特許第6322555号(P6322555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322555
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】検出装置及び検出機能付き表示装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20180423BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20180423BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20180423BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20180423BHJP
【FI】
   G01B7/00 102C
   G01L5/00 101Z
   G06F3/044 122
   G06F3/044 128
   G06F3/041 430
   G06F3/041 412
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-238746(P2014-238746)
(22)【出願日】2014年11月26日
(65)【公開番号】特開2016-99315(P2016-99315A)
(43)【公開日】2016年5月30日
【審査請求日】2017年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉澤 隼人
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】井手 達也
(72)【発明者】
【氏名】石崎 剛司
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−032437(JP,A)
【文献】 特開2012−150580(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/067796(WO,A1)
【文献】 特開平09−218418(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0095334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B7/00 −7/34
G01L5/00 −5/28
G06F3/03
3/041−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の主面に形成された、前記基板に接触或いは近接する物体を検出するための検出電極と、
前記基板の前記主面に金属材料で形成された端子と、
前記基板の前記主面に形成され、前記検出電極及び前記端子を電気的に接続するリード線と、
前記検出電極と、前記リード線と、前記端子の一部とを覆うコート層と、
前記端子の前記コート層から露出した部分を覆うとともに、前記コート層の一部を覆う導電接着層と、
前記導電接着層を介して前記端子と電気的に接続された配線基板と、
を備え、
前記端子は、少なくとも前記導電接着層が前記コート層を覆う重畳領域において、前記端子を構成する前記金属材料が部分的に除去された形状を有する、
検出装置。
【請求項2】
基板と、
前記基板の主面に形成された、前記基板に接触或いは近接する物体を検出するための検出電極と、
前記基板の前記主面に金属材料で形成された端子と、
前記基板の前記主面に形成され、前記検出電極及び前記端子を電気的に接続するリード線と、
前記検出電極と、前記リード線と、前記端子の一部とを覆うコート層と、
前記端子の前記コート層から露出した部分を覆うとともに、前記コート層の一部を覆う導電接着層と、
前記導電接着層を介して前記端子と電気的に接続された配線基板と、
を備え、
前記端子は、少なくとも前記導電接着層が前記コート層を覆う重畳領域において、単位面積当たりに含まれる前記端子を構成する前記金属材料の面積が他の領域よりも小さい、
検出装置。
【請求項3】
前記端子は、前記重畳領域において、前記リード線の第1幅よりも小さい第2幅を有する線部を含む、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記線部は、蛇行或いは屈曲している、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記端子は、互いに交差する複数の前記線部を備える、
請求項3に記載の検出装置。
【請求項6】
前記端子は、
第1方向に延びるとともに前記第1方向と交わる第2方向に間隔を空けて並ぶ複数の線部と、
前記複数の線部の間にそれぞれ配置され、隣り合う前記線部を接続する接続部と、
を備える、請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項7】
前記接続部は、前記リード線の第1幅よりも小さい第2幅を有する、
請求項6に記載の検出装置。
【請求項8】
前記端子は、前記重畳領域においてスリットを含む、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項9】
前記端子は、
前記コート層に覆われた第1部分と、
前記導電接着層に覆われた第2部分と、
前記線部を有するとともに、前記重畳領域と少なくとも一部が重なり、前記第1部分及び前記第2部分を接続する第3部分と、
を備える、
請求項3乃至7のうちいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記第2部分は、前記線部の延長線上に開口部を有する、
請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
表示素子と、表示領域において画素ごとに配置された複数の第1電極と、前記複数の第1電極と対向する第2電極とを備え、前記第1電極及び前記第2電極の間に選択的に電圧を印加して前記表示素子を駆動し、前記表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの外面に形成された、前記表示領域に接触或いは近接する物体を検出するための検出電極と、
前記表示パネルの前記外面に金属材料で形成された端子と、
前記表示パネルの前記外面に形成され、前記検出電極及び前記端子を電気的に接続するリード線と、
前記検出電極と、前記リード線と、前記端子の一部とを覆うコート層と、
前記端子の前記コート層から露出した部分を覆うとともに、前記コート層の一部を覆う導電接着層と、
前記導電接着層を介して前記端子と電気的に接続された配線基板と、
前記第2電極に前記物体の検出のための第1信号が供給された際に前記検出電極から前記リード線及び前記端子を経て前記配線基板に出力される第2信号に基づいて前記物体を検出する検出回路と、
を備え、
前記端子は、少なくとも前記導電接着層が前記コート層を覆う重畳領域において、前記端子を構成する前記金属材料が部分的に除去された形状を有する、
検出機能付き表示装置。
【請求項12】
表示素子と、表示領域において画素ごとに配置された複数の第1電極と、前記複数の第1電極と対向する第2電極とを備え、前記第1電極及び前記第2電極の間に選択的に電圧を印加して前記表示素子を駆動し、前記表示領域に画像を表示する表示パネルと、
前記表示パネルの外面に形成された、前記表示領域に接触或いは近接する物体を検出するための検出電極と、
前記表示パネルの前記外面に金属材料で形成された端子と、
前記表示パネルの前記外面に形成され、前記検出電極及び前記端子を電気的に接続するリード線と、
前記検出電極と、前記リード線と、前記端子の一部とを覆うコート層と、
前記端子の前記コート層から露出した部分を覆うとともに、前記コート層の一部を覆う導電接着層と、
前記導電接着層を介して前記端子と電気的に接続された配線基板と、
前記第2電極に前記物体の検出のための第1信号が供給された際に前記検出電極から前記リード線及び前記端子を経て前記配線基板に出力される第2信号に基づいて前記物体を検出する検出回路と、
を備え、
前記端子は、少なくとも前記導電接着層が前記コート層を覆う重畳領域において、単位面積当たりに含まれる前記端子を構成する前記金属材料の面積が他の領域よりも小さい、
検出機能付き表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出装置及び検出機能付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示領域に接触或いは接近する物体を検出する検出装置や、このような検出機能を備えた検出機能付き表示装置が実用化されている。
これら検出装置及び表示装置においては、例えば、物体を検出するための検出電極と、フレキシブル配線基板との接続用の実装端子と、これら検出電極及び実装端子を電気的に接続するリード線とが基板に形成されている。フレキシブル配線基板は、異方性導電膜などの導電接着層を介して実装端子と電気的に接続される。
【0003】
リード線や実装端子、さらには検出電極を金属材料にて形成すると、低抵抗化などの点で有利である。但し、金属材料は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)などに比べて傷つき易くかつ水分にも弱い。そのため、検出電極、リード線、及び実装端子の一部を例えば有機材料のオーバーコート層にて覆い、金属材料の損傷や腐食を防止する必要がある。
【0004】
一般に、金属材料とオーバーコート層との密着性は、ガラスなどの基板とオーバーコート層との密着性に比べて低い。したがって、上記のようにオーバーコート層を設けた検出装置或いは検出機能付き表示装置においては、オーバーコート層の剥離が懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−112911号公報
【特許文献2】特開2004−6632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様における目的は、基板に形成された実装端子の少なくとも一部を覆うオーバーコート層の剥離を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る検出装置は、基板と、検出電極と、端子と、リード線と、コート層と、導電接着層と、配線基板と、を備える。上記検出電極は、上記基板の主面に形成される。上記端子は、上記基板の上記主面に金属材料で形成される。上記リード線は、上記基板の上記主面に形成され、上記検出電極及び上記端子を電気的に接続する。上記コート層は、上記検出電極と、上記リード線と、上記端子の一部とを覆う。上記導電接着層は、上記端子の上記コート層から露出した部分を覆うとともに、上記コート層の一部を覆う。上記配線基板は、上記導電接着層を介して上記端子と電気的に接続される。そして、上記端子は、少なくとも上記導電接着層が上記コート層を覆う重畳領域において、上記端子を構成する上記金属材料が部分的に除去された形状を有する。
【0008】
一実施形態に係る検出機能付き表示装置は、表示パネルと、検出電極と、端子と、リード線と、コート層と、導電接着層と、配線基板と、検出回路と、を備える。上記表示パネルは、表示素子と、表示領域において画素ごとに配置された複数の第1電極と、上記複数の第1電極と対向する第2電極とを備え、上記第1電極及び上記第2電極の間に選択的に電圧を印加して上記表示素子を駆動し、上記表示領域に画像を表示する。上記検出電極は、上記表示パネルの外面に形成される。上記端子は、上記表示パネルの上記外面に金属材料で形成される。上記リード線は、上記表示パネルの上記外面に形成され、上記検出電極及び上記端子を電気的に接続する。上記コート層は、上記検出電極と、上記リード線と、上記端子の一部とを覆う。上記導電接着層は、上記端子の上記コート層から露出した部分を覆うとともに、上記コート層の一部を覆う。上記配線基板は、上記導電接着層を介して上記端子と電気的に接続される。上記検出回路は、上記第2電極に上記物体の検出のための第1信号が供給された際に上記検出電極から上記リード線及び上記端子を経て上記配線基板に出力される第2信号に基づいて上記物体を検出する。そして、上記端子は、少なくとも上記導電接着層が上記コート層を覆う重畳領域において、上記端子を構成する上記金属材料が部分的に除去された形状を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る液晶表示装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、上記液晶表示装置が備える液晶表示パネル及びこの液晶表示パネルの主面に設けられる要素の一例を模式的に示す断面図である。
図3図3は、上記液晶表示装置が備えるセンサを説明するための図である。
図4図4は、上記液晶表示パネルが備える絶縁基板の主面に設けられた各要素の一例を模式的に示す平面図である。
図5図5は、上記主面に形成された実装端子及びフレキシブル配線基板の接続位置の近傍を拡大して示す図である。
図6図6は、図5におけるVI−VI線に沿った断面を模式的に示す図である。
図7図7は、上記主面に形成されたオーバーコート層の端部形状異常の一例を説明するための図である。
図8図8は、上記実装端子の形状の概要を説明するための図である。
図9図9は、第1実施例に係る実装端子の形状を示す図である。
図10図10は、第2実施例に係る実装端子の形状を示す図である。
図11図11は、第3実施例に係る実装端子の形状を示す図である。
図12図12は、第4実施例に係る実装端子の形状を示す図である。
図13図13は、第5実施例に係る実装端子の形状を示す図である。
図14図14は、第6実施例に係る実装端子の形状を示す図である。
図15図15は、第1実施例に係る実装端子が有する線部の幅に関する検証の概要を説明するための図である。
図16図16は、第1実施例に係る実装端子が有する線部の上で突出するオーバーコート層の長さを計測した結果を示す表である。
図17図17は、第4実施例に係る実装端子が有する接続部の幅に関する検証の概要を説明するための図である。
図18図18は、第4実施例に係る実装端子が有する接続部の上で突出するオーバーコート層の長さを計測した結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一又は類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
本実施形態においては、表示装置の一例として、検出機能付きの液晶表示装置を開示する。この液晶表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、テレビ受像装置、車載装置、ゲーム機器等の種々の装置に用いることができる。なお、検出機能付き表示装置が備える表示パネルは液晶表示パネルに限られず、有機エレクトロルミネッセンス表示素子等を有する自発光型の表示パネル、或いは電気泳動素子等を有する電子ペーパ型の表示パネルなど、他種の表示素子を有する表示パネルを適用することができる。
【0012】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置DSPの構成を概略的に示す斜視図である。この図に示すように、液晶表示装置DSPは、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルPNL、液晶表示パネルPNLを駆動する駆動ICチップIC1、静電容量型のセンサSE、センサSEを駆動する駆動ICチップIC2、液晶表示パネルPNLを照明するバックライトユニットBL、制御モジュールCM、フレキシブル配線基板FPC1,FPC2,FPC3などを備えている。
【0013】
センサSEは、液晶表示パネルPNLの表示面上に形成された複数の検出電極Rxを備えている。
駆動ICチップIC1は、液晶表示パネルPNLに搭載されている。フレキシブル配線基板FPC1は、液晶表示パネルPNLと制御モジュールCMとを接続している。フレキシブル配線基板FPC2は、センサSEの少なくとも一部の要素と制御モジュールCMとを接続している。駆動ICチップIC2は、フレキシブル配線基板FPC2上に搭載されている。フレキシブル配線基板FPC3は、バックライトユニットBLと制御モジュールCMとを接続している。
【0014】
液晶表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向配置された第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に挟持された液晶層(後述する液晶層LC)と、を備えている。
液晶表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DAを有している。図1の例において、複数の検出電極Rxは、表示領域DAに設けられている。これらの検出電極Rxは、例えば、第1方向Xに沿って延びるとともに、第1方向Xと交差する第2方向Yに沿って並んでいる。例えば、第1方向X及び第2方向Yは、互いに直交する方向である。ただし、これらの方向が互いに直交以外の状態で交差している構成を採用することも可能である。
【0015】
バックライトユニットBLは、第1基板SUB1の背面側に配置されている。このようなバックライトユニットBLとしては、種々の形態が適用可能である。一例として、バックライトユニットBLは、第1基板SUB1と対向する導光板と、この導光板の端部に沿って配置された発光ダイオード(LED)などの光源と、を備えている。
【0016】
図2は、液晶表示パネルPNL及びこの液晶表示パネルPNLの主面に設けられる要素の一構成例を模式的に示す断面図である。液晶表示パネルPNLは、単位画素(単位画素領域)PXを備えている。単位画素PXは、表示領域DAに表示されるカラー画像を構成する最小単位である。
【0017】
図2の例においては、赤、緑、青にそれぞれ対応する副画素(副画素領域)PXR,PXG,PXBが第1方向Xに並んだ単位画素PXの構造を示している。このような単位画素PXは、表示領域DAにおいてマトリクス状に多数配置されている。なお、単位画素PXを構成する副画素PXR,PXG,PXBのレイアウトについては、図2の例に限らず、3つの副画素PXR,PXG,PXBが一方向に並んでいなくても良い。また、単位画素PXは、例えば白に対応する副画素など、赤、緑、青以外の色の副画素を含んでいても良い。
【0018】
上述したように、液晶表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第1基板SUB1に対向して配置された第2基板SUB2と、これら第1基板SUB1と第2基板SUB2との間に保持された液晶層LCと、を備えている。
第1基板SUB1は、光透過性を有するガラス基板或いは樹脂基板などの第1絶縁基板10を備えている。この第1絶縁基板10は、第2基板SUB2と向い合う第1主面10Aと、第1主面10Aの反対側の第2主面10Bと、を有している。
【0019】
また、第1基板SUB1は、第1絶縁基板10の第1主面10Aを覆う第1絶縁層11と、第1絶縁層11の上に配置された共通電極CEと、共通電極CEを覆う第2絶縁層12と、を備えている。
さらに、第1基板SUB1は、副画素PXR,PXG,PXBにそれぞれ対応する画素電極PER,PEG,PEBと、これら画素電極PER,PEG,PEB及び第2絶縁層12を覆い液晶層LCと接する第1配向膜AL1と、を備えている。共通電極CEと画素電極PER,PEG,PEBは、第2絶縁層12を介して対向している。図2の例において、画素電極PER,PEG,PEBは、スリットPSLを有している。
【0020】
共通電極CE及び画素電極PER,PEG,PEBは、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)などの透明な導電材料で形成されている。
一方、第2基板SUB2は、光透過性を有するガラス基板或いは樹脂基板などの第2絶縁基板20を備えている。この第2絶縁基板20は、第1基板SUB1と向い合う第1主面20Aと、第1主面20Aの反対側の第2主面20Bと、を有している。また、第2基板SUB2は、第2絶縁基板20の第1主面20Aに設けられたカラーフィルタCFR,CFG,CFB及びブラックマトリクス21を備えている。
【0021】
カラーフィルタCFRは、例えば赤色に着色された樹脂材料によって形成され、赤色の副画素PXRに配置されている。カラーフィルタCFGは、例えば緑色に着色された樹脂材料によって形成され、緑色の副画素PXGに配置されている。カラーフィルタCFBは、例えば青色に着色された樹脂材料によって形成され、青色の副画素PXBに配置されている。
【0022】
ブラックマトリクス21は、副画素PXR,PXG,PXBを区画する。カラーフィルタCFR,CFG,CFBの境界は、ブラックマトリクス21上に位置している。
さらに、第2基板SUB2は、カラーフィルタCFR,CFG,CFB及びブラックマトリクス21を覆う第3絶縁層22と、第3絶縁層22を覆い液晶層LCと接する第2配向膜AL2と、を備えている。
【0023】
図2の例において、第1絶縁基板10の第2主面10Bには、第1偏光板PL1と、第1接着層GL1とが配置されている。第1偏光板PL1は、第1接着層GL1を介して第2主面10Bに接着されている。
また、図2の例において、第2絶縁基板20の第2主面20Bには、上述の検出電極Rxと、オーバーコート層OC(保護膜)と、第2偏光板PL2と、第2接着層GL2とが配置されている。なお、第1偏光板PL1と第1絶縁基板10との間、及び、第2偏光板PL2と第2絶縁基板20との間には、位相差板が配置されても良い。
【0024】
オーバーコート層OCは、検出電極Rxを覆っている。オーバーコート層OCの材料としては、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの有機材料を用いることができる。
第2偏光板PL2は、第2接着層GL2を介してオーバーコート層OCに接着されている。第1偏光板PL1の第1偏光軸と第2偏光板PL2の第2偏光軸とは、X−Y平面で互いの偏光軸(吸収軸)が直交するクロスニコルの位置関係にある。
【0025】
なお、図2に示す構造は、一例として、液晶分子のスイッチングに基板主面と略平行な横電界を利用するモードの液晶表示パネルPNLに適用可能である。但し、液晶表示パネルPNLのモードは、横電界を利用するモードに限られず、TN(Twisted Nematic)モードやVA(Vertical Aligned)モードのように液晶分子のスイッチングに基板主面の法線方向と平行な縦電界を利用するモードであっても良い。
【0026】
上述のセンサSEは、例えば、検出電極Rx及び共通電極CEを備えて構成されている。この場合において、共通電極CEは、表示用の電極として機能するとともに、センシンング用の駆動電極としても機能する。以下に、このようなセンサSEの構成及び動作について説明する。
【0027】
図3は、センサSEを説明するための図であって、検出電極Rxと共通電極CEとの平面的な位置関係を模式的に示している。この図の例において、表示領域DAは、第1方向Xと平行な短辺と、第2方向Yと平行な長辺とを有する長方形状である。検出電極Rxは、表示領域DAにおいて、第1方向Xに沿って帯状に延びるとともに、第2方向Yに沿って一定のピッチで並んでいる。一方、共通電極CEは、第2方向Yに沿って帯状に延びるとともに、第1方向Xに沿って一定のピッチで並んでいる。
【0028】
検出電極Rxは、検出回路RCと電気的に接続されている。この検出回路RCは、例えば、駆動ICチップIC2に内蔵されている。検出回路RCは、制御モジュールCMなどに設けられていても良い。
共通電極CEは、共通電極駆動回路CDと電気的に接続されている。共通電極駆動回路CDは、例えば、表示領域DAの外部において、第1基板SUB1に形成されている。
【0029】
共通電極駆動回路CDは、共通電極CEに対して、各単位画素PXに含まれる副画素を駆動するためのコモン駆動信号、及び、センサSEを駆動するためのセンサ駆動信号を選択的に供給する。例えば共通電極駆動回路CDは、表示領域DAに画像を表示する表示期間においてコモン駆動信号を各共通電極CEに順次供給し、表示領域DAに接触或いは接近する物体を検出するセンシング期間においてセンサ駆動信号を各共通電極CEに順次供給する。
【0030】
センサ駆動信号が供給された共通電極CEと検出電極Rxとの間には、第1容量が生じる。導体である物体が表示領域DAの近傍に存在すると、この物体と検出電極Rxとの間には、第2容量が生じる。この第2容量の影響を受けて、物体の近傍の検出電極Rxと共通電極CEとの間の第1容量が変化する。そのため、物体の近傍の検出電極Rxから得られるセンサ出力信号は、他の検出電極Rxから得られるセンサ出力信号と異なる値を示す。
【0031】
検出回路RCは、このようなセンサ出力信号の変化に基づいて、表示領域DAに接触或いは接近した物体を検出する。さらに、検出回路RCは、表示領域DAにおいて物体が接触或いは近接した位置を検出することも可能である。
続いて、第2絶縁基板20の第2主面20Bに設けられた各要素の詳細について説明する。なお、この第2主面20Bは、液晶表示パネルPNLの表示領域DAを含む一主面に相当する。
【0032】
図4は、第2絶縁基板20の第2主面20Bに設けられた各要素の一例を模式的に示す平面図である。この図の例において、検出電極Rxは、複数の検出線LN1と、これら検出線LN1を接続する接続線LN2と、を備えている。接続線LN2により接続された各検出線LN1は、表示領域DAにおいて、波形(具体的には三角波形)に繰り返し屈曲して第1方向Xに沿って延びるとともに、第2方向Yに沿って一定のピッチで並んでいる。
【0033】
なお、検出電極Rxの構造は、図4に示す例に限られない。例えば、検出電極Rxは、金属線がメッシュ状に交差した構造などを備えていても良い。また、隣り合う検出電極Rxの間に、電気的にフローティングなダミー電極が設けられていても良い。このようなダミー電極は、例えば、適宜の位置で破断された検出線により検出電極Rxと類似した形状に構成されていても良い。
【0034】
第2主面20Bには、表示領域DAの外側の領域であって当該表示領域DAを包囲する額縁領域FAが存在する。この額縁領域FAには、複数の第1実装端子T1と、検出電極Rxと第1実装端子T1とを一対一で電気的に接続する複数のリード線LN3とが形成されている。図4の例において、各第1実装端子T1は、第1方向Xに沿って一定の間隔を空けて並んでいる。各第1実装端子T1は、フレキシブル配線基板FPC2と電気的に接続されている。なお、第1実装端子T1は、パッドと呼ばれることもある。
【0035】
検出線LN1、接続線LN2、リード線LN3、及び第1実装端子T1は、例えば、同一の製造工程において同一の金属材料により第2主面20Bの上に一体的に形成される。この金属材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、或いはこれらの一方を含む合金などを用いることができる。また、検出線LN1、接続線LN2、リード線LN3、及び第1実装端子T1は、複数の金属材料の積層体として構成することもできる。一例として、検出線LN1、接続線LN2、リード線LN3、及び第1実装端子T1は、アルミニウム系の合金をモリブデン系の合金であるバリヤメタルで挟み込み、これらの上に屈折率が異なる3種類の膜を積層した6層構造とすることができる。但し、金属材料の積層数はより少数であっても良いし、多数であっても良い。
【0036】
第2偏光板PL2、第2接着層GL2、及びオーバーコート層OCは、例えば、いずれも表示領域DAを覆う長方形状である。図4の例おいては、第2偏光板PL2及び第2接着層GL2は同一の形状であり、第2主面20Bにおいて周縁部を揃えて配置されている。オーバーコート層OCの周縁部は、第1実装端子T1が配置された側の辺部R1を除き、第2絶縁基板20の周縁部と概ね揃っている。
【0037】
図4の例において、オーバーコート層OCは、表示領域DAのみならず額縁領域FAの大部分を覆って設けられており、検出電極Rxを構成する検出線LN1と接続線LN2、及び、リード線LN3を覆っている。また、オーバーコート層OCは、各第1実装端子T1の一部を覆っている。すなわち、各第1実装端子T1は、オーバーコート層OCの一辺(辺部R1)に沿って第2主面20Bに配置されている。
【0038】
図5は、第1実装端子T1及びフレキシブル配線基板FPC2の接続位置の近傍を拡大して示す図である。この図においては、8個の第1実装端子T1が第1方向Xに沿って一定の間隔で配列された例を示している。各第1実装端子T1は、第2方向Yに沿って帯状に延びている。各第1実装端子T1の各々には、リード線LN3が接続されている。
【0039】
各第1実装端子T1の近傍には、フレキシブル配線基板FPC2を実装する際の位置合わせの目印となるアライメントマークMが配置されている。図5の例においては、8個の第1実装端子T1のうち両端に配置された2つの第1実装端子T1から第1方向Xに沿って所定の間隔を空けて、L字型のアライメントマークMそれぞれ2つずつ配置されている。このようなアライメントマークMは、例えば、検出線LN1、接続線LN2、リード線LN3、及び第1実装端子T1と同一の製造工程において同一の金属材料により第2主面20Bの上に形成される。
【0040】
オーバーコート層OCは、辺部R1から第2方向Yに突出する突出部R1aを有している。この突出部R1aは、各第1実装端子T1の中腹付近まで延び、各第1実装端子T1の一部を覆っている。本実施形態では、突出部R1aは、各アライメントマークMは覆っていない。
【0041】
フレキシブル配線基板FPC2は、各第1実装端子T1の各々と電気的に接続される複数の第2実装端子T2を有している。各第2実装端子T2は、第1方向Xに沿って各第1実装端子T1と同じ間隔で配列されるとともに、第2方向Yに沿って帯状に延びている。フレキシブル配線基板FPC2と各第1実装端子T1との間には、異方性導電膜ACFが配置されている。異方性導電膜ACFは、導電接着層の一例である。各第2実装端子T2の各々は、異方性導電膜ACFを介して各第1実装端子T1のうち対応する1つと対向している。異方性導電膜ACFは、フレキシブル配線基板FPC2と、各第1実装端子T1及び第2主面20Bとを接着するとともに、対向した一対の第1実装端子T1及び第2実装端子T2を電気的に接続する。
【0042】
異方性導電膜ACFは、オーバーコート層OCの突出部R1aの一部を覆う。以下の説明においては、異方性導電膜ACFがオーバーコート層OCを覆う領域を重畳領域OLと呼ぶ。また、第2主面20Bにおいて、オーバーコート層OCに覆われ且つ平面視で異方性導電膜ACFと重ならない領域を第1領域A1と呼び、異方性導電膜ACFに覆われ且つ平面視でオーバーコート層OCと重ならない領域を第2領域A2と呼ぶ。図5の例において、重畳領域OLは、第2方向Yにおける幅が概ね一定であり、第1方向Xに沿って長尺に延びている。各第1実装端子T1において、重畳領域OLと対向する面積及び位置は、概ね同一である。
【0043】
図6は、図5におけるVI−VI線に沿った断面を模式的に示す図である。第2絶縁基板20の第2主面20Bに形成された第1実装端子T1は、表示領域DAの側(図中左側)がオーバーコート層OCに覆われ、先端側(図中右側)がオーバーコート層OCから露出している。第1実装端子T1のオーバーコート層OCから露出した部分は、異方性導電膜ACFを介してフレキシブル配線基板FPC2の第2実装端子T2と対向している。
【0044】
異方性導電膜ACFは、多数の異方性導電粒子Rを含んでいる。異方性導電粒子Rは、例えば金属材料を絶縁層で覆った球体である。フレキシブル配線基板FPC2を実装する際には、フレキシブル配線基板FPC2を異方性導電膜ACFの上に配置し、熱を加えながらフレキシブル配線基板FPC2を加圧する。このとき、第1実装端子T1と第2実装端子T2との間にある異方性導電粒子Rが潰れ、当該粒子Rの絶縁層から内部の金属材料が露出し、第1実装端子T1と第2実装端子T2とがこの潰れた粒子Rを介して導通する。なお、平面視で横並びの第1実装端子T1と第2実装端子T2、第1実装端子T1同士、第2実装端子T2同士の絶縁性はいずれも保たれる。
【0045】
一般に、金属材料で形成された第1実装端子T1とオーバーコート層OCとの密着性は、ガラスなどの材料で形成された第2絶縁基板20とオーバーコート層OCとの密着性に比べて低い。したがって、第1実装端子T1の近傍においては、オーバーコート層OCの剥離が懸念される。このような剥離は、例えば、製造時や修理時などにおいてフレキシブル配線基板FPC2を剥がす必要がある場合に生じ得る。すなわち、フレキシブル配線基板FPC2を剥がすべく、フレキシブル配線基板FPC2に対して第2主面20Bの法線方向への力を加えると、重畳領域OLにおいては異方性導電膜ACFの粘着力によりオーバーコート層OCにも当該法線方向への力が加わる。このとき、第1実装端子T1とオーバーコート層OCとの間の密着性が弱いことから、第1実装端子T1の近傍においてはオーバーコート層OCが第2主面20B或いは第1実装端子T1から剥離し得る。
【0046】
なお、オーバーコート層OCの剥離の問題は、液晶表示パネルPNLの外面(第2絶縁基板20の第2主面20B)に検出電極Rxを形成していることにも起因する。すなわち、オーバーコート層OCは、例えば樹脂材料をインクジェット方式(液滴吐出方式)等の印刷塗布により第2主面20Bに塗布した後に加熱工程を経てこの樹脂材料を硬化させて形成されるが、加熱工程の熱が液晶層LCなどに悪影響を与える恐れがあることから、温度を十分に高めることができない。低温(例えば120℃程度)の加熱工程を経て形成されたオーバーコート層OCは、高温の加熱工程(例えば220℃程度)を経て形成されたオーバーコート層OCに比べて第2主面20B及び第2主面20B上の金属材料との密着性が一般的に低くなる。
【0047】
上記の印刷塗布によりオーバーコート層OCが形成される場合、第2主面20B及び金属材料の濡れ性の違いから、第1実装端子T1の近傍においてオーバーコート層OCの端部形状異常が生じ得るとの問題もある。
図7は、この端部形状異常の一例を説明するための図であり、複数の第1実装端子T1とこれら第1実装端子T1を覆うオーバーコート層OC(突出部R1a)とを平面的に表している。オーバーコート層OCの端部付近に示す1点鎖線は、この端部を合せる設計上の目標位置TGである。オーバーコート層OCを形成する樹脂材料は、第2主面20Bに塗布された直後の液体状態において、第1実装端子T1が設けられていない領域では目標位置TG付近で留まるが、第1実装端子T1の上では金属材料の濡れ性が高いことから目標位置TGを超えて第1実装端子T1の先端側に流れる。したがって、オーバーコート層OCは、第1実装端子T1の上で突出し、端部形状が乱れる。このような乱れは、第1実装端子T1と第2実装端子T2との電気的な接続を妨げ得る。
【0048】
本実施形態においては、第1実装端子T1の形状を工夫することにより、オーバーコート層OCの剥離や端部形状異常を防止する。図8を用いて、このような第1実装端子T1の形状の概要を説明する。第1実装端子T1は、少なくとも重畳領域OLと重なる部分(ハッチングを付した部分)において、第1実装端子T1を構成する金属材料が部分的に除去されたパターニング形状を有する。
【0049】
他の観点から言えば、第1実装端子T1は、重畳領域OLにおいて単位面積当たりに含まれる金属材料の面積(面積配置率)が他の領域よりも小さい。ここで、第1領域A1における第1実装端子T1の第2方向Yに沿う長さをL1、重畳領域OLにおける第1実装端子T1の第2方向Yに沿う長さをL2、第2領域A2における第1実装端子T1の第2方向Yに沿う長さをL3とする。また、第1実装端子T1の第1方向Xにおける幅をWとする。さらに、第1領域A1において第1実装端子T1を構成する金属材料が配置された面積をS1、重畳領域OLにおいて第1実装端子T1を構成する金属材料が配置された面積をS2、第2領域A2において第1実装端子T1を構成する金属材料が配置された面積をS3とする。この場合、上記面積配置率は、例えば、S1/(L1・W)、S2/(L2・W)、S3/(L3・W)と定義することができ、S2/(L2・W)<S1/(L1・W),S3/(L3・W)が成立する。また、幅Wが一定でない場合などには、面積配置率をS1/L1、S2/L2、S3/L3と定義しても良い。この場合、S2/L2<S1/L1,S3/L3が成立する。
【0050】
以上のような構成の第1実装端子T1を採用すれば、フレキシブル配線基板FPC2を剥がす際にオーバーコート層OCに力が加わる重畳領域OLにおいて、オーバーコート層OCとの密着性が高い第2主面20Bとオーバーコート層OCとの接触面積を増やすことができる。したがって、オーバーコート層OCが剥離し難くなる。また、第1実装端子T1の上に塗布されたオーバーコート層OCの樹脂材料は、第1実装端子T1を構成する金属材料が部分的に除去された領域において金属材料との接触面積が小さいために流れ難くなり、オーバーコート層OCの端部形状異常が防がれる。
【0051】
以下に、第1実装端子T1に適用し得る形状のいくつかの実施例を開示する。各実施例においては、同一又は類似する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施例)
図9は、第1実施例に係る第1実装端子T1の形状を示す図である。この第1実装端子T1は、オーバーコート層OCに覆われ且つ平面視で異方性導電膜ACFと重ならない第1部分P1と、異方性導電膜ACFに覆われ且つ平面視でオーバーコート層OCと重ならない第2部分P2と、平面視で重畳領域OLと少なくとも一部が重なり第1部分P1及び第2部分P2を接続する第3部分P3と、を備えている。図9の例において、第1部分P1は第1領域A1に位置し、第2部分P2は第2領域A2に位置し、第3部分P3は第1領域A1、重畳領域OL、及び第2領域A2に亘っている。
【0052】
本実施例において、第3部分P3は、第1方向Xにおける幅が第1部分P1、第2部分P2、及びリード線LN3のいずれよりも小さい線部30を有している。図9の例においては、第1部分P1及び第2部分P2の幅は同一であり、かつ線部30の幅よりも大きい。線部30は、第2方向Yに沿って延び、第1部分P1及び第2部分P2を接続している。このような線部30を有する第3部分P3は、上述のパターニング形状の一例である。
【0053】
第2部分P2は、線部30の延長線上に開口部40を有している。また、第2部分P2は、第1方向Xにおける両端部に切欠き部41を有している。図9の例において、開口部40及び切欠き部41は、第2方向Yに2つ連続して設けられている。これら開口部40及び切欠き部41は、オーバーコート層OCの樹脂材料が流れて第2部分P2に浸入することを防ぐ役割を担う。すなわち、第2主面20Bに塗布されたオーバーコート層OCの樹脂材料が線部30に沿って第2部分P2に向けて流れたとしても、この樹脂材料は線部30の延長線上にある開口部40や第2部分P2の両端部にある切欠き部41によって食い止められる。したがって、第2部分P2においては、フレキシブル配線基板FPC2との良好な導通性が確保できる。
【0054】
第1部分P1、第2部分P2、第3部分P3のサイズは、オーバーコート層OC及び異方性導電膜ACFの公差などを考慮して、適切な値に定められる。一例として、オーバーコート層OCの端部位置の公差は約±0.1mmであり、異方性導電膜ACFの端部位置の公差は約±0.225mmであり、第1部分P2の第2方向Yにおける長さLaは約0.2mmであり、第1部分P1と第3部分P3との境界から開口部40及び切欠き部41の端部までの第2方向Yにおける長さLbは約0.25mmであり、開口部40及び切欠き部41の端部から第2部分P2の第2方向Yにおける端部までの第2方向Yにおける長さLcは約0.6mmである。
【0055】
(第2実施例)
図10は、第2実施例に係る第1実装端子T1の形状を示す図である。この第1実装端子T1は、第1実施例と同じく、第1部分P1と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備えている。
本実施例において、第3部分P3は、2本の線部31を有している。図10の例において、2本の線部31の第1方向Xにおける幅は同一であり、かつリード線LN3の幅よりも小さい。2本の線部31は、いずれも第2方向Yに沿って延び、第1部分P1及び第2部分P2を接続している。このような2本の線部31を有する第3部分P3は、上述のパターニング形状の一例である。
【0056】
第2部分P2は、各線部31の延長線上にそれぞれ開口部40を有している。図9の場合と同じく、これらの開口部40を第2方向Yに沿って複数設けても良い。
本実施例のように2本の線部31を設けた場合には、第1部分P1及び第2部分P2が複数の経路にて接続されるため、いずれかの線部31が断線した場合であっても第1部分P1及び第2部分P2の導通を確保できる。
なお、本実施例では2本の線部31にて第1部分P1及び第2部分P2が接続される場合を説明したが、3本以上の線部31にて第1部分P1及び第2部分P2が接続されても良い。
【0057】
(第3実施例)
図11は、第3実施例に係る第1実装端子T1の形状を示す図である。この第1実装端子T1は、第1実施例と同じく、第1部分P1と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備えている。
【0058】
本実施例において、第3部分P3は、複数回に亘って屈曲した線部32を有している。図11の例において、線部32は、第1部分P1との接続位置から第2方向Yに沿って延び、その後、約90°の屈曲を複数回に亘って繰り返し、最終的には再び第2方向Yに沿って延びて第2部分P2に接続されている。このような線部32を有する第3部分P3は、上述のパターニング形状の一例である。
【0059】
図11の例において、線部32の幅は全長に亘って概ね一定であり、かつリード線LN3の幅よりも小さい。線部32及び第1部分P1の接続位置C1と、線部32及び第2部分P2の接続位置C2は、第1方向Xにおいて離れている。
第2部分P2は、接続位置C1から第2方向Yに延びる線部32の延長線上と、接続位置C2に向けて第2方向Yに延びる線部32の延長線上とに、それぞれ開口部40を有している。図9の場合と同じく、これらの開口部40を第2方向Yに沿って複数設けても良い。
【0060】
本実施例のように第2部分P2が屈曲した線部32を含む場合には、オーバーコート層OCと第2主面20Bとが接触する部分を重畳領域OL付近で分散して形成できる。これにより、オーバーコート層OCがより一層剥離し難くなる。また、オーバーコート層OCの樹脂材料が第2方向Yに沿って流れたとしても、この屈曲した線部32により堰き止められる。さらに、線部32の上をこの樹脂材料が流れた場合であっても、屈曲部分でこの流れを止めることができる。
なお、本実施例では線部32が約90°に屈曲する例を説明したが、鋭角或いは鈍角にて線部32が屈曲しても良い。また、線部32は、円弧状に蛇行する形状であっても良い。この場合でも同様の作用を得ることができる。
【0061】
(第4実施例)
図12は、第4実施例に係る第1実装端子T1の形状を示す図である。この第1実装端子T1は、第1実施例と同じく、第1部分P1と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備えている。
【0062】
本実施例において、第3部分P3は、第1方向Xに沿って延びる複数の線部33と、複数の接続部34と、を有している。接続部34は、隣り合う線部33の間に配置され、これら線部33を接続する。また、接続部34は、第1部分P1と第1部分P1に最も近い線部33との間、及び、第2部分P2と第2部分P2に最も近い線部33との間にも配置され、これら線部33と第1部分P1及び第2部分P2とを接続している。このような線部33及び接続部34を有する第3部分P3は、上述のパターニング形状の一例である。
【0063】
図12の例において、線部33の第2方向Yにおける幅及び接続部34の第1方向Xにおける幅は、リード線LN3の幅よりも小さい。
オーバーコート層OCの樹脂材料をインクジェット方式により塗布する場合において、線部33及び接続部34にて囲われる領域に樹脂材料が着滴しなかった場合には、当該領域にオーバーコート層OCが形成されない可能性がある。そこで、線部33及び接続部34にて囲われる領域がインクジェット装置のヘッドから吐出される樹脂材料の液滴のピッチ(解像度)よりも小さくなるように、線部33及び接続部34のサイズや配置間隔を調整しても良い。一例として、上記ピッチは第1方向X及び第2方向Yにおいてそれぞれ約70μmである。
【0064】
図12の例においては、1本の線部33に対して第1部分P1の側に接続される接続部34の数と、第2部分P2の側に接続される接続部34の数とが異なっている(1つ或いは2つ)。また、1本の線部33に対して第1部分P1の側に接続される接続部34の位置と、第2部分P2の側に接続される接続部34の位置とが第1方向Xにおいて離れている。
【0065】
第2部分P2は、第2部分P2に接続部34が接続された位置の近傍に、それぞれ開口部40を有している。図9の場合と同じく、これらの開口部40を第2方向Yに沿って複数設けても良い。
本実施例のように線部33及び接続部34によって第3部分P3を形成した場合には、オーバーコート層OCと第2主面20Bとが接触する部分を重畳領域OL付近で分散して形成できる。これにより、オーバーコート層OCがより一層剥離し難くなる。また、オーバーコート層OCの樹脂材料が第2方向Yに沿って流れたとしても、各線部33及び各接続部34により形成される開口部より堰き止められる。さらに、線部33及び接続部34の上をこの樹脂材料が流れた場合であっても、各接続部34の位置が第2方向Yに連続していないため、この流れを止めることができる。
【0066】
(第5実施例)
図13は、第5実施例に係る第1実装端子T1の形状を示す図である。この第1実装端子T1は、第1実施例と同じく、第1部分P1と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備えている。
本実施例において、第3部分P3は、複数の第1線部35と、これら第1線部35と交差する複数の第2線部36と、を有している。第1線部35及び第2線部36は、いずれも第1方向X及び第2方向Yと交差する方向に延び、第1部分P1、第2部分P2、或いはこれらの双方と接続されている。このような第1線部35及び第2線部36を有する第3部分P3は、上述のパターニング形状の一例である。
【0067】
図13の例において、第1線部35及び第2線部36の幅は、リード線LN3の幅よりも小さい。
第2部分P2は、第2部分P2に第1線部35及び第2線部36の双方が接続された位置の近傍に、それぞれ開口部40を有している。図9の場合と同じく、これらの開口部40を第2方向Yに沿って複数設けても良い。
【0068】
本実施例のように複数の第1線部35及び複数の第2線部36によって第3部分P3を形成した場合には、オーバーコート層OCと第2主面20Bとが接触する部分を重畳領域OL付近で分散して形成できる。これにより、オーバーコート層OCがより一層剥離し難くなる。また、オーバーコート層OCの樹脂材料が第2方向Yに沿って流れたとしても、各第1線部35及び各第2線部36により形成される開口部より堰き止められる。さらに、第1部分P1及び第2部分P2が複数の経路にて接続されるため、いずれかの第1線部35或いは第2線部36が断線した場合であっても第1部分P1及び第2部分P2の導通を確保できる。
【0069】
(第6実施形態)
図14は、第6実施例に係る第1実装端子T1の形状を示す図である。この第1実装端子T1は、第1実施例と同じく、第1部分P1と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備えている。
本実施例において、第3部分P3は、スリット37,38,39を有している。スリット37,38は、円弧状の形状を有している。スリット39は、第1方向Xに並ぶ半円弧状の2つのスリットを接続した形状を有している。このようなスリット37,38,39を有する第3部分P3は、上述のパターニング形状の一例である。
【0070】
図14の例において、スリット37,38,39の幅は、リード線LN3の幅よりも小さい。
第2部分P2は、第1方向Xにおける中心付近に開口部40を有している。図9の場合と同じく、この開口部40を第2方向Yに沿って複数設けても良い。
本実施例のように第3部分P3にスリット37,38,39を形成した場合であっても、重畳領域OLにおける金属材料の面積配置率を小さくし、オーバーコート層OCの剥離を防止することができる。また、オーバーコート層OCの樹脂材料が第2方向Yに流れたとしても、この樹脂材料はスリット37,38,39によって堰き止められる。本実施例においてはスリット37,38,39が円弧状であるため、この樹脂材料はスリット37,38,39によりスムーズに流れ方向を変えて案内されるので、第2部分P2に到達し難い。
【0071】
発明者は、第1実施例に係る第1実装端子T1につき、オーバーコート層OCの端部形状異常の観点から、最適な線部30の幅を検証した。図15は、当該検証の概要を示す図である。この検証においては、ガラス基板の上にリード線LN3及び第1実装端子T1を形成し、その上にオーバーコート層OCを形成し、線部30の上で突出するオーバーコート層OCの長さLX1を計測した。リード線LN3の幅W1及び線部30の幅W2は複数通りに変化させた。
【0072】
図16は、長さLX1を計測した結果を示す表である。リード線LN3の幅W1が100μmの場合において、線部30の幅W2を120μm、105μm、95μm、50μm、25μm、18μm、10μmの7通りに変化させたところ、長さLX1はそれぞれ約92μm、約85μm、約52μm、約30μm、約18μm、約2μm、約1μmとなった。また、リード線LN3の幅W1が50μmの場合において、線部30の幅W2を60μm、50μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μmの7通りに変化させたところ、長さLX1はそれぞれ約71μm、約25μm、約19μm、約16μm、約12μm、約3μm、約1μmとなった。この結果から、線部30の幅W2が小さいほど長さLX1を小さくできることが判る。特に、幅W1が100μmの場合には幅W2を105μmから95μmに減らすことで急激に長さLX1が小さくなり、幅W1が50μmの場合には幅W2を60μmから50μmに減らすことで急激に長さLX1が小さくなっていることから、幅W2を幅W1と同等或いはそれ未満とすることでオーバーコート層OCの端部形状異常を大幅に改善できることが判る。
さらには、幅W2を幅W1の約1/5以下(W2/W1≦1/5)とすることで、長さLX1が著しく小さくなることが判る。したがって、この条件を満たすように幅W2を定めることで、オーバーコート層OCの端部形状異常をより一層改善することが可能である。
【0073】
発明者は、第4実施例に係る第1実装端子T1についても、同様の検証を行った。図17は、当該検証の概要を示す図である。この検証においては、ガラス基板の上にリード線LN3及び第1実装端子T1を形成し、その上にオーバーコート層OCを形成し、接続部34の上で突出するオーバーコート層OCの長さLX2を計測した。リード線LN3の幅W1及び接続部34の幅W3は複数通りに変化させた。
【0074】
図18は、長さLX2を計測した結果を示す表である。リード線LN3の幅W1が120μmの場合において、接続部34の幅W3を125μm、115μm、90μm、50μm、30μm、15μm、10μmの7通りに変化させたところ、長さLX2はそれぞれ約89μm、約65μm、約40μm、約29μm、約7μm、約1μm、約0μmとなった。また、リード線LN3の幅W1が60μmの場合において、接続部34の幅W3を65μm、55μm、40μm、30μm、20μm、10μm、5μmの7通りに変化させたところ、長さLX2はそれぞれ約59μm、約24μm、約21μm、約20μm、約9μm、約1μm、約0μmとなった。この結果から、接続部34の幅W3が小さいほど長さLX2を小さくできることが判る。特に、幅W1が120μmの場合には幅W3を125μmから115μmに減らすことで急激に長さLX2が小さくなり、幅W1が60μmの場合には幅W3を65μmから55μmに減らすことで急激に長さLX2が小さくなっていることから、幅W3を幅W1と同等或いはそれ未満とすることでオーバーコート層OCの端部形状異常を大幅に改善できることが判る。
さらには、幅W3を幅W1の約1/5以下(W3/W1≦1/5)とすることで、長さLX2が著しく小さくなることが判る。したがって、この条件を満たすように幅W3を定めることで、オーバーコート層OCの端部形状異常をより一層改善することが可能である。
【0075】
なお、第2実施例における線部31、第3実施例における線部32、第5実施例における第1線部35及び第2線部36についても、それらの幅をリード線LN3の幅W1と同等或いはそれ未満とすることで、オーバーコート層OCの端部形状異常を好適に改善することが可能である。
【0076】
以上説明した実施形態において開示した構成は、種々の態様に変形することが可能である。例えば、第1実装端子T1の形状は、第1乃至第6実施例に開示したものに限られず、種々の形状の線部やスリット或いはこれらの組み合わせを用いて第3部分P3を構成することができる。
【0077】
本実施形態においては、検出電極と駆動電極とを用いてセンシングする方式(相互容量検出方式などと呼ばれる)のセンサSEを開示した。しかしながら、センサSEは、例えば検出電極自体が有する容量を利用してセンシングする方式(セルフ容量検出方式などと呼ばれる)など、他種の方式のセンサであっても良い。
また、本実施形態では、検出電極のみが第2基板SUB2の第2主面20Bの上に設けられている構成について開示した。しかしながら、第2基板SUB2の第2主面20Bの上に検出電極のみならず駆動電極をも設ける構成を採用することも可能である。この場合、額縁領域FAに形成される複数の第1実装端子T1は、検出電極のみならず駆動電極と接続されたものを含むものとなる。
【0078】
セルフ容量検出方式においては、各検出電極Rxにセンサ駆動信号を供給するとともに各検出電極Rxからセンサ出力信号を読み出す。表示領域DAに接触或いは接近する物体は、検出電極Rx自体が有する容量に影響を与えるために、検出電極Rxから得られるセンサ出力信号に基づけば、各検出電極Rxの配列方向における物体の位置を検出することが可能である。検出電極Rxは、表示領域DAにおいて第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列されても良い。この場合においては、第1方向X及び第2方向Yの2次元で物体の位置を検出することが可能である。
【0079】
本実施形態においては、液晶表示パネルPNLの共通電極CEを検出に利用するいわゆるインセル型のセンサSEを示した。しかしながら、センサSEは、液晶表示パネルPNLの外部に配置された共通電極CEとは別途の駆動電極と、検出電極Rxとを備えるものであっても良い。この場合、駆動電極及び検出電極Rxは、絶縁層を介して対向配置されても良いし、同層において交互に配置されても良い。
【0080】
本実施形態においては、検出電極Rx及びリード線LN3が第1実装端子T1と同じく金属材料で構成される場合を例示した。しかしながら、検出電極Rx及びリード線LN3の少なくとも一方がITOなどの透明な導電材料で形成されていても良い。また、リード線LN3や第1実装端子T1は、ITOなどの透明な導電材料と金属材料の積層体で構成されていても良い。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
DSP…液晶表示装置、PNL…液晶表示パネル、SE…センサ、Rx…検出電極、DA…表示領域、LC…液晶層、CE…共通電極、OC…オーバーコート層、RC…検出回路、T1…第1実装端子、T2…第2実装端子、ACF…異方性導電膜、OL…重畳領域、A1…第1領域、A2…第2領域、P1…第1部分、P2…第2部分、P3…第3部分、FPC2…フレキシブル配線基板、LN3…リード線、20…第2絶縁基板、30…線部、40…開口部。
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