が広告配信サーバとの間で使用している属性情報が送信されないため、コンテンツサーバと広告配信サーバの間でIDが結合されることを防ぐことができる。
【0011】
また、かかる広告配信システムにおいて、属性情報設定部は、属性情報を複数のパターンにて設定可能とし、コンテンツサーバに接続する際にユーザが属性情報のパターンを選択することが好ましい。これにより、広告配信サーバにて同一ユーザの複数の属性情報が紐づけられることを防ぐ。例えば、会社員としてのユーザと個人としてのユーザなど、コンテンツ閲覧時にユーザが意図する状況や目的に合わせた複数の属性情報を使い分けることを可能とする。
【0012】
また、かかる広告配信システムにおいて、ユーザ端末は、コンテンツに含まれるアドレスの広告配信サーバとの間で通信した信号を分析してユーザの属性を推定する属性推定部と、属性推定部により推定された属性を、属性情報と対比して表示する対比表示部と、をさらに備えることが好ましい。これにより、広告配信サーバ側で行われる属性推定をシミュレートし、ユーザが設定した属性情報と対比することが可能になる。すなわち、ユーザは、広告配信サーバ側が認識しているだろう自身の属性を推定でき、また、推定された属性をユーザが受け入れることができるかどうか判断できる。判断した結果として、属性情報の設定を更新する、属性情報のパターンを管理する識別子の値を変更するなどの対策をユーザが行うことも可能になる。
【0013】
また、本発明は、かかる広告配信システムに使用する広告配信サーバであって、広告要求信号を受信する広告要求受信部と、広告要求信号に含まれる属性情報を用いて特定した広告情報を、広告要求信号を送信したユーザ端末に送信する広告情報送信部を有することを特徴とする広告配信サーバを提供する。これにより、ユーザ端末から送信された属性情報を用いて、広告配信サーバにおいて行動ターゲティング広告を配信することができる。
【0014】
また、本発明は、ユーザの意思にて接続するコンテンツサーバと、コンテンツサーバに登録されて広告情報を配信する広告配信サーバと通信するユーザ端末で実行されるプログラムであって、ユーザが任意に自己の1または複数の属性情報を設定する属性情報設定処理と、コンテンツサーバと当該ユーザ端末との通信にて収集されたデータであるユーザ情報および属性情報を記憶する記憶処理と、コンテンツサーバに接続しコンテンツを閲覧するブラウザに対し、コンテンツサーバに属性情報の送信を禁止する属性送信制御処理と、広告配信サーバに対して、ユーザ情報の送信を禁止するとともに、属性情報を含む広告要求信号を送信する広告要求送信処理と、広告配信サーバから広告情報を受信する広告情報受信処理と、を実行させることを特徴とするプログラムを提供する。これにより、ユーザ端末は既存のブラウザを機能拡張させて、コンテンツサーバと広告配信サーバとの間でIDが結合されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、広告表示に利用されるIDと属性をユーザ自身の制御下に置きつつ、コンテンツサーバと広告配信サーバの間でIDが結合されることを防止し、ユーザが許容する範囲内では広告配信サーバが行動ターゲティング広告を配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明を適用した広告配信システムの全体構成を説明する図である。
図2】ユーザ端末の構成図である。
図3】ユーザ端末の記憶部の例を示す図である。
図4】コンテンツサーバの構成図である。
図5】コンテンツサーバの記憶部のアクセスログ422の例を示す図である。
図6】広告配信サーバの構成図である。
図7】広告配信サーバの記憶部の要求信号履歴522とセグメント523の例を示す図である。
図8】広告配信システムの通信の送受信イメージを説明する図である。
図9】ユーザ端末の初期設定処理を示すフローチャートである。
図10】ユーザ端末のコンテンツ表示の処理を示すフローチャートである。
図11】ユーザ端末の属性情報設定画面のイメージ図である。
図12】ユーザ端末の対比表示画面のイメージ図である。
図13】広告配信サーバの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る広告配信システムの実施の形態について、図を参照しつつ説明する。図1は、広告配信システムの全体構成図である。図1に示す広告配信システム1は、ユーザ端末2とコンテンツサーバ4と広告配信用サーバ5とプラグイン配信サーバ6がネットワーク3を介して接続されて構成される。
【0018】
ユーザ端末2は、ネットワーク3を介して各種サーバに接続されたパーソナルコンピュータ、スマートフォン、携帯情報端末または携帯電話等の情報機器である。ユーザ端末2にはWebコンテンツを表示するブラウザがインストールされている。
【0019】
ネットワーク3はインターネットまたは一般電話回線網等の広域通信網である。ネットワーク3は、ユーザ端末2及び各種サーバ(コンテンツサーバ4、広告配信用サーバ5、プラグイン配信サーバ6)に接続され、ユーザ端末2と各種サーバの通信を中継する。
【0020】
コンテンツサーバ4は、ユーザ端末2にWebコンテンツを提供するサーバであり、自身のWebサイトに広告配信用サーバ5からの広告を掲載する。ここで、ユーザの意思にて接続するコンテンツサーバ4は、ファーストパーティと呼ばれることがある。
【0021】
広告配信用サーバ5は、広告代理店などを総称する広告配信業者が広告配信に使用するサーバであり、商品やサービスを宣伝したい広告主の広告を、コンテンツサーバ4へ代理で出稿する。ユーザの意思にて接続したコンテンツサーバ4を起点として接続する広告配信サーバ5は、コンテンツサーバ4のファーストパーティに対して、サードパーティと呼ばれることがある。
【0022】
プラグイン配信サーバ6は、例えば、アプリケーションプログラムのダウンロードサイトを運営するサーバであり、ブラウザモジュールを配布する配布サーバであり、ユーザ端末2のブラウザに本発明の機能を実現するプログラムを含むブラウザモジュールを提供する。
【0023】
本実施形態において、ユーザ端末2は、コンテンツサーバ4が提供するWebサイトにアクセスすると、Webコンテンツと共に広告配信用サーバ5によって配信された広告が一緒に画面表示される。
【0024】
図2を参照して、ユーザ端末2の構成を説明する。ユーザ端末2は、通信インタフェース(I/F)部21と、記憶部22と、処理部23と、表示部24と、操作部25を有している。
【0025】
通信I/F部21は、ネットワーク3を介して各種サーバとの通信を行なうインタフェースであり、接続するネットワークに対応している。
【0026】
記憶部22は、ROM、RAM、磁気ハードディスク等の記憶装置であり、各種プログラムや各種データを記憶し、ユーザ情報221、属性情報222、計測情報223を記憶する記憶領域を持つ。
【0027】
ユーザ情報221は、ユーザ端末2の利用者を識別するためにコンテンツサーバ4によってコンテンツに関連して生成されたユーザ情報、例えばCookieである。Cookieは、ブラウザに保存され、サーバがユーザ(ブラウザ)を識別するために発行するnameとvalueの組であり、さらに、有効期限やサーバのドメイン等の情報を一緒に持つことができる。また、1つのドメインに対して複数のCookieを保存させることもできる。
図3(a)にユーザ情報221の例を示す。図3(a)のユーザ情報221は、ユーザ端末2に保存されたCookie(ファーストパーティCookie)を、1レコードを1つのCookieとして、name2211、value2212、domain2213、expires2214の各カラムで対応づけて記憶されている。Cookieを受け入れるたびに末尾に1レコードが追加され、同じドメインから複数のCookieを記憶してもよい。
図3(a)の例では、name2211の値が‘FID1’で、value2212の値が‘F10011223344’、domain2213の値が‘www.first1.com’、expires2214の値が‘31-Dec-2020 23:59:59’のCookieがある。これは、‘www.first1.com’というコンテンツサーバ4からユーザ端末2にname=valueのセットが‘FID1’=‘F10011223344’で有効期限が‘31-Dec-2020 23:59:59’であるCookieが発行され、保存されていることを意味する。同様に、ユーザ端末2には、‘www.first2.com’というコンテンツサーバ4からユーザ端末2にname=valueのセットが‘FID2’=‘F29988776655’で有効期限が‘31-Dec-2025 23:59:59’であるCookieも保存されている。
【0028】
属性情報222は、ユーザ端末2が生成する属性情報で、属性IDと属性のセットである。図3(b)に属性情報222の例を示す。図3(b)の属性情報222は、ユーザが任意に自己の属性情報を設定した結果が格納されており、1レコードを属性情報の1つのパターンとして、目的2221、状況2222、ugID2223、属性2224の各カラムで対応付けて記憶されている。属性2224の属性の集合をugID2223という属性IDで識別可能にし、これらの組み合わせパターンがどういう用途で使用されるものなのかを目的2221で、どういう状況で使われるものかを状況2222で表している。
図3(b)の例では、目的別に2つのパターンがあることを示している。1つ目のパターンは、各カラムの値が、‘Business’、‘Mon‐Fri, 0:00‐23:59’、‘ABCDEFGH’、‘男, 30代, 関東, PC, ソフトウェア …’であり、ビジネスという用途目的で平日に使う属性として‘ABCDEFGH’の属性IDで設定されている。また、2つ目のパターンも同様に、各カラムの値が、‘Private’、‘Sat, Sun, 0:00‐23:59’、‘STUVWXYZ’、‘男, 20代, 関東, 車, 映画 …’から、プライベートという用途目的で土日に利用する属性が‘STUVWXYZ’の属性IDで設定されている。複数のパターンがあるとき、このように状況2222も対応付けておけば、ユーザがその都度ブラウザ起動時に属性IDを選択して使用するほか、曜日や時間でブラウザが使用する属性IDを切り替えて使用することができる。
【0029】
計測情報223は、ユーザ端末内セグメンテーションに使用するための情報で、各種サーバとの通信の履歴に他ならない。ugIDごとにまとめるとサードパーティとの通信を計測した結果となる。図3(c)に計測情報223の例を示す。図3(c)の計測情報223は、1回のサードパーティへのアクセスに対するサードパーティ計測の結果が1レコードとして記憶され、ugID2231、アクセス先2232、送受信情報2233、アクセス時間2234の各カラムで対応付けて記憶されている。ugID2231にはそのときブラウザが利用していた属性IDが記憶される。アクセス先2232には広告配信用サーバ5のどこにアクセスしたかURLが記憶される。送受信情報2233には広告配信用サーバ5へ送信したリクエストやその結果が記憶される。アクセス時間2234は広告配信用サーバ5へアクセスした時間が記憶される。
図3(c)の例では、1行目のサードパーティ計測の結果は、‘ABCDEFGH’の属性IDを使用して‘1-Aug-2014 20:20:15’に、‘http://ad.third1.com/ad.js’にアクセスして、‘Referer=http://www.first1.con/’という情報をリクエスト送信に含んでおり、‘www.first1.com’というコンテンツサーバ4を経由した広告情報の取得であったことが記憶されている。
【0030】
処理部23は、CPUやMPU等から構成され、ユーザ端末2の制御全般についてプログラムに従って処理を行い、処理部23で実行されるプログラムによって実現される機能モジュールとして、属性情報設定手段231、要求信号送信手段232、広告情報受信手段233、属性送信制御手段234、属性推定手段235、対比表示手段236、Webブラウザ手段237を有する。
【0031】
属性情報設定手段231は、操作部25を介してユーザが設定する1または複数の属性情報を設定する操作を受け付け、属性情報222に記憶させる。例えば、ユーザは、性別が男性、年代が30代などの属性を任意に設定し、ある状況や目的(例えば、仕事をしている時間帯など)に合わせて属性の組を選択し、その属性の組を識別する属性IDを自動的に生成し、設定を属性情報222に記憶させる。
【0032】
要求信号送信手段232は、コンテンツサーバ4のファーストパーティCookieを含まない広告要求信号を生成し、広告配信用サーバ5へ送信する。具体的には、属性情報222から属性IDと属性を取得し、要求信号中に含め、ファーストパーティCookieが要求信号中に含まれているか検索を行い、ファーストパーティCookie存在すれば、その部分を変更(例えば、別のランダムな値にする、または空文字と置換するなど)して、広告配信用サーバ5へ送信を行う。
【0033】
広告情報受信手段233は、広告配信用サーバ5から広告情報を受信し、表示部24に表示する。例えば、広告情報は広告スクリプトや広告画像であり、広告スクリプトの場合は、広告スクリプトを解釈し、新たなリクエスト要求が含まれていれば、新たなリクエスト処理を行う。また、広告画像であれば、広告を表示部24に表示させる。
【0034】
属性送信制御手段234は、コンテンツサーバ4へ送信するリクエストに属性IDを含まないようにする。具体的には、ユーザ情報221にアクセスしようとしているコンテンツサーバ4のドメインのCookieがあれば、要求信号中に含め、属性IDが要求信号中に含まれているか検索を行い、属性IDが存在すれば、その部分を変更(例えば、別のランダムな値にする、または空文字と置換するなど)して、コンテンツサーバ4へ送信を行う。
【0035】
属性推定手段235は、ユーザがコンテンツサーバへアクセスする時点で利用しているugIDで、ユーザがサードパーティへブラウザから送信した内容(閲覧履歴:コンテンツサーバの種類や内容、閲覧時間等)を収集し、計測情報223に格納する。その収集内容から、例えば、男と推定されるキーワードが女と推定されるキーワードより多ければ、ユーザはサードパーティから性別が「男」であると推定されているとシミュレーションする。または、例えば、時間帯ごとの活動分布で、ある時間帯が多い場合は、ユーザはサードパーティから30代と推定されているとシミュレーションするなどである。またキーワードの出現個数、頻度からそのユーザはサードパーティからそのキーワードに関連するものに興味があると推定されているとシミュレーションする。
【0036】
対比表示手段236は、現在のユーザの設定と、属性推定手段235がシミュレーションした結果を対比して表示部24に表示させる。また、対比結果を参照したユーザが、設定内容の利用継続、変更を指定できるように表示させるようにできる。
【0037】
Webブラウザ手段237は、一般的なブラウザの機能を持っており、プロトコルに従ってサーバへリクエストを生成しては送信し、レスポンスを受けた結果として、表示部24にWebコンテンツを表示させる。ブラウザのオプションとして「サードパーティのCookieをブロック」を設定すると、サードパーティのCookieの使用を禁止できるという機能を有している。
【0038】
表示部24は表示機能をもつ液晶ディスプレイやCRTモニタ等の表示用デバイスであり、属性情報設定画面やWebコンテンツ閲覧時の画面やシミュレーション結果画面等の各種表示を行う。操作部25はキーボードやマウス、操作ボタン等の入力デバイスであり、ユーザからの各種操作の受付を行う。なお、表示部24及び操作部25は、タッチパネル付き液晶ディスプレイなどで構成された入出力インタフェースが一体となった構成としてもよい。
【0039】
次に、図4を参照して、コンテンツサーバ4の構成を説明する。コンテンツサーバ4は、通信I/F部41と、記憶部42と、処理部43を有している。
【0040】
通信I/F部41は、ネットワーク3を介してユーザ端末2や広告配信用サーバ5との通信を行なうインタフェースであり、接続するネットワークに対応している。
【0041】
記憶部42は、ROM、RAM、磁気ハードディスク等の記憶装置であり、各種プログラムや各種データを記憶し、ユーザ端末2からのリクエストに応えて送信させるコンテンツ421、ユーザ端末2のアクセスを記録したアクセスログ422を記憶する記憶領域を持つ。
【0042】
コンテンツ421は、ユーザ端末2が指定するURLに対応づけられたコンテンツデータである。例えば、コンテンツをブラウザで描画するための、HTMLファイルやスタイルファイルやJavaScript(登録商標)ファイルなどである。また、コンテンツに埋め込まれる画像ファイルなどである。
【0043】
アクセスログ422は、ユーザ端末2がどのようなファーストパーティCookieを用いて接続してきたかの履歴である。図5にアクセスログ422の例を示す。図5のアクセスログ422は、ユーザ端末2のアクセスの履歴をCookieと共に記憶されており、1レコードが1アクセスとして、value4221、expires4222、アクセス時間4223、アクセス場所4224の各カラムで対応づけて記憶されている。なお、Cookieの中のname=valueのセットのうち、nameはドメインごとに一意に定まるものなので、nameは記憶していない例となっている。
図5の例では、name=valueのセットが‘FID1’=‘F10011223344’で有効期限が‘31-Dec-2020 23:59:59’であるCookieを持つユーザ端末2から、コンテンツサーバ4‘www.first1.com’の‘home.html’に接続されたことが記憶されていることを意味する。同様に、name=valueのセットが‘FID1’=‘F10298776655’で有効期限が‘31-Dec-2022 23:59:59’であるCookieを持つユーザ端末2から、‘www.first1.com’の‘index.html’に接続されたことが記憶されている。
【0044】
処理部43は、CPUやMPU等から構成され、コンテンツサーバ4の制御全般についてプログラムに従って処理を行い、ユーザ識別手段431、コンテンツ送信手段432を有する。
【0045】
ユーザ識別手段431は、リクエストに含まれるファーストパーティCookieを用いてユーザ端末2(を使用しているユーザ)を識別する。ファーストパーティCookieが含まれないリクエストを受信したときは、ユーザ識別手段431は、新たにファーストパーティCookieを割り当てる。
【0046】
コンテンツ送信手段432は、コンテンツ421を読みだしてコンテンツに含まれる広告配信用サーバ5の広告タグとともにユーザ端末2に送信する。ファーストパーティCookieを用いて、ユーザ端末2向けに加工したコンテンツ421を送信してもよい。
【0047】
次に、図6を参照して、広告配信用サーバ5の構成を説明する。広告配信用サーバ5は、通信I/F部51と、記憶部52と、処理部53を有している。
【0048】
通信I/F部51は、ネットワーク3を介してユーザ端末2やコンテンツサーバ4との通信を行なうインタフェースであり、接続するネットワークに対応している。
【0049】
記憶部52は、ROM、RAM、磁気ハードディスク等の記憶装置であり、各種プログラムや各種データを記憶し、ユーザ端末2からのリクエストに応えて送信させる広告情報521、ユーザ端末2のアクセスを記録した要求信号履歴522、セグメント523を記憶する記憶領域を持つ。
【0050】
広告情報521は、ユーザ端末2から広告を要求するリクエスト(広告要求信号)に応えて送信させる広告データを属性と対応付けて記憶したものである。例えば、属性(男、30代、PCなど)と対応させて、広告スクリプト(JavaScript(登録商標)などブラウザで動作するスクリプト)や広告画像(宣伝目的の静止画像、動画など)が記憶されている。
【0051】
要求信号履歴522は、ユーザ端末2が送信した広告要求信号の履歴である。後述のセグメンテーション手段533が行うセグメンテーションで使用される。具体的には、広告要求信号に含まれる属性IDと対応させて、信号に含まれるセグメンテーションに利用する情報(例えば、送信元IPアドレス、リファラURLやJavaScript(登録商標)で取得したユーザ端末情報等)、信号を受信した日時が記憶されている。
図7(a)に要求信号履歴522の例を示す。図7(a)の要求信号履歴522は、1レコードを1つ広告要求信号をとして、ugID5221、収集情報5222、アクセス時間5223の各カラムで対応づけて記憶されている。収集情報5222、ユーザ端末2が広告配信用サーバ5に送信してきた広告要求信号の中から得られるコンテンツサーバ4に関する情報が記憶される。
図7(a)の例では、属性ID‘ABCDEFGH’、収集情報‘http://www.first1.con/ …’の広告要求信号を‘1-Aug-2014 20:30:30’に受信したことを示している。また、同様に、属性ID‘STUVWXYZ’、収集情報‘http://www.first2.con/ …’の広告要求信号を‘1-Aug-2014 22:10:50’に受信したことを示している。
【0052】
セグメント523は、ユーザ端末2から送信される属性IDであるugIDを用いて、後述のセグメンテーション手段533が行ったセグメンテーションの結果である属性をugIDと対応付けて記憶したデータである。
図7(b)にセグメント523の例を示す。図7(b)のセグメント523は、あるユーザ端末2の属性IDごとにセグメンテーションした結果を1レコードとして、ugID5231、属性5232、セグメント5233の各カラムで対応づけて記憶されている。ugID5231には、ユーザ端末2が広告要求信号のリクエストの中で送信してきた属性IDが記憶される。また、属性5232には、ユーザ端末2が広告要求信号のリクエストの中で送信してきた属性情報が記憶される。セグメント5233には、広告配信用サーバ5がセグメンテーションした結果が記憶される。
図7(b)の例では、属性ID‘ABCDEFGH’、属性情報‘男, 30代, 関東, PC, ソフトウェア …’の組の設定のユーザ端末2に対し、広告配信用サーバ5が実際は‘男, 30代, 関西, 英語, 金融 …’とセグメントしていることを示している。同様に、属性ID‘STUVWXYZ’、属性情報‘男, 20代, 関東, 車, 映画 …’の組の設定のユーザ端末2に対し、広告配信用サーバ5が実際は‘男, 30代, 関西, 野球, 旅行 …’とセグメントしていることを示している。
【0053】
処理部53は、CPUやMPU等から構成され、広告配信用サーバ5の制御全般についてプログラムに従って処理を行い、要求信号受信手段531、広告情報送信手段532、セグメンテーション手段533を有する。
【0054】
要求信号受信手段531は、ユーザ端末2から通信I/F部51を介して要求信号を受信し、要求信号のHTTPヘッダーで送られてくるugIDと属性情報を取得する。
【0055】
広告情報送信手段532は、ユーザ端末2から受信した属性情報から配信すべき広告を特定し、出力する。さらに、ユーザ端末2から受信した属性ID(ugID)を用いて後述のセグメンテーション手段533にて自らセグメンテーションした内容で広告を出力してもよい。
【0056】
セグメンテーション手段533は、ugIDでユーザを識別し、ugIDに紐づいたユーザの閲覧履歴(閲覧サイトの種類や内容、閲覧時間等)より確率的にユーザの属性を推定していく。例えば、性別では男と推定されるキーワードが女と推定されるキーワードより多ければ、確率的に男と推定する。または、時間帯ごとの活動分布で、ある時間帯が多い場合は、30代と推定するなどである。またキーワードの出現個数、頻度からそのユーザの嗜好を推定する。
【0057】
図8を参照し、広告配信システム1における、ユーザ端末2とコンテンツサーバ4、ユーザ端末2と広告配信用サーバ5の通信の流れを説明する。ユーザの意思にて最初にコンテンツサーバ4に接続し、コンテンツサーバ4から受信したコンテンツ及び広告タグをブラウザが処理することによって、広告配信用サーバ5にアクセスする、再度コンテンツサーバ4にアクセスする、という処理がユーザの意思とは無関係に次々と行われる。これらの一連の処理の結果、表示部24の表示が完了し、ユーザが目にする表示画面となる。
【0058】
図8(a)は、ユーザ端末2とコンテンツサーバ4のやりとりを説明するものである。ユーザ端末2は、まず、コンテンツサーバ4に対するIDの結合制御処理として、ugIDの送信禁止処理を施す(ステップS101)。そして、ユーザ情報221にアクセスしようとするコンテンツサーバ4の有効なファーストパーティCookieがもしあれば、このファーストパーティCookieを含んだリクエストを送信する(ステップS102)。
【0059】
次に、コンテンツサーバ4は、ユーザ端末2のリクエストを受信すると、ユーザ端末2へ送信するコンテンツを準備する(ステップS103)ここで、ファーストパーティCookieを含まないリクエストを受信した場合には新規にファーストパーティCookieを付与し、ファーストパーティCookieを含んだリクエストを受信したときは必要に応じてCookieを更新してもよい。そして、コンテンツサーバ4は、ファーストパーティCookieと共に、準備したコンテンツと、登録してある広告配信用サーバ5の広告タグをユーザ端末2へ送信する(ステップS104)。また、コンテンツサーバ4は、どのCookieでいつどこへアクセスしたかをアクセスログ422に記録する。
【0060】
ユーザ端末2は、受信したコンテンツを表示部24に表示させる(ステップS105)。
【0061】
図8(b)は、ユーザ端末2と広告配信用サーバ5のやりとりを説明するものである。ユーザ端末2は、まず、広告配信用サーバ5に対するIDの結合制御処理として、ファーストパーティCookieの送信禁止処理を施す(ステップS201)。そして、広告タグの内容に基づいてugIDと属性情報を含んだリクエストを送信する(ステップS202)。
【0062】
広告配信用サーバ5は、受信したugIDと属性情報を用いてユーザ端末2に送信する広告情報を特定する(ステップS203)。そして、ユーザ端末2に広告情報を送信する(ステップS204)。ここで、広告情報として、具体的には、広告スクリプトや画像が送信されている。
【0063】
ユーザ端末2は、広告配信用サーバ5から受信した広告情報を表示部24に表示させ、サードパーティ計測として広告配信用サーバ5から受信した通信内容を記憶する(ステップS205)。ところで、広告情報の中身は、広告スクリプトや画像である。画像であれば表示して終わるが、広告スクリプトの場合は、また新たな各種サーバへのリダイレクトやアクセスの指示が含まれていることがある。その場合は、別途、その指示が処理され、別途ファーストパーティやサードパーティへのアクセスと続くことになる。
【0064】
一方、広告配信用サーバ5は、ユーザ端末2に広告情報を送信した後、ユーザ端末2から受信したugIDを用いたセグメンテーションを行ってもよい(ステップS206)。
【0065】
図9図10を参照しつつ、ユーザ端末2の処理を詳細に説明する。
【0066】
最初に、図9を参照し、ユーザ端末2の初期設定処理のフローを説明する。なお、以下に説明する処理フローは、処理部23で実行されるプログラムによって制御される。
【0067】
まず、ユーザ端末2では、操作部25を介してユーザにより、プラグイン配信サーバ6よりブラウザ拡張機能のプログラムがブラウザにインストールされ、ブラウザ拡張機能が実行され、ブラウザ拡張機能が自動的にWebブラウザ手段237のオプション設定である「サードパーティCookieのブロック」を設定し、サードパーティCookieの使用を禁止する(ステップS10)。次に、属性情報設定手段231が、表示部24に属性設定画面を表示させ、操作部25を介してユーザにより属性情報の入力を受け付け、属性情報222に設定する(ステップS11)。併せて、ブラウザ利用の際に、対比画面を都度ポップアップ等で表示するためのフラグを設定しておく。対比画面の都度表示が不要であれば、フラグは設定しなければよい。
【0068】
詳細には、ユーザが使用したい属性を表す状況と目的を属性情報として設定させ、1または複数の属性情報からのパターンに対し、このパターンを識別可能にする属性ID(ugID)として、ランダムな値を自動的に1つ生成して割り当て、属性IDと属性情報のパターンを属性情報222に記憶する。「ランダム」とは、一度生成された値と同じ値が再度生成されることがない。または、一度生成された値と同じ値が生成される確率が極めて低い(確率がほぼ0である)ということである。
【0069】
図11は、表示部24に表示される属性設定画面の例である。図11の属性情報を設定する設定画面Aでは、属性として性別、年代、地域を選択可能にしており、「Create New Attr」を選択すれば新しい属性も作成できるようになっている。また、設定画面Aでは、趣味の属性としてスポーツ、映画、家電を選択可能にしており、「Create New Pref」を選択すれば、新しい趣味の属性を作成できるようになっている。設定画面Aの属性情報パターンA1は、図3(b)の属性情報222の‘Business’、‘Mon‐Fri, 0:00‐23:59’、‘ABCDEFGH’、‘男, 30代, 関東, PC, ソフトウェア …’を設定するものである。同様に、設定画面Aの属性情報パターンA2は、図3(b)の属性情報222の‘Private’、‘Sat, Sun, 0:00‐23:59’、‘STUVWXYZ’、‘男, 20代, 関東, 車, 映画 …’を設定するものである。「Create New ID」を選択すれば、別の属性情報パターンも新たに設定できる。また、「対比画面の表示」を選択することで、対比画面の都度表示をするかのフラグを設定できる。
【0070】
次に、図10を参照し、ユーザ端末2のコンテンツ閲覧の処理フローを説明する。なお、以下に説明する処理フローは、処理部23で実行されるプログラムによって制御される。なお、図中では、ファーストパーティをFP、サードパーティをTPと省略して記載する。
【0071】
ユーザの意思にてコンテンツサーバ4に接続する場合、ブラウザにコンテンツサーバ4のURLが指定され、コンテンツ閲覧の処理が開始する。まず、Webブラウザ手段237が、接続するためのリクエストを作成する(ステップS20)。
次に、作成されたリクエストの宛先がファーストパーティかサードパーティかを判定する(ステップS21)。接続しようとして指定されたコンテンツサーバ4のドメインであれば、ファーストパーティであるから、最初はファーストパーティ宛(FP宛)としてステップS22へ必ず進むことになる。ステップS22では、属性送信制御手段234がugIDの送信を禁止する。具体的には、現在ブラウザに設定されているugIDがリクエスト中に含まれているか検索を行い、検索がヒットしたら、リクエストの中のそのugIDに関する部分を変更する。
【0072】
次に、Webブラウザ手段237は、ugID送信禁止処理を経たリクエストをファーストパーティであるコンテンツサーバ4へ送信する(ステップS23)。その後、Webブラウザ手段237は、コンテンツサーバ4から、リクエストに応じたコンテンツ及びコンテンツサーバ4に登録された広告配信用サーバ5がコンテンツ内に広告表示するための広告タグを受信する(ステップS24)。そして、Webブラウザ手段237が受信したコンテンツを表示部24に表示させる(ステップS25)。
【0073】
その後、Webブラウザ手段237は、処理すべき指示を行い、コンテンツ閲覧のための画面表示が完了したか判定する(ステップS26)。
【0074】
コンテンツサーバ4から広告タグを受信していると、一度は、画面表示が完了していない場合(ステップS26−No)となってステップS20へ戻り、Webブラウザ手段237は、広告タグのスクリプトを解析した内容でリクエスト作成し、リクエストの宛先判定では広告配信用サーバ5が宛先に含まれるので、サードパーティ宛(TP宛)としてステップS27へ進む。
【0075】
ステップS27では、要求信号送信手段232がファーストパーティCookieの送信を禁止する。具体的には、現在ブラウザがファーストパーティとしてアクセスしているコンテンツサーバ4のCookieがリクエスト中に含まれているか検索を行い、検索がヒットしたら、リクエストの中のそのファーストパーティCookieに関する部分を変更する。検索対象のコンテンツサーバ4のCookieは、ユーザ情報221の中からドメインの値をもとに取得して使用する。
【0076】
次に、要求信号送信手段232は、リクエストのHTTPヘッダーに、現在ブラウザで設定されているugIDと、属性情報222の中から取得するugIDに対応する属性情報を追加する(ステップS28)。そして、要求信号送信手段232は、ファーストパーティCookieの送信を禁止が施され、ugIDと属性情報が追加されたリクエストを、広告配信用サーバ5へ送信する(ステップS29)。
【0077】
その後、広告情報受信手段233は、広告配信用サーバ5から、広告情報を受信する(ステップS30)。そして、Webブラウザ手段237が受信した広告情報を表示部24に表示させるとともに、属性推定手段235は、サードパーティ計測として、広告配信用サーバ5から受信した通信内容を計測情報223に記憶する(ステップS31)。
【0078】
そして、ステップS26に進む。画面表示が完了していれば(ステップS26−Yes)、対比表示手段236は表示部24に属性の対比表示をするかどうかのフラグを確認する(ステップS32)。対比表示するとのフラグがセットされていない場合(ステップS32−No)、属性情報の対比表示を行わずに、コンテンツ閲覧の処理を終了する。
【0079】
一方、対比表示するとのフラグがセットされている場合(ステップS32−Yes)、対比表示手段236は、属性推定手段235を呼び出し、セルフセグメンテーション(ユーザ端末内でセグメンテーションを行い、広告配信サーバのセグメンテーションをシミュレートする)を行わせる(ステップS33)。そして、対比表示手段236は、セルフセグメンテーションの結果と属性情報222に記憶されている現在ブラウザに設定されたugIDの属性とを対比させて、表示部24に表示させ(ステップS34)、コンテンツ閲覧の一連の処理を終了する。
【0080】
ここで、図3(c)を参照し、ユーザ端末2の属性推定、すなわち、属性推定手段235によるユーザ端末内でのセグメンテーション方法の例を詳細に説明する。
まず、属性推定手段235は、ユーザがその時利用しているugIDの値をキーとして、2231のugIDカラムから同一のugID値のレコードを抽出する。
次に、属性推定手段235は、抽出したレコードのアクセス先2232のURLドメインより、ugIDが送信されている広告配信用サーバを集計する。
送信情報2233は、アクセス先2232のURLドメインに送信したHTTPリクエストヘッダーの内容やGETまたはPOSTのリクエストパラメータの内容を記録しており、その内容のリファラURL等にアクセスした際のコンテンツに含まれる文書や、リクエストパラメータに含まれる文字列より、広告配信用サーバが知り得ることができるキーワードを抽出する。例えば、単純な方法では、文書を形態素解析し、単語を抽出し、単語をカウントして単語数が多い順にソートする。
そして、属性推定手段235は、抽出したキーワードと、アクセス時間2234を関連付け、ある時間帯にあるキーワードが多く出現した場合は、ある属性を付与するという処理を行う。例えば、21:00〜23:59の間に、PCというキーワードが多く出現すれば、「男」と属性を推定する。
以上が、属性推定手段235が行う計測情報223からのセグメンテーションの例であり、対比表示手段236は、セグメンテーションの結果であるセグメント情報と、属性情報222とを対比させる形でユーザに表示する。
【0081】
図12は、表示部24に対比表示した対比表示画面の例である。この対比表示画面は、ユーザの意思にて接続したコンテンツサーバのコンテンツの一連の表示が完了すると、例えば、コンテンツが表示されたブラウザ画面の下部にポップアップ等で対比表示を行うかのフラグを確認し、表示される画面である。図12の対比結果画面Bでは、ブラウザが利用している属性パターンの状況を表示しつつ、設定された属性情報B1に属性情報222から読み出した‘ugID:A001122…’と‘属性:男, 30代, 関東, 野球, 映画 …’で表示し、推定された属性B2に属性推定手段235がセルフセグメンテーションした結果の属性を‘属性:男, 40代, 関西, 防犯, ヨーロッパ旅行 …’で表示し、ユーザが対比して確認できるように表示している。その後、ユーザの操作部25を介した操作によって「はい」が選ばれれば表示を閉じ、「いいえ」が選択されれば、図11で示したような属性設定画面を表示させ、ユーザによる属性情報のパターン変更や属性IDの変更を可能にする。
【0082】
以上のように、ユーザ端末2は、広告配信サーバが発行したサードパーティCookieの使用は拒否するものの、ユーザ端末が発行した属性ID(ugID)と利用したい属性情報をユーザ端末自らが広告配信サーバ5へ提供し、ファーストパーティCookieを広告配信サーバ5へ送信することを禁止する。また、ユーザ端末2は、コンテンツサーバ4へファーストパーティCookieを送信するが、ユーザ端末が発行した属性ID(ugID)を送信することを禁止する。これにより、広告表示に使われる属性をユーザ自身の制御下に置きつつ、コンテンツサーバと広告配信サーバの間でIDの結合が行われることを防止することができる。
【0083】
図13を参照し、広告配信用サーバ5の処理フローを説明する。なお、以下に説明する処理フローは、処理部53で実行されるプログラムによって制御される。
【0084】
広告配信用サーバ5は、ユーザ端末2から、広告要求信号を受信すると、本処理を開始する。まず、要求信号受信手段531が通信I/F部51を介してユーザ端末2の広告要求信号を受信し、広告要求信号の中からugIDと属性情報を取得する(ステップS40)。
【0085】
次に、広告情報送信手段532は、記憶部52の広告情報521を参照し、ユーザ端末2へ送信する広告情報を選択し、送信する(ステップS41)。具体的には、まず、取得したugIDについて、自身がセグメンテーションした結果があるか、セグメント523を検索する。ugIDで特定されたセグメント523の属性と取得した属性情報が一致していれば、その属性情報に対応付けられた広告情報のデータを広告情報521から読み出す。もし、不一致の場合は、ugIDで取得した属性情報に対応付けられた広告情報のデータを広告情報521から読み出す。広告配信サーバ5は、自身がセグメンテーションした結果または取得した属性情報のいずれかを利用して広告配信を行ってもよく、両方を考慮して広告配信を行ってもよい。方法は、広告配信用サーバ5の広告配信ポリシーで予め定めておけばよい。その後、読み出した広告情報のデータをユーザ端末2へ送信する。
【0086】
その後、セグメンテーション手段533は、受信した広告要求信号及び要求信号履歴522の情報を用いてセグメンテーションを行い、セグメント523のugIDのデータを更新する。具体的なセグメンテーションの方法は、例えば、要求信号履歴522の収集情報5222に含まれる情報より、キーワードを抽出し、抽出したキーワードと、アクセス時間2234を関連付け、ある時間帯にあるキーワードが多く出現した場合は、ある属性を付与するという処理を行う。例えば、21:00〜23:59の間に、PCというキーワードが多く出現すれば、「男」と属性を推定するなど、種々の方法がある。
そして、広告配信用サーバ5はユーザ端末2から広告要求信号を受信したときの処理を終了する。
【0087】
これにより、ユーザ端末2によってサードパーティCookieの使用が禁止され、ファーストパーティCookieも送信されず、Cookieを使用したセグメンテーションができなくなっていても、ユーザ端末2によって付与された属性IDを使って、広告配信用サーバ5でもセグメンテーションすることができる。
【0088】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。例えば、ユーザの識別にCookieを使い、ユーザ端末で生成される属性IDとの紐付けを禁止する例でIDの結合を防止する方法の説明をしたが、これに限定されるものではない。Cookie以外の識別技術を使ってユーザを識別する方式があり、それらの識別技術を併用すれば、IDの結合が行われる可能性がある。この場合は、他の識別技術によるIDの結合を無効化する処理をステップS24及びステップS30の後に追加すればよい。Cookie以外の識別技術として、Fingerprinting、Flash Cookie、WebStorage等が挙げられ、それぞれにおける無効化の処理の例を示す。
例えば、Fingerprintingは、HTTPリクエスト情報、JavaScript(登録商標)で取得される画面サイズやプラグイン情報、画像描画機能で生成した画像の差分情報等を組み合わせて確率的に識別する技術である。この技術を無効化するためには、Fingerprintingの処理が実行される前に、JavaScript(登録商標)がオブジェクトで保持しているパラメータをランダムに変更するなどの対策をすればよい。
また、Flash Cookie は、各種プラグイン機能の保存部(例えば、FlashのLocal Shared Object)をCookieのように利用する方法である。この方法では、サードパーティがFlashを読み込ませる際に、Local Shared Objectの使用を禁止するなどの対策をすればよい。
また、HTML5で利用できるWebStorageをCookieのように利用する方法では、サードパーティのドメインがWebStorageに値を保存することを禁止するなどの対策をすればよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・・広告配信システム
2・・・ユーザ端末
21・・・通信I/F部
22・・・記憶部
221・・・ユーザ情報
222・・・属性情報
223・・・計測情報
23・・・処理部
231・・・属性情報設定手段
232・・・要求信号送信手段
233・・・広告情報受信手段
234・・・属性送信制御手段
235・・・属性推定手段
236・・・対比表示手段
237・・・Webブラウザ手段
24・・・表示部
25・・・操作部
3・・・ネットワーク
4・・・コンテンツサーバ
41・・・通信I/F部
42・・・記憶部
421・・・コンテンツ
422・・・アクセスログ
43・・・処理部
431・・・ユーザ識別手段
432・・・コンテンツ送信手段
5・・・広告配信用サーバ
51・・・通信I/F部
52・・・記憶部
521・・・広告情報
522・・・要求信号履歴
523・・・セグメント
53・・・処理部
531・・・要求信号受信手段
532・・・広告情報送信手段
533・・・セグメンテーション手段
6・・・プラグイン配信サーバ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13