(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光透過部材を配置する工程は、前記第1樹脂部材および前記第2樹脂部材よりも光透過性が相対的に高い熱可塑性樹脂材から構成される前記光透過部材としての第3樹脂部材を前記孔部または前記凹部に配置する工程を含み、
前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とを溶着する工程は、前記第1樹脂部材と前記第2樹脂部材とを溶着することに加えて、前記第1樹脂部材と前記第3樹脂部材とを溶着するとともに、前記第2樹脂部材と前記第3樹脂部材とを溶着する工程を含む、請求項8または9に記載の樹脂部材の接合方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の樹脂溶着方法では、第1の樹脂材がレーザ光を透過させる性質を有している場合には適用可能である一方、第2の樹脂材だけでなく第1の樹脂材がレーザ光を吸収する性質を有している場合には、レーザ光が第2の樹脂材に照射される前に第1の樹脂材に吸収されてしまう。このため、第1の樹脂材と第2の樹脂材とが共にレーザ光を吸収する性質を有する場合には、第1の樹脂材と第2の樹脂材とを十分に接合(溶着)することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが光を吸収する性質を有する場合であっても、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが十分に接合(溶着)された樹脂接合体および第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合するための樹脂部材の接合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の局面による樹脂接合体は、
熱可塑性樹脂材から構成される第1樹脂部材と、孔部または凹部を含み、第1樹脂部材に積層された状態で孔部または凹部
の外側における、第1樹脂部材の表面との接合面に沿って延びる溶着領域において第1樹脂部材と溶着され
、熱可塑性樹脂材から構成される第2樹脂部材と、第2樹脂部材の前記孔部または前記凹部に配置され
た状態で、第1樹脂部材の表面および第2樹脂部材の表面との接合面に沿って延びる溶着領域において第1樹脂部材および第2樹脂部材と溶着され、第1樹脂部材および第2樹脂部材よりも光透過性が相対的に高い熱可塑性樹脂材から構成される第3樹脂部材とを備え
、第1樹脂部材および第2樹脂部材は、第3樹脂部材よりも光透過性が相対的に低い。なお、「熱可塑性樹脂材」とは、純粋な熱可塑性樹脂だけでなく、母材の熱可塑性樹脂に添加材が含まれた樹脂材料も含む広い概念である。
【0008】
この発明の第1の局面による樹脂接合体では、上記のように、第2樹脂部材の孔部または凹部に、
第1樹脂部材の表面および第2樹脂部材の表面との接合面に沿って延びる溶着領域において第1樹脂部材および第2樹脂部材と溶着され、第1樹脂部材および第2樹脂部材よりも光透過性が相対的に高い熱可塑性樹脂材から構成される第3樹脂部材を配置する。これにより、第2樹脂部材に孔部が形成されている場合には、第2樹脂部材の孔部に配置された光透過性が相対的に高い第3樹脂部材を介して、第2樹脂部材に積層された第1樹脂部材の表面に光を照射することができる。これにより、第2樹脂部材に積層された第1樹脂部材の表面に照射された光が第1樹脂部材に吸収されることにより少なくとも第1樹脂部材を溶融させることができるので、第3樹脂部材を介し溶融範囲が広がる事で、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着させることができる。また、第2樹脂部材に凹部が形成されている場合には、第2樹脂部材の凹部に配置された第3樹脂部材を介して、第2樹脂部材の第1樹脂部材側の底面に光を照射することができる。これにより、第2樹脂部材の第1樹脂部材側の底面に照射された光が第2樹脂部材に吸収されることにより少なくとも第2樹脂部材を溶融させることができるので、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着させることができる。これらの結果、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合(溶着)することができる。
【0009】
また、第1の局面による樹脂接合体では、上記のように、第2樹脂部材の孔部または凹部に
第1樹脂部材の表面および第2樹脂部材の表面との接合面に沿って延びる溶着領域において第1樹脂部材および第2樹脂部材と溶着される第3樹脂部材を配置することによって、孔部または凹部に何も配置しない場合と比べて、第3樹脂部材により、照射された光による熱が孔部または凹部から外部に逃げるのを抑制することができる。さらに、第3樹脂部材を介して、熱可塑性樹脂材を溶融させるために必要な熱を、孔部または凹部周辺の溶着領域における第1樹脂部材または第2樹脂部材に十分に伝えることができるので、溶着領域における第1樹脂部材または第2樹脂部材を確実に溶融させることができる。これによっても、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合(溶着)することができる。
【0010】
上記第1の局面による樹脂接合体において、好ましくは、第1樹脂部材および第2樹脂部材の熱可塑性樹脂材は、導電性を有する添加材が添加されることにより
、第3樹脂部材よりも光透過性が相対的に低くなるように構成されており、第1樹脂部材および第2樹脂部材は、所定の電気機器の導電性を要する部分に配置されている。このように構成すれば、添加材により導電性が付与された第1樹脂部材および第2樹脂部材を、所定の電気機器の導電性を有する部分において容易に接合(溶着)することができる。
【0012】
この発明の第1の局面による樹脂接合体は、好ましくは、
第2樹脂部材の溶着領域には、第2樹脂部材を厚み方向に貫通する孔部が形成されており、第2樹脂部材と第2樹脂部材の孔部に配置された第3樹脂部材とは、二色成形により一体的に形成されている。このように構成すれば、二色成形により第3樹脂部材が孔部に埋め込まれた第2樹脂部材を容易に得ることができる。また、第2樹脂部材と第3樹脂部材とを一体的に形成することにより、孔部に第3樹脂部材を配置する工程を削減することができるとともに、第3樹脂部材が第2樹脂部材の孔部から脱落するのを抑制することができる。
【0013】
上記第2樹脂部材と第3樹脂部材とが一体的に形成されている構成において、好ましくは、孔部は枠状に形成されており、第3樹脂部材は、枠状の孔部に対応するように枠状に形成されている。このように構成すれば、枠状に形成された孔部に沿って第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合(溶着)することができるので、たとえば、第1樹脂部材と第2樹脂部材とにより、枠状の孔部の内側に別部材を収納可能な収納部が形成されるような場合には、収納部の外側を枠状に封止することができる。これにより、収納部を外部から隔離して収納部の気密性を確保することができる。
【0014】
上記第1の局面による樹脂接合体において、好ましくは、第2樹脂部材の溶着領域には、第2樹脂部材を厚み方向に貫通する孔部が形成されており、第3樹脂部材は、第1樹脂部材と第2樹脂部材との溶着時に、孔部に配置された状態で第2樹脂部材の第1樹脂部材と反対側の面を押圧するための板ばね部を有する。このように構成すれば、板ばね部を介して第2樹脂部材を第1樹脂部材側に押圧することができるので、第2樹脂部材を第1樹脂部材に押し付けることができる。これにより、第1樹脂部材と第2樹脂部材との密着性を向上させた状態で接合(溶着)することができるので、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを確実に接合することができる。
【0015】
上記第1の局面による樹脂接合体において、好ましくは、第2樹脂部材の溶着領域には、第2樹脂部材を厚み方向に貫通する孔部が形成されており、孔部は、第1樹脂部材側に向かって径が小さくなるテーパ形状に形成されており、第3樹脂部材は、テーパ形状の孔部に対応するようにテーパ形状に形成されている。このように構成すれば、第2樹脂部材の孔部に配置された第3樹脂部材を第1樹脂部材側に押圧するだけで、テーパ形状の傾斜する面を介して第2樹脂部材を第1樹脂部材側に押圧することができる。これにより、第1樹脂部材と第2樹脂部材との密着性を向上させた状態で接合(溶着)することができるので、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを確実に接合することができる。
【0016】
上記第1の局面による樹脂接合体において、好ましくは、第1樹脂部材、第2樹脂部材および第3樹脂部材の熱可塑性樹脂材は、共に同一の熱可塑性樹脂を含んでいる。このように構成すれば、各々異なる熱可塑性樹脂を含む場合と比べて、所定の温度で第1樹脂部材、第2樹脂部材および第3樹脂部材のいずれも溶融させることができるとともに、溶融具合も均一になるので、安定的に熱可塑性樹脂材を溶融させて第1樹脂部材と第2樹脂部材とを接合(溶着)することができる。
【0017】
この発明の第2の局面による樹脂部材の接合方法は、
光透過部材よりも相対的に光透過性が低い熱可塑性樹脂材から構成される第1樹脂部材と
光透過部材よりも相対的に光透過性が低い熱可塑性樹脂材から構成される第2樹脂部材とを準備する工程と、第2樹脂部材に孔部または凹部を形成する工程と、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを積層する工程と、第1樹脂部材および第2樹脂部材よりも光透過性が相対的に高い光透過部材を孔部または凹部に配置する工程と、光透過部材を介して光を第1樹脂部材側に照射することにより
孔部または凹部の外側における、第1樹脂部材の表面と第2樹脂部材の表面との接合面に沿って延びる溶着領域における熱可塑性樹脂材を溶融させることによって、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着する工程とを備える。
【0018】
この発明の第2の局面による樹脂部材の接合方法では、上記のように、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを積層する工程と、第1樹脂部材および第2樹脂部材よりも光透過性が相対的に高い光透過部材を孔部または凹部に配置する工程と、光透過部材を介して光を第1樹脂部材側に照射することにより
孔部または凹部の外側における、第1樹脂部材の表面と第2樹脂部材の表面との接合面に沿って延びる溶着領域における熱可塑性樹脂材を溶融させることによって、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着する工程とを備える。これにより、第2樹脂部材に孔部が形成されている場合には、第2樹脂部材の孔部に配置された光透過性が相対的に高い光透過部材を介して、第2樹脂部材に積層された第1樹脂部材の表面に光を照射することができる。これにより、第2樹脂部材に積層された第1樹脂部材の表面に照射された光が第1樹脂部材に吸収されることにより少なくとも第1樹脂部材を溶融させることができるので、光透過部材を介し溶融範囲が広がる事で、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着させることができる。また、第2樹脂部材に凹部が形成されている場合には、第2樹脂部材の凹部に配置された光透過部材を介して、第2樹脂部材の第1樹脂部材側の底面に光を照射することができる。これにより、第2樹脂部材の第1樹脂部材側の底面に照射された光が第2樹脂部材に吸収されることにより少なくとも第2樹脂部材を溶融させることができるので、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着させることができる。これらの結果、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合(溶着)することができる。
【0019】
また、第2の局面による樹脂部材の接合方法では、上記のように、第2樹脂部材の孔部または凹部に光透過部材を配置した状態で、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着することによって、孔部または凹部に何も配置しない場合と比べて、光透過部材により、照射された光による熱が孔部または凹部から外部に逃げるのを抑制することができる。さらに、光透過部材を介して、熱可塑性樹脂材を溶融させるために必要な熱を、孔部または凹部周辺の溶着領域における第1樹脂部材または第2樹脂部材に十分に伝えることができるので、溶着領域における第1樹脂部材または第2樹脂部材を確実に溶融させることができる。これによっても、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合(溶着)することができる。
【0020】
上記第2の局面による樹脂部材の接合方法において、好ましくは、前記第1樹脂部材と第2樹脂部材とを準備する工程は、導電性を有する添加材が添加されることにより
、光透過部材よりも光透過性が低くされた熱可塑性樹脂材から構成され、所定の電気機器の導電性を要する部分に配置される第1樹脂部材および第2樹脂部材を準備する工程を含む。このように構成すれば、添加材により導電性が付与された第1樹脂部材および第2樹脂部材を、所定の電気機器の導電性を有する部分において容易に接合(溶着)することができる。
【0021】
上記第2の局面による樹脂部材の接合方法において、好ましくは、光透過部材を配置する工程は、第1樹脂部材および第2樹脂部材よりも光透過性が相対的に高い熱可塑性樹脂材から構成される光透過部材としての第3樹脂部材を孔部または凹部に配置する工程を含み、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着する工程は、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着することに加えて、第1樹脂部材と第3樹脂部材とを溶着するとともに、第2樹脂部材と第3樹脂部材とを溶着する工程を含む。このように構成すれば、第3樹脂部材が第1樹脂部材および第2樹脂部材と溶着されることにより、第3樹脂部材を介して第1樹脂部材と第2樹脂部材とを間接的に固定することができる。これにより、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが溶着されているだけの場合と比べて、より強固に第1樹脂部材と第2樹脂部材とを接合することができる。
【0022】
上記第2の局面による樹脂部材の接合方法において、好ましくは、光透過部材を配置する工程は、熱可塑性を有さずに熱伝導性を有する光透過部材を孔部または凹部に配置する工程を含み、第1樹脂部材と第2樹脂部材とを溶着する工程の後に、光透過部材を孔部または凹部から取り外す工程をさらに備える。このように構成すれば、取り外した光透過部材を別の樹脂接合体または別の溶着領域において繰り返し用いることができるので、光透過部材を孔部または凹部毎に用意する場合と比べて、部品点数を削減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが光を吸収する性質を有する場合であっても、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが十分に接合(溶着)された樹脂接合体および第1樹脂部材と第2樹脂部材とを十分に接合するための樹脂部材の接合方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1〜
図3を参照して、本発明の第1実施形態による樹脂接合体1が用いられるプロジェクタ100の構成について説明する。なお、プロジェクタ100は、本発明の「所定の電気機器」の一例である。
【0027】
本発明の第1実施形態によるプロジェクタ100は、
図1に示すように、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30を含む樹脂接合体1と、樹脂接合体1のレーザ固定部20に固定されたレーザダイオード(LD)100aと、LD100aからのレーザ光を調光するためのレンズ100bおよび絞り100cとを備えている。このプロジェクタ100は、スクリーン100dにレーザ光を照射するように構成されている。また、本体部10では、レンズ100bは、LD100aの光が通過するレンズ固定部10aに取り付けられている。なお、このプロジェクタ100では、LD100aとレンズ100bとの位置のずれが生じないように、本体部10とレーザ固定部20とは精度よく接合(溶着)する必要がある。また、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30は、それぞれ、本発明の「第1樹脂部材」、「第2樹脂部材」および「第3樹脂部材」の一例である。
【0028】
また、樹脂接合体1の本体部10およびレーザ固定部20は、共に、熱可塑性樹脂である母材のPPS(ポリフェニレンサルファイド)に導電性を有するカーボンが添加された熱可塑性樹脂材から構成されており、導電性を有している。ここで、カーボンが添加される前の純粋なPPSは、波長が915nm程度の赤外光における光透過性が20%〜30%程度である一方、カーボンが添加された後のPPSは、光透過性が略0%になる。つまり、添加材として導電性のカーボンが添加された本体部10およびレーザ固定部20の熱可塑性樹脂材は、共に、赤外光の透過性が低い性質を有している。また、PPSは、ある程度の弾性を有している。なお、カーボンは、本発明の「添加材」の一例であり、赤外光は、本発明の「所定の光」の一例である。
【0029】
また、本体部10およびレーザ固定部20は、LD100aに対する外部の電磁波の影響を軽減する電磁シールドおよびアースとして機能するように構成されており、その結果、LD100aと接続される部分(導電性を要する部分)に配置されている。
【0030】
また、レーザ固定部20には、Z方向から見た平面視において円状の孔部21(
図2参照)が形成されている。この孔部21は、レーザ固定部20を厚み方向(Z方向)に貫通するように形成されている。また、レーザ固定部20の孔部21には、光透過部材30が配置されている。この光透過部材30は、レーザ固定部20の孔部21の円形状に対応するように、円柱状の形状を有するとともに、孔部21の厚み方向(Z方向)の厚みとほとんど同一の厚みを有している。また、光透過部材30の側面31は、孔部21の内周面21aに密着するように配置されている。なお、孔部21の穴径D1は、約1.5mmであり、光透過部材30は、穴径D1と略同一の径の断面形状を有している。また、溶着領域Wにおけるレーザ固定部20および光透過部材30の厚み方向(Z方向)の厚みt(
図3参照)は、約1mmである。
【0031】
ここで、第1実施形態では、光透過部材30は、本体部10およびレーザ固定部20と異なり、カーボンなどの添加材は含まれておらず、純粋なPPSからなる。つまり、光透過部材30は、本体部10およびレーザ固定部20と同一の熱可塑性樹脂(PPS)を含む熱可塑性樹脂材から構成されている一方、本体部10およびレーザ固定部20よりも相対的に光透過性が高くなるように構成されている。この結果、本体部10およびレーザ固定部20は、光透過部材30よりも相対的に光透過性が低くなるように構成されている。
【0032】
また、第1実施形態では、樹脂接合体1において、本体部10とレーザ固定部20とが溶着領域Wにおいて溶着されることにより接合されている。具体的には、本体部10とレーザ固定部20とが厚み方向(Z方向)に密着し、かつ、光透過部材30の側面31が孔部21の内周面21aに密着するように配置された状態で、本体部10の表面11とレーザ固定部20の底面22とが溶着され、本体部10の表面11と光透過部材30の底面32とが溶着されるとともに、レーザ固定部20の孔部21の内周面21aと光透過部材30の側面31とが溶着されている。この結果、溶着領域Wには、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30の界面に本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30が溶融した溶着部40が形成されている。この溶着部40により、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30は、強固に接合されて固定されている。なお、溶着部40は、厚み方向(Z方向)と直交する面方向に、約2mm以上約3mm以下の径D2を有する円状に広がるように形成されている。
【0033】
また、溶着部40が形成されていることにより、溶着領域Wにおける本体部10の表面11、レーザ固定部20の孔部21の内周面21a、レーザ固定部20の底面22、光透過部材30の側面31、および、光透過部材30の底面32では、互いの境界が明確に確認できない状態である。
【0034】
次に、
図1〜
図5を参照して、本発明の第1実施形態による樹脂接合体1の接合工程について説明する。
【0035】
まず、一体成形などにより、熱可塑性樹脂である母材のPPSに添加材としてカーボンが添加された熱可塑性樹脂材を用いて、本体部10およびレーザ固定部20を準備する。この際、レーザ固定部20の所定の位置に厚み方向(Z方向)に貫通する孔部21も形成する。なお、この孔部21は、レーザ固定部20を一体成形などにより形成した後に、別途設けてもよい。また、熱可塑性樹脂であるPPSから構成される熱可塑性樹脂材を用いて、孔部21に対応するように円柱状に形成された光透過部材30を形成する。
【0036】
そして、
図2に示すように、本体部10とレーザ固定部20とを本体部10が下方(Z2側)に位置するように厚み方向に積層させた状態で、レーザ固定部20の孔部21に光透過部材30を挿入して配置する。この際、PPSがある程度の弾性を有することによって、光透過部材30は、孔部21にある程度密着して配置される。その後、光透過部材30が孔部21から抜け出るのを抑制するとともに、本体部10とレーザ固定部20とを密着させるために、赤外光をほとんど透過させることが可能な光透過性の高いガラス製の押さえ部材50を、レーザ固定部20の表面23上から光透過部材30を覆うように配置する。そして、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部20側(Z2側)に押圧することによって、本体部10とレーザ固定部20とを密着させるとともに、本体部10と光透過部材30とを密着させる。
【0037】
ここで、第1実施形態の接合工程では、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部20側(Z2側)に押圧しつつ、赤外レーザ光(赤外光)を照射可能な赤外線レーザ溶着機を用いて、波長が915nm程度の赤外光を押さえ部材50の上方から照射する。この際、押さえ部材50および光透過部材30を介して、レーザ固定部20の孔部21が形成された位置に対応する本体部10の表面11に赤外光を照射する。なお、赤外光の焦点を本体部10の表面11に合わせるとともに、焦点のスポット径D3を約0.6mmにする。
【0038】
これにより、
図3に示すように、赤外光が照射された本体部10の表面11近傍において、本体部10の添加材であるカーボンが光を吸収して発熱することによって、母材であるPPSの融点(約280℃)を超えて昇温する。これにより、本体部10の表面11近傍が溶融する(初期段階)。
【0039】
そして、本体部10に密着する光透過部材30や本体部10の溶融部分40aの面方向における周囲に熱(白抜き矢印)が伝えられる。これにより、
図4に示すように、本体部10に密着する光透過部材30の底面32や本体部10の溶融部分40aの周囲も溶融して、溶融部分40aよりも大きな溶融部分40bが形成される(中間段階)。さらに、光透過部材30および本体部10の溶融部分40bから、光透過部材30の側面31およびレーザ固定部20の孔部21の内周面21aに熱(白抜き矢印)が伝えられるとともに、本体部10の溶融部分40bの周囲、および、本体部10の表面11と密着する孔部21周辺のレーザ固定部20の底面22に熱(白抜き矢印)が伝えられる。これにより、
図5に示すように、光透過部材30の側面31およびレーザ固定部20の孔部21の内周面21aが溶融されるとともに、本体部10の溶融部分40bの周囲、および、孔部21周辺のレーザ固定部20の底面22も溶融して、溶融部分40bよりも大きな溶融部分40cが形成される(完了段階)。
【0040】
その後、赤外光の照射を停止する。これにより、溶融部分40cの熱が溶融部分40cの周囲の本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30や押さえ部材50に伝えられて、溶融部分40cが冷却される。その結果、本体部10の表面11とレーザ固定部20の底面22とが溶着され、本体部10の表面11と光透過部材30の底面32とが溶着されるとともに、レーザ固定部20の孔部21の内周面21aと光透過部材30の側面31とが溶着されて、溶着部40が形成される。最後に、押さえ部材50を取り外すことによって、
図1に示す樹脂接合体1が得られる。
【0041】
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0042】
第1実施形態では、上記のように、レーザ固定部20の孔部21に、本体部10およびレーザ固定部20よりも相対的に光透過性が高い光透過部材30を配置することによって、レーザ固定部20の孔部21に配置された光透過性が相対的に高い光透過部材30を介して、レーザ固定部20に積層された本体部10の表面11に赤外光を照射することができる。これにより、レーザ固定部20に積層された本体部10の表面11に照射された赤外光が本体部10に吸収されることにより本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30を溶融させることができるので、光透過部材30を介し溶融範囲が広がる事で、本体部10とレーザ固定部20とを溶着させることができる。この結果、本体部10とレーザ固定部20とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、本体部10とレーザ固定部20とを十分に接合(溶着)することができる。したがって、接着材を用いて接合する場合と比べて、接着材が熱膨張および熱収縮することに起因して本体部10とレーザ固定部20との接合が弱くなるのを抑制することができるとともに、はみ出た接着材を除去するなどの後工程を削減することができる。さらに、接着材を塗布する領域が不要になるので、その分、樹脂接合体1を小型化することができるとともに、接着剤硬化の時間を除く事ができ、製造のリードタイムを短縮する事ができる。
【0043】
また、第1実施形態では、レーザ固定部20の孔部21に光透過部材30を配置することによって、孔部21に何も配置しない場合と比べて、光透過部材30により、照射された赤外光による熱が孔部21から外部に逃げるのを抑制することができる。さらに、光透過部材30を介して、熱可塑性樹脂材を溶融させるために必要な熱を、孔部21周辺の溶着領域Wにおける本体部10およびレーザ固定部20に十分に伝えることができるので、溶着領域Wにおける本体部10およびレーザ固定部20を確実に溶融させることができる。これによっても、本体部10とレーザ固定部20とを十分に接合(溶着)することができる。
【0044】
また、第1実施形態では、添加材として導電性のカーボンを添加することによって、本体部10およびレーザ固定部20の熱可塑性樹脂材を、共に、赤外光の透過性が低い性質を有するように構成するとともに、本体部10およびレーザ固定部20を、プロジェクタ100の導電性を要するLD100aの部分に配置する。これにより、添加材(カーボン)により導電性が付与された本体部10およびレーザ固定部20を、プロジェクタ100の導電性を有するLD100aの部分において容易に接合(溶着)することができる。
【0045】
また、第1実施形態では、光透過部材30の側面31が孔部21の内周面21aに密着するように配置された状態で、本体部10の表面11とレーザ固定部20の底面22とが溶着され、本体部10の表面11と光透過部材30の底面32とが溶着されるとともに、レーザ固定部20の孔部21の内周面21aと光透過部材30の側面31とが溶着されるように構成する。これにより、光透過部材30が本体部10およびレーザ固定部20と溶着されることにより、光透過部材30を介して本体部10とレーザ固定部20とを間接的に固定することができる。これにより、本体部10とレーザ固定部20とが溶着されているだけの場合と比べて、より強固に本体部10とレーザ固定部20とを接合することができる。
【0046】
また、第1実施形態では、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30の熱可塑性樹脂材が共に同一の熱可塑性樹脂(PPS)を含むことによって、各々異なる熱可塑性樹脂を含む場合と比べて、所定の温度で本体部10、レーザ固定部20および光透過部材30のいずれも溶融させることができるとともに、溶融具合も均一になるので、安定的に熱可塑性樹脂材を溶融させて本体部10とレーザ固定部20とを接合(溶着)することができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、
図6〜
図8を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、平面視において円状の孔部21に円柱状の光透過部材30を配置した上記第1実施形態と異なり、平面視において枠状の孔部221に枠状の光透過部材230を配置する例について説明する。また、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、光透過部材230は、発明の「第3樹脂部材」の一例である。
【0048】
本発明の第2実施形態による気密封止部材200は、
図6および
図7に示すように、箱状の本体部210、平板状の蓋部220および光透過部材230を含む樹脂接合体201と、本体部210の収納部210a(
図7参照)に配置された電子部品200a(
図7参照)とを備えている。また、気密封止部材200では、電子部品200aが配置された収納部210aは、樹脂接合体201により気密封止されている。なお、本体部210および蓋部220は、それぞれ、本発明の「第1樹脂部材」および「第2樹脂部材」の一例である。
【0049】
ここで、第2実施形態では、樹脂接合体201の蓋部220は、Z方向から見た平面視において矩形の枠状に形成された孔部221を含んでいる。また、孔部221は、蓋部220を厚み方向(Z方向)に貫通するように形成されている。また、孔部221内には、矩形の枠状に形成された孔部221に対応するように矩形状の枠状に形成された光透過部材230が配置されている。また、蓋部220と孔部221に配置された光透過部材230とは、二色成形により一体的に形成されている。
【0050】
また、本体部210および蓋部220は、共に、母材のPPSに導電性を有するカーボンが添加された熱可塑性樹脂材から構成されており、導電性を有している。つまり、添加材として導電性のカーボンが添加されることによって、本体部210および蓋部220の熱可塑性樹脂材は、共に、赤外光の透過性が低い性質を有している。一方、光透過部材230は、本体部210および蓋部220と異なり、カーボンなどの添加材は含まれておらず、純粋なPPSからなる。この結果、光透過部材230は、本体部210および蓋部220と同一の熱可塑性樹脂(PPS)を含む熱可塑性樹脂材から構成されている一方、本体部210および蓋部220よりも相対的に光透過性が高くなるように構成されている。
【0051】
また、本体部210および蓋部220は、電子部品200aに対する外部の電磁波の影響を軽減する電磁シールドおよびアースとして機能するように構成されており、その結果、電子部品200aと接続される部分(導電性を要する部分)に配置されている。
【0052】
また、第2実施形態では、樹脂接合体201において、本体部210と蓋部220とが枠状に配置された孔部221および光透過部材230の全周に亘って溶着されることにより接合されている。つまり、上記第1実施形態と同様に、枠状の溶着領域Wには、本体部210、蓋部220および光透過部材230の界面に本体部210、蓋部220および光透過部材230が溶融した溶着部240が形成されている。この溶着部240により、本体部210、蓋部220および光透過部材230は、強固に接合されて固定されている。
【0053】
次に、
図6〜
図8を参照して、本発明の第2実施形態による樹脂接合体201の接合工程について説明する。
【0054】
まず、一体成形などにより、熱可塑性樹脂である母材のPPSに添加材としてカーボンが添加された熱可塑性樹脂材を用いて、本体部210を作成する。また、二色成形により、蓋部220と光透過部材230とを一体的に作成する。具体的には、母材のPPSにカーボンが添加された熱可塑性樹脂材を所定の金型に流し込むことによって、矩形の枠状の孔部221が形成されるように平板状の蓋部220を作成する。その後、熱可塑性樹脂であるPPSから構成される熱可塑性樹脂材を孔部221に流し込むことによって、矩形の枠状の孔部221内に光透過部材230を蓋部220と一体的に形成する。
【0055】
そして、電子部品200aを本体部210の収納部210aに配置した状態で、
図8に示すように、蓋部220が収納部210aを覆うように本体部210と蓋部220と厚み方向(Z方向)に積層させる。その後、本体部210と蓋部220とを密着させるために、赤外光をほとんど透過させることが可能な光透過性の高いガラス製の押さえ部材(図示せず)を、蓋部220上に配置する。そして、ガラス製の押さえ部材を蓋部220側(Z2側)に押圧することによって、本体部210と蓋部220とを密着させる。そして、上記第1実施形態と同様に、赤外光を用いて、枠状に配置された孔部221および光透過部材230の全周に亘って溶着する。これにより、枠状の溶着領域Wにおいて、本体部210、蓋部220および光透過部材230の界面に本体部210、蓋部220および光透過部材230が溶融した溶着部240が形成されて、
図6および
図7に示す樹脂接合体201および気密封止部材200が得られる。
【0056】
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0057】
第2実施形態では、上記のように、蓋部220の孔部221に、本体部210および蓋部220よりも相対的に光透過性が高い光透過部材230を配置することによって、上記第1実施形態と同様に、本体部210と蓋部220とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、本体部210と蓋部220とを十分に接合(溶着)することができる。
【0058】
また、第2実施形態では、蓋部220と孔部221に配置された光透過部材230とを二色成形により一体的に形成することによって、二色成形により光透過部材230が孔部221に埋め込まれた蓋部220を容易に得ることができる。また、蓋部220と光透過部材230とを一体的に形成することにより、孔部221に光透過部材230を配置する工程を削減することができるとともに、光透過部材230が蓋部220の孔部221から脱落するのを抑制することができる。
【0059】
また、第2実施形態では、光透過部材230を矩形の枠状に形成された孔部221に対応するように矩形状の枠状に形成することによって、枠状に形成された孔部221に沿って本体部210と蓋部220とを十分に接合(溶着)することができるので、収納部210aの外側を枠状に封止することができる。これにより、収納部210aを外部から隔離して収納部210aの気密性を確保することができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0060】
(第3実施形態)
次に、
図9〜
図11を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、さらに、光透過部材330に板ばね部335を設けた例について説明する。また、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、光透過部材330は、本発明の「第3樹脂部材」の一例である。
【0061】
本発明の第3実施形態による樹脂接合体301の光透過部材330は、
図9に示すように、レーザ固定部20の孔部21の円形状に対応するように、円柱状の形状を有する本体部333を有している。なお、本体部333は、上記第1実施形態の光透過部材30と異なり、孔部21の厚み方向(Z方向)の厚みtよりも、厚み方向に大きくなるように形成されている。つまり、光透過部材330の本体部333は、孔部21に配置された状態で、孔部21からZ1側に突出している。また、本体部333は、孔部21の穴径D1よりも若干小さな径D4の断面形状を有するように形成されている。この際、孔部21の内周面21aと、本体部333の側面333aとの隙間((D1−D4)/2)は、約0.1mm以下であるのが好ましい。
【0062】
ここで、第3実施形態では、
図10に示すように、光透過部材330の本体部333の上部(Z1側の部分)には、本体部333の上面(Z1側の面)から上方に突出する円柱状の突出部334と、板ばね部335とが設けられている。この板ばね部335は、突出部334の外周面から突出するように延びるとともに、本体部333の上部を覆うように傘状に形成されている。この結果、板ばね部335は、Z方向から見た平面視において円状に形成されている。また、突出部334と板ばね部335とは、本体部333に一体的に設けられている。この際、光透過部材330(本体部333)を構成するPPSがある程度の弾性を有することによって、板ばね部335もある程度の弾性を有している。
【0063】
また、上記第1実施形態と同様に、
図9に示すように、溶着領域Wには、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材330の界面に本体部10、レーザ固定部20および光透過部材330が溶融した溶着部40が形成されている。なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0064】
次に、
図9〜
図11を参照して、本発明の第3実施形態による樹脂接合体301の接合工程について説明する。
【0065】
まず、第1実施形態と同様に、本体部10およびレーザ固定部20を作成する。また、
図10に示すような、孔部21に対応するように円柱状に形成された本体部333と、本体部333の上面(Z1側の面)から上方に突出する円柱状の突出部334と、突出部334の外周面から突出するように延びるとともに、光透過部材330の上部を覆う傘状の板ばね部335とを含む光透過部材330を、熱可塑性樹脂であるPPSを用いて樹脂成形により一体的に形成する。
【0066】
そして、本体部10とレーザ固定部20とを本体部10がZ2側に位置するように厚み方向に積層させた状態で、レーザ固定部20の孔部21に光透過部材330の本体部333を配置する。その後、
図11に示すように、光透過部材330の板ばね部335を、所定の冶具350を用いてレーザ固定部20側(Z2側)に押圧する。この際、板ばね部335が弾性変形することによって、板ばね部335の外端部335aがレーザ固定部20の表面23に当接して表面23を押圧する。これにより、冶具350により、本体部10と光透過部材330とが密着されるだけでなく、板ばね部335を介して、本体部10とレーザ固定部20とが密着される。そして、板ばね部335によりレーザ固定部20の表面23が押圧される状態を保った状態で、上記第1実施形態と同様に、赤外光を用いて溶着する。これにより、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材330の界面に本体部10、レーザ固定部20および光透過部材330が溶融した溶着部40が形成されて、
図9に示す樹脂接合体301が得られる。
【0067】
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0068】
第3実施形態では、上記のように、レーザ固定部20の孔部21に、本体部10およびレーザ固定部20よりも相対的に光透過性が高い光透過部材330を配置することによって、上記第1実施形態と同様に、本体部10とレーザ固定部20とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、本体部10とレーザ固定部20とを十分に接合(溶着)することができる。
【0069】
また、第3実施形態では、板ばね部335によりレーザ固定部20の表面23が押圧される状態を保った状態で、赤外光を用いて溶着することにより、本体部10、レーザ固定部20および光透過部材330の界面に溶着部40を形成する。これにより、レーザ固定部20の孔部21に配置された光透過部材330を本体部10側に押し付けるだけで、板ばね部335を介してレーザ固定部20を本体部10側に押圧することができるので、レーザ固定部20を本体部10に押し付けることができる。これにより、本体部10とレーザ固定部20との密着性を向上させた状態で接合(溶着)することができるので、本体部10とレーザ固定部20とを確実に接合することができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0070】
(第4実施形態)
次に、
図12〜
図14を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1実施形態の構成に加えて、さらに、孔部421および光透過部材430をテーパ形状に形成した設けた例について説明する。また、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、光透過部材430は、本発明の「第3樹脂部材」の一例である。
【0071】
本発明の第4実施形態による樹脂接合体401のレーザ固定部420の孔部421は、
図12に示すように、Z1側からZ2側(本体側)に向かって径が連続的に小さくなるようにテーパ形状に形成されている。つまり、孔部421の内周面421aは、Z1側からZ2側に向かって、孔部421の中心側に傾斜するように形成されている。なお、レーザ固定部420は、本発明の「第2樹脂部材」の一例である。
【0072】
また、光透過部材430は、Z1側からZ2側に向かって外径が連続的に小さくなるようにテーパ形状に形成されている。具体的には、光透過部材430の側面431は、Z1側からZ2側に向かって、光透過部材430の中心側に傾斜するように形成されている。また、光透過部材430は、テーパ形状の孔部421に対応するようにテーパ形状に形成されている。なお、光透過部材430は、テーパ形状の孔部421よりも若干大きくなるようにテーパ形状に形成されている。
【0073】
また、光透過部材430は、上記第1実施形態の光透過部材30と異なり、孔部421の厚み方向(Z方向)の厚みtよりも、厚み方向に大きくなるように形成されている。つまり、光透過部材430は、孔部421に配置された状態で、孔部421からZ1側に突出している。
【0074】
また、溶着領域Wには、本体部10、レーザ固定部420および光透過部材430の界面に本体部10、レーザ固定部420および光透過部材430が溶融した溶着部440が形成されている。なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0075】
次に、
図12〜
図14を参照して、本発明の第4実施形態による樹脂接合体401の接合工程について説明する。
【0076】
まず、第1実施形態と同様に、本体部10を作成するとともに、所定の位置に厚み方向(Z方向)に貫通するテーパ形状の孔部421を有するレーザ固定部420を形成する。また、テーパ形状の孔部421に対応するようにテーパ形状に形成された光透過部材430を形成する。この際、光透過部材430をテーパ形状の孔部421よりも若干大きくなるようにテーパ形状に形成する。
【0077】
そして、本体部10とレーザ固定部420とを本体部10がZ2側に位置するように厚み方向に積層させた状態で、レーザ固定部420の孔部421に光透過部材430を配置する。この際、
図13に示すように、光透過部材430がテーパ形状の孔部421よりも若干大きなテーパ形状に形成されていることによって、光透過部材430の全体が孔部421内に配置されずに、光透過部材430の底面432と本体部10の表面11との間に隙間Cが形成される。
【0078】
その後、光透過性の高いガラス製の押さえ部材50を光透過部材430の上面(Z1側の面)に配置した状態で、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部420側(Z2側)に押圧する。これにより、ある程度の弾性を有する光透過部材430は、押さえ部材50からの押圧力により孔部421内に押し込まれる。この際、光透過部材430の側面431を介して、レーザ固定部420の孔部421の内周面421aにレーザ固定部420を本体部10側(Z2側)に押圧する力が加えられる。
【0079】
これにより、
図14に示すように、光透過部材430の底面432と本体部10の表面11との間の隙間Cの厚み方向の長さLが約0.1mm以下になるように、レーザ固定部420の孔部421に光透過部材430が圧入されるとともに、本体部10とレーザ固定部420とが密着される。そして、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部420側(Z2側)に押圧しつつ、上記第1実施形態と同様に、赤外光を用いて溶着する。なお、第4実施形態のその他の接合工程は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0081】
第4実施形態では、上記のように、レーザ固定部420の孔部421に、本体部10およびレーザ固定部420よりも相対的に光透過性が高い光透過部材430を配置することによって、上記第1実施形態と同様に、本体部10とレーザ固定部420とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、本体部10とレーザ固定部420とを十分に接合(溶着)することができる。
【0082】
また、第4実施形態では、レーザ固定部420の孔部421をZ1側からZ2側(本体側)に向かって径が連続的に小さくなるようにテーパ形状に形成し、光透過部材430をテーパ形状の孔部421に対応するようにテーパ形状に形成する。これにより、レーザ固定部420の孔部421に配置された光透過部材430を本体部10側に押圧するだけで、テーパ形状の傾斜する面(孔部421の内周面421aおよび光透過部材430の側面431)を介してレーザ固定部420を本体部10側に押圧することができる。これにより、本体部10とレーザ固定部420との密着性を向上させた状態で接合(溶着)することができるので、本体部10とレーザ固定部420とを確実に接合することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
(第5実施形態)
次に、
図15および
図16を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、上記第1実施形態のレーザ固定部20を貫通する孔部21に代えて、レーザ固定部520を貫通しない凹部521を設けた例について説明する。また、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。なお、レーザ固定部520は、本発明の「第2樹脂部材」の一例である。
【0084】
本発明の第5実施形態による樹脂接合体501のレーザ固定部520には、
図15に示すように、Z方向から見た平面視において円状の凹部521が形成されている。この凹部521の深さH(
図16参照)は、レーザ固定部520の厚みt(
図16参照)よりも若干小さくなるように構成されている。つまり、凹部521を厚み方向(Z方向)に貫通しないように形成されているとともに、凹部521の本体部10側(Z2側)の底面521bは、本体部10の表面11の近傍に形成されている。また、凹部521内に円柱状の光透過部材30が配置されるように構成されている。この際、光透過部材30の底面32は、凹部521の底面521bに当接するように構成されている。
【0085】
また、溶着領域Wには、本体部10およびレーザ固定部520の界面に本体部10およびレーザ固定部520が溶融した溶着部540が形成されている。また、溶着部540は、レーザ固定部520の凹部521の内面(側面521aおよび底面521b)と光透過部材30の側面31との界面まで形成されている。なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
次に、
図15および
図16を参照して、本発明の第5実施形態による樹脂接合体501の接合工程について説明する。
【0087】
まず、第1実施形態と同様に、本体部10および光透過部材30を作成するとともに、所定の位置に厚み方向(Z方向)に貫通しない凹部521を有する、レーザ固定部520を形成する。
【0088】
そして、
図16に示すように、本体部10とレーザ固定部520とを本体部10がZ2側に位置するように厚み方向に積層させた状態で、レーザ固定部520の凹部521に光透過部材30を挿入して配置する。その後、光透過性の高いガラス製の押さえ部材50を、レーザ固定部520の表面23上から光透過部材30を覆うように配置する。そして、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部520側(Z2側)に押圧することによって、本体部10とレーザ固定部520とを密着させる。
【0089】
そして、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部520側(Z2側)に押圧しつつ、赤外光を押さえ部材50の上方から照射する。この際、押さえ部材50および光透過部材30を介して、レーザ固定部520の凹部521の底面521bに赤外光が照射される。
【0090】
これにより、赤外光が照射されたレーザ固定部520の凹部521の底面521b近傍においてレーザ固定部520の添加材であるカーボンが光を吸収して発熱することによって、母材であるPPSの融点を超えて昇温する。これにより、凹部521の底面521b近傍が溶融する。そして、凹部521の底面521bの近傍に形成された本体部10の表面11や、凹部521に配置された光透過部材30に熱が伝えられる。これにより、
図15に示すように、凹部521周辺の本体部10の表面11とレーザ固定部520とが溶着されるとともに、レーザ固定部520の凹部521の内面(側面521aおよび底面521b)と光透過部材30とが溶着されて、
図15に示す溶着部540が形成される。最後に、押さえ部材50を取り外すことによって、
図15に示す樹脂接合体501が得られる。
【0091】
第5実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0092】
第5実施形態では、上記のように、レーザ固定部520の凹部521に、本体部10およびレーザ固定部520よりも相対的に光透過性が高い光透過部材30を配置することによって、レーザ固定部520の凹部521に配置された光透過部材30を介して、レーザ固定部520の本体部10側の底面521bに光を照射することができる。これにより、レーザ固定部520の本体部10側の底面521bに照射された光がレーザ固定部520に吸収されることにより本体部10およびレーザ固定部520を溶融させることができるので、光透過部材30を介し溶融範囲が広がる事で、本体部10とレーザ固定部520とを溶着させることができる。これにより、本体部10とレーザ固定部520とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、本体部10とレーザ固定部520とを十分に接合(溶着)することができる。
【0093】
また、第5実施形態では、レーザ固定部520の凹部521に光透過部材30を配置することによって、凹部521に何も配置しない場合と比べて、光透過部材30により、照射された赤外光による熱が凹部521から外部に逃げるのを抑制することができる。さらに、光透過部材30を介して、熱可塑性樹脂材を溶融させるために必要な熱を、凹部521周辺の溶着領域Wにおける本体部10およびレーザ固定部520に十分に伝えることができるので、溶着領域Wにおける本体部10およびレーザ固定部520を確実に溶融させることができる。これによっても、本体部10とレーザ固定部520とを十分に接合(溶着)することができる。
【0094】
(第6実施形態)
次に、
図17〜
図19を参照して、第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、光透過部材30(230、330、430)が溶着される上記第1〜第5実施形態とは異なり、光透過部材630が溶着されない例について説明する。また、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0095】
本発明の第6実施形態による樹脂接合体601は、
図17に示すように、本体部10と、レーザ固定部20とから構成されている。つまり、上記第1実施形態とは異なり、レーザ固定部20の孔部21には、熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂材は配置されていない。また、溶着領域Wには、本体部10およびレーザ固定部20の界面に本体部10およびレーザ固定部20が溶融した溶着部640が形成されている。なお、第6実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0096】
次に、
図17〜
図19を参照して、本発明の第6実施形態による樹脂接合体601の接合工程について説明する。
【0097】
まず、第1実施形態と同様に、本体部10およびレーザ固定部20を作成する。
【0098】
そして、
図18に示すように、本体部10とレーザ固定部20とを本体部10がZ2側に位置するように厚み方向に積層させた状態で、レーザ固定部20の孔部21に光透過部材630を配置する。この光透過部材630は、熱可塑性を有さずに熱伝導性を有するとともに、本体部10およびレーザ固定部20よりも相対的に光透過性が高い材料(たとえば、ガラス)から構成されている。また、光透過部材630は、レーザ固定部20の孔部21に配置される突出部631と、突出部631のZ1側の上部に配置されたフランジ部632とを有している。また、突出部631がレーザ固定部20の孔部21に配置された際に、突出部631の底面(Z2側の面)631aは、本体部10の表面11に当接するとともに、フランジ部632の下面(Z2側の面)632aは、レーザ固定部20の表面23に当接するように構成されている。
【0099】
そして、光透過部材630をレーザ固定部20側(Z2側)に押圧することによって、本体部10とレーザ固定部20とを密着させる。そして、光透過部材630をレーザ固定部20側(Z2側)に押圧しつつ、赤外光を光透過部材630の上方から照射する。この際、光透過部材630を介して、レーザ固定部20の孔部21が形成された位置に対応する本体部10の表面11に赤外光を照射する。
【0100】
これにより、赤外光が照射された本体部10の表面11近傍において、本体部10の添加材であるカーボンが光を吸収して発熱することによって、本体部10の表面11近傍が溶融する。その後、本体部10に密着する光透過部材630や本体部10を介して熱が伝えられることによって、本体部10の表面11近傍、本体部10の表面11と密着する孔部21周辺のレーザ固定部20の底面22、および、孔部21の内周面21aが溶融する。これにより、本体部10およびレーザ固定部20の界面と、孔部21の内周面21aとに本体部10およびレーザ固定部20が溶融した溶着部640が形成される。一方、光透過部材630は、熱可塑性を有していないことにより溶融しない。これにより、
図17に示す樹脂接合体601が得られる。
【0101】
その後、
図19に示すように、光透過部材630をレーザ固定部20の孔部21から取り出す。これにより、樹脂接合体601の接合工程が終了される。
【0102】
第6実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0103】
第6実施形態では、上記のように、レーザ固定部20の孔部21に、本体部10およびレーザ固定部20よりも相対的に光透過性が高い光透過部材630を配置することによって、上記第1実施形態と同様に、本体部10とレーザ固定部20とが共に光透過性が相対的に低く光を吸収する性質を有する場合であっても、本体部10とレーザ固定部20とを十分に接合(溶着)することができる。
【0104】
また、第6実施形態では、熱可塑性を有さずに熱伝導性を有するとともに、本体部10およびレーザ固定部20よりも相対的に光透過性が高い材料から構成される光透過部材630の突出部631をレーザ固定部20の孔部21に配置した状態で、本体部10とレーザ固定部20との溶着を行うとともに、溶着後に、光透過部材630をレーザ固定部20の孔部21から取り出す。これにより、取り外した光透過部材630を別の樹脂接合体601または別の溶着領域Wにおいて繰り返し用いることができるので、光透過部材630を孔部21毎に用意する場合と比べて、部品点数を削減することができる。
【0105】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0106】
たとえば、上記第2実施形態では、枠状の孔部221に枠状の光透過部材230を配置した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、枠状の凹部に枠状の光透過部材を配置してもよい。この際、光透過部材は熱可塑性樹脂材から構成されてもよいし、ガラスから構成されていてもよい。
【0107】
また、上記第3実施形態では、光透過部材330に板ばね部335を一体的に形成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、板ばね部を光透過部材とは別個に形成してもよい。これにより、接合工程後に板ばね部を取り外して他の接合工程に用いることができるので、部品点数を削減することが可能である。この際、板ばね部は光透過性の高い部材からなるのが好ましい。
【0108】
また、上記第1〜第6実施形態では、熱可塑性樹脂としてPPSを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、PPS以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。この際、光透過性の高い熱可塑性樹脂を用いる方が、添加材の有無による光透過性の差を大きくすることができるので好ましい。たとえば、熱可塑性樹脂として、ABS(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合樹脂)PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PS(ポリスチレン)、PE(ポリエチレン)などを用いてもよい。
【0109】
また、上記第1〜第5実施形態では、第1樹脂部材(本体部)と第2樹脂部材(レーザ固定部、蓋部)と第3樹脂部材(光透過部材)との熱可塑性樹脂材が同一の熱可塑性樹脂(PPS)を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1樹脂部材と第2樹脂部材と第3樹脂部材とを異なる熱可塑性樹脂を含むように構成してもよい。この際、第1樹脂部材および第2樹脂部材を第3樹脂部材よりも相対的に光透過性が低い熱可塑性樹脂(たとえば、PPS)から構成し、第3樹脂部材を第1樹脂部材および第2樹脂部材とよりも相対的に光透過性が高い熱可塑性樹脂(たとえば、PP)から構成することによって、光を吸収する添加材を添加しなくとも、第1樹脂部材および第2樹脂部材と第3樹脂部材との光透過性の相対的な差異を設けることが可能である。
【0110】
また、上記第1〜第4実施形態では、本体部10(210)と、レーザ固定部20(420)または蓋部220と、光透過部材30(230、330、430)とをいずれも溶融させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、少なくとも赤外光が照射される第1樹脂部材(本体部)が溶融して第1樹脂部材と第2樹脂部材(レーザ固定部または蓋部)とが溶着されればよく、第2樹脂部材および第3樹脂部材(光透過部材)は溶融されなくてもよい。
【0111】
また、上記第5実施形態では、本体部10と、レーザ固定部520と、光透過部材30とをいずれも溶融させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、少なくとも赤外光が照射される第2樹脂部材(レーザ固定部)が溶融して第1樹脂部材(本体部)と第2樹脂部材とが溶着されればよく、第1樹脂部材および第3樹脂部材(光透過部材)は溶融されなくてもよい。
【0112】
また、上記第6実施形態では、本体部10と、レーザ固定部20とをいずれも溶融させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、少なくとも赤外光が照射される第1樹脂部材(本体部)が溶融して第1樹脂部材と第2樹脂部材(レーザ固定部)とが溶着されればよく、第2樹脂部材は溶融されなくてもよい。
【0113】
また、上記第1実施形態では、所定の電気機器の一例としてプロジェクタ100を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の接合方法は、光透過性が相対的に低い熱可塑性樹脂材から構成される樹脂部材同士を接合する箇所に用いることが可能であり、プロジェクタ100以外の電気機器(たとえば、テレビジョン装置など)や電気機器以外の機器(たとえば、光学機器)などに用いてもよい。
【0114】
また、上記第1、第4および第5実施形態では、ガラス製の押さえ部材50をレーザ固定部20(420、520)側に押圧しつつ接合工程を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押さえ部材を用いずに接合工程を行ってもよい。
【0115】
また、上記第1〜第6実施形態では、添加材としてカーボンを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、カーボン以外の添加材を用いてもよい。さらに、添加材を用いなくてもよい。この際、たとえば、熱可塑性樹脂の表面の摩擦抵抗を大きくするまたは小さくするように表面を加工することによって、熱可塑性樹脂材の光透過性を異ならせてもよい。
【0116】
また、上記第1〜第6実施形態では、波長が915nm程度の赤外光を用いて接合工程を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、波長が約900nm以上約1000nm以下の赤外光を用いて接合工程を行ってもよいし、赤外光以外の可視光や紫外光などを用いて接合工程を行ってもよい。また、赤外光は赤外レーザ光でなくてもよく、複数の波長を含む光であってもよい。