(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
本願発明の実施形態について、図を用いて説明する。
図1〜7は第1実施形態に関し、
図8〜12は第2実施形態に関し、
図13は第3実施形態に関し、
図14は第4実施形態に関し、
図15は第5実施形態に関する。
【0027】
<第1実施形態>
〜構成〜
図1は、第1実施形態に係るスタンディングパウチ容器の全体斜視図である。
図2は、変形例である。
【0028】
一般的なスタンディングパウチ容器は、2枚の対向する側面フィルム11、12と、底面フィルム13とから構成され、フィルム同士の外縁を溶着して外縁シール部14を形成することにより、成形される。フィルム11〜13には軟質な合成樹脂(例えば、積層の内層がリニアポリエチレンLLPEなどのオレフィン系樹脂)が用いられることが多い。フィルム11、12には、一般に、商品名や商品ロゴなどが印刷されている。
【0029】
底部13が形成されることにより、容器形状は底部方向に幅広になり、側面フィルム11、12下端に脚部15が形成される。これにより、スタンディングパウチ容器は安定的に自立可能になる。
【0030】
容器内部には充填空間(メイン空間)16が形成される。メイン空間16には、醤油など調味料や、液体洗剤、柔軟剤などの生活用品等の、液状体または流動体(内容物)が充填される。
【0031】
スタンディングパウチ容器は、スパウトと呼ばれる注出口17と、注出口17に設けられたキャップ18を備える。キャップ18はネジキャプでも、ヒンジキャップでもよい。
【0032】
図3は要部構成の詳細図である。本実施形態は、特徴的な構成としてサブ空間20を備えている。サブ空間20はセパレートシールを介して容器本体内に設けられていても良いし(
図1参照)、容器本体外に連続して設けられていても良い(
図2参照)。容器本体外の場合は、2枚の対向する側面フィルム11、12が延長している。
【0033】
サブ空間20の一方は注出口17に連通し、他方はメイン空間16に連通する。サブ空間20と注出口17の間に第1逆止弁21が設けられる。サブ空間20とメイン空間16の間に第2逆止弁22が設けられる。
【0034】
逆止弁22を介して、メイン空間16とサブ空間20とは連続している。内容物は逆止弁22を介してメイン空間16からサブ空間20へ移動可能であるが、サブ空間20からメイン空間16へは移動できない。
【0035】
逆止弁21および注出口17を介して、外部空間とサブ空間20とは連続している。内容物は逆止弁21および注出口17を介してサブ空間20から外部空間へ移動(注出)可能であるが、外部空間からサブ空間20へは移動できない。
【0036】
サブ空間20は、両端に配設される2つの船形材24,25により形成される。すなわち、船形材24,25の断面積および配設間隔が、サブ空間20の容量を規定する。
【0037】
逆止弁21は船形材24に介装される。逆止弁22は船形材25に介装される。
【0038】
船形材24,25には、たとえばポリエチレンPEなどのオレフィン系樹脂が用いられ、溶着により船形材シール部が形成され、船形材24,25はフィルム11、12に固定される。これにより、サブ空間20の寸法及び形状が定められる。
【0039】
サブ空間20には復元チューブ27が挿入されている。復元チューブ27は、サブ空間20の形状・寸法に対応する形状・寸法をしている。すなわち、船形材24,25断面形状に内包される楕円形状の断面を有し、チューブ長は船形材24,25配設間隔より短い。
【0040】
復元チューブ27は、外部からの押圧により減容変形し、押圧解除により徐々に元の形状・寸法に復元する。復元チューブ27にゴム等の弾性部材が用いられる。
【0041】
復元チューブ27は、フィルム11、12に溶着され固定されることが好ましいが、復元チューブ27がサブ空間20に介挿されているだけでもよい。
【0042】
さらに、復元チューブ27およびフィルム11(または/およびフィルム12)のサブ空間20に対応する箇所が、透明または半透明であると、注出量を目算できるため、好ましい。
【0043】
図4は、復元部材の変形例である。復元部材71は、チューブ形状に限定されない。復元部材71は、2つの弾性リングと、それらを連結する連結部材から構成される。サブ空間20の形状・寸法に対応し、サブ空間20の空間形成を阻害しないこと、減縮変形機能かつ自然復元機能を満たせば、いずれの形態でもよい。
【0044】
図5は、復元部材の別の変形例である。復元部材72は、剛リング部73と、リング内に設けられた復元部74とをからなる皿形状をしている。2つの皿が相対向する。皿の間に流路空間が形成される。
【0045】
サブ空間20に内容物が充填された状態で、両側の復元部74を押圧する(
図5a)と、サブ空間20が減容変形し、内容物を注出する(
図5b)。
【0046】
また、サブ空間20自体が減縮変形機能かつ自然復元機能を有すれば、復元部材は必須ではない。
【0047】
〜動作〜
本実施形態のスタンディングパウチ容器の動作(使用例)について説明する。
【0048】
消費者が店頭で製品を購入する際は、内容物漏洩防止のためスタンディングパウチ容器はキャップ18により閉栓されているが、開封後はキャップ18を閉めなくともよい。
【0049】
図6は、内容物が多量の場合の使用例である。
【0050】
スタンディングパウチ容器内に内容物が多量に充填されている(
図6(a))。この状態では、メイン空間16の水頭圧が逆止弁22に作用するが、水頭差も少なく、メイン空間16の水頭圧だけでは、内容物が逆止弁22を通過してサブ空間20へ移動することはない。
【0051】
ここでいう水頭圧とは、液体の位置エネルギーによる圧力であり、液体は水に限定されない。なお、内容物には醤油など調味料や、液体洗剤、液体石鹸、柔軟剤などの生活用品等を想定している。
【0052】
メイン空間16における側面フィルム11、12に指で圧力を作用させると、圧力および作用時間に応じて、内容物は逆止弁22を通過してメイン空間16からサブ空間20へ移動する(
図6(b))。何回か体験すれば、押圧加減の感覚は習得可能である。押圧加減次第で内容物の移動量は異なるが、多少の誤差はあっても、少量であれば誤差の影響は少なく、ほぼ定量とみなす。概ねサブ空間20の6〜8割程度の内容物が収容される。
【0053】
一度、サブ空間20に収容された内容物は、逆止弁22によりメイン空間16に戻らない。一方で、過剰に押圧しない限り、内容物が逆止弁21を通過してサブ空間20から外部空間へ移動することはない。
【0054】
次に、スタンディングパウチ容器を傾けた状態で、復元チューブ27相当箇所の側面フィルム11、12を押圧する。復元チューブ27の減容変形に伴い、サブ空間20に収容された内容物が逆止弁21を通過して注出口17より外部空間へ注出される(
図6(c))。
【0055】
一方、スタンディングパウチ容器を傾けた状態では水頭差も少なく、メイン空間16に圧力を作用させなければ(内容物のない箇所を持てば)、メイン空間16の内容物がサブ空間20へ移動することはなく、必要以上に注出されることもない。
【0056】
これにより、内容物を一定量ごとに注出できる。サブ空間20はメイン空間16に比べて少量であり、注出量も少量となる。少量であれば、多少誤差があっても影響は少なく、定量と見なすことができる。
【0057】
押圧解除により復元チューブ27は徐々に元の形状・寸法に復元する。このとき逆止弁21により、外気が流入することがない。一方、内容物を逆止弁22を通過させてサブ空間20へ移動させるだけの外的要因もない。したがって、サブ空間20は擬似真空状態(実際は負圧が発生すると思われる)となる。これにより、その後、簡単な操作により、半自動的にメイン空間16の内容物は、サブ空間20へ移動する。
【0058】
図7は、内容物が少量の場合の使用例である。
【0059】
スタンディングパウチ容器内に内容物が少量に充填されている(
図7(a))。この状態で、側面フィルム11、12に指で圧力を作用させても、水頭圧不足のため内容物がメイン空間16からサブ空間20へ移動しないおそれがある。
【0060】
ところで、フィルム11〜13は軟質であり、スタンディングパウチ容器端部を丸めることができる。スタンディングパウチ容器端部を丸めると、メイン空間16の断面積が減り、内容物の高さが増え、水頭圧も増える。この状態で、側面フィルム11、12に指で圧力を作用させると、圧力および作用時間に応じて、内容物は逆止弁22を通過してメイン空間16からサブ空間20へ移動する(
図7(b))。
【0061】
次に、スタンディングパウチ容器を傾けた状態で、復元チューブ27相当箇所の側面フィルム11、12を押圧し、内容物を逆止弁21を通過させて注出口17より注出する。(
図7(c))。
【0062】
押圧解除により復元チューブ27は復元し、サブ空間20は擬似真空状態となる。
【0063】
〜効果〜
・主な効果
従来のスタンディングパウチ容器は、ポンプ付ハード容器のように、少量を一定量ごとに注出することが困難であった。
【0064】
これに対し、本実施形態のスタンディングパウチ容器は、簡単な構成により、内容物を少量一定量ごとに注出できる。また、スタンディングパウチ容器の長所を維持している。
【0066】
一般に、内容物が調味料等の食品の場合、一度キャップを開け、内容物が大気に触れると、酸化等の劣化が開始する。内容物が液体石鹸、液体洗剤、柔軟剤などの生活用品等であっても、徐々に劣化する。
【0067】
本実施形態では、注出後にサブ空間20が擬似真空状態になることにより、内容物が大気に触れることが抑制されるため、酸化等の内容物劣化を抑制できる。また、その後簡単な操作で半自動的に内容物はメイン空間16からサブ空間20に移動する。
【0068】
・その他の効果(2)
一般に、キャップを外した状態で、スタンディングパウチ容器を倒すと、内容物が流失する。
【0069】
本実施形態では、通常、メイン空間16に圧力を作用させなければ、メイン空間16の内容物が逆止弁22を通過してサブ空間20へ移動することはない。仮に転倒時の衝撃圧により、サブ空間20へ移動したとしても、サブ空間20に圧力を作用させなければ、サブ空間20の内容物が逆止弁21を通過して外部空間へ移動することはない。したがって、スタンディングパウチ容器が倒れても、内容物が流失することはない。
【0071】
従来のスタンディングパウチ容器では、外気接触抑制および転倒時流失防止の観点から、キャップによる遂次閉栓が必須であった。
【0072】
これに対し、本実施形態のスタンディングパウチ容器では、外気接触抑制効果および転倒時流失防止効果が期待できるため、最初に開栓すれば、日常的なキャップによる閉栓は不要である。これにより、利便性が格段に向上する。
【0074】
従来のスタンディングパウチ容器は、少量を一定量ごとに注出することが困難であるとともに、注出量の計量が困難であった。
【0075】
本実施形態のスタンディングパウチ容器は、内容物を少量一定量ごとに注出できる。なお、押圧加減により多少誤差を含むため厳密には定量ではないが、少量であれば、誤差の影響は少なく、定量と見なすことができる。少量定量注出を複数回繰り返すことにより、注出量の計量が可能になる。例えば、1回約5ccの注出を3回繰り返すことで、約15ccの計量が可能となる。
【0076】
<第2実施形態>
〜構成〜
微小間隔で対向する2枚のフラットフィルムの間に、液体が介在すると、2枚のフラットフィルムが密着することが知られている。フラットフィルムの間には不可避的に微細空間が形成されるため、少しでも液体があれば、毛細管現象により液体は微細空間に侵入する。これにより、2枚のフラットフィルムは弁として機能する。
【0077】
第1実施形態において逆止弁21,22を用いるのに対し、第2実施形態においては、フィルムの密着性を利用する。
【0078】
図8は、第2実施形態に係るスタンディングパウチ容器の全体斜視図である。
図9は要部構成図である。基本構成は第1実施形態と共通であり、詳細を省略する。サブ空間20の一方は注出口19に連通し、他方はメイン空間16に連通する点も共通する。
【0079】
サブ空間20には復元チューブ27が挿入されている点も共通する。復元チューブ27は、サブ空間20の形状・寸法に対応する形状・寸法をしている。復元チューブ27は、フィルム11、12に溶着され固定されることが好ましい。
【0080】
第2実施形態では、サブ空間20と注出口19の間に第1逆止機能部31が設けられる。サブ空間20とメイン空間16の間に第2逆止機能部32が設けられる。
【0081】
第1逆止機能部31および第2逆止機能部32は、2枚の対向するフィルム11、12から構成される。第1逆止機能部31および第2逆止機能部32に対し、周辺シール部33,34の面積割合を大きくして、当該箇所のフィルム11、12の変形を抑制する。一方、流方向幅に比べ流方向長さを長くし、密着面積を増やす。
【0082】
第1逆止機能部31および第2逆止機能部32に相当するフィルム11、12間に液体(流状体)が介在すると、2枚のフラットフィルムは密着して弁として機能する。外的要因が作用しなければ、弁は閉じられた状態を維持する。
【0083】
第2逆止機能部32の流方向長さを第1逆止機能部31に比べて長くし、流れ抵抗を大きくすると、なお良い。
【0084】
〜動作〜
第2実施形態のスタンディングパウチ容器の動作(使用例)について説明する。基本的な動作については第1実施形態と同様である。
【0085】
図10は、第2実施形態の動作説明図である。主に、第1逆止機能部31および第2逆止機能部32の逆止機能について説明する。
【0086】
消費者が店頭で製品を購入する際は、内容物漏洩防止のためスタンディングパウチ容器はシールにより密封されているが、先端部を切断除去することにより注出口19が形成される。
【0087】
スタンディングパウチ容器のメイン空間16に内容物が充填されている(
図10(a))。第1逆止機能部31および第2逆止機能部32は閉じられている(後述)。スタンディングパウチ自立状態において、メイン空間16の水頭圧が第2逆止機能部32に作用することもなく、内容物が第2逆止機能部32を通過してサブ空間20へ移動することはない。
【0088】
メイン空間16における側面フィルム11、12に指で圧力を作用させると、圧力が伝播して第2逆止機能部32が開く。圧力および作用時間に応じて、内容物は第2逆止機能部32を通過してメイン空間16からサブ空間20へ移動する(
図10(b))。なお、過剰に押圧しない限り、内容物が第1逆止機能部31を通過してサブ空間20から外部空間へ移動することはない。
【0089】
サブ空間20に収容された内容物が、第2逆止機能部32を逆流してメイン空間16に戻らないように、スタンディングパウチ容器を傾ける。サブ空間20における水頭圧が第2逆止機能部32に作用することを軽減する。
【0090】
この状態で、復元チューブ27相当箇所の側面フィルム11、12を押圧する。復元チューブ27の減容変形に伴い、第1逆止機能部31が開く。サブ空間20に収容された内容物が第1逆止機能部31を通過して注出口19より外部空間へ注出される(
図10(c))。
【0091】
復元チューブ27押圧により、内容物が第2逆止機能部32を逆流するおそれもある。しかしながら、サブ空間20において、第1逆止機能部31側は外気圧のみしか作用しておらず、流れ抵抗が小さいのに対し、第2逆止機能部32側はメイン空間16の水頭圧が作用しており、流れ抵抗が大きい。また、第2逆止機能部32の流方向長さは第1逆止機能部31に比べて長く、流れ抵抗も大きい。抵抗の違いにより、第2逆止機能部32での逆流を抑制できる。結果的に、第2逆止機能部32が逆止弁として機能する。
【0092】
仮に逆流が起きた場合でも、メイン空間16の水頭圧と相殺される。したがって、逆流が発生する可能性は低い。また、注出動作は一瞬(1秒未満)であるので、メイン空間16の水頭圧により内容物が第2逆止機能部32を通過してサブ空間20へ移動することもない。
【0093】
これにより、内容物を一定量ごとに注出できる。
【0094】
ところで、微量の内容物が注出されず、第1逆止機能部31、サブ空間20、第2逆止機能部32に残る。サブ空間20に残った内容物は毛細管現象により第1逆止機能部31または第2逆止機能部32に移動する。これにより、フィルム同士が密着し、第1逆止機能部31および第2逆止機能部32は閉じられる。
【0095】
注出後は、スタンディングパウチ自立状態に戻す。一方、押圧解除により復元チューブ27は徐々に元の形状・寸法に復元する(
図10(d))。サブ空間20は擬似真空状態となる。
【0096】
これにより、フィルム同士の密着性が向上し、第1逆止機能部31および第2逆止機能部32はより確実に閉じられる。このとき第1逆止機能部31により、外気が流入することがない。結果的に、第1逆止機能部31が逆止弁として機能する。
【0097】
その後簡単な操作で半自動的に内容物はメイン空間16からサブ空間20に移動する。
【0098】
〜効果〜
第1逆止機能部31および第2逆止機能部32が逆止弁として機能することにより、少量定量注出ができることはもちろん、第1実施形態と同等の効果(劣化防止、流出防止、利便性向上、計量可能)が得られる。
【0099】
さらに、第1実施形態に比べて、より簡単な構成となり、製造手間および製造コストの軽減を図ることができる。
【0100】
〜変形例〜
図11は、第2実施形態の変形例に係る要部平面図である。第2逆止機能部32の逆止機能を向上させたものである。逆流を抑制する2つの構成35,37が付加されている。
【0101】
サブ空間30において、第2逆止機能部32との境界の両側には、遊水ポケット35が設けられている。言い換えると遊水ポケット35はサブ空間30から第2逆止機能部32側に向かって延設されている。遊水ポケット35の空間は、サブ空間30に比べて微小である。
【0102】
サブ空間30には復元チューブ37が挿入されている。復元チューブ37は、サブ空間23の形状・寸法に対応する形状・寸法をしている。復元チューブ37は、フィルム11、12に溶着され固定されることが好ましい。
【0103】
サブ空間30および復元チューブ37は第2逆止機能部32側から第1逆止機能部31側に向かって拡幅するように形成されている。
【0104】
復元チューブ37と第2逆止機能部32との間に空間が設けられ、この空間は第2逆止機能部32および遊水ポケット35に連続している。
【0105】
ところで、流体は、流れ抵抗の大きい流路を避けて流れ抵抗の小さい流路を好む性質がある。
【0106】
復元チューブ37において、第1逆止機能部31側は拡幅であり流れ抵抗が小さいのに対し、第2逆止機能部32側は縮幅であり流れ抵抗が大きい。復元チューブ37相当箇所を押圧すると、サブ空間30は減容する。このとき、第1逆止機能部31側への流量は多く、第2逆止機能部32側への流量は少ない。
【0107】
一方、遊水ポケット35は常時開放されて流れ抵抗が小さいのに対し、第2逆止機能部32は閉じられて流れ抵抗が大きい。
【0108】
第2逆止機能部32側へ移動した内容物の多くが遊水ポケット35に流れるため、第2逆止機能部32を逆流しようとする内容物は微量である。逆流流量が微量であれば、第2逆止機能部32が開くことはない。
【0109】
遊水ポケット35および拡幅形状30,37により、第2逆止機能部32での逆流を確実に抑制できる。結果的に、第2逆止機能部32が逆止弁として機能する。
【0110】
なお、遊水ポケット35、拡幅形状30,37のいずれかで充分な効果が期待できる場合は、一方の構成のみでもよい。
【0111】
遊水ポケット35および/または拡幅形状30,37は第1実施形態に適用しても良いし、第3実施形態に適用してもよい。仮に、逆止弁22の逆止機能が高機能でなくても、補強により確実な逆止機能が得られる。
【0112】
図12は、復元部材の変形例である。具体的には、復元チューブ37の変形例である。復元部材は、板状バネ75と、バネ支点に設けられる開口76から構成される。
【0113】
ところで板状バネ75において、第1逆止機能部31側は開放されており流れ抵抗が小さいのに対し、第2逆止機能部32側は開口76により絞られるため流れ抵抗が大きい。
【0114】
サブ空間30に内容物が充填された状態で、板状バネ75の両側を押圧する(
図12a)と、サブ空間30が減容変形する。このとき、第1逆止機能部31側への流量は多く、第2逆止機能部32側への流量は少ない。すなわち、第2逆止機能部32が開くことはない。
【0115】
サブ空間30に収容された内容物が第1逆止機能部31を通過して注出口19より外部空間へ注出される(
図12b)。
【0116】
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係るスタンディングパウチ容器の要部平面図である。第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態とを合わせたものである。基本構成は第1実施形態と共通であり、詳細を省略する。サブ空間20の一方は注出口19に連通し、他方はメイン空間16に連通する点も共通する。
【0117】
サブ空間20には復元チューブ27が挿入されている点も共通する。復元チューブ27は、サブ空間20の形状・寸法に対応する形状・寸法をしている。復元チューブ27は、フィルム11、12に溶着され固定されることが好ましい。
【0118】
第3実施形態では、サブ空間20と注出口19の間に第1逆止機能部31が設けられる。第1逆止機能部31は、2枚の対向するフィルム11、12から構成される。第1逆止機能部31に対し、周辺シール部33の面積割合を大きくして、当該箇所のフィルム11、12の変形を抑制する。一方、流方向幅に比べ流方向長さを長くし、密着面積を増やす。第1逆止機能部31に相当するフィルム11、12間に液体(流状体)が介在すると、2枚のフラットフィルムは密着して弁として機能する。
【0119】
サブ空間20の他端(第1逆止機能部31側と反対側)に船形材25が配設される。第2逆止弁22は船形材25に介装される。これにより、サブ空間20とメイン空間16の間に第2逆止弁22が設けられる。
【0120】
第1逆止機能部31の動作は、第2実施形態と同様である。その他の構成の動作は、第1実施形態と同様である。
【0121】
本実施形態においても、少量定量注出ができることはもちろん、第1実施形態と同等の効果(劣化防止、流出防止、利便性向上、計量可能)が得られる。
【0122】
<第4実施形態>
第1〜3実施形態では、サブ空間は一つであるが、第4実施形態では、複数のサブ空間が流れ方向直列に連結している。複数のサブ空間は、第1〜3実施形態に適用可能である。ここでは、第1実施形態に適用する例について説明する。
【0123】
図14は、第4実施形態に係る包装容器の全体斜視図である。2つのサブ空間20,29が連結している。その他の構成は第1実施形態(
図1)と同じである。
【0124】
サブ空間29の動作は、サブ空間20と同様である。すなわち、サブ空間20を押圧すると、内容物は逆止弁21を通過してサブ空間20からサブ空間29へ移動する。
【0125】
次に、スタンディングパウチ容器を傾けた状態で、復元チューブ28相当箇所の側面フィルム11、12を押圧し、内容物を逆止弁23を通過させて注出口17より注出する。押圧解除により復元チューブ28は復元し、サブ空間29は擬似真空状態となる。
【0126】
第1実施形態に適用する例について説明したが、第2〜3実施形態にも適用可能である。第4実施形態も、第1〜3実施形態と同様の効果を有する。サブ空間が2つあることで、効果は倍増する。
【0127】
<第5実施形態>
第1〜4実施形態は、本願発明をスタンディングパウチ容器に適用したものであるが、第4実施形態は、本願発明をスタンディングパウチ容器でない包装容器に適用したものである。
【0128】
図15は、第4実施形態に係る包装容器の全体斜視図である。第1〜3実施形態のスタンディングパウチ容器は、底部13と脚部15があるのに対し、第4実施形態の包装容器は、下部にも外縁シール部14が設けられている。そのため、自立することはできないが、その他の構成はスタンディングパウチ容器と同じであり、容器としての機能も同様である。
【0129】
また、自立型紙製外容器40と組み合わせて複合容器とすることにより、スタンディングパウチ容器と同様に機能する。
【0130】
更に、第1〜3実施形態で説明した特徴的構成は、全て包装容器に適用可能である。
【0131】
第5実施形態も、第1〜4実施形態と同様の効果を有する。