特許第6322595号(P6322595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6322595
(24)【登録日】2018年4月13日
(45)【発行日】2018年5月9日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20180423BHJP
【FI】
   A61G12/00 E
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-51184(P2015-51184)
(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公開番号】特開2016-168264(P2016-168264A)
(43)【公開日】2016年9月23日
【審査請求日】2017年6月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 益典
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 毅仙
(72)【発明者】
【氏名】世古 将寛
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 真則
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−127753(JP,A)
【文献】 特開2009−033559(JP,A)
【文献】 特開2000−107239(JP,A)
【文献】 特開2008−113679(JP,A)
【文献】 特開2014−090913(JP,A)
【文献】 特開2014−086856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G12/00
H04M9/00−9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機と、前記ナースコール子機が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯と、ナースステーションに設置されて前記ナースコール子機による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、看護師が携行して前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末と、機器間の通信を制御する制御機と、患者を見守るために病室に設置されたカメラと、前記ナースコール親機に設けられて前記カメラの撮像映像を表示する表示部とを有するナースコールシステムであって、
看護師は自身のID情報を発信するID情報発信手段を携行すると共に、
前記ナースコール親機は、前記ID情報発信手段のID情報を読み取るID受信手段と、前記ナースコール子機からの呼び出しに対して自身から応答された通話履歴を、同時に受信したID情報と共に保存する親機通話履歴記憶部とを有する一方、
起動した前記カメラは起動信号及び映像信号を出力すると共に、前記廊下灯は前記起動信号を受けて前記カメラに関連付けられている前記ナースコール子機の呼出信号を生成して前記ナースコール親機に送信し、
前記呼出信号を受信したナースコール親機は、呼出音の鳴動を行うと共に前記表示部に受信した映像を表示し、その後一定時間経過しても応答操作が無ければ前記親機通話履歴記憶部を参照して、前記ナースコール親機で直近に応答した少なくとも一人の看護師に対して携行する前記携帯端末に呼び出しを転送して鳴動制御する呼出制御部を有することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機と、前記ナースコール子機が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯と、ナースステーションに設置されて前記ナースコール子機による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、看護師が携行して前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末と、機器間の通信を制御する制御機と、患者を見守るために病室に設置されたカメラと、前記カメラの撮像映像を表示する前記ナースコール親機に設けられた表示部とを有するナースコールシステムであって、
看護師は自身のID情報を発信するID情報発信手段を携行すると共に、
前記ナースコール親機は、所定の距離以内に前記ID情報発信手段が接近したらID情報を読み取るID受信手段と、受信したID情報を保存するID履歴記憶部とを有し、
起動した前記カメラは起動信号及び映像信号を出力すると共に、前記廊下灯は前記起動信号を受けて前記カメラに関連付けられている前記ナースコール子機の呼出信号を生成して前記ナースコール親機に送信し、
前記呼出信号を受信したナースコール親機は、呼出音の鳴動を行うと共に前記表示部に受信した映像を表示し、その後一定時間経過しても応答操作が無ければ前記ID履歴記憶部を参照して、直近に受信したIDのID情報発信手段を携行する少なくとも一人の看護師に対して携行する前記携帯端末に呼び出しを転送して鳴動制御する呼出制御部を有することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項3】
前記ナースコール親機或いは前記制御機は、患者毎の担当看護師を登録した担当看護師記憶部を有し、
前記呼出制御部は、前記携帯端末を一定時間鳴動させても応答がない場合は、前記担当看護師記憶部を参照して、担当看護師の携帯端末へ呼出信号を転送することを特徴とする請求項1又は2記載のナースコールシステム。
【請求項4】
ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機と、前記ナースコール子機が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯と、ナースステーションに設置されて前記ナースコール子機による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、看護師が携行して前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末と、機器間の通信を制御する制御機と、患者を見守るために病室に設置されたカメラと、前記カメラの撮像映像を表示する前記ナースコール親機に設けられた表示部とを有するナースコールシステムであって、
前記ナースコール親機或いは前記制御機は、患者毎の担当看護師を登録した担当看護師記憶部を有する一方、
起動した前記カメラは起動信号及び映像信号を出力すると共に、前記廊下灯は前記起動信号を受けて前記カメラに関連付けられている前記ナースコール子機の呼出信号を生成して前記ナースコール親機に送信し、
前記呼出信号を受信したナースコール親機は、呼出音の鳴動を行うと共に前記表示部に受信した映像を表示し、その後一定時間が経過しても応答操作が無ければ、前記担当看護師記憶部の情報を基に、担当看護師の携帯端末に呼び出しを転送して鳴動制御する呼出制御部を有することを特徴とするナースコールシステム。
【請求項5】
前記カメラは、電源投入後でも前記起動信号を生成する再起動ボタンを有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベッド上の患者をカメラにより見守る機能を備えたナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
病室に設置したカメラによりベッド上の患者を撮像して、患者の起き上がりや離床を検知したら、ナースステーション等の看護師に通知するナースコールシステムがある。
例えば、特許文献1では、ベッド上方に設置したカメラによりベッドに伏している患者を撮像して、離床動作等を検出したら、廊下灯がナースコール親機に注意信号を送信し、ナースコール親機に患者映像を表示させると共に、報知動作させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−90913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のナースコールシステムのように、カメラの撮像映像により患者を見守る場合、見守り対象の患者が画面中央に来るのが望ましい。即ち撮像対象のベッドが画面中央に来るのが望ましい。しかしながら、映像を表示するナースコール親機はナースステーション内にあるため、カメラヘッドの角度調整を実施する場合はカメラ調整者とモニタ確認者の2人掛かりで調整した。この調整作業は、ベッド移動の度に実施する必要があるため、調整頻度も多く看護師の負担になっていた。また、ナースステーションに人が不在時な場合には時間がかかってしまい、面倒な作業となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、患者を撮像するカメラの角度調整をスムーズに実施可能としたナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機と、ナースコール子機が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯と、ナースステーションに設置されてナースコール子機による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、看護師が携行してナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末と、機器間の通信を制御する制御機と、患者を見守るために病室に設置されたカメラと、ナースコール親機に設けられてカメラの撮像映像を表示する表示部とを有するナースコールシステムであって、看護師は自身のID情報を発信するID情報発信手段を携行すると共に、ナースコール親機は、ID情報発信手段のID情報を読み取るID受信手段と、ナースコール子機からの呼び出しに対して自身から応答された通話履歴を、同時に受信したID情報と共に保存する親機通話履歴記憶部とを有する一方、起動したカメラは起動信号及び映像信号を出力すると共に、廊下灯は起動信号を受けてカメラに関連付けられているナースコール子機の呼出信号を生成してナースコール親機に送信し、呼出信号を受信したナースコール親機は、呼出音の鳴動を行うと共に表示部に受信した映像を表示し、その後一定時間経過しても応答操作が無ければ親機通話履歴記憶部を参照して、ナースコール親機で直近に応答した少なくとも一人の看護師に対して携行する携帯端末に呼び出しを転送して鳴動制御する呼出制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、カメラの撮像角度を調整する際に、ナースステーションに誰も居ないときは、直近にナースコール親機を応答操作した看護師を呼び出すため、ナースステーションの近くに居ると考えられる看護師を呼び出してナースコール親機のモニタチェック作業を手伝ってもらうことができ、カメラの調整をスムーズに実施できる。
【0007】
請求項2の発明は、ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機と、ナースコール子機が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯と、ナースステーションに設置されてナースコール子機による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、看護師が携行してナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末と、機器間の通信を制御する制御機と、患者を見守るために病室に設置されたカメラと、カメラの撮像映像を表示するナースコール親機に設けられた表示部とを有するナースコールシステムであって、看護師は自身のID情報を発信するID情報発信手段を携行すると共に、ナースコール親機は、所定の距離以内にID情報発信手段が接近したらID情報を読み取るID受信手段と、受信したID情報を保存するID履歴記憶部とを有し、起動したカメラは起動信号及び映像信号を出力すると共に、廊下灯は起動信号を受けてカメラに関連付けられているナースコール子機の呼出信号を生成してナースコール親機に送信し、呼出信号を受信したナースコール親機は、呼出音の鳴動を行うと共に表示部に受信した映像を表示し、その後一定時間経過しても応答操作が無ければID履歴記憶部を参照して、直近に受信したIDのID情報発信手段を携行する少なくとも一人の看護師に対して携行する携帯端末に呼び出しを転送して鳴動制御する呼出制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、カメラの撮像角度を調整する際に、ナースステーションに誰も居ないときは、直近にナースコール親機に近づいた看護師を呼び出すため、ナースステーションの近くに居ると考えられる看護師を呼び出してナースコール親機のモニタチェック作業を手伝ってもらうことができ、カメラの調整をスムーズに実施できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、ナースコール親機或いは制御機は、患者毎の担当看護師を登録した担当看護師記憶部を有し、呼出制御部は、携帯端末を一定時間鳴動させても応答がない場合は、担当看護師記憶部を参照して、担当看護師の携帯端末へ呼出信号を転送することを特徴とする。
この構成によれば、カメラの起動を受けて呼出音を報音するナースコール親機から応答がない場合は、担当看護師の呼び出しに移行するため、直ぐに応答がないからといって、カメラの調整作業を諦める必要がない。
【0009】
請求項4の発明は、ベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機と、ナースコール子機が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯と、ナースステーションに設置されてナースコール子機による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機と、看護師が携行してナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末と、機器間の通信を制御する制御機と、患者を見守るために病室に設置されたカメラと、カメラの撮像映像を表示するナースコール親機に設けられた表示部とを有するナースコールシステムであって、ナースコール親機或いは制御機は、患者毎の担当看護師を登録した担当看護師記憶部を有する一方、起動したカメラは起動信号及び映像信号を出力すると共に、廊下灯は起動信号を受けてカメラに関連付けられているナースコール子機の呼出信号を生成してナースコール親機に送信し、呼出信号を受信したナースコール親機は、呼出音の鳴動を行うと共に表示部に受信した映像を表示し、その後一定時間が経過しても応答操作が無ければ、担当看護師記憶部の情報を基に、担当看護師の携帯端末に呼び出しを転送して鳴動制御する呼出制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、カメラの撮像角度を調整する際に、ナースステーションに誰も居ないときは、担当看護師に呼び出しが転送されるため、カメラヘッドを調整する際にナースステーションに誰も居なくても、患者を担当している看護師を呼び出してチェック作業を行わせることができ、カメラの調整をスムーズに実施できる。そして、IDカードやID受信部が必要ないため、従来のナースコールシステムを変更する必要がなく安価に構成できる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の構成において、カメラは、電源投入後でも起動信号を生成する再起動ボタンを有することを特徴とする。
この構成によれば、ボタン操作により、電源投入時と同様な動作を行わせることができ、利便性が良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、看護師がID情報発信手段を携行している場合は、カメラの撮像角度を調整する際に、ナースステーションに誰も居ないときは、直近にナースコール親機を応答操作した看護師、或いは直前までナースコール親機付近に居た看護師を呼び出すため、ナースステーションの近くに居ると考えられる看護師を呼び出してナースコール親機のモニタチェック作業を手伝ってもらうことができ、カメラの調整をスムーズに実施できる。
また、ID情報発信手段を持たなくてもナースステーションに誰も居ないときは、見守り対象の患者を担当する看護師を呼び出すため、カメラの調整をスムーズに実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
図2】廊下灯の回路ブロック図である。
図3】ナースコール親機の回路ブロック図である。
図4】カメラの配置を示す説明図である。
図5】看護師情報記憶部の記憶情報の説明図である。
図6】親機通話履歴記憶部の履歴情報の説明図である。
図7】表示部に表示されたカメラ撮像映像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図であり、1はベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出す為のナースコール子機(以下、単に「子機」と称する。)、2は病室毎に設置されてナースコール子機1が出力する呼出信号を中継すると共に呼出発生を表示する廊下灯、3はナースステーションに設置されてナースコール子機1による呼び出しに看護師が応答するためのナースコール親機(以下、単に「親機」と称する。)、4は機器間の通信を制御する制御機、5は看護師が携行して子機1からの呼び出しに応答するための携帯端末、6は患者を撮像するためのカメラ、7は看護師が携行するIDカードである。また、8は携帯端末5の通信を管理するの交換機、9は携帯端末5と通信する基地局、10はLAN上に設けられたHUBである。
【0014】
廊下灯2、親機3、制御機4、カメラ6はそれぞれHUB10を介してLAN接続され、子機1は伝送線L1を介して廊下灯2に接続されている。また、交換機8は伝送線L2を介して制御機4に接続されると共に、伝送線L3を介して基地局9と接続されている。
【0015】
子機1は、呼出握りボタン1aと壁面に設置されて通話機能を備えたプレート子機1bを有している。
【0016】
図2は廊下灯2の回路ブロック図を示している。廊下灯2は子機1による呼出発生を点滅通知する表示灯2a、患者氏名等を表示する患者名表示部2bに加えて、病室内に設置されて患者を撮像するカメラ6の撮像映像から患者の離床動作等を判断する状態判断部21、判断するためのデータベースを記憶する設定値記憶部22、廊下灯2を制御する廊下灯CPU23、他の機器とLAN接続するための通信インターフェース(通信IF)24等を備えている。尚、カメラ6の撮像映像は廊下灯2を経由して親機3等に伝送される。
【0017】
図3は親機3の主要部の回路ブロック図を示している。親機3は、患者と通話したり放送するためのハンドセットや報音部を備えた通話部3a、各種情報に加えてカメラ6の撮像映像を表示する表示部3b、個々の患者の患者情報表示部Mが一覧表示されたボード部3cに加え、図3に示すように表示部3bに表示する画像或いは映像を制御する映像処理部32、表示部3bに組み付けられた操作部としてのタッチパネル33、患者毎の担当看護師(担当看護師チーム)を記憶する看護師情報記憶部34a、親機3を介した通話履歴を記憶する親機通話履歴記憶部34b、親機3全体を制御する親機CPU35、通話部3aで報音する或いは通話部3aから入力される音声信号を処理する音声処理部37、IDカード7からIDを読み取るID受信部38、他の機器とLAN接続するための通信インターフェース(通信IF)39等を備えている。
看護師が携行するIDカード7は、例えばパッシブRFIDタグが使用され、ID受信部38に例えば1メートル以内に近づくとID受信部38がカードのID情報を読み取ることができる。
また図4は、カメラ6の配置説明図であり、起き上がりや離床する見守り対象の患者Mがカメラ6の中央に配置されるようにベッド位置が調整される。
【0018】
図5は看護師情報記憶部34aが記憶する情報の説明図であり、看護師情報記憶部34aには、各看護師に対して看護師が所属するチーム名、携行する携帯端末番号、看護師のID情報が登録されている。また、図示しない患者と看護師チームとの関連付けも記憶しており担当看護師記憶部でもある。
また、図6は親機通話履歴記憶部34bが記憶する履歴情報の一例を示し、直近に受信したIDは「122」であり、その時刻は15時24分であることを示している。
【0019】
一方、親機3を通して応答した履歴が、図6に示すように親機通話履歴記憶部34bに記憶される。具体的に、子機1からの呼び出しを受けてナースステーションに居た看護師がハンドセット3aを持ち上げて応答すると、親機CPU35の制御によりその時の時刻情報と共にID受信部38が受信したID情報が記憶される。
尚、ベッド番号と患者を関連付けたベッド情報記憶部が親機3或いは制御機4に設けられ、親機CPU35はこれらの情報を基に廊下灯2が生成した呼出信号から、関連する子機1及び患者を特定することができる。
【0020】
カメラ6は、図4に示すように、ベッドB上方に設置され、ベッドBが表示画面の中央に配置されるようカメラヘッドがパン・チルト及び回転操作される。
【0021】
このように構成されたナースコールシステムの動作は以下の様である。但し、患者からの呼び出し、親機3或いは携帯端末5からの応答動作は従来と同様であるため説明を省略し、ここではカメラ6の角度調整作業時の動作について説明する。
カメラ6は、見守り対象の患者、即ち撮像対象の患者が変更される度に、或いは患者が移動する毎に角度調整が行われる。例えば、病室が変更される場合はカメラ6をユニット毎に次の病室に移動し、カメラヘッドの向きが調整される。
【0022】
カメラ6は、移動先のHUB10に設けられているPoeHUBに接続されると、PoeHUBから電源が供給されてオン動作する。オン動作したカメラ6は、起動信号と共に映像信号が出力されて廊下灯2を経由して親機3の表示部3bに映し出される。また、起動信号を受信した廊下灯2は、呼出信号を生成して親機3へ送信する。このとき、呼出信号は予めLAN端子に関連付けられている子機1からの呼出信号として生成して送信される。
この呼出信号を受けた親機3は、親機CPU35が呼出音を鳴動させると共に映像を表示させる。呼び出しを受けてナースステーションに居る看護師が応答操作することで、表示部3bに表示された映像をモニタしながら、病室の子機1を介してカメラ6を調整する看護師と会話し、病室の看護師にカメラ6の位置・向きを指示して調整が成される。
【0023】
具体的に、起動時のカメラ6の撮像映像は図7に示すように表示され、表示部3bのモニタ画面D1の中央に、位置合わせの為の十字マークS1と台形枠S2が表示され、調整画面であることが表示される。
親機3から応答した看護師が、この表示映像を見ながら指示を出すことで、病室の看護師によりカメラ6の調整が行われる。このとき、台形枠S2内にベッドが配置されるよう、そして十字マークS1の表示に合わせて患者が配置されたら角度調整は完了となり、プリセットボタンB1を操作することで、カメラ6の角度が記憶される。
【0024】
このように、調整時はナースステーションに応答のできる看護師の存在が不可欠であるため、不在の場合は、次のように動作する。呼出信号を受けた親機3が、呼出音の鳴動を開始して応答操作されることなく20秒等の一定時間が経過したら、自動的に看護師の携帯端末5を呼び出す。しかも、親機3の親機通話履歴記憶部34bから直近に応答した看護師を判別して、その看護師が携行している携帯端末5を看護師情報記憶部34aから読み取り、その携帯端末5の呼び出しへ移行する。
このスライド呼び出しにより、親機3に近い位置に居ると推測される看護師を呼び出すことができ、親機3まで赴く時間の短縮が可能となる。例えば、図6に示す履歴情報では、時刻15:24に応答したID122の看護師が携行する携帯端末5に呼び出しが移行する。
【0025】
また、こうして呼出先を変更しても引き続き応答がない場合は、更に呼出先を変更するスライド呼び出しを実施し、次は担当看護師の呼び出しに移行する。これは、廊下灯2から送信された呼出信号から子機1に関連付けられた患者を割り出すことができ、患者情報から担当看護師を割り出して呼び出しを実施するものである。但し、ここでは図5に示すように、担当するチームの看護師が携行する携帯端末5を読み取り、その携帯端末5に対して一斉に呼出信号が送信される。
【0026】
このように、カメラ6の撮像角度を調整する際に、ナースステーションに誰も居ないときは、直近に親機3を応答操作した看護師を呼び出すため、ナースステーションの近くに居ると考えられる看護師を呼び出して親機3のモニタチェック作業を手伝ってもらうことができ、カメラ6の調整をスムーズに実施できる。
また、親機3から応答がない場合は、担当看護師の呼び出しに移行するため、直ぐに応答がないからといって、カメラ6の調整作業を諦める必要がない。
【0027】
尚、直近に応答した看護師から応答が無い場合のスライド呼出先を、担当看護師ではなく、直近に応答した2番目の看護師にしても良いし、親機3から呼び出しをスライドする際に、一人ではなく直近に親機3から応答した複数の看護師を同時に呼び出しても良い。複数の携帯端末5を呼び出した場合は、応答した看護師に親機3の元へ行ってもらえば良い。
【0028】
また次のような呼び出し制御を行っても良い。これは、図3に示すように親機3に受信したID情報を記憶するID履歴記憶部36を設けて、応答操作の有無に関わらず親機3に接近した看護師から受信したID情報を保存し、この情報を基に呼出制御するものである。
具体的に、ID受信部38を常時能動状態にしておき、親機CPU35の制御により一定距離以内に近づいたIDカード7のID情報を時間情報と共にID履歴記憶部36に保存しておく。そして、廊下灯2から送信されたカメラ調整のための映像信号と同時に送信される呼出信号を基に、親機3で行った呼出動作に対して応答が無かった場合に、ID履歴記憶部36から直近に受信したIDを読み取り、そのIDに関連付けられている携帯端末5を看護師情報記憶部34aから読み取って、呼び出し先を該当する携帯端末5にスライドさせる。
【0029】
こうして、カメラ6の撮像角度を調整する際に、ナースステーションに誰も居ないときは、直近に親機3に近づいた看護師を呼び出すことで、ナースステーションの近くに居ると考えられる看護師を呼び出して親機3のモニタチェック作業を手伝ってもらうことができ、カメラ6の調整をスムーズに実施できる。
【0030】
そして、この呼び出しの実施で応答がなければ、その後は上記実施形態のように、関連付けられている看護師(担当看護師)の携帯端末5に呼び出しをスライドさせても良いし、ID履歴記憶部36に保存されている2番目の看護師の携帯端末5を呼び出しても良い。更には、一人ずつでなく複数の看護師を同時に呼び出しても良い。また、最初の親機3の呼出動作に対して応答が無かった場合は、担当看護師に呼び出しをスライドしても良く、このスライド呼び出しの場合はID情報を発信するIDカード7が必要ないため、従来のナースコールシステムを変更することなく安価に実施することが可能である。
【0031】
尚、上記実施形態では、カメラ6を一度LANから外して移動する場合を前提に説明したが、病室を変えずベッド位置を変更する場合は、カメラ6をLANから外さなくても良いため、スイッチ操作で起動信号を生成して撮像映像の送信を開始させる再起動ボタン6a(図4に示す)をカメラ6に設けると良く、利便性が良い。
また、看護師情報記憶部34a、親機通話履歴記憶部34bは制御機4に設けても良い。
【符号の説明】
【0032】
1・・ナースコール子機、2・・廊下灯、3・・ナースコール親機、3b・・表示部、4・・制御機、5・・携帯端末、6・・カメラ、6a・・再起動ボタン、7・・IDカード、34a・・看護師情報記憶部(担当看護師記憶部)、34b・・親機通話履歴記憶部、35・・親機CPU(呼出制御部)、38・・ID受信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7