特許第6323199号(P6323199)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6323199光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6323199
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20180507BHJP
【FI】
   G02B6/44 391
   G02B6/44 371
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-125911(P2014-125911)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2016-4219(P2016-4219A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2017年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100131037
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 文一
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−103341(JP,A)
【文献】 特開2004−012888(JP,A)
【文献】 特開2010−122666(JP,A)
【文献】 特開2006−178220(JP,A)
【文献】 特開2012−042354(JP,A)
【文献】 特開2000−121493(JP,A)
【文献】 特開2004−070105(JP,A)
【文献】 特開2004−258433(JP,A)
【文献】 米国特許第05651082(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバ心線を繰り出すサプライ部と、平行一列に並べた前記複数の光ファイバ心線を被覆して一体化し、光ファイバテープ心線を形成する被覆形成部と、形成された光ファイバテープ心線の外径を測定する外径測定部と、測定された光ファイバテープ心線を巻き取る巻取部を備えた光ファイバテープ心線の製造装置であって、
該光ファイバテープ心線の製造装置は、前記被覆形成部と前記外径測定部の間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、前記外径測定装置と前記巻取部との間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとを有し、
前記被覆形成部側ガイドローラは、光ファイバテープ心線の搬送路上の距離が前記外径測定部に最も近い位置に配置される第1のガイドローラと、前記外径測定部に対して前記搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラとを有し、
前記第2のガイドローラは、前記第1のガイドローラ及び前記第2のガイドローラのそれぞれにおける接触長が長くなるように、前記光ファイバテープ心線の搬送路の方向が前記第1のガイドローラで反対方向に変化する位置関係となるように配置され、
前記第2のガイドローラが前記光ファイバテープ心線に接触する位置は、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう前記光ファイバテープ心線の搬送路の直線上からずれた位置に配置されている、光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項2】
前記第2のガイドローラは、前記外径測定部と前記被覆形成部との間で、前記第1のガイドローラよりも、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう光ファイバテープ心線の搬送路に対して直交して、前記外径測定部に設けられる直交線を含む平面までの距離が前記外径測定部に近い位置に配置されているか、または前記外径測定部に設けられる直交線を含む平面までの距離が第1のガイドローラと同じ位置に配置されている、請求項1に記載の光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項3】
前記被覆形成部側ガイドローラと、前記巻取部側ガイドローラとは、前記外径測定部を中心として対称に配置されている、請求項1または2に記載の光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項4】
繰り出し部から複数の光ファイバ心線を繰り出し、平行一列に並べた前記複数の光ファイバ心線を被覆形成部で被覆して一体化することで光ファイバテープを形成し、形成した光ファイバテープ心線の外径を外径測定部で測定し、測定した前記光ファイバテープ心線を巻取部で巻き取るファイバテープ心線の製造方法であって、
前記被覆して一体化した光ファイバ心線を、前記被覆形成部と前記外径測定部の間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、前記外径測定装置と前記巻取部との間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとによって搬送し、
前記被覆形成部側ガイドローラとして、光ファイバテープ心線の搬送路上の距離が前記外径測定部に最も近い位置に配置される第1のガイドローラと、前記外径測定部に対して前記搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラとを設け、
前記第2のガイドローラは、前記第1のガイドローラ及び前記第2のガイドローラのそれぞれにおける接触長が長くなるように、前記光ファイバテープ心線の搬送路の方向が前記第1のガイドローラで反対方向に変化する位置関係となるように配置され、
前記第2のガイドローラが前記光ファイバテープ心線に接触する位置を、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう前記光ファイバテープ心線の搬送路の直線上からずれた位置に配置する、光ファイバテープ心線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平行一列に並べた複数本の光ファイバを一括被覆して構成される光ファイバテープ心線の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバテープ心線は、複数本の光ファイバ心線を平行一列に並べ、紫外線硬化型樹脂によりテープ状に一括被覆したものが一般的である。このような光ファイバテープ心線は、コンパクトに集線して高密度実装がしやすく、また一括融着接続の作業性もよいという利点がある。
【0003】
図5は、光ファイバテープ心線の構成例を示す図である。光ファイバテープ心線1は、複数本の光ファイバ心線101を平面上に平行一列に並べ、共通被覆102により被覆して一体化した構成を有する。光ファイバ心線101は、例えば、外径が125μmのガラスファイバに、被覆径が250μm前後のファイバ被覆を施した光ファイバ素線とも言われているもの、また、そのファイバ被覆の外面に着色層を施したものを含めた単心の光ファイバ等が適用される。共通被覆102は、紫外線硬化型樹脂を紫外線硬化させて形成される。
【0004】
光ファイバテープ心線の製造装置においては、複数本の光ファイバ心線をそれぞれの繰出機から繰出し、集線ローラで平行一列に並べ、この周囲に紫外線硬化型樹脂を付与して光ファイバ心線を被覆した後、紫外線照射装置によって紫外線硬化型樹脂を硬化させて光ファイバテープ心線1を形成する。
このときに、光ファイバテープ心線の製造装置においては、形成した光ファイバテープ心線1の外径が所定の規格内にあるかどうかを評価するための外径測定装置が備えられる。例えば、レーザ光の発光部と受光部とを備えた外径測定装置により、光ファイバテープ心線の外径としてその厚さと幅を測定し、その測定結果に基づいて光ファイバテープ心線の形状評価を行う。
【0005】
光ファイバテープ心線を検査するための構成に関して、例えば特許文献1に記載された試験方法および装置は、光ファイバテープ心線に対して一定の側圧をかけた状態で、外径測定装置によって光ファイバテープ心線の幅方向の寸法、あるいは厚さ方向の寸法の少なくとも一方を測定する。そして、測定した寸法の変化から樹脂被覆の割れの有無を判断するようにしている。
【0006】
また、特許文献2には、間欠的に光ファイバ素線の非連結部を有する光ファイバテープ心線において、光ファイバ素線の非連結部の長さおよび周期を測定する技術が開示されている。ここでは、底部に段差部が設けられたガイド溝を有するガイドローラを用い、ガイドローラによりガイドされる光ファイバテープ心線のエッジ部間の間隔、エッジ本数、または、表面の凹凸を測定器によって測定することで、光ファイバ素線の非連結箇所の長さおよび周期を測定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−322281号公報
【特許文献2】特開2012−42354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図6は、光ファイバテープ心線の形状を測定するための外径測定装置の測定例を説明するための図である。光ファイバテープ心線の製造装置には、光ファイバテープ心線1の外径を測定するための外径測定装置が備えられる。外径測定装置は、発光部31と受光部32とを備える。発光部31からは、照射領域33内に光(レーザ光)が照射され、受光部32で受光される。この照射領域33内に光ファイバテープ心線1を通過させ、受光部32による受光結果に基づき、光ファイバテープ心線1の外径を測定する。測定する外径は、光ファイバテープ心線1の幅wおよび厚さtである。
【0009】
例えば図6(A)に示すように、光ファバイ心線の配列方向が照射領域33の幅方向mに一致するように光ファイバテープ心線1を通過させることにより、光ファイバテープ心線1の幅wを測定することができる。また、図6(B)に示すように、光ファイバ心線の配列方向が照射領域33の幅方向mに直交するように光ファイバテープ心線1を通過させることにより、光ファイバテープ心線1の厚さtを測定することができる。
【0010】
このときに、光ファイバテープ心線1が傾いてしまうと、正確な幅wと厚さtを測定することができない。例えば図6(C)に示すように、光ファイバ心線の配列方向が、発光領域の幅方向mに対して傾いてしまうと、光ファイバテープ心線1の正確な幅wが測定できず、w−Δwの値となってしまう。また図6(D)に示すように、光ファイバ心線の配列方向が、発光領域の幅方向m直交する方向に対して傾いてしまうと、光ファイバテープ心線1の正確な厚さtを測定することができず、t+Δtの値となってしまう。
【0011】
光ファイバテープ心線が外径測定装置で傾いてしまう要因について説明する。
図7は、従来の外径測定装置近傍のガイドローラの配置構成例を示す図である。光ファイバテープ心線1を外径測定装置30で測定するために、ライン上の外径測定装置30の前後には、光ファイバテープ心線1の搬送をガイドするための複数のガイドローラ40が配置されている。各ガイドローラ40は、その回転軸を中心軸とした円周状の搬送面41と、搬送面41の両側で光ファイバテープ心線の搬送方向に対するずれを抑えるための鍔部42とを備えている。
【0012】
図8は、ガイドローラにおける光ファイバテープ心線の傾きの発生要因について説明するための図で、ガイドローラの表面を光ファイバテープ心線1の搬送方向から見た概略図である。図8(A)は、通常の搬送状態を示している。この場合には、光ファイバテープ心線1は、ガイドローラ40の搬送面41に密着し、搬送面41に対する平行状態を保って搬送される。
【0013】
一方、図8(B)に示すように、搬送される光ファイバテープ心線1の搬送位置が、搬送方向に直交する方向に左右にずれてしまうと、光ファイバテープ心線1が鍔部42に乗り上げて傾き、搬送面41との平行状態が保てなくなる。このような傾いた状態で光ファイバテープ心線1が外径測定装置30に搬送されると、上記図6(C)や図6(D)に示すように、光ファイバテープ心線1が傾いた状態のままその幅wや厚さtが測定され、正確な値を測定することができなくなる。
【0014】
前述の図7の構成ように、従来では外径測定装置30の近傍にガイドローラ40を配置することで、外径測定装置30における光ファイバテープ心線1の傾きを抑えるようにしているが、この場合、外径測定装置30の最近傍に配置するガイドローラ40と、それに隣接するガイドローラ40とは、少なくとも各ガイドローラ40の鍔部42が干渉しない距離を持って配置する必要がある。
またこの例では、光ファイバテープ心線1は、ほぼ直線に近い搬送路に沿って搬送される。このため、光ファイバテープ心線1を搬送するときに、搬送位置のずれを確実に抑えることができず、光ファイバテープ心線1の搬送位置のずれによる鍔部42への乗り上げを完全に抑制することができない。このため、外径測定装置30における測定精度が十分ではなかった。
【0015】
また、特許文献1、2に記載された発明は、光ファイバテープ心線の所定の品質を検査するものであるが、上記のような外径測定装置による精度悪化を解決するものではない。
【0016】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、搬送される光ファイバテープ心線の傾きを抑えて、光ファイバテープ心線の外径を正確に測定できるようにした光ファイバテープ心線の製造装置および光ファイバテープ心線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による光ファイバテープ心線の製造装置は、複数の光ファイバ心線を繰り出すサプライ部と、平行一列に並べた前記複数の光ファイバ心線を被覆して一体化し、光ファイバテープ心線を形成する被覆形成部と、形成された光ファイバテープ心線の外径を測定する外径測定部と、測定された光ファイバテープ心線を巻き取る巻取部を備えた光ファイバテープ心線の製造装置であって、該光ファイバテープ心線の製造装置は、前記被覆形成部と前記外径測定部の間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、前記外径測定装置と前記巻取部との間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとを有し、前記被覆形成部側ガイドローラは、光ファイバテープ心線の搬送路上の距離が前記外径測定部に最も近い位置に配置される第1のガイドローラと、前記外径測定部に対して前記搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラとを有し、前記第2のガイドローラは、前記第1のガイドローラ及び前記第2のガイドローラのそれぞれにおける接触長が長くなるように、前記光ファイバテープ心線の搬送路の方向が前記第1のガイドローラで反対方向に変化する位置関係となるように配置され、前記第2のガイドローラが前記光ファイバテープ心線に接触する位置は、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう前記光ファイバテープ心線の搬送路の直線上からずれた位置に配置されている、光ファイバテープ心線の製造装置である。
【0018】
本発明による光ファイバテープ心線の製造方法は、繰り出し部から複数の光ファイバ心線を繰り出し、平行一列に並べた前記複数の光ファイバ心線を被覆形成部で被覆して一体化することで光ファイバテープを形成し、形成した光ファイバテープ心線の外径を外径測定部で測定し、測定した前記光ファイバテープ心線を巻取部で巻き取るファイバテープ心線の製造方法であって、前記被覆して一体化した光ファイバ心線を、前記被覆形成部と前記外径測定部の間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、前記外径測定装置と前記巻取部との間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとによって搬送し、前記被覆形成部側ガイドローラとして、光ファイバテープ心線の搬送路上の距離が前記外径測定部に最も近い位置に配置される第1のガイドローラと、前記外径測定部に対して前記搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラとを設け、前記第2のガイドローラは、前記第1のガイドローラ及び前記第2のガイドローラのそれぞれにおける接触長が長くなるように、前記光ファイバテープ心線の搬送路の方向が前記第1のガイドローラで反対方向に変化する位置関係となるように配置され、前記第2のガイドローラが前記光ファイバテープ心線に接触する位置を、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう前記光ファイバテープ心線の搬送路の直線上からずれた位置に配置する、光ファイバテープ心線の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、搬送される光ファイバテープ心線の傾きを抑えて、光ファイバテープ心線の外径を正確に測定できるようにした光ファイバテープ心線の製造装置および光ファイバテープ心線の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による光ファイバテープ心線の製造装置の要部構成例を示す図である。
図2】光ファイバテープ心線の製造装置における外径測定装置周辺の構成をさらに詳しく説明するための図である。
図3】光ファイバテープ心線をガイドするガイドローラ上の作用を説明するための図である。
図4】光ファイバテープ心線をガイドするガイドローラ上の作用を説明するための他の図である。
図5】光ファイバテープ心線の構成例を示す図である。
図6】光ファイバテープ心線の形状を測定するための外径測定装置の測定例を説明するための図である。
図7】従来の外径測定装置近傍のガイドローラの配置構成例を示す図である。
図8】ガイドローラにおける光ファイバテープ心線の傾きの発生要因について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本願の光ファイバテープ心線の製造装置に係る発明は、複数の光ファイバ心線を繰り出すサプライ部と、平行一列に並べた前記複数の光ファイバ心線を被覆して一体化し、光ファイバテープ心線を形成する被覆形成部と、形成された光ファイバテープ心線の外径を測定する外径測定部と、測定された光ファイバテープ心線を巻き取る巻取部を備えた光ファイバテープ心線の製造装置であって、
該光ファイバテープ心線の製造装置は、前記被覆形成部と前記外径測定部の間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、前記外径測定装置と前記巻取部との間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとを有し、前記被覆形成部側ガイドローラは、光ファイバテープ心線の搬送路上の距離が前記外径測定部に最も近い位置に配置される第1のガイドローラと、前記外径測定部に対して前記搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラとを有し、前記第2のガイドローラは、前記第1のガイドローラ及び前記第2のガイドローラのそれぞれにおける接触長が長くなるように、前記光ファイバテープ心線の搬送路の方向が前記第1のガイドローラで反対方向に変化する位置関係となるように配置され、前記第2のガイドローラが前記光ファイバテープ心線に接触する位置は、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう前記光ファイバテープ心線の搬送路の直線上からずれた位置に配置されている、光ファイバテープ心線の製造装置である。これにより、搬送される光ファイバテープ心線の傾きを抑えて、光ファイバテープ心線の外径を正確に測定できるようにした光ファイバテープ心線の製造装置を得ることができる。
【0022】
(2)前記第2のガイドローラは、前記外径測定部と前記被覆形成部との間で、前記第1のガイドローラよりも、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう光ファイバテープ心線の搬送路に対して直交して、前記外径測定部に設けられる直交線を含む平面までの距離が前記外径測定部に近い位置に配置されているか、または前記外径測定部に設けられる直交線を含む平面までの距離が第1のガイドローラと同じ位置に配置されていることが好ましい。これにより、第1のガイドローラと第2のガイドローラに対する光ファイバテープ心線の接触長が大きくなり、光ファイバテープ心線をガイドローラ表面に平行に保持させようとする矯正力を高めることができる。
【0023】
(3)前記被覆形成部側ガイドローラと、前記巻取部側ガイドローラとは、前記外径測定部を中心として対称に配置されていることが好ましい。これにより、光ファイバテープ心線の傾きを抑えて安定化させるための機能を、被覆形成部側と巻取部側とで同様に実現させることができる。
【0024】
(4)本願の光ファイバテープ心線の製造方法に係る発明は、繰り出し部から複数の光ファイバ心線を繰り出し、平行一列に並べた前記複数の光ファイバ心線を被覆形成部で被覆して一体化することで光ファイバテープを形成し、形成した光ファイバテープ心線の外径を外径測定部で測定し、測定した前記光ファイバテープ心線を巻取部で巻き取るファイバテープ心線の製造方法であって、前記被覆して一体化した光ファイバ心線を、前記被覆形成部と前記外径測定部の間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、前記外径測定装置と前記巻取部との間で前記光ファイバテープ心線を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとによって搬送し、前記被覆形成部側ガイドローラとして、光ファイバテープ心線の搬送路上の距離が前記外径測定部に最も近い位置に配置される第1のガイドローラと、前記外径測定部に対して前記搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラとを設け、前記第2のガイドローラは、前記第1のガイドローラ及び前記第2のガイドローラのそれぞれにおける接触長が長くなるように、前記光ファイバテープ心線の搬送路の方向が前記第1のガイドローラで反対方向に変化する位置関係となるように配置され、前記第2のガイドローラが前記光ファイバテープ心線に接触する位置を、前記第1のガイドローラから前記外径測定部に向かう前記光ファイバテープ心線の搬送路の直線上からずれた位置に配置する、光ファイバテープ心線の製造方法である。これにより、搬送される光ファイバテープ心線の傾きを抑えて、光ファイバテープ心線の外径を正確に測定できるようにした光ファイバテープ心線の製造方法を得ることができる。
【0025】
図1は、本発明によるテープ心線の製造装置の構成例を示す図である。図1において、10はサプライ部、11はサプライガイドローラ、12はサプライダンサローラ、13は集線ローラ、14は樹脂供給装置、15はUV樹脂タンク、16は加圧装置、17はUV照射装置、18は引取ガイドローラ、19は引取機、20はアキュームレータ、21は巻取ダンサローラ、22は巻取ガイドローラ、23は巻取部、30は外径測定装置(外径測定部)を示す。
【0026】
光ファイバテープ心線の製造においては、まず、複数本の光ファイバ心線2をそれぞれのサプライ部10から繰り出して供給し、サプライガイドローラ11およびサプライダンサローラ12を介して搬送し、集線ローラ13により平行一列に並べる。
そして樹脂供給装置14は、平行一列に並べられた光ファイバ心線2の周囲に紫外線硬化型樹脂を供給して被覆する。ここでは加圧装置16を動作させることにより、UV樹脂タンク15から樹脂供給装置14に紫外線硬化型樹脂が供給される。
【0027】
次いで、平行一列に並列した光ファイバ心線2に付与された紫外線硬化型樹脂は、UV照射装置17により紫外線が照射されることで硬化し、複数の光ファイバ心線2が一体化した光ファイバテープ心線1が形成される。樹脂供給装置14とUV照射装置17とが、本発明の被覆形成部に相当する。紫外線硬化型樹脂が硬化された光ファイバテープ心線1は、引取ガイドローラ18を経て引取機19により引取られ、外径測定装置30により、その幅および厚さが測定される。そしてアキュームレータ20および巻取ダンサローラ21を経て巻取ガイドローラ22に案内され、巻取部23で巻取られる。
【0028】
図2は、光ファイバテープ心線の製造装置における外径測定装置周辺の構成をさらに詳しく説明するための図である。樹脂供給装置14とUV照射装置17にて紫外線硬化型樹脂が供給されて硬化し、光ファイバ心線が一体化された光ファイバテープ心線1は、外径測定装置30によって外径が測定される。外径測定装置30は、レーザ光を発光する発光部31と、発光部31から発光されたレーザ光を受光する受光部32とを備え、照射領域33にレーザ光が照射される。この照射領域33に光ファイバテープ心線1を搬送することで、受光部32の受光結果に基づき、光ファイバテープ心線1の外径を測定することができる。
【0029】
ここでは図6(A)にて示したように、光ファバイ心線の配列方向が照射領域33の幅方向mに一致するように光ファイバテープ心線1を通過させることにより、光ファイバテープ心線1の幅wを測定することができる。また、図6(B)に示すように、光ファイバ心線の配列方向が発光領域の幅方向mに直交するように光ファイバテープ心線1を通過させることにより、光ファイバテープ心線1の厚さtを測定することができる。
外径測定装置30では、上記のように光ファイバテープ心線1の幅または厚さのいずれかを測定できるように、発光部31と受光部32の位置を設定することができる。また、発光部31と受光部32のセットを2セット備え、それぞれ光ファイバテープ心線1の幅と厚さを同時に測定できるようにしてもよい。また、発光部31と受光部32の位置を切り替え可能に構成し、光ファイバテープ心線1の幅および厚さを測定できるようにしてもよい。
【0030】
外径測定装置30の前後には、光ファイバテープ心線1をガイドして搬送するための複数のガイドローラが設けられる。この例では、光ファイバテープ心線の製造装置には、被覆形成部(樹脂供給装置14とUV照射装置17)と外径測定装置30との間で、光ファイバテープ心線1を搬送する複数の被覆形成部側ガイドローラと、外径測定装置30と巻取部23との間で光ファイバテープ心線1を搬送する複数の巻取部側ガイドローラとが備えられる。
図2に示す例では、被覆形成部側ガイドローラとして、光ファイバテープ心線1の搬送路上の距離が外径測定装置30に最も近い位置に配置される第1のガイドローラ24と、外径測定装置30に対して搬送路上の距離が2番目に近い位置に配置される第2のガイドローラ25とが備えられる。
【0031】
そして第2のガイドローラ25が光ファイバテープ心線1に接触する位置は、第1のガイドローラ24から外径測定装置30に向かう光ファイバテープ心線の搬送路Pの直線上からずれた位置に配置されている。つまり、第2のガイドローラ25は、第1のガイドローラ24の下方でかつ第1のガイドローラ24の後方に配置される。ここでは第2のガイドローラ25に送られてきた光ファイバテープ心線1は、S字状に形成される搬送路に沿って第1のガイドローラ24に進み、外径測定装置30に向かう搬送路Pに沿って巻取部側に送られる。このときに第2のガイドローラ25が光ファイバテープ心線1に接触する位置は、搬送路Pの直線上からずれた位置(この例では、搬送路Pの直線に対して下方の位置)に設定されている。
【0032】
また、上記の構成において、第2のガイドローラ25は、外径測定装置30と被覆形成部との間で、第1のガイドローラ24よりも外径測定装置30に近い位置に配置されているか、または外径測定装置30までの距離が第1のガイドローラ24と同じ位置に配置されていることが好ましい。図2の例では、第2のガイドローラ25は、第1のガイドローラ24よりも外径測定装置30に近い位置に設置される。
【0033】
この構成により、第1のガイドローラ24、および第2のガイドローラ25のそれぞれにおいて、光ファイバテープ心線1の搬送路の方向が変化し、各ガイドローラ24、25の表面における光ファイバテープ心線1の接触長が長くなる。第2のガイドローラ25の方が、第1のガイドローラ24よりも外径測定装置30に近くなれば、各ガイドローラ24、25の表面における光ファイバテープ心線1の接触長をより長くすることができる。
【0034】
これにより光ファイバテープ心線1の搬送位置がずれにくくなり、安定した搬送位置で光ファイバテープ心線1を搬送することできる。
この結果、各ガイドローラ24、25の鍔部に光ファイバテープ心線1が乗り上げて傾くことが抑えられ、また乗り上げたとしても、光ファイバテープ心線1に加えられている張力と光ファイバテープ心線1の弾性力により、元の位置に戻そうとする押え力がより強く働き、光ファイバテープ心線1の傾きを矯正させることができる。各ガイドローラの径を相対的に小さくすること光ファイバテープ心線1がガイドローラの鍔部に乗り上げたときの弾性変形による歪が大きくなり、その結果、弾性力による抑え力をより向上させることができる。そして傾きのない状態で光ファイバテープ心線1を搬送することにより、外径測定装置30では、光ファイバテープ心線1の幅もしくは厚さを正確に測定することができる。
【0035】
また、外径測定装置30に対して巻取部側に配置される巻取部側ガイドローラとして、図2の例では、第3のガイドローラ26と、第4のガイドローラ27とが配置される。ここで、被覆形成部側ガイドローラとして備えられる第1のガイドローラ24及び第2のガイドローラ25と、巻取部側ガイドローラとして備えら獲る第3のガイドローラ26および第4のガイドローラ27とは、外径測定装置30を中心として対称に配置されていることが好ましい。これにより、巻取部側でも傾きのない状態で光ファイバテープ心線1を搬送することで、外径測定装置30における測定精度の向上に寄与することができる。また、光ファイバテープ心線の傾きを抑えて安定化させるための機能を、被覆形成部側と巻取部側とで同様に実現させることができる。
【0036】
図3は、光ファイバテープ心線をガイドするガイドローラ上の作用を説明するための図である。上記のように、外径測定装置30の近傍のガイドローラを適切に配置することで、各ガイドローラの表面における光ファイバテープ心線1の接触長を長くすることができる。
図3に示すガイドローラ50は、被覆形成部側の各ガイドローラ、もしくは巻取部側の各ガイドローラに適用されるものである。ガイドローラ50には光ファイバテープ心線1が接触しながら搬送される。このときに、光ファイバテープ心線1には、所定の張力Tが付与されている。そしてその張力Tの作用により、ガイドローラ50と光ファイバテープ心線1が接触する部分には、光ファイバテープ心線1をガイドローラ50に向けて押さえつけようとする押え力Qが働く。これにより、ガイドローラ50上では、光ファイバテープ心線1の搬送位置が安定してずれにくくなる。
【0037】
図4は、光ファイバテープ心線をガイドするガイドローラ上の作用を説明するための他の図で、図4(A)はガイドローラ表面を側面から見たときの要部における作用を説明する図、図4(B)はガイドローラ表面を光ファイバテープ心線の搬送方向から見たときの要部における作用を説明する図である。
上記のように、ガイドローラ50上では、光ファイバテープ心線1の張力によりガイドローラ50上に光ファイバテープ心線1を押さえつける押え力が働くが、この場合にさらに光ファイバテープ心線1の位置がずれてガイドローラ50の鍔部に乗り上げてしまった場合であっても、これを矯正して元の位置に戻そうとする力が働く。
【0038】
図4(A)および図4(B)に図示される位置S1は、光ファイバテープ心線1がガイドローラ50に安定して接触しているときの光ファイバ心線の中心位置を示している。また図示される位置S2は、光ファイバテープ心線1がガイドローラ50の図示しない鍔部に乗り上げてしまったときの光ファイバ心線の中心位置を示している。
本発明による実施形態によれば、外径測定装置30の近傍のガイドローラを適切に配置することにより、各ガイドローラに対する光ファイバテープ心線1の接触長を長くすることができる。このとき、光ファイバテープ心線1がガイドローラ50の鍔部に乗り上げた場合、光ファイバテープ心線1の全体がガイドローラ50に対して押さえつけられた状態でその端部が鍔部に乗り上げるため、光ファイバテープ心線1の鍔部に乗り上げた部分が伸ばされた状態で弾性変形する。この場合、弾性変形したときの弾性力で、光ファイバテープ心線1は元の形状に復元しようとする。これにより光ファイバテープ心線1には、ガイドローラの表面に密着しようとする押え力Vが働く。この押え力Vによって光ファイバテープ心線1が復元し、ガイドローラ50の表面に対して傾くことなく光ファイバテープ心線1を搬送することができる。
また、ガイドローラの径を相対的に小さくすると、光ファイバテープ心線1がガイドローラの鍔部に乗り上げたときの弾性変形による歪が大きくなり、その結果、弾性力による押え力を向上させることができる。ガイドローラの径は、例えば20mm以上で60mm以下の範囲とすることが好ましいがこれに限定されない。
【0039】
上記の構成により、光ファイバテープ心線の製造工程で搬送される光ファイバテープ心線の傾きを効果的に抑えることができ、これにより光ファイバテープ心線の外径を正確に測定することができるようになる。
【符号の説明】
【0040】
1…光ファイバテープ心線、2…光ファイバ心線、3…外径測定装置、10…サプライ部、11…サプライガイドローラ、12…サプライダンサローラ、13…集線ローラ、14…樹脂供給装置、15…UV樹脂タンク、16…加圧装置、17…UV照射装置、18…引取ガイドローラ、19…引取機、20…アキュームレータ、21…巻取ダンサローラ、22…巻取ガイドローラ、23…巻取部、24…第1のガイドローラ、25…第2のガイドローラ、26…第3のガイドローラ、27…第4のガイドローラ、30…外径測定装置、31…発光部、32…受光部、33…照射領域、40…ガイドローラ、41…搬送面、42…鍔部、50…ガイドローラ、101…光ファイバ心線、102…共通被覆。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8