(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、同じ構成を有するものについては同じ符号を付与して説明を省略する。
【0009】
以下では、エレベータを構成するものを構造物として説明する。構造物とは、具体的には、例えば、エレベータ昇降路の壁、柱、梁、レール、中間ビーム、シルなどであるが、これに限定されない。
【0010】
また、ここでいう据付図とは、エレベータ昇降方向に対し直交又はほぼ直交する面と、エレベータ昇降方向に対し平行又はほぼ平行となる面との各々で切断した断面図のことをいう。以下では、エレベータ昇降方向に対し直交又はほぼ直交する面で切断した断面図について説明するが、これと同様にして、エレベータ昇降方向に対し略平行となる面で切断した断面図についても得ることができる。
【0011】
図1は、本実施形態の据付図作成装置100の構成図の一例である。据付図作成装置100は、制御部110、記憶部120、入力部130、出力部140、通信部150を有する。
制御部110は、3次元モデル生成部111、構造物分類部112、距離算出部113、据付図作成部114を有する。
【0012】
記憶部120は、3次元点群記憶部121、構造物記憶部122を有する。3次元点群記憶部121には、エレベータ昇降路の内側を計測した3次元の計測点群を示す計測点群データ(計測点群情報)が記憶されている。構造物記憶部122には、エレベータ昇降路の構造物の特徴を示す特徴情報が記憶されている。
【0013】
3次元モデル生成部111は、3次元点群記憶部121に記憶されている計測点群から、3次元モデルを生成する。構造物分類部112は、3次元モデル生成部111によって生成された3次元モデルと構造物記憶部122に記憶されている特徴情報とから構造物を分類する。距離算出部113は、構造物分類部112によって分類された構造物の3次元モデル間の距離を算出する。据付図作成部114は構造物分類部112によって分類された構造物の3次元モデルと距離算出部113によって算出した距離とからエレベータの据付図を作成する。これらの詳細は後述する。
次に、据付図作成装置100を実現するハードウェア構成例について説明する。
図2は、据付図作成装置100を実現するハードウェア構成例である。
【0014】
据付図作成装置100は、演算装置201、メモリ202、外部記憶装置203、入力装置204、出力装置205、通信装置206、記憶媒体駆動装置207を有する。
【0015】
演算装置201は例えばCPU(Central Processing Unit)等である。メモリ202は揮発性メモリ及び不揮発性メモリのうち少なくとも一方である。外部記憶装置203は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等である。入力装置204は、例えばキーボードやマウス、マイクロフォン等である。出力装置205は、例えば、ディスプレイ装置、プリンタ、スピーカ等である。通信装置206は、例えば、図示しない通信ネットワークに接続するためのNIC(Network Interface Card)等である。記憶媒体駆動装置207は、例えばCD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)、その他任意の可搬性を有する記憶媒体208に対して情報を読み書き可能である。
制御部110の各部は、所定のプログラムがメモリ202にロードされて演算装置201により実行されることにより実現可能である。
【0016】
この所定のプログラムは、記憶媒体駆動装置207を介して記憶媒体208から、あるいは、通信装置206を介して通信ネットワークから、外部記憶装置203にダウンロードされ、そして、メモリ202にロードされ、演算装置201により実行されるようにしてもよい。また、記憶媒体駆動装置207を介して記憶媒体208から、あるいは、通信装置206を介して通信ネットワークから、メモリ202に直接ロードされ、演算装置201により実行されるようにしてもよい。
あるいは、制御部110の各部のうち一部又はすべては、回路等によりハードウェアとして実現されてもよい。
【0017】
また、記憶部120は、メモリ202、外部記憶装置203、記憶媒体駆動装置207及び記憶媒体208等の全て又は一部により実現可能である。又は、演算装置201が上記プログラムの実行により、メモリ202、外部記憶装置203、記憶媒体駆動装置207及び記憶媒体208等の全て又は一部を制御することで実現してもよい。
【0018】
また、入力部130は、入力装置204により実現可能である。又は、演算装置201が上記プログラムの実行により、入力装置204を制御することで実現してもよい。
【0019】
また、出力部140は、出力装置205により実現可能である。又は、演算装置201が上記プログラムの実行により、出力装置205を制御することで実現してもよい。
【0020】
また、通信部150は、通信装置206により実現可能である。又は、演算装置201が上記プログラムの実行により、通信装置206を制御することで実現してもよい。
また、据付図作成装置100の各部は、1つの装置により実現されてもよく、複数の装置により分散されて実現されてもよい。
【0021】
次に、動作例を説明する。
図3は、据付図作成装置100の動作例である。この動作は、例えば動作開始指示が入力された場合など、任意のタイミングで開始される。
【0022】
据付図作成装置100は、入力部130や通信装置206などを介して入力された計測点群データを3次元点群記憶部121に格納し、これを、以下で説明する処理を行うためのワークデータとする(S301)。ただし、計測点群データを取得するタイミングや技術はこれに限定されず、以下で説明する処理が行われる前に取得されていればよい。
【0023】
ここで、3次元点群記憶部121に記憶されている3次元の計測点群について図面を参照して具体例を説明する。
図4は、計測点群データの例である。図例にあるように、計測点群データ401では、計測点ごとのX座標、Y座標、Z座標の値が含まれている。
図5は、3次元の計測点群データを3次元座標上に図示した例である。計測点群601は、計測点群データ401を3次元座標上にプロットした例である。
【0024】
図3に戻る。3次元モデル生成部111は、3次元の計測点群から面を抽出して、3次元モデルを生成する(S302)。ここで抽出される面は、平面でもよく、曲面でもよい。また、生成される3次元モデルは、例えば、平面や円筒などのうち少なくとも1つを1つ以上含む。以下、抽出される平面や円筒などの面を含む形状をオブジェクトともいう。
【0025】
なお、3次元モデルを生成する技術は特に限定しない。例えば平面や円筒の抽出には、最小二乗法によって平面や円筒にマッチする点群と平面・円筒の形状パラメータを推定するRANSAC(RANdom SAmple Consensus)アルゴリズムなどを用いてもよく、他の任意の技術を用いてもよい。
【0026】
3次元モデルを生成する他の技術としては、例えば、次のような技術がある。構造体の3次元モデルと構造体の3次元の計測値とを記憶装置(図示略)などに予め記憶しておく。この3次元モデルを分割して複数のセグメントを生成し、生成されたセグメントの連結関係を特定する。複数のセグメントのうち一部と、この一部のセグメントと連結する他のセグメントとから、これらのセグメントからなる3次元モデルが円筒、環状、円錐、矩形体などである形状特徴のいずれに該当するかを特定する。次に、この特定された形状特徴を規定するための原点や頂点、中心点、直径、半径などである形状情報を特定する。特定された形状特徴及び特定された形状情報に該当する構造体と、計測値との距離に基づいて、構造体の姿勢を特定する。このように特定された形状特徴と、形状情報と、姿勢とに基づいて、3次元モデルを生成してもよい。
【0027】
また、他の技術を用いてもよい。例えば、3次元の計測点群を記憶装置(図示略)などに予め記憶しておく。この計測点群を、3次元形状である複数のセグメントで分割し、セグメントの連結関係を特定する。次に、連結関係にあるセグメントに属する計測点群の位置情報から、計測点群の長手軸を抽出する。さらに、連結関係にあるセグメントに属する計測点群の位置情報から、長手軸に対する計測点群の2次元断面の形状を抽出する。このように抽出した2次元断面を、抽出した長手軸方向に引き延ばすことで、3次元モデルを生成してもよい。
【0028】
また、3次元モデル生成部111は、所定条件を満たしているときに、複数の面を1つの面として扱ってもよい。この所定条件は特に限定されないが、例えば、ある面の辺が他の面の辺の少なくとも一部と一致又はほぼ一致しているか否かや、複数の面の各々の法線ベクトルが所定条件を満たしているか否か、などであってもよい。
【0029】
なお、ここでは、ある面又は辺が、他の面又は辺の少なくとも一部と一致又はほぼ一致するとき、それらの位置関係を隣接ともいう。また、ある面が、他の面又は辺の少なくとも一部と一致又はほぼ一致するとき、それらの位置関係を接触ともいう。
【0030】
図6は、計測点群から生成された3次元モデルの例である。3次元モデル601は、複数の面から構成される。以下では、本実施形態の据付図作成装置100で生成される3次元モデルは、複数の平面を含むものとして説明する。
【0031】
図3に戻る。構造物分類部112は、3次元モデルと構造物記憶部122の特徴情報とから、3次元モデルを、いずれかの構造物に分類する(S303)。
ここで、S303の処理例を詳細に説明する。
図7は、3次元モデルを構造物に分類する動作例である。この動作は、構造物の種類(例えばエレベータ昇降路の壁、柱、梁、レール、中間ビーム、シルなど)毎に行われるものとする。
【0032】
構造物分類部112は、構造物の種類毎に、以下で説明するS702〜S703を実施する(S701、S705)。なお、複数の構造物のうち、どの構造物から順に以下の処理を行うかについては特に限定されないが、少なくとも初回は、エレベータ昇降路の壁について処理が行われる。
【0033】
構造物分類部112は、構造物記憶部122の特徴情報を用いて、3次元モデルのうち、処理対象となる構造物の特徴にマッチするものを特定する(S702)。S702の詳細は後述する。
【0034】
構造物分類部112は、S702によってマッチした3次元モデルがあるならば(S703:YES)、後述のS704に移行し、マッチする3次元モデルがないならば(S703:NO)後述のS705に移行する。すべての構造物の種類について処理を行っているのであれば、S303の処理を終了して後述するS304の処理に移行し、行っていなければ、S701に移行して他種類の構造物について処理を行う(S705)。
構造物分類部112は、S702によってマッチした3次元モデルの計測点群をワークデータから削除し(S704)、S702に移行する。
【0035】
S702の処理を詳細に説明する。
図8は、エレベータ昇降路の壁の特徴情報の例である。本例のとおり、特徴情報801では、4つの平面の各々が、隣接する2つの平面の各々と直交又はほぼ直交であるとき、その4平面をエレベータ昇降路の壁として分類される。
【0036】
このように、特徴情報801は、2つの平面が成す角度を含む。この角度は、
図8に示すように90度のみに限らず、任意の値とすることができる。また、特定の値だけでなく、範囲を示すこともできる。
S702の処理では、上記のような特徴情報に基づいて、3次元モデルの面のうち、構造物に該当するものを特定している。
【0037】
ただし、
図8に示すような特徴情報のみでは、正確に構造物に分類できない場合も考えられる。具体的には、例えば、
図6に示す3次元モデル601のうち、エレベータ昇降路の壁である3次元モデル611は、4つの平面(平面612a、平面612b、平面612c、平面612d)の各々が、隣接する2つの平面の各々と直交又はほぼ直交である。また、柱である3次元モデル612も、4つの平面(平面622a、平面622b、平面622c、平面622d)の各々が、隣接する2つの平面の各々と直交又はほぼ直交である。このような場合、2つの平面が成す角度のみによって、4つの平面がエレベータ昇降路の壁であるか、あるいは柱であるかを正確に分類することは困難である。
【0038】
そこで、特徴情報801には、上記のような2つの平面が成す角度だけでなく、他の情報が含まれていてもよい。以下で、特徴情報の詳細についての一例を説明する。
【0039】
[エレベータ昇降路の壁]
例えば、構造物分類部112は、4つの平面の各々が、特徴情報801に示すように互いに隣接する平面と直交又はほぼ直交であり、かつ、その平面からなる内側に他の構造物の平面が含まれる場合に、その4つの平面をエレベータ昇降路の壁と分類してもよい。4つの平面内に他の構造物の平面が含まれる否かを判定するための条件は特に限定しないが、例えば以下が考えられる。
【0040】
- 4つの平面が、少なくとも一部の3次元モデルを構成する平面のうち最も外側に位置している
- すべての平面の面積のうち、4つの平面の面積が広い順から上位複数(例えば4つ以上)内である
- すべての平面の対角線のうち、4つの平面の対角線の長さが長い順から上位複数内である
- 上記のうち少なくとも2つの組み合わせ
【0041】
あるいは、構造物分類部112は、3次元モデルを構成するすべての平面のうち、上記条件などに従って複数(例えば4つ以上)を予め抽出し、抽出した平面が、隣接する平面と直交又はほぼ直交であるか否かを判定してもよい。
【0042】
図9は、エレベータ昇降路の壁に分類された3次元モデルの例である。3次元モデル901は、
図6に示す3次元モデル601を構成する平面の一部を抽出したものである。3次元モデル901は、各々が隣接する平面と直交又はほぼ直交である平面902a〜平面902dから構成される。また、構造物分類部112は、エレベータ昇降路の壁に分類した平面の長手方向を、エレベータの昇降方向とする。
図9では、エレベータの昇降方向を昇降方向911で示している。なお、ここでいう長手方向とは、平面の辺のうち、最も長いものに沿った方向のことをいう。
【0043】
[梁]
上記のように、初回の処理ではエレベータ昇降路の壁の分類が行われるので、梁の分類処理のときは、エレベータ昇降路の壁に相当する平面が既に分類されている。構造物分類部112は、以下の条件を満たす平面が梁に該当すると判定する。
【0044】
i. 4つの平面の各々が、特徴情報801に示すように隣接する平面と直交又はほぼ直交である
ii. 上記i.の4つの平面のうち1つが、エレベータ昇降路の壁の平面のうち1つと接触又はほぼ接触する
iii. 上記i.の4つの平面のうち、エレベータ昇降路の壁の平面と接触又はほぼ接触する平面の長手方向が、昇降方向に対し直交又はほぼ直交である
【0045】
図10は、梁に分類された3次元モデルの例である。3次元モデル1001は、
図6に示す3次元モデル601を構成する平面の一部を抽出したものである。図では、エレベータ昇降路の壁の平面を一点破線で示している。3次元モデル1001は、各々が隣接する平面と直交又はほぼ直交である平面1002a〜平面1002dから構成される。このうち、平面1002bは、昇降路の壁の平面902bと接触又はほぼ接触する平面である。また、平面1002bの長手方向1003は、エレベータの昇降方向(昇降方向911)に対し直交又はほぼ直交する。
【0046】
また、特徴情報には、上記に加え、長さ条件が含まれていてもよい。この長さ条件は、例えば、上記4つの平面のうち対向する2つの辺間の距離や、上記長手方向の長さなどを規定するものでもよい。
【0047】
[柱]
上記と同様に、柱への分類処理のときは、エレベータ昇降路の壁に相当する平面が既に分類されている。構造物分類部112は、以下の条件を満たす平面が柱に該当すると判定する。
【0048】
i. 4つの平面の各々が、特徴情報801に示すように隣接する平面と直交又はほぼ直交である
ii. 上記i.の4つの平面のうち隣接する2つの各々が、エレベータ昇降路の壁の平面のうち隣接する2つの各々と接触又はほぼ接触する
iii. 上記i.の4つの平面のうち、エレベータ昇降路の壁の平面と接触又はほぼ接触する平面の長手方向が、エレベータの昇降方向に対し平行又はほぼ平行である
【0049】
図11は、柱に分類された3次元モデルの例である。3次元モデル1101は、
図6に示す3次元モデル601を構成する平面の一部を抽出したものである。図では、エレベータ昇降路の壁の平面を一点破線で示している。3次元モデル1101は、隣接する平面と直交又はほぼ直交である平面1102a〜平面1102dから構成される。このうち、平面1102a、平面1102cの各々は、互いに隣接し、かつ、昇降路の壁の平面のうち互いに隣接する平面902a、平面902cの各々と接触又はほぼ接触する。また、平面1102a、平面1102cの各々の長手方向1103は、昇降方向911に対し平行又はほぼ平行である。
【0050】
なお、上記では、柱は、エレベータ昇降路の角に配置される例を示しているが、これに限られるわけでもなく、エレベータ昇降路の角と角との間に配置されてもよい。この場合、上記ii.は、エレベータ昇降路の壁の平面のうち1つと接触又はほぼ接触し、かつ、4つの平面の全てが、エレベータ昇降路の壁の4つの平面の内側に位置している、としてもよい。
【0051】
また、特徴情報には、上記に加え、長さ条件が含まれていてもよい。この長さ条件は、例えば、上記4つの平面のうち対向する2つの辺間の距離や、上記長手方向の長さなどを規定するものでもよい。
【0052】
[レール]
上記と同様に、レールへの分類処理のときは、エレベータ昇降路の壁に相当する平面が既に分類されている。構造物分類部112は、以下の条件を満たすときに、その平面がレールに該当すると判定する。
【0053】
i. 平面は、エレベータ昇降路の壁のいずれかの平面に対し平行又はほぼ平行であり、その長手方向が昇降方向と平行又はほぼ平行であり、エレベータ昇降路の壁のいずれの平面とも接触しない
ii. 上記i.の平面ではない平面は、上記i.の平面と直交又はほぼ直交し、かつ、長手方向に平行又はほぼ平行の辺が上記i.の平面と接触又はほぼ接触する
iii. 上記ii.の平面を含む4つの平面の各々が、特徴情報801に示すように隣接する平面と直交又はほぼ直交である
iiii. 上記iii.の4つの平面の全てが、エレベータ昇降路の壁の平面のいずれとも接触しない
【0054】
図12は、レールに分類された3次元モデルの例である。3次元モデル1201は、
図6に示す3次元モデル601を構成する平面の一部を抽出したものである。図では、エレベータ昇降路の壁の平面を一点破線で示している。3次元モデル1201は、平面1202aと、平面1202b〜平面1202eとから構成される。平面1202aは、平面902bに対し平行又はほぼ平行であり、その長手方向1203aは昇降方向911と平行又はほぼ平行であり、かつ、平面1202aはエレベータ昇降路の壁のいずれの平面とも接触しない。また、平面1202b及び平面1202eの各々は平面1202aと直交又はほぼ直交し、その長手方向1203bに平行又はほぼ平行な辺は、平面1202aと接触又はほぼ接触する。平面1202b〜平面1202eの各々は隣接する平面と直交又はほぼ直交であり、3次元モデル901の平面(平面902a〜平面902d)のいずれとも接触しない。
【0055】
なお、上記i.では、1つの平面が規定されているが、これに限るわけではない。上記i.の平面を含む4つの平面の各々が、隣接する平面と直交又はほぼ直交であるような条件(例えば
図8の特徴情報801)をさらに満たしていてもよい。例えば、
図12の平面1202f〜平面1202iは、上記i.の平面(平面1202g)を含む4つの平面の各々が、隣接する平面と直交又はほぼ直交である。
【0056】
また、上記iii.では、隣接する平面と直交又はほぼ直交である4つの平面が規定されているが、この条件は必須でなくてもよい。例えば平面1202b又は平面1202eのような、上記i.の平面と直交又はほぼ直交し、かつ、長手方向の辺が上記i.の平面と接触又はほぼ接触する平面が少なくとも1つ特定できればよい。
【0057】
また、上記iiii.では、エレベータ昇降路の壁の平面のいずれとも接触しないことを条件としているが、これに限られるわけではなく、例えば梁や柱などのような、エレベータ昇降路の壁を含む既に分類された他の構造物の平面と接触しないような条件を含んでいてもよい。
【0058】
また、特徴情報には、上記に加え、長さ条件が含まれていてもよい。この長さ条件は、例えば、上記長手方向の長さや、上記長手方向に対し直交又はほぼ直交する方向の辺長さやなどを規定するものでもよい。
上記のような条件は、計測点群の点密度や計測精度、エレベータの種類などに応じてさらに追加、削除されるように構成されてもよい。
【0059】
[中間ビーム]
上記と同様に、中間ビームへの分類処理のときは、エレベータ昇降路の壁に相当する平面が既に分類されている。構造物分類部112は、以下の条件を満たすときに、その平面が中間ビームに該当すると判定する。
【0060】
i. 平面の辺が、エレベータ昇降路の壁の平面と接触又はほぼ接触する
ii. 上記i.の平面の辺と対向する辺が、エレベータ昇降路の壁の4つの平面の内側に位置する
iii. 上記i.の平面の長手方向は、エレベータの昇降方向に対し直交又はほぼ直交する
【0061】
図13は、中間ビームに分類された3次元モデルの例である。3次元モデル1301は、
図6に示す3次元モデル601を構成する平面の一部を抽出したものである。図では、エレベータ昇降路の壁の平面を一点破線で示している。3次元モデル1301は、平面1302aから構成される。平面1302aの辺1303aは、エレベータ昇降路の壁の平面902bと接触又はほぼ接触している。辺1303aと対向する辺1303bは、エレベータ昇降路の壁の平面902a〜平面902dの内側に位置している。また、平面1302aの長手方向1304は、昇降方向911と直交又はほぼ直交する。
【0062】
なお、上記と同様に、エレベータ昇降路の壁の平面と直交又はほぼ直交し、かつ、接触又はほぼ接触している平面(
図13の平面1302aに相当)を含む4つの平面の各々が、隣接する平面と直交又はほぼ直交であるような条件(例えば
図8の特徴情報801)をさらに含んでよい。
【0063】
また、特徴情報には、上記に加え、長さ条件が含まれていてもよい。この長さ条件は、例えば、上記長手方向の長さや、上記長手方向に対し直交又はほぼ直交する方向の辺長さやなどを規定するものでもよい。
【0064】
[シル]
上記と同様に、シルへの分類処理のときは、エレベータ昇降路の壁に相当する平面が既に分類されている。そこで、構造物分類部112は、以下の条件を満たすときに、その平面がシルに該当すると判定する。
【0065】
i. 平面の辺が、昇降路の壁の平面と接触又はほぼ接触する
ii. 上記i.の平面の辺と対向する辺が、昇降路の壁の4つの平面の外側に位置する
iii. 上記i.の平面の長手方向は、エレベータの昇降方向に対し直交又はほぼ直交する
【0066】
図14は、シルに分類された3次元モデルの例である。3次元モデル1401は、
図6に示す3次元モデル601を構成する平面の一部を抽出したものである。図では、エレベータ昇降路の壁の平面を一点破線で示している。3次元モデル1401は、平面1402aから構成される。平面1402aの辺1403aは、昇降路の壁の平面902dと接触又はほぼ接触している。辺1403aと対向する辺1403bは、昇降路の壁の平面902a〜平面902dの外側に位置している。また、平面1402aの長手方向1404は、昇降方向911と直交又はほぼ直交する。
【0067】
なお、上記と同様に、エレベータ昇降路の壁の平面と、直交又はほぼ直交し、かつ、接触又はほぼ接触している平面(
図14の平面1402aに相当)を含む4つの平面の各々が、隣接する平面と直交又はほぼ直交であるような条件(例えば
図8の特徴情報801)をさらに含んでもよい。
【0068】
また、特徴情報には、上記に加え、長さ条件が含まれていてもよい。この長さ条件は、例えば、上記長手方向の長さや、上記長手方向に対し直交又はほぼ直交する方向の辺長さやなどを規定するものでもよい。
【0069】
以上、特徴情報の一例を説明した。特徴情報は、上記のように、3次元モデルを構成する各オブジェクトの幾何的特徴を示している。換言すれば、特徴情報は、3次元モデルを構成する面の、他の面に関する位置関係を含んでいる。
【0070】
また、上記のように、分類する順は、初回にエレベータ昇降路の壁を分類し、次回は所望の構造物の分類が可能である。ここで、例えば、エレベータ昇降路の壁の分類の後に、梁、柱などの分類が行われ、その後にレールや中間ビームの分類が行われるというように、面積や体積が大きい構造物の順から分類されてもよい。
【0071】
図3に戻る。距離算出部113は、構造物分類部112によって分類された構造物間の距離を算出する(S304)。そのために、例えば、距離算出部113は、構造物を少なくとも2つ選択し、選択した構造物の3次元モデルを構成するオブジェクトの形状パラメータ(例えば原点位置、点座標、半径など)に基づいて2つの3次元モデルの最近接点を算出して、これらの構造物間の最短距離を算出する。距離算出部113は、複数の構造物の組み合わせの各々に対し、この最短距離の算出を行ってもよい。
【0072】
次に、据付図作成部114は、構造物分類部112によって分類された構造物の3次元モデルの2次元断面図を作成し、この2次元断面図に、距離算出部113によって算出された構造物間の距離を追加することで、エレベータ昇降路の据付図を生成する(S305)。
【0073】
ここで作成される断面図は、上記のように、エレベータの昇降方向に対し平行又はほぼ平行でもよく、直交又はほぼ直交する面でもよい。また、作成される断面図の数は、1つ以上であればよく、その数は限定しない。また、断面が作成される位置も特に限定しないが、S304で算出した構造物間の最小距離が最も小さくなる位置における断面図を含むと、エレベータのかごが設置可能か否かの検討などが容易となる。
【0074】
図15は、作成される据付図の例である。据付
図1501は、エレベータ昇降路の壁断面1511、レール断面1512などを含む。また、据付
図1501は、距離算出部113により算出された、エレベータ昇降路の壁からレールまでの最短距離1513が含まれる。なお、据付
図1501は、エレベータ昇降路の壁内部の寸法1514、レール間の寸法1515も含まれる例を示している。これらの寸法値は、上記S304の処理により算出されるものを用いることができる。
出力部140は、上記処理により生成された据付図や距離、3次元モデルなどの各情報を、任意のタイミングで出力することができる。
【0075】
限定しないが、出力部140は、以下のように出力制御することも可能である。
図16は、出力される画面例である。画面1601は、領域1611、領域1621を含む。領域1611には、3次元点群記憶部121から読みだされた計測点群の一部が表示される。領域1621には、上記処理により作成された据付図(2次元断面図)が表示される。なお、領域1611に表示される計測点群は、すべての計測点群のうち、据付図の生成に用いられた断面位置に該当するものが抽出されている。
【0076】
領域1621には、実際には存在しないレール断面1622が含まれる。このような断面及びその3次元モデルは、例えば計測ノイズなどにより発生した計測点群などにより生成される。ユーザは、入力装置204を用いて、領域1611の計測点群のうち、レール断面1622に該当するものを選択して削除を指示した後、ボタン1631を押下するなどして実行指示を入力することができる。なお、
図16では、明確化のために、選択された点群を破線1612で囲って示している。
【0077】
上記指示が入力されると、据付図作成装置100は、選択された計測点群を用いて生成された3次元モデルを特定し、これを除去などする。このとき、据付図作成装置100は、特定された3次元モデルの計測点群の全てをワークデータから除去などしてもよい。そして、据付図作成装置100は、残された3次元モデルに対し上記S303〜S305の処理を行い、新たに生成された据付図を、領域1621に表示制御する。
【0078】
また、画面1601では、据付図を作成する位置を指定できるようにしてもよい。領域1641は、据付図を作成する位置指定が入力されるためのものである。
図16では、領域1641に計測点群を表示し、矢印1642により位置を指定する例を示している。ユーザは、入力装置204を用いて、領域1641上で、据付図を作成する位置指定を入力した後、ボタン1631を押下するなどして実行指示を入力する。指示が入力されると、据付図作成装置100は、3次元モデルに対し上記S303〜S305の処理を行う。この場合、S304、S305では、指定された位置を含む位置での距離の算出及び据付図の作成が行われる。このように作成された据付図は、領域1621に表示される。
【0079】
以上、一実施形態を説明した。上記実施形態では、3次元の計測点群データから生成した3次元モデルを構造物の各々に分類することができる。これにより、3次元の計測点群データから、構造物間の寸法を含む据付図を自動で作成することができる。エレベータ昇降路の壁のみならず、梁や柱、レール、中間ビーム、シルなどのような、他の構造物への分類をも可能であるため、設計検討などのために必要な据付図を自動で作成することが可能となる。
【0080】
また、計測点群から特定された1つ以上の面を含む3次元モデルを生成するので、据付図作成位置の柔軟性がある。そのため、例えば、上記のような、エレベータのかごが設置可能か否かの検討や、その他の目的に応じて、所望の位置での据付図を作成することができる。
【0081】
また、特徴情報は3次元モデルの幾何的特徴を示している。換言すれば、特徴情報は、3次元モデルを構成する面の、他の面に関する位置関係を示している。このようにすることで、据付図の生成に必要なエレベータの構造物のみの特定が容易となる。また、どの種類の構造物であるかの分類が容易となる。
【0082】
また、3次元モデル間の最小距離を算出することができるので、例えば、上記のような、エレベータのかごが設置可能か否かの検討などが容易となる。
【0083】
また、3次元モデルの2次元断面図と、構造物間の距離とを含む据付図を作成することができるので、最小限の工数で据付図を作成することが可能となる。
【0084】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。