(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明では、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0026】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図であり、
図2は、本発明の第一実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の切断線I−Iに沿った断面図である。
図1及び2に示す、第一実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置1は、本発明に係る受電装置9と、給電装置11と、を備える。受電装置9は受電装置本体部6及び受電部5を有し、給電装置11は給電装置本体部4及び給電部3をそれぞれ有する。受電部5は二次コイルL2から、給電部3は一次コイルL1からそれぞれ構成され、二次コイルL2と一次コイルL1とが電磁的に結合することによって、給電装置11から受電装置9へワイヤレスで電力が伝送される。
【0027】
図3は、給電部及び受電部の結合様式の一例を示す模式図である。給電装置11においては、交流電源30から電流が一次コイルL1に流れることにより、一次コイルL1の内部から周囲にわたって磁界が発生する。受電装置9は、二次コイルL2が一次コイルL1に対峙するように給電装置11と隣り合って配置されており、一次コイルL1から発生した磁界によって、二次コイルL2に電流が流れる。整流器31は発生した電流を整流し、これにより受電装置9に電力が供給される。一次コイルL1から発生する磁界の強さは、一次コイルL1に流れる電流の大きさ、一次コイルL1の大きさ、巻き数等に応じて異なる。また、二次コイルL2に誘起される磁界の強さや電流の大きさは、一次コイルL1から発生する磁界の強さ、二次コイルL2の大きさ、巻き数等に応じて異なる。受電装置9に適切な量の電力が供給されるよう、一次コイルL1に流れる電流等の上記パラメータは調整されている。
【0028】
(受電装置)
図1及び2に示すように、受電装置9の表面形状(以下、「外形」という。)は、六つの面を有する直方体の形状である。受電装置9は、受電装置本体部6と、二次コイルL2が樹脂8等によってパッケージングされた受電部パッケージ10と、を有する。受電部パッケージ10は、六つの面を有する直方体の外形を有する受電装置本体部6に内蔵されている。本実施形態においては、受電装置9の外形を構成する面は、受電装置本体部6の外形を構成する面に対応している。面S3は、給電装置11の一次コイルL1が配置された面と対向することになる面(受電装置9の底面)であり、面S1及び面S2は、当該面S3に隣接する面(受電装置9の側面)であり、面S1、面S3、面S2は、この順に連続して配置されている。面S1と面S3とは互いに平行ではなく、面S2と面S3とは互いに平行ではない。二次コイルL2は、これらの位置関係にある面S1、面S2、面S3に沿うように配設されている。ここで、「面に沿う」という状態は、受電装置9の表面において、二次コイルL2が、給電装置11からの受電が可能な領域を形成できる程度に、受電装置9表面からの距離及び受電装置9表面との位置関係が保たれていることを意味する。二次コイルL2は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない少なくとも二つの面に沿う部分を有していれば、互いに平行な面(面S1、面S2)に沿う部分を有していても、本発明の効果を得ることができる。
【0029】
二次コイルL2は、導線が巻回された巻線部と、巻線部によって囲まれた、対向する二つの開口端を有する開口部とを含み、受電装置9の六つの面S1,S2,S3,S4,S5,S6のうち三つの面S1,S2,S3それぞれに沿う部分A1,A2,A3を有する。底面S3に沿う部分A3、及び、側面S1,S2それぞれに沿う部分A1又はA2は、連結部B1又はB2を介して連続的に配置されている。連結部B1及びB2は、後述するように受電装置9の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、二次コイルL2は、その受電面が受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S1、面S3、及び、互いに平行でない二つの面S2、面S3に沿うように配置されているとよい。本実施形態において「コイルの受電面」とは、「コイルの開口部」を意味する。電力伝送効率の観点から、二次コイルL2の面のうち、底面S3に対向する面とは反対側の面に、磁性体7を設けて受電部5を構成することが好ましい。
【0030】
二次コイルL2は、三つの平面部A1,A2,A3と、平面部A1及びA3に挟まれた湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B1と、平面部A2及びA3に挟まれた湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B2と、から構成されている。平面部A3は受電装置9の底面S3に、平面部A1,A2は受電装置9の側面S1,S2に、それぞれ、受電装置本体部6の内側から対向しており、平面部A1,A2,A3は、面S1,S2,S3にそれぞれ平行になるように配置されることが好ましい。また、連結部B1は、受電装置9の底面S3及び側面S1が接する接合部C1に、受電装置本体部6の内側から対向するように配置され、連結部B2は、受電装置9の底面S3及び側面S2が接する接合部C2に、受電装置本体部6の内側から対向するように配置されている。
【0031】
ここで、接合部とは、二つの面が接することによって形成された、稜線及びその近傍を含む部分を意味する。具体的には、接合部C1は、面S1と面S3とが接することによって形成された稜線及びその近傍を含む部分を意味し、接合部C2は、面S2と面S3とが接することによって形成された稜線及びその近傍を含む部分を意味する。
【0032】
連結部B1,B2は、例えば、二次コイルL2を折り曲げることによって形成される。二次コイルL2の曲がり方は特に限定されず、例えば、
図2に示すように、断面が湾曲した二つの凸部を有する形状又は凹部を有する形状、また、凹部や凸部が屈曲して角が形成された形状でもよい。凹部や凸部は、受電部5において二つに限られず、当該部分が二つ以上の平面部に挟まれている限り、単数でも複数存在していてもよい。
【0033】
[第二実施形態]
図4は、本発明の第二実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図であり、
図5は、本発明の第二実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の切断線IV−IVに沿った断面図である。
図4及び5に示す、第二実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置40は、本発明に係る受電装置9と、給電装置11と、を備える。
【0034】
図4及び5に示すように、受電装置本体部6の外形は、六つの面を有する直方体である。受電装置9は、受電装置本体部6と、二次コイルL2が樹脂8等によってパッケージングされた受電部パッケージ10と、を有する。本実施形態においては、コの字形状の受電部パッケージ10が、受電装置本体部6の外側に取り付けられている。二次コイルL2は、受電部パッケージ10の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S7、面S9、及び、互いに平行でない二つの面S8、面S9に沿うように配設されている。二次コイルL2は、互いに平行でない少なくとも二つの面に沿っていれば、互いに平行な面(面S7、面S8)に沿う部分があっても、本発明の効果を得ることができる。また、二次コイルL2は、受電部パッケージ10の三つの面S7,S8,S9それぞれに沿う部分A1,A2,A3を有する。面S9は、受電部パッケージ10の底面であり、面S7及び面S8は、当該面S9に隣接する受電部パッケージ10の側面であり、面S7、面S9、面S8は、この順に連続して配置されている。本実施形態においては、受電装置9の外形を構成する面の一部は、受電部パッケージ10の外形を構成する面に対応している。第一実施形態においては、受電装置9の外形を構成する面のうち、給電装置11から電力伝送を受ける面が、受電装置本体部6の面S1,S2,S3であったが、本実施形態においては、受電部パッケージ10の面S7,S8,S9が給電装置11から電力伝送を受ける面となっている。
【0035】
底面S9に沿う部分A3、及び、側面S7,S8それぞれに沿う部分A1又はA2は、連結部B1又はB2を介して連続的に配置されている。連結部B1及びB2は、後述するように受電装置9の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、二次コイルL2は、その受電面が受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S7、面S9、及び、互いに平行でない二つの面S8、面S9に沿うように配置されているとよい。電力伝送効率の観点から、二次コイルL2の面のうち、底面S3に対向する面に、磁性体7を設けて受電部5を構成することが好ましい。
【0036】
二次コイルL2は、三つの平面部A1,A2,A3と、平面部A1及びA3に挟まれた湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B1と、平面部A2及びA3に挟まれた湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B2と、から構成されている。平面部A3は受電装置9の底面S9に、平面部A1,A2は受電装置9の側面S7,S8に、それぞれ、受電部パッケージ10の内側から対向しており、平面部A1,A2,A3は、面S7,S8,S9にそれぞれ平行になるように配置されることが好ましい。また、連結部B1は、受電装置9の底面S9及び側面S7が接する接合部C7に、受電部パッケージ10の内側から対向するように配置され、連結部B2は、受電装置9の底面S9及び側面S8が接する接合部C8に、受電部パッケージ10の内側から対向するように配置されている。
【0037】
第一及び第二実施形態に係る受電装置において、「受電部が受電装置の外形を構成する、互いに平行でない二以上の面に沿うように配設された状態」は、例えば、上述したように、三つの平面部A1,A2,A3が、面S7,S8,S9それぞれに沿い、二つの連結部B1,B2が、接合部C7,C8の外形の形状に沿った状態である。電力伝送効率について実用上問題がない程度である限り、平面部A1,A2,A3の一部に湾曲部分や傾斜部分が含まれていても、また、平面部A1,A2,A3自体が面S1,S2,S3、又は、面S7,S8,S9に対して、なだらかな凸形状又は凹形状となるように湾曲していてもよい。
【0038】
第一及び第二実施形態において、受電装置本体部6の外形は直方体であるが、これに限られない。また、受電装置本体部6の外形を構成する一面は、一つの平面に限定されず、例えば、異なる法線ベクトルを有する二以上の平面を一部に含むもの、又は、二以上の湾曲面又は屈曲面を一部に含むもの、又は、これらを両方有するものが挙げられる。また、受電部パッケージ10の外形は直方体又はコの字形状であるが、これらに限られない。第一実施形態のように、受電部パッケージ10が受電装置本体部6の内側に配置される場合、受電部パッケージ10の外形は、受電装置本体部6表面側の部分が、受電装置本体部6の外形に沿うことが好ましい。第二実施形態のように、受電部パッケージ10が受電装置本体部6の外側に配置される場合には、受電部パッケージ10の外形は、受電装置本体部6側の表面が受電装置本体部6の外形に沿う形状であることが好ましい。第一実施形態において、受電部パッケージ10の受電装置本体部6表面側以外の部分、及び、第二実施形態において、受電部パッケージ10の受電装置本体部6側の表面以外の面は、例えば、異なる法線ベクトルを有する二以上の平面を一部に含むもの、又は、二以上の湾曲面又は屈曲面を一部に含むもの、又は、これらを両方有するものが挙げられる。ただし、受電装置本体部6や受電部パッケージ10は、本発明における受電装置の一面を形成する範囲内において、上述の表面形状を有することができる。本発明における受電装置の一面とは、受電装置が、通常載置される形態、又は、通常使用される形態において、位置を特定して指し示すことが可能な面(例えば、前面、背面(後面)、上面、底面、側面等)である。
【0039】
二次コイルL2を折り曲げる角度は、二次コイルL2が、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二以上の面に沿うように配設された状態であれば、特に制限はない。上述のように二次コイルL2に磁性体7が配置されたり、また、平面部A1及びA2が連結部B1及びB2の部分で反転されていてもよい。磁性体7を設けること、また、平面部A1及びA2で流れる電流の向きを反転させることにより、平面部A1及びA2において、平面部A3に鎖交する磁束と反対向きの磁束の発生を抑制でき、電力伝送効率の低下を抑制できる。
【0040】
二次コイルL2に磁性体7が配置されていなかったり、また、平面部A1及びA2が、平面部A3に対して反転されていない場合には、二次コイルL2を折り曲げる角度は、平面部A3を含む仮想面と平面部A1を含む仮想面とのなす角、又は、平面部A3を含む仮想面と平面部A2を含む仮想面とのなす角として、90°以上180°未満であることが好ましい。平面部A3を含む仮想面と平面部A1を含む仮想面とのなす角、及び、平面部A3を含む仮想面と平面部A2を含む仮想面とのなす角が90°未満であると、平面部A1及びA2で発生する磁場は、平面部A3で発生する磁場を打ち消す方向に作用する。平面部A3を含む仮想面と平面部A1を含む仮想面とのなす角、及び、平面部A3を含む仮想面と平面部A2を含む仮想面とのなす角が90°以上180°未満である場合、上記のような磁場の打ち消し合いが少なくなり、90°未満の場合に比して電力伝送効率が向上することとなる。
【0041】
コイルの種類は、特に限定されない。例えば、単層のワイヤが水平方向に複数配列した平面状のコイル、複数のワイヤが垂直方向に積層するように配列したコイル、及び、これらのワイヤの配列形状を組み合わせたコイル等が挙げられる。コイルの加工の容易性、及び、機器の小型化の観点から、コイルは、平面状のコイルが好ましい。コイルの材質も特に限定されない。例えば、銅等の電気伝導率の高い材料を用いるとよい。
【0042】
二次コイルL2の大きさは、受電装置9に適切な量の電力を供給できれば特に制限はないが、二次コイルL2の位置が、最適な受電位置からずれた場合における電力伝送効率の低下を防ぐ観点から、二次コイルL2の一次コイルL1との対向面における外輪郭が、一次コイルL1の二次コイルL2との対向面における外輪郭よりも外側に位置することが好ましい。二次コイルL2及び一次コイルL1は、湾曲部又は屈曲部を形成する前の状態において、略円形形状、略多角形形状、略楕円形形状のいずれを呈している場合であっても、上記の条件を満たしていることが好ましい。
【0043】
一次コイルL1と二次コイルL2との電磁誘導により、受電装置9は、給電装置11から底面S3を介して電力が伝送される。電力伝送効率の観点から、一次コイルL1と二次コイルL2とは、二次コイルL2の平面部A3と、給電装置11に内蔵された一次コイルL1とが平行に対峙するように配置されることが好ましい。
【0044】
第一及び第二実施形態において、受電装置9を、側面S1又はS2を介して一次コイルL1と二次コイルL2とが対峙するように配置しても、一次コイルL1と二次コイルL2との誘電結合により給電される。すなわち、複数のコイルを用いずに複数面から受電装置9へ給電ができ、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。第一及び第二実施形態においては、一つの受電装置9について、三つの面からの給電が可能となる。
【0045】
また、一つの二次コイルL2を有するため、三つの面からの給電を行うべく三つのコイルを用いた時に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、受電装置9の大きさの制限もなくなる。
【0046】
本実施形態において、給電装置11は、上記受電装置9に給電可能であれば特に制限はなく、例えばS30が床、S20が壁といった規模のものであっても、移動可能な小型の機器であってもよい。
【0047】
図6は、第一及び第二実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の他の態様を示す斜視図である。
図6に示すワイヤレス電力伝送装置60は、受電装置9の外形を構成する四つの面に沿うように二次コイルL2が設けられている。面S1と面S3、面S1と面S4、面S2と面S3、面S2と面S4とは、それぞれ互いに平行でないため、受電装置9や給電装置11の配置にさらに自由度を持たせて給電することができる。本態様においては、一つの受電装置9について、四つの面からの給電が可能となる。また、一つの二次コイルL2を有するため、四つの面からの給電を行うべく四つのコイルを用いた時に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、受電装置9の大きさの制限をより一層低減することができる。
【0048】
[第三実施形態]
図7は、本発明の第三実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図である。
図7に示す、第三実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置70は、第一実施形態における受電装置9の受電部5の形状及び個数を変えたものである。
【0049】
受電装置9は、二つの二次コイルL2を内蔵する。二次コイルL2は、第一実施形態と同様に、磁性体を備え、樹脂によってパッケージングされてもよい。一つの受電部5aを構成する二次コイルL2は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない三つの面S1,S4,S5それぞれに沿う部分A1,A4,A5を有し、他方の受電部5bを構成する二次コイルL2は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない三つの面S2,S3,S6それぞれに沿う部分A2,A3,A6を有する。面S4は受電装置9の上面であり、面S5は受電装置9の前面であり、面S6は受電装置9の背面である。面S1,S2,S3,S4,S5,S6は、
図4に示すように連続して配置されている。
【0050】
受電部5aにおいて、上面S4、側面S1及び前面S5それぞれに沿う部分A4、A1及びA5は、連結部B1、B4及びB5を介して連続的に配置されている。また、受電部5bにおいて、底面S3、側面S2及び背面S6それぞれに沿う部分A3、A2及びA6は、連結部B2、B3及びB6を介して連続的に配置されている。連結部B1,B2,B3,B4,B5,B6は、後述するように受電装置9の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、二次コイルL2は、その受電面が受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない三つの面に沿うように配置されているとよい。
【0051】
受電部5aを構成する二次コイルL2は、三つの平面部A1,A4,A5と、平面部A1及びA4、平面部A4及びA5、並びに、平面部A1及びA5にそれぞれ挟まれた、湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B1,B4,B5と、から構成されている。また、受電部5bを構成する二次コイルL2は、三つの平面部A2,A3,A6と、平面部A2及びA3、平面部A3及びA6、並びに、平面部A2及びA6にそれぞれ挟まれた、湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B2,B3,B6と、から構成されている。
【0052】
受電部5aにおいて、平面部A1は受電装置9の側面S1に、平面部A4は受電装置9の上面S4に、平面部A5は受電装置9の前面S5にそれぞれ対向しており、平面部A1,A4,A5は、面S1,S4,S5に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B1は、受電装置9の上面S4及び側面S1が接する接合部に対向するように配置され、連結部B4は、受電装置9の上面S4及び前面S5が接する接合部に対向するように配置され、連結部B5は、受電装置9の前面S5及び側面S1が接する接合部に対向するように、それぞれ配置されている。
【0053】
受電部5bにおいて、平面部A2は受電装置9の側面S2に、平面部A3は受電装置9の底面S3に、平面部A6は受電装置9の背面S6にそれぞれ対向しており、平面部A2,A3,A6は、面S2,S3,S6に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B2は、受電装置9の側面S2及び底面S3が接する接合部に対向するように配置され、連結部B3は、受電装置9の底面S3及び背面S6が接する接合部に対向するように配置され、連結部B6は、受電装置9の側面S2及び背面S6が接する接合部に対向するように、それぞれ配置されている。
【0054】
本実施形態において、受電部5aの平面部A1,A4,A5は、コイルの外周方向へ凸となる角を有している。受電部5bの平面部A2,A3,A6もまた、コイルの外周方向へ凸となる角を有している。コイルL2をこのような形状とすることにより、単に、円形又は楕円形のコイルに湾曲部又は屈曲部を形成した時に比してコイルL1からの磁束を受け易くなり、効率よく電力を伝送される。
【0055】
一次コイルL1と二次コイルL2との電磁誘導により、受電装置9は、給電装置11から底面S3を介して、主に受電部5bにより電力が伝送される。受電装置9を、側面S1,S2、上面S4、前面S5又は背面S6を介して一次コイルL1と二次コイルL2とが対峙するように配置しても、一次コイルL1と二次コイルL2との誘電結合により給電される。
【0056】
本実施形態に係るワイヤレス給電システムによれば、二つの二次コイルを受電装置9の一面につき一つ対向させた時と比較して、受電装置9に受電可能な面が増える。これにより、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。本実施形態においては、受電装置9に一つあたり三つの面からの給電が可能な受電部5a,5bが二つ内蔵されているため、六つの面からの給電が可能となる。
【0057】
また、二つの二次コイルL2を有するため、例えば、受電装置9が、六つの給電面を有するように六つのコイルを用いた場合に比して、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から受電装置9の大きさが制限されることもなくなる。
【0058】
図8は、第三実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の他の態様を示す斜視図である。第三実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置70においては、受電部5a,5bにおける二次コイルL2の形状が六角形であるが、
図8に示すワイヤレス電力伝送装置80に示すように、これらの二次コイルL2の形状を三角形としてもよい。
【0059】
[第四実施形態]
図9は、本発明の第四実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図である。
図9に示す、第四実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置90は、第一実施形態における受電装置9の二次コイルL2の形状及び個数を変えたものである。
【0060】
受電装置9は、三つの二次コイルL2を内蔵する。二次コイルL2は、第1実施形態と同様に、磁性体を備え、樹脂によってパッケージングされてもよい。受電部5aを構成する二次コイルL2は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S1,S4それぞれに沿う部分A1,A4を有し、受電部5bを構成する二次コイルL2は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S2,S6それぞれに沿う部分A2,A6を有し、受電部5cを構成する二次コイルL2は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S3,S5それぞれに沿う部分A3,A5を有する。
【0061】
受電部5aにおいて、側面S1に沿う部分A1及び上面S4に沿う部分A4は、連結部B1を介して連続的に配置されている。受電部5bにおいて、側面S2に沿う部分及び背面S6に沿う部分A6は、連結部B6を介して連続的に配置されている。受電部5cにおいて、底面S3に沿う部分A3及び前面S5に沿う部分A5は、連結部B3を介して連続的に配置されている。連結部B1,B3,B6は、後述するように受電装置9の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、二次コイルL2は、その受電面が受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない二つの面に沿うように配置されているとよい。
【0062】
受電部5aを構成するコイルL2は、二つの平面部A1,A4と、平面部A1及びA4に挟まれた、湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B1と、から構成されている。受電部5bを構成するコイルL2は、二つの平面部A2,A6と、平面部A2及びA6に挟まれた、湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B6と、から構成されている。受電部5cを構成するコイルL2は、二つの平面部A3,A5と、平面部A3及びA5に挟まれた、湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B3と、から構成されている。
【0063】
受電部5aにおいて、平面部A1は受電装置9の側面S1に、平面部A4は受電装置9の上面S4にそれぞれ対向しており、平面部A1,A4は、面S1,S4に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B1は、受電装置9の上面S4及び側面S1が接する接合部に対向するように配置されている。
【0064】
受電部5bにおいて、平面部A2は受電装置9の側面S2に、平面部A6は受電装置9の背面S6にそれぞれ対向しており、平面部A2,A6は、面S2,S6に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B6は、受電装置9の側面S2及び背面S6が接する接合部に対向するように配置されている。
【0065】
受電部5cにおいて、平面部A3は受電装置9の底面S3に、平面部A5は受電装置9の前面S5にそれぞれ対向しており、平面部A3,A5は、面S3,S5に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B3は、受電装置9の底面S3及び前面S5が接する接合部に対向するように配置されている。
【0066】
一次コイルL1と二次コイルL2との電磁誘導により、受電装置9は、給電装置11から底面S3を介して、主に受電部5cにより電力が伝送される。側面S1,S2、上面S4、前面S5又は背面S6を介して一次コイルL1と二次コイルL2とが対向するように受電装置9を配置させても、コイルL1とコイルL2との誘電結合により給電される。
【0067】
本実施形態に係るワイヤレス給電システムによれば、三つの二次コイルを受電装置9の一面につき一つ対向させた場合と比較して、受電装置9に受電可能な面が増え、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。本実施形態においては、受電装置9に、一つあたり二つの面からの給電が可能な受電部5a,5b,5cが三つ内蔵されているため、六つの面からの給電が可能となる。
【0068】
また、三つの二次コイルL2を有するため、例えば、受電装置9が、六つの給電面を有するように、六つのコイルを用いた場合に比して、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から受電装置9の大きさが制限されることもなくなる。
【0069】
さらに、本実施形態においては、受電部5a,5b,5cが、L字形状の二次コイルL2から構成されているため、給電部3から鎖交する磁束に対して、反対向きに発生する磁束が少なく、また、コイルの一面が、受電装置9の一面にそれぞれ対向するように配置されることにより、電力伝送効率と機器の肥大化の抑制を最も効果的に両立することができる。
【0070】
[第五実施形態]
図10は、本発明の第五実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図であり、
図11は、本発明の第五実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の切断線X−Xに沿った断面図である。
図10及び11に示す、第五実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置100は、本発明に係る給電装置11と、受電装置9と、を備える。給電装置11は、給電装置本体部4及び給電部3を有し、受電装置9は、受電装置本体部6及び受電部5をそれぞれ有する。給電部3は一次コイルL1から、受電部5は二次コイルL2からそれぞれ構成され、給電部3と受電部5とが電磁的に結合することによって、給電装置11は受電装置9へ電力を伝送する。
【0071】
(給電装置)
図10及び11に示すように、給電装置11は二つ以上の表面を有し、例えば、受電装置9が当該二つ以上の表面のうちの二面S20,S30それぞれに接するようにして、受電装置9を載置させて給電する。面S30は、受電装置9の二次コイルL2が沿う面S3と対向することになる面(給電装置11の底面)であり、面S20は、当該面S30に隣接する面(給電装置11の側面)である。面S30及び面S20は、給電装置の外形の一部を構成し、かつ、面S30と面S20とは、互いに平行でない。一次コイルL1は、このような位置関係にある面S30と面S20とに沿うように配設されている。ここで、「面に沿う」という状態は、給電装置11の表面において、一次コイルL1が、受電装置9への給電が可能な領域を形成できる程度に、給電装置11表面からの距離及び給電装置11表面との位置関係が保たれていることを意味する。一次コイルL1は、互いに平行でない少なくとも二つの面に沿っていれば、互いに平行な面に沿う部分があっても、本発明の効果を得ることができる。給電装置11は、給電装置本体部4と、一次コイルL1が樹脂8等によってパッケージングされた給電部パッケージ(図示せず)と、を有する。給電部パッケージは、二つ以上の表面を有する給電装置本体部4に内蔵されている。本実施形態においては、給電装置11の外形を構成する面は、給電装置本体部4の外形を構成する面に対応している。
【0072】
一次コイルL1は、導線が巻回された巻線部と、巻線部によって囲まれた、対向する二つの開口端を有する開口部とを含み、面S20及び面S30それぞれに沿う部分A20,A30を有する。磁性体を備えていてもよい。給電部3の底面S30及び側面S20それぞれに沿う部分A20,A30は、連結部B30を介して連続的に配置されている。連結部B30は、後述するように給電装置の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、一次コイルL1は、その給電面が給電装置11の外形を構成する、互いに平行でない二つの面S30、面S20に沿うように配置されているとよい。本実施形態において「コイルの給電面」とは、「コイルの開口部」を意味する。
【0073】
具体的には、一次コイルL1は、二つの平面部A20,A30と、当該平面部に挟まれた一つの湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B30と、から構成されている。給電部3の平面部A30は給電装置11の底面S30に、平面部A20は給電装置11の側面S20に対向し、平面部A20,A30は、面S20,S30に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B30は、給電装置11の底面S30及び側面S20が接する接合部C30に対向するように配置されている。
【0074】
ここで、側面S20及び底面S30が接する接合部C30とは、側面S20と底面S30とが接することによって形成された稜線及びその近傍を含む部分を意味する。
【0075】
第五実施形態に係る給電装置において、「給電部が給電装置の外形を構成する、互いに平行でない二以上の面に沿うように配設された状態」は、上述したように、給電部3における二つの平面部A20,A30が、面S20,S30それぞれに沿い、一つの連結部B30が、接合部C30の外形の形状に沿った状態である。電力伝送効率について実用上問題がない程度である限り、平面部A20,A30の一部に湾曲部分が含まれていても、また、平面部A20,A30自体が面S20,S30に向かって、なだらかな凸形状又は凹形状となるように湾曲していてもよい。
【0076】
本実施形態において、給電装置11の外形を構成する一面は、一つの平面に限定されず、例えば、異なる法線ベクトルを有する二以上の平面を一部に含むもの、又は、二以上の湾曲面又は屈曲面を一部に含むもの、又は、これらを両方有するものが挙げられる。第一〜四実施形態における受電装置9において説明したのと同様に、給電装置11の表面が、給電装置本体部4の表面や、給電部パッケージ10の表面に対応する場合には、給電装置本体部4の外形を構成する一面や、給電部パッケージの外形を構成する一面も、給電装置11の外形を構成する一面と同様のものを用いることができる。ただし、給電装置11の表面、給電装置本体部4の表面、及び、給電部パッケージ10の表面は、本発明における給電装置の一面を形成する範囲内において、上述の表面形状を有することができる。本発明における給電装置の一面とは、給電装置が、通常載置される形態、又は、通常使用される形態において、位置を特定して指し示すことが可能な面(例えば、前面、背面(後面)、上面、底面、側面等)である。
【0077】
一次コイルL1が給電装置11の外形を構成する、互いに平行でない二以上の面に沿うように配設された状態であれば、一次コイルL1を折り曲げる角度は、特に制限はない。一次コイルL1の、給電装置11の側面S20及び底面S30に対向する面に磁性体が配置されたり、また、平面部A20又はA30が連結部B30の部分で反転されていてもよい。磁性体を設けること、また、平面部A20又はA30で流れる電流の向きを反転させることにより、平面部A20又はA30の一方において、他方の面から発生する磁束と反対向きの磁束の発生を抑制でき、電力伝送効率の低下を抑制できる。
【0078】
上述のように、一次コイルL1に磁性体が配置されていなかったり、また、平面部A20又はA30が反転されていない場合には、一次コイルL1を折り曲げる角度は、平面部A20を含む仮想面と平面部A30を含む仮想面とのなす角として、90°以上180°未満であることが好ましい。平面部A20を含む仮想面と平面部A30含む仮想面とのなす角が90°未満であると、平面部A20又はA30で発生する磁場は、平面部A30又はA20で発生する磁場を打ち消す方向に作用する。平面部A20を含む仮想面と平面部A30を含む仮想面とのなす角が90°以上180°未満である場合、上記のような磁場の打ち消し合いが少なくなり、90°未満の場合に比して電力伝送効率が向上することとなる。
【0079】
コイルの種類は、特に限定されない。例えば、単層のワイヤが水平方向に複数配列した平面状のコイル、複数のワイヤが垂直方向に積層するように配列したコイル、及び、これらのワイヤの配列形状を組み合わせたコイル等が挙げられる。コイルの加工の容易性、及び、機器の小型化の観点から、コイルは、平面状のコイルが好ましい。コイルの材質も特に限定されない。例えば、銅等の電気伝導率の高い材料を用いるとよい。
【0080】
受電装置9に内蔵された二次コイルL2が、給電装置11の底面S30を介して、一次コイルL1の平面部A30と対向して配置されると、一次コイルL1と二次コイルL2との電磁誘導により、給電装置11から受電装置9へ電力が伝送される。受電装置9の配置を、S1又はS2が底面となり、S3が給電装置11のS20と対向するように変化させても、また、給電装置11の配置を、S20が底面となり、受電装置9のS3と対向するように変化させても、一次コイルL1の平面部A20と二次コイルL2とが対峙することとなり、一次コイルL1と二次コイルL2との電磁誘導により、給電装置11から受電装置9へ給電される。すなわち、本実施形態に係る給電装置11によれば、一つの一次コイルL1により給電装置11の二面で給電可能となり、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。
【0081】
また、一つの一次コイルL1から給電装置11の二面で給電可能に構成されているため、二つのコイルを用いた時に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から給電装置11の大きさが制限されることがなくなる。
【0082】
[第六実施形態]
図12は、本発明の第六実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図であり、
図13は、本発明の第六実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の切断線XII−XIIに沿った断面図である。
図12及び13に示す、第六実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置120は、受電装置が、第一実施形態における受電装置9であり、給電装置が、第五実施形態に係る給電装置11として構成されたものである。
【0083】
受電装置9を、側面S2及び上面S4を介して一次コイルL1と二次コイルL2とが対峙するように受電装置9を配置しても、一次コイルL1と二次コイルL2との誘電結合により給電される。また、給電装置11の配置を、側面S20が底面に位置し、受電装置9の底面S3と対向するように変化させても、一次コイルL1と二次コイルL2との誘電結合により給電される。すなわち、複数のコイルを用いずに複数面から受電装置9へ給電ができ、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。本実施形態においては、一つの受電装置9について、三つの面からの給電が可能となる。また、一つの給電装置11について、二つの面からの給電が可能となる。さらに、一次コイルL1がL字形状であるため、受電装置9の位置ずれが生じても、電力伝送効率の低下を低減できる。
【0084】
また、上述のように、一つの一次コイルL1につき給電装置11は二面で給電可能であり、一つの二次コイルL2につき受電装置9は三面で受電可能であるため、二つの一次コイルL1を給電装置11の一面につき一つ対向させた場合、また、三つの二次コイルL2を受電装置9の一面につき一つ対向させた場合に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から給電装置11及び受電装置9の大きさが制限されることがなくなる。
【0085】
以上、第一〜第六実施形態においては、受電部5又は給電部3に1種類のコイルを用いる形態について説明したが、異なる形状のコイルを組み合わせて用いてもよい。また、第一、二、五、六実施形態においては、一つの受電部5又は給電部3を用いているが、第三、四実施形態のように複数用いてもよい。
【0086】
コイルの形状は、巻線部と開口部とから構成された、平面部、及び、湾曲部又は屈曲部を有するものであれば特に限定されず、上記実施形態で説明した形状のほか、複数の平面部の一端が、一つの湾曲部又は屈曲部に向かって集まった、花弁状のものであってもよい。
【0087】
第一〜第六実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置によれば、受電装置9が携帯電話等の小型の電気機器の場合、一つの給電装置11において複数の受電装置9を充電できる。また、給電装置11にスペース上の制約がある場合であっても、受電装置9の給電装置11への配置方向の制限がなくなり、狭い場所でも給電が可能となる。ただし、用途はこれに限定されず、後述のように、受電装置9を電気自動車とすることができ(
図14)、給電装置11を電気自動車用給電装置とすることもできる(
図15)。
【0088】
図14は、本発明の受電装置が電気自動車である態様を示す断面図である。受電装置(電気自動車)9の前方において二次コイルL2が設けられている。二次コイルL2は、受電装置本体部(車両本体部)6の底面S300に沿う、平面部A3、及び、前面S200に沿う平面部A2が連結部B3を介して湾曲又は屈曲している。底面S300及び前面S200は、受電装置9の外形を構成する、互いに平行でない面である。これにより、給電装置11において、平面状の一次コイルL1が給電装置本体部4の底面S30に沿って設けられている場合であっても、また、給電装置本体部4の側面S20に沿って設けられている場合であっても、受電装置(電気自動車)9は充電される。すなわち、給電装置11の受電装置9に対する配置に自由度を持たせることが可能となる。二次コイルL2を、受電装置(電気自動車)9の前方だけでなく後方に配置することができ、その場合には、底面S300及び後面S100に沿うように配置するとよい。また、二次コイルL2を、受電装置(電気自動車)9の前方又は後方に配置した場合、底面S300及び前面S200、又は底面S300及び後面S100に沿うように配置するだけでなく、底面S300及び側面に沿うように配置することによっても、同様の効果が得られる。
【0089】
図15は、本発明の給電装置が電気自動車用給電装置である態様を示す断面図である。給電装置11において一次コイルが設けられている。一次コイルL1は、給電装置本体部4の底面S30に沿う平面部A30、及び、側面S20に沿う平面部A20が連結部B30を介して湾曲又は屈曲している。底面S30及び側面S20は、給電装置11の外形を構成する、互いに平行でない面である。これにより、受電装置(電気自動車)9において、平面状の二次コイルL2が、受電装置本体部(車両本体部)6の底面S300に沿って設けられている場合であっても、また、受電装置本体部(車両本体部)6の後面S100に沿って設けられている場合であっても、受電装置(電気自動車)9に給電することができる。すなわち、受電装置(電気自動車)9の給電装置11に対する配置に自由度を持たせて充電することができる。なお、ここで説明した給電装置11においては、
図14に代表されるような電気自動車9や、
図15の電気自動車9に
図14に代表されるような二次コイルL2を搭載した電気自動車を給電することができ、電気自動車9や給電装置11の配置に自由度を持たせた給電が可能である。
【0090】
ここで、
図16、17を参照し、本実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の電力伝送方法について説明する。
図16は、本実施形態に係る受電装置における受電制御回路の一例である。給電部からの磁束を受けて受電部1〜3が受電した電力を受電電力検出部が検出すると、受電制御部に受電電力信号(Tpout)が送られる。受電制御部は、受電電力値保持部と、最適電力判定部と、受電SW制御部とから構成される。
【0091】
受電SW制御部は、スイッチSW1r〜SW3の一部または全部をON/OFFするそれぞれの組み合わせに相当する信号(T1r〜T3r;以下、受電電力信号という。)をスイッチSW1r〜SW3に送る。受電電力保持部は、スイッチSW1r〜SW3に送られたON/OFF信号の情報と、これに対応する受電部1〜3の受電する電力の情報を保持する。最適電力判定部は、受電部1〜3が受電する電力が最大となるON/OFF信号の組み合わせを判定し、その判定結果に基づき、受電SW制御部が、これに対応する受電電力信号(T1r〜T3r)をスイッチSW1r〜SW3rに送る。これにより、受電装置は、受電部1〜3が受電する電力が最大となるように電力を受電することができる。
【0092】
図17は、本実施形態に係る受電装置における受電制御回路の他の一例である。受電部1〜3は、給電部からの磁束を検出する給電部検出部をそれぞれ有する。給電部検出部からの信号(TAr〜TFr)を受ける受電制御部は、給電位置判定部と受電SW制御部とから構成されており、まず、給電位置判定部にて給電部検出部からの信号(TAr〜TFr)に基づいて受電部1〜3のうち適切な給電位置を判定する。続いて、電力を得るのに適した位置にある受電部から電力を得るべくSW1r〜SW3rがON/OFFするよう、受電SW制御部から受電部1〜3の制御回路へ信号(T1r〜T3r)が送られる。
【0093】
[第七実施形態]
図18は、本発明の第七実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図である。
図18に示す、第七実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置160は、本発明に係る受電装置9と、給電装置11と、を備える。受電装置9は、受電装置本体部6及び受電部5を有し、給電装置11は、給電装置本体部4及び給電部3を有する。受電部5は電極E2から、給電部3は電極E1からそれぞれ構成され、電極E2と、電極E1とが静電的に結合することによって、受電装置9は給電装置11から電力を伝送される。
【0094】
図19は、給電部3及び受電部5の結合様式の他の一例を示す模式図である。給電装置11においては、交流電源30から得られた電流が、電極E1に流れることにより電極E1に電荷が蓄積される。受電装置9は、電極E2がコイルE1に対峙するように給電装置11と隣り合って配置されており、電極E1に蓄積した電荷によって、電極E2に電荷が誘起される。このような電界結合の作用により、受電装置9が給電装置11より電力を伝送されることとなる。整流器31は発生した電流を整流し、これにより受電装置9に電力が供給される。電極E1に発生する電界の強さは、電極E1に流れる電流の大きさ、電極E1の電極E2との対向面の大きさ、電極E2との対向面間の距離等に応じて異なる。また、電極E2に誘起する電気量は、電極E1に発生する電界の強さ、電極E2の電極E1との対向面の大きさ、電極E1との対向面間の距離等に応じて異なる。受電装置9に適切な量の電力が供給されるよう、電極1に流れる電流等の上記パラメータは調整されている。
【0095】
受電装置9に内蔵された電極E2は、
図18に示すように、受電装置9の六つの表面のうちの面S3及び面S2それぞれに沿う部分A3,A2を有する。電極E2は、樹脂等によりパッケージングされて受電部パッケージ(図示せず)を構成してもよい。面S3は受電装置9の底面であり、面S2は受電装置9の側面である。面S3及び面S2は、受電装置9の外形を構成し、互いに平行ではない。底面S3及び側面S2それぞれに沿う部分A3,A2は、連結部B3を介して連続的に配置されている。
【0096】
具体的に、電極E2は、二つの平面状の部分(平面部)A2,A3と、当該平面部に挟まれた一つの湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B3と、から構成されている。電極E2の平面部A3は受電装置9の底面S3に、平面部A2は受電装置9の側面S2に対向しており、平面部A2,A3は、側面S2,底面S3にそれぞれ平行に配置されることが好ましい。また、連結部B3は、受電装置9の底面S3及び側面S2が接する接合部に対向するように配置され、受電装置9の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、電極E2は、その受電面が、受電装置9の外形を構成し、互いに平行でない二以上の面に沿うように配設されているとよく、これらの面に平行であることがより好ましい。なお、本実施形態において「電極の受電面」とは、「電極の最も面積の広い面」を意味する。
【0097】
電極の形状は特に限定されないが、電極E1と電極E2との対向面に、より多くの電荷を誘起する観点から、シート状、板状等、電極E2の受電面(電極E1と対向することになる面)の面積、及び、電極E1の電極E2との対向面の面積を十分に確保できる形状が好ましい。これらの形状は、金属板、金属箔、金属ワイヤ等で形成することができる。
【0098】
電極E1、E2の対向面の大きさは、受電装置9に適切な量の電力を供給できれば特に制限はないが、最適な受電位置からずれた場合における電力伝送効率の低下を抑制する観点から、受電側の電極E2の平面部の面積を、給電側の電極E1の面積より大きくするのがよい。
【0099】
電極E1、E2の対向面間の距離もまた、受電装置9に適切な量の電力を供給できれば特に制限はないが、電力伝送効率の観点から、当該距離を短くするのがよい。
【0100】
電極E2の平面部A3は、受電装置9の底面S3を介して、給電装置11に内蔵された電極E1と対向して配置される。電極E1と電極E2との電界結合により、受電装置9は給電装置11より電力を伝送される。一方、受電装置9を、電極E2の平面部A2と電極E1とが対向するよう配置させても、電極E1と電極E2との電界結合により給電される。すなわち、本実施形態に係るワイヤレス給電システムによれば、受電装置9において二つの電極E2を用いずとも、一つの電極E2のみで、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。
【0101】
また、電極E2として二つの電極を用いた時に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から受電装置9の大きさが制限されることがなくなる。
【0102】
本実施形態において、電極E2はL字形状であるが、例えば、コの字形、多角形としてもよい。また、異なる形状の複数の電極を組み合わせて配置してもよい。
【0103】
[第八実施形態]
図20は、本発明の第八実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図である。
図20に示す、第八実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置180は、受電装置9と、本発明に係る給電装置11と、を備える。給電装置11に内蔵された電極E1は、複数の面のうち、面S30及び面S20それぞれに沿う部分A30,A20を有する。電極E1は、樹脂等によりパッケージングされて給電部パッケージ(図示せず)を構成してもよい。面S30は給電装置11の底面であり、面S20は給電装置11の側面である。面S30及び面S20は、給電装置11の外形を構成し、互いに平行ではない。底面S30及び側面S20それぞれに沿う部分A30,A20は、連結部B30を介して連続的に配置されている。
【0104】
具体的に、電極E1は、二つの平面状の部分(平面部)A20,A30と、当該平面部に挟まれた一つの湾曲又は屈曲する連結部(湾曲部又は屈曲部)B30と、から構成されている。電極E1の平面部A30は給電装置11の底面S30に、平面部A20は給電装置11の側面S20に対向しており、平面部A20,A30は、側面S20,底面S30に平行に配置されることが好ましい。また、連結部B30は、給電装置11の底面S30及び側面S20が接する接合部C30に対向するように配置され、給電装置11の外形に沿って湾曲又は屈曲している。すなわち、電極E1は、その給電面が、給電装置11の外形を構成し、互いに平行でない二以上の面に沿うように配設されているとよく、これらの面に平行であることがより好ましい。なお、本実施形態において「電極の給電面」とは、「電極の最も面積の広い面」を意味する。
【0105】
電極E1の平面部A30は、給電装置11の底面S30を介して、受電装置9に内蔵された電極E2と対向して配置される。電極E1と電極E2との電界結合により、給電装置11は受電装置9へ電力を伝送する。受電装置9を、電極E2と電極E1の平面部A20とが対向するよう配置させても、電極E1と電極E2との電界結合により給電される。すなわち、本実施形態に係るワイヤレス給電システムによれば、給電装置11において二つの電極E1を用いずとも、一つの電極E1のみで、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。
【0106】
また、電極E1として二つの電極を用いた時に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から受電装置9の大きさが制限されることがなくなる。
【0107】
[第九実施形態]
図21は、本発明の第九実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置の斜視図である。
図21に示す、第九実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置190は、第7実施形態に係る受電装置9と、第八実施形態に係る給電装置11と、を備える。
【0108】
受電装置9の側面S2が底面に位置するように、電極E2と電極E1とを対向配置させても、電極E1と電極E2との電界結合により給電される。また、給電装置11の側面S20が底面に位置するように、電極E1と電極E2とを対向配置させても、電極E1と電極E2との電界結合により給電される。すなわち、本実施形態に係るワイヤレス給電システムによれば、給電装置11の一つの電極E1、及び、受電装置9の一つの電極E2だけで、受電装置9や給電装置11の配置に自由度を持たせて給電することができる。さらに、電極E1及び電極E2が互いにL字形状であることにより、受電装置9と給電装置11との間で位置ずれが生じても、電極E1、E2の一方又は両方が平板状である場合に比べて、電力伝送効率の低下を低減できる。
【0109】
また、電極E1及び電極E2としてそれぞれ二つの電極を用いた時に比べ、コイルから引き出される配線の数、配線に接続する制御機器の数等を減らすことができ、これらの条件から給電装置11、及び、受電装置9の大きさが制限されることがなくなる。
【0110】
第七〜第九実施形態に係るワイヤレス電力伝送装置によれば、受電装置9が携帯電話等の小型の電気機器の場合、一つの給電装置11において複数の受電装置9を充電できる。また、給電装置11にスペース上の制約がある場合であっても、受電装置9の給電装置11への配置方向の制限がなくなり、狭い場所でも給電が可能となる。ただし、用途はこれに限定されず、上述したように、受電装置9を電気自動車とすることができ、給電装置11を電気自動車用給電装置とすることもできる。
【0111】
以上、本発明における受電装置、給電装置、及び、ワイヤレス給電システムの好適な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。