特許第6323228号(P6323228)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6323228
(24)【登録日】2018年4月20日
(45)【発行日】2018年5月16日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20180507BHJP
   H02M 7/49 20070101ALI20180507BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H02M7/49
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-147332(P2014-147332)
(22)【出願日】2014年7月18日
(65)【公開番号】特開2016-25710(P2016-25710A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2017年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 将光
(72)【発明者】
【氏名】花澤 昌彦
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−28393(JP,A)
【文献】 特開2007−6580(JP,A)
【文献】 特開2014−14273(JP,A)
【文献】 特開2009−183082(JP,A)
【文献】 特開2007−74344(JP,A)
【文献】 特開平3−209796(JP,A)
【文献】 特開平4−303294(JP,A)
【文献】 特開2010−63282(JP,A)
【文献】 特開2011−135624(JP,A)
【文献】 特開2002−140113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02M 7/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の周波数および電圧の単相交流電圧を出力する複数台の単位インバータ装置を直列多重接続とし、直列多重接続した回路を3組有し、該3組の直列多重接続回路それぞれの1端を切替手段を介して中性点として接続し、前記直列多重接続回路の他端から3相交流出力を得る3相インバータと、この3相インバータの出力を制御する制御部とから構成される電力変換装置において、各単位インバータ装置を制御する前記制御部が前記各単位インバータ装置と通信する際、前記各単位インバータ装置を電力変換装置の枠体の所定位置に組み込むことだけで前記各単位インバータ装置を識別するための前記各単位インバータ装置へ設定する局番情報を自動設定することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記各単位インバータ装置を電力変換装置の前記枠体の所定位置にレールを介して組み込むことで電力変換装置に設けられている電気接点を機械的に動作させることにより、前記局番情報を自動設定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記電気接点は、前記単位インバータ装置の底部の所定位置に固定されたマイクロスイッチで構成され、該マイクロスイッチは前記単位インバータ装置を前記レールへ挿通して前記レール上を前記枠体の奥部に進入させることで、前記レールを固定する前記枠体に設けられた前記レールを支持する固定材上に載置された固定板に固定された動作棒が前記スイッチに当接して動作させることで前記単位インバータ装置が所定の位置に設定されていることを識別することを特徴とする請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記各単位インバータ装置を電力変換装置の前記枠体の所定位置にレールを介して前記枠体の奥部に進入させたとき、前記単位インバータ装置の底部の所定位置に固定された発光・受光素子から発光された光が前記レールを固定する前記枠体に設けられた前記レールを支持する固定材上に載置された固定板に固定された反射板により反射するようにして、前記該発光・受光素子に受光することにより前記単位インバータ装置が所定の位置に設定されていることを識別して前記局番情報を自動設定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記各単位インバータ装置を電力変換装置の前記枠体の所定位置にレールを介して組み込むことにより、電力変換装置に搭載された近距離無線システムが作動することで前記局番情報を自動設定することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記近距離無線システムは、前記単位インバータ装置の底部の所定位置に固定されたRFIDリーダーと、該RFIDリーダーから送出する信号波に応答してRFIDタグに記憶されたデータを返送するRFID近距離通信で構成され、前記単位インバータ装置を前記レールへ挿通して前記レール上を前記枠体の奥部に進入させたとき、該RFIDリーダーから放出された電力波及び信号波が前記レールを固定する前記枠体に設けられた前記レールを支持する固定材上に載置された固定板に固定されたRFIDタグにより受信されて該RFIDタグに記憶されているデータを信号波として返送することにより前記単位インバータ装置が所定の位置に設定されていることを識別することを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の単位インバータ装置を直列多重接続とした電力変換装置に関し、複数台の単位インバータ装置に対し設定すべき局番情報を、単位インバータ装置を電力変換装置の枠体内に組込むことにより、誤設定することなく、正常運転を行わせることができる電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、本体に収納される機器に対して外部から設定を行う場合、本体に、送信部からワイヤレス送信を受信する受信部と、この受信部の情報から駆動体を駆動可能とする駆動部とを備え、本体と別体にした操作手段から設定情報をワイヤレスで送信して各種設定を行うユニット装置が知られている。すなわち、下記に示す特許文献1に示されるファンフィルタユニットにおいて、本体のアドレス設定にあたって、従来は、受信部においてEEPROMやマイコンなどのICを用いてアドレスを記憶するようにしているところ、スイッチなどを新たに追加して物理的にアドレスを記憶させることが可能であることが記載されている(特許文献1の段落0054参照)。
【0003】
その一方、特許文献2の段落0002−0015、図7図10に示されるような複数台の単位インバータの出力端を直列多重接続してなる電力変換装置においても、従来は、電力変換装置の単位インバータに設定すべき局番(=アドレス)情報を手動により設定していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−075961号公報(段落0054)
【特許文献2】特開2009−183082号公報(段落0002−0011)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように従来の電力変換装置におけるアドレス設定技術では、各単位インバータに設定すべき局番情報を手動により設定を行っていた。このため、局番情報を誤設定した場合、電力変換装置の出力が異常となるか、または、電力変換装置を破損してしまう、という問題があった。
【0006】
そこで本発明の目的は、複数台の単位インバータ装置の出力端を直列多重接続してなる電力変換装置において、単位インバータ装置を電力変換装置の枠体に組込むだけで自動的に局番情報の設定を可能とする電力変換装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、電力変換装置に局番情報を識別する機構を設け、単位インバータ装置を電力変換装置の枠体の所定位置に組込むことにより、局番情報が自動的に設定されるよう構成したものである。
【0008】
より具体的に示せば、本願請求項1記載の発明は、
任意の周波数および電圧の単相交流電圧を出力する複数台の単位インバータ装置を直列多重接続とし、直列多重接続した回路を3組有し、該3組の直列多重接続回路それぞれの1端を切替手段を介して中性点として接続し、前記直列多重接続回路の他端から3相交流出力を得る3相インバータと、この3相インバータの出力を制御する制御部とから構成される電力変換装置において、各単位インバータ装置を制御する前記制御部が前記各単位インバータ装置と通信する際、前記各単位インバータ装置を電力変換装置の枠体の所定位置に組み込むことだけで前記各単位インバータ装置を識別するための前記各単位インバータ装置へ設定する局番情報を自動設定することを特徴とする。
【0009】
また本願請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記各単位インバータ装置を電力変換装置の前記枠体の所定位置にレールを介して組み込むことで電力変換装置に設けられている電気接点を機械的に動作させることにより、前記局番情報を自動設定することを特徴とする。
【0010】
本願請求項3記載の発明は、上記請求項2記載の発明において、前記電気接点は、前記単位インバータ装置の底部の所定位置に固定されたマイクロスイッチで構成され、該マイクロスイッチは前記単位インバータ装置を前記レールへ挿通して前記レール上を前記枠体の奥部に進入させることで、前記レールを固定する前記枠体に設けられた前記レールを支持する固定材上に載置された固定板に固定された動作棒が前記スイッチに当接して動作させることで前記単位インバータ装置が所定の位置に設定されていることを識別することを特徴とする。
【0011】
また本願請求項4記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記各単位インバータ装置を電力変換装置の前記枠体の所定位置にレールを介して前記枠体の奥部に進入させたとき、前記単位インバータ装置の底部の所定位置に固定された発光・受光素子から発光された光が前記レールを固定する前記枠体に設けられた前記レールを支持する固定材上に載置された固定板に固定された反射板により反射するようにして、前記該発光・受光素子に受光することにより前記単位インバータ装置が所定の位置に設定されていることを識別して前記局番情報を自動設定することを特徴とする。
【0012】
さらに本願請求項5記載の発明は、上記請求項1記載の発明において、前記各単位インバータ装置を電力変換装置の前記枠体の所定位置にレールを介して組み込むことにより、電力変換装置に搭載された近距離無線システムが作動することで前記局番情報を自動設定することを特徴とする。
【0013】
本願請求項6記載の発明は、上記請求項5記載の発明において、前記近距離無線システムは、前記単位インバータ装置の底部の所定位置に固定されたRFIDリーダーと、該RFIDリーダーから送出する信号波に応答してRFIDタグに記憶されたデータを返送するRFID近距離通信で構成され、前記単位インバータ装置を前記レールへ挿通して前記レール上を前記枠体の奥部に進入させたとき、該RFIDリーダーから放出された電力波及び信号波が前記レールを固定する前記枠体に設けられた前記レールを支持する固定材上に載置された固定板に固定されたRFIDタグにより受信されて該RFIDタグに記憶されているデータを信号波として返送することにより前記単位インバータ装置が所定の位置に設定されていることを識別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電力変換装置に局番情報の識別機構が設けられているので、単位インバータ装置を電力変換装置の枠体に組込むだけで局番情報の誤設定を無くすことができるとともに設定するだけで電力変換装置を正常に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1ないし第3の実施形態に係る電力変換装置の全体構成の概要を示す図である。
図2】本発明の第1ないし第3の実施形態に係る単位インバータ装置の回路構成を示す図である。
図3】本発明の第1ないし第3の実施形態に係る単位インバータ装置の直列多重接続構成を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置組込状態の単位インバータ装置を正面から見た図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置組込完了前状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置組込完了状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る単位インバータ装置の構成を示す図である。
図8図7の単位インバータ装置組込前の電力変換装置の枠体を示す図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の全体構成概要を示す図(正面視)である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る単位インバータ装置の枠体への組込みの様子を示す図である。
図11図10に示す単位インバータ装置の枠体への組込完了の様子を示す図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置組込完了前状態の単位インバータ装置を正面から見た図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置組込完了状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る単位インバータ装置の構成を示す図である。
図15図14の単位インバータ装置組込前の電力変換装置の枠体を示す図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置の全体構成概要を示す図(正面視)である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る単位インバータ装置の枠体への組込みの様子を示す図である。
図18図17に示す単位インバータ装置の枠体への組込完了の様子を示す図である。
図19】本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置組込完了前状態の単位インバータ装置を正面から見た図である。
図20】本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置組込完了状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
図21】本発明の第3の実施形態に係る単位インバータ装置の構成を示す図である。
図22図21の単位インバータ装置組込前の電力変換装置の枠体を示す図である。
図23】本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置の全体構成概要を示す図(正面視)である。
図24】本発明の第3の実施形態に係る単位インバータ装置の枠体への組込みの様子を示す図である。
図25図24に示す単位インバータ装置の枠体への組込完了の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は、本発明の第1ないし第3の実施形態に係る電力変換装置の全体構成の概要を示す図(正面視)である。図1に示す本発明の実施形態に係る電力変換装置1において、1は枠体100の所定位置に単位インバータ装置を収納して3相(U相,V相,W相)の交流電圧を得る電力変換装置の全体構成の概略を示し、2はそれぞれに局番(ナンバー(No.))が付された単位インバータ装置を示し、3は単位インバータ装置2を固定するレールを示し、4は単位インバータ装置固定用レール3を電力変換装置の枠体100に固定するための固定材を示している。そして電力変換装置1は、単位インバータ装置2によって任意の周波数および電圧の単相交流電圧を変換して出力し、その出力を直列多重接続(図中の太実線参照)して枠体100に黒丸で示されたU相、V相、W相の各端子から出力するようにしている。
【0017】
図2は、本発明の第1ないし第3の実施形態に係る電力変換装置1の枠体100内に組込まれる単位インバータ装置2の回路構成を示す図である。図2において、単位インバータ装置は、直流電源とインバータINVよりなり、インバータINVは、自己消弧型半導体素子T1〜T4(例えば、IGBT:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)およびダイオードD1〜D4を備え、半導体素子T1,T2、T3,T4が各直列接続されて2つのアームから出力1、出力2を取り出すよう構成している。自己消弧型半導体素子は、図示せざる制御装置によってそのゲートが制御されて直流電圧を交流電圧に変換して出力する。このようなインバータINVは、直流電源から供給された(P相,N相によって表された)直流電圧を所望の交流電圧に変換するものとして広く知られている(必要であれば上記特許文献2参照)。
【0018】
図3は、本発明の第1ないし第3の実施形態に係る単位インバータ装置の直列多重接続構成を示す図である。図3に示されるように、本発明の電力変換装置は、任意の周波数および電圧の単相交流電圧を出力する複数台の単位インバータを直列多重接続し、直列多重接続した回路を3組有し、3組の直列多重接続回路のそれぞれの1端をそれぞれ切替手段(図示省略)を介して中性点として接続し、直列接続回路の他端から3相交流出力を得る3相インバータとこの3相インバータの出力を制御する制御部から構成される。
【0019】
[実施形態1]
図4は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置組込状態の単位インバータ装置を正面から見た図である。また図5は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置組込完了前状態の単位インバータ装置を側面から見た図であり、また図6は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置組込完了状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
【0020】
図4ないし図6に示される本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置に組込まれる単位インバータ装置2において、3は図1に示されたのと同一の単位インバータ装置2を固定するレールを示し、4は単位インバータ装置固定用レール3を枠体100に固定するための固定材を示している。そして5は固定板12上に設けられ、単位インバータ装置2に設けられている局番識別用スイッチ、例えばマイクロスイッチ、を示し、6は固定板11上に設けられ、局番識別用スイッチ5に当接して該スイッチを動作させる動作棒を示している。
【0021】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る単位インバータ装置の構成を示す図であり、図7(a)は、単位インバータ装置2を正面から見た図(正面視)で、図7(b)は、単位インバータ装置2を側面から見た図(側面視)である。
【0022】
また図8は、図7の単位インバータ装置組込前の電力変換装置の枠体を示す図であり、図8(a)は、電力変換装置1の枠体100を正面から見た図(正面視)で、図8(b)は、電力変換装置1の枠体100を側面から見た図(側面視)である。
【0023】
図7および図8に示される本発明の第1の実施形態において、5は局番識別用スイッチを示し、12は局番識別用スイッチ5を設置・固定する固定板を示している。また6は局番認識用スイッチ動作棒を示し、11は局番認識用スイッチ動作棒6を設置・固定する固定板を示している。
【0024】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置の全体構成概要を示す図(正面視)であり、図6に示されるように、本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置1では、固定板12に固定された局番識別用スイッチ5が正面側から背面側にレール3に沿って押し込まれることによって固定板11に固定された局番認識用スイッチ動作棒6が局番識別用スイッチ5に当接して該スイッチ5を動作させて局番識別用スイッチ5を動作することで当該位置に設けられた単位インバータ装置の局番を識別することで、電力変換装置1の枠体100内に収納された単位インバータ装置2のナンバー(局番情報)を識別することができるので、誤設定することなく、単位インバータ装置2を枠体100の所定位置に収納するだけで正常運転を行うことが可能となる。
【0025】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る単位インバータ装置の枠体への組込みの様子を示す図であり、図11図10に示した単位インバータ装置の枠体への組込完了の様子を示す図である。
【0026】
電力変換装置1の枠体100に組込まれる単位インバータ装置2は、図1に示す局番割当がなされるものとする。すなわち図10および図11において、電力変換装置1の局番割当No.2に該当する箇所(図9参照)に単位インバータ装置2を組込むとした場合、局番2を示す部位のみ局番認識用スイッチ動作棒6が固定板11上に設けられ、他局番を示す部位には局番認識用スイッチ動作棒6は設けられていない。したがって、電力変換装置1の枠体100に単位インバータ装置2を組み込むと、図10の組込途中の状態から図11の組込完了状態に移行するに当たり、局番割当No.2を示す局番認識用スイッチ動作棒6が局番割当No.2を示す局番識別用スイッチ5に当接して該スイッチ5を動作させることで単位インバータ装置2が局番割当No.2であると認識することが出来る。
【0027】
(変形例)
上記第1の実施形態の局番識別用スイッチ5を動作させる動作棒6の数は、単位インバータ装置全数分準備する必要は無く、デジタル符号化を行い、局番識別用スイッチ5および動作棒6の数を減らすように構成することができる。
【0028】
このように本発明の第1の実施形態に係る電力変換装置は、図1に示されるように、枠体100内が上、中、下の3段に分けられ且つ段毎にいずれかの相の局番割当てがあらかじめなされ、局番割当てされた箇所に単位インバータ装置2を挿入する。そしてすべての局番割当てされた位置に単位インバータ装置2を挿入されたらそれらを直列多重接続する。より具体的には図4に示される単位インバータ装置2を枠体100内のNo.1〜No.9のうちのNo.2の位置に組込むだけで局番設定を行う格別の装置を用いることなしに組込まれた単位インバータ装置2の局番がNo.2であることを識別することが可能となる。すなわち、単位インバータ装置を上記のようにして組込完了させるだけで、組込まれた単位インバータ装置の局番情報を誤設定することなく正しく自動的に設定することが可能となる。
【0029】
[実施形態2]
図12は、本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置組込完了前状態の単位インバータ装置を正面から見た図である。また図13は、本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置組込完了状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
【0030】
図12および図13に示される本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置に組込まれる単位インバータ装置2において、7は局番識別用発光・受光素子を示し、8は局番識別用発光・受光素子7により発光された光を反射する反射板を示している。但し、図12および図13に示される図は、上記に示した第1の実施例形態と基本は同一であり、同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
また図14は、本発明の第2の実施形態に係る単位インバータ装置の構成を示す図であり、図14(a)は、単位インバータ装置2を正面から見た図(正面視)で、図14(b)は、単位インバータ装置2を側面から見た図(側面視)である。
【0032】
また図15は、図14の単位インバータ装置組込前の電力変換装置の枠体を示す図であり、図15(a)は、電力変換装置1の枠体100を正面から見た図(正面視)で、図15(b)は、電力変換装置1の枠体100を側面から見た図(側面視)である。
【0033】
図14および図15に示される本発明の第2の実施形態において、7は局番識別用発光・受光素子を示し、14は局番識別用発光・受光素子7を設置・固定する固定板を示している。また8は局番識別用発光・受光素子7により発光された光を反射する反射板を示し、13は局番認識用反射板を設置・固定する固定板を示している。
【0034】
図16は、本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置の全体構成概要を示す図(正面視)であり、図16に示されるように、本発明の第2の実施形態に係る電力変換装置1では、局番識別用発光・受光素子7から発光した光が反射板8(図13図18参照)により反射されて局番識別用発光・受光素子7に戻る光を受光することで当該位置に設けられた単位インバータ装置の局番を識別することにより、電力変換装置1の枠体100内に収納された単位インバータ装置2のナンバー(局番情報)を識別することができるので、誤設定することなく、単位インバータ装置2を枠体100の所定位置に収納するだけで正常運転を行うことが可能となる。
【0035】
図17は、本発明の第2の実施形態に係る単位インバータ装置の枠体への組込みの様子を示す図であり、図18は、図17に示す単位インバータ装置の枠体への組込完了の様子を示す図である。
【0036】
図17および図18において、電力変換装置1の局番割当No.2に該当する箇所(図16参照)に単位インバータ装置2を組込むとした場合、電力変換装置1の局番割当No.2に該当する箇所に設けられる反射板8は、局番2を示す部位のみ反射板8が設けられ、他局番を示す部位には反射板8を設けないように構成している。
【0037】
電力変換装置1へ単位インバータ装置2の組込みを完了させることで、図13図18に示すように、単位インバータ装置2に設けられている局番識別用発光・受光素子7より光を発光させる。発光した光に対して、当該設置位置に対応して設けられた反射板8が光を反射させ、局番割当No.2対応に設けられた局番識別用発光・受光素子7のみが光を受光することにより、枠体100の所定位置に収納された単位インバータ装置2が局番割当No.2であることを認識することが可能となる。
【0038】
(変形例)
上記第2の実施形態の局番識別用発光・受光素子7へ光を反射させる反射板8の数は、単位インバータ装置全数分準備する必要は無く、デジタル符号化を行い、局番識別用発光・受光素子7および反射板8の数を減らすように構成することができる。
【0039】
[実施形態3]
図19は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置組込完了前状態の単位インバータ装置を正面から見た図である。また図20は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置組込完了状態の単位インバータ装置を側面から見た図である。
【0040】
図19および図20に示される本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置に組込まれる単位インバータ装置2において、9は固定板16上に設けられたRFIDリーダーを示し、10は固定板15上に設けられたRFIDタグを示している。但し、図19図20に示される図は、上記に示した第1の実施形態と基本は同一であり、同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
また図21は、本発明の第3の実施形態に係る単位インバータ装置の構成を示す図であり、図21(a)は、単位インバータ装置2を正面から見た図(正面視)で、図21(b)は、単位インバータ装置2を側面から見た図(側面視)である。
【0042】
また図22は、図21の単位インバータ装置組込前の電力変換装置の枠体を示す図であり、図22(a)は、電力変換装置1の枠体100を正面から見た図(正面視)で、図22(b)は、電力変換装置1の枠体100を側面から見た図(側面視)である。
【0043】
図21および図22に示される本発明の第3の実施形態において、9は局番認識用RFIDリーダーを示し、16は局番認識用RFIDリーダーを設置・固定する固定板を示している。また10は局番認識用RFIDタグを示し、15は局番認識用RFIDタグ10を設置・固定する固定板を示している。
【0044】
図23は、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置の全体構成概要を示す図(正面視)であり、図23に示されるように、本発明の第3の実施形態に係る電力変換装置では、局番認識用RFIDタグ10に記録・設定された局番情報を局番認識用RFIDリーダー9から電力を供給してタグ10に記録・設定された局番情報を読取ることにより、電力変換装置1の枠体100内に収納された単位インバータ装置2のナンバー(局番情報)を読取ることができるので、誤設定することなく、単位インバータ装置2を枠体100の所定位置に収納するだけで正常運転を行うことが可能となる。
【0045】
図24は、本発明の第3の実施形態に係る単位インバータ装置の枠体への組込みの様子を示す図であり、図25は、図24に示す単位インバータ装置の枠体への組込完了の様子を示す図である。
【0046】
図24および図25において、電力変換装置1の局番割当No.2に該当する箇所(図23参照)に単位インバータ装置2を組込むとした場合、電力変換装置1の局番割当No.2に該当する箇所に組込まれるRFIDタグ10は、局番2を示す情報をRFIDリーダー9に返送するタグが組込まれ、他局番を示す情報はRFIDリーダー9に返送しないように構成されている。
【0047】
電力変換装置1へ単位インバータ装置2の組込みを行うと、図20図25に示すように、単位インバータ装置2に組込まれているRFIDリーダー9より電力波および信号波をRFIDタグ10に送信する。送信された電力波により局番割当No.2を示すRFIDタグ10のみ起動し、送信された信号に対し、局番割当No.2を示す信号波をRFIDタグ10よりRFIDリーダー9に返送する。RFIDタグ10からの返送信号をRFIDリーダー9が受信することにより、単位インバータ装置2の局番割当No.2の局番識別用RFIDタグ10のみの信号をRFIDリーダー9が受信することにより、枠体100の所定位置に収納された単位インバータ装置2が局番割当No.2であることを認識することが可能となる。
【0048】
(変形例)
上記第3の実施形態は、単位インバータ装置2から電力波を送信するようにしているが、そのような構成を採らずに、電力変換装置1側の送信システムを専用電源により動作する局番情報送信用システムとして構成することができる。
【0049】
[他の適用例]
上記では第1ないし第3の実施形態を説明したが、これらの実施形態のみに限定されるものではない。例えば、以下に示すような適用例も本発明の技術的思想の範疇に含まれる。すなわち、
(a)電力変換装置の回路構成は、単相および三相に関わらず他の相出力構成であっても良い。
(b)電力変換装置の回路構成における単位インバータ装置の直列多重接続数は2台以上の任意の数であっても良い。
(c)電力変換装置の回路構成は、並列多重または並列・直列複合多重であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 電力変換装置
2 単位インバータ装置
3 レール
4 固定材
5 局番識別用スイッチ
6 動作棒
7 局番識別用発光・受光素子
8 反射板
9 RFIDリーダー
10 RFIDタグ
11 (動作棒用)固定板
12 (スイッチ用)固定板
13 (反射板用)固定板
14 (発光・受光素子用)固定板
15 (RFIDタグ用)固定板
16 (RFIDリーダー用)固定板
100 枠体
図1
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