特許第6322837号(P6322837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6322837-スクアリリウム色素及びその用途 図000097
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6322837
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】スクアリリウム色素及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C09B 23/00 20060101AFI20180507BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20180507BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20180507BHJP
   C09D 11/037 20140101ALI20180507BHJP
   C09D 11/322 20140101ALI20180507BHJP
   C09D 7/40 20180101ALI20180507BHJP
   C09D 5/32 20060101ALI20180507BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20180507BHJP
   C09J 9/00 20060101ALI20180507BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20180507BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20180507BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20180507BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20180507BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20180507BHJP
【FI】
   C09B23/00 E
   C09B23/00 L
   C09B67/20 F
   C09K3/00 105
   C09D11/037
   C09D11/322
   C09D7/12
   C09D5/32
   C09J11/06
   C09J9/00
   G02B5/22
   G03F7/004 505
   G03F7/027
   G03G9/08 391
   B41M5/00 120
   G03G9/08 365
【請求項の数】23
【全頁数】109
(21)【出願番号】特願2017-198974(P2017-198974)
(22)【出願日】2017年10月13日
【審査請求日】2017年11月16日
(31)【優先権主張番号】特願2017-115709(P2017-115709)
(32)【優先日】2017年6月13日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591183153
【氏名又は名称】トーヨーカラー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 昌平
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏明
(72)【発明者】
【氏名】相京 澄洋
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−111940(JP,A)
【文献】 特開2000−162431(JP,A)
【文献】 特開2012−003225(JP,A)
【文献】 特開2010−180308(JP,A)
【文献】 特開2004−037719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 23/00
B41M 5/00
C09B 67/20
C09D 5/32
C09D 7/40
C09D 11/037
C09D 11/322
C09J 9/00
C09J 11/06
C09K 3/00
G02B 5/22
G03F 7/004
G03F 7/027
G03G 9/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表され、かつCuKα線によるX線回折パターンにおいて、少なくとも、ブラッグ角2θ(±0.2°)の8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°に回折ピークを有するスクアリリウム色素[A]であって、
下記化学式[A−1]〜[A−53]のいずれかで表されるスクアリリウム色素[A]。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、
1〜R5は、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基又はハロゲン原子を表す。
1〜X8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、−NR67、スルホ基、−SO2NR89、−COOR10、−CONR1112、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
6〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基又は置換基を有してもよいピリジニル基を表す。R6とR7、R8とR9及びR11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。]

【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【請求項2】
一般式(1)中、R1〜R5が全て水素原子、又は、4つが水素原子であり1つがスルホ基若しくはハロゲン原子である請求項1に記載のスクアリリウム色素[A]。
【請求項3】
一般式(1)中、X1〜X8が水素原子である請求項1又は2に記載のスクアリリウム色素[A]。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]と、樹脂[B]、分散剤[C]、光重合性単量体、光重合開始剤、有機溶剤及び水からなる群から選ばれる少なくとも一種とを含有する近赤外線吸収組成物。
【請求項5】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]並びに、有機溶剤及び水からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する近赤外線吸収組成物。
【請求項6】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]、光重合性単量体、光重合開始剤及び有機溶剤を含有する固体撮像素子用組成物。
【請求項7】
基材上に、請求項6に記載された固体撮像素子用組成物から形成されてなる近赤外線カットフィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載された近赤外線カットフィルタを具備してなる固体撮像素子。
【請求項9】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する画像形成材料。
【請求項10】
電子写真用トナー、インクジェットプリンター用インク、サーマルプリンター用インク、又は活版、オフセット、フレキソ、グラビア、若しくはシルク印刷用のインクである、請求項9に記載の画像形成材料。
【請求項11】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する近赤外線吸収材料。
【請求項12】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する塗料。
【請求項13】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する接着剤。
【請求項14】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する粘着剤。
【請求項15】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有するマスターバッチ。
【請求項16】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する層。
【請求項17】
基材上に、請求項16に記載の層が形成されてなる積層体。
【請求項18】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する成形物。
【請求項19】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有するフィルム。
【請求項20】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する熱線カット材料。
【請求項21】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有する光熱変換材料。
【請求項22】
請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]を含有するレーザー溶着用材料。
【請求項23】
請求項21に記載のレーザー溶着用材料を用いてなるレーザー溶着接合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のスクアリリウム色素及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近赤外線吸収色素は、一般的に750nm〜1200nmの近赤外線領域に吸収帯を有する色素であり、主な用途として、近赤外線を吸収・カットする機能を有する半導体受光素子用の光学フィルタ、電子機器用近赤外線カットフィルタ、写真用近赤外線フィルタ、省エネルギー用に熱線を遮断する近赤外線吸収フィルムや近赤外線吸収板、太陽光の選択的な利用を目的とする農業用近赤外線吸収フィルム、近赤外線の吸収熱を利用する記録媒体、保護めがね、眼鏡、サングラス、近赤外線カット化粧品、熱線遮断フィルム、電子写真感光体、レーザー溶着用材料、レーザーマーキング用材料などに用いられる。また、CCDカメラ用ノイズカットフィルター、CMOSイメージセンサ用フィルタとしても有用である。
【0003】
また、セキュリティ印刷分野での利用も提案されている。近年、通常の視覚条件では視認性がない不可視的な情報を文書等や、株券、債券、小切手、商品券、宝くじ、定期券等の証券類に記録し、その情報を光学的に読み取る技術が注目されている。こうした技術は、セキュリティ管理等において非常に有用であり、文書等の付加価値の向上や、証券等の偽造防止措置の強化に効果的である。
【0004】
不可視性情報の記録としては、特に人間の目では視認できない750nm〜1000nmの近赤外線領域に吸収を有する色素を用いた画像形成材料を使用する方法がある。これらの不可視性情報は、人間の目では視認できなくても、シリコンによる受光素子(CCD、CMOS等)等で検出することが可能である。
【0005】
750nm〜1000nmの近赤外領域に吸収を有する代表的な色素としては、フタロシアニン色素、シアニン色素、ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素などが知られている。これらの中でも特に代表的な色素として、フタロシアニン色素とシアニン色素が挙げられる。それぞれ、顕著な特徴を有しており、フタロシアニン色素は比較的堅牢な構造を有しているため、各種耐性が良好であるが、可視光領域にsoret帯と呼ばれる構造由来の吸収があるため透明性・不可視性が劣っている。一方でシアニン色素は、一般に染料として溶解状態で使用されるため、非常に高い透明性・不可視性を有しているが、各種耐性、特に耐光性が著しく悪い。ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、及びクロコニウム色素もシアニン色素に類似した特徴を有している。
【0006】
画像形成材料として、高い耐光性・不可視性を有する色素として、ペリミジン型スクアリリウム色素が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。特定のペリミジン型スクアリリウム色素を、粒子として分散状態で使用する事で、耐光性を向上させている。しかしながら、特許文献1〜4に関しては、耐光性が不十分であり、特許文献5に関しては、耐光性は実用レベルではあるが、凝集しやすい色素であるため、分散性、粘度、経時保存安定性などの画像形成材料としての工程性に大きな課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−91517号公報
【特許文献2】特開2010−106153号公報
【特許文献3】特開2010−184975号公報
【特許文献4】特開2010−184980号公報
【特許文献5】特開2009−209297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、近赤外線吸収色素は種々の用途で有用であるものの、これまでの近赤外線吸収色素では、高い不可視性・近赤外線吸収能/高耐性/易分散性など、好ましい様態をすべて満たした色素は提供されていない。それゆえ、本発明が解決しようとする課題は、高い不可視性を有する、すなわち可視光領域(400nm〜750nm)に吸収が少なく、近赤外線吸収能が非常に高く、各種耐性が優れており、且つ凝集しにくいスクアリリウム色素[A]、並びに、前記特徴を有するスクアリリウム色素[A]を含む画像形成材料、近赤外線吸収組成物、及び各種材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
<1>下記一般式(1)で表され、かつCuKα線によるX線回折パターンにおいて、少なくとも、ブラッグ角2θ(±0.2°)の8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°に回折ピークを有するスクアリリウム色素[A]。
一般式(1)
【化1】
[一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基又はハロゲン原子を表す。
〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、−NR、スルホ基、−SONR、−COOR10、−CONR1112、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。
〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基又は置換基を有してもよいピリジニル基を表す。RとR、RとR及びR11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。]
<2>一般式(1)中、R〜Rが全て水素原子、又は、4つが水素原子であり1つがスルホ基若しくはハロゲン原子である上記スクアリリウム色素[A]。
【0010】
<3>一般式(1)中、X〜Xが水素原子である上記スクアリリウム色素[A]。
【0011】
<4>上記スクアリリウム色素[A]と、樹脂[B]、分散剤[C]、光重合性単量体、光重合開始剤、有機溶剤及び水からなる群から選ばれる少なくとも一種とを含有する近赤外線吸収組成物。
【0012】
<5>請求項1〜3いずれか一項に記載のスクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]並びに、有機溶剤及び水からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する近赤外線吸収組成物。
【0013】
<6>上記スクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]、光重合性単量体、光重合開始剤及び有機溶剤を含有する固体撮像素子用組成物。
【0014】
<7>基材上に、上記固体撮像素子用組成物から形成されてなる近赤外線カットフィルタ。
【0015】
<8>上記近赤外線カットフィルタを具備してなる固体撮像素子。
【0016】
<9>上記スクアリリウム色素[A]を含有する画像形成材料。
【0017】
<10>電子写真用トナー、インクジェットプリンター用インク、サーマルプリンター用インク、又は活版、オフセット、フレキソ、グラビア、若しくはシルク印刷用のインクである、上記画像形成材料。
【0018】
<11>上記スクアリリウム色素[A]を含有する近赤外線吸収材料。
【0019】
<12>上記スクアリリウム色素[A]を含有する塗料。
【0020】
<13>上記スクアリリウム色素[A]を含有する接着剤。
【0021】
<14>上記スクアリリウム色素[A]を含有する粘着剤。
【0022】
<15>上記スクアリリウム色素[A]を含有するマスターバッチ。
【0023】
<16>上記スクアリリウム色素[A]を含有する層。
【0024】
<17>基材上に、上記層が形成されてなる積層体。
【0025】
<18>上記スクアリリウム色素[A]を含有する成形物。
【0026】
<19>上記スクアリリウム色素[A]を含有するフィルム。
【0027】
<20>上記スクアリリウム色素[A]を含有する熱線カット材料。
【0028】
<21>上記スクアリリウム色素[A]を含有する光熱変換材料。
【0029】
<22>上記スクアリリウム色素[A]を含有するレーザー溶着用材料。
【0030】
<23>上記レーザー溶着用材料を用いてなるレーザー溶着接合体。
【発明の効果】
【0031】
本発明のスクアリリウム色素[A]は、化学構造由来の強い発色性及び高い堅牢性を有しているのみならず、特定のX線回折ピークを有する強固な結晶性を有している。それゆえ、本発明により、近赤外線吸収色素としての光学特性(不可視性・近赤外線吸収能)、各種耐性に優れ、且つ凝集しにくい、つまりは易分散であり、保存安定性に優れたスクアリリウム色素[A]を提供することができる。これにより、画像形成材料、近赤外線吸収材料、塗料、接着剤、粘着剤、マスターバッチ、成形物、フィルム、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、熱線カット材料、光熱変換材料、レーザー溶着用材料等、様々な用途に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、実施例1で製造したスクアリリウム色素[A−1]のX線回折図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を詳細について説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロイル」等は、「アクリル又はメタクリル」、「アクリレート又はメタクリレート」「アクリロイル又はメタクリロイル」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味するものとする。
【0034】
<スクアリリウム色素[A]>
本発明のスクアリリウム色素[A]は、一般式(1)で示され、かつCuKα線によるX線回折パターンにおいて、少なくとも、ブラッグ角2θ(±0.2°)の8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°に回折ピークを有するものであり、近赤外線吸収色素としての光学特性(不可視性・近赤外線吸収能)に優れるものである。
【0035】
一般式(1)
【化2】
【0036】
[一般式(1)中、
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基又はハロゲン原子を表す。
〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、−NR、スルホ基、−SONR、−COOR10、−CONR1112、ニトロ基、シアノ基又はハロゲン原子を表す。R〜R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基又は置換基を有してもよいピリジニル基を表す。RとR、RとR及びR11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。]
【0037】
〜Rにおいて「ハロゲン原子」としては、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素が挙げられる。
【0038】
〜Rは、耐性付与の観点から、少なくとも4つが水素原子であることが好ましく、中でも、全て水素原子、又は、4つが水素原子かつ1つがスルホ基又はハロゲン原子であることがより好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。
【0039】
〜Xにおいて「置換基を有してもよいアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、tert−アミル基、2−エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2−メトキシエチル基、2−クロロエチル基、2−ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等を挙げることができ、これらの中でもメチル基、エチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0040】
〜Xにおいて「置換基を有してもよいアルケニル基」としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、4−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基等を挙げることができ、これらの中でもビニル基、アリル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0041】
〜Xにおいて「置換基を有してもよいアリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基等を挙げることができ、これらの中でもフェニル基、4−メチルフェニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0042】
〜Xにおいて「置換基を有してもよいアラルキル基」としては、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基等を挙げることができ、これらの中でもベンジル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0043】
〜Xにおいて「置換基を有してもアルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、2−(ジエチルアミノ)エトキシ基等を挙げることができ、これらの中でもメトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−(ジエチルアミノ)エトキシが、合成難易度の観点で好ましい。
【0044】
〜Xにおいて「置換基を有してもよいアリールオキシ基」としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、4−メチルフェニルオキシ基、3,5−クロロフェニルオキシ基、4−クロロ−2−メチルフェニルオキシ基、4−tert− ブチルフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−ジエチルアミノフェニルオキシ基、4−ニトロフェニルオキシ基等を挙げることができ、これらの中でもフェノキシ基、ナフチルオキシ基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0045】
〜Xにおいて「ハロゲン原子」としては、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素が挙げられる。
【0046】
〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、スルホ基、−COOR10、ニトロ基又はハロゲン原子であることが好ましく、X〜Xは、分散性、保存安定性及び合成難易度の観点から、全て水素原子であることが特に好ましい。
【0047】
〜R12において「置換基を有してもよいアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−アミル基、2−エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2−メトキシエチル基、2−クロロエチル基、2−ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基等を挙げることができ、これらの中でもメチル基、エチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0048】
〜R12において「置換基を有してもよいアリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−シアノフェニル基等を挙げることができ、これらの中でもフェニル基、4−メチルフェニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0049】
〜R12において「置換基を有してもよいアシル基」としては、アセチル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、アクリリル基、トリフルオロアセチル基等を挙げることができ、これらの中でもアセチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0050】
〜R12において「置換基を有してもよいピリジニル基」としては、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、2−メチル−4−ピリジニル基等を挙げることができ、これらの中でも4−ピリジニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
【0051】
とR、RとR9、11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。
【0052】
<スクアリリウム色素[A]の製造方法>
本願のスクアリリウム色素[A]は、一般式(1)で表され、かつ特定のX線回折パターンを有している。一般式(1)で示されるスクアリリウム色素の製造方法としては、下記の方法が考えられるが、本発明に使用されるスクアリリウム色素はこの下記製造方法によって限定されるものではない。
【0053】
(スクアリリウム色素の合成例)
下記一般式(2)に示した1,8−ジアミノナフタレン類と、下記一般式(3)に示したフルオレノン類とを、触媒とともに溶媒中で加熱還流して縮合させた後、下記式(4)に示した3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオンを加えてさらに加熱還流させて縮合し、一般式(1)で示されるスクアリリウム色素を得ることができる。
【0054】
【化3】
【0055】
(結晶形の調整・顔料化)
次いで、得られた一般式(1)で表されるスクアリリウム色素から、特定のX線回折パターンを有する本願のスクアリリウム色素[A]を得るために結晶形を調整する方法について説明するが、本発明に使用されるスクアリリウム色素[A]はこの下記製造方法によって限定されるものではない。
【0056】
結晶形の調整は、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶剤へ接触させる方法が挙げられる。これら有機溶媒中に上述の一般式(1)で表されるスクアリリウム色素を混合撹拌した後、濾別することで、特定のX線回折パターンを有する本願のスクアリリウム色素[A]が得られる。その際、粒子径の調整のために加熱又は冷却を行ってもよいし、濾別する前に別の溶媒を加えてもよい。
【0057】
また、得られた一般式(1)で表されるスクアリリウム色素を、本発明の特定の結晶形に調整する、また、その特定結晶形をより強固に成長させる、粒子径分布を狭小化する、易分散性を付与する、など種々の目的のために、顔料化処理を行ってもよい。
【0058】
顔料化の方法としては、アシッドペースティング法、ソルベントソルトミリング法等といった一般的な着色剤や顔料の顔料化に用いられる業界公知の方法が挙げられる。
【0059】
アシッドペースティング法とは、硫酸中に色素を加えて溶解した後、大量の水に硫酸溶液を滴下し、析出させることで微細なスクアリリウム色素[A]を得る方法である。析出させる際に使用する水の量、及び温度等を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ粒子を得ることができる。
【0060】
ソルベントソルトミリング法とは、色素と水溶性無機塩と水溶性有機溶媒との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶媒を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料粒子が破砕される。ソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつスクアリリウム色素[A]を得ることができる。
【0061】
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等を用いることができる。価格の点から、塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、スクアリリウム色素[A]の全重量を基準(100重量%)として、50〜2000重量%用いることが好ましく、300〜1500重量%用いることがより好ましく、500〜1000重量%用いることが最も好ましい。
【0062】
水溶性有機溶媒は、スクアリリウム色素[A]及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶媒が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点のものが好ましい。そのような水溶性有機溶媒としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。これら水溶性有機溶媒は、スクアリリウム色素[A]の全重量を基準(100重量%)として、好ましくは5〜1000重量%、より好ましくは50〜500重量%の範囲で用いる。
【0063】
ソルベントソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。ここで、用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記水溶性有機溶媒に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、スクアリリウム色素[A]の全重量を基準(100重量%)として、2〜200重量%の範囲であることが好ましい。
【0064】
本発明のスクアリリウム色素[A]は、その使用用途に合わせて、2種類以上のスクアリリウム色素[A]を併用してもよい。この場合、別々に製造したスクアリリウム色素[A]同士を混合して使用しても良い。あるいは、同時に2種類以上のスクアリリウム色素[A]を合成又は顔料化することによって製造したものを使用しても良い。
【0065】
<画像形成材料>
本発明の画像形成材料について詳しく説明する。
本発明の画像形成材料において、本発明のスクアリリウム色素[A]は、耐性付与の観点から、分散状態で使用する事が好ましい。
【0066】
本発明の画像形成材料におけるスクアリリウム色素[A]は、必要に応じて調節することができるが、画像形成材料中に0.05〜50質量%含有させることが好ましく、0.1〜30質量%含有させることがより好ましい。
【0067】
本発明の画像形成材料における、スクアリリウム色素[A]は1種又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0068】
本発明の画像形成材料の用途は特に制限されないが、例えば、電子写真用トナー、インクジェットプリンター用インク、サーマルプリンター用インク、又は活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、若しくはシルク印刷用のインクなどの用途が挙げられる。
【0069】
(電子写真トナー用途)
本発明の画像形成材料が電子写真用トナーである場合、当該画像形成材料は、1成分現像剤として単独で用いても、あるいはキャリアと組み合わせた2成分現像剤として用いてもよい。キャリアとしては、公知のキャリアを用いることができる。例えば、芯材上に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。この樹脂被覆層には導電粉等が分散されていてもよい。
【0070】
また、本発明の画像形成材料が電子写真用トナーである場合、当該画像形成材料は結着樹脂を含有することができる。結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類の単独重合体あるいは共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等を挙げることができる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等も結着樹脂として使用してもよい。
【0071】
また、本発明の画像形成材料が電子写真用トナーである場合、当該画像形成材料は、必要に応じて帯電制御剤、オフセット防止剤等を更に含有することができる。帯電制御剤としては正帯電用のものと負帯電用のものがあり、正帯電用には、第4級アンモニウム系化合物がある。また、負帯電用には、アルキルサリチル酸の金属錯体、極性基を含有したレジンタイプの帯電制御剤等が挙げられる。オフセット防止剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等が用いられる。
【0072】
また、本発明の画像形成材料が電子写真用トナーである場合、流動性、粉体保存性の向上、摩擦帯電制御、転写性能、クリーニング性能向上等のために、無機粉粒子あるいは有機粒子を外添剤としてトナー表面に添加してもよい。無機粉粒子としては、公知のもの、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、酸化セリウム等を挙げることができる。また目的に応じて無機粉粒子に公知の表面処理を施してもよい。また、有機粒子としては、フッ化ビニリデン、メチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート等を構成成分とする乳化重合体、あるいはソープフリー重合体等を挙げることができる。
【0073】
(インクジェットプリンター用インク用途)
《水性IJインク》
本発明の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、画像形成材料は、水を含有する水性インクの態様をとってもよい。また画像形成材料が水性インクである場合、インクの乾燥防止及び浸透性の向上のために、水溶性の有機溶剤を更に含有してもよい。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
【0074】
また、水溶性の有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、N−アルキルピロリドン類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール類、メタノール、ブタノール、フェノールのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等のグリコールエーテル類等が挙げられる。使用される有機溶媒は1種類でも2種類以上でもよい。有機溶媒は、吸湿性、保湿性、スクアリリウム色素の溶解度、浸透性、インクの粘度、氷点等を考慮して選択される。インクジェットプリンター用インク中の有機溶媒の含有率としては、例えば、1重量%以上60重量%以下の範囲が挙げられる。
【0075】
さらに、本発明の画像形成材料が水性IJインクの態様をとっている場合、水性樹脂を含有しても良い。水性樹脂としては、水に溶解する水溶解性の樹脂、水に分散する水分散性の樹脂、コロイダルディスバーション樹脂、またはそれらの混合物が挙げられる。水性樹脂としては具体的には、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられる。
【0076】
さらに、色素の分散および画質の品質を向上させるため、界面活性剤および分散剤を用いてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性の界面活性剤が挙げられ、いずれの界面活性剤を用いても良いが、アニオン性、または非イオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0077】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコーン系等が挙げられる。
【0078】
さらに、本発明の画像形成材料が水性IJインクの態様をとっている場合、定着樹脂および/または分散剤として水性樹脂を含有しても良い。水性樹脂としては、水に溶解する水溶解性の樹脂、水に分散する水分散性の樹脂、コロイダルディスバーション樹脂、またはそれらの混合物が挙げられる。水性樹脂としては具体的には、アクリル系、スチレン−アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられる。
【0079】
《非水性IJインク》
また、本発明の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、画像形成材料は、非水性IJインクの態様をとってもよい。画像形成材料が非水性インクの態様をとっている場合、媒体として非水系ビヒクルを含有してもよい。非水系ビヒクルに使用される樹脂は、例えば、石油系樹脂、カゼイン、シエラック、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、酸化ゴム、塩酸ゴム、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、乾性油、合成乾性油、スチレン/マレイン酸樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂塩素化ポリプロピレン、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂等が挙げられる。非水系ビヒクルとして、光硬化性樹脂を用いてもよい。
【0080】
また、非水系ビヒクルに使用される溶剤としては、例えば、トルエンやキシレン、メトキシベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の酢酸エステル系溶剤、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸エチルヘキシル、乳酸アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル系溶剤、エトキシエチルプロピオネート等のプロピオネート系溶剤、メタノール、エタノール等のアルコール系溶剤、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクタム、N−メチル−2−ピロリドン、アニリン、ピリジン等の窒素化合物系溶剤、γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤、カルバミン酸メチルとカルバミン酸エチルの48:52の混合物のようなカルバミン酸エステル等が挙げられる。
【0081】
さらに、色素の分散および画質の品質を向上させるため、分散剤を用いてもよい。分散剤の構造は、色素の吸着部位(主鎖)と分散安定化部位(側鎖)がバランスよく配列しているものであれば特に限定しないが、一般的に、くし型骨格と呼ばれるタイプの分散剤がより好ましく用いられる。
【0082】
分散剤として、例えば、主鎖骨格にポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリアリルアミン、及びポリエチレンイミン等の樹脂、側鎖骨格には、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリルエステル、ポリアクリロニトリル、ポリカプロラクトン及びポリバレロラクトン等のポリエステル等の樹脂を用いることが好ましい。
【0083】
分散体の低粘度化、インキの保存安定性の点で、主鎖がポリアリルアミン、又はポリエチレンイミンであり、側鎖としてポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン等のポリエステルで該主鎖を変性することにより、オキシアルキレンカルボニル基を導入したものが好ましい。中でも、主鎖がポリエチレンイミン、側鎖が少なくともオキシアルキレンカルボニル基を有することが好ましい。
【0084】
前記、主鎖がポリエチレンイミン等であり、側鎖が少なくともオキシアルキレンカルボニル基を有する分散剤は、公知の方法を利用して合成することが出来る。たとえば、特表2002−509787に記載のポリカプロラクトン等のラクトンにグリコール酸等の有機酸を反応させたものを、ポリアミンもしくはポリエチレンイミン等のポリイミンに、窒素雰囲気下100〜180℃で反応させることにより得られる。
分散剤の重量平均分子量、酸価およびアミン価は、たとえば、原料となるポリエチレンイミン及びポリカプロラクトンの重量平均分子量、酸価、アミン価を任意に選択し、ポリエチレンイミンとポリカプロラクトンとの反応温度、撹拌時間を変更することにより、調整することができる。ただし、所定の分散剤の重量平均分子量、酸価、アミン価を得られる方法であれば、制限を受けるものではない。
【0085】
また、本発明の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、インクジェットプリンターのシステムに要求される諸条件を満たすために、本実施形態に係る画像形成材料は、インクの成分として従来知られている添加物を含有することができる。このような添加物としては、pH調整剤、比抵抗調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、金属封鎖剤等が挙げられる。pH調整剤としては、アルコールアミン類、アンモニウム塩類、金属水酸化物等が挙げられる。また、比抵抗調整剤としては、有機塩類、無機塩類が挙げられる。金属封鎖剤としては、キレート剤等が挙げられる。
【0086】
また、本発明の画像形成材料がインクジェットプリンター用インクである場合、噴封ノズル部の閉塞やインク吐出方向の変化等が生じない程度に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂等の水溶性樹脂を含有することもできる。
【0087】
(その他用途)
本発明の画像形成材料がサーマルプリンター用インク、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はシルク印刷用のインクである場合、当該画像形成材料はポリマーや有機溶剤を含有する油性インクの態様をとることができる。ポリマーとしては、一般的には、蛋白質、ゴム、セルロース類、シエラック、コパル、でん粉、ロジン等の天然樹脂;ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等の熱可塑性樹脂;レゾール型フェノール樹脂尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、有機溶媒としては、上記インクジェットプリンター用インクの説明において例示された有機溶媒が挙げられる。
【0088】
また、本発明の画像形成材料がサーマルプリンター用インク、活版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はシルク印刷用のインクである場合、当該画像形成材料は印刷皮膜の柔軟性や強度を向上させるための可塑剤、粘度調整、乾燥性向上のための溶剤、乾燥剤、粘度調整剤、分散剤、各種反応剤等の添加剤を更に含有することができる。
【0089】
また本発明の画像形成材料は、安定化剤を更に含有してもよい。安定化剤は、励起状態の有機近赤外吸収色素からエネルギーを受け取るものであり、有機近赤外吸収色素の吸収帯よりも長波長側に吸収帯を有するものであることが好ましい。また、安定化剤は、一重項酸素による分解が起こり難く、本発明のスクアリリウム色素[A]と相溶性が高いことが好ましい。このような安定化剤としては、例えば、有機金属錯体化合物が挙げられ、中でもNi錯体化合物が特に好ましい。
【0090】
(画像形成材料の製造方法)
以下、本発明の画像形成材料の製造方法の一例について説明する。
例えば、分散状態で使用する場合、スクアリリウム色素[A]と分散剤とを混合し、その混合液について顔料化処理を行う方法が挙げられる。なお分散剤としては、後述するように、本発明のスクアリリウム色素[A]を分散できるものであれば、公知のものが制限なく使用することができる。活性剤のような低分子型の分散剤も使用することができるし、樹脂型分散剤のような高分子型の分散剤も使用することができる。また、分散剤中の吸着基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などの酸性基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩などの塩基性基、ヒドロキシル基などの中性基が挙げられるが、特に制限なく使用することができる。
【0091】
(画像形成材料の評価方法)
本発明のスクアリリウム色素[A]は、400nm以上750nm以下の可視光波長領域における吸光度が十分に低く、かつ、750nm以上1000nm以下の近赤外光波長領域における吸光度が十分に高いものである。本発明のスクアリリウム色素[A]は、耐光性に優れるものである。したがって、本発明のスクアリリウム色素[A]を含有する本発明の画像形成材料は、情報の不可視性と不可視情報の読み取りやすさを両立することができ、更には不可視情報が記録された記録媒体における長期安定性を達成することが可能である。
【0092】
本発明のスクアリリウム色素[A]は、下記式(I)及び(II)で表される条件を満たすことが好ましい。下記式(I)及び(II)で表される条件を満たすことで、画像形成材料の色味によらず、情報の不可視性と不可視情報の読み取りやすさとを両立することが可能となり、さらに、不可視情報が記録された記録媒体における長期信頼性を実現することが可能となる。
0≦ΔE≦15 (I)
(100−R)≧75 (II)
[式(II)中、ΔEは下記式(III):
【0093】
【数1】
[式(III)中、L、a、bはそれぞれ画像形成前における記録媒体表面のL値、a値、及びb値を示し、L、a、bはそれぞれ前記画像形成材料を用いて付着量4g/mの定着画像を記録媒体表面に形成した時の画像部におけるL値、a値、及びb値を示す。)で表されるCIE1976L*a*b*表色系における色差を示し、式(II)中、R(単位:%)は前記画像部における波長850nmの赤外線反射率を示す。]
【0094】
、a、b、L、a、bは反射分光濃度計を用いて得ることができる。本発明におけるL、a、b、L、a、bは、反射分光濃度計としてエックスライト株式会社製、x−rite939を用いて測定されたものである。
【0095】
本発明の画像形成材料を用いて記録された不可視情報は、例えば750nm以上1000nm以下のいずれかの波長で発光する半導体レーザー又は発光ダイオードを光学読み取り用の光源として用い、近赤外光に高い分光感度を有する汎用の受光素子を使用することにより、非常に簡易にかつ高感度に読み出すことが可能である。受光素子としては、例えばシリコンによる受光素子(CCD等)が挙げられる。
【0096】
<塗料、粘着剤、又は接着剤>
本発明のスクアリリウム色素[A]は、塗料、粘着剤、又は接着剤として用いることができる。製造の一例としては、本発明のスクアリリウム色素[A]を「分散」して使用する場合、スクアリリウム色素[A]と樹脂[B]の他に、スクアリリウム色素[A]を分散させることができる分散剤[C]、その他成分などを添加して、公知分散手段を用いて、分散状態の樹脂組成物を製造することが好ましい。公知分散手段としては、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライターなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0097】
<マスターバッチ>
本発明のスクアリリウム色素[A]は、マスターバッチとして用いることができる。マスターバッチを得る方法としては、下記が挙げられるがこれらに限定されない。スクアリリウム色素[A]、及び樹脂[B]として熱可塑性樹脂、その他添加剤を混合し、溶融混練し、ペレット状に成型することで、マスターバッチを製造することが好ましい。混合は、一般的な高速せん断型混合機や回転混合機であるヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミキサー等を用いるのが好ましい。また、溶融混練は、二本ロール、三本ロール、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、単軸混練押出し機、二軸混練押出し機等を用いるのが好ましい。溶融混練時の加熱温度は、熱可塑性樹脂が溶融する温度であれば特に制限なく、例えば、180〜350℃の範囲から適宜選択することができる。
【0098】
<層、積層体>
本発明のスクアリリウム色素[A]は、公知の基材上に公知の方法で塗工することによって、スクアリリウム色素[A]を含有する層及び積層体を得ることができる。
【0099】
(基材)
公知の基材は、プラスチックフィルム、プラスチックシート、プラスチックプレート、紙、金属箔、金属板、ガラス、セラミック、木材等からなるものであって良くこれらに限定されない。基材の形状及び大きさは、任意であってよい。
【0100】
(塗工方法)
塗工方法としては、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート、インクジェット、スクリーン、グラビア、オフセット、フレキソなどの印刷方式などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0101】
<成形物(フィルム含む)>
成型物(フィルム含む)は、特に限定はなく、一般に採用されている成形方法を任意に採用できる。例えば、(1)熱可塑性樹脂、及び本発明のスクアリリウム色素[A]を混合し、次いで溶融混練した後に、成形する方法、(2)熱可塑性樹脂、本発明のスクアリリウム色素[A]、及び重合開始剤を型枠の中で重合させ、成形する方法等が挙げられる。成形法としては、特に制限はなく、例えば、射出成形法(ガス射出成形も含む)、超高速射出成形法、射出圧縮成形法(プレスインジェクション)、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、中空成形、カレンダー成形法、シート成形法、フィルム成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等の公知の成形方法が挙げられる。
【0102】
成形物を製造する際の装置としては、単軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ロール練機、ニーダー、ブラベンダープラストグラフなどの公知の溶融混練装置が挙げられる。
【0103】
前記成形物の形状は、必要に応じて任意の形状に成形でき、平面状、曲面状の他、より複雑な形状にも成形することができる。また成形物の厚さは、フィルム状、板状等に任意に調整でき、一旦形成した成形物を後加工によって任意の複雑な形状に成形することもできる。
【0104】
<近赤外線吸収組成物>
本発明の近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表されるスクアリリウム色素[A]と、樹脂[B]、分散剤[C]、光重合性単量体、光重合開始剤、有機溶剤、及び水からなる群から選ばれる少なくとも一種とを含む。また、本発明の近赤外線吸収組成物は、一般式(1)で表されるスクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]並びに、有機溶剤及び水からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する近赤外線吸収組成物を含む。この他に、硬化剤、硬化促進剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、レベリング剤、光吸収性色素、光安定剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、活性剤、消泡剤などの成分を含んでもよい。
【0105】
本発明の近赤外線吸収組成物において、本発明のスクアリリウム色素[A]は、耐性付与の観点から、分散状態で使用する事が特に好ましい。また、本発明の近赤外線吸収組成物における、スクアリリウム色素[A]は1種又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0106】
本発明の強固な結晶性を有するスクアリリウム色素[A]を含む近赤外線吸収組成物は、近赤外線吸収色素としての光学特性(不可視性・近赤外線吸収能)、各種耐性に優れ、且つ凝集しにくい、つまりは易分散であり、保存安定性に優れるといった特性により、塗料、接着剤、粘着剤、マスターバッチ、成形物、フィルム、近赤外線カットフィルタ、固体撮像素子、熱線カット材料、光熱変換材料、レーザー溶着用材料等、様々な用途に好適に用いることができる。
【0107】
<樹脂[B]>
本発明の樹脂[B]としては、以下の通り、用途や要求性能に応じて、公知の水系・溶剤系樹脂が制限なく使用することができ、用途に応じて適宜選択して単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0108】
(塗料等、塗工して用いる場合)
本発明の近赤外線吸収組成物が、塗料等の、塗工して使用する用途の場合、樹脂[B]はバインダー能を有していることが好ましく、例えば、脂肪族エステル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変性樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アルキッド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、及びそれらの共重合樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、ゼラチン、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、アルギン酸等の天然高分子材料も挙げられる。
【0109】
(インクジェットインキとして用いる場合)
本発明の近赤外線吸収組成物が、インクジェットインキ用途の場合、樹脂[B]として、前述の画像形成材料の項のインクジェットプリンター用インク用途に記載の樹脂を適宜選択して用いることができる。
【0110】
(アルカリ現像型レジスト材の形態で用いる場合)
本発明の近赤外線吸収組成物を、アルカリ現像型レジスト材の形態で用いる場合には、バインダー樹脂として酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を用いることが好ましい。また、さらに光感度を向上と耐溶剤の改善を目的に、エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を用いることもできる。
【0111】
酸性基含有エチレン性不飽和モノマーを共重合したビニル系アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、脂肪族カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ可溶性樹脂として具体的には、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、又はイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、酸性基を有するアクリル樹脂、及びスチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂、特に酸性基を有するアクリル樹脂は、耐熱性、透明性が高いため、好適に用いられる。
【0112】
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(a)や(b)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
【0113】
[方法(a)]
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合及びカルボキシル基を導入する方法がある。
【0114】
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、及び3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0115】
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0116】
多塩基酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
【0117】
方法(a)の類似の方法として、例えば、脂肪族カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖脂肪族カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合及び脂肪族カルボキシル基を導入する方法がある。
【0118】
[方法(b)]
方法(b)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他の脂肪族カルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
【0119】
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、又はシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び/又はブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、及び/又は(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又はグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
【0120】
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、又は1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
【0121】
(粘着剤として用いる場合)
本発明の近赤外線吸収組成物を粘着剤として使用する場合、樹脂[B]は、それ自体が粘着剤であることが好ましい。粘着剤は、主として粘着性樹脂からなるものであって、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
粘着剤は、実用可能な接着強度があれば、任意の適切な粘着剤を採用し得る。このような粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリビニルブチラール系粘着剤、エチレン−酢酸ビニル系(EVA)粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、飽和無定形ポリエステル系粘着剤、メラミン系粘着剤、ゴム系粘着剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でも、透明性や諸耐性に優れており、本発明の効果がより一層発現できる点で、粘着剤としては、(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤が好ましい。
【0122】
(メタ)アクリル系粘着剤としては、任意の適切な(メタ)アクリル系粘着剤を採用し得る。中でもよく用いられる(メタ)アクリル系樹脂としては、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、ポリマー内に官能基を付与するために、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の官能基含有の単量体を共重合させた(メタ)アクリル系樹脂、或いは、その他共重合可能な単量体及びオリゴマーと共重合させた(メタ)アクリル系樹脂、更に、その(メタ)アクリル系樹脂が有する官能基と反応する架橋剤を添加した(メタ)アクリル系樹脂組成物が挙げられる。
【0123】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、iso−デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0124】
分子内に官能基を有する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0125】
架橋剤としては、アクリル系樹脂と反応可能な官能基を分子内に2個以上有していればよく、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、アジリジン化合物、メラミン化合物、尿素樹脂、金属キレート剤等が挙げられる。
【0126】
ウレタン系粘着剤としては、任意の適切なウレタン系粘着剤を採用し得る。このようなウレタン系粘着剤としては、好ましくは、ポリオールとポリイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン樹脂からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0127】
シリコーン系粘着剤としては、任意の適切なシリコーン系粘着剤を採用し得る。このようなシリコーン系粘着剤としては、好ましくは、シリコーン樹脂をブレンドまたは凝集させることにより得られるものを採用し得る。
【0128】
シリコーン系粘着剤としては、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤や過酸化物硬化型シリコーン系粘着剤が挙げられる。これらのシリコーン系粘着剤の中でも、過酸化物(過酸化ベンゾイルなど)を使用せず、分解物が発生しないことから、付加反応硬化型シリコーン系粘着剤が好ましい。
【0129】
付加反応硬化型シリコーン系粘着剤の硬化反応としては、例えば、ポリアルキルシリコーン系粘着剤を得る場合、一般的に、ポリアルキル水素シロキサン組成物を白金触媒により硬化させる方法が挙げられる。
【0130】
また、粘着剤には目的に応じて、老化防止剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、滑剤、無機または有機の充項剤、金属粉、等を含有してよい。
【0131】
老化防止剤としては、フェノール系誘導体、アミン系誘導体、リン系誘導体、有機チオ酸塩等があげられる。
【0132】
タック性向上のための粘着付与剤としては、ロジン、ダンマル等の天然樹脂、変性ロジン、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、アルキルフェノール−アセチレン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、クマロンインデン樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体等が挙げられる。
【0133】
低温特性等の改善のための可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、セバチン酸エステル系可塑剤、リシノール酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤等が挙げられる。
【0134】
粘着剤は、任意の適切な方法によって製造し得る。例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、紫外線(UV)による重合など、ポリマーの合成手法として一般的に用いられる重合方法を用いるとともに、任意の適切な架橋方法を採用し、必要に応じて任意の適切な添加剤を用いることによって製造し得る。
【0135】
(接着剤として用いる場合)
本発明の近赤外線吸収組成物を接着剤として使用する場合、樹脂[B]は、それ自体が接着剤であることが好ましい。
接着剤は、実用可能な接着強度があれば、任意の適切な接着剤を採用し得る。このような接着剤としては、例えば(メタ)アクリル系接着剤、α−オレフィン系接着剤、セルロース系接着剤、酢酸ビニル系接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合系(EVA)接着剤、塩化ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、イソシアネート系接着剤、フェノール系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、ウレタン系接着剤、スチレン系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルピロリドン系接着剤、ポリビニルブチラール系接着剤、メラミン系接着剤、ユリア系接着剤、レゾルシノール系接着剤などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。中でも、透明性や諸耐性に優れており、本発明の効果がより一層発現できる点で、接着剤としては、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤が好ましい。
【0136】
ウレタン系接着剤としては、任意の適切なウレタン系接着剤を採用し得る。このようなウレタン系接着剤としては、好ましくは、ポリオールとイソシアネート硬化剤成分からなるものが挙げられる。ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルウレタンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられる。中でも、ポリエステルポリオールまたはポリウレタンポリオールが好ましい。ポリエステルポリオールは、通常のポリエステル樹脂を製造する際に用いられる酸成分及びポリオール成分を反応させることにより製造することができる。酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバチン酸、アジピン酸、無水トリメリット酸等が挙げられ、ポリオール成分としては、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が用いられる。上記酸成分及びポリオール成分は一種に限らず二種以上を用いることができる。
【0137】
ポリエステルウレタンポリオールは、上記のポリエステルポリオールにヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物を反応することにより製造することができる。
【0138】
イソシアネート硬化剤成分は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート化合物又はそれらジイソシアネート化合物の誘導体を用いることができる。
【0139】
上記ポリオール成分と上記イソシアネート硬化剤成分は、該ポリオール成分中の水酸基に対して該イソシアネート硬化剤中のイソシアネート基が0.8〜5.0当量の割合となるように配合されたものが好ましいが、上記水酸基に対して上記イソシアネート基が1.5〜3.0当量の割合で配合したものがより好ましい。上記当量比が0.8未満では、架橋が十分でなくなり、5.0を超えると硬化反応が著しく遅くなって、接着力が低下する。
【0140】
エポキシ系接着剤としては、任意の適切なエポキシ系接着剤を採用し得る。このようなエポキシ系接着剤としては、好ましくは、エポキシ樹脂及び硬化剤成分からなるものが挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、多官能ポリフェノール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂等が挙げられ、また、エポキシ基が多官能の化合物(例えば複数の水酸基やアミノ基を有する多官能化合物やオリゴマー等)と結合した多官能エポキシ樹脂も挙げられる。
【0141】
また、硬化剤成分としては、例えば1液性エポキシ接着剤では、ジシアンジアミド、芳香族ジアミン類等の脂肪族アミン類以外のアミン類や広義のアミン系化合物、酸無水物類、フェノール樹脂などが挙げられる。また、2液性エポキシ接着剤では、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びジエチルアミノプロピルアミン等の鎖状脂肪族系ポリアミン、メンセンジアミン等の脂環族ポリアミン、m−キシリレンジアミン等の芳香族ポリアミン、及び、変性脂肪族系ポリアミン類等の脂肪族ポリアミン型化合物等が挙げられる。
【0142】
上記エポキシ樹脂及び硬化剤成分は一種に限らず二種以上を用いることができる。
【0143】
また、接着剤には目的に応じて、例えば、硬化助剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤、粘着付与剤、防黴剤、増粘剤、可塑剤、顔料、消泡剤、シランカップリング剤、リン酸等の密着助剤等の添加剤を含有してよい。
【0144】
(マスターバッチとして用いる場合)
本発明の近赤外線吸収組成物がマスターバッチとして使用する用途の場合、樹脂[B]は熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン(登録商標)、ABS樹脂、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0145】
(熱硬化性樹脂)
また、本発明の樹脂[B]として、熱硬化性樹脂を使用してもよい。熱硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、カルド樹脂等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0146】
樹脂[B]として使用できる前記エポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物/又は樹脂、水素化ビスフェノールA系エポキシ化合物/又は樹脂、ビスフェノールF系エポキシ化合物/又は樹脂、水素化ビスフェノールF系エポキシ化合物/又は樹脂、ノボラック型エポキシ化合物/又は樹脂、環式脂肪族系エポキシ化合物/又は樹脂、複素環式エポキシ化合物/又は樹脂、グリシジルエーテル系化合物/又は樹脂、グリシジルエステル系化合物/又は樹脂、グリシジルアミン系化合物/又は樹脂、エポキシ化油等のエポキシ化合物/又は樹脂;前記エポキシ化合物/又は樹脂の臭素化誘導体や、トリス(グリシジルフェニル)メタン、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらのエポキシ化合物/又は樹脂は、1種を単独で、又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
【0147】
前記エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート190P、エピコート191P(以上は商品名;油化シェルエポキシ(株)製)、エピコート1004、エピコート1256(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、TECHMORE VG3101L(商品名;三井化学(株)製)、EPPN−501H、502H(商品名;本化薬(株)製)、JER 1032H60(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、JER 157S65、157S70(商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN−201(商品名;日本化薬(株)製)、JER152、JER154(以上は商品名;ジャパンエポキシレジン(株)製)、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1020(以上は商品名;日本化薬(株)製)、セロキサイド2021P、EHPE−3150(以上商品名;ダイセル化学工業(株)製)、デナコールEX−810、EX−830、EX−851、EX−611、EX−512、EX−421、EX−411、EX−321、EX−313、EX−201、EX−111(以上は商品名;ナガセケムテックス(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0148】
<分散剤[C]>
本発明の近赤外線吸収組成物に使用できる分散剤[C]としては、本発明のスクアリリウム色素[A]を分散できるものであれば、公知のものが制限なく使用することができる。活性剤のような低分子型の分散剤も使用することができるし、樹脂型分散剤のような高分子型の分散剤も使用することができる。また、分散剤中の吸着基としては、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基などの酸性基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム塩基などの塩基性基、ヒドロキシル基などの中性基が挙げられるが、特に制限なく使用することができる。これらの分散剤は1種、又は必要に応じて任意の比率で、2種以上混合して用いることができる。
【0149】
(3級アミノ基及び/または4級アンモニウム塩基を有する分散剤)
粘度、保存安定性の観点から、3級アミノ基及び/または4級アンモニウム塩基を有する分散剤が好ましく、その中でも、樹脂型分散剤の形態がより好ましく、更には、3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有する樹脂型分散剤が極めて好ましい。また、分散剤[C]は構造制御されていることが好ましく、ブロック構造を有していることが好ましい。
前記の3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有する樹脂型分散剤は、固形分におけるアミン価が、10〜250mgKOH/g、且つ4級アンモニウム塩価が10〜90mgKOH/gであることが好ましく、更には、アミン価が50〜200mgKOH/g、且つ4級アンモニウム塩価が10〜50mgKOH/gであることが極めて好ましい。
また、分散剤[C]は、重量平均分子量(Mw)が3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましい。
【0150】
3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有する分散剤[C]は、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体、4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体、及び必要に応じてその他エチレン性不飽和単量体を共重合してなる共重合体として得ることができる。4級アンモニウム塩を有するエチレン性不飽和単量体を共重合組成に含むかわりに、3級アミンを有するエチレン性不飽和単量体を含む共重合体を重合した後、該重合体に塩化ベンジル等のハロゲン化炭化水素化合物を反応させ、部分的に3級アミノ基を4級アンモニウム塩化させて、調製してもよい。
【0151】
3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体は、下記一般式(5)で示される構造が好ましい。
【0152】
一般式(5)
【化60】
【0153】
[一般式(5)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有してもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R51及びR52が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R53は水素原子又はメチル基を示し、X101は2価の連結基を示す。]
【0154】
一般式(5)のR51及びR52で示される炭化水素基上の置換基のうち、鎖状の炭化水素基上の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基等が挙げられる。また、環状の炭化水素基上の置換基としては鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基等が挙げられる。また、R51及びR52で示される鎖状の炭化水素基には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれも含まれる。
【0155】
一般式(5)におけるR51及びR52としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好ましい。
【0156】
一般式(5)において、R51及びR52が互いに結合してなる環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有しないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
【0157】
【化61】
【0158】
一般式(5)において、2価の連結基X101としては、例えば、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R58−基、−COO−R59−基〔但し、R58及びR59は、単結合、メチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、又は炭素数2〜10のエーテル基(アルキルオキシアルキル基等を含む)である〕等が挙げられ、好ましくは−COO−R59−基である。
【0159】
一般式(5)で示される3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0160】
4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体は、下記一般式(7)で示される構造が好ましい。
【0161】
一般式(7)
【化62】
【0162】
[一般式(7)中、R54〜R56は、それぞれ独立に、水素原子、又は置換基を有してもよい鎖状若しくは環状の炭化水素基を示し、R54〜R56のうち2つ以上が互いに結合して環状構造を形成してもよい。R57は水素原子又はメチル基を示し、X102は2価の連結基を示し、Lは対アニオンを示す。]
【0163】
一般式(7)のR54〜R56で示される炭化水素基上の置換基のうち、鎖状の炭化水素基上の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、ベンゾイル基、水酸基等が挙げられる。また、環状の炭化水素基上の置換基としては鎖状のアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、水酸基等が挙げられる。また、R54〜R56で示される鎖状の炭化水素基には、直鎖状及び分岐鎖状のいずれも含まれる。
【0164】
一般式(7)におけるR54〜R56としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が特に好ましい。
【0165】
一般式(7)において、R54〜R56のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
【0166】
【化63】
【0167】
一般式(7)において、RはR54〜R56のうちいずれかである。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
【0168】
一般式(7)において、2価の連結基X102は、上記一般式(5)におけるX101と同様である。また、一般式(7)の対アニオンのLとしては、Cl、Br、I、ClO4、BF、CHCOO、又はPF等が挙げられる。
【0169】
一般式(7)で示される4級アンモニウム塩基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチル(4−ベンゾイルベンジル)ジメチルアンモニウムブロマイド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルジエチルアンモニウムクロライド等が挙げられ、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0170】
<光重合性単量体>
本発明の色素を含有する各種用途における組成物には、光重合性単量体を含むことができる。光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、又は2種以上混合して用いることができる。その中でも、不飽和結合基を一分子中に3個〜12個有する光重合性単量体を含むことが好ましい。
【0171】
光重合性単量体としてはたとえば、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、EO変性フタル酸(メタ)アクリレート、PO変性フタル酸(メタ)アクリレート、アクリル化シソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0172】
これらの市販品としては、日本化薬社製のKAYARAD DPHA、KAYARAD DPEA−12、KAYARAD DPHA−2C、KAYARAD D−310、KAYARAD D−330、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120、KAYARAD R526、KAYARAD PEG400DA、KAYARAD R−167、KAYARAD HX−220、KAYARAD R−551、KAYARAD R712、KAYARAD R−604、KAYARAD R−684、KAYARAD GPO−303、KAYARAD TMPTA、及び東亜合成社製M210、M220、M225、M305、M309、M325、M350、M−402、大阪有機社製ビスコート195、ビスコート230、ビスコート260、ビスコート215、ビスコート310、ビスコート214HP、ビスコート295、ビスコート300、ビスコート360、ビスコートGPT、ビスコート400、ビスコート700、ビスコート540、ビスコート3000、ビスコート3700等が挙げられる。
【0173】
光重合性単量体の配合量は、スクアリリウム色素[A]100重量部に対し、5〜400重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜300重量部であることがより好ましい。
【0174】
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0175】
<光重合開始剤>
本発明の近赤外線吸収組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化させ、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、光重合開始剤等を加えて溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材の形態で調製することができる。
その中でも、オキシムエステル系開始剤、及びアミノケトン系光重合開始剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが、良好な、感光性、解像性の点において好ましい。
【0176】
(オキシムエステル系光重合開始剤)
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)−フェニルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−メチルチオフェニル−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル、チオキサントン、2,5−ジエチルチオキサントン、2−クロロキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシ−チオキサントン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(o−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、9−(p−トルイル)アクリジン、1,7−ビス(9,9'−アクリジニル)ヘプタン、N−フェニルグリシン、ビス(η5−シクロペンタジエニル)ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタニウム、2−エチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
【0177】
(アミノケトン系光重合開始剤)
アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、以下の化合物が例示できる。例えば、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジエチルアミノ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルホリノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−エチルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ブチルフェニル)−2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−メトキシフェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン(IRGACURE 369)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−ジメチルアミノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン(IRGACURE 379)等が挙げられる。
【0178】
本発明の近赤外線吸収組成物には、オキシムエステル系光重合開始剤、アミノケトン系光重合開始剤以外の光重合開始剤を併用しても構わない。その他の光重合開始剤としては2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、又は2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が挙げられる。
【0179】
光重合開始剤を使用する際の配合量は、スクアリリウム色素[A]の全量100重量部に対し、5〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜150重量部であることがより好ましい。
【0180】
これらの光重合開始剤は1種又は必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。これらの光重合開始剤は、樹脂組成物中のスクアリリウム色素[A]の全量を基準(100重量%)として、5〜200重量%であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から10〜150重量%であることがより好ましい。
【0181】
<有機溶剤>
本発明の近赤外線吸収組成物には、スクアリリウム色素[A]を濡れさせる、若しくは馴染ませる目的で、公知の有機溶剤を使用しても良い。公知の有機溶剤として、例えば、炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、アミド系、ハロゲン系などが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0182】
<その他の成分>
(硬化剤、硬化促進剤)
また本発明の近赤外線吸収組成物には、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤などを含んでいてもよい。硬化剤としては、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物などが有効であるが、特にこれらに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂と反応し得るものであれば、いずれの硬化剤を使用してもよい。また、これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましく挙げられる。前記硬化促進剤としては、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物及びその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)などを用いることができる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記硬化促進剤の含有量としては、熱硬化性樹脂100重量部に対し、0.01〜15重量部が好ましい。
【0183】
<その他の成分>
(着色剤)
また本発明の近赤外線吸収組成物には、その色調をより肉眼で認識しにくくする目的で、その他の着色剤を含んでいてもよい。着色剤としては、従来公知のいかなる顔料や染料でも構わない。本発明の組成物の色調調整のため、その他の着色剤を用いる場合、着色剤の含有量としては、スクアリリウム色素[A]100質量部に対し、1〜10質量部が好ましい。
【0184】
また、本発明のスクアリリウム色素[A]は、不可視性が非常に高いため、元の着色剤の色調を損なうことなく近赤外線吸収能を付与する目的にも好適に用いることができる。従来の着色剤に近赤外線吸収能を付与する場合、着色剤の含有量としては、スクアリリウム色素[A]1質量部に対し、20〜1000質量部が好ましい。
【0185】
(その他成分)
本発明の近赤外線吸収組成物に使用できるその他成分としては、前述の通り、連鎖移動剤、酸化防止剤、レベリング剤、光吸収性色素、光安定剤、紫外線吸収剤、無機微粒子、活性剤、消泡剤などが挙げられるが、これらに限らず、用途や要求性能に応じて、公知の成分を制限なく用いることができる。
【0186】
<近赤外線カットフィルタ用途>
本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含有する組成物は、不可視性・近赤外線吸収能が高く、且つ各種耐性に優れているため、近赤外線カットフィルタを構成する材料として好ましく利用することができる。近赤外線カットフィルタを形成する方法としては、本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含有する組成物を、例えば、近赤外線カットフィルタを構成する基材又は任意の層に含有させる方法、基材又は任意の層上にコーティングする方法、各層間のポリマーバインダーや接着剤、粘着剤に含有させる方法、本発明のスクアリリウム色素[A]を含有する樹脂層を上記の各層とは別に設ける方法等が挙げられる。具体的な近赤外線カットフィルタ用途としては、半導体用途、電子機器用途、各種センサ用途、密着型イメージセンサ・CCDイメージセンサ・CMOSイメージセンサなどの固体撮像素子用途などが挙げられ、組み合わせるその他の材料やフィルタ次第では、近赤外線カットフィルタだけではなく、IRパスフィルタ、バンドパスフィルタなどにも使用できる。
【0187】
<熱線カット材料用途>
本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含む組成物は、不可視性、及び近赤外線吸収能が高いため、熱線カット材料として好ましく利用することができる。本発明の熱線カット材料を用いれば、太陽光の可視光線を有効に透過させ、かつ熱線を確実にカットできる。また、耐候性に優れているため長期にわたって太陽光に暴露しても熱線遮断能力が損なわれることはない。
【0188】
<光熱変換材料用途>
本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含む組成物は、近赤外線吸収能が非常に高いため光熱変換材料として好ましく利用することができる。一例として、レーザー溶着用材料が挙げられ、レーザー光を選択的に吸収し、局所的に発熱することで、基材である熱可塑性樹脂が溶融し、接合することができる。他にも、レーザーマーキング用材料や昇温促進材やインキの乾燥助剤としての利用も可能である。
【0189】
<レーザー溶着用材料用途>
本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含む組成物を樹脂材の溶着に用いれば、レーザーを照射することにより樹脂材同士の色調差を小さく接合することができ、また当接面同士を確実に溶着させて十分な接合強度を得ることができる。
【0190】
近年、軽量化及び低コスト化等の観点より、自動車部品等、各種分野の部品として樹脂成形物が頻繁に用いられている。また、樹脂成形物の高生産性化等の観点より、樹脂成形物を予め複数に分割して成形し、これらの分割成形物を互いに接合する手段が採られることが多い。樹脂材同士の接合は、従来、レーザーに対して透過性のある透過性樹脂材と、レーザーに対して吸収性のある吸収性樹脂材とを重ね合わせた後、前記透過性樹脂材側からレーザーを照射することにより、透過性樹脂材と吸収性樹脂材との当接面同士を加熱溶融させて両者を一体的に接合するレーザー溶着方法により行われている。さらに、従来のレーザー溶着方法では、同種あるいは異なる種類の樹脂部材の接合において、接合される樹脂部材がレーザーに対して吸収性を有するものと吸収性を有さないものの2種類となるため、その色調に差が生じ、接合された樹脂部材の使用用途に限界があった。具体的には、レーザーに対して非吸収性の樹脂材料は白色あるいは透明のレーザー透過色であり、吸収性の部材はカーボンブラック等の黒色系のレーザー吸収色であるため、見た目の違和感を生じるようになっていた。すなわち、このような異なる色の樹脂材料を接合すると、見た目の接合力が弱く感じられるとともに、接合部が目立つという問題を有していた。
【0191】
本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含む組成物を用いれば、不可視性及び近赤外線吸収能が非常に高いため、これらの問題を解決することができる。特に、透過性樹脂材同士、つまりは透明な樹脂材同士を接合することができる。例えば、透過性樹脂材の接合したい箇所に本発明の樹脂組成物を塗工し、別の透過性樹脂材で、前記のように塗工した樹脂層を挟み込み、一方からレーザーを照射すると、塗工した箇所のみレーザー光を吸収し、局所的、瞬間的に発熱し、樹脂材同士が溶融し接合できる。この際、本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含有する組成物は、不可視性が非常に高いため、塗工箇所の色調の差が全く目立たない。また、近赤外線吸収能が高いため、少量添加での強固な接合が可能となる。他の方法として、透過性樹脂材自体に本発明のスクアリリウム色素[A]を練り込む方法も考えられるが、この方法でも塗工時と同様の効果が発現すると考えられる。つまり、本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含有する組成物をレーザー溶着用途に利用すれば、高い意匠性を維持したまま、強固な接合を実現することができる。
【0192】
<固体撮像素子用途>
本発明のスクアリリウム色素[A]及び該色素を含む組成物は、固体撮像素子用途に用いることもできる。特に、近赤外線吸収組成物として使用することが好ましい。本発明の固体撮像素子用組成物としてより好ましくは、一般式(1)に記載のスクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]、光重合性単量体、光重合開始剤及び有機溶剤を含有するものである。
固体撮像素子用の近赤外線吸収組成物としては、前述の通り、スクアリリウム色素[A]と樹脂[B]の他に、スクアリリウム色素[A]を分散させることができる分散剤[C]を用いて分散することで得ることができる。分散手段としては、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、横型サンドミル、縦型サンドミル、アニュラー型ビーズミル、又はアトライターなどが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0193】
(粗大粒子の除去)
固体撮像素子用の近赤外線吸収組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように本発明の固体撮像素子用の近赤外線吸収組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
【0194】
(近赤外線カットフィルタ)
赤外線カットフィルタは、固体撮像素子用の近赤外線吸収組成物を用いて、印刷法又はフォトリソグラフィー法及びエッチング法により、製造することができる。
【0195】
本発明の固体撮像素子用の近赤外線カットフィルタは、視野角が広く、優れた近赤外線カット能等を有する。また、可視域(400nm〜750nm)に吸収が少なく、かつ近赤外線吸収能に優れ、さらに耐熱性、耐光性といった耐久性に優れている。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、暗視カメラ、自動車用カメラ、テレビ、カーナビ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
【0196】
印刷法によるフィルタセグメントの形成は、印刷インキとして調製した近赤外線吸収組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、フィルタの製造法としては、低コストであり、かつ量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度及び平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性制御も重要であり、分散剤や体質顔料によってインキ粘度の調整も行うことができる。
【0197】
フォトリソグラフィー法によりフィルタセグメントを形成する場合は、前記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型レジスト材として調製した近赤外線吸収組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布する。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤又はアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してフィルタを製造することができる。さらに、レジスト材の重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いフィルタが製造できる。
【0198】
エッチング法によりフィルタセグメントを形成する場合は、ドライエッチング及びウエットエッチングのいずれの方法の適用も可能である。ドライエッチングは、反応性の気体(エッチングガス)やイオン、ラジカルによって材料をエッチングする方法である。これに対して、ウエットエッチングは、液体によって材料のエッチングを行う方法である。製造コストを考慮した場合、酸又はアルカリによるウエットエッチングが好ましい。一方、凹凸形成の再現性を考慮した場合には、微細加工に適したドライエッチングが好ましい。
【0199】
ドライエッチングには、反応ガス中に材料を曝す方法(反応性ガスエッチング)や、プラズマによりガスをイオン化・ラジカル化してエッチングする反応性イオンエッチングなどがある。
【0200】
反応性イオンエッチングによるドライエッチング装置としては、種々の方式のものが挙げられる。いずれの方式においても、装置構成は概ね同様である。すなわち、所要の真空圧に保持したチャンバー内で、エッチングガスに電磁波などを与えて、ガスをプラズマ化する。また、同時に、チャンバー内で試料基板が載置される陰極に高周波電圧を印加する。これにより、プラズマ中のイオン種やラジカル種を試料方向に加速させて衝突させ、イオンによるスパッタリングと、エッチングガスの化学反応とを同時に起こして、試料の微細加工を行う。
【0201】
本実施の形態においては、上述した工程によりパターンを形成した後、パターンに対して、そのまま直接にエッチング処理を行うことが可能である。また、フォトリソグラフィー技術を利用し、着色パターン上にマスクとなるレジストパターンを形成した後、そこから露出する着色パターン部分にエッチング処理を施してもよい。この方法によれば、複数色ある着色パターンの中から、所望の色の着色パターンを選択して凹凸を設けることが可能であり、さらに所望の個所に所望の程度の凹凸を設けることが可能である。
【0202】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。なお、紫外線露光感度を上げるために、上記レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0203】
本発明の近赤外線カットフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法、インクジェット法などにより製造することができるが、本発明の近赤外線吸収組成物はいずれの方法にも用いることができる。なお、電着法は、基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめフィルタセグメントを形成しておき、このフィルタセグメントを所望の基板に転写させる方法である。
【0204】
<固体撮像素子>
近年、撮像装置は画像の記録、通信、放送の内容の拡大に伴って広く用いられるようになっている。撮像装置として種々の形式のものが提案されているが、小型、軽量で多色高性能のものが安定して製造されるようになった固体撮像素子を用いた撮像装置が、普及してきている。固体撮像素子は、撮影対象物からの光学像を受け、入射した光を電気信号に変換する複数の光電変換素子を備えている。光電変換素子の種類はCCD(電荷結合素子)タイプとCMOS(相補型金属酸化物半導体)タイプとに大別される。また、光電変換素子の配列形態は、光電変換素子を1列に配置したリニアセンサー(ラインセンサー)と、光電変換素子を縦横に2次元的に配列させたエリアセンサー(面センサー)との2種類に大別される。いずれのセンサにおいても、光電変換素子の数(画素数)が多いほど撮影された画像は精密になる。
【0205】
また、光電変換素子に入射する光の経路に、特定の波長の光を透過する各種のカラーフィルタを設けることで対象物の色情報を得ることを可能としたカラーセンサーも普及している。カラーフィルタの色としては、赤色(R)、青色(B)、緑色(G)の3色の色相で構成された3原色系、あるいは、シアン色(C)、マゼンタ色(M)、イエロー色(Y)の3色の色相で構成された補色系が一般的である。
【実施例】
【0206】
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」とは「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。また、「PGMAc」はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを意味する。
【0207】
(スクアリリウム色素[A]の同定方法)
本発明に用いたスクアリリウム色素[A]の同定には、元素分析及びMALDI TOF−MSスペクトルを用いた。元素分析は、パーキン・エルマー社製 2400 CHN Elemant Analyzerを用いた。MALDI TOF−MSスペクトルは、ブルカー・ダルトニクス社製MALDI質量分析装置autoflexIIIを用い、得られたマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数との一致をもって、得られた色素の同定を行った。
【0208】
(スクアリリウム色素[A]の粉末X線回折測定方法)
粉末X線回折測定は、日本工業規格JIS K0131(X線回折分析通則)に準じて、回折角(2θ)が、3°から35°の範囲で測定した。
【0209】
測定条件は下記の通りとした。
X線回折装置:(株)リガク社製RINT2100
サンプリング幅:0.02°
スキャンスピード:2.0°/min
発散スリット:1°
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:2°
受光スリット:0.3mm
管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:40mA
【0210】
(樹脂[B]、及び分散剤[C]の重量平均分子量(Mw))
本発明に用いた樹脂[B]、及び分散剤[C]の重量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
【0211】
(分散剤[C]の4級アンモニウム塩価)
本発明に用いた分散剤[C]の4級アンモニウム塩価は、5%クロム酸カリウム水溶液を指示薬として、0.1Nの硝酸銀水溶液で滴定して求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。4級アンモニウム塩価は、固形分の4級アンモニウム塩価を示す。
【0212】
(樹脂[B]、及び分散剤[C]の酸価)
樹脂[B]、及び分散剤[C]の酸価は、0.1Nの水酸化カリウム・エタノール溶液を用い、電位差滴定法によって求めた。樹脂[B]、及び分散剤[C]の酸価は、固形分の酸価を示す。
【0213】
(分散剤[C]のアミン価)
分散剤[C]のアミン価は、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた後、水酸化カリウムの当量に換算した。分散剤[C]のアミン価は、固形分のアミン価を示す。
【0214】
<スクアリリウム色素の製造>
[実施例1]
(スクアリリウム色素[A−1]の製造)
トルエン400部に、1,8−ジアミノナフタレン40.0部、9−フルオレノン46.0部、p−トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合し、窒素ガスの雰囲気中で加熱攪拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn−ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4−ジヒドロキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により系中から除去した。反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を攪拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させた。
得られた黒色固体を、N−メチルピロリドン550部に加え、25℃で3時間撹拌した。さらに、メタノール295部を加えて10分撹拌し、得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、メタノールで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、スクアリリウム色素[A−1]76.1部(収率:87%)を得た。TOF−MSによる質量分析および元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−1]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ、図1に示すようにブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0215】
スクアリリウム色素[A−1]
【化4】
【0216】
[実施例2]
(スクアリリウム色素[A−2]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−メチル−9−フルオレノン49.6部を使用した以外は、スクアリリウム色素[
A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−2]75.3部(収率:
83%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素
[A−2]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定した
ところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°
及び25.4°にピークを有していた。
【0217】
スクアリリウム色素[A−2]
【化5】
【0218】
[実施例3]
(スクアリリウム色素[A−3]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、1,8−ジメチル−9−フルオレノン53.2部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−3]75.3部(
収率:80%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウ
ム色素[A−3]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測
定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22
.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0219】
スクアリリウム色素[A−3]
【化6】
【0220】
[実施例4]
(スクアリリウム色素[A−4]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、3,6−ジエチル−9−フルオレノン60.3部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−4]83.3部(
収率:83%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウ
ム色素[A−4]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測
定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22
.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0221】
スクアリリウム色素[A−4]
【化7】
【0222】
[実施例5]
(スクアリリウム色素[A−5]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、4,5−ジイソプロピル−9−フルオレノン74.7部を使用した以外は、スクアリ
リウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−5]91.
2部(収率:80%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクア
リリウム色素[A−5]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パター
ンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°
、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0223】
スクアリリウム色素[A−5]
【化8】
【0224】
[実施例6]
(スクアリリウム色素[A−6]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,7−ビス(トリフルオロメチル)−9−フルオレノン80.7部を使用した以外
は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A
−6]94.4部(収率:79%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の
結果、スクアリリウム色素[A−6]であることを同定した。また、CuKα線によるX
線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°
、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0225】
スクアリリウム色素[A−6]
【化9】
【0226】
[実施例7]
(スクアリリウム色素[A−7]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,3−ジビニル−9−フルオレノン59.3部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−7]84.9部(
収率:85%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウ
ム色素[A−7]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測
定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22
.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0227】
スクアリリウム色素[A−7]
【化10】
【0228】
[実施例8]
(スクアリリウム色素[A−8]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−フェニル−9−フルオレノン65.5部を使用した以外は、スクアリリウム色素
[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−8]85.5部(収率
:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色
素[A−8]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定し
たところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2
°及び25.4°にピークを有していた。
【0229】
スクアリリウム色素[A−8]
【化11】
【0230】
[実施例9]
(スクアリリウム色素[A−9]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−p−トリル−9−フルオレノン69.0部を使用した以外は、スクアリリウム色
素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−9]86.4部(収
率:79%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム
色素[A−9]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定
したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.
2°及び25.4°にピークを有していた。
【0231】
スクアリリウム色素[A−9]
【化12】
【0232】
[実施例10]
(スクアリリウム色素[A−10]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、3−ベンジル−9−フルオレノン69.0部を使用した以外は、スクアリリウム色素
[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−10]87.8部(収
率:80%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム
色素[A−10]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測
定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22
.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0233】
スクアリリウム色素[A−10]
【化13】
【0234】
[実施例11]
(スクアリリウム色素[A−11]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,3−ジメトキシ−9−フルオレノン61.4部を使用した以外は、スクアリリウ
ム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−11]83.9
部(収率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリ
リウム色素[A−11]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パター
ンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°
、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0235】
スクアリリウム色素[A−11]
【化14】
【0236】
[実施例12]
(スクアリリウム色素[A−12]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、3−(トリフルオロメトキシ)−9−フルオレノン67.5部を使用した以外は、ス
クアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−12
]90.1部(収率:84%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果
、スクアリリウム色素[A−12]であることを同定した。また、CuKα線によるX線
回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、
20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0237】
スクアリリウム色素[A−12]
【化15】
【0238】
[実施例13]
(スクアリリウム色素[A−13]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,7−ビス(2−(ジエチルアミノ)エトキシ)−9−フルオレノン104.8部
を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリ
リウム色素[A−13]118.5部(収率:83%)を得た。TOF−MSによる質量
分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−13]であることを同定した。また
、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、1
2.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0239】
スクアリリウム色素[A−13]
【化16】
【0240】
[実施例14]
(スクアリリウム色素[A−14]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、3−フェノキシ−9−フルオレノン69.5部を使用した以外は、スクアリリウム色
素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−14]89.1部(
収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウ
ム色素[A−14]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを
測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、2
2.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0241】
スクアリリウム色素[A−14]
【化17】
【0242】
[実施例15]
(スクアリリウム色素[A−15]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、1−ヒドロキシ−9−フルオレノン50.1部を使用した以外は、スクアリリウム色
素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−15]72.3部(
収率:79%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウ
ム色素[A−15]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを
測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、2
2.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0243】
スクアリリウム色素[A−15]
【化18】
【0244】
[実施例16]
(スクアリリウム色素[A−16]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−ヒドロキシ−9−フルオレノン50.1部を使用した以外は、スクアリリウム色
素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−16]71.4部(
収率:78%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウ
ム色素[A−16]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを
測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、2
2.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0245】
スクアリリウム色素[A−16]
【化19】
【0246】
[実施例17]
(スクアリリウム色素[A−17]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,7−ジヒドロキシ−9−フルオレノン54.2部を使用した以外は、スクアリリ
ウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−17]81.
8部(収率:86%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクア
リリウム色素[A−17]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パタ
ーンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2
°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0247】
スクアリリウム色素[A−17]
【化20】
【0248】
[実施例18]
(スクアリリウム色素[A−18]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−アミノ−9−フルオレノン49.9部を使用した以外は、スクアリリウム色素[
A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−18]74.7部(収率
:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色
素[A−18]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定
したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.
2°及び25.4°にピークを有していた。
【0249】
スクアリリウム色素[A−18]
【化21】
【0250】
[実施例19]
(スクアリリウム色素[A−19]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、4,5−ジアミノ−9−フルオレノン53.7部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−19]76.8部
(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリ
ウム色素[A−19]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターン
を測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、
22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0251】
スクアリリウム色素[A−19]
【化22】
【0252】
[実施例20]
(スクアリリウム色素[A−20]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−アミノ−3−ブロモ−9−フルオレノン70.0部を使用した以外は、スクアリ
リウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−20]87
.2部(収率:79%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スク
アリリウム色素[A−20]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パ
ターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.
2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0253】
スクアリリウム色素[A−20]
【化23】
【0254】
[実施例21]
(スクアリリウム色素[A−21]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−アミノ−7−ブロモ−9−フルオレノン70.0部を使用した以外は、スクアリ
リウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−21]91
.6部(収率:83%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スク
アリリウム色素[A−21]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パ
ターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.
2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0255】
スクアリリウム色素[A−21]
【化24】
【0256】
[実施例22]
(スクアリリウム色素[A−22]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−(ジメチルアミノ)−9−フルオレノン57.0部を使用した以外は、スクアリ
リウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−22]81
.4部(収率:83%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スク
アリリウム色素[A−22]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パ
ターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.
2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0257】
スクアリリウム色素[A−22]
【化25】
【0258】
[実施例23]
(スクアリリウム色素[A−23]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N−(9−オキソ−9H−フルオレン−4−イル)アセトアミド60.6部を使用し
た以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色
素[A−23]82.2部(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元
素分析の結果、スクアリリウム色素[A−23]であることを同定した。また、CuKα
線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、
17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0259】
スクアリリウム色素[A−23]
【化26】
【0260】
[実施例24]
(スクアリリウム色素[A−24]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N−(9−オキソ−9H−フルオレン−3−イル)アセトアミド60.6部を使用し
た以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色
素[A−24]81.6部(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元
素分析の結果、スクアリリウム色素[A−24]であることを同定した。また、CuKα
線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、
17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0261】
スクアリリウム色素[A−24]
【化27】
【0262】
[実施例25]
(スクアリリウム色素[A−25]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−2−スルホン酸66.5部を使用した以外は、スク
アリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−25]
85.4部(収率:80%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、
スクアリリウム色素[A−25]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回
折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、2
0.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0263】
スクアリリウム色素[A−25]
【化28】
【0264】
[実施例26]
(スクアリリウム色素[A−26]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−2,7−ジスルホン酸86.9部を使用した以外は
、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−
26]105.6部(収率:84%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析
の結果、スクアリリウム色素[A−26]であることを同定した。また、CuKα線によ
るX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.
5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0265】
スクアリリウム色素[A−26]
【化29】
【0266】
[実施例27]
(スクアリリウム色素[A−27]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N,N−ジ−sec−ブチル−9−オキソ−9H−フルオレン−2,7−ジスル
ホンアミド115.1部を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様
の操作を行い、スクアリリウム色素[A−27]123.9部(収率:81%)を得た。
TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−27]であ
ることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラッ
ク角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°
にピークを有していた。
【0267】
スクアリリウム色素[A−27]
【化30】
【0268】
[実施例28]
(スクアリリウム色素[A−28]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N,N−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−9−オキソ−9H−フルオレン−
2,7−ジスルホンアミド139.6部を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1
]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−28]143.9部(収率:8
2%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[
A−28]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定した
ところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°
及び25.4°にピークを有していた。
【0269】
スクアリリウム色素[A−28]
【化31】
【0270】
[実施例29]
(スクアリリウム色素[A−29]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N,N−ビス(4−クロロフェニル)−9−オキソ−9H−フルオレン−2,7
−ジスルホンアミド142.9部を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製
造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−29]147.4部(収率:82%)
を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−2
9]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ
、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び2
5.4°にピークを有していた。
【0271】
スクアリリウム色素[A−29]
【化32】
【0272】
[実施例30]
(スクアリリウム色素[A−30]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N,N−ジアセチル−9−オキソ−9H−フルオレン−2,7−ジスルホンアミ
ド107.9部を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を
行い、スクアリリウム色素[A−30]117.4部(収率:80%)を得た。TOF−
MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−30]であることを
同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ
=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピーク
を有していた。
【0273】
スクアリリウム色素[A−30]
【化33】
【0274】
[実施例31]
(スクアリリウム色素[A−31]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−N,N−ジ(ピリジン−4−イル)−9H−フルオレン−2,7−
ジスルホンアミド125.8部を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造
と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−31]132.7部(収率:81%)を
得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−31
]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ、
ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び25
.4°にピークを有していた。
【0275】
スクアリリウム色素[A−31]
【化34】
【0276】
[実施例32]
(スクアリリウム色素[A−32]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、N,N−ビス(3,5−ジメチルピペリジン−1−イルスルホニル)−9H−フ
ルオレン−9−オン135.5部を使用した以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製
造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−32]137.5部(収率:80%)
を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−3
2]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定したところ
、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.2°及び2
5.4°にピークを有していた。
【0277】
スクアリリウム色素[A−32]
【化35】
【0278】
[実施例33]
(スクアリリウム色素[A−33]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−1−カルボン酸57.3部を使用した以外は、スク
アリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−33]
84.1部(収率:86%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、
スクアリリウム色素[A−33]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回
折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、2
0.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0279】
スクアリリウム色素[A−33]
【化36】
【0280】
[実施例34]
(スクアリリウム色素[A−34]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−4−カルボン酸57.3部を使用した以外は、スク
アリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−34]
79.7部(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、
スクアリリウム色素[A−34]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回
折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、2
0.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0281】
スクアリリウム色素[A−34]
【化37】
【0282】
[実施例35]
(スクアリリウム色素[A−35]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−1−カルボン酸メチル60.8部を使用した以外は
、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−
35]82.8部(収率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の
結果、スクアリリウム色素[A−35]であることを同定した。また、CuKα線による
X線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5
°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0283】
スクアリリウム色素[A−35]
【化38】
【0284】
[実施例36]
(スクアリリウム色素[A−36]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−4−カルボン酸エチル64.4部を使用した以外は
、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−
36]85.9部(収率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の
結果、スクアリリウム色素[A−36]であることを同定した。また、CuKα線による
X線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5
°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0285】
スクアリリウム色素[A−36]
【化39】
【0286】
[実施例37]
(スクアリリウム色素[A−37]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−2−カルボキサミド57.0部を使用した以外は、
スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−3
7]79.3部(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結
果、スクアリリウム色素[A−37]であることを同定した。また、CuKα線によるX
線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°
、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0287】
スクアリリウム色素[A−37]
【化40】
【0288】
[実施例38]
(スクアリリウム色素[A−38]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−ニトロ−9−フルオレノン57.5部を使用した以外は、スクアリリウム色素[
A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−38]80.7部(収率
:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色
素[A−38]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定
したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.
2°及び25.4°にピークを有していた。
【0289】
スクアリリウム色素[A−38]
【化41】
【0290】
[実施例39]
(スクアリリウム色素[A−39]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,7−ジニトロ−9−フルオレノン69.0部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−39]89.1部
(収率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリ
ウム色素[A−39]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターン
を測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、
22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0291】
スクアリリウム色素[A−39]
【化42】
【0292】
[実施例40]
(スクアリリウム色素[A−40]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、9−オキソ−9H−フルオレン−3−カルボニトリル52.4部を使用した以外は、
スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−4
0]75.5部(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結
果、スクアリリウム色素[A−40]であることを同定した。また、CuKα線によるX
線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°
、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0293】
スクアリリウム色素[A−40]
【化43】
【0294】
[実施例41]
(スクアリリウム色素[A−41]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−フルオロ−9−フルオレノン50.6部を使用した以外は、スクアリリウム色素
[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−41]74.8部(収
率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム
色素[A−41]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測
定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22
.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0295】
スクアリリウム色素[A−41]
【化44】
【0296】
[実施例42]
(スクアリリウム色素[A−42]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、3−フルオロ−9−フルオレノン50.6部を使用した以外は、スクアリリウム色素
[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−42]75.3部(収
率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム
色素[A−42]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測
定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22
.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0297】
スクアリリウム色素[A−42]
【化45】
【0298】
[実施例43]
(スクアリリウム色素[A−43]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,5−ジフルオロ−9−フルオレノン55.2部を使用した以外は、スクアリリウ
ム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−43]75.1
部(収率:78%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリ
リウム色素[A−43]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パター
ンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°
、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0299】
スクアリリウム色素[A−43]
【化46】
【0300】
[実施例44]
(スクアリリウム色素[A−44]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,7−ジクロロ−9−フルオレノン63.6部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−44]84.1部
(収率:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリ
ウム色素[A−44]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターン
を測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、
22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0301】
スクアリリウム色素[A−44]
【化47】
【0302】
[実施例45]
(スクアリリウム色素[A−45]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,4−ジクロロ−9−フルオレノン63.6部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−45]86.4部
(収率:83%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリ
ウム色素[A−45]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターン
を測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、
22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0303】
スクアリリウム色素[A−45]
【化48】
【0304】
[実施例46]
(スクアリリウム色素[A−46]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2−ブロモ−9−フルオレノン66.2部を使用した以外は、スクアリリウム色素[
A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−46]89.3部(収率
:84%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色
素[A−46]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定
したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.
2°及び25.4°にピークを有していた。
【0305】
スクアリリウム色素[A−46]
【化49】
【0306】
[実施例47]
(スクアリリウム色素[A−47]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、4−ブロモ−9−フルオレノン66.2部を使用した以外は、スクアリリウム色素[
A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−47]86.5部(収率
:81%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリリウム色
素[A−47]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パターンを測定
したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°、22.
2°及び25.4°にピークを有していた。
【0307】
スクアリリウム色素[A−47]
【化50】
【0308】
[実施例48]
(スクアリリウム色素[A−48]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した9−フルオレノン46.0部の代わり
に、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン86.3部を使用した以外は、スクアリリウム
色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−48]104.6
部(収率:83%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の結果、スクアリ
リウム色素[A−48]であることを同定した。また、CuKα線によるX線回折パター
ンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5°、20.2°
、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0309】
スクアリリウム色素[A−48]
【化51】
【0310】
[実施例49]
(スクアリリウム色素[A−49]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した1,8−ジアミノナフタレン40.0
部の代わりに、4,5−ジアミノナフタレン−1−スルホン酸60.2部を使用した以外
は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A
−49]85.5部(収率:80%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分
析の結果、スクアリリウム色素[A−49]であることを同定した。また、CuKα線に
よるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17
.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0311】
スクアリリウム色素[A−49]
【化52】
【0312】
[実施例50]
(スクアリリウム色素[A−50]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した1,8−ジアミノナフタレン40.0
部の代わりに、4,5−ジアミノナフタレン−1,8−ジスルホン酸80.5部を使用し
た以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色
素[A−50]103.6部(収率:82%)を得た。TOF−MSによる質量分析およ
び元素分析の結果、スクアリリウム色素[A−50]であることを同定した。また、Cu
Kα線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4
°、17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0313】
スクアリリウム色素[A−50]
【化53】
【0314】
[実施例51]
(スクアリリウム色素[A−51]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した1,8−ジアミノナフタレン40.0
部の代わりに、1,8−ジアミノ−2,4−ジフルオロナフタレン49.1部を使用した
以外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素
[A−51]76.8部(収率:80%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元
素分析の結果、スクアリリウム色素[A−51]であることを同定した。また、CuKα
線によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、
17.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0315】
スクアリリウム色素[A−51]
【化54】
【0316】
[実施例52]
(スクアリリウム色素[A−52]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した1,8−ジアミノナフタレン40.0
部の代わりに、1,8−ジアミノ−3,6−ジクロロナフタレン57.4部を使用した以
外は、スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[
A−52]87.5部(収率:84%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素
分析の結果、スクアリリウム色素[A−52]であることを同定した。また、CuKα線
によるX線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、1
7.5°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0317】
スクアリリウム色素[A−52]
【化55】
【0318】
[実施例53]
(スクアリリウム色素[A−53]の製造)
スクアリリウム色素[A−1]の製造で使用した1,8−ジアミノナフタレン40.0
部の代わりに、1,8−ジアミノ−4−ブロモナフタレン59.9部を使用した以外は、
スクアリリウム色素[A−1]の製造と同様の操作を行い、スクアリリウム色素[A−5
3]89.7部(収率:84%)を得た。TOF−MSによる質量分析及び元素分析の
結果、スクアリリウム色素[A−53]であることを同定した。また、CuKα線による
X線回折パターンを測定したところ、ブラック角2θ=8.6°、12.4°、17.5
°、20.2°、22.2°及び25.4°にピークを有していた。
【0319】
スクアリリウム色素[A−53]
【化56】

【0320】
以上、実施例1〜53で合成したスクアリリウム色素において、質量分析及び元素分析
を行った結果を表1及び表2に示す。
【0321】
【表1】

【0322】
【表2】
【0323】
[比較例1]
(スクアリリウム色素[D−1]の製造)
特開2009−91517号公報に準拠して下記のスクアリリウム色素[D−1]を合成した。
【0324】
スクアリリウム色素[D−1]
【化57】
【0325】
[比較例2]
(スクアリリウム色素[D−2]の製造)
特開2010−106153号公報に準拠して下記のスクアリリウム色素[D−2]を合成した。
【0326】
スクアリリウム色素[D−2]
【化58】
【0327】
[比較例3]
(スクアリリウム色素[D−3]の製造)
特開2009−209297号公報に準拠して下記のスクアリリウム色素[D−3]を合成し
た。
【0328】
スクアリリウム色素[D−3]
【化59】
【0329】
<画像形成材料の製造と評価>
以下に、本発明で用いられる画像形成材料として、トナー及びインクジェット用インキの製造を上げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0330】
≪トナーの製造≫
[実施例54]
(トナーT1の製造)
実施例1で製造した、スクアリリウム色素[A−1]を用い、下記の方法により凝集法
トナーT1を得た。
(1)分散液の調製
スクアリリウム色素[A−1]20部に、イオン交換水70部、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ナトリウム(ネオペレックスG−15、花王社製)3部を添加し、アイガーミルで
4時間分散処理して、色素の分散液を得た。
(2)ポリマー乳化液の調製
反応器に、エステルワックスエマルジョンを固形分として320部(SELOSOL
R−586、中京油脂社製)、イオン交換水14000部を入れ、90℃に昇温し、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、スチレン2500部、n−ブチルアクリレート
650部、メタクリル酸170部、8%過酸化水素水溶液330部、8%アスコルビン酸
水溶液330部を添加した。90℃で7時間反応を継続してポリマー乳化液を得た。
(3)トナーの製造
上記ポリマー乳化液150部に、上記分散液9.5部を注入し混合撹拌した。この中に
、0.5%の硫酸アルミニウム溶液40部を撹拌しながら注入した。60℃に昇温し、2
時間撹拌を継続し、ろ過、洗浄、乾燥し、本発明のトナーT1を得た。
【0331】
[実施例55〜106、比較例4〜6]
(トナーT2〜T56の製造)
スクアリリウム色素[A−1]を表3に記載のスクアリリウム色素に変更した以外は、
トナーT1と同様にして、凝集法トナーT2〜T56を得た。
【0332】
≪トナーの評価≫
得られたトナーT1〜T56を用いて以下の評価を行った。結果を表3に示す。
(分散性)
得られたトナーT1〜T56をミクロトームにて厚さ0.9μmにスライス形成し、透
過型電子顕微鏡によりスクアリリウム色素の分散状態を観察した。評価基準は下記の通り
である。
◎:顔料凝集物が存在せず、スクアリリウム色素が極めて均一に分散されているもの
〇:顔料凝集物がほぼ存在せず、スクアリリウム色素が均一に分散されているもの
△:顔料凝集物が存在し、スクアリリウム色素が均一に分散されていないもの
×:顔料凝集物が多数あり、スクアリリウム色素が均一に分散されていないもの
【0333】
(不可視性及び近赤外線吸収能)
得られたトナーT1〜T56について、それぞれ50部に疎水性シリカ0.3部を外添
し、電子写真プリンターでベタ画像を上質紙に印刷し、以下の方法で評価を行った。
ベタ画像を上質紙にプリントして得られた画像について、反射分光濃度計(エックスラ
イト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行い、前述の<画像形成材料の評
価方法>の項における式(I)中のΔE及び式(II)中のRを求めた。評価基準は下記の通りである。なお、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、×は実用には適さないレベルである。
〈不可視性〉
◎ :ΔE 10未満
○ :ΔE 10以上、15未満
× :ΔE 15以上
〈近赤外線吸収能〉
◎ :(100−R) 80以上
○ :(100−R) 75以上、80未満
× :(100−R) 75未満
【0334】
(耐光性(1))
上記の不可視性と近赤外線吸収能を評価する際に作製した場合と同様にして得られた試
験片を、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ
、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm、300〜800nmの広帯の
光にて試験を実施した。耐光性試験前後の画像について、反射分光濃度計(エックスライ
ト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行い、式(II)中のRを求めた。
光照射前のそれに対する残存率を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の
算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=〈照射後の(100−R)〉÷〈照射前の(100−R)〉×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が92.5%以上、95%未満
△ :残存率 が90%以上、92.5%未満
× :残存率 が90%未満
【0335】
(耐光性(2))
上記の不可視性と近赤外線吸収能を評価する際に作製した場合と同様にして得られた試
験片を、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ
、48時間放置した。この際、放射照度47mW/cm、300〜800nmの広帯の
光にて試験を実施した。耐光性試験前後の画像について、反射分光濃度計(エックスライ
ト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行い、式(II)中のRを求めた。
光照射前のそれに対する残存率を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の
算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=〈照射後の(100−R)〉÷〈照射前の(100−R)〉×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が92.5%以上、95%未満
△ :残存率 が90%以上、92.5%未満
× :残存率 が90%未満
【0336】
【表3】
【0337】
本発明のスクアリリウム色素[A]を含むトナーは、非常に高い分散性、不可視性、近
赤外線吸収能、及び耐光性を有していること示された。特に、スクアリリウム色素[A]
のX〜Xが水素原子であり、かつR〜Rが水素である[A−1]、X〜X
水素原子であり、かつR〜Rのうち1個がスルホ基、またはハロゲン基により置換さ
れている[A−49]、[A−53]を含むトナーが良好な結果であった。一方で、本発
明ではないスクアリリウム色素[D−1]、[D−2]を含むトナーは、特に耐光性が悪
化していた。更に、本発明ではないスクアリリウム色素[D−3]を含むトナーは、不可
視性、近赤外線吸収能、及び耐光性は良好であるが、分散性が著しく悪化しているため、
実用には不適である。
【0338】
≪インクジェット用インキの製造≫
IJインキの製造にあたり、分散剤と定着樹脂を製造した。
【0339】
(分散剤[C−15]溶液の調製)
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、トリエチレングリコールモノメチルエーテル93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV−601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、分散剤[C−15]の溶液を得た。分散剤[C−15]の重量平均分子量(Mw)は約16,000であった。さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、イオン交換水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるようにイオン交換水を加えた。これより、分散剤[C−15]の不揮発分20%の水溶液を得た。
【0340】
(定着樹脂[B−5]溶液の調製)
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)0.2部とを仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート40部、メチルメタクリレート50部、スチレン7部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬株式会社製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。固形分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で固形分を40%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。なお、固形分は、150℃20分焼き付け残分により求めた。得られた樹脂微粒子水分散体を定着樹脂[B−5]溶液とした。
【0341】
[実施例107]
(インクジェット用インキJ1の製造)
実施例1で製造した、スクアリリウム色素[A−1]を用い、下記の方法によりインク
ジェット用インキJ1を得た。
(1)分散液の調製
スクアリリウム色素[A−1]20部に、イオン交換水200部、特殊芳香族スルホン
酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(デモールSN−B、花王社製)2部を添加し、アイ
ガーミルで3時間分散処理して、色素の分散液を得た。
(2)インキの製造
上記各分散液40.3部に、グリセリン10部、トリエチレングリコール10部、トリ
エチレングリコールモノブチルエーテル10部、トリエタノールアミン0.2部、アセチ
レングリコール系界面活性剤(オルフィンE1010、日信化学社製)1部を混合し、3
5℃で1時間撹拌した。なお、残りは超純水(比抵抗値18MΩ・cm以上)を添加し、
全量が100部となるように調製した。その後、1.0μmのフィルタで濾過して、本発
明のインクジェット用インキJ1を得た。
【0342】
[実施例108〜159、比較例7〜9]
(インクジェット用インキJ2〜J56の製造)
スクアリリウム色素[A−1]を表4に記載のスクアリリウム色素に変更した以外は、
インクジェット用インキJ1と同様にして、インクジェット用インキJ2〜J56を得た。
【0343】
[実施例160]
(インクジェット用インキJ57の製造)
実施例1で製造した、スクアリリウム色素[A−1]を20部、分散剤[C−15]溶液を42.9部、イオン交換水37.1部をディスパーで予備分散した後、直径0.5mmのジルコニアビーズ1800部を充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、分散体を得た。
さらに、上記で得られた分散体を20部、トリエチレングリコールモノメチルエーテルを40部、イオン交換水を27.5部、定着樹脂[B−5]溶液を12.5部混合し、インクジェット用インキJ57を得た。
【0344】
[実施例161〜164、比較例10〜12]
(インクジェット用インキJ58〜J64の製造)
スクアリリウム色素[A−1]を表5に記載のスクアリリウム色素に変更した以外は、インクジェット用インキJ57と同様にして、インクジェット用インキJ58〜J64を得た。
【0345】
≪インクジェット用インキの評価≫
得られたインクジェット用インキJ1〜J64を用いて以下の評価を行った。結果を表
4及び表5に示す。
(保存安定性)
得られたインクジェット用インキJ1〜J64を70℃の恒温機に1週間保存、経時促
進させた後、経時前後でのインキの粘度変化について測定した。インキの粘度はE型粘度
計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数50rpmとい
う条件で測定した。
◎ :変化率が±3%未満
○ :変化率が±3%以上±5%未満
△ :変化率が±5%以上±15%未満
× :変化率が±15%以上
【0346】
(不可視性及び近赤外線吸収能)
得られたインクジェット用インキJ1〜J64について、インクジェットプリンターP
M−A700(商品名、EPSON社製)用のブラックインク用のインクカートリッジに
詰めてフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK、EPSO
N)(商品名)にカラー設定「黒」にてベタ画像を印刷し、以下の方法で評価を行った。
ベタ画像をフォト光沢紙にフォト光沢紙にプリントして得られた画像について、反射分
光濃度計(エックスライト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行い、式(
I)中のΔE及び式(II)中のRを求めた。なお、◎は非常に良好なレベル、○は良好
なレベル、×は実用には適さないレベルである。評価基準は下記の通りである。
〈不可視性〉
◎ :ΔE 10未満
○ :ΔE 10以上、15未満
× :ΔE 15以上
〈近赤外線吸収能〉
◎ :(100−R) 80以上
○ :(100−R) 75以上、80未満
× :(100−R) 75未満
【0347】
(耐光性(1))
上記の不可視性と近赤外線吸収能を評価する際に作製した場合と同様にして得られた試
験片を、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ
、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm、300〜800nmの広帯の
光にて試験を実施した。耐光性試験前後の画像について、反射分光濃度計(エックスライ
ト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行い、式(II)中のRを求めた。
光照射前のそれに対する残存率を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の
算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=〈照射後の(100−R)〉÷〈照射前の(100−R)〉×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が92.5%以上、95%未満
△ :残存率 が90%以上、92.5%未満
× :残存率 が90%未満
【0348】
(耐光性(2))
上記の不可視性と近赤外線吸収能を評価する際に作製した場合と同様にして得られた試
験片を、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ
、48時間放置した。この際、放射照度47mW/cm、300〜800nmの広帯の
光にて試験を実施した。耐光性試験前後の画像について、反射分光濃度計(エックスライ
ト株式会社製、x−rite939)を用いて測定を行い、式(II)中のRを求めた。
光照射前のそれに対する残存率を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお、残存率の
算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=〈照射後の(100−R)〉÷〈照射前の(100−R)〉×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が92.5%以上、95%未満
△ :残存率 が90%以上、92.5%未満
× :残存率 が90%未満
【0349】
【表4】
【0350】
【表5】
【0351】
本発明のスクアリリウム色素[A]を含むインクジェット用インキは、非常に高い不可
視性、近赤外線吸収能、耐光性、及び保存安定性を有していること示された。特に、スク
アリリウム色素[A]のX〜Xが水素原子であり、かつR〜Rが水素である[A
−1]、X〜Xが水素原子であり、かつR〜Rのうち1個がスルホ基、またはハ
ロゲン基により置換されている[A−49]、[A−53]を含むインクジェット用イン
キが良好な結果であった。一方で、本発明ではないスクアリリウム色素[D−1]、[D
−2]を含むインクジェット用インキは、特に耐光性が悪化していた。更に、本発明では
ないスクアリリウム色素[D−3]を含むインクジェット用インキは、不可視性、近赤外
線吸収能、及び耐光性は良好であるが、保存安定性が著しく悪化しており、インクジェッ
トインキとして安定的に使用できない。
【0352】
このようにして作製された画像形成材料は、可視域(400nm〜750nm)に吸収
が少なく近赤外線吸収能に優れているため、非常に分光特性に優れていると言える。更に
は耐光性にも優れたものであり、且つ凝集しにくいため、トナーとしての分散性、インク
ジェットインキとしての保存安定性にも優れている。そのため、不可視性情報を記録する
ための画像形成材料として優れた性能を有していると言える。
【0353】
<樹脂[B](バインダー樹脂)溶液の製造方法>
(バインダー樹脂[B−1]溶液の調製):ランダム共重合体
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反
応容器にシクロヘキサノン70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換
した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート12.4部、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変
性アクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM110」)7.3部(n−ブチル
メタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/メタクリル酸/パラクミルフェ
ノールエチレンオキサイド変性アクリレートの重量比率10.5/15.5/17.1/
25.0)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.7部の混合物を2時間かけて滴
下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、酸価110mgKOH/g、重量平均分
子量(Mw)10,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液
約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成し
た樹脂溶液に不揮発分が20重量%になるようにプロピレングリコールモノエチルエーテ
ルアセテートを添加してバインダー樹脂[B−1]溶液を調製した。
【0354】
<分散剤[C]の製造方法>
(分散剤[C−1]溶液の調製):3級アミノ基含有グラフト共重合体
ガス導入管、温度計、コンデンサー、及び攪拌機を備えた反応容器に、PGMAc150部、及びn−ブチルタクリレート100 部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2−メルカプトエタノール4部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95% が反応したことを確認し、数平均分子量は3,900、重量平均分子量7,900の反応生成物(分散剤1a)を得た。
上記反応生成物に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート7.9部とメチル
ジブチル錫ジラウレート0.05部とメチルヒドロキノン0.05部を追加で仕込み、反
応容器を100℃に加熱して4時間反応した。その後40℃まで冷却し、反応生成物(樹
脂型分散剤1b溶液)を得た。
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、PGMAc1
22部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽に上記反応生成物、ペン
タメチルピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−82)
150部、ヒドロキシエチルメタクリレート10部、及び2,2’−アゾビス(2,4−
ジメチルブチロニトリル)を4部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間か
けて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続した。このようにして、固形分当たりのア
ミン価が42mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)23,500の不揮発分が40重
量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、3級アミノ基を有する分散剤[C−1]溶
液を得た。
【0355】
(分散剤[C−2]溶液の調製):3級アミノ基含ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタ
クリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン1
3.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に
、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、
窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重
合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%
以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミ
ノエチルメタクリレート20部(以下、DMという)を投入し、110℃・窒素雰囲気下
を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から
2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブ
ロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合
を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテートを添加した。このようにして、固形分当たりのア
ミン価が71.4mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,900、不揮発分が40重量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、3級アミノ基を有する分散剤[C−2]溶液を得た。
【0356】
(分散剤[C−3]溶液の調製):4級アンモニウム塩基含ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート60部、nーブチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてメタクリロイ
ルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液25.6部(三菱レイヨン社製
「アクリエステルDMC78」)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌
し、反応を継続した。メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド投
入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して
第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却し
て重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテートを添加した。このようにして、固形分当たりの4
級アンモニウム塩価が29.4mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%のポリ(メタ)アクリレート骨格であり、4級アンモニウム塩基を有する分散剤[C−3]溶液を得た。
【0357】
(分散剤[C−4]溶液の調製):酸性樹脂型分散剤
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレー
ト50部、n−ブチルメタクリレート50部、PGMAc45.4部を仕込み、窒素ガス
で置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオー
ル6部を添加して、さらにAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.12部を加え、
12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリ
ット酸無水物9.7部、PGMAc70.3部、触媒としてDBU(1,8−ジアザビシ
クロ−[5.4.0]−7−ウンデセン)0.20部を追加し、120℃で7時間反応さ
せた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応
を終了した。PGMAcを加えて不揮発分50%に調整した。このようにして、固形分当たりの酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル
基を有する分散剤[C−4]溶液を得た。
【0358】
(分散剤[C−5]溶液の調製):酸性樹脂型分散剤
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1
,2−プロパンジオール6部、ピロメリット酸無水物9.7部、モノブチルスズオキシド
0.01部、PGMAc88.9部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を100
℃に加熱して、7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル
化していることを確認した後、系内の温度を70℃に冷却し、メチルメタクリレート50
部とn−ブチルメタクリレート30部と、ヒドロキシメチルメタクリレート20部を仕込
み、AIBN0.12部とPGMAc26.8部を添加して、10時間反応した。固形分
測定により重合が95%進行したことを確認し反応を終了した。PGMAcを加えて不揮
発分50%に調整し、固形分当たりの酸価43mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,000、ポリ(メタ)アクリレート骨格であり、芳香族カルボキシル基を有する分散剤[C−5]溶液を得た。
【0359】
(分散剤[C−6]溶液)
Disperbyk−168 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分30%)(分散剤[C−7]溶液)
BYK−P104 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分50%)(分散剤[C−8]溶液)
Disperbyk−171 (ビックケミー・ジャパン製:不揮発分39.5%)
【0360】
[3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基含有分散剤の製造方法]
(分散剤[C−9]溶液の調製):ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート44.7部、n−ブチルメタクリレート14.9部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノエチルメタクリレート33.6部(以下、DM)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド6.8部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が90mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の分散剤[C−9]溶液を得た。
【0361】
(分散剤[C−10]溶液の調製):ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート47.8部、n−ブチルメタクリレート15.9部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてDM25.2部、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液13.8部(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC80」、不揮発分80%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が90mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の分散剤[C−10]溶液を得た。
【0362】
(分散剤[C−11]溶液の調製):ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート39.4部、n−ブチルメタクリレート13.1部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてDM36.4部、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液13.8部(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC80」、不揮発分80%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が130mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の分散剤[C−11]溶液を得た。
【0363】
(分散剤[C−12]溶液の調製):ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート40.2部、n−ブチルメタクリレート13.4部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジエチルアミノエチルメタクリレート39.6部(以下、DE)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジエチルアミノエチルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド6.8部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が90mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の分散剤[C−12]溶液を得た。
【0364】
(分散剤[C−13]溶液の調製):ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート42.6部、n−ブチルメタクリレート14.2部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMAc)133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてジメチルアミノプロピルメタクリルアミド36.4部(以下、DMAPMA)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認した。さらに、この反応装置に、ベンジルクロライド6.8部を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま3時間撹拌し、その後冷却した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が90mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の分散剤[C−13]溶液を得た。
【0365】
(分散剤[C−14]溶液の調製):ブロック共重合体
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート39.6部、n−ブチルメタクリレート13.2部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル2.6部、塩化第一銅5.6部、PGMAc133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロックの重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応槽に、PGMAc61部、第二ブロックモノマーとしてペンタメチルピペリジルメタクリレート(株式会社ADEKA製、アデカスタブLA−82)36.1部、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液13.8部(三菱レイヨン社製「アクリエステルDMC80」、不揮発分80%)を投入し、110℃・窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロックの重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温まで冷却して重合を停止した。
先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにPGMAcを添加した。このようにして、固形分当たりのアミン価が90mgKOH/g、4級アンモニウム塩価が30mgKOH/g、重量平均分子量(Mw)9,800、不揮発分が40重量%の分散剤[C−14]溶液を得た。
【0366】
<塗料(塗工性組成物)の製造>
[実施例165]
(塗工性組成物(SC−1)の製造)
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用
いて、アイガーミルで3時間分散した後、0.5μmのフィルタで濾過し、塗工性組成物
(SC−1)を作製した。
スクアリリウム色素[A−1] :10.0部
分散剤[C−1]溶液 : 7.5部
バインダー樹脂[B−1]溶液 :35.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :47.5部
【0367】
[実施例166〜206、比較例13〜14]
(塗工性組成物(SC−2〜44)の製造)
以下、スクアリリウム色素[A]、樹脂[B]、分散剤[C]及び有機溶剤を表6に示
す組成、量に変更した以外は塗工性樹脂組成物(SC−1)と同様にして、塗工性樹脂組
成物(SC−2〜44)を作製した。
【0368】
【表6】
【0369】
<塗工性組成物の評価>
得られた塗工性組成物(SC−1〜44)について、粘度、保存安定性、近赤外線吸収
能、不可視性、耐熱性、耐光性に関する試験を下記の方法で行った。結果を表7に示す。
【0370】
(粘度評価)
得られた塗工性組成物について、E型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用
いて、25℃・回転数50rpmにおける粘度を測定した。以下の基準で評価した。
◎:5mPa・s未満
○:5mPa・s以上、10mPa・s未満
△:10mPa・s以上、30mPa・s未満
×:30mPa・s以上
【0371】
(保存安定性(1))
得られた塗工性組成物を60℃の恒温機に1週間保存、経時促進させた後、粘度評価と
同様にして粘度を測定し、経時前後でのインキの粘度変化率を求めた。以下の基準で評価
した。
◎:変化率が±3%未満
○:変化率が±3%以上、±5%未満
△:変化率が±5%以上、±15%未満
×:変化率が±15%以上
【0372】
(近赤外線吸収能)
得られた塗工性組成物を1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて、膜厚
1.0μmになるようにスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、230℃で5分加熱
し、基板を作製した。得られた基板の分光を分光光度計(U−4100 日立ハイテクノ
ロジーズ社製)を用いて300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。
本発明のスクアリリウム色素[A]の極大吸収は、750〜950nmの領域にあり、極
大吸収波長における、吸光度により、近赤外線吸収能を下記基準で評価した。
◎:極大吸収波長における吸光度が1.5以上
○:極大吸収波長における吸光度が1.0以上、1.5未満
△:極大吸収波長における吸光度が0.5以上、1.0未満
×:極大吸収波長における吸光度が0.5未満
【0373】
(不可視性)
前記方法にて得られた300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを使用して、
極大吸収波長の吸光度を1に規格化した際の、「400〜700nmの平均吸光度」によ
り、不可視性を下記基準で評価した。
◎ :0.03未満
○ :0.03以上、0.05未満
△ :0.05以上、0.1未満
× :0.1以上
【0374】
(耐熱性試験(1))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として250℃で2
0分追加加熱した。基板の極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに
対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式
を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0375】
(耐熱性試験(2))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として260℃で2
0分追加加熱した。基板の極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに
対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式
を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0376】
(耐光性試験(1))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEI
KI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度
47mW/cm、300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。基板の極大吸収
波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基
準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0377】
(耐光性試験(2))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEI
KI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、48時間放置した。この際、放射照度
47mW/cm、300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。基板の極大吸収
波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基
準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0378】
【表7】
【0379】
(保存安定性(2))
塗工性組成物(SC−1〜5、9〜14)について、追加で保存安定性試験を実施した。結果を表8に示した。得られた塗工性組成物を60℃の恒温機に4週間保存、経時促進させた後、粘度評価と同様にして粘度を測定し、経時前後でのインキの粘度変化率を求めた。以下の基準で評価した。
◎:変化率が±3%未満
○:変化率が±3%以上、±5%未満
△:変化率が±5%以上、±15%未満
×:変化率が±15%以上
【0380】
【表8】
【0381】
本発明の塗工性組成物(SC−1〜42)は、組成物としての安定性、光学特性、及び耐性について非常に良好な性能を示した。一方で、本発明でない塗工性組成物に関しては、SC−43は光学特性に、SC−44は耐性に大きな課題があり、実用レベルには至っていない。これは、ペリミジン型スクアリリウム色素の中でも、本発明のスクアリリウム色素[A]が顕著に有する構造由来の「強い発色性」、「高い堅牢性」、及び「強固な結晶性」によるものだと推測している。また、3級アミノ基及び4級アンモニウム塩基を有し、かつブロック構造の樹脂型分散剤を用いた塗工性組成物(SC−9〜14)は、保存安定性が特に優れていることが確認された。
【0382】
また、組成物としての安定性にも優れているため、今回のようなベタ塗工に限定されず
、フォトリソやドライエッチングのようなパターン形成塗工、UVオフセットやグラビア
などの印刷塗工などの、様々な塗工プロセスにも適応可能である。更には、塗工基材にも
限定されない。その上、非常に良好な光学特性(近赤外線吸収能、不可視性)、耐性(耐
熱性、耐光性)を有している。そのため、前記の画像形成材料以外にも、近赤外線カット
フィルタ用材料、熱線カット材料、レーザー溶着を含む光熱変換材料、固体撮像素子用材
料などの用途に好適に使用できる。
【0383】
<レーザー溶着接合体の製造>
[実施例207]
(接合体1の製造)
10cm角、厚み1mmの熱可塑性樹脂であるポリスチレン透明板の表面に、バーコー
ターを使用して、ドライ膜厚が0.5μmになるように前記塗工性組成物(SC−1)を
ベタ塗工した後、60℃、5分間オーブン乾燥させ、接合体前駆体1を得た。得られた「
接合体前駆体1」と、「何も塗布していない、10cm角、厚み1mmのポリスチレン透
明板」を、塗布層を挟み込んで重ね合わせ、重ね合わせた部分に、レーザー波長808n
m、レーザー走査速度10mm/sec、レーザー出力30Wで、レーザー光を照射し、レーザー溶着接合体1を得た。
【0384】
[実施例208〜226、比較例15〜22]
(接合体2〜28の製造)
レーザー溶着接合体1で使用した組成物、塗工部材を表9に示す種類に変更した以外は、レーザー溶着接合体1と同様にして、レーザー溶着接合体2〜28を得た。
【0385】
<レーザー溶着接合体の評価>
得られたレーザー溶着接合体について、下記評価を行った。結果を表9に示す。
【0386】
(レーザー溶着接合体の溶着強度評価)
前記方法でレーザー溶着した2枚の透明板の各々先端をそれぞれ掴み、目視で溶着度合
を判定した。
〇 :均一かつ充分に溶着されている
× :溶着していない
【0387】
【表9】
【0388】
以下に、表9中の略称を示す。(10cm角、厚み1mmの基板)
PS:ポリスチレン(商品名:CR−4500;メーカー:DIC)
PMMA:ポリメチルメタクリレート(商品名:パラペットHR−L;メーカー:クラレ)
COP:シクロオレフィンポリマー(商品名:ZEONEX E48R;メーカー:日本
ゼオン)
PC:ポリカーボネート(商品名:ユーピロンH−4000;メーカー:三菱エンジニア
リングプラスチックス)
【0389】
本発明の塗工性組成物(SC−1、SC−2、SC−13、SC−16、SC−30)は、近赤外線吸収能が非常に高く、レーザー光を効率良く熱に変換可能であるため、樹脂部材同士を強固に溶着することが可能である。また、組成物の安定性が高く、均一塗工が可能であるため、均一に溶着することも可能である。これらの結果から、本発明の樹脂組成物は、レーザー溶着用途で好適に用いることができることが示された。
【0390】
<固体撮像素子用組成物の製造>
[実施例227]
(固体撮像素子用組成物(CM−1)の製造)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して
、固体撮像素子用組成物(CM−1)を得た。
塗工性組成物(SC−1) :30.0部
バインダー樹脂[B−1]溶液 :13.9部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM−350」) : 3.2部
光重合開始剤(BASF社製「OXE−01」) : 0.2部
PGMAc :52.7部
【0391】
[実施例228]
(固体撮像素子用組成物(CM−2)の製造)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1 .0μmのフィルタで濾過して
、固体撮像素子用組成物(CM−2)を得た。
塗工性組成物(SC−1) :30.0部
バインダー樹脂[B−1]溶液 :13.3部
ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF社製「IRGANOX 1010」)
: 0.2部
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM−350」) : 3.2部
光重合開始剤(BASF社製「OXE−01」) : 0.2部
PGMAc :53.1部
【0392】
[実施例229]
(固体撮像素子用組成物(CM−3)の製造)
光重合性単量体(東亞合成社製「アロニックスM−350」)、及び光重合開始剤(B
ASF社製「OXE−01」)の全量をエポキシ樹脂(長瀬ケムテックス社製「EX−6
11」)に変更した以外は固体撮像素子用組成物(CM−2)と同様にして固体撮像素子
用組成物(CM−3)を得た。
【0393】
[実施例230〜241、比較例23〜28]
(固体撮像素子用組成物(CM−4〜21)の製造)
以下、表10に示す組成と配合量に変更した以外は、固体撮像素子用組成物(CM−1)〜(CM−3)と同様にして固体撮像素子用組成物(CM−4〜21)を得た。
【0394】
【表10】
【0395】
<固体撮像素子用組成物の評価>
実施例及び比較例で得られた固体撮像素子用樹脂組成物(CM−1〜21)について、
近赤外線吸収能、不可視性、耐熱性、耐光性、パターン剥がれ性(1又は2)、パターン
形成性に関する試験を下記の方法で行った。結果を表11に示す。
【0396】
(近赤外線吸収能)
得られた固体撮像素子用組成物を1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用い
て、膜厚1.0μmになるようにスピンコートし、60℃で5分乾燥した後、230℃で
5分加熱し、基板を作製した。得られた基板の分光を分光光度計(U−4100 日立ハ
イテクノロジーズ社製)を用いて300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを測
定した。本発明のスクアリリウム色素[A]の極大吸収は、750〜950nmの領域に
あり、極大吸収波長における、吸光度により、近赤外線吸収能を下記基準で評価した。
◎:極大吸収波長における吸光度が1.0以上
○:極大吸収波長における吸光度が0.7以上、1.0未満
△:極大吸収波長における吸光度が0.5以上、0.7未満
×:極大吸収波長における吸光度が0.5未満
【0397】
(不可視性)
前記方法にて得られた300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを使用して、
極大吸収波長の吸光度を1に規格化した際の、「400〜700nmの平均吸光度」によ
り、不可視性を下記基準で評価した。
◎ :0.05未満
○ :0.05以上、0.07未満
△ :0.07以上、0.1未満
× :0.1以上
【0398】
(耐熱性試験(1))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として250℃で2
0分追加加熱した。基板の極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに
対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式
を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0399】
(耐熱性試験(2))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐熱性試験として260℃で2
0分追加加熱した。基板の極大吸収波長における吸光度を測定し、耐熱性試験前のそれに
対する残存比を求め、耐熱性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式
を用いて算出した。
残存率=(耐熱性試験後の吸光度)÷(耐熱性試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0400】
(耐光性試験(1))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEI
KI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度
47mW/cm、300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。基板の極大吸収
波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基
準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0401】
(耐光性試験(2))
近赤外線吸収能評価と同じ手順で試験用基板を作製し、耐光性試験機(TOYOSEI
KI社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、48時間放置した。この際、放射照度
47mW/cm、300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。基板の極大吸収
波長における吸光度を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基
準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0402】
(パターン剥がれ性1)
[フォトリソによる赤外吸収パターン形成工程]
前記方法で得られた固体撮像素子用組成物(CM−1、2、4、5、7、8、10、1
1、13、14)を、8インチシリコンウエハー上にスピンコートにより塗布した後、塗
布膜面の表面温度100℃で120秒間、ホットプレートで加熱処理して乾燥させ、乾燥
後の膜厚が約1.0μmの塗布膜を形成した。
【0403】
次に、乾燥後の塗布膜に対して、1.2μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の10m
m×10mmの領域にドット状に配列されたマスクパターンを介してi線ステッパー(キ
ャノン(株)製のFPA−3000i5+)により、露光量1000mJ/cm2にて露
光した。
【0404】
パターン露光された塗布膜は、有機系アルカリ現像液(パーカーコーポレーション社製
PK−DEX4310)を用いて、室温にて60秒間、パドル現像した後、さらに20秒
間スピンシャワーにて純水でリンスを行なった。その後さらに、純水にて水洗を行なった
。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、基板を自然乾燥させ、230℃で300秒間、
ホットプレートでポストベーク処理し、シリコンウエハー上に赤外吸収パターンを形成し
た。
【0405】
上記で作製した赤外吸収パターンについて、パターン剥がれの発生数を、Applied Materials technology社製の欠陥検査装置「ComPLUS3」にて検査し、欠陥部分を検出し、これら欠陥部位より剥がれによる欠陥数を抽出した。抽出された剥がれ欠陥数に基づき、下記の評価基準により評価した。なお、検査面積は、縦10mm×横10mmの領域を8インチウエハー上に200個作成し、これを評価した。
◎ :剥がれ欠陥数が5個以下
〇 :剥がれ欠陥数が6個以上、10個以下
△ :剥がれ欠陥数が11個以上、20個以下
× :剥がれ欠陥数が21個以上
【0406】
(パターン剥がれ性2)
[ドライエッチングによる赤外吸収パターン形成工程]
前記方法で得られた固体撮像素子用組成物(CM−3、6、9、12、15)を、8イ
ンチシリコンウエハー上にスピンコートにより塗布した後、100℃180秒間ホットプ
レートで乾燥し、乾燥した後、さらに、200℃のホットプレートを用いて480秒間加
熱処理(ポストベーク)を行った。
【0407】
次いで、前記層の上に、ポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエ
レクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布し、プリベークを実施し、フォトレジスト層を
形成した。
【0408】
続いて、フォトレジスト層を、i線ステッパー(キヤノン(株)製)を用い、350m
J/cmの露光量でパターン露光し、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が90℃
となる温度で1分間、加熱処理を行なった。その後、現像液「FHD−5」(富士フイル
ムエレクトロニクスマテリアルズ社製)で1分間の現像処理を行ない、さらに110℃で
1分間のポストベーク処理を実施して、レジストパターンを形成した。このレジストパタ
ーンは、エッチング変換差(エッチングによるパターン幅の縮小)を考慮して、1.2μ
m角の正方形状のレジスト膜が市松状に配列されてなるパターンである。
【0409】
次に、レジストパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチングを以下の手順で
行った。ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、U−621)にて、RF
パワー:800W、アンテナバイアス:400W、ウエハバイアス:200W、チャンバ
ーの内部圧力:4.0Pa、基板温度:50℃、混合ガスのガス種及び流量をCF:8
0mL/min、O:40mL/min、Ar:800mL/min、として、80秒
の第1段階のエッチング処理を実施した。
【0410】
このエッチング条件での前記層の削れ量356nm(89%のエッチング量)となり、
約44nmの残膜がある状態になった。
【0411】
次いで、同一のエッチングチャンバーにて、RFパワー:600W、アンテナバイアス
:100W、ウエハバイアス:250W、チャンバーの内部圧力:2.0Pa、基板温度
:50℃、混合ガスのガス種及び流量をN:500mL/min、O:50mL/m
in、Ar:500mL/minとし(N/O/Ar=10/1/10)、エッチン
グトータルでのオーバーエッチング率を20%として、第2段階エッチング処理、オーバ
ーエッチング処理を実施した。
【0412】
第2段階のエッチング条件での赤外吸収パターン層のエッチングレートは600nm/
min以上であって、前記層の残膜をエッチングするのに約10秒の時間を要した。第1
段階のエッチング時間の80秒と第2段階のエッチング時間10秒を加算したものをエッ
チング時間と算出した。その結果、エッチング時間:80+10=90秒、オーバーエッ
チング時間:90×0.2=18秒になり、全エッチング時間は90+18=108秒に
設定した。
【0413】
上記条件でドライエッチングを行った後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富
士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施
してレジストパターンを除去し、さらに純水による洗浄、スピン乾燥を実施した。その後
、100℃で2分間の脱水ベーク処理を行った。
【0414】
上記で作製した赤外吸収パターンについて、パターン剥がれの発生数を、前記(パター
ン剥がれ性1)と同様の方法で評価を行った。
【0415】
(パターン形成性)
上記パターン剥がれ性評価で作製した赤外吸収パターンをガラス切りにて切り出し、走
査式電子顕微鏡(S−4800、日立株式会社製)を用いて、倍率15,000倍にて観
察し、下記評価基準に従って評価した。
〇 :線幅1.2μmのパターンが直線性よく形成されている
△ :線幅1.2μmのパターンに僅かにがたつきが確認されるが実用上問題なし
× :線幅1.2μmのパターンの直線性が著しく悪い
【0416】
【表11】
【0417】
本発明の固体撮像素子用組成物(CM−1〜15)は、近赤外線吸収能、不可視性、耐
熱性、及び耐光性以外にも、パターン剥がれ性、パターン形成性が良好であり、固体撮像
素子用途で好適に使用できる。また、代表的なパターン形成プロセスであるフォトリソ、
ドライエッチングのどちらにおいても、高い性能を示している。
【0418】
<粘着剤(粘着性組成物)の製造>
粘着剤の製造にあたり、粘着性樹脂を製造した。
【0419】
<樹脂[B](粘着性樹脂)の製造方法>
(アクリル粘着性樹脂[B−2]の調製)
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート99.85部、アクリル酸0.15部、酢酸エチル121.0部、ベンゾイルパーオキサイド0.2部を仕込み、攪拌しながら反応器中の空気を窒素置換し、還流するまで昇温して保持し、合計5 時間反応させた。反応終了後、酢酸エチル34.4部、トルエン28.3部、重合禁止剤として2、5−ジターシャリブチルハイドロキノン0.5部を添加して希釈し、室温まで冷却し、不揮発分34.0%のアクリル粘着性樹脂[B−2]の溶液を得た。アクリル粘着性樹脂[B−2]の重量平均分子量は50万であった。
【0420】
[実施例242]
(粘着性組成物(AD−1)の製造)
スクアリリウム色素[A−1]0.5部、アクリル粘着性樹脂[B−2]98.8部、
架橋剤としてTDI/TMP(トリレンジイソシネートのトリメチロールプロパンアダク
ト体)0.7部を混合、ディスパーで強撹拌して、樹脂中にスクアリリウム色素[A−1
]を分散させることで、粘着性組成物(AD−1)を調製した。
【0421】
[実施例243、244、比較例29、30]
(粘着性組成物(AD−2〜5)の製造)
以下、スクアリリウム色素[A−1]を、スクアリリウム色素[A−38]、[A−4
9]、[D−1]、及び[D−2]に変更した以外は粘着性組成物(AD−1)と同様に
して、粘着性組成物(AD−2〜5) を調製した。
【0422】
<粘着剤(粘着性組成物)の評価>
得られた粘着性組成物(AD−1〜5)について、分散性、近赤外線吸収能、不可視性
、耐候性に関する試験を下記の方法で行った。結果を表12に示す。
【0423】
(分散性)
得られた粘着性組成物(AD1〜5)を、ドクターブレードで乾燥膜厚45μmとなる
ように、厚さ75μm の透明剥離シート上に塗布し、乾燥させ、粘着剤層を形成し、次
いで厚さ25μmのPETフィルムの片面にラミネートして、PETフィルム/粘着剤層
/剥離シートからなる片面粘着テープを得た。この粘着テープを23℃50%RHの雰囲気下で7日間熟成させた。得られた片面粘着テープの表面を、光学顕微鏡で観察することで、粘着剤樹脂組成物中のスクアリリウム色素[A]の分散性を評価した。評価基準は下記の通りである。
◎:凝集物が存在せず、スクアリリウム色素が極めて均一に分散されているもの
〇:凝集物がほぼ存在せず、スクアリリウム色素が均一に分散されているもの
△:凝集物が存在し、スクアリリウム色素が均一に分散されていないもの
×:凝集物が多数あり、スクアリリウム色素が均一に分散されていないもの
【0424】
(近赤外線吸収能)
前記方法にて得られた片面粘着テープの分光を分光光度計(U−4100 日立ハイテ
クノロジーズ社製)を用いて300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定し
た。本発明のスクアリリウム色素[A]の極大吸収は、750〜950nmの領域にあり
、極大吸収波長における、吸光度により、近赤外線吸収能を下記基準で評価した。
◎:極大吸収波長における吸光度が1.5以上
○:極大吸収波長における吸光度が1.0以上、1.5未満
△:極大吸収波長における吸光度が0.5以上、1.0未満
×:極大吸収波長における吸光度が0.5未満
【0425】
(不可視性)
前記方法にて得られた300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを使用して、
極大吸収波長の吸光度を1に規格化した際の、「400〜700nmの平均吸光度」によ
り、不可視性を下記基準で評価した。
◎ :0.03未満
○ :0.03以上、0.05未満
△ :0.05以上、0.1未満
× :0.1以上
【0426】
(耐候性試験)
前記方法にて得られた片面粘着テープに関して、岩崎電気社製の「アイ スーパーUV
テスター」を用いて、温度63℃、湿度70%条件下で、48時間の耐候性試験を実施し
た。この際、放射照度100mW/cm、300〜400nmの狭帯域の光にて試験を
実施した。片面粘着テープの極大吸収波長における吸光度を測定し、試験前の吸光度に対
する残存比を求め、耐候性を、下記基準で評価した。なお、残存率の算出は、以下の式を
用いて算出した。
残存率=(試験後の吸光度)÷(試験前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0427】
【表12】
【0428】
本発明の粘着性組成物(AD−1〜3)は、粘着性樹脂への分散性、光学特性、及び耐
候性について非常に良好な性能を示した。一方で、本発明でない粘着性組成物に関しては
、AD−4は耐候性に、AD−5は光学特性に大きな課題があり、実用レベルには至って
いない。前記の塗工性組成物と同様に、粘着性樹脂に対しても、本発明のスクアリリウム
色素[A]は、非常に高い分散性・相溶性を示した。更に、非常に高い近赤外線吸収能、
不可視性、及び耐候性も維持している。また、粘着性樹脂を接着性樹脂に変更する事で、
粘着剤だけではなく、接着剤としても好適に使用できると考えられる。また、本発明のス
クアリリウム色素[A]を含む粘着剤、接着剤は、光学フィルタ用材料、熱線カット材料
、レーザー溶着を含む光熱変換材料などの用途に好適に使用できる。
【0429】
<マスターバッチの製造>
[実施例245]
(マスターバッチ(MB−1)の製造)
スクアリリウム色素[A−1]100部、分散剤[C−9]として、三井化学社製ハ
イワックスTM(NL−100:分解型LDPE−WAX)100部を混合し、3本ロー
ルで分散することで、マスターバッチ(MB−1)のプレ分散体を得た。その後、プレ分
散体10部、樹脂[B−3]として、三菱ケミカル社製ノバテックTMLD(LF34
2M1:フィルムグレード低密度ポリエチレンペレット)90部をタンブラーミキサー(
カワタ社製)に投入し、温度25℃、時間3分の条件で撹拌した後、二軸押出し機(日本
プラコン社製)に投入し、温度180℃で溶融混練することでマスターバッチ(MB−1
)を得た。
【0430】
[実施例246]
(マスターバッチ(MB−2)の製造)
スクアリリウム色素[A−1]100部、樹脂[B−4]として、三菱ケミカル社製D
IACRON(ER−561:ポリエステル樹脂ペレット)100部を混合し、3本ロー
ルで分散することで、マスターバッチ(MB−2)のプレ分散体を得た。その後、プレ分
散体10部、三菱ケミカル社製DIACRON(ER−561:ポリエステル樹脂)90
部をタンブラーミキサー(カワタ社製)に投入し、温度25℃、時間3分の条件で撹拌し
た後、二軸押出し機(日本プラコン社製)に投入し、温度140℃で溶融混練することで
マスターバッチ(MB−2)を得た。
【0431】
[実施例247、248、比較例31、32]
(マスターバッチ(MB−3〜6)の製造)
以下、スクアリリウム色素[A−1]を、表13に示す色素に変更した以外はマスター
バッチ(MB−1)と同様にして、マスターバッチ(MB−3〜6) を製造した。
【0432】
【表13】
【0433】
<成形体(フィルム)の製造>
[実施例249]
(マスターバッチ(MB−1)からなる樹脂成形体1の製造)
マスターバッチ(MB−1)4部、前記と同様のノバテックTMLD(LF342M1
:フィルムグレード低密度ポリエチレンペレット)100部をタンブラーミキサー(カワ
タ社製)に投入し、温度25℃、時間3分の条件で撹拌した後、T−ダイ押出機により、
溶融混練、及びフィルム成形することで、マスターバッチ(MB−1)からなる樹脂成形
体1(フィルム)を得た。この際の成形温度は180℃であり、膜厚50μmになるよう
にフィルムを作製した。
【0434】
[実施例250、251、比較例33、34]
(マスターバッチ(MB−3〜6)からなる樹脂成形体2〜5の製造)
以下、マスターバッチ(MB−1)を、マスターバッチ(MB−3)〜(MB−6)に
変更した以外は樹脂成形体1(フィルム)と同様にして、樹脂成形体2〜5(フィルム)
を得た。
【0435】
<マスターバッチからなる樹脂成形体(フィルム)の評価>
樹脂成形体1〜5について、分散性、近赤外線吸収能、不可視性、耐光性に関する試験
を下記の方法で行った。結果を表14に示す。
【0436】
(分散性)
得られたマスターバッチからなるフィルムの表面を、光学顕微鏡で観察することで、フ
ィルム中のスクアリリウム色素[A]の分散性を評価した。評価基準は下記の通りである

◎:顔料凝集物が存在せず、スクアリリウム色素が極めて均一に分散されているもの
〇:顔料凝集物がほぼ存在せず、スクアリリウム色素が均一に分散されているもの
△:顔料凝集物が存在し、スクアリリウム色素が均一に分散されていないもの
×:顔料凝集物が多数あり、スクアリリウム色素が均一に分散されていないもの
【0437】
(近赤外線吸収能)
前記方法にて得られたフィルムの分光を分光光度計(U−4100 日立ハイテクノロ
ジーズ社製)を用いて300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを測定した。本
発明のスクアリリウム色素[A]の極大吸収は、750〜950nmの領域にあり、極大
吸収波長における、吸光度により、近赤外線吸収能を下記基準で評価した。
◎:極大吸収波長における吸光度が1.5以上
○:極大吸収波長における吸光度が1.0以上、1.5未満
△:極大吸収波長における吸光度が0.5以上、1.0未満
×:極大吸収波長における吸光度が0.5未満
【0438】
(不可視性)
前記方法にて得られた300〜1000nmの波長範囲の吸収スペクトルを使用して、
極大吸収波長の吸光度を1に規格化した際の、「400〜700nmの平均吸光度」によ
り、不可視性を下記基準で評価した。
◎ :0.03未満
○ :0.03以上、0.05未満
△ :0.05以上、0.1未満
× :0.1以上
【0439】
(耐光性試験(1))
前記方法にて得られたフィルムを、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNT
EST CPS+」)に入れ、24時間放置した。この際、放射照度47mW/cm
300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。基板の極大吸収波長における吸光度
を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお
、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0440】
(耐光性試験(2))
前記方法にて得られたフィルムを、耐光性試験機(TOYOSEIKI社製「SUNT
EST CPS+」)に入れ、48時間放置した。この際、放射照度47mW/cm
300〜800nmの広帯の光にて試験を実施した。基板の極大吸収波長における吸光度
を測定し、光照射前のそれに対する残存比を求め、耐光性を、下記基準で評価した。なお
、残存率の算出は、以下の式を用いて算出した。
残存率=(照射後の吸光度)÷(照射前の吸光度)×100
◎ :残存率 が95%以上
○ :残存率 が90%以上、95%未満
△ :残存率 が85%以上、90%未満
× :残存率 が85%未満
【0441】
【表14】
【0442】
本発明のマスターバッチからなる樹脂成形体1〜3(フィルム)は、成形用の熱可塑性
樹脂への分散性、光学特性、及び耐光性について非常に良好な性能を示した。一方で、本
発明でないマスターバッチからなる樹脂成形物(フィルム)に関しては、成形体4は特に
耐光性に、成形体5は特に光学特性に大きな課題があり、実用レベルには至っていない。
本発明のスクアリリウム色素[A]は、塗料や粘着剤などのような液体分散だけでなく、
固体分散の形態・用途においても、非常に優れた性能を示すことが分かった。更には、分
散性だけではなく、非常に高い近赤外線吸収能、不可視性、及び耐光性も維持している。
よって、本発明のスクアリリウム色素[A]を含むマスターバッチ、及び成形物は、近赤
外線カットフィルタ用材料、熱線カット材料、レーザー溶着用材料を含む光熱変換材料な
どの用途に好適に使用できる。
【0443】
以上の結果から、本発明のスクアリリウム色素[A]は、バインダー樹脂、粘着性樹脂
、熱可塑性樹脂などの樹脂[B]との組み合わせにより、様々な組成物の形態をとり、幅
広い用途に好適に使用できることが分かった。この理由は前述の通り、ペリミジン型スク
アリリウム色素の中でも、本発明のスクアリリウム色素[A]の構造が有する強い発色性
、強固な堅牢性、及び強固な結晶性に由来すると推測しており、そのため、組成物、及び
各用途形態として非常に優れた光学特性、高い各種耐性、及び組成物としての安定性が発
現している。


【要約】
【課題】本発明の目的は、高い不可視性を有する、すなわち可視光領域(400nm〜7
50nm)に吸収が少なく、近赤外線吸収能に優れ、高耐光性であり、且つ凝集しにくい
特定のX線回折ピークを有するスクアリリウム色素[A]、並びに、前記特徴を有するス
クアリリウム色素[A]を含む画像形成材料等を提供することである。
【解決手段】上記課題は、一般式(1)で表される特定のX線回折ピークを有するスクア
リリウム色素[A]によって解決される。また、当該スクアリリウム色素[A]を含む各
種材料によって解決される。
【選択図】図1
図1