(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明をより具体的に説明する。
1.炭素質被覆黒鉛粒子の原料
〔芯材〕
本発明の炭素質被覆黒鉛粒子の芯材は、球状または楕円体状の黒鉛粒子で、好ましくは球状または楕円体状に加工された黒鉛粒子である。好ましくは平均粒径1〜50μm、より好ましくは平均粒径5〜30μmの範囲である。好ましくは平均アスペクト比5以下、より好ましくは平均アスペクト比2以下である。平均比表面積は10m
2/g以下であることが好ましく、8m
2/g以下であることがより好ましい。
黒鉛粒子は、天然黒鉛粒子または人造黒鉛粒子を用いることができる。結晶性が高いなどの理由で天然黒鉛粒子の方が好ましい。市販品の球状または楕円体状に加工された天然黒鉛粒子を用いることもできる。球状または楕円体状以外の形状の天然黒鉛、例えば鱗片状の黒鉛粒子の場合は、天然の鱗片状黒鉛を、機械的外力で造粒球状化して球状黒鉛粒子とすることができる。球状または楕円体状に加工する方法は、例えば、接着剤や樹脂などの造粒助剤の共存下で複数の鱗片状黒鉛を混合する方法、複数の鱗片状の黒鉛に接着剤を用いずに機械的外力を加える方法、両者の併用などが挙げられる。しかし、造粒助剤を用いずに機械的外力を加えて球状に造粒する方法が最も好ましい。機械的外力とは、機械的に粉砕および造粒することであり、鱗片状黒鉛を造粒して球状化することができる。鱗片状黒鉛の粉砕装置としては、例えば、加圧ニーダー、二本ロールなどの混練機、回転ボールミル、カウンタジェットミル(ホソカワミクロン(株)製)カレントジェット(日清エンジニアリング(株)製)などの粉砕装置が使用可能である。
【0010】
上記粉砕品は、その表面が鋭角な部分を有しているが、粉砕品を造粒球状化して使用しても良い。粉砕品の造粒球状化装置としては、例えば、GRANUREX〔フロイント産業(株)製〕、ニューグラマシン〔(株)セイシン企業〕、アグロマスター〔ホソカワミクロン(株)製〕などの造粒機、ハイブリダイゼーション〔(株)奈良機械製作所製〕、メカノマイクロス〔(株)奈良機械製作所製〕、メカノフュージョンシステム〔ホソカワミクロン(株)製〕などのせん断圧縮加工装置が使用可能である。
【0011】
炭素質被覆黒鉛粒子の芯材として用いる黒鉛粒子のX線回折の測定値であるLcは40nm以上、Laは40nm以上が好ましい。ここで、Lcは黒鉛構造のc軸方向の結晶子の大きさLc(002)、Laはa軸方向の結晶子の大きさLa(110)である。d
002が0.337nm以下、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm
−1ピーク強度(I
1360)と1580cm
−1ピーク強度(I
1580)の比I
1360/I
1580(R値)が0.06〜0.30、および1580cm
−1バンドの半値幅が10〜60であるのが好ましい。
【0012】
〔炭素質前駆体〕
本発明の球状または楕円体状の黒鉛粒子である芯材には炭素質前駆体を原料として後述する製造方法によって炭素質が被覆される。用いられる炭素質前駆体としては、特に限定されないがタールピッチ類および・または樹脂類が例示される。具体的には、重質油、特にはタールピッチ類としては、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられる。樹脂類としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。好ましくは樹脂類を含まず、タールピッチ類のみとするとコスト的に有利である。炭素前駆体は上記に例示したいかなるものを用いてもよいが、コールタールピッチが80質量%以上であるのが特に好ましい。
【0013】
2.炭素質被覆黒鉛粒子の製造方法
〔混合工程〕
本発明の炭素質被覆黒鉛粒子の製造方法は、まず上述した芯材の黒鉛粒子と炭素質前駆体とを混合する。混合工程は均質に混合できれば特に限定されず公知の混合方法を用いることができる。好ましくは固体の黒鉛粒子と固体または半固体(粘調液状を含む)の炭素質前駆体とを混合する。重質油は、常温で固体である。タール軽油、タール中油等の液体の炭素質前駆体を溶媒として混合した場合には200℃以下程度の温度で予め溶媒を揮発させて次の第1の焼成工程を行うのが好ましい。混合比率は最終製品(炭素質被覆黒鉛粒子)の比率で黒鉛粒子が70〜99質量%、炭素質1〜30質量%の範囲となるように原料を混合する。好ましくは最終製品の混合比で、黒鉛粒子80〜95質量%、炭素質5〜20質量%の範囲である。混合は後述する第1の加熱工程のための昇温工程とともに行っても良い。加熱混合の方法は特に限定されないが、ヒーターや熱媒などの加熱機構を有する二軸式のニーダーなどが例示される。
【0014】
〔第1の焼成工程〕
得られた混合物または原料を混合しながら、第1の焼成工程で、酸化性雰囲気中で300℃以上から700℃未満の範囲で焼成する。この温度範囲であると炭素質前駆体が均一に芯材に被覆できる。焼成処理の方法は特に限定されないが、攪拌しながら焼成するのが好ましく、ロータリーキルンを使用すると均質な焼成ができるので好ましい。用いる酸化性雰囲気は限定されないが5〜50体積%の酸素を含む不活性ガス雰囲気が好ましい。この範囲の酸素を含む雰囲気を用いれば酸化反応の程度が適切であるからである。酸化反応により炭素質前駆体同士に結合が生成すると考えられる。不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素等が例示できる。空気中での300℃以上から700℃未満の範囲での焼成が好ましい。この温度範囲であると、炭素質前駆体が均一に芯材に被覆できるので好ましい。本発明の製造方法は、第1の焼成工程を低温、酸化性雰囲気で行うことにより炭素質前駆体が黒鉛粒子の芯材に結着して最終製品の炭素材に小さな細孔が増加し、負極材料に用いるとアンカー効果などにより負極材料同士の接着強度が高くなるという効果があると考えられる。第1の焼成工程は、複数段階で熱処理を行っても良い。焼成温度は、300〜550℃の範囲が好ましく、300〜500℃の範囲がさらに好ましい。第1の焼成温度を好ましい温度範囲とすると、炭素質が芯材に均一に被覆出来るので最終製品の炭素質被覆黒鉛粒子を容易に製造できる。第1の焼成時間は5分〜50時間が好ましい。
【0015】
〔第2の焼成工程〕
次に第2の焼成工程として、非酸化性雰囲気中で700〜2000℃で焼成する。焼成処理の方法は特に限定されないが、攪拌しながら焼成するのが好ましく、ロータリーキルンを使用すると均質な焼成ができるので好ましい。用いる非酸化性雰囲気は、限定されないがアルゴン、ヘリウム、窒素等が例示できる。窒素気流中での700〜2000℃での焼成が好ましい。第2の焼成工程は、複数段階で熱処理を行っても良い。焼成温度は、900〜1300℃の範囲が好ましく、900〜1200℃の範囲がさらに好ましい。
第2の焼成時間は5分〜30時間が好ましい。
第1または第2の工程のいずれにおいても、昇温時および焼成時の温度プロファイルとしては、直線的な昇温、一定間隔で温度をホールドする段階的な昇温などの様々な形態をとることが可能であり、複数回の加熱処理も可能である。
本発明の炭素質被覆黒鉛粒子の製造方法は、焼成後に粉砕工程を含まないのが好ましい。
また焼成処理の前に、異種の黒鉛材料同士を、付着、埋設、複合して用いても良い。炭素質または黒鉛質の繊維、非晶質ハードカーボンなどの炭素質前駆体材料、有機材料、無機材料を芯材の黒煙粒子に付着、埋設、複合してから第1および・または第2の焼成工程を行ってもよい。
【0016】
本発明者等の実験によると第2の焼成工程として1250℃を超える温度を用いると焼成時間が短くできるので生産効率が上がり、放電容量も大きくなる。しかし、その後の圧縮剪断工程を行わないと負極材とした場合に電極剥離強度が下がる場合がある。次工程で説明する圧縮剪断工程は、黒鉛粒子を被覆する炭素質が高温焼成で劣化した場合でも被覆炭素質を修復できる工程であると本発明者等は考えている。
【0017】
〔圧縮剪断工程〕
得られた焼成物に圧縮剪断力を付与する。このときの温度や雰囲気は特に限定されないが、通常は常温、空気中で行う。圧縮剪断力を付与する方法はメカノケミカル処理とも呼ばれ特に限定されないが、このような操作が可能な装置としては、例えば、GRANUREX〔フロイント産業(株)製〕、ニューグラマシン〔(株)セイシン企業製〕、アグロマスター〔ホソカワミクロン(株)製〕などの造粒機、ロールミル、ハイブリダイゼーションシステム〔(株)奈良機械製作所製〕、メカノマイクロシステム〔(株)奈良機械製作所製〕、メカノフュージョシステム〔ホソカワミクロン(株)〕などの圧縮剪断式加工装置などが挙げられる。圧縮剪断力を付与する際、炭素質または黒鉛質の繊維、非晶質ハードカーボンなどの炭素質前駆体材料、有機材料、無機材料、金属材料を加えてもよい。
【0018】
剪断力および圧縮力は、一般的には圧縮剪断処理による熱処理生成物の平均粒径の低下率を20%以下に抑える程度であることが好ましい。
圧縮剪断処理の条件は、使用する装置によっても異なり一概に言えないが、例えば、「メカノフュージョシステム」の場合には、回転ドラムと内部部材との周速度差が5〜50m/sec、両者間の距離が1〜100mm、処理時間が3〜90minであることが好ましい。また、「ハイブリダイゼーションシステム」の場合には、固定ドラムと回転ローターとの周速度差が10〜100m/s、処理時間が30s〜10minであることが好ましい。
【0019】
本発明の圧縮剪断処理は、解砕処理、粉砕処理とは異なり、圧縮力と共に剪断力が加わり平均粒径の低下率を20%以下に抑える程度であることが好ましい。圧縮剪断処理を行うことにより、焼成後に粒子どうしがこすり合わされるため、得られる粒子は、表面の割れや亀裂が修復され、放電容量等の電池特性が向上するとともに、角がとれ丸みを帯びた形状となり、電極密度が向上し、プレス性を高めることができると発明者等は考えている。しかし圧縮剪断処理の機能はこれに限定されない。
【0020】
3.炭素質被覆黒鉛粒子
本発明の最終製品である炭素質被覆黒鉛粒子中の炭素質の割合は、1〜30質量%であり、黒鉛粒子の割合は、70〜99質量%である。炭素質の割合が1質量%未満の場合は、活性な黒鉛エッヂ面を完全に被覆することが難しくなり、初期充放電効率が低下することがある。一方、30質量%を越える場合には、相対的に放電容量の低い炭素材の割合が多すぎて、炭素質被覆黒鉛粒子の放電容量が低下する。また、炭素質を形成するための原料(熱硬化性樹脂類やタールピッチ類)の割合が多く、被覆工程やその後の熱処理工程において、粒子が融着しやすく、最終的に得られる炭素質被覆黒鉛粒子の炭素質層の一部に割れや剥離を生じ、初期充放電効率の低下を生じることがある。炭素質被覆黒鉛粒子中の炭素質の割合は、特に1〜20質量%、さらには1〜15質量%であり、さらには3質量%超〜15質量%であることが好ましい。なお、炭素質の含有量は炭素質被覆黒鉛粒子全体の平均として上記範囲内にあればよい。個々の粒子全てが上記範囲内にある必要はなく、上記範囲以外の粒子を一部含んでいてもよい。
【0021】
最終製品である炭素質被覆黒鉛粒子の平均粒子径は1〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜30μmの範囲であることがさらに好ましい。BET法により測定した比表面積は5.0m
2/g以下であることが好ましく、3.0m
2/g以下であることがさらに好ましい。
また、上記炭素質被覆黒鉛粒子が、アルゴンレーザーを用いたラマン分光法により測定した1360cm
−1ピーク強度(I
1360)と1580cm
−1ピーク強度(I
1580)の比I
1360/I
1580(R値)が黒鉛のR値より大きく、0.05〜0.80であることが好ましい。
【0022】
〔負極〕
本発明はまた、上記の負極材料を含有するリチウムイオン二次電池用負極であり、また該負極を用いるリチウムイオン二次電池である。
本発明のリチウムイオン二次電池用の負極は、通常の負極の成形方法に準じて作製されるが、化学的、電気化学的に安定な負極を得ることができる方法であれば何ら制限されない。負極の作製時には、本発明の負極材料に結合剤を加えて、予め調製した負極合剤を用いることが好ましい。結合剤としては、電解質に対して、化学的および電気化学的に安定性を示すものが好ましく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂粉末、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末、カルボキシメチルセルロースなどが用いられる。これらを併用することもできる。結合剤は、通常、負極合剤の全量中の1〜20質量%程度の割合で用いられる。
より具体的には、まず、本発明の負極材料を分級などにより所望の粒度に調整し、結合剤と混合して得た混合物を溶剤に分散させ、ペースト状にして負極合剤を調製する。すなわち、本発明の負極材料と、結合剤を、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの溶剤と混合して得たスラリーを、公知の攪拌機、混合機、混練機、ニーダーなどを用いて攪拌混合して、ペーストを調製する。該ペーストを、集電材の片面または両面に塗布し、乾燥すれば、負極合剤層が均一かつ強固に接着した負極が得られる。負極合剤層の膜厚は10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。
また、本発明の負極は、本発明の負極材料と、ポリエチレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂粉末を乾式混合し、金型内でホットプレス成型して作製することもできる。
負極合剤層を形成した後、プレス加圧などの圧着を行うと、負極合剤層と集電体との接着強度をより高めることができる。
負極の作製に用いる集電体の形状としては、特に限定されることはないが、箔状、メッシュ、エキスパンドメタルなどの網状などである。集電材の材質としては、銅、ステンレス、ニッケルなどが好ましい。集電体の厚みは、箔状の場合で5〜20μm程度であるのが好ましい。
なお、本発明の負極は、本発明の目的を損なわない範囲で、異種の黒鉛質材料、非晶質ハードカーボンなどの炭素質材料、有機物、金属、金属化合物などを混合しても、内包しても、被覆しても、または積層してもよい。
【0023】
〔正極〕
本発明のリチウム二次電池に用いる正極は、例えば正極材料と結合剤および導電剤よりなる正極合剤を集電体の表面に塗布することにより形成される。正極の材料(正極活物質)は、充分量のリチウムを吸蔵/離脱し得るものを選択するのが好ましく、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属カルコゲン化物、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物などのリチウム含有化合物、一般式M
XMo
6S
8−Y(式中Mは少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦4、Yは0≦Y≦1の範囲の数値である)で表されるシェブレル相化合物、活性炭、活性炭素繊維などである。バナジウム酸化物は、V
2O
5、V
6O
13、V
2O
4、V
3O
8で示されるものである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムと遷移金属との複合酸化物であり、リチウムと2種類以上の遷移金属を固溶したものであってもよい。複合酸化物は単独で使用しても、2種類以上を組合わせて使用してもよい。リチウム含有遷移金属酸化物は、具体的には、LiM
11−X M
2XO
2(式中M
1、M
2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Xは0≦X≦1の範囲の数値である)、またはLiM
11−YM
2YO
4(式中M
1、M
2は少なくとも一種の遷移金属元素であり、Yは0≦Y≦1の範囲の数値である)で示される。
M
1、M
2で示される遷移金属元素は、Co、Ni、Mn、Cr、Ti、V、Fe、Zn、Al、In、Snなどであり、好ましいのはCo、Fe、Mn、Ti、Cr、V、Alなどである。好ましい具体例は、LiCoO
2、LiNiO
2、LiMnO
2、LiNi
0.9Co
0.1O
2、LiNi
0.5Co
0.5O
2などである。
リチウム含有遷移金属酸化物は、例えば、リチウム、遷移金属の酸化物、水酸化物、塩類等を出発原料とし、これら出発原料を所望の金属酸化物の組成に応じて混合し、酸素雰囲気下600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。
正極活物質は、前記化合物を単独で使用しても2種類以上併用してもよい。例えば、正極中に炭酸リチウム等の炭素塩を添加することができる。また、正極を形成するに際しては、従来公知の導電剤や結着剤などの各種添加剤を適宜に使用することができる。
【0024】
[正極の製造]
正極は、前記正極材料、結合剤、および正極に導電性を付与するための導電剤よりなる正極合剤を、集電体の両面に塗布して正極合剤層を形成して作製される。結合剤としては、負極の作製に使用されるものと同じものが使用可能である。導電剤としては、黒鉛化物、カーボンブラックなど公知のものが使用される。
集電体の形状は特に限定されないが、箔状またはメッシュ、エキスパンドメタル等の網状等のものが用いられる。集電体の材質は、アルミニウム、ステンレス、ニッケル等である。その厚さは10〜40μmのものが好適である。
正極も負極と同様に、正極合剤を溶剤中に分散させペースト状にし、このペースト状の正極合剤を集電体に塗布、乾燥して正極合剤層を形成してもよく、正極合剤層を形成した後、さらにプレス加圧等の圧着を行ってもよい。これにより正極合剤層が均一且つ強固に集電材に接着される。
【0025】
〔非水電解質〕
本発明のリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解質としては、通常の非水電解液に使用される電解質塩である、LiPF
6、LiBF
4、LiAsF
6、LiClO
4、LiB(C
6H
5)、LiCl、LiBr、LiCF
3SO
3、LiCH
3SO
3、LiN(CF
3SO
2)
2、LiC(CF
3SO
2)
3、LiN(CF
3CH
2OSO
2)
2、LiN(CF
3CF
2OSO
2)
2、LiN(HCF
2CF
2CH
2OSO
2)
2、LiN((CF
3)
2CHOSO
2)
2、LiB[{C
6H
3(CF
3)
2}]
4、LiAlCl
4、LiSiF
6などのリチウム塩を用いることができる。酸化安定性の点からは、特に、LiPF
6、LiBF
4が好ましい。
電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜3.0mol/Lがより好ましい。
非水電解質は液状の非水電解質としてもよく、固体電解質またはゲル電解質などの高分子電解質としてもよい。前者の場合、非水電解質電池は、いわゆるリチウムイオン二次電池として構成され、後者の場合は、非水電解質電池は高分子固体電解質、高分子ゲル電解質電池などの高分子電解質電池として構成される。
非水電解質液を調製するための溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのカーボネート、1、1−または1、2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、γ−ブチロラクトン、1、3−ジオキソラン、4−メチル−1、3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテルなどのエーテル、スルホラン、メチルスルホランなどのチオエーテル、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル−2−オキサゾリドン、エチレングリコール、ジメチルサルファイトなどの非プロトン性有機溶媒などを用いることができる。
【0026】
非水電解質を高分子固体電解質または高分子ゲル電解質などの高分子電解質とする場合には、マトリクスとして可塑剤(非水電解液)でゲル化された高分子を用いることが好ましい。前記マトリクスを構成する高分子としては、ポリエチレンオキサイドやその架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレート系高分子化合物、ポリアクリレート系高分子化合物、ポリビニリデンフルオライドやビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系高分子化合物などを用いることが特に好ましい。
前記高分子固体電解質または高分子ゲル電解質には、可塑剤が配合されるが、該可塑剤としては、前記の電解質塩や非水溶媒が使用可能である。高分子ゲル電解質の場合、可塑剤である非水電解液中の電解質塩濃度は0.1〜5mol/Lが好ましく、0.5〜2.0mol/Lがより好ましい。
高分子固体電解質の作製方法は特に限定されないが、例えば、マトリクスを構成する高分子化合物、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、加熱して高分子化合物を溶融する方法、有機溶剤に高分子化合物、リチウム塩、および非水溶媒(可塑剤)を溶解させた後、混合用有機溶剤を蒸発させる方法、重合性モノマー、リチウム塩および非水溶媒(可塑剤)を混合し、混合物に紫外線、電子線または分子線などを照射して、重合性モノマーを重合させ、ポリマーを得る方法などを挙げることができる。
ここで、前記固体電解質中の非水溶媒(可塑剤)の割合は10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましい。10質量%未満であると導電率が低くなり、90質量%を超えると機械的強度が弱くなり、成膜しにくくなる。
【0027】
〔セパレータ〕
本発明のリチウムイオン二次電池においては、セパレータを使用することもできる。
セパレータの材質は特に限定されるものではないが、例えば、織布、不織布、合成樹脂製微多孔膜などを用いることができる。前記セパレータの材質としては、合成樹脂製微多孔膜が好適であるが、なかでもポリオレフィン系微多孔膜が、厚さ、膜強度、膜抵抗の面で好適である。具体的には、ポリエチレンおよびポリプロピレン製微多孔膜、またはこれらを複合した微多孔膜等が好適である。
【0028】
〔リチウムイオン二次電池の製造〕
本発明のリチウムイオン二次電池は、上述した構成の負極、正極および非水電解質を、例えば、負極、非水電解質、正極の順で積層し、電池の外装材内に収容することで構成される。さらに、負極と正極の外側に非水電解質を配するようにしてもよい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池の構造は特に限定されず、その形状、形態についても特に限定されるものではなく、用途、搭載機器、要求される充放電容量などに応じて、円筒型、角型、コイン型、ボタン型などの中から任意に選択することができる。より安全性の高い密閉型非水電解液電池を得るためには、過充電などの異常時に電池内圧上昇を感知して電流を遮断させる手段を備えたものを用いることが好ましい。
リチウムイオン二次電池が高分子固体電解質電池や高分子ゲル電解質電池の場合には、ラミネートフィルムに封入した構造とすることもできる。
【0029】
本明細書における各物性は以下の方法により測定する。
1)平均粒子径(μm):レーザー回折式粒度分布計により測定した粒度分布の累積度数が、体積百分率で50%となる粒子径とした。
2)平均アスペクト比:被測定粒子の300倍の走査型電子顕微鏡をイメージアナライザー(東洋紡績(株)製)を用いて画像処理し、任意の50個の黒鉛粒子のアスペクト比(長軸方向の長さとそれに直交する短軸方向の長さの比)の平均値とした。
【0030】
3)電極剥離強度試験:用いる試験片を
図2に示す。負極合剤ペーストを作製し、負極材15をプレスしていない状態で活物質側の一部を両面テープ12でアルミ板10に貼り付け作製した。試験片は、引張試験機(島津製作所製オートグラフ)を用いて負極材15の一部をつかみ180°方向(矢印方向17)に引張試験を行い、平均引張試験応力を剥離強度とした。
4)炭素質の割合(%):炭素質前駆体の原料(複数種の場合を含む)単体に炭素質被覆黒鉛粒子と同一の熱履歴を付与して、炭素質単体の炭化物を調製し、原料の残炭率を求めた。得られた残炭率から換算して炭素質被覆黒鉛粒子に占める炭素質の割合を算出した。
【実施例】
【0031】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また以下の実施例および比較例では、
図1に示すように、少なくとも表面の一部に本発明の負極材料2が付着した集電体(負極)7bとリチウム箔よりなる対極(正極)4から構成される単極評価用のボタン型二次電池を作製して評価した。実電池は、本発明の概念に基づき、公知の方法に準じて作製することができる。
【0032】
(実施例1)
[負極材料の作製]
球状に加工された天然黒鉛粒子(平均粒子径20μm、平均アスペクト比1.4)100質量部に対して、コールタールピッチ(残炭率50%)のタール中油溶液を、固形分比率が30質量部となるように添加し、二軸ニーダーで150℃に加熱して60分混合した。得られた混合物を、ロータリーキルン(表でRKと略称する)を用い、空気5L/min流通下350℃で3時間の第1の焼成工程の熱処理を行った。次いでこの熱処理物を、管状炉(表で管状と略称する)を用い窒素2L/min流通下1000℃で3時間の第2の焼成工程の熱処理を行なった。
第2の焼成工程の熱処理品に乾式粉体複合化装置(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、回転ドラムの周速20m/秒、処理時間10分、回転ドラムと内部部材との距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を付与し、メカノケミカル処理を行うことで最終製品を得た。
[負極合剤ペーストの作製]
前記負極材料95質量%と、ポリフッ化ビニリデン5質量%をN−メチルピロリドン中に入れ、ホモミキサーを用いて2000rpmで30分間攪拌混合し、有機溶剤系負極合剤を調製した。
【0033】
[作用電極(負極)の作製]
前記負極合剤ペーストを銅箔に均一な厚さで塗布し、真空中90℃で溶剤を揮発させ、乾燥し、負極合剤層をハンドプレスによって加圧した。銅箔と負極合剤層を直径15.5mmの円柱状に打抜いて、集電体と、該集電体に密着した負極合剤とからなる作用電極(負極)を作製した。
[対極(正極)の作製]
リチウム金属箔をニッケルネットに押付け、直径15.5mmの円形状に打抜いて、ニッケルネットからなる集電体と、この集電体に密着したリチウム金属箔(厚み0.5mm)からなる対極(正極)を作製した。
[電解液、セパレータ]
エチレンカーボネート50wt%−プロピレンカーボネート50wt%の混合溶剤に、LiPF
6を1mol/kgとなる濃度で溶解させ、非水電解液を調製した。得られた非水電解液をポリプロピレン多孔質体(厚み20μm)に含浸させ、電解液が含浸したセパレータを作製した。
【0034】
[評価電池の作製]
評価電池として
図1に示すボタン型二次電池を作製した。
外装カップ1と外装缶3は、その周縁部において絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉した。その内部に外装缶3の内面から順に、ニッケルネットからなる集電体7a、リチウム箔よりなる円筒状の対極(正極)4、電解液が含浸されたセパレータ5、負極材料2が付着した銅箔からなる集電体7bが積層された電池系である。
前記評価電池は電解液を含浸させたセパレータ5を集電体7bと、集電体7aに密着した対極4との間に挟んで積層した後、集電体7bを外装カップ1内に、対極4を外装缶3内に収容して、外装カップ1と外装缶3とを合わせ、さらに、外装カップ1と外装缶3との周縁部に絶縁ガスケット6を介在させ、両周縁部をかしめて密閉して作製した。充放電特性は以下の方法により測定した。結果を表1および表2に示した。
【0035】
[充放電試験]
回路電圧が1mVに達するまで0.9mAの定電流充電を行った後、回路電圧が1mVに達した時点で定電圧充電に切替え、さらに電流値が20μAになるその間の通電量から充電容量(単位:mAh/g)を求めた。その後、10分間休止した。次に0.9mAの電流値で、回路電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行い、この間の通電量から放電容量(単位:mAh/g)を求めた。これを第1サイクルとした。次いで充電電流を1C、放電電流を2Cとして、第1サイクルと同様に充放電を行った。ここで、Cは電池の容量を基準にした相対的な電流の単位であり、1Cは電池の容量(mAh)を1時間(hr)で充電または放電する電流の量を表す。1C、2Cの電流値は、第1サイクルの放電容量と負極の活物質質量から計算した。
【0036】
初回充放電効率は次式(1)から計算した。
初回充放電効率(%)=100×((第1サイクルの充電容量―第1サイクルの放電容量)/第1サイクルの放電容量)・・・(1)
また、1C充電率は次式(2)から計算した。
1C充電率(%)=100×(1C電流値におけるCC(constant current)部分の充電容量/第1サイクルの放電容量)・・・(2)
また、2C放電率は次式(3)から計算した。
2C放電率(%)=100×(2C電流値における放電容量/第1サイクルの放電容量)・・・(3)
なおこの試験では、リチウムイオンを負極材料に吸蔵する過程を充電、負極材料からリチウムイオンが脱離する過程を放電とした。
【0037】
(例2〜
4、実施例5)
実施例1において、炭素質前駆体含有量を表に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、炭素質被覆黒鉛粒子を製造し、評価した。
(実施例6、7)
実施例1において、第2の焼成工程の温度を表に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、炭素質被覆黒鉛粒子を製造し、評価した。
(例8)
実施例1において、第1の焼成工程の温度を表に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、炭素質被覆黒鉛粒子を製造し、評価した。
(例9、
実施例10)
実施例1において、原材料の天然黒鉛の平均径を表に示すように変化させた以外は、実施例1と同様にして、炭素質被覆黒鉛粒子を製造し、評価した。
【0038】
(比較例1)
実施例1において、第2の焼成工程後に圧縮剪断工程を行わなかった以外は、実施例1と同様に負極材料の作製、負極合剤の調製、負極の作製、リチウムイオン二次電池の作製および特性評価を行った。評価結果を表1に示した。圧縮剪断工程を実施していない比較例1は実施例1に比べて電極剥離強度が劣る結果であった。
【0039】
(比較例2)
比較例1において、炭素質前駆体含有量を表に示すように変化させた以外は、比較例1と同様にして、炭素質被覆黒鉛粒子を製造し、評価した。
(比較例3)
球状に加工された天然黒鉛粒子(粒子平均粒子径20μm、平均アスペクト比1.4)100質量部に対して、コールタールピッチ(残炭率50%)のタール中油溶液を、固形分比率が30質量部となるように添加し、二軸ニーダーで150℃に加熱して60分混合した。得られた混合物を、ロータリーキルンを用い、窒素5L/min流通下1000℃で3時間の焼成工程の熱処理を行った。該熱処理品を最終製品である炭素質被覆黒鉛粒子として、評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例4)
比較例3において、炭素質前駆体含有量を表に示すように変化させた以外は、比較例3と同様にして、炭素質被覆黒鉛粒子を製造し、評価した。評価結果を表1に示した。
【0040】
(比較例5)
球状に加工された天然黒鉛粒子(粒子平均粒子径20μm、平均アスペクト比1.4)100質量部に対して、コールタールピッチ(残炭率50%)のタール中油溶液を、固形分比率が13質量部となるように添加し、二軸ニーダーで150℃に加熱して60分混合した。
得られた混合物を、ロータリーキルンを用い、窒素5L/min流通下1000℃で3時間の焼成工程の熱処理を行った。
さらに乾式粉体複合化装置(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、回転ドラムの周速20m/秒、処理時間10分、回転ドラムと内部部材との距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を繰り返し付与し、メカノケミカル処理を行うことで最終製品を得た。評価結果を表1に示した。
【0041】
(比較例6)
球状に加工された天然黒鉛粒子(粒子平均粒子径20μm、平均アスペクト比1.4)100質量部に対して、コールタールピッチ(残炭率50%)のタール中油溶液を、固形分比率が30質量部となるように添加し、二軸ニーダーで150℃に加熱して60分混合した。
得られた混合物を、ロータリーキルンを用い、窒素5L/min流通下1300℃で3時間の焼成工程の熱処理を行った。
該熱処理品には塊が発生したので、平均粒子径が20μmになるように解砕した。該解砕品を最終製品である炭素質被覆黒鉛粒子として、評価した。評価結果を表1に示した。
(比較例7)
球状に加工された天然黒鉛粒子(粒子平均粒子径20μm、平均アスペクト比1.4)100質量部に対して、コールタールピッチ(残炭率50%)のタール中油溶液を、固形分比率が57質量部となるように添加し、二軸ニーダーで150℃に加熱して60分混合した。
得られた混合物を、ロータリーキルンを用い、窒素5L/min流通下1300℃で3時間の焼成工程の熱処理を行った。
該熱処理品には塊が発生したので、平均粒子径が20μmになるように解砕した。
該解砕品に乾式粉体複合化装置(メカノフュージョンシステム、ホソカワミクロン(株)製)を用いて、回転ドラムの周速20m/秒、処理時間10分、回転ドラムと内部部材との距離5mmの条件で、圧縮力、剪断力を付与し、メカノケミカル処理を行うことで最終製品を得た。評価結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
[実施例、比較例の評価]
実施例1
、5
〜7、10は、放電容量、初回充放電効率、および高速充放電特性のいずれにも優れバランスの良い電池特性を示す。
球状化天然黒鉛粒子の平均径が20〜25μmで、炭素質含有量が
9〜15質量%である実施例
1、5〜7および10は
、例2〜4および8に比べて、電極剥離強度が高い。比較例1,2では非酸化性雰囲気で2回の焼成工程を行っているが圧縮剪断工程がないので電極剥離強度が低い。比較例3〜7では、第1の焼成工程のみで高温焼成をしているので圧縮剪断工程があってもなくても電極剥離強度が低い。