(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る搬送機構、及び画像形成装置の一例を
図1〜
図7に従って説明する。なお図中に示す矢印Vは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Hは水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは水平方向であって装置奥行方向を示す。
【0019】
(全体構成)
図7に示されるように、画像形成装置10の装置本体10Aの内部には、入力される画像データに対して画像処理を行なう画像処理部12が設けられている。
【0020】
この画像処理部12は、入力された画像データをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の階調データに処理するようになっている。そして、画像処理部12によって処理された階調データを受け取って、レーザ光LBによる画像露光を行う露光装置14が装置本体10A内の中央側に設けられている。
【0021】
また、露光装置14の鉛直方向上方には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16K(画像形成部の一例)が、水平方向に対して傾斜する方向に間隔をおいて配置され、装置本体10Aに着脱可能とされている。この画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kで、各色のトナー画像が形成されるようになっている。なお、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0022】
一方、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向上方には、各色の画像形成ユニット16で形成されたトナー画像が多重に転写される一次転写ユニット18が設けられている。さらに、一次転写ユニット18の側方(図中右側)には、後述する供給搬送ユニット30によって搬送経路60に沿って搬送された記録媒体としてのシート部材Pに、一次転写ユニット18に多重に転写されたトナー画像を転写する二次転写ロール22(転写部材の一例)が設けられている。
【0023】
二次転写ロール22に対してシート部材Pの搬送方向の下流側には、シート部材Pに転写されたトナー画像を熱及び圧力によってシート部材Pに定着させる定着装置24が設けられている。また、この定着装置24に対してシート部材Pの搬送方向の下流側には、トナー画像が定着したシート部材Pを画像形成装置10の装置本体10Aの上部に設けられた排出部26に排出する排出ロール28が設けられている。
【0024】
一方、露光装置14の鉛直方向下方及び側方には、シート部材Pを供給し搬送する供給搬送ユニット30が設けられている。
【0025】
〔画像形成ユニット〕
先ず、画像形成ユニット16について説明する。
【0026】
各色の画像形成ユニット16は、すべて同様に構成されている。そして、各色の画像形成ユニット16は、回転する円柱状の像保持体34と、この像保持体34の外周面を帯電させる帯電部材36と、帯電した像保持体34の外周面に前述した露光装置14の画像露光によって形成された静電潜像を現像剤(トナー)で現像してトナー画像とする現像器38と、像保持体34の外周面を清掃する清掃ブレード(図示省略)とを備えている。
【0027】
〔露光装置〕
次に、露光装置14について説明する。
【0028】
露光装置14の筐体14Aの内部には、回転多面鏡であるポリゴンミラー32が配置されている。光源の一例としての半導体レーザ54から出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、シリンドリカルレンズ(図示省略)を介してこのポリゴンミラー32に照射され、このポリゴンミラー32によって主走査方向に偏向走査されるようになっている。そして、このポリゴンミラー32によって偏向走査されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、結像レンズ及び複数枚のミラー(図示省略)を介して、像保持体34上の露光位置に、斜め下方から走査露光されるようになっている。
【0029】
このように、露光装置14は、斜め下方から像保持体34上を走査露光するものである。このため、この露光装置14には、上方に位置する各色の画像形成ユニット16に備えられた現像器38等からトナー等の異物が落下する虞が有る。そこで、筐体14Aの外周面において上方を向いた部分には、4本のレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kを、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に向けて透過させる透明なガラス製の透過部材の一例としての透過ガラス40Y、40M、40C、40Kが設けられている。
【0030】
〔一次転写ユニット・二次転写ロール〕
次に、一次転写ユニット18及び二次転写ロール22について説明する。
【0031】
一次転写ユニット18は、各色の画像形成ユニット16の鉛直方向上方に配置されている。この一次転写ユニット18は、無端状の中間転写ベルト42と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ回転駆動して中間転写ベルト42を矢印A方向に周回させる駆動ロール46と、中間転写ベルト42が巻き掛けられ、中間転写ベルト42に張力を付与する張力付与ロール48と、張力付与ロール48の鉛直方向上方に配置されて中間転写ベルト42と従動回転する従動ロール50と、中間転写ベルト42を挟んで各色の像保持体34の反対側に夫々配置される一次転写ロール52とを備えている。
【0032】
これにより、各色の画像形成ユニット16の像保持体34上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、各色の一次転写ロール52によって、中間転写ベルト42上に多重に転写されるようになっている。
【0033】
さらに、中間転写ベルト42の外周面に接して中間転写ベルト42の外周面を清掃する清掃ブレード56が、中間転写ベルト42を挟んで駆動ロール46の反対側に配置されている。また、中間転写ベルト42を挟んで従動ロール50の反対側には、中間転写ベルト42上に転写されたトナー画像を、搬送されるシート部材Pに転写する二次転写ロール22が設けられている。
【0034】
以上により、中間転写ベルト42上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像は、中間転写ベルト42によって搬送される。搬送されるトナー画像は、従動ロール50と二次転写ロール22とに挟まれ、後述する供給搬送ユニット30により搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写されるようになっている。
【0035】
〔供給搬送ユニット〕
次に、シート部材Pを供給して搬送する供給搬送ユニット30について説明する。
【0036】
供給搬送ユニット30は、装置本体10A内において露光装置14の鉛直方向下方に配置され、複数のシート部材Pが積載される給紙部材62を備えている。
【0037】
さらに、供給搬送ユニット30は、給紙部材62に積載されたシート部材Pを搬送経路60へ送り出す給紙ロール64と、給紙ロール64によって送り出されたシート部材Pを1枚ずつ分離する分離ロール66と、シート部材Pの傾き(姿勢)を補正(スキュー補正)すると共にシート部材Pの搬送タイミングを合わせる搬送機構70と、搬送機構70によって傾きが補正されたシート部材Pをシート部材Pの搬送方向の下流側(以下単に「シート搬送方向の下流側」と記載する)へ搬送する搬送ロール68と、を備えている。
【0038】
この構成により、給紙部材62から供給されたシート部材Pは、搬送機構70によって中間転写ベルト42と二次転写ロール22とが接触する位置(二次転写位置)へ定められたタイミングで送り出されるようになっている。なお、搬送機構70については、詳細を後述する。
【0039】
(全体構成の作用)
この構成により、以下のようにシート部材Pに画像が形成される。
【0040】
先ず、画像処理部12から露光装置14に各色の階調データが順次出力さる。そして、この露光装置14から階調データに応じて出射されたレーザ光LB−Y、LB−M、LB−C、LB−Kは、帯電部材36によって帯電した像保持体34の外周面を走査露光する(主走査方向に露光する)。これにより、像保持体34の外周面には静電潜像が形成される。像保持体34上に形成された静電潜像は、各色の現像器38によって現像され、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像として可視化される。
【0041】
さらに、一次転写ユニット18の一次転写ロール52によって、像保持体34上に形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー画像が、周回する中間転写ベルト42上に多重に転写される。
【0042】
周回する中間転写ベルト42上に多重に転写された各色のトナー画像は、給紙部材62から給紙ロール64、分離ロール66、搬送機構70によって搬送経路60に沿って搬送されてきたシート部材Pに二次転写ロール22によって二次転写される。
【0043】
さらに、トナー画像が転写されたシート部材Pは、定着装置44へと搬送される。そして、トナー画像が定着装置44によってシート部材Pに定着される。また、トナー画像が定着されているシート部材Pは、排出ロール28によって排出部26に排出される。
【0044】
(要部構成)
次に、搬送機構70について説明する。
【0045】
搬送機構70は、
図1(A)、
図7に示されるように、分離ロール66に対してシート搬送方向の下流側に配置される搬送ロール対72と、搬送ロール対72に対してシート搬送方向の下流側に配置される搬送部材の一例としての位置合せロール対74と、を備えている。さらに、搬送機構70は、搬送されるシート部材Pの先端が突き当たる突当位置と、シート部材Pの搬送を許容する許容位置とに配置されるように移動可能な突当部材76を備えている。また、搬送機構70は、搬送ロール対72と位置合せロール対74との間で搬送ロール対72側に配置され、搬送されるシート部材Pの先端を検知するセンサ78と、搬送ロール対72と位置合せロール対74との間で位置合せロール対74側に配置され、搬送されるシート部材Pの後端を検知するセンサ80とを備えている。
【0046】
なお、搬送機構70に備えられる各部材は、制御部58(
図6参照)によって稼働、非稼働が制御されるようになっている。また、
図1(A)(B)、
図2(A)、
図3(B)、
図5は、突当部材76が突当位置に配置された状態を示し、
図2(B)、
図3(A)は、突当部材76が許容位置に配置された状態を示す。
【0047】
〔搬送ロール対〕
搬送ロール対72は、
図1(A)に示されるように、回転軸方向を装置奥行方向として回転する駆動ロール86と、回転する駆動ロール86に従動して回転する従動ロール88とを備えている。そして、駆動ロール86と従動ロール88とは、装置上下方向に並んで配置され、駆動ロール86が従動ロール88に対して装置上下方向の下側に配置されている。
【0048】
駆動ロール86は、円柱状の軸部86Aと、円筒状に形成され、軸部86Aに取り付けられる複数(本第1実施形態では2個)のロール部86Bとを備えている(
図4(A)参照)。また、軸部86Aに回転力を付与する駆動源90は、制御部58に制御されるようになっている(
図6参照)。
【0049】
さらに、従動ロール88は、駆動ロール86と同様に、円柱状の軸部88Aと、円筒状に形成され、軸部88Aに取り付けられる複数(本第1実施形態では2個)のロール部88Bとを備えている。
【0050】
〔位置合せロール対〕
位置合せロール対74は、
図1(A)、
図5に示されるように、回転軸方向を装置奥行方向として回転する駆動ロール94(回転部材の一例)と、回転する駆動ロール94に従動して回転する従動ロール96(回転部材の一例)とを備えている。そして、駆動ロール94と従動ロール96とは、装置上下方向に並んで配置され、駆動ロール94が従動ロール96に対して装置上下方向の下側に配置されている。
【0051】
駆動ロール94は、円柱状の軸部94Aと、円筒状に形成され、軸部94Aに取り付けられる複数(本第1実施形態では4個)のロール部94Bとを備えている。そして、夫々のロール部94Bは、隣り合うロール部94Bとの間に隙間を空け、同様の間隔(ピッチ)で配置されている(
図4(A)参照)。また、軸部94Aに回転力を伝達する駆動源92は、制御部58に制御されるようになっている(
図6参照)。
【0052】
さらに、従動ロール96は、円柱状の軸部96Aと、円筒状に形成され、軸部96Aに取り付けられる複数(本第1実施形態では4個)のロール部96Bとを備えている。そして、ロール部96Bは、駆動ロール94のロール部94Bと同様の形状とされ、ロール部94Bと接触るように、ロール部94Bと同様の間隔(ピッチ)で配置されている。このように、駆動ロール94と従動ロール96とが接するニップ部が形成されている。
【0053】
〔突当部材〕
突当部材76は、
図5に示されるように、隣り合うロール部94Bの間に配置され、軸部94Aが挿入される挿入孔が形成される円筒状の3個の円筒部100を有している。さらに、突当部材76は、夫々の円筒部100から装置上下方向の上側へ突出する上側突出部102と、夫々の円筒部100から装置上下方向の下側へ突出する下側突出部104と、装置奥行方向に延びて夫々の下側突出部104の下端部を連結する連結部106と、を有している。そして、突当部材76は、軸部94Aに対して円筒部100を中心に回転移動可能とされている。
【0054】
夫々の円筒部100はロール部94Bに対して小径化され、上側突出部102の先端は、隣り合うロール部96B間まで延びている。そして、夫々の上側突出部102には、突当部材76が突当位置に配置されることで、駆動ロール94と従動ロール96とのニップ部N(駆動ロール94と従動ロール96とが互いに接触する接触位置:
図1(A)参照)に対してシート搬送方向の上流側に位置し、搬送されるシート部材Pの先端と突き当たる矩形状の突当面102A(面の一例)が形成されている。
【0055】
〔その他〕
3個の円筒部100において中央側に配置される円筒部100Aと軸部94Aとの間には、
図5に示されるように、回転する軸部94Aの回転力を円筒部100Aに伝達し、伝達される回転力が予め定められた力より強くなると伝達を遮断する正方向伝達部材及び逆方向伝達部材の一例としてのトルクリミッタ110が、配置されている。
【0056】
また、
図1(A)、
図5に示されるように、装置奥行方向に延びる円柱状の位置決め棒112及び位置決め棒114が、装置奥行方向から見て連結部106を挟むように配置されている。
【0057】
そして、連結部106を位置決め棒112に接触させた状態で、
図1(B)に示されるように、突当部材76が突当位置に配置され、搬送ロール対72によって搬送されるシート部材Pの先端が、上側突出部102の突当面102Aに突き当たるようになっている。
【0058】
一方、突当部材76を回転させて連結部106を位置決め棒114に接触させた状態で、
図2(B)に示されるように、突当部材76が許容位置に配置されるようになっている。これにより、突当部材76が搬送ロール対72、位置合せロール対74によるシート部材Pの搬送を許容するようになっている。
【0059】
なお、制御部58の構成については、後述する要部構成の作用と共に説明する。
【0060】
(要部構成の作用)
次に、搬送機構70等の作用について説明する。
【0061】
先ず、画像形成装置10が非稼働とされている場合は、
図1(A)に示されるように、搬送ロール対72及び位置合せロール対74は停止しており、突当部材76は突当位置に配置されている(初期状態)。
【0062】
画像形成装置10が稼働し、シート部材Pをシート搬送方向の下流側に搬送する際には、制御部58は、
図1(B)に示されるように、駆動源90(
図6参照)を稼働させて搬送ロール対72を正方向(シート部材Pをシート搬送方向の下流側へ搬送する方向)に回転させる。回転する搬送ロール対72は、シート部材Pを位置合せロール対74に向けて搬送する。そして、搬送されるシート部材Pの先端が、突当位置に配置された突当部材76の上側突出部102の突当面102Aに突き当たる。
【0063】
ここで、搬送されるシート部材Pがシート搬送方向に対して傾いている場合には、
図4(A)に示されるように、シート部材Pの先端が、端側(
図4(A)では左側)に配置される突当部材76の上側突出部102の突当面102Aとのみ突き当たる。
【0064】
そこで、制御部58は、
図2(A)に示されるように、シート部材Pの先端が突当面102Aと突き当たった状態で、搬送ロール対72をさらに回転させる。これにより、先端が突き当たった状態のシート部材Pは、搬送ロール対72と位置合せロール対74との間で持ち上がることでループ形状となり、シート部材Pの先端が上側突出部102の突当面102Aに押し付けられる。
【0065】
また、制御部58は、センサ78がシート部材Pの先端を検知した検知情報を受け取り、受け取った時から予め決まった時間だけシート部材Pの先端が突当面102Aに押し付けられると、制御部58は、駆動源90を非稼働とさせて搬送ロール対72を停止させる。このように、シート部材Pの先端が突当面102Aに押し付けられることで、
図4(B)に示されるように、シート部材Pの先端が全ての突当面102Aに突き当たり、搬送されるシート部材Pの傾き(シート部材Pの搬送方向に対する傾き)が補正される。なお、
図4(A)(B)では、シート部材Pの先端の位置が容易に分かるように、従動ロール88、96が省略されている。
【0066】
さらに、制御部58は、
図2(B)に示されるように、シート部材Pの傾きが補正されたシート部材Pにトナー画像を転写するタイミングに合わせて、駆動源90、駆動源92を稼働させて搬送ロール対72、位置合せロール対74を正方向に回転させる。
【0067】
位置合せロール対74を正方向に回転させることで、軸部96Aからトルクリミッタ110を介して突当部材76に正方向の回転力が伝達される。
【0068】
突当部材76に正方向の回転力が伝達されることで、突当部材76が正方向(図中時計回り方向)に回転し、連結部106が位置決め棒114に接触する。これにより、トルクリミッタ110からの回転力の伝達が解除され、突当部材76は、シート部材Pの搬送を許容する許容位置に配置される。
【0069】
突当部材76が許容位置に移動した状態で、搬送ロール対72、位置合せロール対74が回転することで、
図2(B)、
図3(A)に示されるように、シート部材Pがシート搬送方向の下流側へ搬送される。
【0070】
また、制御部58は、センサ80が搬送されるシート部材Pの後端を検知した検知情報を受け取り、受け取った時からシート部材Pが位置合せロール対74から送り出される時間が経過すると、制御部58は、
図3(B)に示されるように、駆動源90を非稼働とさせて搬送ロール対72を停止させる。さらに、制御部58は、駆動源92を制御して位置合せロール対74を逆方向(正方向に対して逆側の方向)に回転させる。
【0071】
位置合せロール対74を逆方向に回転させることで、軸部96Aからトルクリミッタ110を介して突当部材76に逆方向の回転力が伝達される。
【0072】
突当部材76に逆方向の回転力が伝達されることで、突当部材76が逆方向(図中反時計回り方向)に回転し、連結部106が位置決め棒112に接触する。これにより、突当部材76は、突当位置に移動する。そして、制御部58は、駆動源92を非稼働とさせて位置合せロール対74を停止させる。このように、搬送機構70は、初期状態に復帰する。
【0073】
前述した工程を繰り返すことで、傾きが補正された予定枚数のシート部材Pがシート搬送方向の下流側へ搬送される。
【0074】
(まとめ)
以上説明したように、シート部材Pを突当部材76の上側突出部102の突当面102Aに突き当ててシート部材Pの傾きを補正し、正方向に回転する軸部材96Aの回転力を突当部材76に伝達することで、突当部材76が突当位置から許容位置へ移動する。このため、突当部材76を突当位置から許容位置へ移動させる専用の駆動源を備える場合と比して、部品点数を削減した上で搬送されるシート部材Pの傾きが補正される。換言すれば、シート部材Pの先端を突当部材76に突き当てた後に突当部材76を突当位置から許容位置に移動させる構成において、突当部材76の突当位置と許容位置との間の移動と、シート部材Pを搬送する位置合せロール対74の回転駆動と、を異なる駆動源を用いて駆動する場合に比べて、駆動源の数が削減される。
【0075】
また、逆方向に回転する軸部材96Aの回転力を軸部96Aから突当部材76に伝達することで、突当部材76が許容位置から突当位置へ移動する。このため、突当部材76を許容位置から突当位置へ移動させる専用の駆動源を備える場合と比して、部品点数が削減される。
【0076】
また、画像形成装置10においては、シート部材Pの傾きが補正されることで、シート部材Pに対してトナー画像が傾いて転写されるのが抑制される。
【0077】
また、突当部材76が突当位置に配置される状態で、搬送されるシート部材Pの先端と突き当たる突当面102Aが、駆動ロール94と従動ロール96とのニップ部Nに対してシート搬送方向の上流側に位置している。これにより、駆動ロール94と従動ロール96とを離間させることなく、シート部材Pの先端が突当部材76の突当面102Aに突き当たる。
【0078】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る搬送機構、及び画像形成装置の一例を
図8〜
図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材等については、同一符号を付してその説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を主に説明する。
【0079】
(構成)
第2実施形態に係る搬送機構150は、
図8(A)に示されるように、搬送ロール対72に対してシート搬送方向の下流側に配置される搬送部材の一例としての位置合せロール対154を備えている。さらに、搬送機構150は、搬送されるシート部材Pの先端が突き当たる突当位置と、シート部材Pの搬送を許容する許容位置とに配置されるように移動可能な突当部材156を備えている。
【0080】
なお、
図8(A)(B)、
図9(A)、
図10(B)、
図11、
図12は、突当部材156が突当位置に配置された状態を示し、
図9(B)、
図10(A)は、突当部材156が許容位置に配置された状態を示す。
【0081】
〔位置合せロール対〕
位置合せロール対154は、
図12に示されるように、回転軸方向を装置奥行方向として回転する駆動ロール174と、回転する駆動ロール174に従動して回転する従動ロール176とを備えている。そして、駆動ロール174と従動ロール176とは、装置上下方向に並んで配置され、駆動ロール174が従動ロール176に対して装置上下方向の下側に配置されている。
【0082】
駆動ロール174は、円柱状の軸部174Aと、円筒状に形成され、軸部174Aに取り付けられる複数(本第2実施形態では4個)のロール部174Bとを備えている。そして、夫々のロール部174Bは、隣り合うロール部174Bとの間に隙間を空け、同様の間隔(ピッチ)で配置されている。また、軸部174Aに回転力を付与する駆動源192は、制御部172に制御されるようになっている(
図6参照)。
【0083】
さらに、従動ロール176は、円柱状の軸部176Aと、円筒状に形成され、軸部176Aに取り付けられる複数(本第2実施形態では4個)のロール部176Bとを備えている。そして、ロール部176Bは、駆動ロール174のロール部174Bと同様の形状とされ、ロール部174Bと接触るように、ロール部174Bと同様の間隔(ピッチ)で配置されている。
【0084】
また、従動ロール176は、従動ロール176を装置上下方向にガイドする図示せぬガイド部材により、駆動ロール174と当たる当接位置(
図9(B)参照)と、従動ロール176と離間する離間位置(
図8(A)参照)とに配置されるように移動可能に支持されている。さらに、従動ロール176の軸部176Aの両端部には、従動ロール176を駆動ロール174側に向けて付勢する付勢部材の一例としてのコイルバネ158が備えられている。具体的には、軸部176Aの両端部には、軸部176Aを回転可能に支持する軸受(図示省略)が備えられ、コイルバネ158がこの軸受を介して従動ロール176を駆動ロール174側に向けて付勢するようになっている。
【0085】
〔突当部材〕
突当部材156は、
図12に示されるように、隣り合うロール部174Bの間に配置され、軸部174Aが挿入される挿入孔が形成される円筒状の3個の円筒部160を有している。さらに、突当部材156は、
図8(A)に示されるように、夫々の円筒部160から図中右斜め上側に突出する傾斜突出部162と、夫々の円筒部160から装置上下方向の下側へ突出する下側突出部164とを有している。また、突当部材156は、装置奥行方向に延びて夫々の下側突出部164の下端部を連結する連結部166と、連結部166の両端部に形成されるリトラクト部168とを有している。そして、突当部材156は、軸部174Aに対して円筒部160を中心に回転移動可能とされている。
【0086】
夫々の円筒部160はロール部174Bに対して小径化され、突当部材156が突当位置に配置された状態で、傾斜突出部162の先端位置は、ロール部174Bの上端位置に対して装置上下方向の上側に配置されている。そして、傾斜突出部162には、突当部材156が突当位置に配置されることで、搬送されるシート部材Pの先端と突き当たる矩形状の突当面162Aが形成されている。
【0087】
さらに、連結部166の両端部は、
図12に示されるように、下側突出部164に対して装置奥行方向に延びている。そして、連結部166の両端部には、コイルバネ158の付勢力により当接位置に配置される従動ロール176を離間位置に移動可能とするリトラクト部168が夫々形成されている。
【0088】
リトラクト部168は、
図11に示されるように、連結部166の端部から上方に延びる延設部位180と、延設部位180の長手方向の中央側で軸部174Aが挿入される貫通孔182Aが形成されるドーナツ状の支持部位182と、を有している。さらに、リトラクト部168は、延設部位180の上端部に形成され、軸部176Aと接触可能とされる接触部184を有している。
【0089】
接触部184は、端部が曲げられており、接触部184には、軸部176Aに装置上下方向の下方から接触可能とされる接触面184Aが形成されている。
【0090】
接触面184Aは、
図8(A)に示されるように、従動ロール176の移動方向(本実施形態では装置上下方向)に対して傾斜している。そして、突当部材156が突当位置に移動されることで、接触面184Aが軸部176Aと接触して、リトラクト部168が軸部176Aを持ち上げる。これにより、従動ロール176が離間位置に配置されるようになっている。一方、突当部材156が許容位置に配置されることで、
図9(B)に示されるように、接触面184Aが軸部176Aと離間して、従動ロール176はコイルバネ158の付勢力により当接位置に移動するようになっている。
【0091】
この構成において、連結部166を位置決め棒112に接触させた状態で、
図8(A)に示されるように、突当部材156が突当位置に配置され、従動ロール176が離間位置に配置されるようになっている。そして、搬送ロール対72によって搬送されるシート部材Pの先端が、従動ロール176と駆動ロール174との間を通って傾斜突出部162の突当面162Aに突き当たるようになっている。
【0092】
一方、突当部材156を回転させて連結部166を位置決め棒114に接触させた状態で、
図9(B)に示されるように、突当部材156が許容位置に配置され、従動ロール176が当接位置に配置されるようになっている。
【0093】
〔その他〕
3個の円筒部160において中央側に配置された円筒部160Aと軸部174Aとの間には、
図12に示されるように、正方向に回転する軸部174Aの回転力を円筒部160Aに伝達し、伝達される回転力が予め定められた力より強くなると伝達を遮断する正方向伝達部材の一例としてのトルクリミッタ170が配置されている。なお、円筒部160Aとトルクリミッタ170との間には、図示せぬワンウェイクラッチが配置され、逆方向に回転する軸部174Aの回転力が円筒部160Aに伝達されないようになっている。
【0094】
また、
図8(A)、
図12に示されるように、突当部材156が突当位置に配置されるように、連結部166を位置決め棒112に向けて付勢する付勢部材の一例としてのコイルバネ186が備えられている。コイルバネ186は、装置奥行方向に並んで3個配置され、夫々のコイルバネ186の端部が連結部166と接触している。また、この3個のコイルバネ186で突当部材156を突当位置に付勢する付勢力は、2個のコイルバネ158で従動ロール176を当接位置に付勢する付勢力より強くされている。
【0095】
なお、制御部172の構成については、後述する要部構成の作用と共に説明する。
【0096】
(要部構成の作用)
次に、搬送機構150等の作用について説明する。
【0097】
先ず、画像形成装置10が非稼働とされている場合は、搬送ロール対72及び位置合せロール対154は停止しており、
図8(A)に示されるように、コイルバネ186の付勢力によって突当部材156が突当位置に配置され、さらに、従動ロール176は離間位置に配置されている(初期状態)。
【0098】
画像形成装置10が稼働し、シート部材Pをシート搬送方向の下流側に搬送する際には、制御部172は、
図8(B)に示されるように、駆動源90(
図6参照)を稼働させて搬送ロール対72を正方向に回転させる。そして、搬送ロール対72によって搬送されるシート部材Pの先端が、従動ロール176と駆動ロール174との間を通って傾斜突出部162の突当面162Aに突き当たる。
【0099】
さらに、制御部172は、
図9(A)に示されるように、シート部材Pの先端が突当面162Aと突き当たった状態で、搬送ロール対72をさらに回転させる。これにより、先端が突き当たった状態のシート部材Pは、搬送ロール対72と位置合せロール対154との間で持ち上がることでループ形状となり、シート部材Pの先端が突当面162Aに押し付けられる。
【0100】
制御部172は、センサ78がシート部材Pの先端を検知した検知情報を受け取り、受け取った時から予め決まった時間だけシート部材Pの先端が突当面162Aに押し付けられると、制御部172は、駆動源90を非稼働とさせて搬送ロール対72を停止させる。このように、シート部材Pの先端が突当面162Aに押し付けられることで、搬送されるシート部材Pの傾き(シート部材Pの搬送方向に対する傾き)が補正される。
【0101】
さらに、制御部172は、
図9(B)に示されるように、シート部材Pの傾きが補正されたシート部材Pにトナー画像を転写するタイミングに合わせて、駆動源90、駆動源192(
図6参照)を稼働させて搬送ロール対72、位置合せロール対154を正方向に回転させる。
【0102】
位置合せロール対154を正方向に回転させることで、軸部174Aからトルクリミッタ170を介して突当部材156に正方向の回転力が伝達される。
【0103】
突当部材156に正方向の回転力が伝達されることで、コイルバネ186の付勢力に対抗して突当部材156が正方向に回転し、連結部166が位置決め棒114に接触する。これにより、トルクリミッタ170からの回転力の伝達が解除され、突当部材156はシート部材Pの搬送を許容する許容位置に配置され、従動ロール176は当接位置に配置される。
【0104】
突当部材156が許容位置に配置された状態で、搬送ロール対72、位置合せロール対154が回転することで、
図9(B)、
図10(A)に示されるように、シート部材Pがシート搬送方向の下流側へ搬送される。
【0105】
制御部172は、センサ80が搬送されるシート部材Pの後端を検知した検知情報を受け取り、受け取った時からシート部材Pが位置合せロール対154から送り出される時間が経過すると、
図10(B)に示されるように、駆動源90、駆動源192を非稼働とさせて搬送ロール対72、位置合せロール対154を停止させる。
【0106】
位置合せロール対154を停止させることで、コイルバネ186の付勢力によって突当部材156が突当位置に移動する。つまり、位置合せロール対154を停止させることで、突当位置に配置される突当部材156が許容位置へ移動する。このように、搬送機構150は、初期状態に復帰する。
【0107】
前述した工程を繰り返すことで、傾きが補正された予定枚数のシート部材Pがシート搬送方向の下流側へ搬送される。
【0108】
他の作用については、第1実施形態と同様である。
【0109】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、搬送機構70、150を画像形成装置10に用いて説明したが、これに限定されるものではなく、シート部材Pの傾きを補正しながらシート部材Pを搬送するものであれば本発明の搬送機構70、150を採用することができる。例えば、銀行のATM(現金自動預金支払機)、駅の切符販売機、自動販売機等が上げられる。