(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の画像処理装置を管理するサーバ装置が無くても、要求された画像処理を実行可能な画像処理装置をユーザに通知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像処理装置は、自装置の属性を示す属性情報を記憶する記憶部と、端末から画像処理の命令を受付ける受付部と、前記受付部が受付けた前記命令の画像処理の条件を、前記記憶部に記憶された属性情報と照合し、前記自装置が前記命令を実行可能か否か判断する照合部と、前記照合部が前記命令を実行可能ではないと判断した場合に、他の画像処理装置に対して属性情報を要求する要求部と、前記要求に対する応答として送信された属性情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した属性情報の中から、前記命令を実行可能な画像処理装置の属性情報を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された属性情報を記憶する前記他の画像処理装置の識別情報を、前記命令を送信した端末に通知するとともに、当該他の画像処理装置に当該命令の識別情報を通知する通知部と、他の画像処理装置から属性情報を要求された場合に、前記記憶部に記憶された前記属性情報を送信して、当該要求に対して応答する応答部と、他の画像処理装置から命令の識別情報を通知され、
当該識別情報で示される命令を仮命令として蓄積し、かつ、当該
仮命令の前記画像処理装置による実行を指示する操作を受付けた場合に、当該
仮命令が画像処理の対象とする画像データを当該他の画像処理装置に要求するデータ要求部と、他の画像処理装置から画像データを要求された場合に、当該画像データを転送する転送部と、を有する。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像処理装置は、請求項1に記載の態様において
、自装置に接続されている画像形成装置の能力を、当該自装置の属性として検知する検知部と、前記検知部の検知の結果、自装置に接続されている前記画像形成装置の能力が変化した場合に、前記記憶部に記憶された属性情報の内容を更新する更新部と
、を有することを特徴とする。
本発明の請求項
3に係る画像処理装置は、請求項1
または2に記載の態様において、
前記抽出部は、前記命令を実行可能な複数の画像処理装置の属性情報を抽出した場合に、当該複数の属性情報の中から1つの属性情報を特定し、前記通知部は、前記抽出部が前記複数の属性情報の中から1つの属性情報を特定した場合に、特定された当該属性情報を記憶する画像処理装置の識別情報を前記端末に通知することを特徴とする。
本発明の請求項
4に係る画像処理装置は、請求項
1から3のいずれか1項に記載の態様において、
前記属性情報は、自装置の位置を示す情報を含み、前記抽出部は、前記命令を実行可能な複数の画像処理装置の属性情報を抽出した場合に、当該複数の画像処理装置の位置を示す情報と、前記自装置の位置を示す情報とに基づいて、計算される当該各画像処理装置と当該自装置との距離に応じて、前記1つの属性情報を特定することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項5に係る画像処理システムは、請求項1から4までのいずれか1項に記載の画像処理装置と、前記画像処理装置に対して画像処理を命令する端末と、前記画像処理装置と前記端末とで遣り取りされる通信を中継する通信回線とを有する。
本発明の請求項6に係るプログラムは、画像処理装置に備えられたコンピュータであって、当該画像処理装置の属性を示す属性情報を記憶する記憶部を有するコンピュータを、端末から画像処理の命令を受付ける受付部と、前記受付部が受付けた前記命令の画像処理の条件を、前記記憶部に記憶された属性情報と照合し、前記画像処理装置が前記命令を実行可能か否か判断する照合部と、前記照合部が前記命令を実行可能ではないと判断した場合に、他の画像処理装置に対して属性情報を要求する要求部と、前記要求に対する応答として送信された属性情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した属性情報の中から、前記命令を実行可能な画像処理装置の属性情報を抽出する抽出部と、前記抽出部により抽出された属性情報を記憶する前記他の画像処理装置の識別情報を、前記命令を送信した端末に通知するとともに、当該他の画像処理装置に当該命令の識別情報を通知する通知部と、他の画像処理装置から属性情報を要求された場合に、前記記憶部に記憶された前記属性情報を送信して、当該要求に対して応答する応答部と、他の画像処理装置から命令の識別情報を通知され、
当該識別情報で示される命令を仮命令として蓄積し、かつ、当該
仮命令の前記画像処理装置による実行を指示する操作を受付けた場合に、当該
仮命令が画像処理の対象とする画像データを当該他の画像処理装置に要求するデータ要求部と、他の画像処理装置から画像データを要求された場合に、当該画像データを転送する転送部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1、
5、6に係る発明によれば、複数の画像処理装置を管理するサーバ装置が無くても、要求された画像処理を実行可能な画像処理装置をユーザに通知することができる
。
請求項
2に係る発明によれば、自装置に接続されている画像形成装置の能力が変化しても、その変化が属性情報に反映される。
請求項
3に係る発明によれば、要求された画像処理を実行可能な1つの画像処理装置をユーザに通知することができる。
請求項
4に係る発明によれば、画像処理装置が自装置によって命令を実行可能でない場合に、例えば、その命令を実行可能な画像処理装置のうち、自装置に近いものをユーザに通知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1−1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理システム9の構成を示す図である。画像処理システム9は、複数の画像処理装置1a,1b,1c…(以下、特に区別の必要がない場合は、これらを総称して「画像処理装置1」と記す)と、端末2と、通信回線3とを有する。なお、画像処理システム9は、端末2を複数有していてもよい。
【0011】
画像処理装置1は、要求された画像処理を実行する装置であり、その画像処理の内容が自装置の能力によって実行できない場合には他の画像処理装置1を探してユーザに通知する機能を有する。端末2は、ユーザが画像処理装置1に対して画像処理を命令するための装置であり、パーソナルコンピュータなどである。通信回線3は、画像処理装置1と端末2とで遣り取りされる通信を中継する回線であり、例えばインターネットである。
【0012】
図2は、本発明の画像処理装置1の構成を示す図である。画像処理装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15、およびインターフェイス16を有する。制御部11は、画像処理装置1の各部の動作を制御する手段である。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置を備え、これら記憶装置に記憶されたプログラムを実行する。
【0013】
通信部13は、通信回線3を介して端末2と通信するためのインターフェイスであり、例えば各種のモデムなどである。操作部14は各種の指示をするための座標取得部や操作ボタンを備えており、ユーザによる操作を受付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。
【0014】
インターフェイス16は、画像を形成するための画像形成装置4と接続して、画像処理装置1からの指示を画像形成装置4に伝えるための構成である。
【0015】
記憶部12はハードディスク、フラッシュメモリなどの大容量の記憶手段であり、制御部11に読み込まれるプログラムを記憶する。なお、記憶部12は、いわゆるリムーバブルディスク、すなわち着脱可能な記録媒体を含んでもよい。
【0016】
また、記憶部12は、上述したプログラムのほか、自装置の属性を示す属性情報121を記憶する。自装置の属性には、自装置の識別情報や位置情報などのほか、受付けた命令を実行する能力の有無について記述した能力情報などが含まれる。
ここで画像処理装置1は、インターフェイス16によって画像形成装置4と接続しており、画像形成装置4は画像処理装置1によって制御されるため、自装置の属性は、自装置のインターフェイス16が接続する画像形成装置4の能力を記述した能力情報を含む。そして、記憶部12は、自装置の属性を示す属性情報を記憶する記憶部の一例である。
【0017】
図3は、本発明の画像処理装置1の機能的構成を示す図である。画像処理装置1の制御部11は、受付部110、照合部111、要求部112、取得部113、抽出部114、通知部115、指示部116、検知部117、更新部118、および応答部119を有する。
【0018】
受付部110は、以下の4つの機能を有する。
第1に、受付部110は、通信回線3および通信部13を介して端末2から送信された画像処理の命令を受付ける。本実施形態において、受付部110は、媒体に画像を形成する画像形成の命令を、画像処理の命令として受付ける。受付けた命令は、制御部11のRAMに命令群Jとして蓄積される。
第2に、受付部110は、通信回線3および通信部13を介して他の画像処理装置1から送信された属性情報121の要求を受付ける。属性情報121の要求を受付けた場合、受付部110は、その旨を応答部119に伝える。
第3に、受付部110は、画像形成された媒体を受取にきたユーザの操作部14に対する操作(以下、受取操作という)を受付ける。
第4に、受付部110は、他の画像処理装置1が端末2に通知したメールMにおいて自装置が依頼先として記述されている場合に、そのメールMに記述された命令番号の命令をその画像処理装置1から受付ける。受付けた命令は、上述した命令群Jに蓄積される。
【0019】
図4は、命令群Jの一例を示す図である。命令群Jは、端末2または他の画像処理装置1から受付けた命令を蓄積したリストであり、各命令を識別して受付けた順に並べるための命令番号と、各命令に記述された画像形成(画像処理)の条件と、各命令が画像形成(画像処理)の対象とする画像データとが記述されている。命令群Jは先入れ先だし方式のいわゆるキューとして機能し、命令群Jに蓄積された命令は、受付部110によって受付けられた順に命令番号を割り当てられる。
【0020】
画像形成の条件とは、画像が形成された用紙などの媒体を冊子状にまとめる「製本」処理の有無や、これらの媒体をステープラによって綴じる「ステープル」処理の有無、各媒体を二つ折りにして重ねあわせて冊子状にする「中綴じ」処理の有無、カラーの画像形成の有無、および画像が形成される媒体の枚数などである。
【0021】
なお、命令群Jに他の画像処理装置1から受付けた命令を蓄積する場合、制御部11は、その命令に新たな命令番号を割り当てるとともに、その命令の元の命令番号と、その命令を送信した画像処理装置1の識別情報とを対応づけてRAM上に記憶してもよい。
【0022】
照合部111は、以下の2つの機能を有する。
第1に、照合部111は、命令群Jに命令が蓄積されている場合に、その命令群Jに蓄積された命令のうち命令番号の若いものから順に読み出し、その命令の画像形成の条件を、記憶部12に記憶された属性情報121と照合する。
第2に、照合部111は、受付部110が受取操作を受付けたときに、その受取操作が示す命令を命令群Jと照合して、自装置がその命令を他の画像処理装置1から受付けているか否か判断する。照合部111は、命令群Jに上述した命令が含まれていない場合に、自装置がその命令を他の画像処理装置1から受付けていないと判断し、含まれている場合に、自装置がその命令を受付けていると判断する。
【0023】
図5は、属性情報121の一例を示す図である。属性情報121は、自装置の識別に用いられる識別情報と、自装置の各種機能の有無などとを含む情報である。
図5に示す例では、自装置が、「P01」であり、製本機能とステープラとを有していること、中綴じ機能とカラーとを有していないことが属性情報121に記述されている。また、媒体残量は画像形成のために準備されている用紙などの媒体の残り枚数を示しており、この場合100枚である。命令残量は、自装置が受付部110において受付けて命令群Jに蓄積している命令のうち、処理が終わっていない残りの数であり、この場合4つである。そして、位置は、自装置の設置位置を示しており、例えば、xyz空間座標で示される。
【0024】
なお、位置の情報は、自装置の位置を示していればよく、設置された部屋の識別情報などであってもよい。また、位置は、空間的な位置に限られず、通信回線3上の位置であってもよい。例えば、画像処理システム9が、複数のグループ化されたネットワーク(以下、ネットワークグループという)をノードでつないだネットワークなどを通信回線3として使用している場合に、位置の情報は、そのネットワーク上の位置、すなわち、自装置がどのネットワークグループに属しているかを示す情報であってもよい。
【0025】
照合部111は、第1の機能における照合の結果に基づいて、属性情報121に記載された自装置の能力で、命令群Jから読み出した命令を実行可能か否か判断する。例えば、属性情報121において製本機能が無いと記載されている画像処理装置1の制御部11は、命令群Jから読み出した命令において画像形成の条件として製本処理が有る場合に、照合部111として、自装置の能力では上述した命令を実行可能ではないと判断する。また、上述した命令が150枚の媒体に画像を形成することを求めている場合に、
図5に示した識別情報「P01」の画像処理装置1の制御部11は、属性情報121に媒体残量として記述されている値が150枚よりも少ない100枚であるため、照合部111として、自装置の能力では上述した命令を実行可能ではないと判断する。
【0026】
一方、画像形成の条件の全てにおいて、能力の不足が見つからない場合、画像処理装置1の制御部11は、照合部111として、自装置の能力で上述した命令を実行可能であると判断する。
【0027】
そして照合部111は、自装置の能力で上述した命令を実行可能であると判断する場合に指示部116を動作させ、実行不可能であると判断する場合に要求部112を動作させる。
【0028】
指示部116は、照合部111が実行可能であると判断した命令に基づいて
図2に示す画像形成装置4に対し、インターフェイス16を介して画像形成を指示する。これにより、画像形成装置4は媒体に画像を形成する。
【0029】
要求部112は、以下の2つの機能を有する。
第1に、要求部112は、照合部111が実行不可能であると判断した命令を実行させる他の画像処理装置1を見つけるため、通信部13および通信回線3を介して他の画像処理装置1に対し、属性情報121を要求する。
第2に、要求部112は、受付部110が受付けた受取操作により示される命令を、自装置が他の画像処理装置1から受付けていないと照合部111が判断する場合に、他の画像処理装置1に対し、属性情報121を要求する。
【0030】
応答部119は、受付部110が、他の画像処理装置1から属性情報121の要求を受付けた場合に、記憶部12から属性情報121を読み出し、この属性情報121をこの要求に対する応答として、通信部13を介して送信する。
【0031】
取得部113は、要求部112が他の画像処理装置1に対して送った要求に対する応答として送信された属性情報121を取得し、リストLに蓄積する。リストLは制御部11のRAM上に記憶されるリストである。
【0032】
図6は、リストLの一例を示す図である。リストLには、識別情報「P01」の画像処理装置1が他の画像処理装置1へ要求した属性情報121が蓄積されている。例えば、
図6に示すリストLによれば、識別情報「P02」の画像処理装置1には製本機能とカラー機能とが有り、ステープルと中綴じ機能とが無い。そして、識別情報「P02」の画像処理装置1の媒体残量は500枚であり、命令残量は4つである。また、距離の欄には、取得した属性情報121に記述されている位置の情報と、自装置の属性情報121に記述されている位置の情報とに基づいて計算された、これら2つの画像処理装置1の距離が記入されている。具体的に、位置の情報がxyz空間座標で示される場合、この距離は、例えば各画像処理装置1の位置を結んだ線分の長さ、すなわち直線距離などである。
【0033】
なお、位置の情報が上述した部屋の識別情報である場合、この距離は、例えば各画像処理装置1の設置されている部屋同士の距離などでもよく、また、位置の情報が上述したネットワーク上の位置である場合、この距離は、例えば各画像処理装置1がそれぞれ接続されているネットワークグループ間に設けられたノードとなる機器の数などでもよい。
【0034】
抽出部114は、取得部113が取得した各画像処理装置1の属性情報121が含まれるリストLの中から、照合部111が自装置において実行不可能であると判断した命令を実行可能な画像処理装置1の属性情報121を抽出する。抽出された属性情報121が複数ある場合、抽出部114は、抽出した複数の属性情報121の中から、例えば、媒体残量、命令残量が最も少ないものや、自装置との距離が最も短い画像処理装置1のものを特定する。抽出した複数の属性情報121の中から距離が最も短いものを特定する場合、この抽出部114は、命令を実行可能な複数の画像処理装置の位置を示す情報と、自装置の位置を示す情報とに基づいて、計算される各画像処理装置と自装置との距離に応じて、複数の属性情報の中から1つの属性情報を特定する抽出部の一例として機能する。
【0035】
通知部115は、以下の3つの機能を有する。
第1に、通知部115は、端末2が送信した命令を自装置において実行不可能であると照合部111が判断した場合に、抽出部114による抽出の結果に応じたメールMを、その端末2へ送信する。
第2に、通知部115は、上述したメールMを端末2に送る場合に、そのメールMに命令番号が記述された命令を、そのメールMに依頼先として記述された他の画像処理装置1に送信する。この場合、制御部11は、送信が完了した後でRAM上の命令群Jから送信した命令を削除してもよい。
第3に、通知部115は、受取操作が示す命令を自装置が受付けていないと照合部111が判断した場合に、抽出部114による抽出の結果を表示部15に表示して通知する。
【0036】
リストLの中に、上述した命令を実行可能な画像処理装置1の属性情報121が含まれていない場合、抽出部114は、属性情報121を抽出しない。この場合、通知部115は、命令を実行可能な画像処理装置1が見つからない旨を、メールMに記述して端末2に送信したり、表示部15に表示したりしてユーザに通知する。
【0037】
リストLの中に、上述した命令を実行可能な画像処理装置1の属性情報121が含まれている場合、抽出部114は、属性情報121を抽出する。この場合、通知部115は、命令を実行可能な画像処理装置1が見つかった旨とともに、その画像処理装置1の識別情報をメールMに書き込み、また、表示部15に表示する。
【0038】
ここで、抽出部114が属性情報121を複数抽出した場合、通知部115は、命令を実行可能な複数の画像処理装置1が見つかった旨とともに、それら複数の属性情報121の中から抽出部114が特定した1つの属性情報121を記憶する画像処理装置1の識別情報をメールMに書き込み、また、表示部15に表示する。
【0039】
図7は、命令を実行可能な画像処理装置1が見つかった場合のメールMの一例を示す図である。メールMには、「依頼元」としてこのメールMを送信する自装置の識別情報と、「依頼先」として見つかった画像処理装置1の識別情報と、その画像処理装置1で実行可能な命令の命令番号とが書き込まれる。
【0040】
なお、メールMは、
図7に示した項目が含まれていればよい。例えば、「依頼元」はメールの送信元のメールアドレスに記述されていてもよく、メールの本文に、記述されていてもよい。また、画像処理装置1は、「P01で受付けた1301番の命令は、P02で実行可能です」という文面のメールをメールMとして端末2に送信してもよい。
【0041】
検知部117は、受付部110が端末2から画像処理の命令を受付けたときにインターフェイス16に問い合わせて、自装置に接続されている画像形成装置4の能力を検知する。
【0042】
更新部118は、検知部117の検知の結果、インターフェイス16が接続している画像形成装置4の能力が変化した場合に、その変化に応じて記憶部12に記憶された属性情報121の内容を更新する。
【0043】
1−2.動作
図8は、本発明に係る画像処理装置1が端末2から画像形成の命令を受付けたときの動作の流れを示すフロー図である。画像処理装置1の制御部11は、RAM上の命令群Jを監視して端末2から受付けた命令が有るか否か判断し(ステップS101)、命令が無いと判断する場合(ステップS101;NO)、この判断を繰り返す。端末2から受付けた命令が有ると判断する場合(ステップS101;YES)、制御部11は、その命令における画像形成の条件を、記憶部12に記憶された属性情報121と照合して(ステップS102)、自装置でその命令を実行可能か否かを判断する(ステップS103)。
【0044】
自装置で命令を実行可能であると判断する場合(ステップS103;YES)、制御部11は、インターフェイス16を介して画像形成装置4を制御し、上述した命令に従って画像形成を実行して(ステップS104)、処理を終了する。一方、自装置で命令を実行可能ではないと判断する場合(ステップS103;NO)、制御部11は、通信部13および通信回線3を介して、他の画像処理装置1に対し属性情報121を要求する(ステップS105)。
【0045】
制御部11は、要求に対する応答として属性情報121を取得すると(ステップS106)、取得した属性情報121に基づいて、上述した命令を実行可能な他の画像処理装置1が有るか否かを判断する(ステップS107)。命令を実行可能な他の画像処理装置1が有ると判断した場合(ステップS107;YES)、制御部11は、命令を実行可能な他の画像処理装置1のうち、最良の装置を特定してその識別情報を端末2に向けて通知する(ステップS108)。一方、命令を実行可能な他の画像処理装置1が無いと判断した場合(ステップS107;NO)、制御部11は、命令を実行可能な他の画像処理装置1が無いことを端末2に向けて通知する(ステップS109)。
【0046】
図9は、本発明に係る画像処理装置1が他の画像処理装置1から属性情報121の要求を受付けたときの動作の流れを示すフロー図である。画像処理装置1の制御部11は、他の画像処理装置1から属性情報121の要求を受付けたか否かを判断し(ステップS201)、この要求を受付けていないと判断する間(ステップS201;NO)、この判断を続ける。他の画像処理装置1から属性情報121の要求を受付けたと判断する場合(ステップS201;YES)、制御部11は、記憶部12から属性情報121を読み出し、この属性情報121を上述の要求をした他の画像処理装置1に向けて送信することで、要求に対する応答をする(ステップS202)。
【0047】
図10は、本発明に係る画像処理装置1が自装置に接続されている画像形成装置4の変化を検知したときの動作の流れを示すフロー図である。画像処理装置1の制御部11は、インターフェイス16を介して接続されている画像形成装置4を監視し、画像形成装置4の変化を検知したか否かを判断する(ステップS301)。画像形成装置4の変化を検知していないと判断する間(ステップS301;NO)、制御部11は、この判断を続ける。
【0048】
一方、画像形成装置4の変化を検知したと判断すると(ステップS301;YES)、制御部11は、検知した変化に応じて記憶部12に記憶されている属性情報121を更新する(ステップS302)。
【0049】
例えば、メンテナンスなどにより画像処理装置1のインターフェイス16から画像形成装置4が外されているときに、検知部117がインターフェイス16に問い合わせると、検知部117は、画像形成装置4が接続されていないことを検知する。また、画像形成装置4のうち、製本機能を実現する構成や、中綴じ機能を実現する構成など、いわゆるフィニッシャーと呼ばれる構成がメンテナンスなどにより外されている場合にも、検知部117は、画像形成装置4のうち、外されたフィニッシャーの能力が無くなっていることを検知する。一方、いままで取り付けられていなかったフィニッシャーが、画像形成装置4に取り付けられた後で、検知部117がインターフェイス16に問い合わせると、検知部117は、フィニッシャーの能力が画像形成装置4に追加されていることを検知する。
【0050】
図11は、本発明に係る画像処理装置1が、画像形成される媒体を受取に来たユーザの操作を受付けたときの動作の流れを示すフロー図である。ユーザは、画像形成される媒体を受取るための受取操作を、操作部14に対して行なう。受取操作は、ユーザが端末2から送った命令の命令番号と、その命令を受付けた画像処理装置1とを指定して、その命令を画像処理装置1に実行させる操作であり、ユーザは、その命令に従って画像が形成された媒体を受取る。
【0051】
画像処理装置1の制御部11は、操作部14を監視し、操作部14に対するユーザの受取操作が有るか否かを判断する(ステップS401)。受取操作が無いと判断する間(ステップS401;NO)、制御部11は、この判断を続ける。受取操作が有ると判断すると(ステップS401;YES)、制御部11は、受取操作が示す命令を命令群Jの中から検索する(ステップS402)。そして、制御部11は、その命令が命令群Jの中に含まれているか、すなわち、その命令を自装置が既に受付けているか判断する(ステップS403)。
【0052】
例えば、上述した通り、識別情報が「P01」の画像処理装置1が、「P01で受付けた1301番の命令は、P02で実行可能です」という文面のメールをメールMとして端末2に送信し、ユーザがこのメールMによる通知に従って受取操作をする場合、ユーザは、依頼先として通知された識別情報「P02」の画像処理装置1に赴き、この画像処理装置1の操作部14に対して受取操作をする。そして、ユーザは、この受取操作において依頼元である画像処理装置1の識別情報「P01」および命令番号「1301」を指定する。この場合、識別情報「P02」の画像処理装置1の制御部11は、受取操作によって指定された内容に基づいて、命令群Jを検索し、依頼元である識別情報「P01」の画像処理装置1が命令番号「1301」を割り当てて受付けた命令を自装置が既に受付けていると判断する。
【0053】
受取操作が示す命令を自装置が既に受付けていると判断する場合に(ステップS403;YES)、制御部11は、インターフェイス16を介して画像形成装置4を制御し、上述した命令に従って画像形成を実行して(ステップS404)、処理を終了する。一方、受取操作が示す命令を自装置が未だ受付けていないと判断する場合(ステップS403;NO)、制御部11は、通信部13および通信回線3を介して、他の画像処理装置1に対し属性情報121を要求する(ステップS405)。
【0054】
制御部11は、要求に対する応答として属性情報121を取得すると、取得した属性情報121に基づいて、上述した命令を実行可能な他の画像処理装置1が有るか否かを判断する(ステップS407)。命令を実行可能な他の画像処理装置1が有ると判断した場合(ステップS407;YES)、制御部11は、命令を実行可能な他の画像処理装置1のうち、最良の装置を特定してその識別情報を表示部15に表示させることによりユーザに通知する(ステップS408)。一方、命令を実行可能な他の画像処理装置1が無いと判断した場合(ステップS407;NO)、制御部11は、命令を実行可能な他の画像処理装置1が無いことを表示部15に表示させることによりユーザに通知する(ステップS409)。
【0055】
以上、説明した動作により、複数の画像処理装置1の各制御部11が、要求部112、取得部113、および応答部119としてそれぞれ機能して、いわゆるピア・ツー・ピア・ネットワークを構築し、各画像処理装置1に蓄積された命令群Jと、各画像処理装置1の属性情報121とをそれぞれ共有するので、本発明に係る画像処理システム9は、各画像処理装置1を管理するサーバ装置が無くても、要求された画像処理を実行可能な画像処理装置をユーザに通知する。すなわち、本発明に係る画像処理システム9は、各画像処理装置1を管理するサーバ装置を必要としないため、サーバ装置を設ける構成と比較して費用が抑えられる。
【0056】
2.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
【0057】
2−1.変形例1
上述の実施形態において、インターフェイス16は、画像を形成するための画像形成装置4と接続して、画像処理装置1からの指示を画像形成装置4に伝えていたが、インターフェイス16が接続する構成は画像形成装置4ではなく、例えばプロジェクターや放送機器など、他の画像処理を実行する装置であってもよい。
【0058】
2−2.変形例2
上述の実施形態において、要求部112は、他の画像処理装置1に対し属性情報121を要求していたが、要求先を限定してもよい。例えば、要求部112は、自装置と同じネットワークグループに属する他の画像処理装置1に対して属性情報121を要求してもよい。
【0059】
また、要求部112は、通信回線3における自装置との距離により、要求先となる他の画像処理装置1を限定してもよい。例えば、要求部112は、自装置との通信路上にルータなどの中継装置が2つまで存在する範囲で、他の画像処理装置1に対して属性情報121を要求してもよい。
【0060】
2−3.変形例3
上述の実施形態において、制御部11は、ステップS103において、自装置で命令を実行可能であると判断する場合、インターフェイス16を介して画像形成装置4を制御し、その命令に従って画像形成を実行して、処理を終了していたが、ユーザの受取操作を受付けるまで、画像形成を実行せずに待機してもよい。この場合、画像処理装置1は、端末2に向けて、命令が自装置で実行可能であることを通知してもよい。
【0061】
2−4.変形例4
上述の実施形態において、検知部117は、受付部110が端末2から命令を受付けたときにインターフェイス16に問い合わせて、自装置に接続されている画像形成装置4の能力を検知していたが、画像形成装置4の能力を検知するタイミングはこれに限られない。例えば、検知部117は、決められた時刻、または決められた周期ごとにインターフェイス16に問い合わせて、自装置に接続されている画像形成装置4の能力を検知してもよい。
【0062】
2−5.変形例5
上述の実施形態において、通知部115は、第2の機能として、メールMを端末2に送る場合に、そのメールMに命令番号が記述された命令を、そのメールMに依頼先として記述された他の画像処理装置1に送信していたが、メールMに記述された依頼元の識別情報および命令番号を、そのメールMに依頼先として記述された他の画像処理装置1に送信してもよい。この場合、依頼元の識別情報および命令番号を受付けた他の画像処理装置1の制御部11は、この命令番号で示される命令を、他の画像処理装置1で受付けた仮命令として命令群Jに蓄積し、蓄積したこの仮命令とこの仮命令を命令として受付けた依頼元の画像処理装置1の識別情報とを対応づけて記憶部12に記憶する。
【0063】
そして、仮命令を指定する受取操作を受付けたときに、制御部11は、通信部13を介して、上述した依頼元の識別情報が示す画像処理装置1に問い合わせて、この仮命令が画像処理の対象とする画像データを要求する。要求した画像データを依頼元の画像処理装置1から取得すると、制御部11は、取得した画像データに基づいて画像形成装置4を制御し、媒体に画像を形成させればよい。これにより、メールMの通知通りにユーザが媒体を受取に来るまで画像処理装置1は画像データを転送しないため、メールMの通知とともに画像データを含む命令全体を転送する場合に比べて通信負荷が抑制される。
【0064】
2−6.変形例6
上述した実施形態において、要求部112は、照合部111が自装置で実行不可能であると判断した命令や、自装置が受付けていないと判断した命令を実行可能な他の画像処理装置1を見つけるため、通信回線3に接続された他の画像処理装置1に対して属性情報121を要求していたが、上述した命令における画像処理の条件を他の画像処理装置1に送信して、この条件を満たす属性情報121を有しているか否かを各画像処理装置1に判断させ、条件を満たす場合に属性情報121を応答するように要求してもよい。
【0065】
この場合、応答部119は、他の画像処理装置1から受付けた属性情報121の要求から、上述した命令における画像処理の条件を特定し、自装置の記憶部12に記憶されている属性情報121と照合して、この属性情報121が、特定した条件を満たすか否か判断する。そして、応答部119は、自装置の属性情報121が上述した条件を満たすと判断する場合に、この属性情報121を送信すればよい。
【0066】
2−7.変形例7
上述した実施形態において、属性情報121は、インターフェイス16に接続された画像形成装置4に応じて変化していたが、例えばインターフェイス16に対して着脱しないように画像形成装置4が接続されている場合、属性情報121は記憶部12に記憶されたまま変化しなくてもよい。この場合、画像形成装置4の構成が変化する可能性が低いので、検知部117および更新部118はなくてもよい。
【0067】
2−8.変形例8
上述した実施形態において、通知部115は、抽出部114が属性情報121を複数抽出した場合、命令を実行可能な複数の画像処理装置1が見つかった旨とともに、それら複数の属性情報121の中から抽出部114が特定した1つの属性情報121を記憶する画像処理装置1の識別情報をメールMに書き込み、また、表示部15に表示してユーザに通知していたが、抽出した複数の属性情報121をそれぞれ記憶する画像処理装置1の各識別情報をユーザに通知してもよい。
【0068】
また、通知部115は、上述したメールMに記述する内容や、表示部15に表示する内容を、これら以外の手段でユーザや端末2に通知してもよい。
【0069】
2−9.変形例9
上述の実施形態において、端末2は、ユーザが画像処理装置1に対して画像処理を命令するためのパーソナルコンピュータなどであったが、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯音楽再生機、携帯動画再生機、ゲーム機、電子書籍の閲覧装置、ナビゲーション装置などであってもよい。
【0070】
2−10.変形例10
制御部11によって実行されるプログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置が適用される場合があり、例えば、専用のプロセッサなどが用いられる。