特許第6322550号(P6322550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322550
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】フローリング構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/18 20060101AFI20180423BHJP
   E04F 15/20 20060101ALI20180423BHJP
   E04B 5/43 20060101ALI20180423BHJP
   E04F 15/04 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   E04F15/18 601B
   E04F15/20
   E04B5/43 H
   E04F15/04 601A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-223025(P2014-223025)
(22)【出願日】2014年10月31日
(65)【公開番号】特開2016-89414(P2016-89414A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2014年12月22日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512002699
【氏名又は名称】株式会社 五感
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 英樹
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−144282(JP,A)
【文献】 実開平01−154735(JP,U)
【文献】 特開平07−229280(JP,A)
【文献】 実開昭61−184043(JP,U)
【文献】 特開平05−230986(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/117553(WO,A2)
【文献】 特開2000−320120(JP,A)
【文献】 特開平11−152886(JP,A)
【文献】 特開2007−182750(JP,A)
【文献】 特開平05−025916(JP,A)
【文献】 特開平08−218609(JP,A)
【文献】 特開2013−193311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/18
E04F 15/00
E04F 15/02
E04F 15/04
B32B 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
短辺部同士がそれぞれ同じ幅で、長辺部同士がそれぞれ同じ長さで、厚さがそれぞれ同じ厚さの平面矩形状のフローリング板同士の長辺部における突合せ端部同士は等間隔の隙間をおいて同一線上に配置し、短辺部における突合せ端部同士は等間隔の隙間を置いて同一線上に配置されないように、ずれた位置に配置し、各フローリング板の裏面にそれぞれ固着するクッション材は各フローリング板よりも幅方向及び長さ方向においてそれぞれ短い矩形に形成するとともに、該クッション材の長手方向の一端及び幅方向の一端側に僅かな幅をもって外側にはみ出し、クッション材の幅方向の他端部はフローリング板の少し内側に位置した状態で固着され、クッション材同士も幅方向及び長さ方向において相互に僅かな間隔を置いて固定されており、
各フローリング板の裏面に固定するクッション材は3層構造であり、該3層構造の表面層のフェルト層と下層のウレタンチップ層との中間層は上面及び下面にそれぞれ設けたウレタンシート間の空隙に空気が封入されたウレタン樹脂製膜体による間仕切り空間を備えることを特徴とするフローリング構造。
【請求項2】
フローリング板同士の同一長辺部における突合せ端部は、一方を凸部に形成し、他方を凹部に形成し、該凸部と凹部のそれぞれは同一長手方向に対し一定の隙間をおいて遊嵌状に嵌合し、かつ隣接するフローリング板同士の短辺部における突合せ端部も、一方を凸部に形成し、他方を凹部に形成し、該凸部と凹部のそれぞれは同一長手方向に対し一定の隙間をおいて遊嵌状に嵌合し、隣接する突合せ部の位置は隣同士で長手方向のずれた位置に設置されていることを特徴とする請求項1記載のフローリング構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンションやオフィスビル等の鉄筋、鉄骨等を含むコンクリート住宅・事務所等のビル建築物の階上等において発生する床衝撃音が階下へ伝播することを画期的に低減させる床材又は床材と床下地材の組み合わせに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遮音性能は物質の比重の大きさに比例し、単位当たりの重量が重いほど遮音効率が良い。加えて適正な品質管理を行ない密実に打設されたコンクリートは構造体として連続性をもち、セメントが化学反応により硬化する際に発生するクラックと呼ぶひび割れが生じない限りは高い水密性が期待できる。これらの性質から防音性、保温性に優れマンション等の構造に採用される。しかし、コンクリート構造体は、各フロアーに敷設する床材同士は互いに接合された状態で連結されている。このため、上階で発生する歩行音や掃除機等により発生する騒音は床に直接受けることとなるために、その騒音は隣の床に伝播することとなり、振動発生源の床板直下の部屋に居住又は勤務する人には確実に騒音、雑音等として階下の住民、居住者、勤務者等に感じられ、不快感を与えるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−58859
【0004】
特許文献1の請求項1記載の発明は、少なくとも一方の面に突起部を設けた突起シートと、前記突起シートの前記突起部に接触するように設けたクッション層と、前記突起シートの前記一方の面と前記クッション層との間に空間部を設けたことを特徴とする床下地材が開示されている。
【0005】
特許文献1の発明の効果は、床衝撃の空気伝播音および/または固体伝播音の階下への伝播を低減させることができる床下地材およびフローリング材を提供することができるというものである(特許文献1の明細書段落0026参照)。
【0006】
しかし、特許文献1の発明は、フローリング板510については、従来どおり、一枚板として連続的に直接、接続した状態で配置されている構造である。このため、フローリング板510上を人が歩行する際に生じる歩行音等については突起部210を介して集中的に階下に歩行音等が伝播し、防音対策上は未だ不十分と言わざるを得ない。また、樹脂シート部220が薄く形成されているために、樹脂シート部220の裏面に間隔を置いて突起部210が設けられているために、突起部201で支えられている箇所以外の樹脂シート部220は歩行時に窪むこととなり、歩行等に違和感があるという難点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑み、フローリング板上を人が歩行したり、走り出したりするとき、あるいは物を落とした時の衝撃音、物を移動するときに生じる摩擦音等によって生じる階下への騒音を如何にして解消するかを重点考慮したものであり、従来のようにフローリング板が隣同士で接する構造であるために、フローリング板で発生した騒音源は、次々と増幅されて階下に騒音として伝達されることに鑑み、階下への歩行音等の騒音が解消されるフローリング構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るフローリング構造は、短辺部同士がそれぞれ同じ幅で、長辺部同士がそれぞれ同じ長さで、厚さがそれぞれ同じ厚さの平面矩形状のフローリング板同士の長辺部における突合せ端部同士は等間隔の隙間をおいて同一線上に配置し、短辺部における突合せ端部同士は等間隔の隙間を置いて同一線上に配置されないように、ずれた位置に配置し、各フローリング板の裏面にそれぞれ固着するクッション材は各フローリング板よりも幅方向及び長さ方向においてそれぞれ短い矩形に形成するとともに、該クッション材の長手方向の一端及び幅方向の一端側に僅かな幅をもって外側にはみ出し、クッション材の幅方向の他端部はフローリング板の少し内側に位置した状態で固着され、クッション材同士も幅方向及び長さ方向において相互に僅かな間隔を置いて固定されており、各フローリング板の裏面に固定するクッション材は3層構造であり、該3層構造の表面層のフェルト層と下層のウレタンチップ層との中間層は上面及び下面にそれぞれ設けたウレタンシート間の空隙に空気が封入されたウレタン樹脂製膜体による間仕切り空間を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
フローリング板同士の同一長手方向における突合せ端部は、一方を凸部に形成し、他方を凹部に形成し、該凸部と凹部のそれぞれの嵌合部は同一長手方向に対し一定の隙間をおいて遊嵌状に嵌合し、かつ隣接するフローリング板同士の同一長手方向における突合せ端部は、一方を凸部に形成し、他方を凹部に形成し、該凸部と凹部のそれぞれは同一長手方向に対し一定の隙間をおいて遊嵌状に嵌合し、かつ隣接するフローリング板の幅方向間も干渉しない一定の空隙を形成すること幅方向間も干渉しない一定の空隙を形成することとしたので、長手方向に位置するフローリング板同士の両端の一方は、凹部と凸部を有するフローリング板同士が遊嵌状態で嵌合し、同じフローリング板の他方は、凸部と凹部が遊嵌状態で嵌合し、かつ同じフローリング板の幅方向についても、幅方向前後に存在するフローリング板との間も間隔を置いて設置されるので、1枚又は隣接するフローリング板のそれぞれが人の歩行する足跡によって生じる振動音が隣のフローリング板に伝達されないので、階下に居る住人への振動音は極小に抑制できる。
【0015】
また、フローリング板の各一枚一枚は互いに四辺が隣のフローリング板と接することがないので、その箇所で発生した振動音は隣のフローリング材に伝播することが無い。
しかも、前後左右のフローリング板同士が一定の間隔を置いて配設されていても1枚1枚のフローリング板は固定されているので、フローリング板同士が位置ずれすることも無く、安心して生活や仕事等をすることができる。
【0016】
また、本発明はフローリング板の直下に位置するクッション材2は図11に示すように3層構造であり、上層のフェルト層2a、中間層は上面及び下面にそれぞれウレタンシートを設け、上面及び下面間に空気を封入したウレタン樹脂製膜体による間仕切り空間を備えた中間層2bと、該中間層の下側シートにはウレタン発泡チップ層2cで構成されている。このような構成によるクッション材2を用いたフローリング床材について、横軸にオクターブバンド中心周波数(Hz)を設け、縦軸に軽量床衝撃音レベル低減量(dB)を設けて、フローリング床の衝撃音レベル低減量の測定を行ったところ、本発明品の測定結果は、図12に示すように、太く黒い実線で示す曲線が得られた。
図12に示した測定結果は基準値である破線で示すΔLL−3よりもすべて良好な曲線が得られ、衝撃音レベルの低減量が直線的に減衰していくことが判明した。
また、図10及び図11に示す構成のフローリング板の幅90mm、130mm、150mmの上を10名の工事関係者、一般施主が歩行し、歩行感を評価した。その結果、10名のうち全員が、歩行感が良好であると評価した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例を示すフローリング板とその下に敷設するクッション材を示す平面図である。
図2】本発明の一実施例を示すフローリング板とその下に敷設するクッション材とその下に位置するコンクリート床材を示す部分断面図である。
図3】本発明の一実施例を示すフローリング板とその下に敷設するクッション材の1ユニットを示す平面図である。
図4】本発明の一実施例であるフローリング板とその下に敷設するクッション材との関係を示す図3における拡大左側面図である。
図5】本発明の一実施例であるフローリング板とその下に敷設するクッション材との関係を示す図3における拡大右側面図である。
図6】本発明の一実施例であるフローリング板とその下に敷設するクッション材との関係を示す図3における一部切欠拡大正面図である。
図7】本発明の一実施例であるフローリング板とその下に敷設するクッション材との関係を示す図3における一部切欠拡大平面図である。
図8】本発明の一実施例であるフローリング板の長手方向接合部が僅かに間隔を置いた状態で凹凸部が遊嵌している状態を示す断面図である。
図9】本発明の他の実施例を示す断面図である。
図10】本発明の他の実施例を示す断面図である。
図11】本発明のフローリング構造の軽量床衝撃音試験で使用したフローリング板の裏面に設置したクッション材の部分断面図である。
図12】本発明の実施例であるに基づく構造の床材と床下地材の組み合わせた場合の横軸にオクターブバンド中心周波数(Hz)と縦軸に軽量床衝撃音レベル低減量(dB)で示す本発明に係るフローリング板とその下部に設けたクッション材との組み合わせによる軽量床衝撃音レベル低減量を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明はマンションや集合住宅、オフィスビル等を含む鉄筋コンクリート、鉄骨コンクリート等を含むビル建築物のコンクリート床上に敷設するフローリング材及びそのフローリング材の下部に位置するクッション材の相互の構造を工夫し、階下への振動音を極力低減することが可能なコンクリート床構造を提供するものである。
図1及び図7において、1はフローリング板で、そのフローリング板1の裏面にはフローリング板1よりも僅かに縦、横ともに僅かに小さく形成したクッション材2が接着剤や固定具(図示せず)により固定されている。図7に示すように、フローリング板1同士は長手方向に長い長方形状の板材であり、同一長手方向の前後に対向して配置するフローリング板同士の間隔は0.1から1mm、好ましくは0.2mmから0.5mmの間隔を置いて敷設する。また、各フローリング板1の裏面に重ねて固着するクッション材2はフローリング板1に比べ長さ、幅及び厚さがいずれも若干、寸法を小さく形成している。例えば、フローリング板1のサイズは長さが1820mmで、幅は90mm、厚さは15mmに形成した場合、クッション材の長さは1815mmで、幅は85mmで、厚さは11mmに形成した場合を示す。ただし、本発明はこれらの寸法に限定されるものではなく、設置、施工場所において適宜、変更可能である。
【0019】
フローリング板1としては、ムクフローリング板と複合フローリング板があるがいずれであってもよい。複合フローリングは合板の上に厚み0.5〜3mmの上に本物の木の単板を貼って作られ、その上に傷や擦れから守るコーティング剤が塗布されている。一方、ムクフローリング(単層フローリング)はムク材や集成材を使ったフローリングで、広葉樹や針葉樹を材料にしたものが使用される。
【0020】
クッション材2として、フェルトシート、合成ゴム板、ウレタンを含む発泡樹脂板、その他、各種のクッション材が適用される。しかし、本発明の実施例では、表層にフェルトシートを敷設し中間層は真空形成された円柱成形シートを上下からシートで挟んだ、軽量で剛性に優れたプラスチックボードを固定し、該プラスチックボードの底面にウレタンフームを固定した軽量床衝撃音レベル低減量(dB)の測定実験において、クッション材2として、真空形成されたキャップとよばれる円柱成形シートを上下からシートで挟んだ、軽量で剛性に優れたプラスチックボードを使用した。
【0021】
図1は本発明の一実施例を示すフローリング板1とその下に接着剤を介して敷設したクッション材2を示す平面図である。無垢のフローリング板1を幅90mm、長さ1820mm、厚さ15mmに作成し、そのフローリング板1の裏面に幅85mm、長さ1815mm、厚さ11mmのクッション材を接着剤で固定した。クッション材2の長手方向の片側はフローリング板1の片側に同じ幅で僅かに外側にはみ出した状態で固定され、クッション材2の幅方向の他端部は逆にフローリング板1の内側に隠れる状態となる。
【0022】
図2においては、フローリング板1の幅方向の一端中央部に形成した凸部3と該凸部3に僅かな隙間を置いて遊嵌状に嵌合する隣のフローリング板1の端部に形成した凹部4との間接的な係合関係を示す。また、図1においてはフローリング板1の両端部は凹凸が無くフラットの状態で僅かな隙間を維持した状態を示している。図3は一枚のフローリング板1の両端をフラットに仕上げた場合を示した平面図で、そのフローリング板1の裏面にフローリング板1よりも僅かに寸法を小さくしたクッション材2がフローリング板1の裏面に重ねて設けられた場合を示し、クッション材2がフローリング板1の片側の幅方向に僅かに同じ幅ではみ出しており、長手方向に対しても僅かにはみ出している状態を示している。
【0023】
図4はフローリング板1とクッション材2の接合状態を示す拡大左側面図であり、フローリング板1の両端部中央の一方は長手方向に沿って凸部3が形成され、他方は凹部4が形成されている場合を示す。
図5は本発明の一実施例であるフローリング板1とその下に敷設するクッション材2との関係を示す図3における拡大右側面図である。この図から判るように1枚のフローリング板1の板厚方向中央部の一端側には溝状の凹部が形成され、板厚方向中央部の他端側には凸部が形成されている場合を示した。しかし、ここで重要なことは凹部4と凸部3のそれぞれは隣接するフローリング板1の凸部3と凹部4のそれぞれにきつく嵌合するのではなく、どの箇所においても僅かな隙間を保って嵌る状態を意味する。このような隙間を設けた嵌ることによりフローリング板1で受ける衝撃音や打撃音、あるいは歩行音等によって生起する衝撃音等はフローリング板1の1枚1枚のそれぞれが隣のフローリング板1と僅かな隙間をもって切り離されているので、どのフローリング板1のどの箇所に衝撃音等が生起しようとも隣のフローリング板1には衝撃音が伝播されにくくなり、階下の住人や事務員等に不快な音を感じさせなくなる。
【0024】
図6はフローリング板1とその下に敷設するクッション材2との関係を示す図3における一部切欠拡大正面図を示す。図7はフローリング板1とその下に敷設するクッション材2との関係を示す図3における一部切欠拡大平面図を示す。図7に示すように、隣接するフローリング板1同士の周囲は僅かな距離の間隔をおいて設置され、かつフローリング板1の下に設置されるクッション材2同士も相互に距離を置いて設置されるので、衝撃音や歩行音等により生起する音も階下には大幅に減衰されるために階下に人々に不快感を与えない。
【0025】
図8はフローリング板1の長手方向接合部が僅かに間隔を置いた状態で凹凸部が遊嵌している状態を示す断面図である。このように、フローリング板1の長手方向接合部も僅かに間隔を置いた状態で凹凸部が遊嵌した状態であるから、上述したように、隣接する個々のフローリング板1同士がそれぞれ、僅かな隙間5を有しており、加えてクッション材2自体の隣接する空隙部6とフローリング板1の僅かな隙間5の位置も互いにずれているので、フローリング板1で発生した音は個々のフローリング板1の周縁が隣のフローリング板1と僅かな隙間5を介してすべて分断されており、加えてクッション材2の空隙部6もフローリング板1の僅かな隙間5の位置ともずれて形成されているために、フローリング板1で発生した衝撃音は僅かな隙間5で大幅に減衰され、かつクッション材2で衝撃音が吸収され、かつクッション材2自体も周囲が空隙6によって大幅に減衰することとなり、大幅な減衰が可能となる。
【0026】
図9は本発明の他の実施例として、フローリング板1の幅方向の隙間が斜めに分断された場合を示す。フローリング板1の周囲はいずれも隣のフローリング板1と間隙を有しており、かつ幅方向の間隙は斜めに形成することにより、隣同士のフローリング板1の間隙距離も長くなるために、一層、衝撃音等の減衰効果を高めることができる。
【0027】
図10は本発明の他の実施例として、フローリング板1とクッション材2をコンクリート床に施工した場合を示す幅方向の断面図である。この場合もフローリング板1同士の各周囲は空隙5を有し、クッション材のそれぞれについて周囲にフローリング板1同士の空隙よりもクッション材2同士の周囲に設けた間隙6は大きく形成することにより、より効果的な消音効果が得られる。
【0028】
図11は本発明の実施例において、フローリング板1の直下に敷設するクッション材2は、上層にフェルト層2aと、上下の合成樹脂製シート間に仕切り壁で仕切られた多数の空気を封入した空隙部を備えた中間層2bと、下層のウレタンチップ2Cで構成されたものである。
【0029】
図12は横軸にオクターブバンド中心周波数(Hz)を示し、縦軸に軽量床衝撃音レベル低減量(dB)を示し、実施例1のフローリング構造について、軽量床衝撃音レベル低減量がオクターブバンド中心周波数との関係で実験結果を示すものである。グラフから軽量床衝撃音レベルが略直線的に減衰することが判明した。実施例1では床材として無垢フローリングを使用し、クッション材2として、表面層がフェルト層で、中間層が真空形成された円柱成形シートを上下からシートで挟んだ、軽量で剛性に優れたプラスチックボードを使用した。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明はマンションやオフィスビル等の鉄筋、鉄骨等を含むコンクリート住宅・事務所等のビル建築物の階上等において発生する床衝撃音が階下へ伝播することを画期的に低減させるフローリング板およびそのクッション材として、コンクリート住宅産業及び建材業や施工業者、一般居住者等にフローリング構造の需要を喚起させるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 フローリング板
2 クッション材
2a クッション材の上層であるフェルト層
2b クッション材の中間層を示す多数の空隙層
2c クッション材の下層を示すウレタンチップ層
3 凸部
4 凹部
5 僅かな隙間
6 空隙部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12