(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態による電源装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態による電源装置1の一例を示すブロック図である。
この図に示すように、電源装置1は、三相交流電源(R、S、T)から所定の直流電圧を出力する電源装置である。電源装置1は、PFC(Power Factor Correction:力率改善)部2−1〜2−3と、DC/DCコンバータ10−1〜10−3とを備えている。
【0017】
PFC部2−1は、U相用のPFC回路であり、PFC部2−2は、V相用のPFC回路であり、PFC部2−3は、W相用のPFC回路である。なお、この図において、PFC部2−1、PFC部2−2、及びPFC部2−3は、同一の構成であり、電源装置1が備える任意のPFC部を示す場合、又は特に区別しない場合にはPFC部2として説明する。
PFC部2は、力率改善回路であり、高周波電流成分を除去して、入力された交流電力を直流電力に変換して出力する。
【0018】
DC/DCコンバータ10−1は、PFC部2−1から供給されるU相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。また、DC/DCコンバータ10−2は、PFC部2−2から供給されるV相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。また、DC/DCコンバータ10−3は、PFC部2−3から供給されるW相から変換した直流電力を、所定の直流電圧に変換して出力する。
なお、この図において、DC/DCコンバータ10−1、DC/DCコンバータ10−2、及びDC/DCコンバータ10−3は、同一の構成であり、電源装置1が備える任意のDC/DCコンバータを示す場合、又は特に区別しない場合にはDC/DCコンバータ10として説明する。
DC/DCコンバータ10は、例えば、PFC部2から供給された直流電力を所定の直流電圧に変換する直流−直流変換回路である。DC/DCコンバータ10は、フルブリッジ方式のDC/DCコンバータである。ここで、
図2を参照して、DC/DCコンバータ10の構成例について説明する。
【0019】
図2は、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、DC/DCコンバータ10は、電流検出部11と、電圧検出部12と、制御部13と、フルブリッジ回路20と、ドライバ部40と、平滑コンデンサ(Ci、Co)と、トランスTL1と、直列リアクトルL1と、ダイオード(D5、D6)と、整流ダイオード(D7、D8)と、チョークコイルL2とを備えている。また、フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1〜Q4と、共振コンデンサC5と、寄生容量C1〜C4と、ボディダイオードD1〜D4とを備えている。
【0020】
平滑コンデンサCiは、入力の電源線VI(第1の電源線)と、電源線GND1(第2の電源線)との間に接続され、入力電圧を平滑化する。
【0021】
スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が電源線VIに、ソース端子がノードN1に、ゲート端子が駆動信号G1の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q1は、電源線VIと、後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q1は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C1及びボディダイオードD1を有している。
【0022】
スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子がノードN1に、ソース端子が電源線GND1に、ゲート端子が駆動信号G2の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q2は、電源線GND1と、後述する一次側コイルTL11の第1端との間に接続されている。また、スイッチング素子Q2は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C2及びボディダイオードD2を有している。
【0023】
スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子が電源線VIに、ソース端子がノードN2に、ゲート端子が駆動信号G3の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q3は、電源線VIと、後述する一次側コイルTL11の第2端(ノードN3)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q3は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C3及びボディダイオードD3を有している。
【0024】
スイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子の一例)は、ドレイン端子がノードN2に、ソース端子が電源線GND1に、ゲート端子が駆動信号G4の信号線に、それぞれ接続されている。すなわち、スイッチング素子Q4は、電源線GND1と、後述する一次側コイルTL11の第2端(ノードN3)との間に接続されている。また、スイッチング素子Q4は、ドレイン端子−ソース端子間に、寄生容量C4及びボディダイオードD4を有している。
【0025】
トランスTL1は、一次側コイルTL11と、センタタップ付きの二次側コイルTL12とを有し、一次側コイルTL11に供給された電力を変換して二次側コイルTL12に出力する。
一次側コイルTL11は、フルブリッジ回路20に接続される。一次側コイルTL11は、例えば、第1端が、共振コンデンサC5を介してスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2に接続されている。すなわち、一次側コイルTL11の第1端は、共振コンデンサC5を介してノードN1に接続されている。また、一次側コイルTL11は、例えば、第2端がノードN3に接続され、第2端は、直列リアクトルL1を介してスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4に接続されている。すなわち、一次側コイルTL11の第2端は、直列リアクトルL1を介してノードN2に接続されている。
直列リアクトルL1は、一次側コイルTL11と直列に接続され、寄生容量C1〜C4、及び配線容量との共振により、スイッチング素子Q1〜Q4のZVS(Zero Voltage Switching)動作を実現する。
【0026】
二次側コイルTL12は、第1端がノードN4に接続され、第2端がノードN5に接続されている。また、二次側コイルTL12は、センタタップを有し、センタタップがノードN6に接続されている。なお、センタタップは、チョークコイルL2に接続されている。また、二次側コイルTL12は、後述する整流回路30に接続されている。
【0027】
ダイオードD5は、アノード端子が一次側コイルTL11の第1端であるノードN3に接続され、カソード端子が電源線VIに接続されている。ダイオードD5は、クランプダイオードとして機能する。
ダイオードD6は、アノード端子が電源線GND1に接続され、カソード端子が一次側コイルTL11の第1端であるノードN3に接続されている。ダイオードD5は、クランプダイオードとして機能する。
【0028】
整流ダイオードD7は、アノード端子が出力の電源線GND2に接続され、カソード端子が二次側コイルTL12の第1端であるノードN4に接続されている。また、整流ダイオードD8は、アノード端子が出力の電源線GND2に接続され、カソード端子が二次側コイルTL12の第2端であるノードN5に接続されている。
整流ダイオードD7及び整流ダイオードD8は、整流回路30に含まれ、両波整流回路として機能する。
【0029】
チョークコイルL2は、二次側コイルTL12のセンタタップに接続されたノードN6に第1端が接続され、第2端が出力の電源線VOに接続されている。チョークコイルL2は、後述する平滑コンデンサCoとともに、DC/DCコンバータ10が出力する直流電力の平滑化に利用される。
平滑コンデンサCoは、出力の電源線VOと、電源線GND2との間に接続され、出力電圧を平滑化する。
ここで、負荷RLは、DC/DCコンバータ10が出力する直流電力を消費する負荷を示している。
【0030】
電流検出部11は、一次側コイルTL11に入力される電流を検出する。電流検出部11は、検出した電流を電圧に変換した信号Viとして制御部13に出力する。
電圧検出部12は、DC/DCコンバータ10の出力電圧を検出して、フィードバック電圧信号である信号Voとして制御部13に出力する。電圧検出部12は、DC/DCコンバータ10の出力電圧を、基準電圧Vrefと比較するためにレベル変換して、信号Voを出力する。
【0031】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)などを含むプロセッサであり,フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4のON(オン)状態(導通状態)及びOFF(オフ)状態(非導通状態)を制御する。制御部13は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4のゲート端子の電圧を制御する駆動信号G1、駆動信号G2、駆動信号G3、及び駆動信号G4を、ドライバ部40を介して出力する。
【0032】
また、制御部13は、通常の負荷時(軽負荷時でない場合)に、例えば、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御するとともに、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をカレントモード制御する。すなわち、制御部13は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をPWM(パルス幅変調)により制御する。
また、制御部13は、軽負荷時に、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2をPWM(パルス幅変調)により制御するとともに、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。なお、制御部13によるスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4の制御の詳細については後述する。
【0033】
ドライバ部40は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4の制御用の信号を、各スイッチング素子の駆動用の電圧に変換して、各スイッチング素子のゲート端子に供給する。ドライバ部40は、例えば、ドライバ41〜44を備えている。
【0034】
ドライバ41は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q1の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q1を駆動する駆動信号G1をスイッチング素子Q1のゲート信号に供給する。
ドライバ42は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q2の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q2を駆動する駆動信号G2をスイッチング素子Q2のゲート信号に供給する。
ドライバ43は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q3の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q3を駆動する駆動信号G3をスイッチング素子Q3のゲート信号に供給する。
ドライバ44は、制御部13から出力されたスイッチング素子Q4の制御信号に基づいて、スイッチング素子Q4を駆動する駆動信号G4をスイッチング素子Q4のゲート信号に供給する。
【0035】
次に、
図3を参照して、制御部13による通常の負荷時におけるスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4の制御について説明する。
図3は、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、波形W1〜W4の各波形は、上から順に、駆動信号G1〜G4の電圧波形を示している。また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は論理レベルを示している。
【0036】
時刻T1において、制御部13は、まず、スイッチング素子Q1の駆動信号G1及びスイッチング素子Q4の駆動信号G4をH(High:ハイ)状態にする。なお、この場合、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2及びスイッチング素子Q3の駆動信号G3をL(Low:ロウ)状態に維持する。これにより、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q4がON状態になり、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q3がOFF状態になる。その結果、電源線VIからスイッチング素子Q1、共振コンデンサC5、一次側コイルTL11、直列リアクトルL1、及びスイッチング素子Q4の経路により電流が流れる。これにより、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生し、二次側コイルTL12は、整流回路30を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
【0037】
制御部13は、電圧検出部12の出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、電流検出部11が検出した電流値が所定の値に達するまで、スイッチング素子Q4のオン状態を維持する。また、制御部13は、スイッチング素子Q1のON状態の期間(ターンオン期間)が所定のデューティ(所定の固定のデューティ)になるようにスイッチング素子Q1のオン状態を維持する。
【0038】
時刻T2において、電流検出部11が検出した電流値が所定の値に達し、制御部13は、駆動信号G4をL状態にして、スイッチング素子Q4をオフ状態にする。このスイッチング素子Q4のON状態の期間DT2は、出力信号Vo及び負荷RLの消費電流により変化する。すなわち、制御部13は、カレントモード制御によりPWM(パルス幅変調)して、スイッチング素子Q4のON状態の期間DT2を制御する。
【0039】
また、時刻T3において、スイッチング素子Q1のON状態の期間が所定のデューティに達し、制御部13は、駆動信号G1をL状態にして、スイッチング素子Q1をオフ状態にする。ここで、所定のデューティとは、例えば、期間TT1におけるオン状態の期間DT1の割合(例えば、50%など)であり、予め定められた1周期(期間TT1)当たりの導通時間(期間DT1)の比率(DT1/TT1×100)を示す時比率である。なお、本実施形態では、この所定のデューティを約50%として説明する。
このように、制御部13は、軽負荷時でない場合に、第1の期間(例えば、期間DT1)において、スイッチング素子Q1を所定の固定のデューティによりON状態に制御するとともに、スイッチング素子Q4をカレントモード制御によりON状態に制御する。
【0040】
次に、時刻T4において、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2及びスイッチング素子Q3の駆動信号G3をH状態にする。なお、この場合、制御部13は、スイッチング素子Q1の駆動信号G1及びスイッチング素子Q4の駆動信号G4をL状態に維持する。これにより、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q3がON状態になり、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q4がOFF状態になる。その結果、電源線VIからスイッチング素子Q3、直列リアクトルL1、一次側コイルTL11、共振コンデンサC5、及びスイッチング素子Q2の経路により電流が流れる。これにより、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生し、二次側コイルTL12は、整流回路30を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
【0041】
制御部13は、電圧検出部12の出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、電流検出部11が検出した電流値が所定のピーク値に達するまで、スイッチング素子Q3のオン状態を維持する。また、制御部13は、スイッチング素子Q2のON状態の期間(ターンオン期間)が所定のデューティ(所定の固定のデューティ)になるようにスイッチング素子Q2のオン状態を維持する。
【0042】
時刻T5において、電流検出部11が検出した電流値が所定の値に達し、制御部13は、駆動信号G3をL状態にして、スイッチング素子Q3をオフ状態にする。このスイッチング素子Q3のON状態の期間DT4は、出力信号Vo及び負荷RLの消費電流により変化する。すなわち、制御部13は、カレントモード制御によりPWM(パルス幅変調)して、スイッチング素子Q3のON状態の期間DT4を制御する。
【0043】
また、時刻T6において、スイッチング素子Q2のON状態の期間が所定のデューティに達し、制御部13は、駆動信号G2をL状態にして、スイッチング素子Q2をオフ状態にする。
このように、制御部13は、軽負荷時でない場合に、第2の期間(例えば、期間DT3)において、スイッチング素子Q2を所定のデューティによりON状態に制御するとともに、スイッチング素子Q3をカレントモード制御によりON状態に制御する。
【0044】
続く時刻T7〜時刻T12までの処理は、上述した時刻T1〜時刻T6までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。このように、制御部13は、第1の期間(期間DT1)の処理と第2の期間(期間DT3)の処理とを交互に繰り返して、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4のON状態及びOFF状態を制御する。
【0045】
なお、
図3において、時刻T2から時刻T4の期間に、スイッチング素子Q3がZVS動作し、時刻T5から時刻T7の期間に、スイッチング素子Q4がZVS動作する。また、時刻T3から時刻T4の期間に、スイッチング素子Q2がZVS動作し、時刻T6から時刻T7の期間に、スイッチング素子Q1がZVS動作する。また、これらの各期間(ΔT)は、負荷電流値により予め設定されているものとする。
【0046】
次に、
図4を参照して、上述のような制御を行う制御部13の構成例について説明する。
図4は、本実施形態による制御部13の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、制御部13は、制御信号生成部131と、コンパレータ(132、133)と、OR(オア)回路134と、RSフリップフロップ135とを備えている。
なお、この図に示す例は、説明上、駆動信号G1及び駆動信号G4を生成する構成について記載しているが、基本的には、駆動信号G2及び駆動信号G3を生成する構成も同様であり、ここではその説明を省略する。
【0047】
制御信号生成部131は、駆動信号G1及び駆動信号G4を制御するための各種制御信号を生成する。制御信号生成部131は、例えば、スイッチング素子Q1を所定のデューティによりON状態にするために、コントロール電圧Vc1に、所定の電圧値を出力する。また、制御信号生成部131は、上述した周期(期間TT1)により鋸歯状波信号S1を生成する。制御信号生成部131は、生成したコントロール電圧Vc1及び鋸歯状波信号S1をコンパレータ132の入力信号として出力する。
【0048】
また、制御信号生成部131は、例えば、基準電圧Vrefと、フィードバック電圧信号である信号Voとに基づいて、カレントモード制御のコントロール電圧Vc2を生成する。制御信号生成部131は、例えば、PID(Proportional-Integral-Derivative)制御に基づいて、コントロール電圧Vc2を生成する。制御信号生成部131は、信号Voが基準電圧Vrefに一致するように、コントロール電圧Vc2の電圧値を変更する。制御信号生成部131は、生成したコントロール電圧Vc2をコンパレータ133の入力信号(−入力端子の入力信号)として出力する。
また、制御信号生成部131は、カレントモード制御の際に後述するRSフリップフロップ135を周期的にセットする信号CLK1を生成し、生成した信号CLK1をRSフリップフロップ135のS端子(セット端子)に出力する。また、制御信号生成部131は、RSフリップフロップ135をリセットする信号RSTを生成し、生成した信号RSTをOR回路134に出力する。なお、制御信号生成部131は、カレントモード制御の際に信号RSTにL状態を出力する。
【0049】
なお、制御部13は、軽負荷時に、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2をPWM(パルス幅変調)により制御するとともに、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。そのため、制御信号生成部131は、軽負荷時に、例えば、基準電圧Vrefと、フィードバック電圧信号である信号Voとに基づいて、スイッチング素子Q1をPWM制御するコントロール電圧Vc1を生成する。この場合、制御信号生成部131は、信号Voが基準電圧Vrefに一致するように、コントロール電圧Vc1の電圧値を変更する。また、制御信号生成部131は、軽負荷時に、スイッチング素子Q4をOFF状態に制御するために、信号RSTにH状態を出力する。
ここで、制御信号生成部131は、軽負荷時であるか否かを信号Viのレベルによって判定する。すなわち、制御信号生成部131は、例えば、信号Viが所定の値以下が維持される(すなわち、消費電流が少ない)場合に、軽負荷時であると判定する。
【0050】
コンパレータ132は、−入力端子が上述した鋸歯状波信号S1の信号線に接続され、+入力端子が上述したコントロール電圧Vc1の信号線に接続される。コンパレータ132は、鋸歯状波信号S1の電圧と、コントロール電圧Vc1の電圧値とを比較して、鋸歯状波信号S1の電圧値がコントロール電圧Vc1の電圧値未満である場合にH状態を出力する。また、コンパレータ132は、鋸歯状波信号S1の電圧値がコントロール電圧Vc1の電圧値以上である場合にL状態を出力する。コンパレータ132の出力信号は、ドライバ41を介して駆動信号G1として出力される。
【0051】
コンパレータ133は、−入力端子が上述したコントロール電圧Vc2の信号線に接続され、+入力端子が上述した信号Viの信号線に接続される。コンパレータ133は、信号Viの電圧値と、コントロール電圧Vc2の電圧値とを比較して、信号Viの電圧値がコントロール電圧Vc2の電圧値未満である場合にL状態を出力する。コンパレータ133は、信号Viの電圧値がコントロール電圧Vc2の電圧値以上である場合にH状態を出力する。
【0052】
OR回路134は、2つの入力信号をOR論理演算(論理和演算)する演算回路である。OR回路134は、2つの入力端子に、上述した信号RST及びコンパレータ133の出力信号が供給され、当該2つの信号をOR論理演算した出力信号をRSフリップフロップ135のR端子(リセット端子)に出力する。
【0053】
RSフリップフロップ135は、信号CLK1がH状態になると、出力信号QをH状態に変更し、R端子がH状態になるまで、出力信号QをH状態に保持する。また、RSフリップフロップ135は、OR回路134の出力信号がH状態になると、出力信号QをL状態に変更し、S端子がH状態になるまで、出力信号QをL状態に保持する。RSフリップフロップ135の出力信号Qは、ドライバ44を介して駆動信号G4として出力される。
【0054】
なお、
図4に示す例では、図示を省略しているが、制御部13は、駆動信号G2を駆動信号G1と同様に生成し、駆動信号G3を駆動信号G4と同様に生成する。
【0055】
次に、
図5を参照して、上述した制御部13のカレントモード制御の動作について説明する。
図5は、本実施形態によるカレントモード制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、各信号は、上から順に、コンパレータ132の入力信号(S1、Vc1)、駆動信号G1、信号CLK1、コンパレータ133の入力信号(Vi、Vc2)、コンパレータ133の出力信号、及び駆動信号G4を示している。また、波形W5は、鋸歯状波信号S1の波形を示し、波形W6は、コントロール電圧Vc1の波形を示し、波形W7は、駆動信号G1の波形を示し、波形W8は、信号CLK1の波形を示している。また、波形W9は、コントロール電圧Vc2の波形を示し、波形W10は、信号Viの波形を示し、波形W11は、コンパレータ133の出力信号の波形を示し、波形W12は、駆動信号G4の波形を示している。
【0056】
この図において、横軸は時間を示し、縦軸は入力信号(S1、Vc1)及び入力信号(Vi、Vc2)が電圧を示し、その他の信号は、論理レベルを示している。ここで、時刻T1〜時刻T3、期間TT1、期間DT1、及び期間DT2は、
図3と同様である。
なお、この図に示す例は、説明上、駆動信号G1及び駆動信号G4を生成する場合の一例について記載しているが、基本的には、駆動信号G2及び駆動信号G3を生成する場合も同様であり、ここではその説明を省略する。
また、この図に示す例は、通常の負荷時(軽負荷時でない場合)であり、制御信号生成部131は、信号RSTにL状態を出力しているものとする。
【0057】
時刻T1において、鋸歯状波信号S1が0Vになると、コンパレータ132の出力がH状態になり、ドライバ41は、波形W7に示すように、H状態を出力する。なお、コントロール電圧Vc1(波形W6)は、スイッチング素子Q1が所定のデューティ(例えば、50%)によりH状態になるように、制御信号生成部131は、所定の電圧値を出力する。
【0058】
また、時刻T1において、制御信号生成部131は、波形W8に示すように、信号CLK1を所定の期間、H状態にする。これにより、RSフリップフロップ135は、H状態を出力し、ドライバ44が、駆動信号G4をH状態にする。
これにより、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q4がON状態になり、一次側コイルTL11に入力される電流波形に相当する信号Viが上昇する。
【0059】
次に、時刻T2において、信号Viの電圧値が、コントロール電圧Vc2に達すると、コンパレータ133は、波形W11に示すように、H状態を出力する。これにより、RSフリップフロップ135は、リセットされてL状態を出力し、ドライバ44が、駆動信号G4をL状態にする。その結果、スイッチング素子Q4が、OFF状態に制御される。
【0060】
次に、時刻T3において、鋸歯状波信号S1の電圧値がコントロール電圧Vc1に達すると、コンパレータ132は、L状態を出力し、ドライバ41が、駆動信号G1をL状態にする。その結果、スイッチング素子Q1が、OFF状態に制御される。
このように、通常の負荷時(軽負荷時でない場合)には、制御部13は、スイッチング素子Q1を所定の固定のデューティにより制御し、スイッチング素子Q4をカレントモード制御によるPWM(パルス幅変調)により制御する。なお、図示を省略するが、制御部13は、同様に、スイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御し、スイッチング素子Q3をカレントモード制御によるPWM(パルス幅変調)により制御する。
【0061】
次に、
図6を参照して、本実施形態による三相のカレントモード制御について説明する。
図6は、本実施形態による三相のカレントモード制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、各信号は、上から順に、三相分のコンパレータ133の入力信号(Vi、Vc2)、駆動信号G4(U相、V相、W相)を示している。また、波形W13は、コントロール電圧Vc2の波形を示し、波形W14は、U相の信号Vi(DC/DCコンバータ10−1の信号Vi)の波形を示している。波形W15は、V相の信号Vi(DC/DCコンバータ10−2の信号Vi)の波形を示し、また、波形W16は、W相の信号Vi(DC/DCコンバータ10−3の信号Vi)の波形を示している。また、波形W17は、U相の駆動信号G4(U)を示し、波形W18は、V相の駆動信号G4(V)を示し、波形W19は、W相の駆動信号G4(W)を示している。
【0062】
また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は入力信号(Vi、Vc2)が電圧を示し、その他の信号は、論理レベルを示している。
なお、この図に示す例は、説明上、駆動信号G4についての一例について記載しているが、基本的には、駆動信号G3の場合も同様であり、ここではその説明を省略する。
また、この図に示す例は、通常の負荷時(軽負荷時でない場合)であり、制御信号生成部131は、信号RSTにL状態を出力しているものとする。
【0063】
時刻T15において、各DC/DCコンバータ10の制御信号生成部131は、信号CLK1を所定の期間、H状態にする。これにより、各RSフリップフロップ135は、H状態を出力し、各ドライバ44が、波形W17〜波形W19に示すように、各駆動信号G4(駆動信号G4(U)、駆動信号G4(V)、駆動信号G4(W))をH状態にする。
これにより、各DC/DCコンバータ10のスイッチング素子Q4がON状態になり、波形W14〜波形W15に示すように、各信号Viが上昇する。ここで、U相、V相、及びW相では、三相交流の位相が異なるため、各信号Viの上昇波形が異なる。ここで、コントロール電圧Vc2の電圧値は、波形W13に示すように、各DC/DCコンバータ10において等しい同一の電圧値である。
【0064】
次に、時刻T16において、U相の信号Viの電圧値が、コントロール電圧Vc2に達すると、U相のコンパレータ133は、H状態を出力し、ドライバ44が、波形W17に示すように、駆動信号G4(U)をL状態にする。これにより、U相のDC/DCコンバータ10−1のスイッチング素子Q4がカレントモード制御によりOFF状態になる。
【0065】
また、時刻T17において、V相の信号Viの電圧値が、コントロール電圧Vc2に達すると、V相のコンパレータ133は、H状態を出力し、ドライバ44が、波形W18に示すように、駆動信号G4(V)をL状態にする。これにより、V相のDC/DCコンバータ10−2のスイッチング素子Q4がカレントモード制御によりOFF状態になる。
【0066】
また、時刻T18において、W相の信号Viの電圧値が、コントロール電圧Vc2に達すると、W相のコンパレータ133は、H状態を出力し、ドライバ44が、波形W19に示すように、駆動信号G4(W)をL状態にする。これにより、W相のDC/DCコンバータ10−3のスイッチング素子Q4がカレントモード制御によりOFF状態になる。
【0067】
このように、本実施形態による三相のカレントモード制御の場合、DC/DCコンバータ10(10−1、10−2、10−3)は、一次側コイルTL11に流れる電流波形の各電流ピーク値が三相で一致するように、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をカレントモード制御する。
【0068】
次に、
図7を参照して、制御部13による軽負荷時におけるスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4の制御について説明する。
図7は、本実施形態によるDC/DCコンバータ10の軽負荷時の制御の一例を示すタイムチャートである。
この図において、波形W21〜W24の各波形は、上から順に、軽負荷時における駆動信号G1〜G4の電圧波形を示している。また、この図において、横軸は時間を示し、縦軸は論理レベルを示している。
【0069】
時刻T21において、制御部13は、まず、スイッチング素子Q1の駆動信号G1をH状態にする。なお、この場合、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2、スイッチング素子Q3の駆動信号G3、及びスイッチング素子Q4の駆動信号G4をL状態に維持する。これにより、スイッチング素子Q1がON状態になり、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4がOFF状態になる。この場合、フルブリッジ回路20は、例えば、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4が有する寄生容量により、ハーフブリッジ回路のように動作する。その結果、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生し、二次側コイルTL12は、整流回路30を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
【0070】
制御部13は、電圧検出部12の出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、制御信号生成部131が生成したコントロール電圧Vc1の電圧値に、鋸歯状波信号S1の電圧値が達するまで、スイッチング素子Q1のオン状態を維持する。すなわち、制御部13は、フィードバック電圧Voに基づいて、スイッチング素子Q1のON状態(期間DT5)をPWM制御により制御する。
次に、時刻T22において、鋸歯状波信号S1の電圧値が、コントロール電圧Vc1に達すると、コンパレータ132は、ドライバ41を介して、駆動信号G1をL状態にする。その結果、スイッチング素子Q1が、OFF状態に制御される。
【0071】
また、時刻T23において、制御部13は、スイッチング素子Q2の駆動信号G2をH状態にする。この場合、制御部13は、スイッチング素子Q1の駆動信号G1、スイッチング素子Q3の駆動信号G3、及びスイッチング素子Q4の駆動信号G4をL状態に維持する。これにより、スイッチング素子Q2がON状態になり、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4がOFF状態になる。この場合、フルブリッジ回路20は、例えば、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4が有する寄生容量により、ハーフブリッジ回路のように動作する。その結果、一次側コイルTL11から二次側コイルTL12に電力が発生し、二次側コイルTL12は、整流回路30を介してこの電力を整流し、チョークコイルL2及び平滑コンデンサCoを介して、平滑化された直流電圧を電源線VOに出力する。
【0072】
制御部13は、この場合も、電圧検出部12の出力信号Voと、基準電圧Vrefとが一致するように、制御信号生成部131が生成したコントロール電圧Vc1の電圧値に、鋸歯状波信号(例えば、信号S1とは位相の異なる信号S2)の電圧値が達するまで、スイッチング素子Q2のオン状態を維持する。すなわち、制御部13は、フィードバック電圧Voに基づいて、スイッチング素子Q2のON状態(期間DT7)をPWM制御により制御する。
次に、時刻T24において、鋸歯状波信号S2の電圧値が、コントロール電圧Vc1に達すると、コンパレータ132は、ドライバ41を介して、駆動信号G2をL状態にする。その結果、スイッチング素子Q2が、OFF状態に制御される。
【0073】
続く時刻T25〜時刻T28までの処理は、上述した時刻T21〜時刻T24までの処理と同様であるので、ここではその説明を省略する。ここで、時刻T21から時刻T23までの期間を期間DT6(第1の期間)とし、時刻T23から時刻T25までの期間を期間DT8(第2の期間)とする。このように、制御部13は、第1の期間(期間DT6)の処理と第2の期間(期間DT8)の処理とを交互に繰り返して、フルブリッジ回路20が有するスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2、スイッチング素子Q3、及びスイッチング素子Q4のON状態及びOFF状態を制御する。
【0074】
すなわち、制御部13は、軽負荷時における第1の期間(期間DT6)において、トランスTL1の一次側コイルTL11の第1端と電源線VIとの間に接続されるスイッチング素子Q1をPWM(パルス幅変調)によりON状態に制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。また、制御部13は、軽負荷時における第2の期間(期間DT8)において、トランスTL1の一次側コイルTL11の第1端と電源線GND1との間に接続されるスイッチング素子Q2をPWM(パルス幅変調)によりON状態に制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。
【0075】
なお、上述した本実施形態の一例では、三相の各DC/DCコンバータ10がそれぞれ制御部13を備える例を説明したが、本実施形態では、制御部13の一部を共用して、三相を一括制御することが可能である。ここで、
図8を参照して、本実施形態による三相を一括制御する場合の一例について説明する。
【0076】
図8は、本実施形態による三相一括制御の一例を示すブロック図である。
この図に示す制御部13aは、制御信号生成部131aと、コンパレータ(133−1、133−2、133−3)と、OR回路(134−1、134−2、134−3)と、RSフリップフロップ(135−1、135−2、135−3)とを備えている。
なお、この図に示す例では、各DC/DCコンバータ10のスイッチング素子Q4を駆動する駆動信号G4について説明し、その他の部分の図示を省略している。
【0077】
制御信号生成部131aは、三相のDC/DCコンバータ10において処理を共用しており、生成した信号RST、信号CLK1、及び信号Vc2を三相のDC/DCコンバータ10に供給する。また、信号Vi(U)、信号Vi(V)、及びVi(W)は、三相の各DC/DCコンバータ10に検出された信号Viである。
コンパレータ(133−1、133−2、133−3)は、制御信号生成部131aが一括して生成したコントロール電圧Vc2と、各DC/DCコンバータ10がそれぞれ検出した信号Vi(U)、信号Vi(V)、及びVi(W)とをそれぞれ比較する。コンパレータ(133−1、133−2、133−3)のそれぞれの構成は、上述したコンパレータ133と同一である。
【0078】
また、OR回路(134−1、134−2、134−3)のそれぞれの構成は、上述したOR回路134と同一であり、RSフリップフロップ(135−1、135−2、135−3)のそれぞれの構成は、上述したRSフリップフロップ135と同一である。
RSフリップフロップ135−1は、ドライバ44−1を介して、U相の駆動信号G4(U)を出力し、RSフリップフロップ135−2は、ドライバ44−2を介して、V相の駆動信号G4(V)を出力する。また、RSフリップフロップ135−3は、ドライバ44−3を介して、W相の駆動信号G4(W)を出力する。
なお、ドライバ(44−1、44−2、44−3)のそれぞれの構成は、上述したドライバ44と同一である。
【0079】
このように、本実施形態では、上述した制御信号生成部131aのように、複数のDC/DCコンバータ10における制御信号を共用することで、制御部の構成を簡略化することができる。
【0080】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、フルブリッジ方式のDC/DCコンバータ10を備える。DC/DCコンバータ10は、フルブリッジ回路20と、トランスTL1と、制御部13とを備えている。フルブリッジ回路20は、スイッチング素子Q1(第1のスイッチング素子)、スイッチング素子Q2(第2のスイッチング素子)、スイッチング素子Q3(第3のスイッチング素子)、及びスイッチング素子Q4(第4のスイッチング素子)を有する。トランスTL1は、フルブリッジ回路20が一次側コイルTL11に接続され、二次側コイルTL12からの出力を整流する整流回路30が二次側コイルTL12に接続される。制御部13は、トランスTL1の一次側コイルTL11の第1端に接続されるスイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をカレントモード制御する。
【0081】
これにより、本実施形態による電源装置1は、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をカレントモード制御するため、例えば、複数相の交流電源を入力とした場合に、各相交流における各コンバータの電流のピーク値を揃えることができる。また、本実施形態による電源装置1は、各スイッチング素子の制御信号の生成に位相シフトを行う必要がないので、スイッチング素子の応答を向上させることができる。よって、本実施形態による電源装置1は、電源の変換効率を向上させることができるとともに、スイッチング素子の応答を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、制御部13は、軽負荷時に、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2をPWM(パルス幅変調)により制御するとともに、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、フルブリッジ回路20をハーフブリッジ回路のように機能させることが可能である。本実施形態による電源装置1は、ハーフブリッジ回路と同等に変換効率を低下させることにより、軽負荷時に、出力電圧が上昇してしまうことを抑制することができ、適切な出力電圧を出力することが可能になる。
【0083】
また、本実施形態では、制御部13は、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティにより制御し、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をPWM(パルス幅変調)により制御する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、カレントモード制御を簡易な構成により行うことが可能になる。
【0084】
また、本実施形態では、電源装置1は、DC/DCコンバータ10を複数備える。複数のDC/DCコンバータ10は、一次側コイルTL11に流れる電流波形の各電流ピーク値が一致するように、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をカレントモード制御する。
これにより、電源装置1は、複数相の交流電源を入力とした場合であっても、各電流ピーク値が一致するようにカレントモード制御することにより、容易に電源の変換効率を向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q3は、電源線VI(第1の電源線)に接続され、スイッチング素子Q2及びスイッチング素子Q4は、電源線GND1(第2の電源線)に接続される。制御部13は、軽負荷時でない場合に、第1の期間(期間DT1)において、スイッチング素子Q1を所定の固定のデューティによりON状態に制御するとともに、スイッチング素子Q4をカレントモード制御によりON状態に制御する。また、制御部13は、軽負荷時でない場合に、第2の期間(期間DT3)において、スイッチング素子Q2を前記所定の固定のデューティによりON状態に制御するとともに、スイッチング素子Q3をカレントモード制御によりON状態に制御する。
これにより、本実施形態による電源装置1は、フルブリッジ回路20による簡易な制御により、電源の変換効率を向上させることができる。
【0086】
また、本実施形態では、DC/DCコンバータ10は、一次側コイルTL11と直列に接続されている直列リアクトルL1を備えている。
これにより、本実施形態による電源装置1は、直列リアクトルL1と、寄生容量C1〜C4、及び配線容量との共振により、スイッチング素子Q1〜Q4及び整流ダイオード(D7、D8)をともにZVS動作させることができる。このことにより、本実施形態による電源装置1は、スイッチング損失を低減させることができるので、さらに電源の変換効率を向上させることができる。
【0087】
また、本実施形態による電源制御方法は、フルブリッジ方式のDC/DCコンバータ10を備える電源装置1の電源制御方法である。ここで、DC/DCコンバータ10は、上述したフルブリッジ回路20と、トランスTL1と、制御部13とを備えている。本実施形態による電源制御方法では、制御部13が、第1の期間(期間DT1)において、トランスTL1の一次側コイルTL11の第1端と電源線VI(第1の電源線)との間に接続されるスイッチング素子Q1を所定の固定のデューティによりON状態に制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端と電源線GND1(第2の電源線)との間に接続されるスイッチング素子Q4をカレントモード制御によりON状態に制御する。そして、制御部13が、第2の期間(期間DT3)において、一次側コイルTL11の第1端と電源線GND1との間に接続されるスイッチング素子Q2を所定の固定のデューティによりON状態に制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端と電源線VIとの間に接続されるスイッチング素子Q3をカレントモード制御によりON状態に制御する。
これにより、本実施形態による電源制御方法は、上述した電源装置1と同様に、電源の変換効率を向上させることができるとともに、スイッチング素子(スイッチング素子)の応答を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態による電源制御方法では、制御部13が、軽負荷時における第1の期間(期間DT6)において、一次側コイルTL11の第1端と電源線VI(第1の電源線)との間に接続されるスイッチング素子Q1をPWM(パルス幅変調)によりON状態に制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。そして、制御部13が、軽負荷時における第2の期間(期間DT8)において、一次側コイルTL11の第1端と電源線GND1(第2の電源線)との間に接続されるスイッチング素子Q2をPWM(パルス幅変調)によりON状態に制御するとともに、一次側コイルTL11の第2端に接続されるスイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4をOFF状態に制御する。
これにより、本実施形態による電源制御方法は、上述した電源装置1と同様に、軽負荷時に、出力電圧が上昇してしまうことを抑制することができ、適切な出力電圧を出力することが可能になる。
【0089】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、本実施形態の一例として、
図1に示す電源装置1及び
図2に示すDC/DCコンバータ10の構成を説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、電源装置1は、3つ以上のDC/DCコンバータ10を備えた複数相の交流電源に対応する構成であってもよいし、PFC部2を備えない構成であってもよい。
また、DC/DCコンバータ10は、直列リアクトルL1、共振コンデンサC5、及びダイオード(D5、D6)の一部又は全部を備えない構成であってもよい。
【0090】
また、トランスTL1は、センタタップ付きの二次側コイルTL12を備える例を説明したが、センタタップを有さないものであってもよい。
また、整流回路30は、両波整流回路である例を説明したが、これに限定されるものではなく、ダイオードブリッジなどの全波整流回路であってもよいし、他の方式の整流回路であってもよい。
【0091】
また、上記の実施形態では、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子として説明したが、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4を第1のスイッチング素子及び第2のスイッチング素子としてもよい。また、スイッチング素子Q3及びスイッチング素子Q4を第3のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子として説明したが、スイッチング素子Q1及びスイッチング素子Q2を第3のスイッチング素子及び第4のスイッチング素子としてもよい。
また、制御信号生成部131は、PID制御に基づいて、コントロール電圧Vc2を生成する例を説明したが、他の制御方式によりコントロール電圧Vc2を生成してもよい。
【0092】
また、上記の制御部13は、
図4に示す回路構成に限定されるものではなく、他の回路構成により実現されてもよい。
また、上記の実施形態において、制御部13(13a)の各部の処理は、IC(Integrated Circuit)などの専用のハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェア処理によって実現されてもよい。
【0093】
上述の電源装置1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した制御部13(13a)の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。