(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記信頼度特定手段は、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に用いた前記算出材料情報の数が多い程、該一のリンク又はノードのコスト値の信頼度を高く特定することを特徴とする請求項1に記載の経路探索システム。
前記コスト算出手段は、地図情報から取得した前記リンク又はノードに関する情報と、前記プローブ情報によって特定された平均旅行時間又は渋滞度とに基づいて、前記リンク又はノードのコスト値を算出することを特徴とする請求項3に記載の経路探索システム。
前記コスト算出手段は、前記コスト値を算出する為の材料となる前記算出材料情報の内、コスト値の算出対象となるリンク又はノードに対応する前記算出材料情報を抽出し、抽出された前記算出材料情報を用いて前記リンク又はノードのコスト値を算出し、
抽出する際の対応条件を緩和することによって一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させる条件緩和手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の経路探索システム。
前記算出材料情報は、車両の走行情報であり、車両の走行したリンク又はノードと、該リンク又はノードへの進入方向と、該リンク又はノードからの退出方向が走行態様として付加され、
前記コスト算出手段は、コスト値の算出対象となるリンク又はノードに対応する前記走行態様が付加された前記算出材料情報を抽出し、
前記条件緩和手段は、前記進入方向及び前記退出方向の一方又は両方を前記走行態様の対応条件から除外することによって前記一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させることを特徴とする請求項6に記載の経路探索システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る経路探索システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る経路探索システム1の概略構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る経路探索システム1を示した概略構成図である。
図2は本実施形態に係る経路探索システム1の構成を示したブロック図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る経路探索システム1は、ナビゲーション装置2を搭載した各車両3と、各車両3からプローブ情報(算出材料情報)を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報等の作成・配信を行うプローブセンタ4とから基本的に構成されている。尚、ナビゲーション装置2の代わりにスマートフォンやタブレット型端末等の通信端末を用いる構成としても良い。
【0015】
車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとして後述のプローブセンタ4とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両3が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め車両3に搭載された携帯電話機やDCM等の車両用の通信モジュール(以下、単に通信モジュールという)を介してプローブセンタ4に定期的に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0016】
また、プローブセンタ4は、全国各地を走行する各車両3から送信された現在時刻や走行情報等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報からリンクを車両が通過するのに必要な時間の平均値である平均旅行時間やリンクの渋滞度合いを示す渋滞度等の配信情報(プローブ統計情報)を生成し、生成された配信情報を車両3に対して配信する情報配信センタである。
【0017】
また、車両3にはナビゲーション装置2が設置されている。ナビゲーション装置2は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置2はプローブセンタ4から受信した渋滞度等の交通情報を利用者に対して案内することについても行う。尚、ナビゲーション装置2の詳細については後述する。
【0018】
続いて、経路探索システム1を構成するプローブセンタ4の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。
【0019】
プローブセンタ4は、
図2に示すようにサーバ11と、サーバ11に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB12と、プローブ統計情報DB13と、センタ通信装置14とから基本的に構成されている。
【0020】
サーバ11は、プローブセンタ4における各種制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、収集したプローブ情報に基づいて平均旅行時間や渋滞度を算出する為のプログラム等が記憶されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0021】
また、プローブ情報DB12は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、特に(a)日時、(b)天候、(c)車速、(d)車両3が走行するリンク、(e)車両3の位置座標、(f)車両3の進行方向に関する情報が含まれる。
【0022】
以下に、
図3を用いてプローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報についてより詳細に説明する。
図3はプローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【0023】
図3に示すように、プローブ情報は、送信元の車両を識別する車両IDと、上記(a)〜(f)に関する情報等が含まれる。例えば、
図3に示すプローブ情報は、2014年5月10日の10:00:00の天候“晴れ”の状況下で、ID“A”の車両3がID“100001”のリンクの上り方向を時速40km/hで走行したことが記憶されている。同様にして、他のプローブ情報についても記憶されている。
【0024】
そして、プローブセンタ4は、プローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報を統計することによって、全国の各道路の平均旅行時間や渋滞度を特定する。具体的には、プローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報の内、同一条件(同一の日時区分、同一天候区分、同一進行方向、同一走行態様(具体的にはリンクへの進入方向とリンクからの退出方向))が対応付けられたプローブ情報を抽出し、抽出したプローブ情報に基づいて平均車速と平均旅行時間を算出する。また、算出された平均車速とリンクの道路種別から渋滞度についても特定する。そして、特定された平均旅行時間や渋滞度に関する情報を、算出元となるプローブ情報を抽出した際の条件(以下、対応条件という)とともにプローブ統計情報DB13に記憶する。尚、後述のように平均車速や平均旅行時間を算出するのに用いられるプローブ情報の数が特に少ない場合(例えば交通量の少ないリンクを対象として算出する場合)については、対応条件を緩和して平均車速や平均旅行時間を算出するのに用いられるプローブ情報の数を増加する処理について行う。例えば、日時区分の条件を“特異日区分又は曜日区分”から“平日又は休日で区分”の条件に緩和することを行う。
【0025】
次に、
図4を用いてプローブセンタ4によって作成され、プローブ統計情報DB13に記憶されるプローブ統計情報について詳細に説明する。
図4はプローブ統計情報DB13に記憶されるプローブ統計情報の一例を示した図である。
【0026】
図4に示すようにプローブ統計情報は、全国にあるリンク及び進行方向毎に、対応条件(日時区分、天候区分、走行態様(具体的にはリンクへの進入方向とリンクからの退出方向をリンクにより特定))と、その対応条件と同一条件のプローブ情報を統計することによって算出された渋滞度及び平均旅行時間と、渋滞度及び平均旅行時間を算出するのに用いられたプローブ情報の数Nとから構成される。例えば、
図4に示すプローブ統計情報では、リンクID『100001』のリンクの上り方向について、5月10の10:00〜10:15の間で天候が晴れの状態では、渋滞度が“混雑”であり、平均旅行時間が“25秒”と算出されることを示している。また、それらを算出するのに用いられたプローブ情報の数Nは“6567個”であることを示している。
【0027】
また、センタ通信装置14は、車両3やVICS(登録商標)センタとネットワーク15を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置14を介してプローブ情報や配信情報を各車両3との間で送受信する。
【0028】
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置2の概略構成について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0029】
図5に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置2は、ナビゲーション装置2が搭載された車両3の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や後述の経路探索処理によって探索された経路に関する経路情報等を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ4やVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、から構成されている。
【0030】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置2が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置2が備える構成としても良い。
【0031】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45、配信情報DB46及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0032】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各分岐点に関する分岐点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0033】
また、探索データとしては、後述のように出発地(例えば車両の現在位置)から設定された目的地までの経路を探索する経路探索処理に使用される各種データについて記録されている。具体的には、交差点(ノード)に対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、交差点コストという)や道路を構成するリンクに対する経路として適正の程度を数値化したコスト(以下、リンクコストという)等の探索コストを算出する為に使用するコスト算出データが記憶されている。
【0034】
ここで、交差点コストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれる交差点に対応するノード毎に設定され、信号機の有無、交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)等によってその値が算出される。
また、リンクコストは、探索コストの算出対象となる経路に含まれるリンク毎に設定され、リンク長を基本にして、該リンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数に加えて、プローブセンタ4によって特定された平均旅行時間や渋滞度等を考慮して算出される。
【0035】
また、配信情報DB46は、プローブセンタ4から配信されるリンク毎の平均旅行時間や渋滞度が特定された配信情報(
図4参照)が記憶された記憶手段である。尚、地図情報DB45や配信情報DB46は外部のサーバに記憶し、ナビゲーション装置2が通信により取得する構成としても良い。
【0036】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述の経路散策処理プログラム(
図6)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU33は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、コスト算出手段は、コスト値を算出する為の材料となる算出材料情報(プローブ情報)に基づいてリンク又はノードのコスト値を算出する。信頼度特定手段は、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に用いた算出材料情報の数に基づいて、算出された該一のリンク又はノードのコスト値の信頼度を特定する。コスト補正手段は、信頼度特定手段により特定された信頼度に基づいて、該信頼度の特定されたリンク又はノードのコスト値を補正する。経路探索手段は、コスト補正手段によって補正されたコスト値を用いて推奨経路を探索する。
【0037】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0038】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0039】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0040】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。
【0041】
また、通信モジュール38は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標)センタやプローブセンタ4等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、プローブ情報や配信情報をプローブセンタ4との間で送受信するのにも用いられる。
【0042】
続いて、上記構成を有する本実施形態に係る経路探索システム1を構成するナビゲーション装置2においてCPU51が実行する経路探索処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係る経路探索処理プログラムのフローチャートである。ここで、経路探索処理プログラムはナビゲーション装置2において経路探索を実施する為の所定の操作を受け付けた場合に実行され、出発地から目的地へと到る推奨経路を探索するプログラムである。尚、以下の
図6、
図8、
図10、
図11にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置2が備えているRAM52やROM53に記憶されており、CPU51により実行される。
【0043】
先ず、経路探索処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU51は、出発地及び目的地を取得する。尚、出発地は車両の現在位置としても良いし、ユーザにより指定された任意の地点(例えば自宅)としても良い。また、目的地は操作部34において受け付けたユーザの操作(例えば施設の検索や選択操作)に基づいて取得する。
【0044】
以下のS2〜S6の処理はリンクコストの算出対象となるリンク毎に実行され、リンクコストの算出対象となる全てのリンクを対象としてS2〜S6の処理が実行された後に、S7へと移行する。尚、リンクコストの算出対象となるリンクは出発地から目的地までの間にある推奨経路を構成し得るリンクが該当する。
【0045】
先ず、S2においてCPU51は、後述の基準リンクコスト算出処理(
図8)を実行する。尚、基準リンクコスト算出処理は、処理対象のリンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数に加えて、プローブセンタ4によって特定された平均旅行時間や渋滞度等についても考慮して該リンクのリンクコストを算出する処理である。
【0046】
次に、S3においてCPU51は、後述の信頼度特定処理(
図10)を実行する。尚、信頼度特定処理は、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に用いたプローブ情報の数Nに基づいて、算出されたリンクコストの信頼度を特定する処理である。尚、信頼度は『1(高)』〜『4(低)』の4段階で特定される。
【0047】
続いて、S4においてCPU51は、後述の緩和度特定処理(
図11)を実行する。尚、信頼度特定処理は、前記S3で処理対象のリンクのリンクコストを算出する際に、算出元となるプローブ情報を抽出する為の対応条件を緩和した場合において、その緩和の度合いを示す緩和度を特定する処理である。尚、緩和度は『1(小)』〜『3(大)』の3段階で特定される。
【0048】
その後、S5においてCPU51は、前記S3において特定された信頼度と前記S4で特定された緩和度に応じて補正係数を設定する。具体的には
図7に示すように信頼度と緩和度の組み合わせに基づいて補正係数が決定される。尚、
図7に示すように、信頼度が高い程、補正係数は低く設定される。また、緩和度が小さい程、補正係数は低く設定される。
【0049】
次に、S6においてCPU51は、前記S2で算出された基準リンクコストの値に前記S5で設定された補正係数を乗じて、リンクコストの値を補正する。そして、補正後の値を、最終的な処理対象のリンクのリンクコストに決定する。従って、補正係数が大きい、即ち算出されるリンクコストの信頼度が低いリンクや対象条件を大きく緩和したリンクについては、最終的に算出されるリンクコストの値は大きくなるように補正されるので、推奨経路に含まれ難くなる。一方で、補正係数が小さい、即ち算出されるリンクコストの信頼度が高いリンクや対象条件の緩和が小さいリンクについては、最終的に算出されるリンクコストの値は小さくなるように補正されるので、推奨経路に含まれ易くなる。
【0050】
そして、リンクコストの算出対象となる全てのリンクを対象としてリンクコストが算出された後に実行されるS7では、CPU51はリンクコスト以外の探索コスト、例えば交差点(ノード)に対する経路として適正の程度を数値化した交差点コストや、走行に必要な費用の程度を数値化した料金コスト等を算出する。そして、算出された各探索コストを用いて推奨経路の探索を行う。具体的には、公知のダイクストラ法を用い、コスト値の合計が最小となる経路を推奨経路とする。また、推奨経路以外に探索条件を変えた他の候補経路(例えば距離優先、一般道優先、有料道優先で探索された経路)についても探索するように構成しても良い。
【0051】
その後、前記S7で探索された推奨経路は、液晶ディスプレイ35等を介してユーザに案内される。そして、その後のユーザの操作に基づいて案内された推奨経路がナビゲーション装置2の案内経路として設定され、設定された案内経路に基づく走行案内が行われる。
【0052】
次に、前記S2において実行される基準リンクコスト算出処理のサブ処理について
図8に基づき説明する。
図8は基準リンクコスト算出処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0053】
先ず、S11においてCPU51は、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nを取得する。具体的には、プローブセンタ4から配信された配信情報(
図4)の内、処理対象のリンクであって且つ同一の対応条件(同一の日時区分、同一天候区分、同一進行方向、同一走行態様(具体的にはリンクへの進入方向とリンクからの退出方向))が対応付けられた平均車速や平均旅行時間を算出するのに用いたプローブ情報の数Nを、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nとして取得する。
【0054】
次に、S12においてCPU51は、前記S11で取得されたプローブ情報の数Nが999個以下か否かを判定する。
【0055】
そして、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが999個以下であると判定された場合(S12:YES)には、リンクコストを算出する為のプローブ情報の数が十分でないと認定し、S14へと移行する。一方、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが999個より多いと判定された場合(S12:NO)には、リンクコストを算出する為のプローブ情報の数が十分であると認定し、S13へと移行する。
【0056】
S13においてCPU51は、プローブセンタ4から配信された配信情報(
図4)の内、処理対象のリンクであって且つ同一の対応条件(同一の日時区分、同一天候区分、同一進行方向、同一走行態様(具体的にはリンクへの進入方向とリンクからの退出方向))が対応付けられた平均車速と平均旅行時間を読み出す。そして、読み出した平均車速と平均旅行時間の両方またはいずれか一方を用いて、処理対象のリンクのリンクコストを算出する。尚、リンクコストの算出には平均車速や平均旅行時間の他、リンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数等が考慮される。その後、S3へと移行する。
【0057】
S13においてCPU51は、リンクコストの算出元となるプローブ情報を抽出する条件である対応条件を緩和し、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nを増加させる。具体的には、以下(A)〜(D)のいずれか一又は複数の条件を緩和する。
(A)走行態様条件
(B)時刻区分条件
(C)日付・曜日区分条件
(D)天候区分条件
【0058】
ここで、“(A)走行態様条件”では、リンクへの進入方向と、リンクからの退出方向の一方又は両方を対応条件から除外することによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nを増加させる。また、緩和は複数段階に分けて行う。
(段階1(緩和小))“同一リンクに同一方向から進入及び退出して走行”
(段階2)“同一リンクに同一リンクへと退出して走行”
(段階3)“同一リンクに同一リンクから進入して走行”
(段階4(緩和大))“同一リンクを走行”
その結果、例えば
図9に示すようにリンクAからリンクDへと進入し、その後にリンクEへと退出する際のリンクDのリンクコストを算出する場合において、(段階1)ではリンクAからリンクDへと進入し、且つリンクEへと退出する走行態様が対応付けられたプローブ情報が抽出されることとなるが、(段階2)ではリンクDへと進入するリンクがA〜Cのいずれかを問わずにリンクDからリンクEへと退出する走行態様が対応付けられたプローブ情報が抽出され、(段階3)ではリンクDから退出するリンクがE〜Gのいずれかを問わずにリンクAからリンクDへと進入する走行態様が対応付けられたプローブ情報が抽出され、(段階4)ではリンクDへと進入するリンクもリンクDから退出するリンクも問わずに、リンクDを走行する走行態様が対応付けられたプローブ情報が抽出されることとなる。即ち、対応条件を緩和することによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが多くなる。
【0059】
また、“(B)時刻区分条件”では、時刻の区分の幅を広げることによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nを増加させる。また、緩和は複数段階に分けて行う。
(段階1(緩和小))“15分間隔で区分”
(段階2)“30分間隔で区分”
(段階3)“1時間間隔で区分”
(段階4(緩和大))“3時間間隔で区分”
その結果、例えば10時10分に経路探索を行うと、(段階1)では10時〜10時15分のプローブ情報が抽出されることとなるが、(段階2)では10時〜10時30分のプローブ情報が抽出され、(段階3)では10時〜11時のプローブ情報が抽出され、(段階4)では10時〜13時のプローブ情報が抽出されることとなる。即ち、対応条件を緩和することによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが多くなる。
【0060】
また、“(C)日付・曜日区分条件”では、日付や曜日の区分の幅を広げることによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nを増加させる。また、緩和は複数段階に分けて行う。
(段階1(緩和小))“特異日区分”又は“曜日区分(特異日以外)”
(段階2)“平日又は休日で区分”
(段階3(緩和大))“区分なし”
尚、“特異日”とは年末年始、GW、お盆等の他の日と比べて特殊な道路状況となる日をいう。その結果、例えば5月3日の土曜日に経路探索を行うと、(段階1)では同じ特異日であるGW期間(例えば4月29日〜5月5日)のプローブ情報のみが抽出されることとなるが、(段階2)では休日のプローブ情報が抽出され、(段階3)では日付や曜日に関わらずどのプローブ情報も抽出されることとなる。尚、特異日については曜日に関わらず(段階2)では休日に該当するとしても良いし、曜日に従って土日以外は平日に該当するとしても良い。また、特異日については道路状況が特殊となるので緩和を行わない構成としても良い。
一方、例えば6月23日の月曜日に経路探索を行うと、(段階1)では特異日でないので同じ曜日である月曜日のプローブ情報が抽出されることとなるが、(段階2)では平日のプローブ情報が抽出され、(段階3)では日付や曜日に関わらずどのプローブ情報も抽出されることとなる。
即ち、対応条件を緩和することによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが多くなる。
【0061】
更に、“(D)天候区分条件”では、天候の区分の幅を広げることによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nを増加させる。また、緩和は複数段階に分けて行う。
(段階1(緩和小))“晴れ、曇り、雨、雪の4つに区分”
(段階2)“晴れと曇り、それ以外の2つに区分”
(段階3(緩和大))“区分なし”
その結果、例えば曇りの時に経路探索を行うと、(段階1)では同じ天候である曇りのローブ情報が抽出されることとなるが、(段階2)では同じ天候である曇りに加えて晴れのプローブ情報が抽出され、(段階3)では天候に関わらずどのプローブ情報も抽出されることとなる。即ち、対応条件を緩和することによって、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが多くなる。
【0062】
そして、前記S14でCPU51は、先ず(段階1)であった対応条件を(段階2)に緩和した後に、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが999個より多くなるかを再度判定し、プローブ情報の数Nが999個未満であれば更に(段階3)、(段階4)へと順次緩和を行う。そして、(A)〜(D)のいずれか一の条件を最大まで緩和しても、プローブ情報の数Nが999個より多くならない場合には、他の条件についても同様に緩和を行う。尚、対応条件を緩和した後に、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となるプローブ情報の数Nが999個より多くなるかについてはプローブセンタ4が判定し、ナビゲーション装置2はその結果を取得するように構成することが望ましい。
【0063】
その後、プローブセンタ4では、処理対象のリンクであって且つ前記S14で緩和された対応条件と同一の対応条件が対応付けられたプローブ情報をプローブ情報DB12から抽出し、抽出されたプローブ情報に基づいて平均車速と平均旅行時間を再度算出する。そして、S15においてCPU51は、再度算出された平均車速と平均旅行時間をプローブセンタ4から取得する。尚、対応条件が緩和されることによって、平均車速と平均旅行時間を算出する為にプローブ情報DB12から抽出されるプローブ情報の数は多くなる。即ち、算出された平均車速と平均旅行時間は緩和前よりも正確な値となる。尚、平均車速と平均旅行時間の算出はナビゲーション装置2で行うように構成しても良い。
【0064】
次に、S16においてCPU51は、前記S15で新たに取得した平均車速と平均旅行時間の両方またはいずれか一方を用いて、処理対象のリンクのリンクコストを算出する。尚、リンクコストの算出には平均車速や平均旅行時間の他、リンクの道路属性や道路種別、道路幅、車線数等が考慮される。その後、S3へと移行する。
【0065】
次に、前記S3において実行される信頼度特定処理のサブ処理について
図10に基づき説明する。
図10は信頼度特定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0066】
先ず、S21においてCPU51は、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nを取得する。尚、前記S14の処理において対応条件が緩和されている場合には、緩和後において抽出対象となったプローブ情報の数Nを取得する。
【0067】
次に、S22においてCPU51は、前記S21で取得されたプローブ情報の数Nが9999個以下か否かを判定する。
【0068】
そして、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nが9999個以下であると判定された場合(S22:YES)には、S24へと移行する。それに対して、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nが9999個より多いと判定された場合(S22:NO)には、S23へと移行する。
【0069】
S23においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は特に信頼度が高いと認定し、信頼度を“1”に設定する。その後、S4へと移行する。
【0070】
一方、S24においてCPU51は、前記S21で取得されたプローブ情報の数Nが4999個以下か否かを判定する。
【0071】
そして、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nが4999個以下であると判定された場合(S24:YES)には、S26へと移行する。それに対して、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nが4999より多く9999個以下と判定された場合(S24:NO)には、S25へと移行する。
【0072】
S25においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は比較的信頼度が高いと認定し、信頼度を“2”に設定する。その後、S4へと移行する。
【0073】
また、S26においてCPU51は、前記S21で取得されたプローブ情報の数Nが999個以下、又は前記S14の処理において対応条件が緩和されているか否かを判定する。
【0074】
そして、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nが999個以下である、又は999個以上であっても前記S14の処理において対応条件が緩和されていると判定された場合(S26:YES)には、S27へと移行する。それに対して、処理対象のリンクのリンクコストを算出する為に抽出対象となったプローブ情報の数Nが999より多く、且つ前記S14の処理において対応条件が緩和されていないと判定された場合(S26:NO)には、S27へと移行する。
【0075】
S27においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は信頼度が低いと認定し、信頼度を“3”に設定する。その後、S4へと移行する。
【0076】
一方、S28においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は信頼度が特に低いと認定し、信頼度を“4”に設定する。その後、S4へと移行する。
【0077】
次に、前記S4において実行される緩和度特定処理のサブ処理について
図11に基づき説明する。
図11は緩和度特定処理のサブ処理プログラムのフローチャートである。
【0078】
先ず、S31においてCPU51は、前記S14の処理において対応条件が緩和されているか否か、及び対応条件が緩和されている場合には何段階緩和しているかを取得する。
【0079】
次に、S32においてCPU51は、前記S14の処理において対応条件が緩和されているか否かを判定する。
【0080】
そして、前記S14の処理において対応条件が緩和されていると判定された場合(S32:YES)には、S34へと移行する。それに対して、前記S14の処理において対応条件が緩和されていないと判定された場合(S32:NO)には、S33へと移行する。
【0081】
S33においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は、特に密接に対応するプローブ情報のみから算出されたと認定し、緩和度を“1”に設定する。その後、S5へと移行する。
【0082】
一方、S34においてCPU51は、前記S14の処理において対応条件が2段階以上緩和されているか否かを判定する。
【0083】
そして、前記S14の処理において対応条件が2段階以上緩和されていると判定された場合(S34:YES)には、S36へと移行する。それに対して、前記S14の処理において対応条件が1段階のみ緩和されていると判定された場合(S34:NO)には、S35へと移行する。
【0084】
S35においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は、比較的対応関係の高いプローブ情報から算出されたと認定し、緩和度を“2”に設定する。その後、S5へと移行する。
【0085】
一方、S36においてCPU51は、前記S2において算出されたリンクコストの値は、対応関係の低い情報を含むプローブ情報から算出されたと認定し、緩和度を“3”に設定する。その後、S5へと移行する。
【0086】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る経路探索システム1、経路探索システム1による経路探索方法及び経路探索システム1で実行されるコンピュータプログラムでは、プローブセンタ4において全国を走行する各車両3からプローブ情報を収集する一方で、ナビゲーション装置2において推奨経路の探索を行う場合に、該当するリンクのリンクコストをプローブ情報に基づいて算出し(S2)、一のリンクのリンクコストを算出する為に用いたプローブ情報の数に基づいて、算出されたリンクコストの信頼度を特定し(S3)、特定された信頼度に基づいて、該信頼度の特定されたリンクコストの値を補正し(S6)、補正されたリンクコストの値を用いて推奨経路の探索を行う(S7)ので、経路探索に用いるリンクコストの信頼度を考慮してコスト値を補正することが可能となる。その結果、交通量の少ない道路を含む場合であってもユーザに対してより適切な経路を探索することが可能となる。
【0087】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、リンクコストのコスト値を対象として前記S3〜S6のコスト値の補正に係る処理を行っているが、ノードコストのコスト値を対象として前記S3〜S6のコスト値の補正に係る処理を行うように構成しても良い。更に、リンクコストとノードコストの両方を対象として前記S3〜S6のコスト値の補正に係る処理を行っても良い。
【0088】
また、本実施形態では、リンクコストのコスト値を補正する際に、コスト値に対して信頼度と緩和度の組み合わせに基づいて決定された補正係数を乗じる構成としているが、補正係数は信頼度のみに基づいて決定する構成としても良いし、緩和度のみに基づいて決定する構成としても良い。尚、補正係数を信頼度のみに基づいて決定する場合には、信頼度が高い程、補正係数を小さくするように構成する。一方、補正係数を緩和度のみに基づいて決定する場合には、緩和度が小さい程、補正係数を小さくするように構成する。
【0089】
また、リンクコストのコスト値を補正する際に、コスト値に対して信頼度と緩和度の組み合わせに基づいて決定された補正係数を乗じる構成としているが、コスト値に対して信頼度と緩和度の組み合わせに基づいて決定された補正係数を加算或いは減算することによってコスト値を補正する構成としても良い。
【0090】
また、本実施形態では、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出されたプローブ情報の数が999個未満の場合に対応条件を緩和する構成としているが、その数は999個以外の数、例えば500個や2000個としても良い。
【0091】
また、本実施形態では、コスト値を算出する為の材料となる算出材料情報としてプローブ情報を例に挙げて説明したが、プローブ情報以外の情報であっても良い。例えば、車車間通信により取得した他車両の走行情報でも良いし、道路に設置された車両感知器や光ビーコン等によって収集した不特定多数の車両の情報でも良い。更に、経路探索を行う車両の過去の走行履歴に関する情報としても良い。
【0092】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、経路探索機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やスマートフォン等の携帯端末、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、本実施形態では
図6に示す経路探索処理プログラムの実行主体は、ナビゲーション装置2であったが、プローブセンタ4が一部又は全部を実行する構成としても良い。尚、経路探索処理プログラムの全てをプローブセンタ4が実行する場合には、出発地と目的地に関する情報をナビゲーション装置2から取得し、最終的に探索された推奨経路をナビゲーション装置2へと送信するように構成する。
【0093】
また、本発明に係る経路探索システムを具体化した実施例について上記に説明したが、経路探索システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0094】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
経路を構成するリンク又はノードの各コスト値を用いて推奨経路の探索を行う経路探索システムであって、前記コスト値を算出する為の材料となる算出材料情報に基づいて前記リンク又はノードのコスト値を算出するコスト算出手段と、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に用いた前記算出材料情報の数に基づいて、算出された該一のリンク又はノードのコスト値の信頼度を特定する信頼度特定手段と、前記信頼度特定手段により特定された前記信頼度に基づいて、該信頼度の特定された前記リンク又はノードのコスト値を補正するコスト補正手段と、前記コスト補正手段によって補正された前記コスト値を用いて前記推奨経路を探索する経路探索手段と、を有することを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、経路探索に用いるリンクやノードのコスト値の信頼度を考慮してコスト値を補正することにより、交通量の少ない道路を含む場合であってもユーザに対してより適切な経路を探索することが可能となる。
【0095】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記コスト補正手段は、前記信頼度特定手段により特定された前記信頼度が高い程、該信頼度の特定された前記リンク又はノードのコスト値が低くなるように補正することを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、算出されるコスト値の信頼度が高いリンクやノードについてはコスト値が小さくなり、算出されるコスト値の信頼度が低いリンクやノードについてはコスト値が大きくなるように補正されるので、算出されるコスト値の信頼度が高いリンクやノードを、信頼度が低いリンクやノードよりも推奨経路に含まれ易くすることが可能となる。従って、ユーザに対して不適切な経路が推奨経路として選択される可能性を抑えることが可能となる。
【0096】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記信頼度特定手段は、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に用いた前記算出材料情報の数が多い程、該一のリンク又はノードのコスト値の信頼度を高く特定することを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、算出元となる算出材料情報の数が多く、正確なコスト値が算出できると予想されるリンクやノードについて、信頼度を高く設定することが可能となる。従って、ユーザに対して不適切な経路が推奨経路として選択される可能性を小さくすることが可能となる。
【0097】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記算出材料情報は、車両から取得したプローブ情報
を含むことを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、プローブ情報として全国を走行する多数の車両から取得した情報に基づいて、リンクやノードのコスト値を算出するので、リンクやノードのコスト値をより正確に算出することが可能となる。一方で、交通量が少なく多数のプローブ情報を取得することが難しい道路を含む場合であっても、コスト値を補正することによってユーザに対してより適切な経路を探索することが可能となる。
また、前記コスト算出手段は、地図情報から取得した前記リンク又はノードに関する情報と、前記プローブ情報によって特定された平均旅行時間又は渋滞度とに基づいて、前記リンク又はノードのコスト値を算出することを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、リンクやノードのコスト値をより正確に算出することが可能となる。
【0098】
また、第5の構成は以下のとおりである。
前記コスト補正手段は、前記コスト算出手段により算出された前記コスト値に対して、前記信頼度特定手段により特定された前記信頼度に応じた係数を乗じることによって前記リンク又はノードのコスト値を補正することを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、経路探索に用いるリンクやノードのコスト値の信頼度の高低に応じた適切な値にコスト値を補正することができるので、ユーザに対してより適切な経路を探索することが可能となる。
【0099】
また、第6の構成は以下のとおりである。
前記コスト算出手段は、前記コスト値を算出する為の材料となる前記算出材料情報の内、コスト値の算出対象となるリンク又はノードに対応する前記算出材料情報を抽出し、抽出された前記算出材料情報を用いて前記リンク又はノードのコスト値を算出し、抽出する際の対応条件を緩和することによって一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させる条件緩和手段を有することを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される算出材料情報の数が少ない場合であっても、抽出される算出材料情報の数を増やすことができるので、交通量の少ないリンクやノードを対象とした場合であってもコスト値の正確性を向上させることが可能となる。
【0100】
また、第7の構成は以下のとおりである。
前記算出材料情報は、車両の走行情報であり、車両の走行したリンク又はノードと、該リンク又はノードへの進入方向と、該リンク又はノードからの退出方向が走行態様として付加され、前記コスト算出手段は、コスト値の算出対象となるリンク又はノードに対応する前記走行態様が付加された前記算出材料情報を抽出し、前記条件緩和手段は、前記進入方向及び前記退出方向の一方又は両方を前記走行態様の対応条件から除外することによって前記一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させることを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される算出材料情報の数が少ない場合であっても、走行態様に関する対応条件を緩和することによって抽出される算出材料情報の数を増やすことができるので、交通量の少ないリンクやノードを対象とした場合であってもコスト値の正確性を向上させることが可能となる。
【0101】
また、第8の構成は以下のとおりである。
前記算出材料情報は、車両の走行情報であり、車両の走行した時刻が付加され、前記コスト算出手段は、コスト値の算出を行う時刻と同じ時刻区分に含まれる時刻が付加された前記算出材料情報を抽出し、前記条件緩和手段は、前記時刻区分の幅を広げることによって一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させることを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される算出材料情報の数が少ない場合であっても、時刻に関する対応条件を緩和することによって抽出される算出材料情報の数を増やすことができるので、交通量の少ないリンクやノードを対象とした場合であってもコスト値の正確性を向上させることが可能となる。
【0102】
また、第9の構成は以下のとおりである。
前記算出材料情報は、車両の走行情報であり、車両の走行した日付又は曜日が付加され、前記コスト算出手段は、コスト値の算出を行う日付又は曜日と同じ日付区分又は曜日区分に含まれる日付又は曜日が付加された前記算出材料情報を抽出し、前記条件緩和手段は、前記日付区分又は曜日区分を広げることによって一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させることを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される算出材料情報の数が少ない場合であっても、日付又は曜日に関する対応条件を緩和することによって抽出される算出材料情報の数を増やすことができるので、交通量の少ないリンクやノードを対象とした場合であってもコスト値の正確性を向上させることが可能となる。
【0103】
また、第10の構成は以下のとおりである。
前記算出材料情報は、車両の走行情報であり、車両の走行した際の天候が付加され、前記コスト算出手段は、コスト値の算出を行う際の天候と同じ天候区分に含まれる天候が付加された前記算出材料情報を抽出し、前記条件緩和手段は、前記天候区分を広げることによって一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される前記算出材料情報の数を増加させることを特徴とする。
上記構成を有する経路探索システムによれば、一のリンク又はノードのコスト値を算出する為に抽出される算出材料情報の数が少ない場合であっても、天候に関する対応条件を緩和することによって抽出される算出材料情報の数を増やすことができるので、交通量の少ないリンクやノードを対象とした場合であってもコスト値の正確性を向上させることが可能となる。